(テーマ音楽)正しい健康情報を分かりやすくお伝えする「きょうの健康」です。
早速今日のテーマはこちら。
さあでは皆さんこんな症状はありませんか?チェックしてみて下さい。
次の項目「はい」「いいえ」で答えて下さい。
いかがでしたでしょうか?これは腰部脊柱管狭窄の診断サポートツールといって実際の診断の時にも使われている症状チェックなんです。
これ続きがあるんですがそれは後ほどお伝えしていきます。
ではその腰部脊柱管狭窄どんな病気でどんな治療法があるのか詳しくお話を伺っていきましょう。
整形外科で腰痛の診断治療がご専門です。
どうぞよろしくお願いします。
まず紺野さんこの腰部脊柱管狭窄ですが患者さんどれぐらいいらっしゃるんでしょうか?日本整形外科学会が行った研究によりますと350万人ぐらいいるという事が分かっています。
随分いらっしゃるんですね。
はい。
高齢者に多い病気で60歳代では大体20人に1人ぐらいの頻度70歳代になりますと10人に1人ぐらいの頻度でいるという事が分かっています。
ではその腰部脊柱管狭窄どんな病気なんでしょうか?最も特徴的な症状は間欠跛行といいます。
間欠跛行。
これは立っていますと歩き始めは大した事ないんですがしばらくすると脚の痛みやしびれが強くなってきて歩けなくなってしまうんです。
でもおじぎをしたりしゃがみ込んだり座ったりしますと楽になると。
動き方によって症状が出たり出なかったりすると…。
楽になるとまた歩けるようになると。
だから休み休み歩くという事ですね。
ではこの腰部脊柱管狭窄腰にどんな事が起きているのか説明してもらいましょう。
はい。
ではこちらで見ていきましょう。
この背骨というのは椎骨…この小さな骨が縦に積み重なって出来ています。
そして腰の部分にある5つ分の椎骨を腰椎といいます。
この腰椎のこの部分をこう切って上から見た図がこちらです。
上の方がおなかそしてこちらが背中側です。
この背中側にはこのような空間があるんです。
この空間というのはこちらで見ますと背骨を縦に細長く伸びている事になります。
この空間を脊柱管というふうにいうんですが正常の場合は非常に広く保たれている状態です。
ところが脊柱管狭窄ではこの骨などが変形してこの空間が狭くなっています。
この脊柱管には実は神経の束である馬尾が通りそしてそこから枝分かれした神経根が伸びています。
正常の場合はこの脊柱管に十分なスペースがあるために馬尾や神経根は圧迫される事はありません。
でも脊柱管が狭くなっているこの空間が狭くなっている状態ですとここにある骨やじん帯などによって馬尾や神経根が圧迫されてしまいます。
その結果神経が伸びている先の脚などにしびれや痛みが現れます。
ではこの腰部脊柱管狭窄実際に患者さんのMRIの画像で説明してもらいましょう。
こちらですね。
はい。
これは正常の方のMRIです。
この白い部分が神経です。
圧迫はほとんどありませんがこれが腰部脊柱管狭窄の患者さんの神経です。
随分違いますね。
こことこことあとここもちょっと狭いです。
このように明らかに神経が狭くなっているという事が分かります。
この画像を見ますと随分痛いのかなという気がするんですがその辺りどうなんでしょうか?もう一つ大事なのは今おっしゃったように画像が狭いからといってみんな症状が出るかというとそうは限らないんです。
そうするとこういう状態になってたら必ず治療という訳ではないんですか?あくまで症状が大事です。
症状が出たら治療を行うという事なんですね。
おっしゃるとおりです。
分かりました。
先ほど特徴として歩くと痛くて前かがみになると回復する。
これはどういう理由からなんでしょうか?これは直立と書いてありますがまっすぐ立ちますと少し反ってますよね。
そうしますと後ろからじん帯などで神経がこういうふうに圧迫されやすくなってるんです。
でもおじぎをしますとじん帯ピンと張りますので神経の通り道がやや広くなります。
なので症状も楽になるという事になります。
こういう動きによって症状出る出ないというのが腰部脊柱管狭窄の見分けるポイントと言い切っていいんですか?はい。
間欠跛行を示す疾患にはほかにもありまして代表的なものは糖尿病性神経障害それから閉塞性動脈硬化症といって脚に行っている動脈の血管が詰まる病気です。
これでも間欠跛行を来しますので鑑別が必要になります。
じゃ必ずしも先ほどの症状だからといってこの病気という訳ではない訳ですね。
前かがみで楽になるかどうかというのが鑑別のポイントになります。
この腰部脊柱管狭窄なんですがタイプがあるようですね。
3つございます。
一つが神経根型。
もう一つが馬尾型。
両方の因子を持ってる混合型というのがあります。
神経根型は神経根が圧迫されて脚の痛みがメイン。
脚の症状ですね。
この赤くなってる部分ですね。
神経が当たっちゃってるんですよね。
この少し膨らんだ部分後根神経節といって痛みのセンサーの働きを持ってるんです。
それで痛みが出やすくなります。
これは馬尾型です。
これは神経根は圧迫されてないんですが馬尾が主に圧迫されてですね。
馬尾というのはこの部分ですね。
症状は脚のしびれが主に出てまいります。
混合型は痛みとしびれ両方出現してきます。
じゃ一概に全く2つというよりはそれが重なって出てるという事もある訳ですね。
繰り返しになりますが腰の病気なんですが症状というのは脚に出てくるというのが大きな特徴になる訳ですね。
はい。
それではこの馬尾型かどうかという事をチェックする項目先ほどの症状チェックの続きを見てみましょう。
こちらです。
5から10番目の症状というのはこの馬尾型の特徴的なものといえる訳ですか?そうです。
全てがそろわなきゃいけないという事なんですか?このうち2つ以上がそろってる場合は馬尾型の間欠跛行の可能性が高いという事が分かっています。
