旬のリンゴをたっぷり使った…サクサクの生地から香る甘酸っぱい匂いがたまりませんよね。
日本でもおなじみですがアメリカでは「家庭の数だけアップルパイの味がある」といわれるほど定番のスイーツなんです。
なぜこれほどアップルパイが愛されるようになったのか?そこには開拓期のアメリカでリンゴを広めて回ったある伝説の人物が関係していたんです。
その名もジョニー・アップルシード。
今日はアメリカの大地に根づいたリンゴとパイの物語に迫ります!光る石をたどれば行き着く不思議な家にあのお菓子の家のヘンゼルとグレーテルの末裔が暮らしています。
彼らが振る舞うおいしいお菓子の物語をご賞味あれ。
かまど!かまど!どうしたの?かまど!友達から荷物が届いたよ。
何届いたの?うわ〜!これ見て!真っ赤なリンゴ。
リンゴじゃないの!・「赤いリンゴに口びるよせて」知らない。
知らないの?駄目だよ〜。
・「口びるよせて」みて。
(リンゴにキスする音)うわたっ!やった!「やった!」ってどういう事?いいなその音といいと思って。
はいじゃあ今日はグレーテルからのメッセージ何でしょう?そうそう…。
これ見てこれ!ちょっと何かたくさんあるね。
…にしてもさ何であいうえお作文なんでしょうか?「あいにうえてる」からじゃないかしら?だから「あいうえ」…「あいうぇてる」。
あっそう。
でもさ…。
流すなよ!「愛に包まれるようなパイ」ってどんなパイ?…と思った時は?あれですね。
本を見て…。
今日お任せします。
さようなら。
これだ。
流されたから。
…という事で今宵ひもとくのはジョニー・アップルシードのアップルパイ。
アメリカ人にとってリンゴを語る上で切っても切れない伝説の人物…18世紀末まだ未開の荒野だったアメリカ。
ジョニー・アップルシードは開拓者たちの生活を支える食料としてリンゴの栽培を広めようと種を携え旅に出たのですが…。
そのいでたちを番組スタッフで再現しちゃいました!帽子代わりにかぶっているのは鍋。
この鍋で食事を作っていたんだとか。
そして身にまとっていたのは麻の袋。
コーヒー豆を入れていた袋を再利用したもの。
質素倹約清貧の人物だったようです。
心優しい男だったというジョニー。
その優しさは小さな生き物にも…。
ある日彼がたき火をしていた時の事。
蚊が飛び込んで焼け死んでしまうというアクシデントが。
嘆き悲しんだジョニー・アップルシード。
火を消し凍えながら夜を過ごしたというのです。
いわゆる頼もしいヒーローとは違う優しく献身的なジョニーの生き方。
数多くの絵本や学校の教材に描かれています。
リンゴが人々の生活の糧となる事を信じて雨の日も雪の日も険しい山道もはだしで歩き続けました。
70歳で生涯を終えるまでおよそ50年もの月日をリンゴを植える旅にささげました。
ジョニーの足取りに沿ってリンゴは東海岸から北西部一帯にまで広まったといわれています。
しかしなぜ彼はそこまでしてリンゴを広めたかったのでしょうか?アメリカ開拓時代の歴史に詳しくジョニー・アップルシードに関する本も出版しているウィリアム・ケリガン教授に聞いてみました。
リンゴは順応性が高いのでどんな土地でも育ちやすいんです。
急な丘でも岩場でも乾いた土地でも湿った土地でも育つんです。
開拓時代の人々にとって労働力は非常に貴重なものでした。
親はもちろん子どもも家の仕事を手伝っていたくらいですからね。
あまり手間をかけなくても育ってくれるリンゴは非常に価値が高かったんです。
食材が乏しく食品加工の技術も発達していなかった当時リンゴはさまざまな料理に使われ重宝されました。
例えば干しリンゴ。
寒い冬の間の貴重な保存食でした。
ミルクをかけて食べたんだそうです。
リンゴを搾ったアップルサイダー。
まだ生水が安全ではなかった時代の貴重な飲み物でした。
そしてアップルパイ。
小麦粉が貴重だった当時少ない量で作る事ができるアップルパイは朝食として一日の活力のもとになっていたといいます。
ジョニー・アップルシードがいなかったらリンゴはアメリカを代表する果物にはなっていなかったでしょう。
アメリカといえばリンゴという事が世界に知られるようになったのも彼の物語があったからなんです。
リンゴがアメリカ人にとってこんなに大切な食べ物だったなんて知らなかったな〜。
何か歴史そのものですね。
それにジョニー・アップルシードさんの愛はすばらしいよ。
アメリカ国民のために頑張ってた訳でしょ?じゃあやっちゃう?やっちゃいましょう!じゃあキメテどうぞ!はい!あのねアップルパイっていうのはいろんなタイプがありますけども今日は開拓時代から食べられているような素朴なアメリカンアップルパイですよ!よし!はいじゃあまず生地作りいきますか。
はいオキテお願いします。
パイ生地っていうとこねて折り畳んで作るっていうそういうイメージがあるでしょ?だけどビスケットのようにサクサクした生地を作りたいから練り過ぎてはいけません。
分かりました!薄力粉とショートニングかな。
ショートっていう意味はショートニングの。
「サクサクな」とか「ポロポロの」っていう意味なんですショートが。
そうなんだね。
そうなの。
だからショートニング入れる事によってそういう感じになりますから。
そこにグラニュー糖と塩。
グラニュー糖とお塩。
冷水加えてちょうだい。
あくまでも練り過ぎ注意。
練り過ぎ注意でしょ?そうよ。
