ドクターX〜外科医・大門未知子〜 2014.11.19


(大門未知子)次腹腔動脈を剥離。
(鮎川司)はい!ちょっとどこ持ってるの!?
(鮎川)あっすいません。
(ため息)右胃動脈を早く二重結紮して。
(鮎川)はい!それ左胃動脈!こっち右胃動脈。
どこ目つけてんの?はい…。
あんた筋鉤引いてなさい。
(田中竜也)えっ?「えっ?」じゃねえだろバカ!
(田中)すいません。
大門先生落ち着いてください。
血圧110の70心拍数90。
もういい私やる。
あんたは吸引。
(仁藤裕一)すいません汗。
(看護師)はい。
なんにもしてねえのに汗かくな。
はい。
邪魔。
(仁藤)すいません。
はい早く糸切って。
メーヨーください。
ああっ!
(鮎川)あっ!
(博美)拾うな!落とした器具拾ってどうすんだバカ!
(鮎川)ああそっか…。
お前ら全員下がって立ってろ。
大正解。
メッツェン。
(看護師)はい。
まったく気楽なもんだよなフリーランスっていうのは。
ああやって切った張っただけやってりゃいいんですからね。
まあ組織論理の外にいる人間の事なんぞどうでも。
でこれの信憑性と秘密保持に関しては大丈夫なんだろうね?それにつきましては…。
抜かりありません。
こういう話をするのにもここは絶好の密室ですから。
こっちの声は外には聞こえませんし。
「そこの見学者」「見物してるんだったらこっち手伝ってよ」こいつら使えないんだから。
(博美)どうしてフリーターに研修医の研修させてるんですか?まあある程度は予想は出来ていたんだがやはり内科が弱いな。
(鶴田)海老名教授20代看護師からの支持が今ひとつですね。
(亀山)おい!
(鶴田)うわうわうわうわ…近藤の人気がバカ高い。
やっぱりルックスですかね?
(亀山)おい!まあいいじゃないですか。
近藤はただの講師ですから。
主任教授選レースには加われません。
だよな。
でその近藤はどうしたんだ?
(烏丸金男)「画期的な手術を成功させました当院の近藤からご挨拶を」近藤先生。
(蛭間重勝)その前に…。
「その前にひと言。
すいません」「わたくしは当院の外科を統括しております“ひるま”と申します。
よろしくどうぞ」「近藤くんは本当に素晴らしい事をしましたねぇ」
(蛭間)「まああの…臓器不全だったその…2人の患者さんをですね同時交換移植という画期的な術式で完治させてしまったわけですよね」「これは…これはもう大変な事ですねええ」はい。
(記者)近藤先生の発表は先日の日本消化器外科学会でも大変評判だったそうですが。
「ありがとうございます」ああそれはですね…これですね。
これ。
これこれ。
ねっ。
生体腎…。
「生体腎・小腸交換移植」
(記者)どういう発想で思いつかれたんですか?「2人のね…2人の患者さんが親戚同士っていう事がわかったわけですよね」「ですから血液型もHLA型も一致しましてそれで手術が出来たという事でしょうか。
はい」「…という事です」
(近藤六助)あっねえねえねえねえ…!あのさ待ち合いロビーがえらい混んじゃってさ。
待ってらんねえんだよ。
すいませんね。
順番は順番なんで。
おいおいそんなつれなくする事はねえだろ。
ちょっと急いでるんで。
おいおいそんな事していいのか?はい?俺誰だか知らねえのか?誰?外科の近藤忍はどこにいるんだよ?誰?いやすごい数の記者だったねぇ。
ハハッ。
近藤くん君もこれでニューヒーローだよ。
ありがとうございます。
はいどうも。
(橋本理沙)お疲れさまです。
(蛭間)はいご苦労さま。