この神経根の場合と馬尾型の場合で改めてこの馬尾型の特徴はどういう事がいえますか?なかなか自然にはよくならないという事です。
それで保存治療に抵抗するという特徴があります。
この腰部脊柱管狭窄には馬尾型神経根混合型という3つの種類があるという事が分かりました。
それでは治療について見ていきたいと思います。
こちらの保存療法と手術と大きく2つに分かれるんですがこの保存療法の中には薬それから神経ブロック運動とありますが神経ブロックというのはどういう事なんでしょうか?これは悪い神経のそばに麻酔薬などの薬を入れて痛みやしびれを和らげるという治療です。
これは注射で…?そうです。
注射でお薬を悪い神経のそばに入れるという事です。
神経根型は効くんですが馬尾型はなかなか効きにくいです。
なかなかこの辺り複雑ですね。
ではこの薬なんですが更に具体的に見ていきましょう。
まずプロスタグランジンE製剤というのがあります。
これは神経のそばを通っている血管を少し拡張して…広げて血液の循環をよくする事によって症状を和らげるという作用があります。
それから痛み止めとして非ステロイド性消炎鎮痛薬NSAIDsというお薬が使われます。
これは炎症それから痛みがありますのでよく使われているお薬です。
それから神経が障害されて痛みが出ているいわゆる神経障害性疼痛の治療薬がございますのでこれも使われます。
この1番目のプロスタグランジンE神経根の場合に特に効くという事だと思うんですがどれぐらい実際に効くというのはあるんでしょうか?もともとは馬尾型のための薬なんですが神経根型にももちろん効きます。
大体半分ぐらいの方50%ぐらいには有効であるというふうに…。
50%の方に有効なんですね。
そしてこの下の方に抗不安薬や抗うつ薬というふうにありますがこういったものも使っていくんですか?はい。
2つ理由があって一つはやはり歩けないと不安になりますよね。
それから落ち込みますね。
人は不安やうつにずっとさらされてますと本来痛みを抑制するシステムを脳が持ってるんですがその働きが悪くなってくるんです。
それで不安やうつをよくしてそれで人間本来が持っている痛みを抑える働きをよくしてあげようという事が一つです。
もう一つは抗うつ薬は痛み止めとして抗うつ薬を使うという事も多いです。
精神面と腰の病気というのは深くつながりがあるという事なんですかね?実際日本整形外科学会で調べると重度のうつが多いという事も分かっています。
脊柱管狭窄の方にという事ですか?はい。
薬について詳しく見てきましたがもう一度治療の保存療法を見ますと運動というのがありますね。
これはどういう事でしょうか?じっとしてるとやっぱり症状が進むんです。
今「自転車」と出てきましたね。
歩きたいんですが痛くてあんまり歩けません。
でも自転車ですと前かがみの状態で運動できます。
脚を動かす事ができますので非常に理にかなった運動といえます。
実際自転車こぎだけでよくなった人何人もおります。
歩くのは難しいんだけども自転車だったら是非お勧めという事なんですね。
とかく痛いから閉じ籠もってしまうという事は避けるために自転車というのは有効な訳ですね。
こうした保存療法でよくなる方というのはどのくらいいらっしゃるんでしょうか?大体50から70%というふうにいわれています。
保存療法でよくなる方の方が多いと考えていい訳ですね。
保存療法について詳しく見てきましたがこれでもなかなか難しいという場合には手術という事になるんですがこれは具体的にどんな事なんでしょうか?神経を圧迫してる部分を骨を取り除くと。
これ真ん中通ってるのが馬尾で両脇神経根通ってますが神経を圧迫している部分を確実に取り除いて除圧術というんですが…。
除圧術。
こちらにありますね。
骨をこんなふうに取ってしまっても大丈夫なものなんですか?大丈夫です。
強度としては変わらない?ええ。
ほかには何か手術というのはあるんですか?はい。
ほかには圧迫を取り除くだけではなくて固定する手術もあります。
両脇に骨を移植してぐらつきがある場合はぐらつきを取ると。
そういう手術もあります。
腰部脊柱管狭窄について見てきましたが特にどんな事に気を付けたらいいでしょうか?やはりまず症状が出たら放っておかないでなるべく早く診断をして治療を始めるという事が大切です。
家の中でずっと閉じ籠もってますとそれがまた症状の悪循環を生みますので積極的に治療をしてもらうというのがいいと思います。
とにかくちょっとでも症状が出てきたなと思ったら早めに治療を心掛けるという事ですね。
どうも今日はありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
2014/12/24(水) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康「腰部脊柱管狭窄(さく)」[解][字]
腰部脊柱管狭窄(さく)の人には、自転車運動が勧められる。馬尾型は薬と運動だけでは治りにくいので、神経への圧迫を取り除く除圧術という手術が行われることがある。
詳細情報
番組内容
腰部脊柱管狭窄(さく)は「間欠は行」が特徴だ。間欠は行とは、歩くと腰から足にかけてしびれや痛みが生じて歩けなくなり、前かがみでしばらく休むと楽になる症状だ。神経根型と馬尾型がある。薬はプロスタグランジンE1や抗うつ薬など。運動療法として特に自転車が勧められる。自転車だけで治った人もいる。馬尾型は薬と運動だけでは治りにくいので、神経への圧迫を取り除く除圧術という手術が勧められることがある。
出演者
【講師】福島県立医科大学教授…紺野愼一,【キャスター】久田直子,寺澤敏行
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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