NHK高校講座 化学基礎「中和滴定〜食酢の濃度を調べてみよう!〜」 2014.12.24


(3人)こんにちは。
ケミカルシスターズのリホです。
ナオです。
カナです。
さて今回の「化学基礎」は「中和滴定」です。
これまで学んできた酸と塩基そして中和反応の総まとめでもあるんですよ。
中和滴定?うん。
中和は分かるけど滴定ってどういう意味?滴定っていうのは化学反応を使って化学物質の量をはかる方法の事だよ。
中和反応を使って物質の量をはかるので中和滴定といいます。
う〜ん…よく分かんないけど中和っていうんだから実験がありそうだね。
うん。
楽しみ。
という事で今日の「化学基礎」は…どんな実験をするんでしょうか?はい。
それはこちらです。
ジャン。
へえ〜どうやるんだろう。
うん楽しみだね。
はい。
では早速ケミストリーの世界に入りましょう。
は〜い。
は〜い。
滴定って点滴みたいなものかな?え〜それはちょっと違うんじゃない?最初のコーナーは「中和滴定ってなに?」です。
早速ですね。
はい。
簡単に言うと中和滴定というのは…あっという事は分からなかった酸や塩基の濃度が中和滴定で分かっちゃうって事?そうです。
そしてこの中和滴定でポイントになるのが前回学んだ中和反応の量的関係です。
2人とも覚えてますか?はい。
酸と塩基が綱引きをして引き分けになった時ちょうど中和するです。
そう。
…だったよねカナちゃん。
そのとおり。
よく覚えてました。
中和反応の量的関係を式で表すと…こうなりましたよね。
この関係式と中和滴定の実験結果から分からなかったこの酸や塩基の濃度cやc’を知る事ができるんです。
カナちゃんもう少し詳しく教えて。
はい。
まずは中和反応の関係式から考えてみましょう。
はい。
はいこちらを見て下さい。
ここに濃度の分からない塩酸があったとします。
では分かっている事をこの式に入れてみましょう。
塩酸の濃度cは分からないのでとします。
じゃあこちらの酸で分かっている事は何ですか?はい。
塩酸の価数aは1です。
はいそうですね。
では次はこちらの塩基なんだけれどここがポイントです。
中和滴定で大事な事は濃度が分からないものと中和させる相手この場合はこちらの塩基なんですがこの…そこで今回は濃度が0.100mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を使います。
それではこの塩基の分かっている事を式に入れていきましょう。
はい。
水酸化ナトリウム水溶液の価数bは1。
濃度c’は0.100mol/Lです。
そうですね。
はい。
これで酸と塩基分かっている事は全部式に入れました。
ではあと何が分かるとこの塩酸の濃度が計算できるでしょうか?はい。
塩酸の体積vと水酸化ナトリウム水溶液の体積v’が分かってないですよね。
そうですね。
つまりこの濃度の分かっていない塩酸と濃度が0.100mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を反応させてちょうど中和した時のそれぞれの体積vとv’が何mLか分かればこの塩酸の濃度が分かるという事になりますね。
そっか。
でもどうやったら中和する時の酸と塩基の体積が分かるんですか?はい。
その…ふ〜ん。
中和滴定ってそういう事なんだ。
うん。
じゃあここまでをまとめてみましょう。
このコーナーのケミカルポイント!今度は「中和滴定の準備」です。
カナちゃん。
中和滴定って何か特別な準備が必要なの?はい。
そのため使う実験器具は特別なものなんです。
こちらが中和滴定に使う実験器具です。
へえ〜。
今まで実験で使ってきたものとはどう違うの?ひと言で言うとより精密なんです。
では簡単に説明しましょう。
はい。
まずこれはホールピペットです。
これまで実験に使っていたピペットはこちらの駒込ピペットですよね。
はい。
駒込ピペットは使った事があります。
はい。
実はこの駒込ピペットに刻まれている目盛りは目安にすぎないんです。
うん?おおよその体積をはかる時に使うんです。
へえ〜そうなんだ。
はい。
