(最終回)鴨、京都へ行く。−老舗旅館の女将日記− #11【松下奈緒 椎名桔平】 2014.11.19


す。
(立花)経済産業省の立花と申します。
(隅田)観光庁の隅田です。
(結城)京都観光協会の結城と申します。
(鈴風)よろしゅうお願いします。
(結城)では京都市観光推進戦略の…。
(鴨)この方々は?
(衣川)ローシャンの富裕層向けプランに興味を持ってくださった方々ですよ。
(高瀬)政府の掲げる成長戦略とわれわれの目指すところが見事に一致しましてね。
まさにクールジャパンですよ。
(鈴風)女将をしていて日々感じてました。
日本人のお客さまはホンマに観光がお上手やおへん。
金閣寺や清水寺を回っては写真撮って帰らはるだけ。
その点海外のお客さまは京都でしかできひん特別な体験をしようとしてくれはります。
そういった方々にホンマのおもてなしを提供したい。
京都を感じていただきたい。
それがうちの思いです。
9月からこちらの上羽やさんと力を合わせて皆さまの大切なお客さまをおもてなしさせていただきます。
(高瀬)なかなかいい挨拶でした。

(鴨)鈴風さん。
(鴨)どういうつもりですか?
(鈴風)何がえ?上羽やの貸し切り契約の件に関してはまだ返事をしてないはずですよね?
(鈴風)そやけど上羽やさんは断る権利あらへんし。
(高瀬)上羽やの債権はわれわれワイズコンサルティングが所有しています。
このたびその債権を梅垣屋さんに買い取っていただけることになりましてね。
来月から上羽やのオーナーは鈴風さんです。
(鈴風)上羽やさんは7月いっぱいでいったん閉めてもらいます。
えっ!?
(鈴風)ほんでリノベーションした後梅垣屋別館として営業してもらうことになります。
梅垣屋別館って。
(寺石)梅垣屋別館やて?
(紗江)217年続いた上羽やがなくなるいうことですか?
(矢沢)ウェーバー伯爵もウメーガー伯爵になるいうことですか?
(八木)そんなんどうでもええやろ。
(寺石)そんな大事なこと何で相談してくれへんかったんや?これは上羽やにとって前向きなお話なんです。
(寺石)どういうことや?富裕層向けプランが実現すれば客単価が上がります。
母が。
母が理想としていた最高級のおもてなしをすることができるんです。
(紗江)女将は名前が変わってもええんですか?名前が変わろうがここにいる人たちは変わりません。
今までと変わらない接客をすれば上羽やのおもてなしは続いていきます。
私はそちらの方が大事だと思っています。
ただ立て直すと大口をたたいていながらこのような結果になってしまったのは私の責任です。
本当に申し訳ありませんでした。
(京介)そっか。
鴨もついに加茂鴨になる覚悟ができたっちゅうわけや。
はあ?
(京介)女将辞めて俺の嫁になるんやろ。
女将は辞めません。
百歩譲って辞めたとしても京介の奥さんにはならないから。
(京介)強がりなはんな。
強がってません。
だいたいね京介はやり方がずるいのよ。
私がちょっと弱ってると思ってそこに付け込もうとしてるんでしょ。
(京介)ハハッ。
そもそも今回のことぐらいで私はへこみませんから。
今までどれだけの窮地に立たされてきたと思ってんのよ?上羽やの名前が変わったくらいで私は女将を投げ出したりなんかするような人間じゃないから。
(京介)よかった。
えっ?
(京介)それでこそ鴨や。
ハハハ。
(高瀬)ずっと君のことをうたぐってたんだ。
法被が似合うようになって上羽やは手放さないとでも言いだすんじゃないかと思った。
私はワイズに雇われている人間です。
ワイズに1円でも多くの利益をもたらす道を選びます。
(高瀬)となると問題は上羽やを買収しようとしているブリストンだな。
心配には及びません。
ブリストンを納得させる方法ならこちらに。

