街なかを縦横無尽に走る台車。
我々に荷物を届けてくれるありがた〜いやつだ。
その大敵が段差。
振動と衝撃が台車を襲う。
たとえ小さな段差でも繰り返し衝撃を受ければ荷物は大きなダメージを受ける。
実は衝撃に弱い精密機器や食器などは一つ一つ人の手で運んでいる。
振動ゼロの究極の台車が出来れば輸送の効率が飛躍的に向上する。
この難題に挑むのはゲルとサスペンションのスペシャリストたち!想像以上の揺れに両者大苦戦。
あ〜見るも無惨な。
なかなか厳しく跳ねますね。
見よ!イチゴが全く揺れていない。
技術者の執念だ。
(千原ジュニア)これ見せたらパクられるんちゃいますほんま。
究極の台車を作ったのはどっちだ?こんばんは!「超絶凄ワザ!」でございます。
今回は振動ゼロ対決。
荷物にかかる衝撃を限りなくゼロに近づけた究極の台車作りを目指します。
最初台車って聞いてちょっとそれ地味すぎひんと思ったんですけど。
心配させました?今見てたらこれめちゃくちゃ面白そう。
大丈夫そうですか?ねえ!今回究極の台車を作るにあたってある物を運ぶ事に挑戦して頂きます。
それがこちら!ジャ〜ン!イチゴです。
イチゴというのは果物野菜の中でも非常に傷つきやすい。
しかも軽いので運んでいる最中に跳ねるんですよね。
試しに市販の台車でイチゴを運んでみる。
段差が続く道ではこのとおり乱れ飛ぶ。
市販の台車ではとてもとても運べない。
そこで今回この台車を改造してイチゴを無傷で運ぶ事を目指してもらう。
まずは…。
岐阜県にあるエクシールコーポレーション。
従業員29人。
独自開発のゲルを軸に年商4億円を稼ぎ出す。
このゲルの実力とくとご覧あれ。
まずは衝撃。
250gの鉄球を落とす。
ほら携帯の画面には傷一つつかない。
更に振動もご覧のとおり。
衝撃も振動もこいつにはどこ吹く風だ。
台車作りのリーダーは柔軟な発想と豊富な知識で次々と新製品を開発してきた…そして花岡のアイデアを完璧な形にする…滴の重さを1万分の1g単位でコントロール。
理想の硬さのゲルを作り上げる。
ゲルであらゆる課題を解決してきた若き精鋭たちが振動ゼロに挑む!強力ウレタンゲルチームやるぞ!
(3人)オ〜!対するはこちらの方々です。
東京・板橋の住宅街に工場を構える松田技術研究所。
従業員9人。
開発力が武器だ。
主力製品はこの球体サスペンション。
なんとこの会社が世界で初めて製造した。
このサスペンションは上下左右あらゆる方向の揺れを吸収する。
こいつで一躍世界に名を知らしめた。
その技術はあの小惑星探査機はやぶさが持ち帰ったサンプルの輸送にも使われた。
会社を率いるのは人呼んで下町のエジソン…これまでに発明した製品は数百にも上る。
ブ〜ンとこれで…。
あふれ出るアイデアは言葉では表し切れない。
ポンポンポンポン!そんな松田の熱い思いを受け止め製品化するのが…世界を驚かせたサスペンションでその技術力を見せつけろ!