でもこのホールピペットは一定の体積の液体をとっても正確にはかりとる事ができるんです。
じゃあこの細長い器具は何に使うの?はい。
こちらはビュレットといいます。
中に入れた液体が滴になってこの部分から落ちてくるようにできています。
ふ〜ん。
これも正確な体積がはかれるの?はいそうなんです。
この中の液体を落とす前と落としたあとの目盛りの差で正確な体積をはかります。
数値は表示されている…そして今度こちらがメスフラスコです。
液体を一定の体積にする時などに使う器具です。
中和滴定の場合は液体の体積が重要なのでその点を特に精密にしたこういった器具が必要なんです。
なるほど。
最後はコニカルビーカー。
中和滴定によく使われる口をやや細くしたビーカーです。
化学ではどんな実験でもその目的に合った器具を使う事がとっても重要なんです。
はいよく分かりました。
中和滴定ってこういった器具を使ってどうやってやるんだろう。
知りたいね。
先生こんにちは。
リホちゃんこんにちは。
先生質問です。
中和滴定に使う器具は分かったんですが…はい。
中和滴定を正確に行うには実験器具を正しく使わなければなりません。
実際にやってみましょう。
はいお願いします。
え〜では前のコーナーで考えたこの酸の濃度を中和滴定で求めてみましょう。
塩酸の体積vと水酸化ナトリウム水溶液の体積v’が分かれば塩酸の濃度が分かるんでしたよね。
そこで濃度の分からない塩酸の体積vを…。
10.0mLにしてこの体積の塩酸とちょうど中和する0.100mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の体積v’を求めたいと思います。
そっかちょうど中和させるために必要な相手の体積を調べる方法が中和滴定でしたよね。
はい。
まずホールピペットで…先生ホールピペットの上に付いているのは何ですか?これは溶液を吸い上げたり出したりする…ホールピペットを使う時はこれを取り付けて使います。
へえ〜。
でこの線まで溶液を取ると正確に10.0mLになります。
はい。
それでは吸い取ります。
はかりとった塩酸をコニカルビーカーに移します。
はい。
膨らんだ所を手で温めて中の空気を膨張させて最後の1滴まで液体を出します。
はい。
はい出ました。
ピペットに表示されている体積はこの最後の1滴分も含まれてるんですか?そうなんです。
へえ〜。
本当に精密なんですね。
はい。
そして指示薬のフェノールフタレイン溶液を加えます。
フェノールフタレインの色の変化はどうだったか覚えてますか?はい。
フェノールフタレインは酸性で無色塩基性で赤に変わりました。
そうですね。
塩酸に加えた時はこのように無色ですけどもそこに水酸化ナトリウム水溶液を加えていくとどんどん酸性が弱まっていきやがてうっすらと赤くなり始めます。
そこがちょうど中和点になるんです。
う〜ん。
ちょっと赤くなったかなっていう瞬間が中和のポイントなんですね。
そうです。
こちらのビュレットには濃度0.100mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液が入っています。
これで準備完了ですか?いえいえまだです。
滴定を開始する前にこうやって…ビュレットの先まで水酸化ナトリウム水溶液を満たしておく事が必要です。
そしてこの下に…。
塩酸とフェノールフタレイン溶液の入ったコニカルビーカーをセットします。
これで中和滴定の準備ができました。
では実験をやってみましょう。
まず実験前の水酸化ナトリウム水溶液の体積を確認します。
ビュレットの目盛りは19.03mLです。
ビュレットのコックを開けて水酸化ナトリウム水溶液を加えていきます。
加えた瞬間塩酸の溶液が赤くなりますが混ぜるとすぐに消えてしまいます。
色が消えるまでに時間がかかるようになったら一滴一滴慎重に加えていきます。
はい色が僅かに残りました。
ここが中和点です。
ビュレットの目盛りは25.43mLでした。
はいこちらが実験の結果です。
中和に必要な水酸化ナトリウム水溶液の体積は何mLになりますか?はい。
実験を始める前が19.03mL。