1階お願いします。
はい。
近藤くんその後うちの娘とはデートの約束かなんかした?なかなか時間が取れなくて…。
(蛭間)ああまあそうだろうね。

(蛭間)はいどうも。
いやぁ君もさこれからもう色々と注目浴びるからね。
身辺プライベートも含めて気をつけて。
はい。
(蛭間)近藤くんは家族構成はどうなってましたっけね?母は5年前に他界しまして。
(蛭間)ああ。
父が蒲田に。
ああそう。
やはりお医者さん?いえまあ技術系と言いますか…。
ああエンジニア。
ああまあ…。
ウッソ〜!メロンセイコーの単勝はありえないでしょ〜!バカヤロウそこが素人の赤坂見附なんだよ。
いいか?あっ…こちらから参りましょう。
あっ近藤先生。
(六助)あっ!ああ〜忍忍!ちょちょちょちょ…待ちなさい。
変なおじさんだなあんた。
お父様です近藤先生の。
えっ?えっ?あっどうもどうも。
父親の六助でございます。
ああそうですか…。
私あの…当病院の外科統括部長をやってます蛭間と申します。
どうぞよろしく。
自転車屋さんなんだ実家。
自転車屋さん?はあ…はあ〜。
何しに来たんだよ?だからさお前にちょっと診てもらいたくてよ。
あのな地元の…お前内科の診断がさ納得出来ねえからさちょっとお前これ見てくれよ。
大門先生申し訳ないけど外来に案内を。
致しません。
やってあげなさいよ。
ちょっと待て。
お前まだレースの話終わってねえだろうよ。
忘れてた…。
とにかく時間ないから。
お願いします。
行きましょう。
(六助)だからこれレースはさ…。
(蛭間)お父さんごめんなさいね。
失礼しますよ。
(六助)忍!おい忍!あんたさぁせがれの弟子か?はあ!?違うから。
(六助)おいおいちょっ…ちょっと待って!まだレースの話終わってねえからよ!ああ…。
おいおいお前なレースに勝ちたかったらなこの天才馬券師の言う事をちゃんと聞け!聞け…!
これは一匹狼の女医の話である
お母さんはよっぽどの美人だったんだろうね。
いえそういうわけでは…。
でなきゃ割合わんでしょう。
大学病院の医局は弱体化し医者のヒエラルキーは崩壊
(ため息)
命のやり取りをする医療もついに弱肉強食の時代に突入した
やっぱ40代以上の人気抜群っすね海老名教授。
(鶴田)でも20代女性の人気がもう圧倒的に近藤の方が…。
だから!あっ…マダムキラーですね。
フッ…そうかな。
その危機的な医療現場の穴埋めに現れたのがフリーランスすなわち一匹狼のドクターである
もっと大網をそっちに寄せて。
(鮎川)わかりました!
例えばこの女
群れを嫌い権威を嫌い束縛を嫌い専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけが彼女の武器だ
外科医大門未知子
またの名をドクターX
ふーん…。
(鶴田)しかし近藤すごいなぁ。
ひっきりなしに取材が来てるみたいで。
論文一発で時の人か。
時の人ったって医学界の中だけだろ。
ノーベル賞取ったわけでもないのに騒ぎすぎなんだよ。
(鶴田・亀山)ですよねぇ。
なんだ?なんだよ?12時!お昼行ってきます。
あいつは食う事と切る事しか興味ないのかよ!どうもすいません海老名教授。
色々あってオペのスケジュールが…。
いいんだいいんだよ。
君の活躍は応援してるよ。
ありがとうございます。
ああ聞いたよ。
なんか君んち自転車屋さんなんだってね。
…はい。
今度かみさんと息子の自転車直してもらおうかな。
俺のチャリもパンクしてるんだよね。
あのオンボロ?
(鶴田)いえ…そんな事ないです。
(亀山の笑い声)先ほどは失礼しました。
ヘモグロビン値が少し低くて軽い貧血症状を起こしてる。
えっ?お父さん。
ああ…ただの肝炎ですから。
肝硬変までには進んでないみたいだけど軽度の脾腫も認められる。
ヘモグロビン値は気にするほどじゃないですよ。
本人にも言っといたんだけどな…。
酒は控えろって。
何か?嫌いなんだ?お父さんの事。
いいえ別に。
親子なのに感じ全然違うし。
まあ反面教師にしてる部分はねあります。
へえ〜。
趣味の延長みたいな仕事して近所の子供の自転車のパンク修理頼まれもしないのにタダでやってやったり…。
毎日毎日酒ばっかり飲んで賭け事ばっかりやって…。
僕は出来るだけあの人から遠い職業に就きたかったっていうか…。
フフッ…医者だって同じ客商売じゃん。
親父の口癖なんだと思います?ん?その日生きてりゃそれでよし。
ハハッ…ハハハ!
(強く置く音)若い頃から上昇志向ってもんがまるでない。
人生を無駄に生きてる人間の典型です。
楽しそうじゃん。
うん。
(PHS)はい。
はいすぐに伺います。
失礼します。
とにかく親父の事は忘れてください。
無駄にすんなよ〜。
フフッ。
随分ご活躍のようねぇ。
近藤先生。
パリにはご同行出来ず申し訳ありませんでした。
つまんない旅だったわ。
はあ…。
でもね大きな収穫があったわ。
そうですか。
どのような?まあそのうちにね。

(一代)街の色がパリと全然違うわ。
さぞかし馬淵先生はパリの街並みがお似合いでしょう。
戻ってこなきゃよかったとでも?とんでもない!記者会見テレビで見たわ。
大したものねぇ。
恐れ入ります。
あなた最近蛭間教授にベッタリねぇ。
いえそういうわけでは。
では失礼致します。
あなた…。
また一段といい顔になってきたわ。
ありがとうございます。
「その日生きてりゃそれでよし」か。
そうよね。
わかりますか?大方の医者もさ似たような事考えてない?
(東村純一郎)そう?患者に対して。
(東村)フフッハハハハ…!ウケる。
リーチ!ヘヘヘヘヘ!リーチだリーチだ!来院時現症血圧116の75脈拍数100。
おい弟子早く。
弟子じゃない。
(神原)呼吸数は?18。
(東村)正常だね。
セーフ。
眼瞼結膜軽度の貧血あり。
えっ?
(川北比呂志)胸部痛。
胸部に異常を認めない。
ただ左側腹部に軽度の圧痛を認める。
なんの話ですか〜?腸雑音。
セーフ。
腸雑音は減弱。
(神原)血液検査。
ヘモグロビン値8.9。
軽度の貧血。
問題はそこね。
(六助)ちょっと…早く。
軽度の脾腫も認める。
脈拍数も多い…。
ヘモグロビン値低下脈拍数増加出血…。
早くしてよ早く!おじさん最近さおなか強く打たなかった?なんだよ急に…。
どうなのよ?いやいやいや…ん…?お?そういや2〜3週間前にあの…階段からすっ転んで脇腹打ったかなぁ。
それマジで?
(六助)うん。
あっ!ロ〜ン!メンタンピン三色ドラドラ!美しいったらありゃしねえ!こんなもん普通切るか?切る事になるかも。
切ったのはこいつです。
行こう。
はい?病院。
なんでよ!?
(川北・東村・神原)病院!なんでよ!?「具体的な術式と致しましては…」ああ…寄っちゃうんだよ…。
「まず腎不全の患者の腎臓を取り出し…」
(蛭間)ああ…なんで寄っちゃうの?近藤先生テレビ映りもいいわねぇ。
(蛭間裕華子)本当。
ありがとうございます。
(華子)なんかあなたちっとも映ってないわねぇ。
端っこでチョロチョロと。
(蛭間)だってさこれは近藤くんの記者会見なわけだしさ。
映ろうが映るまいがそんなの関係ないんだよ。
(華子)そう?そうよ!何言ってんだよ…。
いや〜素晴らしい記者会見でした〜。
(拍手)ああそうだ近藤くん。
はい。
急なんだけど明日オペ頼めるかい?…はい。
民自党片岡幹事長のお兄様なんだけれども。
えっ?うん…インスリノーマなんだよ。
ああ…。
まあこういうタイミングで特患の手術をやっとくのも君にとってはいい事なんじゃないかな〜と思ってさ。
ハハッ。
ありがとうございます。
まあ教授にもね推薦しやすくなるしさ。
きょ…教授!?私がですか!?へえ〜近藤先生教授になるんだ!すごい特進ねぇ!どうやら君は本当強運の持ち主だねぇ。
だってなぁこの我が家のこの席に座ってる事ひとつ取ってもだよ。
だって海老名くんなんかさもう付き合い長いけど一度もここに呼んだ事ないんだから。
ハハハハ…!光栄です。
じゃあ82年もののオーパスワン開けましょう。
(蛭間)82年はやめなさいよ。
ねえあなたやめなさいって。
(携帯電話)
(蛭間)電話?病院から…。
(蛭間)病院から?急患だったら他の者にやらせろよ。
失礼します。
(蛭間)うん。
はい。
「遅発性脾破裂の可能性がある」えっ?お父さんだよ。
まさか…。
肝炎が進行しただけでしょ。
2〜3週間前に階段から落ちて脇腹を強打したらしい。
えっ?ヘモグロビン値が低いのは肝炎のせいだけじゃない可能性がある。
脾損傷ですかね。
明らかな破裂の所見は認めないですよね。
脾臓内部に血液の塊が写ってるでしょ。
ここから起こす可能性がある。
もしもし聞いてるの?とにかく入院はさせるから。
少なくとも現段階では破裂してないんでしょ?悪いけど今議論してる暇ありませんから。
切りますよ。
あの…!破裂してからじゃ遅いの!
(受話器を置く音)
(ため息)女の人の声。
女じゃないですからあれは。
いいねぇ。
職人だねぇ!っていうかあんた入院患者なんだから病室戻んなさい。
(六助)ハハハハ…。
へえへえ。
本当に近藤先生のお父様なんですか?そうよ。
(六助)何を間違ったかねぇトンビがタカを生んじまったみたいで。
おっ。
もうすぐ直りますからね〜。
助かります〜お父様。
もう業者さん呼ばなくっちゃって思ってたんですよ。
業者なんであとで1000円お願いしますね。
ハハハ!ああそういえば前に私自転車の…これなんていうの?ああスポーク?そうそれが2本ぐらい取れちゃってたけど普通に乗ってたなぁ。
ダメだなそれ。
部品っていうものはな…どんなものでもそれぞれ意味があって存在してるんだよ。
意味のない部品なんかひとつもないんだぞ。
はい。
物は大事にしないとな。
壊れたらすぐ修理する。
わかったか?せがれのお弟子さん。
弟子じゃないよ。
弟子のくせして。
弟子じゃないの!弟子だろうがよ。
早く部屋戻れ!へい。
(板井茂)臨時術前カンファレンスを始めます。
患者さんは70歳男性片岡仙吉郎さん。
単発性のインスリノーマの診断です。
(烏丸)えー…このお方は蛭間統括部長の最優先の特患でございまして執刀は…近藤先生にお願い致します。
はい。
片岡幹事長のお兄さんのオペを近藤先生が?急遽統括部長から申し渡されまして。
術式は腹腔鏡下膵腫瘍核出術。
オペはこのあと11時から行います。
なんで蛭間部長は近藤を指名したんだ?膵臓疾患は海老名教授の専門分野なのに。
わからんのか?お前ら。
蛭間統括部長の計らいなんだよ。
まあこれから主任教授選で何かと忙しくなる私の負担をだな出来るだけ軽くしてやろうっていうなんていうか…親心だろう。
(2人)ああ〜親心…。
まだまだだなお前らもな。
あっえー…それから海老名教授には助手に入って頂きます。
…助手?ええ。
統括部長の方から。
なあ?はい。
そのように。
御意。
ちょっと待った!こんな事よりもっと急を要する患者さんがいるのに。
(烏丸)こんな事とは無礼でしょあなた!近藤先生のお父さん脾臓の手術が必要です。
(ため息)大門先生申し上げた…。
脾臓内血腫を伴う

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