アスリートの魂「激流を越える絆 ラフティング女子日本代表」 2014.11.20


うわ〜!キャ〜!激流を下る…そのスリリングさから若い女性を中心に年々人気が高まっています。
(一同)ラフティング最高!イエ〜イ!このラフティング速さを競う競技として世界中で大会が開かれています。
日本は世界選手権で優勝を果たした強豪国。
武器は4人が一つになって生み出すパドルさばき。
パワーに勝る外国勢と渡り合ってきました。
それぞれの役割を全て果たさないとボートはうまく動かない。
しかし激流の中では少しでも操作を誤ると…。
転覆。
日本は2大会連続で優勝を逃していました。
必要なのはどんな激流にも負けないチームワーク。
しかし意見の食い違いからメンバーが衝突。
「目標何ですか?」っていうふうに言う事だってできるんちゃう?分かってる人が声出すんじゃないですか?そうじゃないんよ。
作ってってほしいんよちゃんと。
大会を前にチームは崩壊寸前。
何でそうなっちゃったかはちょっと分からないです。
どうすればもう一度一つになる事ができるのか。
ここにいる5人と絶対に世界一になります。
10月世界選手権に挑んだ女子日本代表。
目指すは世界一奪還。
頑張っていこう!
(一同)オッス!思いを一つにして激流に挑んだ日々を見つめました。
午前6時徳島県吉野川。
朝もやの中を進むボートがあります。
ラフティングチーム…メンバーは20代から30代の6人。
ラフティングに魅せられ全国から移り住んできました。
専属の指導者はいません。
毎朝出勤前の2時間だけ集まります。
(取材者)毎朝朝練やってしんどくないですか?めっちゃ眠いですよ。
超地獄ですよ。
寝てる。
寝てますよね。
仕事中に寝てます。
そんな事言ったら何か不謹慎やわ。
使わないで下さい。
やっぱ一緒にいる人がいるからですよね。
メンバーが活動しているのは徳島県三好市。
3万人が暮らす山あいの町です。
この町にラフティングを楽しみに来る人は年間およそ4万人。
地元にとって大きな観光収入です。
キャ〜!リバーフェイスのメンバーにはラフティングの体験ガイドとして働く人もいます。
はいOKパドル上げて!イエ〜イ!彼女たちはこうして働きながら年間数十万円かかる道具代や遠征費を捻出しています。
世界の第一線で戦っているメンバーは地元の人たちの誇りです。
今年も国内予選を勝ち抜き10月にブラジルで開かれる世界選手権に挑みます。
僕たち生徒一人一人がメッセージを書きました。
これを持って暴れてきて下さい。
ありがとうございます。
メンバーたちは世界一になる事でこの町を盛り上げたいと考えています。
三好市の代表日本の代表として出れる事を誇りに思ってブラジルで暴れてきたいと思ってます。
「日本チーム頑張ってるやん。
世界的にラフティングって通用してるんや」と。
競技人口を増やしたいというのはあります。
チームの練習拠点は大歩危小歩危で有名な渓谷が連なる吉野川。
日本有数の暴れ川として知られています。
水量豊かで変化に富んだ急流は格好の練習場所です。
目まぐるしく変わる流れを進むラフティング。
船上の4人には役割があります。
ラフティングのボートはまっすぐに進む時は全員がパドルを漕いで推進役となります。
進行方向を変えるのは対角線上の2人の役目。
パドルを川に垂直に立てて旋回させます。
残る2人はパドルを漕ぎ続けスピードを維持します。
ボートを流れに乗せ一秒でも早く下るには4人がぴったり息を合わせる事が欠かせないのです。
それぞれの役割を全て果たさないとボートはうまく動かないし…。
究極のチームスポーツだなと。
リバーフェイスは2010年の世界選手権で優勝。
一糸乱れぬパドルさばきが強さの秘密でした。
ダントツだ!しかしその後パワーに勝る外国勢が急速に力をつけ勝てなくなりました。
世界一奪還を目指しています。
勝つためには更に強固なチームワークが不可欠です。
ところがこの夏チームは大きな試練を迎えていました。
川の流れを読み最適なラインに乗って漕ぎ下る練習での事でした。