実験が終わったあとが25.43mLだから差し引き中和に必要だった水酸化ナトリウム水溶液の体積は6.40mLです。
はいそうです。
ではこの結果を中和反応の関係式に当てはめてみましょう。
まず塩酸の方は価数が1。
濃度がmol/L体積が10.0mLです。
はい。
水酸化ナトリウム水溶液の方は価数は1。
そして濃度は0.100mol/L。
体積は中和滴定で6.40mLという事が分かりました。
そのとおりです。
これを計算すると塩酸の濃度は0.0640mol/Lになります。
中和滴定ってこうやってやるんですね。
先生ありがとうございました。
はい。
今日は…最後は「食酢の濃度を調べる」です。
はい。
ただしこの食酢つまりお酢の濃度といっても…今回は宮本先生の学校の生徒さんたちに協力してもらいました。
実験に協力してくれたのは…まず食酢を純水で正確に10倍に薄めます。
薄めた食酢10.0mLをホールピペットでコニカルビーカーにはかりとります。
そこに2〜3滴…食酢を中和する塩基には0.100mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を使いました。
水酸化ナトリウム水溶液を加えていきます。
色が僅かに残りました。
ここが中和点です。
中和滴定では中和点の精密な測定が必要です。
そこで正確な中和点を求めるためにそれぞれが同じ実験をあと2回ずつ都合3回繰り返して行いました。
実験で得られた全てのデータの平均値を求めるとこうなりました。
水酸化ナトリウム水溶液の体積は7.64mLです。
では中和反応の関係式に当てはめていきましょう。
酢酸は1価の酸。
水酸化ナトリウムは1価の塩基。
10倍に薄めた食酢の濃度をymol/Lとするとこの「?」はどうなりますか?はい。
酢酸の体積は10.0mL。
そして水酸化ナトリウム水溶液の濃度は0.100mol/Lで体積は7.64mLです。
はい。
リホちゃんそのとおり。
これを計算するとyはこのように0.0764mol/Lになります。
ただし10倍に薄めた食酢を使ったので薄める前の酢酸の濃度はその10倍0.764mol/Lという事が分かりました。
やりましたね中和滴定。
計算もしっかりできたしね。
「化学やったぞ」って感じでしょ。
(2人)うん。
中和滴定大変だったね。
うん。
正確な実験をするには道具選びも重要なんだよね。
実は中和滴定など精密な実験に使うガラス器具は一つ一つ手作りの場合が多いんです。
だから同じ作りのものでもよ〜く見ると少しずつ形が違うんだよ。
へえ〜そうなんだ。
今度からは作った人の事を想像しながら大切に使おうっと。
えっナオちゃんもしかして今まで実験器具って雑に扱ってたの?ううんそんな事ないよ。
大事に使ってたよ。
本当?実験器具を優しく丁寧に扱う気持ちは正確な実験結果を出すためにもなくてはならない心構えなんだよ。
はい。
は〜い。
2014/12/24(水) 14:00〜14:20
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 化学基礎「中和滴定〜食酢の濃度を調べてみよう!〜」[字]

化学基礎は平成24年度から新たに設けられた科目で、中学校から高校への橋渡しの役目をする内容です。基礎をしっかり学んで、本格的な化学の学習に役立ててください。

詳細情報
番組内容
はじめに、中和反応の量的関係の復習をする。その後、中和反応を利用し、食酢中の酢酸のモル濃度を中和滴定によって求める。中和滴定には、さまざまな実験器具を用いる。特に「ホールピペット」「メスフラスコ」「ビュレット」の役割と使い方を理解しておくことが必要だ。酸と塩基がちょうど中和したことは、フェノールフタレイン溶液などの指示薬の色の変化で知ることができる。
出演者
【講師】開成学園中学・高等学校教諭…宮本一弘,【出演】高田里穂,吉田奈央,横畠加奈子,【語り】伊倉一恵

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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