大阪都構想:公明党の住民投票賛成「反維新」のはずが驚き

毎日新聞 2014年12月27日 01時45分

 大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)が掲げる大阪都構想について、対立する公明党が、都構想の是非を問う住民投票の実施に賛成する方針であることが26日、分かった。一転、歩み寄りを見せた公明党。大阪維新の会と対立しながら、急な方針転換に公明内部からも疑問の声が上がった。「反維新」で連携してきた自民など他党も慌ただしく対応に追われた。

 大阪市西区の公明党府本部で26日、大阪府・市の議員団が集まった会議は荒れ模様だった。「都構想は反対だが、住民投票まで持っていく。民意をくむべきで、党本部の判断だ」。前日に維新の橋下徹代表(大阪市長)、松井一郎幹事長(大阪府知事)と会談した幹部が説明した。出席者からは「納得できない」「党幹部の国会議員が説明すべきだ」との反発が相次いだ。ある市議は「事前に知らされていなかった」と不満をあらわにした。

 清水義人・府議団幹事長は記者団に「協定書の中身は無理があり、反対の見解は変わっていない。住民投票という住民の権利を尊重することだけ、今回は決めた」と説明した。

 自民市議団も同日、対応を協議。公明側に問い合わせると「今のままの協定書は認められない」と回答されたという。柳本顕幹事長は「公明のスタンスが急変したとすれば、許されないことだ。橋下氏の衆院選の出馬騒動に絡み、裏取引があったと言われてもしかたない」と語った。

 26日夜には、公明府本部幹部と自民・公明の地方議員が集まる会合があり、自民だけでなく公明の議員も、橋下代表に方針転換を伝えた公明幹部を責め立てたという。出席した自民議員は「最終的に支持者にそっぽを向かれるのは公明だ」と突き放した。

 維新の府議団総会では、今井豊府議団幹事長が「衆院選の民意を受けて公明は判断したのではないか。一つの方向性の光が見え始めた」とほっとした様子。ただ、住民投票で過半数の賛成を得なければいけないため、「説明責任が問われ、大阪の将来像を説明しないといけない。気を引き締めて活動にまい進したい」と付け加えた。

 橋下代表は同日午後の市長記者会見で、何度も水を口にしながら質問に答えた。公明との協議の経緯について「何で秘密話を言わないといけないのか」と明言を避け、「オープンの場(法定協議会)で議論の経過を見てもらったらいい」と繰り返した。【熊谷豪、松井聡、寺岡俊、大久保昂】

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