今から31年前。
高級住宅街で起きたその悲劇は後に衝撃的な結末を迎えることとなる
ロザンヌは昼寝のため息子を寝かしつけていた
・
(チャイム)
玄関のベルが鳴ったのは…
そして…
・
(銃声)
息子が目にしたのは…
(息子)ママ!ママ。
職場で…
現場へ…
その後ロザンヌは病院へ搬送されるも間もなく…
現金が奪われた形跡はなく物取りの犯行とは考え難かった
そこへ…
(ピーター)つ…。
警察に通報した夫ピーターが到着
(ピーター)ハァ。
(ピーター)そっそれが実は…。
夫ピーターは被害者と別居状態だった
とそこへ…
(刑事)あのう。
現場に現れたのは被害者のボーイフレンドを名乗るラリーという男
(ラリー)えっ?
(モリス)驚きました。
夫は被害者と別居中だしおまけにボーイフレンドと名乗る男まで現れ…。
(たけし)幼い息子の前で無残にも射殺されたロザンヌ。
浮かび上がった容疑者は夫と不倫相手の男性でした。
そしてこの後男女の愛憎渦巻くミステリアスな事件は誰も予期せぬ展開を迎えることになるのです。
(刑事)落ち着いてください。
ラリーの供述によれば…
ダラスの高級住宅街で建築業を営んでいたラリー
妻でありインテリア担当でもあるジョイの内助の功にも支えられビジネスは成功していた
そんなある日一組の夫婦からマイホームを建てたいとの依頼を受ける
ピーターとロザンヌ夫妻だった
医者であるピーターの家は一等地にある立派な建物だった
(ラリー)今のお宅もじゅうぶん素晴らしいと思うんですが。
次はどんな家を?
(ピーター)僕はね…。
(ピーター)ねえ?
このときラリーはロザンヌが浮かない顔をしていたことが気になったという
やがて彼は仕事が忙しいピーターの代わりにその妻の…
(ロザンヌ)あっ。
いいえ。
ロザンヌが語り始めたのは…
病院の看護師だったロザンヌはエリート医師のピーターに見初められ結婚
しかし…
独占欲の強い夫によりやりがいを持っていた仕事も辞めさせられ家で過ごす毎日
いつしか夫への愛情は薄れ…
(ロザンヌ)ハァー。
そんなロザンヌの相談を受けているうちに…
ラリーは彼女に強く引かれていったという
(ラリー)はい。
(刑事)ハァー。
(ラリー)もちろん…。
だが…
一緒にハンティングに出掛けるほど親しくなっていたピーターから…
衝撃の事実を知らされる
(ピーター)ラリー。
実は…。
妻に浮気相手がいるかもしれない
ピーターは感づいていたのだ
(銃声)
その場を嘘で切り抜けるしかなかった
そして…
ついに…
しかしこの後彼らはピーターの本当の執念深さを思い知ることになる
別居後も夫が仕事でいない時間を見計らい家に戻っては自分宛てに届いた郵便物や荷物を取りに来ていたロザンヌ
(ロザンヌ)はっ!?
鬼気迫る顔に恐怖を感じたロザンヌ
(ロザンヌ)嫌。
直ちにロザンヌは弁護士を通じ…
それから程なくして
(銃声)
あの事件が起こったのだ
続いてピーターの供述
ピーターが話す内容は夫婦間の問題から妻の浮気まで…
ある1点を除いては
高級住宅街で建築家として成功していたラリーだったがその大きな要因は…
ラリーを知る人物の話によれば…
相手がたとえ人妻であっても暇を持て余し刺激を求める女心に付け入り…
そりゃあ…。
(女性)フフフ。
こうして…
しかし家が完成すると別の女性に乗り換える
周囲の噂を記したこんな記事も
しかし関係に飽きたというだけでは殺す動機としては弱過ぎる
ピーターの考えでは仕事中にもロザンヌから再三…
・
そういえばラリーはこうも言っていた
ロザンヌを殺したのは誰か?
この後あまりに…
(剛力)高級住宅街の一角で起きた殺人事件。
(剛力)容疑者として警察がマークしたのは夫のピーターと不倫相手のラリー。
今ここまで見ていかがでしたか?
(千里子)ラリーだ。
(設楽)ラリー?最初ピーターが怪しいと思ったけどピーターはやっぱり供述で嘘ついてる感じがしなかったです。
(千里子)ラリーはみんなを手玉に取ってたんだったらたぶんうっとうしくなった。
ロザンヌを。
(日村)だんだんだんだんね。
(千里子)だんだんだんだん。
(日村)俺もラリー。
(設楽)でもさラリー来たじゃん。
事件後に家にのこのこやって来たじゃん。
あれも計算ってこと?
(日村)そう。
飯を食う約束でみたいな感じで。
(千里子)だってピーターにはバレてたわけじゃないですか。
不倫関係は。
ねっ?来ないとおかしいもんね。
「心配してないのか?」「何で普通に生活してんの?」って。
(日村)あれ?
(ダレノガレ)だって何人も何人も手玉に取ってたってことはその前にも事件は起きてたと思うの。
だからあえてラリーはロザンヌを殺さないと思う。
(設楽)千里ちゃんがピーターかラリーかでいったらラリー?
(千里子)ラリー。
(ダレノガレ)この2人のどっちか?
(設楽)後はパターン的に自殺とかもあるよね。
(ダレノガレ)あっ。
(千里子)そうだ。
ラリーの奥さん。
(千里子)ラリーは奥さんがいるのに顧客の女性と何人もそういう関係になってしまってたっていうので嫉妬しないわけがないじゃない。
(ダレノガレ)分かんなくなってきちゃった。
(日村)俺はラリーだと思うな。
(設楽)俺ピーターだな。
白昼の高級住宅街で一人の美人妻が無残にも殺された事件
被害者の夫と恋人は互いに相手が犯人だと主張した
その後警察は捜査を続けるも一向に…
当時は…。
さらに多額の懸賞金を懸け犯人を捜し続けたが解決につながる情報もないまま3年もの月日が経過
その間ピーターは医師として多忙な日々を送り一方ラリーは妻ジョイとの仲むつまじい姿が目撃されている
ロザンヌと浮気をしていたことが嘘かのように
そんな中再び事件が動きだした
それはラリーが友人と山へ遊びに行こうとしていたときだった
(銃声)
(男性)うわっ!?あっ!
何者かの襲撃により…
自分が狙われたに違いない
警察にそう訴えるも事件性はないと判断され報道すらされなかった
ロザンヌ殺しの犯人が分からぬまま第2の犯行
いったい…
それから間もなくキャロルと名乗る女性から…
キャロルによればロザンヌに恨みを持つ何者かが殺し屋を雇い彼女を殺害したのだという
(刑事)な…何?
何とキャロルは公になっていないラリー襲撃未遂事件まで知っていた
そして彼女はある衝撃の告白をする
しかし…。
そして彼女は実際に…
キャロルが犯人と接触し録音に成功した実際の音声がこれだ
何と…
そして…
ジョイ
それは他でもないラリーの妻だった
その後の調べによって全ての真相が判明した
いったいなぜジョイは殺し屋まで雇い恐ろしい殺人を犯したのか?
そこには…
誰もがうらやむほど魅力的な男性を愛した一人の女の悲劇があった
建築ビジネスの成功が夫婦二人の力ではなく夫ラリーへの女性客の好意で成り立っていることをジョイは痛感していた
そればかりか客と付き合っていることにも気付いていた
なぜなら…
こう記事にもなった噂の出元はジョイの女友達なのだから
それでもジョイは別れなかった
たとえ人妻と浮気をしてもそれは一時の気まぐれ
そう信じていた
しかし…
ラリーの言葉は真実だった
そしてジョイは…
ロザンヌさえいなくなれば夫は戻ってくると信じ…
差し向けられた実行犯が…
(銃声)
しかし彼女が死んでも…
夫は世間体を考えうわべの夫婦生活を送るだけ
憎き愛人を殺しても自分を愛してくれない恨みからついに殺意が…
夫ラリーへ向けられることになった
結果ロザンヌ殺害の実行犯に下された判決は死刑
そしてジョイにも死刑が求刑されたが夫の浮気など同情の余地があるとされ…
時に…
ごく身近な人の心の中で
(剛力)全ては女性の嫉妬が原因だったんですが。
(設楽)女の人だから分かる?
(日村)分かるんだね?だって本気になられたらやだもん。
顧客の人と遊びだったらジョイも割り切ってたんだろうけど本気になられちゃったらもうやっぱり。
(設楽)おじさんの刑事ばっかだったじゃない。
あれが女の人入ってたらもっと早く解決してたかも。
(日村)かもしんないね。
(千里子)そうかもしんない。
花嫁が主役ではない誰かのために挙げる結婚式
これは一人の女性の強い思いが多くの人たちの心を動かし…
(大和田)彼女の強い気持ちを聞いて…。
去りゆく最愛の人のために不可能に思えた結婚式を成し遂げた奇跡の実話である
それはとても奇妙な電話だった
東京都内を中心に活躍するウエディングプランナー
これまで様々な結婚式をプロデュースしてきた彼女だったが
(大和田)1週間ですか?
長年ウエディングプランナーをしてきた大和田さんでもこれほどまでに差し迫った依頼を受けたのは初めてだった
さらに…
(大和田)えっ!?
そこは結婚式を挙げるにはあまりに…
依頼者の名は鈴木麻耶さん
交際して15年になる善久さんとどうしても1週間後に式を挙げたいという
(麻耶)それに…。
麻耶さんの父貞臣さんは製薬会社に勤めるサラリーマンだった
妻の由美子さんとは大学時代に知り合い結婚
その1年後に長女の麻耶さん
3年後には弟の敬嗣さんが誕生した
どこにでもいる幸せな家族。
だが…
そんな一家に…
母親の由美子さんががんに倒れ帰らぬ人となったのだ
(麻耶)明るく振る舞って前に引っ張ってってくれました。
(麻耶)お父さん。
何してんの?
(貞臣)えっ?何って。
(貞臣)見れば分かるだろ。
以来父貞臣さんは不慣れな手つきながらも…
さらに家族4人だったころと変わらず子供たちをドライブや旅行に連れ出した
(・『サタデー・ナイト・フィーバー』)
(麻耶)そういえばお父さん。
いつもこの曲ばっかりかけてるよね。
(貞臣)ああ。
お父さんとお母さんが…。
・
(いびき)
(敬嗣)あーあ。
(麻耶)風邪ひくよ。
それは…
(麻耶)父はとても明るく振る舞っててくれてたんですが…。
だが悲劇は突然訪れた
(貞臣)えっ。
貞臣さんは脳のがんに侵されていた
すでに…
母親が亡くなったときと同じように貞臣さんは…
だが…
お父さん。
もう長くないみたいなの。
(善久)えっ?じゃあ…。
(善久)うん?
(麻耶)ううん。
(善久)そう。
その後次第に貞臣さんの…
入院生活を余儀なくされた
父親の体調を気遣い麻耶さんも病院に寝泊まりする生活を続けた
恋人善久さんも職場と病院を往復する麻耶さんに付き添い懸命にサポートした
そんなある日
(善久)一番の思いっていうのはやはり…。
お父さんに少しでも笑顔とかになってもらえたらいいなって思いもあって。
しかしこのころ貞臣さんのがんは体中をむしばむほど進行
昏睡状態に陥り危険な状況が続いていた
お父さん。
一時的に貞臣さんの意識が戻ったのだ
しかし意識が回復したとはいえ貞臣さんは…
当然病室からは一歩も出られない
医師から宣告された命の期限も刻一刻と迫っていた
そんなとき麻耶さんが連絡をしたのがウエディングプランナーの大和田さんだった
式を挙げる場所なんですが…。
(麻耶)ありがとうございます。
(大和田)正直難しいかなと思う部分はたくさんあったんですが彼女の強い気持ちを聞いて絶対にこの結婚式をかなえてあげたいと強く私が思いました。
1週間後のそれも週末
当然プロのヘアメークやカメラマンはすでに予約でいっぱいだった
それでも…
持てるかぎりの人脈を使い…
すると…
(大和田)ホントですか!?
何とか結婚式に…
父親に花嫁姿を見せてあげたいと願う娘の思い。
それに応えてあげたいと思う周りの人々。
全ては順調に進んでいるかに思われました。
しかし結婚式の直前。
思わぬ壁が立ちはだかることになるのです。
この日は式を挙げる病室の下見に訪れていた
(麻耶)はい。
貞臣さんが入院しているのは多くの患者を抱える…
死の床にある…
しかし病院側は首を縦に振ってくれなかった
そこで…
(大和田)だから…。
(大和田)正直ショックだったんですね。
このまま結婚式するのは難しいかなって私の頭の中にもよぎったんですけどお父さまに結婚式を見せてさしあげるというのは今まで育ててくれた三十数年分の麻耶さんの感謝をお父さんに表すというのが私にもじゅうぶん伝わってたので何とかしてさせていただけませんかと。
(大和田)いえ。
だから…。
そのまま待たされただ時間だけが過ぎていった
とそのとき…
(麻耶)えっ?ホントですか?
(大和田)よかったですね。
(麻耶)はい。
(大和田)ありがとうございます。
そして…
約束どおり麻耶さんは父親の病室で着替えようとしていた
すると…
案内されたのは貞臣さんの病室の向かいにある空き部屋だった
(看護師)今日はこの部屋を自由に使って大丈夫ですから。
(善久)ありがとうございます。
その曲は本当に小さな音で流された
しかし麻耶さん。
貞臣さん
そして病室内にいた全員の心に大きく響いた
麻耶さんのご家族もお相手のご家族もみんなが幸せに包まれた瞬間で。
やっと父の願いをかなえてあげることができて。
本当は…。
あまりにうれしくて…。
そして結婚式から2カ月後
貞臣さんは天国へと旅立った
(剛力)お父さんのために行われたすてきな結婚式でしたね。
(ダレノガレ)すてきですね。
家族愛も旦那さんも。
プランナーさんも。
病院も。
一つになってね。
(千里子)しかもやりたい本人が無理に言うんじゃなくて周りが…。
大和田さんが言ってあげたのがよかった。
(設楽)誠心誠意お願いしたりとかこういう気持ちがあるんだと思うとやってくれる人がいるんだよね。
(千里子)ねえ。
(設楽)お父さんもすごいね。
お母さん亡くなっても明るくさ子供たち育ててさ。
(設楽)旦那さんが?
(千里子)旦那さんが。
父への思いを形にした…
式の中で麻耶さんは貞臣さんにあるものをプレゼントしたという
貞臣さんは花嫁姿の麻耶さんの写真を…
そして現在
写真立ては麻耶さん夫婦の新居に飾られている
貞臣さんはこれからも娘の幸せを見守っていく
昨年12月。
中国のとある路地に設置された監視カメラの映像が世界中を震撼させた
まずはその映像をご覧いただこう
雨の中仲むつまじく1つの傘に入り歩いてくるカップル
雨が強くなってきたのか小走りになる2人
すると突然女性が崩れ落ちた
いったい何があったのか?
実はふたの取れたマンホールの穴を段ボールが覆っていたため気付かずに落ちてしまったのだ
慌てて助ける男性と思いきや…
何と男性は女性をマンホールの中に押し込めているではないか
さらに…
マンホールにふたをしてしまったのだ
突然…
これは4日後に奇跡の生還を果たした彼女の証言を基に64時間にわたる孤独にして壮絶な闘いを再現したものである
事件の発端は数時間前にさかのぼる
中国海南省海南島
中国のハワイと呼ばれる観光地だ
その日賀さんは郭という男性に誘われてここ海南島を訪れた
2人は…
ところが…
(賀)まあ…。
(賀)うん。
(郭)もっと下がって。
もっともっと。
もっともっと。
ほら。
もっと下がって。
もっともっと。
(賀)あっ!
(郭)ごめんごめん。
つい…。
ごめんごめん。
賀さんを危険な場所に立たせて写真を撮ろうとしたり
さらに…
(賀)ハァ…。
(賀)郭さん。
あっ!
明らかに不審な行動だったが賀さんは郭の行動に特に疑いを持つことはなかった
そしてその日の夕方
(郭)うわぁ。
(郭)そうだ。
(賀)うん。
(シャッター音)さてと…。
(郭)じゃあ後で。
だがこのとき外に出ていった彼には恐ろしい目的があった
冒頭にご覧いただいた路地を歩く郭
手に段ボールを持っている
すると…
マンホールのふたを外しその上に段ボールを置いている
そう。
落とし穴を作っていたのだ
この数分後に捉えられたのが問題の映像である
落とし穴の近くに来て突然2人は走りだす
よく見ると郭は傘で賀さんの視界を遮っている
賀さんは転落
強引に彼女をマンホールに押し込みふたをした郭はこの後さらに恐るべき行動に出る
焦った様子もなく悠々とたばこを吸いながら戻ってくるとマンホールがちゃんと閉まっているかを確かめ
さらにはどこからか持ってきた木の板でマンホールを隠すとたばこをふかしながら平然とその場を去っていった
これは事故でも事故を利用した事件でもなくあらかじめ仕組まれた計画的犯行だったのである
しかしなぜ郭は彼女を突き落とす必要があったのか?
はい。
ありがとう。
実は郭は事業を始める資金として彼女に160万円の借金をしていたのだ
それを彼女を殺すことによって帳消しにしようとしたのである
マンホールの中は水かさもあり郭は賀さんがすぐに溺死するだろうと踏んでいた
そうなれば後で発見されてもマンホールに落ちて死んだ事故と判断されると思ったのである
実は中国では豪雨や盗難などでマンホールのふたが外れていることが多く転落事故が多数報告されている
2010年には女子大生が転落し行方不明になるという事故も発生
そのため内部に転落防止ネットを装着する取り組みが近年盛んに行われているのだ
果たしてマンホールに落とされた賀さんの運命は?
64時間の闘いが始まる
(賀)ああっ!
当時この辺りは連日雨が降り続き水かさは170cmにも達していた
身長150cmの彼女では足が着かない
しかも…
賀さんは泳げなかった
このまま郭の思惑どおり溺死してしまうのか?
(賀)ああっ!ああーっ!
(賀)あっ。
壁から突き出た幅わずか10cmの突起に辛うじて立つことができた
しかし時刻は夜7時を回っておりマンホールの中はまるっきりの暗闇
水の中に何が潜んでいるか分からない恐怖
一刻も早くここから逃げ出したい
だがいったいどうすればいいのか?
賀さんは助けを呼ぼうと携帯電話を捜したのだが…
あっ。
あのとき…
今考えれば郭が携帯で写真を撮ろうと言いだしたのは穴に落とした後外部と連絡できないようにさせる策略に違いなかった
だが賀さんは叫ぶのを思いとどまった
なぜなら…
《あっ》《ああっ》《あーっ!》
もし外にまだ郭がいたら確実に殺されると思ったのである
実際郭はマンホールの様子を見に戻ってきている
彼女の判断は当たっていたのだ
その日彼女は声を潜め水に漬かったまま夜を明かした
朝になるとマンホールの上に置かれた板は通行人に撤去され小さな穴から光が差し込んでいた
すると内部は幅わずか70cmほどしかない狭い空間だと分かった
(賀)うっ。
うっ。
だが頭上からふたまでの距離は1m以上ある
手を伸ばしてもとうてい届かない
水中からジャンプしても水が邪魔をして思うように跳べない
あっ。
それは穴に落とされたときに一緒に落ちた傘だった
うっ。
傘の先端がぎりぎりふたに届いた
しかしマンホールのふたは重さおよそ50kg
傘で突いただけでは動くはずはなかった
ハァ…。
そのときだった
・
(足音)
(賀)はっ。
・
(足音)
通勤する人々が通りを歩き始めたのだ
誰か!
しかし賀さんの必死の叫びも地上には届いていなかったのだ
助けて!誰か!
実はこの路地は昼間…
(走行音)
スタッフが現地で騒音を測定してみるとその音量は平均で70デシベル以上
(たけし)いくら叫んでも届かない声。
びくともしないふた。
(たけし)この絶望的な状況を彼女はいったいどう乗り越えるのか?闘い続ける彼女にこの後さらなる危機が迫ります。
(日村)いや。
怖いなぁ。
(設楽)うーん。
(剛力)さあ今夜はマンホール64時間の死闘をお送りしていますが。
この後彼女はどうすると思いますか?
(日村)さあどうしましょう?