どのラインを取るかで選手の意見が食い違いスピードが上がりませんでした。
声を荒げていたのは世界一になった時のメンバーで副キャプテンの竹村碧選手。
指導者のいないチームを自分が率先して引っ張らなければならないと考えていました。
竹村選手は中学校で働きながらラフティングを続けています。
教師とペアを組んで生徒の学習をサポートしています。
竹村選手は大学時代カヌーの強豪校で活躍しました。
なかなか勝てない時こそ部員同士がチームの在り方やお互いの本音をぶつけ合いました。
そしてチームは大学日本一に輝きました。
でもやっぱり…ラフティングのためにふるさとの高知県から移り住んで6年。
現役を続けるのは今度の世界選手権までと決めています。
絶対グシャってなるのこれ。
やり直したい。
チームを強くしてやり切ったと思える大会にしたい。
竹村選手の思いです。
私はメンバーに対してえ〜と…同志でありライバルであると思っているので。
常に高め合ってる意識を常に持ちたい。
勝ちにこだわっていきたいと思っているので。
常に勝ちを意識した集団でいたい。
しかし竹村選手の思いとは裏腹にチームの状態はなかなか上向きませんでした。
この日はスラロームの練習。
川に設置したいくつものゲートをくぐる種目です。
世界選手権は4種目の総合成績で競います。
500メートル以下の短距離レーススプリント。
2チームで競い合うヘッド・トゥー・ヘッド。
水上の格闘技と呼ばれています。
5キロ以上の長距離で争うダウンリバーは持久力が必要です。
最もテクニックが要求されるのがスラロームです。
次々と現れるゲートをくぐります。
激流の中4人で息を合わせて旋回したりブレーキをかけたり。
細かいコントロールが必要なためチーム力が試されます。
スラロームの練習が始まりました。
旋回して急流を遡上。
ゲートをくぐります。
しかし…。
ゲート寸前で押し戻されました。
更に…。
このゲートは通過したものの次のゲートは…。
思わぬ激流に流されてしまいます。
ゲートに近づく事もできませんでした。
激流に負けないチームワークを築かなければ世界一にはなれません。
どうすれば息の合ったチームを作る事ができるのか。
練習場所を変えて旋回する動きを確認します。
次!次!次!はい。
「次次」って言ってる時に目線が変わってないから。
はい。
この日も竹村選手が不満を口にします。
練習後…。
会話がありませんでした。
この夜世界選手権の出場メンバーを決めるミーティングが行われました。
種目ごとにそれぞれがベストだと思うメンバーを紙に書いて提出します。
課題の種目スラローム。
竹村選手の名前がありません。
竹村選手スラロームのメンバーから外される事になりました。
(一同)はい。
お疲れさまで〜す。
(戸を強く閉める音)
(取材者)どういう気持ちでこれから臨んでいくというか?そうですよね。
分からない。
(取材者)気持ちの整理をしなきゃいけないかもしれないですけど。
1つのボートを動かすという意識で乗らないとそれぞれが。
うまい事いかんのでだったらこのメンバーかなっていうふうに。
(取材者)それぞれが意見を出し合える環境っていうのは大事なんですかね?遠慮せずにというか。
う〜ん出せたらいいですよね。
(取材者)それ何で出せてないんですかね?いつも否定されてもう言えないとか。
訳あると思うんです。
次の練習吉野川が大雨で増水し室内で行われました。
5秒前4321…。
世界選手権のメンバーが決まり練習は熱を帯びてきました。
しかしそこに竹村選手の姿はありませんでした。
本人にしたら悔しいところとか何か思う事があったのかもしれないです。
ちょっと理由は分かんないんですけど。
悔しいと思う気持ちは絶対あった方がいいと思うけど出れない人もいるのも出れる人がいるのもまあ普通に考えたら当たり前の事なのでその辺は…何かそれぞれが受け入れてどれだけ勝ちに向かえるかじゃないかなと思ってます。
竹村選手が練習に顔を見せたのは2日後でした。
竹村選手は一人遠くから練習を見つめていました。
世界選手権を1か月後に控え男子日本代表チームを招いて合同練習が行われました。
