【ドバイ=久門武史】サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は1バレル20ドルまで下がっても減産に動かない考えを示す。財政の一時的な悪化を容認してでも、台頭する北米のシェールオイルなどとの価格競争に耐え、原油市場でのシェアの維持を優先する方針だ。
「減産したらシェアはどうなるのか。ロシアやブラジル、米国のシェールオイルに奪われる」。ヌアイミ氏は21日、中東専門誌ミドル・イースト・エコノミック・サーベイに「20ドルに下落しても関係ない」と述べ、減産は石油輸出国機構(OPEC)加盟国の利益にならないと強調した。
国際通貨基金(IMF)はサウジの来年の財政収支を均衡させる原油価格を1バレル90ドル強と推計している。足元の60ドル前後では大幅な赤字に陥るが、2011年からおおむね100ドル超の高値が続いたため「貯金」は十分にあるとみる。中央銀行の在外資産は7300億ドルを超えており、こうした余力で、より生産コストの高い米シェールの開発が滞るのを待つ構えとみられる。
ヌアイミ氏は21日、記者団に「最も効率的な産油国が生産すればいい」とも語った。価格安定のためにOPECばかりが生産量を調整することはもはやない、との意思は鮮明だ。アラブ石油輸出国機構(OAPEC)の21~23日の閣僚級会議で、クウェートのオメール石油相も減産する必要はないと発言した。
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