(テーマ音楽)正しい健康情報を分かりやすくお伝えする「きょうの健康」です。
今週はこちら。
今日は3日目になりました。
今日のテーマは…では緑内障とはどのような病気なのかまずこちらをご覧下さい。
これは緑内障になった人の片方の目の視野をイメージで表したものなんです。
このグレーのところが実は視野が欠けている部分なんです。
このように初期中期後期と緑内障が進行するにつれて視野が欠けている部分が大きくなっていってしまうんです。
視野が欠けていくというのはとても怖いんですが治療によって治せるものなんでしょうか?欠けた視野というのは元には戻らないという事なんです。
ですから早く見つけるという事が大切なんですがかなり進行しないと気が付かないというケースも実は多くて放置しているうちに失明してしまうという場合もあるんです。
日本の中途失明の最も多い原因が実は緑内障なんです。
なぜなかなか気付けないのかそして治療法はどのように進めていくかなど早速伺っていきましょう。
眼科で主に緑内障の診断治療がご専門です。
どうぞよろしくお願いします。
山本さんまずこの緑内障ですがどのくらいの人がかかってるんでしょうか?私ども日本緑内障学会が行った調査によりますと40歳以上の日本人成人の実に5%20人にお一人が緑内障にかかっていると推定されます。
特に506070と年を重ねるごとに緑内障増えますので70代になりますと7人から8人にお一人が緑内障になっています。
意外と多くいらっしゃるという印象ですがただこの症状が視覚なので気付けるものなんじゃないかなという気がするんですが緑内障というのはなかなか気付けないんですか?それが難しいところなんですがこの方は右目と左目に視野の欠損がある人なんですが左目ここに欠損がございます。
小さいと脳がイメージで補っちゃうんですね。
そのために分かりにくいというのが一つあります。
それから両目で見ますとこれだけ大きな視野欠損がありましても左目のいいところで補ってしまいますので両目で見ますとはっきりと見えてしまう。
これが緑内障の一つの非常に問題なところなんです。
特に自覚症状が最初ないですので分かった時には進行してる症例が多いというのが緑内障の問題点です。
なかなかそこはやっかいなところだと思うんですがどうやったら気付けるんでしょうか?これ進行した時の自覚症状なんですが例えば…ただこういうのは遅くなった時の症状ですのでもっと早く自分で見つける努力というのが必要ではないかと思います。
ではその緑内障のメカニズムについてお聞きしようと思うんですがどんなふうにして起きるものなんでしょうか?目は丸いですので中に圧力眼圧というものがあります。
これは目の前の部分に水がたまっておりましてこれを房水といいます。
この房水が目の中に出来てそれから隅角というとこから外へ出てく訳なんですがその出来る房水と出ていく房水のバランスで眼圧が保たれています。
緑内障ですと出ていく分が少なくなりましてこの眼圧が上昇する。
それによってこの目の後ろにある神経が圧迫されましてこの神経がだんだんダメージを受けていく。
それで緑内障で見えにくくなるという事になります。
なぜその眼圧が高くなってしまうんでしょうか?これは正常の水の流れなんですがこの部分から房水が出来まして目の前の方に出て隅角から出ていきます。
ところが緑内障になりますといくつかのメカニズムで眼圧が上昇してまいります。
その一つはこの隅角が閉じているタイプですがこのピンクの部分が隅角を覆ってしまいます。
これで眼圧が急に上がってくる。
あるいは慢性的に上がってくるという事があります。
それからこの隅角というところの構造が目づまりを起こすというタイプがありましてそれですとやっぱり物理的に閉じてないんですが房水が外へ出にくくなる。
そのために眼圧が上がってきます。
それからもう一つタイプがありましてこの隅角も眼圧も全く正常な人というのが非常に緑内障って多いんです。
これが日本人の緑内障の7割ほどを占めています。
この眼圧が正常だという事だったんですがそもそも緑内障は眼圧が高くなるからなるというふうに先ほどおっしゃいましたよね。
その正常というのはどういう事なんですか?それはこの眼圧というのは目全体に圧力がかかるんですが視神経のこの部分が弱くなってますと正常な眼圧…正常な眼圧というのは10から20ミリメーター水銀柱という事になってますがその正常な眼圧でも構造の弱い神経がやられてしまうという事になります。
弱いという事があるという事なんですね。
その弱い目の神経が眼圧を支えきれなくなってくるという事なんですね。
ほかには何かあるんでしょうか?はい。
例えば目の病気ぶどう膜炎とか糖尿病網膜症ほかにもありますが目の病気で眼圧が上昇するという事はしばしばありますしそれからある種の薬例えばステロイド薬これは目薬に多いんですがステロイド薬を点眼してますとそのうちに眼圧が上昇するという事もございます。
なかなか自覚症状がないというところがやっかいなんですが早く気付くためにはどうすればいいんでしょうか?実際には検査を早く受けて頂くというのが一番大事で年齢が高いというのが一つリスク要因になりますので40歳を過ぎましたら年に1回程度眼科の検診を受けて頂くというのが一番大事な点だと思っております。
実際医療機関ではどんな検査があるんでしょうか?眼圧が上昇する事が多いので眼圧検査というのは基本的になります。
これは目に接触するタイプの眼圧検査なんですがこれ以外に空気を目に当てるなどいくつかのタイプの眼圧検査がありましてそれによって眼圧を測定します。
ただ眼圧が正常な方も多いという事でしたよね。
ですから視神経網膜の検査が行われる訳です。
この神経がやられるというのが緑内障の特徴なんですが神経は網膜まで連続してますので網膜も薄くなります。
その網膜の薄くなった所を調べるというのも大事な点になってきます。
具体的にはどんな検査ですか?実際には最初に眼底検査というのを行います。
これ正常と緑内障の方の視神経を示してますがこれが中央の所に小さく白くなってるくぼみがあります。
それが緑内障になりますとこのようにくぼみが大きくなってまして緑内障である事がすぐに分かります。
どうして大きくなってしまうんですかね?目の中にある神経細胞が無くなってしまうんです。
その神経細胞は網膜から視神経を通って脳まで行きますのでそれが無くなりますとここの部分が広がってしまいます。
それから専門医が診ますとこの網膜が薄くなってるのもこの絵から分かります。
また最近新しい眼底検査の方法も出てきたという事ですね。
この眼底検査はOCT検査といわれてまして初期と後期の緑内障の方なんですが例えば色で網膜の厚みを反映してる訳です。
黄色緑青の順に薄くなってましてこの初期の症例実はこの上半分は正常なんですが見て頂きますと黄色緑青となってます。
下を見ますと本来黄色であるべきとこが緑本来緑色であるべきとこが青になっていまして網膜が薄くなってるのがよく分かります。
もっと進んでしまった後期の症例ですとこのように全体が青くなってるという事で非常に強いダメージを受けているというのが分かります。
とにかくなかなか自分で症状に気付けないという事があるんですが技術の進歩というのは非常に心強いですけれども。
このために非常に早期の症例でもこのOCTを検査する事で緑内障が分かるように今はなっています。
そのほかには何かありますか?はい。
大事な事はどれだけ見えるかという検査でこれを視野検査といってます。
このような視野計を使いまして結果がこちらに出てる訳ですがこの部分に顎と額をつけましてこの機械の中に光が出ます。
その光をボタンを押す事で知らせてその結果としてこの白と黒で表してますこの白い部分が正常黒いところは強い光を与えても全然反応のなかったとこ。
つまり見えない部分に相当致します。
非常に強い変化がこの方の場合あるという事が分かります。
いろんな検査方法が進んでいるという事がよく分かりました。
実際にそれで緑内障と診断されましたと。
具体的にはどんな治療があるんでしょうか?具体的には眼圧をいろんな方法で下げるという事が緑内障の主な治療になります。
点眼薬…目薬を使うというのが代表的ですしレーザー治療更に手術というのを行います。
ほとんどの緑内障は点眼薬で治療を開始しますが緑内障の種類によってはレーザー治療から始める事もございます。
では具体的にその点眼薬どんな薬があるんでしょうか?いろんなタイプの点眼薬が現在は使われてますが代表的なものを示しています。
緑内障の点眼薬には房水が流れやすくなるタイプと房水が作られにくくなるタイプがありまして…。
房水がたまってしまうと眼圧が高くなると…。
ですからそれを抑えようとしてこういう薬を使う訳ですが房水が流れやすくなるものとしてプロスタグランジン関連薬。
それから作られにくくなるものとしてβ遮断薬炭酸脱水酵素阻害薬といったような薬物が主に使われます。
こうした薬は非常に眼圧下降効果が強くて患者さんのお役に立っています。
特にこのプロスタグランジンとβ遮断薬あるいはβ遮断薬と炭酸脱水酵素阻害薬を合わせたような…。
配合薬と呼んでますがこれが最近出てまいりまして非常に使いやすい患者さんの利便性を高める薬物として注目されています。
このように組み合わせもしていきながら非常にこの薬は効くという事ですが副作用というのはどうなんでしょうか?目薬には副作用がいくつかございます。
例えば目がしみるとかかゆいとか目が充血するというのはしばしば認められる副作用なんですがそうした目の副作用だけでなくてここに息苦しいって書いてありますけども全身的な副作用というのもいくつかありまして例えば目薬をつけている事と息苦しいって関係ないと思われるかもしれませんが目薬つけてらっしゃる方は全身にいろんな症状が出た場合には担当の先生にご相談された方がいいと思います。
そのほかに注意点は何かありますか?目薬はご自身で長く使わなければ効かないんです。
視野を検査しましてもだんだんだんだん悪くなるというのがそのままの緑内障の経過なんですがそれを長く目薬使う事で抑える事ができるので毎日欠かさずに目薬をつけるという事が非常に大事になってまいります。
やめてしまわれる方というのもいらっしゃるんですか?残念ながらそういう方もいらっしゃいます。
…というのは目薬さしてもすぐに見え方がよくなるという事はないからなんです。
緑内障の場合には…。
継続する事が大事だという事ですね。
あとレーザー治療というのもありましたがこれはどうなんでしょうか?レーザーは種類いくつかタイプがございますが代表的なものを紹介致します。
この隅角が閉じているタイプの場合前の方からレーザーをこのピンクの部分に当てますとこのピンクの所に孔が開きましてここの隅角が広がります。
このようにピンクの部分に孔が開いてこの水の流れ房水の流れが変わる事で治療効果を得て眼圧が正常化する。
こういう治療がよく行われております。
いろんな治療方法も進んできているという事よく分かりました。
改めましてこの緑内障に対処する上で大切な事っていうのはどんな事なんでしょうか?一番大事な事は先ほども申しましたけども緑内障というのは自覚症状が最初のうちほとんどないんです。
ですから進行しないと気が付かない。
ですから40歳を過ぎましたら年に1回程度眼科の検査を受けて頂く。
これが非常に大事だと僕自身思っています。
それから治療というのは目薬を主体に使いますがこの目薬非常に大事なんです。
目薬つけても視野が戻る訳ではありません。
でも10年後20年後のために毎日欠かさずに決められた目薬をさすという事で治療効果が高まってまいります。
そういう事を忘れないで頂けば一生目が見えた状態で過ごす事ができる。
それが現代の緑内障治療だと思っております。
40歳以上の20人に1人という事でそういう意味では非常にポピュラーな病気だという事ですがちゃんと治療すれば食い止められるという事ですね。
それが非常に大切なポイントだと思っております。
どうもありがとうございました。
2014/11/19(水) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 目を守りたい「緑内障 検査が大切」[解][字]
緑内障は初期の自覚症状に気づきにくく、早期発見のためには発症リスクが高くなる40歳以上の人は1年に1回、眼科で検査を受けることが大切。眼圧検査、眼底検査など。
詳細情報
番組内容
緑内障は初期の自覚症状に気づきにくい。早期発見のためには発症リスクが高くなる40歳以上の人は1年に1回、眼科で検査を受けることが大切。検査は眼圧検査、眼底検査、視野検査、OCT検査など。治療は目薬が中心。第一選択はプロスタグランジン関連薬で、眼圧を下げる効果が高い。視野が回復するわけではないので効果を感じにくいが、薬を中断すると進行していくので、継続することが極めて重要だ。レーザー手術などもある。
出演者
【講師】岐阜大学教授…山本哲也,【キャスター】久田直子,寺澤敏行
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
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