よろしくお願いします。
(一同)お願いします。
男子日本代表は世界選手権で2度の優勝を誇ります。
スラロームの攻略のヒントをつかむまたとない機会です。
この日のポイントは急流を遡ってくぐるアップゲート。
2つのアップゲートをスムーズにくぐる練習です。
まずは男子代表。
流れを物ともせず最短のコースで移動。
ゲートぎりぎりでターン。
通過しました。
続いて女子代表が挑戦。
2つ目のゲートをくぐるのにてこずりました。
よく見ると…。
ゲートの手前でスピードが落ちていました。
原因は右前の浅井選手。
突然パドルの向きを変え水をボートにかき寄せるような動きを始めました。
その結果右側の女子代表は大きくスピードが落ちてしまったのです。
このあと行われたミーティング。
男子代表から浅井選手の動きについて意外な指摘がありました。
あとは任せるよという信頼関係が多分ちょっとまだ薄いからもうちょっと信頼してもいいのかな。
本来浅井選手はボートの推進役。
進む方向を決めるのは別の選手の役割です。
しかし浅井選手が進行方向とは違う向きに漕ぎ始めたため推進力が落ちて失速してしまったのです。
浅井選手がこんな漕ぎ方をしたのはボートがゲートに届いていないと感じたからでした。
とっさに進行方向を変えるのを手伝おうとしたのです。
信頼関係というか…ふだんからコミュニケーションをとって信頼関係を築け。
まさに今チームに一番欠けているものでした。
竹村選手はその後ミーティングで言われた事を何度も思い返しながら自分の行動を見つめ直しました。
大切なのは自分の仕事と相手の仕事を信じる事。
6人で勝つために何をしたらいいのか。
もっとチームに還元できるような行動をしていきたい。
みんなにこう言えば変わるんじゃないかみたいな事をこういう事を意識してやれば練習の雰囲気はよくなるんじゃないかとか…。
6人で作る雰囲気でコミュニケーションの大切さ。
あと…あと…。
みたいなところをすごく感じたから自分はすごく救われた気持ちになった。
スラローム練習再開の日。
レディーゴー!この日チームに変化が起きていました。
当たってるよ!次次次!次〜!アップアップ〜!仲間の力を信じようと考えた竹村選手。
サポート役に徹していました。
積極的に意見を交わし合う選手たち。
(竹村)アップ〜!本数を重ねるごとにタイムが向上。
13秒以上も縮まりました。
チームが一つになりつつありました。
自分の感覚をできるだけ口に出そうとしました。
みんなで頑張ろうって言ってそれぞれが声出してるんだなっていう…。
ありがとうございました。
ほかの人がどうしてたというのをもうちょっと共有したり…。
すいません息が…。
この日世界選手権に向けた壮行会が行われました。
地域の人や友人など50人以上が集まりました。
(拍手)竹村選手は挨拶の中で仲間への秘めた思いを語りました。
絶対に世界一になります。
この5人と…ここにいる5人となりたいです。
改めてメンバーに言う機会もないので言おうと思いますがよろしくお願いします。
(拍手)ブラジル南西部イグアスの滝。
世界遺産の滝があるこの町でラフティングの世界選手権が開幕しました。
女子は9か国が出場。
日本3大会ぶりの世界一に挑みます。
戦いの舞台は大きく湾曲した人工の川。
障害物で複雑な流れを作り出した難コースです。
戦いに臨む女子日本代表リバーフェイス。
本番直前に6人の中から再度ベストメンバーを選出。
一旦はメンバーから外された竹村選手も復帰しました。
日本のライバルはパワーとテクニックを兼ね備えたスロバキア。
1種目目のスプリントで前評判どおり1位に躍り出ました。
そして開催国ブラジルも2位。
日本は強敵スロバキアと2種目目のヘッド・トゥー・ヘッドで直接対決する事になりました。

(スタートの合図の音)
(歓声)激しいつばぜり合い。
スロバキアは日本を前に出させません。
波に翻弄されながら必死に食らいつきます。
その時でした。
叫んだのは竹村選手。
最短距離のインコースをつきました。
体当たり。
追い抜きました。
いけるいける!