(高瀬)やはりこの件は君に任せて正解だった。
衣川周平。
お主もワルよのう。
(笑い声)
(矢沢)仲代先生お着きです。
(石原)お越しやす。
お越しやす。
(紗江)お越しやす。
(仲代)女将。
この間は色々と迷惑を掛けた。
いえ。
お気になさらないでください。
今日はどうなさいますか?いつもどおり頼むよ。
(鴨・紗江)かしこまりました。
(仲代)聞いたよ。
上羽やの看板下ろすんだってね?そうか。
45年前祖父に連れられて初めて上羽やに来た。
中学生だった。
そのときもこの賀茂茄子の揚げ煮を食べたことを覚えてる。
先々代の板長は揚げてそのままだしで炊いていた。
そして先代の板長は鶏の皮と一緒に炊いてコクを持たせた。
そして干しエビと一緒に炊いてうま味を加えたのが今の板長ヒデさんだ。
伝統を守りながら上羽やは変わり続けてきた。
建物を改装して仲居さんたちが代替わりしていった。
それでもここはずっと上羽やだった。
建物や名前が変わったぐらいで上羽やのもてなしは変わらない。
そうだろ?はい。
なら私はここに通い続けるよ。
ハハハ!最高だ。
ハハハ!これは?上羽やの名前がなくなる前に上羽やとしてお迎えしたい方々がいはります。
(石原)峰岸さまお着きです。
(峰岸)失礼します。
ようお越しくださいました。
峰岸さま。
(鞠子)お越しやす。
(峰岸)やめてください。
鼓太郎さんと呼んでください。
春子さんもそう呼んでくれてます。
(春子)はい。
(峰岸)あっ。
これ。
(石原)ああ。
そのままで結構です。
(峰岸)いやいや。
(石原)今日はお客さまですから。
(峰岸)構へん構へん。
(石原)お越しやす。
鈴風さん。
今日はどうなさったんですか?
(鈴風)こちらはローシャンのマダムベルラン。
マダムはあしたフランス大使館とミシェル・ランダンの合同パーティーにご出席されて大々的に富裕層プランを発表されることになってます。
その前に一遍上羽やを見ときたいそうで。
はい。
ご用意いたします。
醍醐の間お願いします。
あっはい。
葛川さまお着きです。
お越しやす。
葛川さま。
(鞠子)お越しやす。
(葛川)ホンマありがたいなぁ。
上羽やにタダで泊まれるなんて。
ああ。
(葛川)もしかしてあんた先代の娘?あっ。
上羽鴨と申します。
(葛川)立って。
立って。
あっはい。
(葛川)もう先代を超えとる。
えっ?
(葛川)先代女将よりいいケツしとるわ。
ちょっと。
(葛川)丸い。
丸い。
(紗江)こちらです。
(石原)お越しやす。
お越しやす。
(鞠子)お待ちしてました。
溝口さま中原さま新条さま。
(溝口)覚えてくださってるんですか?私たちのこと。
(鞠子)20年前ご予約いただきましたよね?
(中原)すごい。
(ベルラン)んっ。
これは炭野屋の抹茶ですね。
後味が爽やかでとっても飲みやすいです。
メ…メルシーボク。
紗江さん。
(紗江)はい。
後で仲居の皆さんにここへ来てくれはるよう言うてくれはりますか?これからのことでお話ししておきたいことがあるし。
かしこまりました。
女将さん亡くなられたんですか?3カ月前に亡くなりました。
(溝口)それは残念です。
大変お世話になったので。
(鞠子)ごゆっくり。
失礼いたします。
(新条)ねえ?この部屋前に来たときとだいぶ雰囲気違うよね?
(中原)こんな感じだったでしょ。
だって私そこのふすまの絵覚えてるもん。
(溝口)そうだ。
あのう。
ちょっとお願いがあるんですけど。
(春子)くず切り食べたい。
(峰岸)昔から好きやったもんな。
(春子)うん。
(峰岸)くず切りな。
ああ女将。
ちょっと春子さん。
京都案内してきますわ。