(ちなみ)いや。
でも…。
(設楽)これ基本は助かるよね。
(剛力)64時間後には。
(ちなみ)でも「どういう方法で助かるんだろう?」っていうのが逆に気になりますよ。
だって今の段階ではどれも空振りに終わってるから。
(日村)いいじゃない。
(設楽)いやいや。
(日村)いいじゃない。
(設楽)面白いなと思って。
(日村)優しくなってくれてもいいじゃない。
(設楽)ありがとう。
(日村)ありがとね。
(渡辺)さっきちょっと気になったんですけど。
(渡辺)ヒールでこつこつ歩いてた女性がいたので。
マンホールの穴にヒールが落ちちゃってその人に傘でこんこんこんみたいな。
(一同)ああ。
うーん。
(渡辺)とかかな。
(日村)マンホールの穴にヒールがすぽっと入ってきてそこに下から傘でとんとんとんって。
(設楽)すげえ奇跡の風穴が。
(日村)すごい奇跡だなこれ。
(剛力)そして…。
(設楽)ああ。
言ってた。
水かさが増える。
(設楽)危機的状況ったら水かさが増える。
(日村)水かさが。
(設楽)そのまま一緒に出ちゃう。
(日村)水かさが増したら逆に上がってくんだ。
(ちなみ)あっ。
なるほど。
自分も。
(日村)一瞬だけだったらかいても。
泳げなくても。
上がるでしょ。
(設楽)水の勢いでだーんっていっちゃうとか。
(剛力)そうですね。
(設楽)うん。
(日村)そういうことは起こる?
(設楽)いや。
起こるよ起こるよ。
(日村)そういう奇跡のような。
(剛力)さあこの後彼女の取った行動とは?そして彼女を襲う危機的状況とは?
(剛力)続きをご覧ください。
それは…
(賀)水。
人は体重の6%の水分を失うと極度の脱水症状に陥り命の危険にさらされる場合もある
体重の6%の水分とは自然発汗と排尿で2〜3日で失ってしまう量だ
マンホールの中にあるのは毒性を含む下水だけ
(賀)うん?あっ。
あっ。
雨水だった
それは賀さんにとって天の恵みだった
何とか…
(賀)《そうだ》
彼女は何を思い付いたのか?
通行人が立ち止まった訳とは?
マンホールの穴から出ているのは…
そう。
傘の先端にお札を巻きつけマンホールの穴から出すという作戦だった
声が駄目ならお金で通行人の気を引こうとしたのである
果たして…
お金で気を引きマンホールの中の存在に気付いてもらうことはできるのか?
通行人はお金を拾うだけ
さらに…
気付くことができなかったのだ
(賀)何でこんな目に遭わなきゃいけないの?誰か助けて。
マンホールに閉じ込められて40時間
このとき彼女に変化が
(賀)何?
(賀)何で?
低体温症が襲ったのだ
人は…
賀さんはもう一度マンホールの中を見回した
すると…
(賀)あっ。
パイプ。
それまで気付かなかったがふたの15cmぐらい下にパイプがあるのが見えたのだ
しかしすでに体力は限界
さらに壁はつるつると滑りどうにもならない
しかも…
それは…
毒性のある汚水が賀さんの体を侵し始めていたのだ
(泣き声)もう駄目。
すでに閉じ込められてから60時間以上が経過していた
状況はあまりに絶望的
しかし…
意を決した彼女が最後の手段に出た
賀さんが取った最後の手段。
それは…
自らの…
果たして…
ああ。
(賀)誰か!助けて!
賀さんに気付いた…
すぐに警官が駆け付けた
これがその実際の映像である
病院に搬送された彼女は手当てを受け一命を取り留めた
だが…
マンホールに閉じ込められてから実に64時間
まさに奇跡の生還だった
一方犯人の郭は…
動機はやはり借金を返したくないという身勝手なものだった
郭の…
諦めない気持ちが生んだ奇跡の脱出劇だった
(日村)いや。
すごかった。
(剛力)すごいですね。
(渡辺)ホントにあんな体力ぎりぎりの状態だから…。
(ちなみ)賀さんがマンホールから出たときは私もやっと空気が吸えた気分になりました。
(ちなみ)ハァーって思って。
(設楽)生きる力というかさ。
諦めないもんね。
(日村)そうだね。
(設楽)それだよね。
諦めてたら水飲んでたりとか。
(日村)そうだね。
(設楽)途中で諦めてたらもう絶対駄目だった。
いやー。
よく助かったなホントにこれ。
(剛力)ホントそうですね。
(設楽)うん。
ことし2月。
イギリスで出版された1冊の本が今大きな話題を呼んでいる
そこに記されているのは虐待を受け足を失った犬と難病に苦しみ生きることに絶望してしまった少年のエピソード
傷を抱えた両者の出会いは後にイギリス中を感動の渦に巻き込む奇跡を起こす
今から3年前。
ロンドンの動物病院に1頭の犬が緊急搬送された
(看護師)先生。
生後半年ほどのアナトリアン・シェパードという大型犬が瀕死の重傷を負っていた
だが長年様々な動物を治療してきた獣医にとってそれはとても奇妙なことだった
成長すると体長80cmにもなるアナトリアン・シェパードは堂々たる外見に反して非常に慎重な性格で知られている
そんな犬が…
後に出版された本によると飼い主から虐待を受けていたとされるこの犬は…
その後犬は医師たちの懸命の努力により一命を取り留めた
だが損傷の激しかった左の後ろ足はやむなく切断された
それでも保護団体は何とかこの不幸な犬を救おうとハチという名前を付け様々なサイトで飼い主を募集
しかし引き取ってくれる人はなかなか現れなかった
引き取り手がなければ…
だが呼び掛けを始めてからおよそ半年後
彼女の名前は…
しかし…
実は彼らにはオーウェン君という一人息子がいた
だが彼はある問題を抱えていた
それは…
(ウィル)オーウェン。
筋肉は通常力を入れることで硬直するがこの症候群の場合…
そのため…
それが彼が持って生まれた病気だった
小学校に通い始めたオーウェン君はこのころから自分が他人と違うことに悩み始めた
中でも一番の悩みだったのが…
(児童)ねえねえ。
(児童)似てる似てる。
実は顔の筋肉も硬直しているため常に目が開けづらく口をとがらせた顔つきになってしまうのだった
そして学校の外でも…
・
(女性)まあちょっと。
見て。
いつしか他人の視線を極端に怖がるようになってしまったオーウェン君は…
やがて学校も休みがちになりついには家の外に出ることさえ嫌がるようになってしまったのだ
さらに…
(コリーン)例えば…。
夫婦がインターネットで三本足のハチと出会ったのはそんなある日のことだった
(ウィル)確かに…。
(コリーン)でも…。
実はこの家にはすでにピクセルという犬がいた
(コリーン)とにかく…。
そして…
(吠える声)
(ウィル)うわ!?悲惨な虐待によって人間不信になってしまった三本足の犬ハチ。
難病に侵され人生に絶望してしまった少年オーウェン君。
過酷な運命を背負った2人が出会ったとき奇跡は起こりました。
いよいよハチを迎える日がやって来た
だが警戒心からかハチは玄関先で足を止めてしまった
そこで…
コリーンはまずハチの警戒心を解くためにリードを離して家の中を自由に探検させることにした
するとこのときとても不思議なことが起こった
初めてやって来た家にもかかわらずまるでもともと知っていたかのように一目散にある場所へ向かっていったのだ
(ウィル)ハチ?
(コリーン)ハチ?
(ウィル)上?
(ウィル)オーウェン?
心配になった両親は慌ててオーウェンの部屋へ駆け込んでいった
だがそこには…
それが全ての始まりだった
ハチはこの家に来た最初の日から片時もオーウェン君のそばを離れようとしなかった
ぴったりと寄り添うハチ
それは人間不信になった犬とは思えない姿だった
そしてそんなハチの存在はやがてオーウェン君にある変化をもたらすようになった。
それは…
ハチが足の治療のために薬の混ざった食事を取るのを見て…
再び薬を飲み始めたことだった
どんなにつらい状況でも前向きに生きる大切さをハチから学び取ったオーウェン君
こうして失いかけた笑顔をハチと共に少しずつ取り戻していったのである
だが一つだけどうしても取り戻せないものがあった
外に出ていくことだけはどうしてもできなかった
(コリーン)ねえ?オーウェン。
(オーウェン)うん。
人間不信だったはずのハチが勇気を出して自分を信じてくれた
それなのに自分は過去のトラウマを引きずりあと一歩が踏み出せない
しかし…
(オーウェン)パパ。
(ウィル)うん?
(ウィル)うん。
(ウィル)今何て?
そして…
オーウェン君はついに自らの意志で外の世界に飛び出していったのだ
このときオーウェン君は今までにないほどはっきりした口調で見知らぬ子供たちにハチの物語を話し始めたという
どれほどハチがすごい犬なのかをただ伝えるために
すると…
最初は大好きなハチの話を誰かに聞いてもらいたいだけだった
だがつい最近まで他人の目を見ることすらできなかった少年は…
そのとき生まれて初めて他人と関わる喜びを知ったのだ
その後オーウェン君はハチと共に出掛ける先々でいろんな人にハチの話を聞かせることが何よりの楽しみになりついには多くの人が集まる…
そして…
昨年3月。
彼らは何と世界最大のドッグショークラフトで犬と人間の友情に与えられる賞FriendsforLife賞の最終候補にノミネートされたのである
そして…
外に出ることを恐れ生きることに絶望していた少年の姿はどこにもなかった
あれから1年
オーウェン君とハチはどうしているのか?
彼らの家を訪ねると…
(チャイム)
(スタッフ)ハロー。
何と家族揃って出迎えてくれた
現在は毎日学校にも通っているというオーウェン君だが…
ハチとの友情は今も当然変わっていない
(剛力)ハチとの出会いをきっかけに様々なことを乗り越えたオーウェン君でしたが。
(渡辺)犬と人の絆ってすごい強いんだなと思って。
(設楽)オーウェン君ももともと持ってた…。
家から出られなくなっちゃったけどさ強いものは持ってたから…。
(日村)そうだね。
(設楽)だって散歩行きたいって言ったわけじゃないんだから。
「行きたいの?」っていうふうに相手のことを思ってだったら僕が行かなきゃと。
要は両方が両方をさ。
(ちなみ)支え合ってじゃないけど導き合ってる。
だって人の目線が怖いって相当トラウマになるじゃないですか。
でもハチが大好きで大好きなハチのことを知ってほしいという気持ちが先行していろんな人とコミュニケーションが取れるようになった。
そういうオーウェン君もハチが好きだったからこそだよね。
(剛力)オーウェン君を変えたハチの散歩。
今もそれを続けている彼らに密着しました。
最後にこちらをご覧ください。
オーウェン君とハチはいつものように公園へ
最後にオーウェン君に将来の夢を聞いてみると?
2014/12/06(土) 09:55〜11:45
関西テレビ1
奇跡体験!アンビリバボー 傑作選[字]【愛憎事件簿…嫉妬の結末/3本足犬と難病少年】
愛憎事件簿…嫉妬の結末▽余命半年…父のための結婚式▽死闘64時間!!マンホールに突き落とされた女性▽英国が感動!!3本足の犬と難病少年の友情秘話
詳細情報
番組内容
今から31年前、テキサス州ダラスの高級住宅街で事件は起きた。殺害されたのはロザンヌ、4歳の息子と2人きりの自宅で、頭を銃で撃たれて死亡していた。死体を発見した息子は医師である父・ピーターへ連絡。ピーターは警察に通報したあと急いで現場へと駆けつけた。そこへやってきたロザンヌの不倫相手ラリー、2人はにらみ合い、互いに相手がロザンヌを殺害したと主張し始める。果たして犯人は2人のうちどちらかなのか?
番組内容2
花嫁が主役ではない、“誰かのため”を思い挙げるウエディングがあった。ウエディングプランナー大和田浩子さんのもとに、その結婚式の依頼をした花嫁は鈴木麻耶さん。なんと1週間後に式を挙げたいという。しかも場所が病室だというのだ。実は麻耶さんの父・貞臣さんはガンの闘病中で、すでに手の施しようがない状態だった。貞臣さんに花嫁姿を見せてあげたいとの麻耶さんの切なる思いは叶えられるのだろうか?
中国の路地に設置
番組内容3
されていた監視カメラが偶然、驚愕(きょうがく)の映像を捉えた。雨の中、仲むつまじく1つの傘に入って歩いているカップル。だが、次の瞬間、突然女性がマンホールに転落した。男性は当然、助けようとするだろうと思いきや、女性をマンホールに押し込んでフタをして立ち去ったのである!
難病の少年は、飼い主から虐待を受けた3本足の犬との出会いをきっかけに、自分自身を乗り越え、英国中を感動の渦に巻きこむ奇跡を起こす!
出演者
【ストーリーテラー】
ビートたけし
【スタジオメンバー】
剛力彩芽
設楽統(バナナマン)
日村勇紀(バナナマン)
【前半スタジオゲスト】
坂下千里子
ダレノガレ明美
【後半スタジオゲスト】
鈴木ちなみ
渡辺早織
スタッフ
【プロデューサー】
角井英之(イースト・エンタテインメント)
【演出】
藤村和憲(イースト・エンタテインメント)
【編成企画】
田中孝明
【制作】
フジテレビ
【制作著作】
イースト・エンタテインメント
ジャンル :
バラエティ – その他
ドラマ – 国内ドラマ
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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サンプリングレート : 48kHz
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