(一同)イエ〜イ!4人が息を合わせ見事スロバキアを破りました。
やりました。
作戦成功です。
インコース。
抜きどころのインコースをつけたんで。
それが共有できててよかったです。
3種目目はダウンリバー。
日本はイグアスの滝から流れ出る急流に乗り2位の好成績。
1種目を残して日本は総合2位。
スラロームで1位になれば逆転優勝です。
最後は課題のスラローム。
チームは作戦会議を開きました。
ポイントは急流を遡るアップゲートでした。
デモンストレーションでは男性4人でもくぐる事ができないほどの難コースです。
一番小回りできるボートの動かし方をして下さいという事。
何としても勝つ。
これまでもがいてきた日々の全てが試される戦い。
当日。
6番目のアップゲートが多くのチームを苦しめました。
優勝候補のスロバキア。
ゲートにたどりつく事すらできません。
重要なのは直前の5番ゲート。
ここで十分に減速しないと6番を行き過ぎてしまうのです。
いよいよ運命のレース。
心から終わって喜べるように最高のランにしましょう。
頑張っていこう!
(一同)オッス!竹村選手現役最後のレース。
控えに回った2人のためにも全力を尽くそうと考えていました。

(スタートの合図の音)序盤順調にゲートをクリアーしていく日本。
そして問題のゲートにさしかかります。
5番ゲートを通過して6番へ。
見事クリアーしました。
5番ゲートに近づくと2人がパドルを川に立てました。
旋回し始めます。
今度は別の2人がパドルを立ててブレーキ。
ボートを2時の方向に保ったまま減速。
5番ゲートを通過しました。
5番ゲート通過後は減速をさせながらターン。
はかったようにへさきを6番ゲート正面につけます。
流れに逆らって必死に漕ぐ4人。
全員の力でくぐり抜けました。
ゴー!ゴー!ゴー!ゴー!残りのゲートは8か所。
4人とも息を抜きません。
一秒でも速く。
漕いで!漕いで!漕いで!漕いで!漕いで!漕いで〜!OK!OK!せ〜の!全てのゲートをクリアーしてゴール。
4人が息を合わせた納得のレースでした。
優勝の行方は残るブラジルの成績次第。
結果を確かめに走る選手たち。
日本のタイムがブラジルを上回れば世界一です。
(歓声)優勝はブラジル。
その差僅か0.3秒でした。
私たちは自分たちのベストを尽くしたと思っているのでまあ相手がすごかったなというところで結構すがすがしいです。
私は…。
チームで戦うというところ…。
最後の最後は6人で意識できたんじゃないかなというところはうれしかったです。
よかったです。
華ちゃんには「来年目指しましょうよ」って今言われましたけど…。
「早くない?」っつって。
(取材者)早すぎる。
ハハハ。
(取材者)ありがとうございました。
はい。
(司会者)ジャポン!
(拍手と歓声)ラフティング女子日本代表。
最後の最後で一つになり銀メダルを獲得しました。
ともにぶつかり合って手に入れたチームワークです。
こんな場所が地球上にあるなんて…。
2014/11/20(木) 01:30〜02:15
NHK総合1・神戸
アスリートの魂「激流を越える絆 ラフティング女子日本代表」[字]

急流をゴムボートで下るラフティング。女子の日本代表は世界屈指の実力を誇る。海外のパワーに対抗するため、究極のチームワークで世界一に挑む選手たちの格闘を追う。

詳細情報
番組内容
今年10月のラフティング世界選手権で日本代表として闘うのは、徳島県吉野川を拠点にするリバーフェイス。メンバーはガイドや中学校職員など6人。近年、海外のパワーに押され惜敗続きの日本は今年、リーダーの号令なしに全員が瞬時に状況判断して激流を乗り切るという世界でもまれな戦略を打ち立てた。判断を誤れば転覆のリスクもある。“究極のチームワーク”で世界の頂点に立てるのか。葛藤と挑戦の日々を追う。語り:袴田吉彦
出演者
【語り】袴田吉彦

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – スポーツ
スポーツ – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:9322(0x246A)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: