STAP細胞:理研調査委員会の会見一問一答(2)

2014年12月26日

STAP細胞論文について、報告書の内容を発表する記者会見場に入る理化学研究所の調査委員会委員長のメンバー。右から2人目が委員長の桂勲・国立遺伝学研究所長=東京都千代田区で2014年12月26日午前10時、竹内紀臣撮影
STAP細胞論文について、報告書の内容を発表する記者会見場に入る理化学研究所の調査委員会委員長のメンバー。右から2人目が委員長の桂勲・国立遺伝学研究所長=東京都千代田区で2014年12月26日午前10時、竹内紀臣撮影

 −−ストックのES細胞株について、小保方さんはどう説明しているのか? 2005年に樹立した細胞株をどうやって入手し得たのか?

 桂 細胞株は「これは何ですか?」と小保方さんと若山さんに聞いたら、2人とも「全然知らない」ということです。それで、もしかしたら、誰かが置いたかもしれないし。もう一つの細胞株は、若山研に2010年まで滞在した人が、「若山研で作製してほとんど実験に使わなかったが、作ったことは作った」と話した。その人の話では、「若山研を出る時に持って行ったという記憶しかない」。若山さんに聞いても「その人が出てから、若山研に残っていたという記憶はない」と言っている。

 −−若山さんはただ一度、小保方さんの指導で、STAPを作ったということだが。

 桂 何人もの人がやってできなかった。それで若山さんが小保方さんから作り方を教えてもらってやったら、できた。STAP細胞以外のところで、小保方さん以外がやってできたのは、私達が調べてできたのは、若山さんだけ。

 −−報告書の30ページにある細胞塊について。この時にタイミングよくES細胞が渡されたということか?

 桂 小保方さんが2011年4月だと思うが、それから半年くらい、キメラを試してみてもできていなかった。なのに、11月くらいになって急にできるようになった。それは、一覧表のページのスライドの樹立日のFLS3とGLS1というのが、両方とも2012年の1月の終わりから2月に、なぜか分からないけれどすごく沢山できた。なぜ秋ごろからできるようになったのかを小保方さんと若山さんに聞くと、答えが二つ返ってきた。「若いマウスを使うようになったから」と「それまでは細胞をバラバラにして、引きちぎって塊にして注入したらできるようになった」と若山さんは答えた。その時に再び細胞塊をバラバラにして、注入していたらこういうことにはならなかっただろうと思う。しかし、その1点で若山さんを責めるのはかわいそうかもしれない。

 −−過失であったとしても、ここまでES細胞混入が出るのは、確率的にどう説明できるのか?

 桂 確率の計算をどうやってやるのかわかりません。教えてください。

 −−ここまで重なるのは不自然では?

 桂 報告書の13ページの下にそれを書いてある。「これだけ何回もES細胞が混入したことは、培養器具の不注意な操作による混入の可能性も考えられるが、研究者の常識としては誰かが故意に混入した疑いを拭うことができない」というふうに書いている。それで「誰かが故意に混入した疑い」ということが、ニュースの題名にでている。しかし、この部分は問題の導入部であって、結論を言っているわけではない。「研究者の常識としては」と言っているのは、「感覚」で言っているということ。証明があるということではない。委員会としては「誰が混入したか特定できない」というのが結論なんです。

 −−若山研の実験環境に問題はなかったのか。

 桂 分かりません。言いようがない。

 −−客観的に混入を防ぐような環境だったかどうかは?

 桂 論文を投稿しているときに、混入ではないかと、当然、レフェリーからくる。FLSは実は非常に厄介な細胞。若山さんが小保方さんに渡したマウスは、129/GFPのメスと、オスを掛け合わせて、それがF1。ですから、CAG−GFPのホモで入っているはずなんです。ところが論文の記載は、染色体の系統B6の方だけにCAG−GFPが入っているような記載になっています。それがどうしてそうなったかは、分かりません。若山さんが最初に渡したマウスと、論文の記載と、残存試料の調査の三つが違う。

 −−小保方さんの聞き取りは何回行ったか。

 桂 3回です。

 −−混入についての反論はあったのか。

 桂 「混入ではないと思っている」というようなトーンで終始、おっしゃっていた。

 −−何度も尋ねたか。

 桂 「混入だと思う。どう思っていますか」と。ただ、小保方さんは、絶対に混入させていないと。最後に、我々が十分な証拠あるとインタビューで言った。言ったところ、あなたは混入させことがありますかと聞く前から、小保方さんの方から「私はES細胞を混入させたことは絶対にありません」と。否認されました。

 −−報告書では誰が混入したか特定できないと記述している。「だれだれの可能性が高い」というふうに踏み込めなかったのか。例えばインキュベーター(培養器)に接する長さからとか。

 桂 インキュベーターに接する時間に比例すると思いますか? 可能性が。

 −−早い段階から、このような調査をしていれば、混入の経緯に迫ることができたのでは。笹井さんが健在のうちに調査できれば違った結果になったのでは。

 桂 我々が調査委を設置したわけでない。その点は理研に聞いてほしい。

 −−30ページ。能力と権限の限界と記載がある。任意の調査の限界か?

 桂 私が書いた。能力とは、一つは体力。かなり、ふらふらになっている。理研の規則で、(調査は)約150日以内に終了するとなっている。2年も3年も続ければ、もう少しわかったかもしれない。一方では、速く結論出せと。一般社会からのプレッシャーもあった。

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