まあお気を付けて。
いってらっしゃいませ。
(峰岸)倉田さん。
(倉田)いってらっしゃいませ。
(峰岸)女将。
そのシャベルどないしますの?ああ。
これお客さまに頼まれたんです。
以前お泊まりになった際お庭にタイムカプセル埋めていかれたそうでそれを今から掘り起こすんですって。
(春子)すてきですね。
(峰岸)あっ女将。
はい。
それどちらのお部屋です?白河の間です。
(峰岸)えっ!?
(ベルラン)本当に素晴らしいお料理でした。
板場の皆さんにぜひ感想をお伝えしたくて。
(寺石)おおきに。
ありがとうございます。
(鈴風)板長の腕前は京都一やいう噂はホンマやったんやね。
(寺石)いえいえ。
そんな。
今少しだけお時間ありますやろか?今後のお話をさせてもらおう思いまして。
(寺石)へい。
(紗江)ヒデさんらも鈴風さんのお部屋に?
(大塚)あの人ホンマに頭のキレる人やなぁ。
それでいて品もあるしうちの女将とはえらい違いや。
(玉山)あの人が仕切っていかはったら上羽やも安泰ですよね。
(鶴田)ですよね。
上羽ややのうて梅垣屋別館やけどね。
(新条)この辺だったっけ?
(中原)もうちょっと灯籠の近く。
(溝口)えっ?
(新条)んっ!んっ!
(溝口)硬いね。
(新条)全然硬いよ。
(中原)交代交代。
力出な過ぎ。
お料理にもおもてなしにも大変感動いたしました。
やはり上羽やは格が違います。
ありがとうございます。
ただもったいないのはお客さまですね。
本物のサービスを提供していても受ける側がそれを理解できなければ何の意味もありません。
(鈴風)そのことやったらご心配いりません。
これからはお客さまもうちが責任持ってお選びさしてもらいますので。
(フランス語)
(鈴風)マダムベルランのことくれぐれもよろしゅうお願いしますね。
かしこまりました。
ほなあした午後1時に。
えっ?何でしょう?フランス大使館とミシェル・ランダンのパーティーに出席してもらいます。
そこで梅垣屋別館について正式に発表しますんで。
頼みましたえ。
あっ。
春子さん。
ここ梅垣屋別館になってしまうんですか?あっ。
このことは峰岸さんには秘密に。
こんな話聞いたらくつろぐどころじゃなくなってしまいますから。
ああ。
分かりました。
あっ。
あのう焼酎のボトルはどこですか?焼酎お持ちいたしました。
(峰岸)おはよう!
(峰岸・葛川)『ボンバー体操』の時間です。
(葛川)これ。
面白いこれ。
やろうよ一緒に。
(峰岸)女将に教えてもろたんです。
(葛川)そうなの!?両手を大きく広げて。
(葛川)ぐるぐる!うーん!近い近い。
(葛川)ぐるぐる!丸い丸い!
(鞠子)ああ!?もう。
『ボンバー体操』を汚さないでくださいよ。
(鞠子)この程度で済んでよかったやないですか。
えっ?
(鞠子)葛川さま酔うてお庭におしっこしたこともありますから。
えっ?でも何でそんな方をご招待したんですか?母も手を焼いていたと聞いてます。
(鞠子)そんなことありません。
葛川さまのお世話されてる女将さんホンマ楽しそうでしたさかい。
私もここまでくつろがれてる方他に知りません。
(鞠子)ああ!?葛川さま。
そちらと違います。
あっ。
こちらです。
(葛川)うん?うん。
葛川さまにはご家族がいはりません。
ずっとワンマン経営でやってこられて会社にも心を許せる人間がいいひん。
そうおっしゃることもありました。
葛川さまが上羽やに通ってくださるのはここを自分の家のように思てそこで働く私らを家族のように思てくれてはるさかいそやからこそ平気でわがままが言えるんです。
旅館で働く者にとってこれほどうれしいことはありません。

(トイレの水を流す音)
(葛川)ああー。
セーフ。
(鞠子)おかえりなさい。
(葛川)ありがと。
おやすみ。
(鞠子)ああ!?
(峰岸)ああ!?ああ。
あかんあかん。
そこを掘ったらあきません。
蛤御門。
長州藩。
鼓太郎。
何隠してる?
(溝口)これ宿泊代です。
ああいえ。
今回は私どもの方で。
(溝口)そうはいきません。
20年前の分も入ってますから。
20年前?
(溝口)当時の私たちは北海道の小さな町の高校生でした。
(中原)修学旅行でこちらの上羽やさんにお世話になったんです。
修学旅行で?
(新条)ええ。
それが色々訳ありで。
(小出)《私のミスであのう》
(小出)《上田屋と上羽やを間違えていました》
(新条)《やっぱりここ高級旅館だったんだ》
(中原)《おかしいと思ったんだよ。
ご飯すごい豪華だし》《あのう今ご用意できるのはこちらで》《あのう残りは帰ってすぐにお送りいたします》
(薫)《今日はホンマにええ観光日和やわ》《修学旅行楽しんできてください》
(小出)《えっ?あのうお代は?》《出世払いにしましょ》
(溝口)《えっ!?》《その代わり京都のことぎょうさん学んできてください》母がそんなことを。
(溝口)うん。
ああ。
これありました。
タイムカプセル見つかったんですか?
(新条)出世払いできるように目標書いといたんですよ。
(溝口)あのときの約束果たせてるかな?私たち。
(中原)あんたはいいでしょうよ。
(新条)そうだよ。
(溝口)2人だって夢かなえたじゃないの。
あのう。
これは?
(溝口)ああ。
そのとき女将さんが描いてくれた観光地図です。
(新条)今日もこちらを回ろうと思ってます。
本当は女将さんと一緒に回るって約束してたんですけどね。
あのう。
私もご一緒していいですか?
(中原)やっぱすごいね。
(新条)ねえ。
(溝口)女将さん。
こうもおっしゃってました。
ただ見学するのではなくその場に30分じっとしていてほしいって。
私子供のころここに来たことある。
(鴨)《お母さん。
怖いし帰ろう》
(薫)《どうもあらへん》
(溝口)定慶作六観音菩薩像。
いいお顔。
(溝口)この庭誰が造ったんだっけ?
(新条)小堀遠州さん。
こんなに広い敷地に何も置かないって勇気がすごいよね。
(中原)来る人の萬世を寿ぐ祝儀の庭。
私にはできない発想だな。
(溝口)この静けさも計算されてたのかな?
(中原)やるなぁ。
昔の日本人も。
(溝口)不思議ですね。
京都のお寺も美術品もこの上羽やも変わらずそこにあるのに以前来たときとまるで印象が違う。
それはきっと私たちが変わったから。
(新条)この次はさらに上羽やの魅力を見つけられるような気がします。
(溝口)お世話になりました。
(新条)どうも。
(中原)シーユー。
(溝口)何それ?衣川さん。
すごい方々がお泊まりやったんですね。
うん?一番右側にいらっしゃるのが去年夏木賞をお取りになった小説家の溝口栞さん。
で真ん中にいらっしゃるのがパリコレにも出品しているデザイナーの中原真澄さん。
でそのお隣が声優界で超売れっ子の新条あずささん。
えっ!?ちょっ。
そんなんも知らんで接客してたんですか?そんな嫌みを言いに来たんですか?パーティーのお迎えに参りました。
お待ちください。
お見送りが残ってますから。
はいはい。
(葛川)女将。
世話になったな。
葛川さま。
ありがとうございました。
(鞠子)おおきに。
見送りはいらん。
また来るで。
(紗江)あのう女将。
これ。
うん?
(紗江)葛川さまからお預かりしました宿泊代です。
えっ!?
(紗江)最初手渡されたのはこんな分厚い封筒でした。
もちろんご宿泊の分以外はお返ししましたけど。
それほど上羽やのことを大事に思てくれてはるいうことでしょ。
あの人アレクサンダー・マクベスの代表?あちら草柳流の家元ですよ。
いやぁ。
信じられませんね。
今後はこんなセレブたちが上羽やへ。
いや。
梅垣屋別館へお越しになるとは。
(司会)皆さま本日はミシェル・ランダン・ミーツ京都。
キックオフパーティーにお越しくださいまして誠にありがとうございます。
そして梅垣鈴風さんのご尽力によりまして今まで一度も公開されたことのない京都万全院の月次公事屏風を皆さまにご披露いたします。
(隅田)万全院の屏風だと?
(立花)梅垣屋の女将さん力あるよね。
(ベルラン)日本の観光庁とローシャンが手を組むことになりました。
日本の文化を世界の方々に見ていただくために私たちも協力していきたいと思います。
さて皆さんに今日最初のプレゼントです。
シルブプレ。
いいかげん決心してください。
いやぁ。
でもあかん。
鼓太郎さん。
いつやるんですか?今でしょ!京都の中でも最も歴史ある老舗旅館上羽やが梅垣屋別館として皆さまをおもてなしさせていただきます。
(鈴風)ここで梅垣屋別館の女将から一言ご挨拶させていただきます。
上羽鴨と申します。
このたび梅垣屋別館の女将を…。
鴨さん。
私は老舗旅館の一人娘として生まれました。
私は京都という街が嫌いでした。
伝統に重んじる上羽や。
そこで働く母のことが嫌いでした。
そんな私が上羽やの女将になりました。
そこにはたくさんの衝突がありました。
お客さまにもたくさんのご迷惑をお掛けしました。
でもそれでも訪れたお客さまは笑顔で必ず「また来ます」そう言ってくださいました。
もちろんそれは私の力ではありません。
そこには上羽やと共に歩んできたスタッフがいてそしてそれを支えてくださる京都の人々がいて。
母とそして代々女将が積み重ねてきた伝統があったからです。
私は何度も救われました。
大嫌いだった上羽やに。
そんな上羽やだからこそ愛してくださるお客さまがたくさんいらっしゃいました。
そんなお客さまの思いに優劣をつけるなんてそんな権利は旅館の側にはないと私は思います。
だから申し訳ありません。
今回のお話には私は協力できません。
もちろん皆さんにご予約いただき上羽やにお越しの際は最大限のおもてなしをさせていただきます。
お客さま一人一人のお気持ちを大切にする。
それが私の。
母の。
そして代々女将が受け継いできた上羽やなんです。

(拍手)
(鈴風)ご立派なスピーチやったなぁ。
申し訳ありませんでした。
でも鈴風さんいつかおっしゃってくださいましたよね。
「和して同ぜずや」って。
富裕層向けプランは時代に合った素晴らしい試みだと思います。
でもそれでも私は上羽やだけにしかできないおもてなしを受け継いでいきたいんです。
思い上がんのもええかげんにしいや。
たった3カ月女将をやっただけの人間が偉そうに。
あんたが上羽やに戻ってきたときからずっと気に入らんかったんや。
すっかり女将気分みたいやけどその着物かてひとつも似合うてへんし京都を飛び出して京都の作法一つ分からん人間が上羽やの女将やなんて務まるわけあらへん。
あんたは上羽やには邪魔な存在や。
うちが欲しいのは上羽やと一流のもてなしのできる従業員だけ。
梅垣屋別館はうちと従業員の皆さんで続けていきます。
すでに条件などの話は済ませました。
あなただけが出ていってくれたらそれでええんです。
(八木)どうするつもりですか?大塚さん。
(大塚)はい。
優梨愛。
(柴田)はい。
(紗江)鶴田さん。
(鶴田)はい。
(寺石)やるしかないやろ。
(八木)えっ?私らも揃いました。
(寺石)行こか。
(一同)はい。

(薫)《あんたには絶対無理やわ》・
(石原)ほれ矢沢。
早行くで。
ああ女将。
(矢沢・石原)おかえりやす。
ただいま。
(ざわめき)何やってるんですか?
(紗江)女将。
お帰りやったんですか?穴掘ってるんです。
穴?どうして?
(春子)上羽やには長州藩の軍資金が埋められてるんです。
(峰岸)えー。
1864年。
蛤御門の変のときです。
幕府の軍に敗れた長州の兵隊さんを上羽やでかくまったことがありました。
そのときに軍資金をここへ隠していかはったそうです。
(春子)そして彼らに何かあったときは上羽やで使うてええと言い残していったそうです。
(鞠子)そんな話私は初めて聞きましたけど。
すんまへん鞠子さん。
これは番頭の役目を仰せ付かった者だけが代々語り継いでいく重要な重要な秘密やったんです。
(春子)皆さん。
みんなでお宝を掘り当てましょう。
私かてまた上羽やに来たいんです。
(紗江)私は女将と上羽やで働きたいんです。
(大塚)女将と一緒に上羽やで働きたいんです。
(八木)女将の上羽やで働きたいんです。
(寺石)鞠子さん。
電話お願いします。
(鞠子)はい。
(八木)よっしゃ!掘るで。
(一同)おう!えー。
お取り込み中すいません。
(峰岸)あっ。
衣川支配人。
女将にちょっとお話が。
(鈴風)分かりました。
そうですか。
(鈴風)ハァ。
(鈴風)上羽やの皆さんここへは来られへんそうです。
(高瀬)鈴風さん。
ちょっとご相談が。
(鈴風)へえ。
いやぁ。
鴨さん。
あんたはホンマとんでもないアホですね。
何がですか?あのまま財務省にいたら一生安泰やったのに。
余計なお世話です。
軽い気持ちで旅館の女将になって従業員たちにそっぽ向かれて仲居たちにこき使われて…。
今まで下げたことのない頭を何回も下げて。
プロポーズまで断ったんですって?たっかいプライドもぼきぼきにへし折られてようやく女将らしゅうなってきたとこやったのにね。
今それをまた全部失おうとしてるんですから。
ホンマカモがネギしょっておだしに飛び込んできた揚げ句にぐつぐつ煮込まれて七味唐辛子をぶっかけられて京都人にぺろりと召し上がられたってとこですかね。
皮肉は結構です。
本題に入ってください。
はい。
ではこちらを。
ただ私はそんなかも鍋が大好きでした。
もう一度私を上羽やで雇ってもらえませんか?えっ?実はワイズコンサルティングを首になりまして。
衣川は首にしました。
(鈴風)えっ?
(高瀬)彼が首を差し出す代わりに置いていったのがこれです。
(高瀬)上羽やの債権はわれわれワイズが持ち続けることにしました。
(鈴風)どういうことですやろ?嵐山の老舗旅館水戸やさんが廃業になったんご存じですか?ええ。
総面積2万平方mを誇る土地。
明治8年創業の歴史のある建物。
梅垣屋別館はそちらで営業してもらうことにしました。
えっ?
(高瀬)上羽やを大金で買うよりも広大な敷地で鈴風さんの思いどおりの梅垣屋別館をやられた方が得るものが多いと衣川も申しておりました。
(鈴風)あなたもそれで納得しはったんですか?
(高瀬)ええ。
それは梅垣屋さんにとってもわれわれワイズにとっても利益の多い話ですからね。
ハハハ。
揃いも揃って。
アホな人らや。
私ね支配人として働かしてもうてよう分かったんですよ。
この上羽やにはまだまだ価値のある財産が眠ってます。
上羽やで働く人たち。
そこに関わる業者の皆さん。
そしてこの上羽やを愛してくれるお客さまたちのことです。
ここにはそんなお宝がごろごろ転がってます。
大それたことを言うつもりはありませんが私が上羽やの人間になった暁には10年でワイズへの借金ちゃらにしてみせます。
ちゃらです。
衣川さん。
採用。
あっ。
よかった。
よろしくお願いいたします。
こちらこそよろしくお願いします。
頑張ります。
皆さん。
よろしゅうお頼申します。
(一同)はい。
女将。
鞠子さん。
大塚さん。
(春子)はあー。
(峰岸)堪忍な春子さん。
こんな新婚旅行になってしもうて。
(春子)楽しいやないの。
そうや。
これが初めての共同作業やね。
何やこれでやっとホンマの夫婦になれた気がするわ。
(春子)さあ。
えい。
あっ。
(当たる音)鼓太郎さん。
見損のうたえ。
冷静な司令塔やった衣川先輩とは思えへんわ。
私はいつでも冷静です。
感情に流されてたんはリンリンの方と違うやろか。
リンリンは嫉妬してたんと違うか?上羽やとあの女将に。
言うたやろ?京女の拳当たったら痛いえ。
振られたんは2遍目やな。
衣川先輩。
お越しやす。
(京介)毎度。
支配人。
ほら見てみぃ。
ここが京都一の老舗旅館上羽やや。
(男性たち)すげえな。
いいね。
(京介)そやろ?
(八木)おっ。
今日のシマアジいかってますね。
包丁の切れ味もええし。
ちょっと僕にもやらしてください。
(寺石)おう。
やってみぃ。
(八木)ホンマですか!?
(寺石)あかんやん。
あかんやん。
どけ。
どけ。
お前には10年と2カ月早いわ。
お越しやす。
(一同)お越しやす。
(京介)おう。
世話なるで女将。
お待ちしておりました。
加茂さま。
(京介)ハハハ。
ほら行こう行こう行こう…。
ほら。
お前ら見てみぃ。
これこれこれ。
この屏風これがええわ。
これが上羽ややねんな。
ええわ。
おいおいおい。
お前ら見てみぃ。
おい川島川島。
このヒマワリ奇麗わ。
もう。
これが上羽ややねんな。
ええわ。
おい。
ちょっとお前ら見てみぃ。
この箱。
この…。
鴨。
この箱何?
(鞠子)加茂さま。
どうぞ。
(京介)あっはい。
(石原)ダルビッシュさまお着きです。
えっ?えっ!
(醍醐)《あなたに勝った人間がいるとすればそれは私ではない》2014/11/19(水) 14:57〜15:53
関西テレビ1
[終]鴨、京都へ行く。−老舗旅館の女将日記− #11[再][字]【松下奈緒 椎名桔平】

さらば女将!最後に待っていた女同士の仁義なき抗争!これに負けたら全てが終わる…悩みの森の果てに見えたのは人々の優しさかそれとも—心に届く上羽やの宝物!

詳細情報
番組内容
 峰岸鼓太郎(笹野高史)が春子(松坂慶子)と結婚、「上羽や」で披露宴を開き、おめでたい空気の中、衣川周平(椎名桔平)は梅垣鈴風(若村麻由美)とともに上羽鴨(松下奈緒)の元から去って行った。
 鈴風は、海外の富裕層客相手に、京都で特別な体験ができるプランを提供するとともに、海外旅行企業と貸し切り契約を交わし、高い単価で海外セレブを泊める計画を進めていた。すでに鈴風は「上羽や」の債権を買い取っており、
番組内容2
鴨が断る選択肢はないという。「上羽や」は一旦閉めて従業員はそのままに、「梅垣屋別館」として営業するという。
 鴨は塩見鞠子(かたせ梨乃)に意見を求めるが、鞠子は女将の思う通りにすればいいと告げる。
 鴨は従業員を集めて「梅垣屋別館」になることを伝える。動揺する従業員たちに立て直しできなかったことを素直に謝る鴨。
 事情を知った仲代公吉(松平健)が「上羽や」に来た。鞠子は鴨に旅館の名前が変わる前に
番組内容3
迎えたい顧客リストを渡した。
 招待日になり、新婚旅行も兼ねた峰岸と春子がやってきた。そこへ、鈴風がともに富裕層プランを進めているアントワーヌ・ベルラン(ジュリー・ドレフュス)を連れて「上羽や」の下見に来た。さらに貿易会社社長の葛川克也(宇梶剛士)や、20年前に宿泊した女性3人組もやってきた。その3人は、以前埋めたタイムカプセルを探したいと言い出す。「白河の間」の庭を掘ると聞いた峰岸は動揺する。
出演者
上羽鴨: 松下奈緒 

衣川周平: 椎名桔平 

梅垣鈴風: 若村麻由美 

間山紗江: 堀内敬子 
加茂京介: 大東駿介 
寺石秀: 高杉亘 
八木飛雄馬: 小柳友
 ・ 
峰岸鼓太郎: 笹野高史 

高瀬裕次郎: 伊武雅刀
 ・ 
仲代公吉: 松平健(特別出演) 

上羽薫: 市毛良枝 

塩見鞠子: かたせ梨乃 

溝口栞: 大路恵美 
中原真澄: 藤沢かりん 
新条あずさ: 建みさと
出演者2
葛川克也: 宇梶剛士 

アントワーヌ・ベルラン: ジュリー・ドレフュス 

峰岸春子: 松坂慶子 

ほか
スタッフ
【脚本】
森ハヤシ 
酒井雅秋 
岩下悠子 

【プロデューサー】
手塚治 
妹尾啓太 
中尾亜由子 

【演出】
永山耕三 

【主題歌】
「いろはにほへと」椎名林檎(EMI Records Japan) 

【制作】
フジテレビ 

【制作著作】
東映

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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