(9人)よいしょ!なるほど。
今日は紅一点で。
ねえいかがですか?今回。
そうですね花岡さんのアイデアを忠実に再現できるように頑張りましたので…。
いい顔してますね!さあ対します社長。
いかがですか?今回この対決。
面白そうだと。
ただ難しいなと思いました。
でもまあね言うたって下町のエジソンですから。
なあ!隣にはジブリの回し者みたいな。
違います違います。
なかなかいい対決になるんじゃないでしょうか!ゲルソルジャーズ製作開始!振動を抑えるためまずは究極にやわらかいゲルを作る事にした。
野尻が液体と固体の境界ギリギリに挑む。
ゲルが硬すぎると台車が受けた振動がそのままイチゴに伝わり跳ねてしまう。
ゲルを極めてやわらかくすれば軽いイチゴも跳ねにくいのではないかと考えたのだ。
出来はどうだ?今までにないやわらかさを実現した。
お見事!早速このゲルを台車に取り付けて試す。
発進!おやおやイチゴが跳ねまくりだ。
アルミの板の重さでゲルが潰れてしまっている。
これでは振動を吸収できない。
やわらかゲル作戦失敗。
花岡は発想をガラリと変える。
注目したのはゲルの形。
プリン型のゲルを作り出した。
ゲルは下から受けた振動を全ての面に分散させる。
花岡は運ぶ物に接する面積が大きいほど伝わる振動も大きくなると考えた。
プリン型のゲルにすれば上に伝わる振動は小さくできるのではないか。
更に花岡はプリン型ゲルを2段に重ね上下のゲルの硬さに差をつけた。
2段プリン作戦果たしてうまくいくか?作戦成功!揺れが劇的に減った!ゲルにも負けないやわらかな発想が生んだ2段プリンゲル。
凄ワザだ!一方の鉄人サス軍団まずは従来の製品を試す。
素材はステンレス。
厚さ0.3ミリのやわらかなバネ板が僅かな振動をも吸収する。
壊れやすい荷物を振動から守ってきた自慢の逸品だ。
イチゴの代わりにペットボトルを載せて試す。
あわれ揺れないどころか落下寸前じゃないか。
そこに現れたのは下町のエジソンこと社長の松田。
台車を一押ししただけでエジソンがつぶやいた。
スローで見ると確かに前輪が段差に引っ掛かる度に左右にぶれ台車が跳ね上がっている。
そこで三谷は板バネを車輪と荷台との間に挟み揺れを吸収しようと考えた。
残念。
板バネでは前輪の暴れを消せない。
行き詰まったメンバーから弱気な発言が飛び出す。
そこで自慢のサスペンションに工夫を凝らす。
車輪の上の空洞に超小型のサスペンションを詰め込み振動を抑える作戦だ。
自分たちの生命線。
これでうまくいかなかったら後がない。
見よ!車輪は暴れず荷台も安定。
震源を的確に見抜き特製サスペンションで揺れを抑えた。
凄ワザだ!
(聞き手)山本さんどうですか?イチゴを載せてみる。
う〜ん確かに赤い。
僅かな揺れが残っているのだ。
振動ゼロへの道のりはまだ遠い。
進め!すごいですね。
松田さんやっぱりあれ押してすぐ前輪やっていうのは分かりはったんですか?そうですね。
基本的には震源を少なくするって事は非常に重要な事ですね。
そうですね。
途中でサスペンションだけじゃなくってゲルも使おうかってお話も出てましたけれどね。
それやりたくないですね。
やっぱり。
まさかのここでゲル思いっきり使たらおもろかったんですけどね。
「あれ?」みたいな。
そして花岡さんが生み出したプリン型のゲル。
今日はお持ち頂きました。
下がやわらかいんですか?そうですね。
下がやわらかい。
上が硬い。
はあ〜!どうですか?感触は。
めっちゃ気持ちいいです。
へえ〜なるほどな。
両者振動ゼロを目指して最後の追い込みに入る。
この日鉄人サス軍団のもとに待ちに待ったものが届いた。
厚さ0.2ミリの特注のバネ板だ。
バネ板は厚さが僅か0.1ミリ薄くなるだけで硬さが1/3になるという。
つついた揺れでもだいぶんやわらかい。
早速極薄のバネ板で作ったサスペンションを台車に設置。
果たしてその効果は?腕が揺れている。
しかし載せた荷物はびくともしない。
揺れの値を計測するとなんと手で運ぶのと同じレベルになった。
一方のゲルソルジャーズもまだまだ満足しない。
サス軍団と同様に車輪の上の空洞を有効に使う方法を考えていた。
秘密兵器はこれ。
10段重ねのミルフィーユ型ゲルだ。
これを空洞に詰め込む。
さあどうだ?3210。
花岡のねらいは的中!ミルフィーユ型ゲルが見事前輪の暴れも抑えた。
わあ〜すごい!こちらも揺れはぐ〜んと減少。
手で運ぶのと同じレベルに。
これで勝負は分からなくなった。
一体どうなる!?野尻さんが押しましたね〜。
いっぱい押しました。
いっぱい押しましたね。
さあゲルソルジャーズの究極の台車いよいよ完成品を…。
これ完成品なんですね。
はい。
見せて頂きましょう。
お願いします。
お願いします。
すごい…。
ここにも。
あっほんまやほんまや。
これはどういった用途があるんですか?金属と台車の部品同士が当たるのが絶対嫌なのでもう全部ジョイントの所はゲルが入ってます。
