日本百名山一筆書き踏破「グレートトラバース」。
登山家で作家の深田久弥が選んだ日本百名山。
その100の頂を自分の足だけを頼りに踏破しようという前人未到の挑戦だ。
スタートは屋久島宮之浦岳。
そこから一切の交通機関を使わず一筆書きに北上。
利尻島利尻岳まで全行程7,800キロを7か月間で踏破する。
挑むのはプロアドベンチャーレーサー田中陽希。
(田中)フォ〜!今回の舞台は群馬と栃木にまたがる皇海山。
平安時代から山岳信仰の聖地として信仰を集めてきた。
静寂の山に待ち構える急峻な道。
そして背丈にも及ぶ笹やぶが田中を修行の道へといざなう。
7月28日。
群馬県東部の利根町にいた田中。
うっ…さぶい!早朝標高800メートルの山あいにある宿から出発。
まずは20キロの林道を歩き皇海山の登山口を目指す。
皇海山は奥深い事で知られる。
登山口に至る道のりも容易ではない。
実は田中も以前挑戦した事があったという。
皇海山ですね。
(くしゃみ)田中にとってこの皇海山の登頂は3年越しの挑戦となる。
この日の行程。
スタートは群馬県の利根町。
20キロの林道を歩き皇海橋登山口から皇海山を目指す。
奥深い森の中急峻な登山道を進む。
下山ルートは皇海山の山頂から庚申山の中腹を経て栃木側に下る。
それはかつての修験の道でもある。
江戸時代に隆盛を極めた庚申講と呼ばれる信仰登山。
その最も奥深くにある奥の院として信仰されていたのが皇海山だった。
今回田中はその信仰の道を逆側から歩く事になる。
午前10時登山開始。
利根川水系の不動沢に沿って進む。
登り始めてほどなく田中が足を止めた。
(シャッター音)沢の音を聞きながら登っていくと大きな岩が転がるガレ場に出た。
登山口から山頂までの標高差は700メートル。
登り始めから急登が続く。
登山口から1時間。
稜線に出ると視界が開けた。
前日登った百名山赤城山の雄大な裾野が広がっていた。
稜線に出ても急斜面が続く。
巨大な岩壁の脇をすり抜けるように進む。
(荒い息遣い)こんにちは。
すいません。
続いて現れたのは張り出した木の根。
階段のように乗り越えながら歩く。
(荒い息遣い)山頂直下。
田中は不思議なものに出会った。
明治時代に奉納された青銅の剣。
信仰登山の名残だ。
こんにちは。
午前11時皇海山に登頂。
コースタイム3時間の道のりを僅か1時間で登り切った。
着いた。
いや〜。
標高2,144メートルの皇海山。
シラビソやコメツガに囲まれた静かな山頂でひととき疲れを癒やす。
皇海山からの下山ルート。
ここから先の稜線はかつての修験道。
急峻な崖やうっそうとした笹やぶなど難関が待ち受ける。
下山後は更に25キロを走り次の百名山の麓奥日光中禅寺湖を目指す。
この日の総移動距離は60キロ。
日が暮れるまでにたどりつきたい。
頂上から一旦下ると視界の先には稜線がのこぎり状になった鋸山が見えてきた。
まずはここを越えなければならない。
進むに従って山は一層の奥深さを増す。
腰の高さまで伸びたクマザサをかき分けながら進む。
続いて巨大な岩壁が立ちはだかる。
まさに修験道の趣だ。
足場を確保しながら慎重に乗り越える。
すると…。
うほ〜!庚申講の奥の院だった皇海山。
険しい道のりを越えてきた修験者たちはここから眺める山の姿に畏敬の念を抱いたに違いない。
鋸山〜。
山頂から歩く事30分。
鋸山に到着。
ルートはここから2つの道に分かれていた。
破線で示されたルートはかつての修験の道。
距離は短いものの険しい庚申山の稜線を進む。
一方実線で示された登山道は庚申山を迂回する。
遠回りだがアップダウンが少ない。
田中は迷った末実線の登山道を選択した。
険しい修験道を進むより距離は長くてもなだらかな道なら走る事で時間を短縮できる。
…と考えたのだ。
ところが…。
背丈ほどに茂ったクマザサが道を覆っていた。
とても走る事などできない。
イテテテ。
笹やぶをかき分けながら進む事30分。
ようやく抜けた。
…かと思いきや。
まだ笹やぶの道が続いていた。
笹やぶを抜けきるまでは更に1時間格闘が必要となった。
結局笹やぶのやぶこぎが響き登山道の終着点一の鳥居に到着するのは予定より2時間遅れとなった。
いや〜もう。
笹やぶがひどすぎて。
中禅寺湖まで25キロ。
日が暮れる前にたどりつけるのだろうか。
夜8時半。
田中はまだその途中にいた。
(せきこみ)やぶこぎのダメージが大きくその後もスピードを上げられずにいた。
結局このあと目的地の中禅寺湖畔に到着したのは日付が変わる頃となった。
前人未到の挑戦は続く…。
2014/11/20(木) 03:10〜03:25
NHK総合1・神戸
グレートトラバース 15min. 百名山一筆書き踏破への道「皇海山」[字]
百名山一筆書き人力踏破に挑む「グレートトラバース」。その中から本編で紹介できなかったエピソードを15分で紹介。今回の舞台は、栃木と群馬の県境に位置する皇海山。
詳細情報
番組内容
アドベンチャーレーサー田中陽希が、屋久島宮之浦岳から利尻島利尻岳まで、日本百名山を自分の足とカヤックで7か月間かけ人力踏破に挑む「グレートトラバース」。その中から本編では時間の関係で触れられなかった山々でのエピソードを15分番組として紹介する。今回の舞台は、栃木県と群馬県の県境に位置する皇海(すかい)山。かつて修験の道として使われていたという険しい山道に、田中は苦しめられる。
出演者
【出演】田中陽希
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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