これでもあんま見せたらパクられるんちゃいます?そうですね。
商品化する前ですとねちょっと。
お二人で…。
またメタリックといいますかかっこいいですね。
あ〜!すごい動く。
めちゃくちゃやわらかい!こんなやわらかいんですね。
せっかくなんでちょっと。
触らせてもらっていいですか?野尻さんも。
すごい軽い力で…。
ゲルとサス一緒に何かやった方がええんちゃうかな?両者がぶつかり合う舞台がこれだ。
高低差5ミリの段差が延々と続く凸凹道。
S字ストレートスロープ。
名付けて…台車を押すのは運送のプロ2人。
イチゴの運命やいかに!?それでは究極の台車を目指してまいりましょう。
お願いします!今スタートしました。
まずはS字です。
イチゴ全く動いていません。
うわ〜すごい!音はしますが前輪もほぼ動いていない。
まっすぐS字を進んでいきます。
うわすげえ!さあここから直線に入ります。
さあイチゴはどうか?ここでもイチゴの動きは見られないですね。
少し震えてるようにも見えますが跳び上がるような事はありません。
続いて坂道スロープにいきます。
さあいきました。
少し天板が揺れるような動きもありますがイチゴ自体にはほとんど揺れは見られません。
スロープを下ります。
さあ最後のストレート。
さあどうでしょうか?両者の台車がストレートに入りました。
もう全く動きは見られません。
ピタッと止まっています。
ゴールです!ゴールで〜す!どうもありがとうございます。
すごい!台車としていかがでしたか?押し心地っていうのは。
びっくりするほど前輪が安定してたんで運びやすかったです。
普通にず〜っとまっすぐ向いてましたもんね。
(和佐田)そうですね。
実際にイチゴの状態をちょっとのぞいてみましょうか。
いや全くですけどね。
つやつやしてますね。
肉眼ではもう全くですよ。
「おいしいイチゴを届けて頂いてありがとうございます」ですよ。
分からないという事で画像判定にまいりたいと思います。
画像判定は果物の輸送を研究している宇都宮大学のチームが行う。
イチゴについた目に見えない傷を赤外線を使って映し出す。
市販の台車で運んだイチゴご覧のとおり擦れた部分が黒く映る。
表面の80%に傷がついていた。
今回の対決…小数点第1位からめくります。
よろしいですね?それではどうぞ!何とも言われへんねこれ。
次は1つとばして十の位をめくります。
ドキドキさせるやん。
いいですか?間とばすやん。
とばさせて頂きます。
まいります。
どうぞ!…となりました。
何とも言えないですね。
何とも言えないですねこれ。
逃げたいですね。
数字が小さい方が勝ちとなります。
さあではいきましょう!それでは一の位をめくります。
お願いします。
という事でゲルソルジャーズが13.8。
サス軍団12.5。
勝者はサス軍団です!
(拍手)おめでとうございます!いや〜非常に僅差ですけれどもさあ勝因は何やと思われますか?粘り強いっていう事です。
それだけですね。
相手もほとんど考え方は変わらないですね。
それは私驚いた。
だからこの僅差になったんじゃないかと思いますね。
残念ながら敗れましたけれども花岡さん。
まあでもここまで僅差で来れたっていうところがいいとこですかね。
そうですよね。
機械を使ってるから分かるようなもので人間の目ではほとんど分からない状態ですね。
両者ともかなりいい値だと私は思います。
ちょっと込み上げるものがありますか?早く酒飲みたい。
今日は飲みますよ。
吸収しますよ今日は。
ありがとうございました。
台車対決は終わった。
しかしこの世に振動と衝撃がある限り彼らは戦い続けるのだ。
2014/12/25(木) 11:05〜11:30
NHK総合1・神戸
超絶 凄(すご)ワザ!「名勝負再び“振動ゼロ”を目指せ! 究極の台車対決」[字][再]
超絶 凄ワザ!今回のテーマは、振動ゼロの台車。夢の台車をめざして、全方位型サスペンションと変幻自在ウレタンゲルが激突!あの名勝負をギュッと凝縮してお伝えします。
詳細情報
番組内容
今回は究極の台車対決!時に台車はトラックの8万倍もの衝撃・振動がおき、都市輸送の大きな課題となっている。そこで“振動ゼロ”の夢の台車をめざす!挑むのは、独自開発のウレタンゲルで衝撃・振動吸収の業界をリードする岐阜県の会社。対するのは、世界初の全方位型サスペンションでその名を知られる東京の会社。トップレベルの技術を持つ二社も、軽い荷物を乗せた台車には大苦戦!あの名勝負をギュッと凝縮してお伝えします。
出演者
【出演】挑戦企業…松田技術研究所,エクシールコーポレーション,【司会】千原ジュニア,池田伸子,【語り】福島泰樹
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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