もういいかな。
台に出しちゃってもうそれでそのぐらいで。
もういいの?出します。
はい。
出しました。
カードで混ぜてほしいです。
これすごい。
粘着と弾力が…。
負けるな〜!何年スイーツやっとるんだ!負けてたまるか。
本当だよ。
あっちょっと…。
いったほら。
苦労を越えるとね。
苦労を越えると…。
越えるとやって来るんだよ幸せが。
ですね。
勝利です。
パッパパッパパ〜ン。
よっしゃ!「家庭の数だけアップルパイの味がある」といわれているアメリカ。
ホームメードのアップルパイ。
一体どんな工夫が凝らされているのでしょう?今回お邪魔したのはジョニー・アップルシードが旅を終えたといわれているインディアナ州のリンゴ農家。
やあ。
よく来たね。
ジョー・ベンダーだ。
現在28種類のリンゴを栽培しているジョー・ベンダーさん。
ジョーさんがアップルパイにベストマッチだというリンゴがコートランドという品種です。
果肉が硬めで加熱しても爽やかな風味と歯触りが損なわれないんだそうです。
ベンダー家自慢のパイ作り。
アップルパイだけはジョーさんが腕を振るうのだそうです。
ジョーが作るアップルパイは最高よ。
プロ級の腕前なの。
まずは皮をむいたリンゴを切っていきます。
結構大きめですね。
(ジョー)大きく切ると食べた時にリンゴの食感が楽しめるんだ。
小さいと焼いたらドロドロになっちゃうからね。
続いては味付けです。
切ったリンゴ2グラニュー糖3に対して1の割合でブラウンシュガーをまぶしていきます。
ブラウンシュガーを入れるとコクのある香りが楽しめるんだ。
ただ入れ過ぎには注意だよ。
…とここでジョーさん秘伝の材料が登場!それはなんと…アップルパイを作る時に大事なのは水っぽくならないようにする事だ。
タピオカ粉でとろみをつける事でパイ生地が水っぽくならないんだ。
こうすればパイはサクサク果肉もジューシーなまま。
20年の試行錯誤の末に編み出されたジョーさんのアップルパイの秘密がここに!更にとろみを補うためコーンスターチと小麦粉も入れます。
続いてはスパイス。
独特の甘い香りのナツメグ。
そしてリンゴと相性抜群のシナモンとバニラエッセンスも加えます。
リンゴによくなじませたら生地に並べていきます。
それにしても随分リンゴが多いような…。
(ジョー)多くのパイは上が平らだけど私はきれいなアーチ状にしたいんだよ。
なんと普通のレシピの倍以上もリンゴを使っています。
リンゴの味を存分に楽しめるのがジョーさん流。
あとは上から生地を掛けてオーブンで焼くだけ。
ちなみに上にも生地が載っているのは…伝統的なアメリカンスタイルです。
1時間後ジョーさん特製のアップルパイが焼き上がりました。
リンゴはゴロッと大きめ。
とろみもしっかりついています。
リンゴ農家ならではのこだわりが詰まっています。
お手製のアップルパイを囲んで一家団らん。
娘のエリンさんと孫のアリアちゃんも一緒に頂きます。
リンゴが取れたらまずアップルパイを作って収穫を祝うんだ。
一生懸命働いてリンゴを育てる時間はとても大切なの。
だって夫婦で過ごせる貴重な時間なんだもの。
いわば夫婦の愛のパイね。
(エリン)まるで2人の赤ちゃんね。
「LOVEPIE」か。
2人の愛の結晶って事だね。
そこまで思いが籠もっているのはやっぱりリンゴを育ててる方ならではですよ。
いい2人の関係だね。
そうですよ。
ジョーさんワイルドだったでしょ。
パイの作り方?じゃあさワイルドにオキテ言ってみようか。
はいはい。
はやりの壁ドンでさ。
壁ドン?じゃあやっていい?じゃあ壁ドンでお願いします!完璧。
ワイルドだったでしょ?私もね壁ドンの意味がよく分かってないの。
何が言いたいの?かっこよくなきゃ駄目なのよ本当は。
本当はね。
何か違う今の。
まあいいや。
はいではでは皮ごと切っていきます。
かまどオリジナルですよこれ。
かまどさすが。
スパ〜ン。
このまま皮ごと使うってすごい斬新だね。
水分が流れ出にくくなりますよっていう事で。
そしてオキテをどうぞ!はい!ここはジョーさんの秘伝の材料使いたいと思うんだけどリンゴの水分とかエキスをとろみが包んでくれます。
生地が水っぽくなるのを防いで更にリンゴの味もキープできるというね。
これをまた混ぜていくと。
はい。
この3つを入れる事によって…ひと言どうぞ。
分かりました。
トロトロにな〜れ!おいしくな〜れ!あれ?誰もいなくなっちゃった?あれ?誰もいなく…。
ジョニー・アップルシードが亡くなって170年。
今でもアメリカでは彼の功績をたたえるジョニー・アップルシードフェスティバルが各地で行われています。
ここインディアナ州・フォートウェインでは毎年9月に開催。
今年は25万人もの観光客が訪れたそうです。
こちらは地元で取れた新鮮なリンゴ。
お客さんにも大人気です。
そしてもちろんアップルパイ。
ここで売っているのはアップルクラムというタイプのパイよ。
クラムはブラウンシュガーとバターと小麦粉で作った粉状のものなの。
アメリカ人といえばアップルパイよ。
ああそうだ。
ベストフレンドね。
とても伝統があるんだ。
それにここにはジョニー・アップルシードの墓があるんだよ。
ほらあっちの方向さ。
実はここフォートウェインはジョニー・アップルシードの終えんの地といわれています。
公園を見渡す丘の上に彼の石碑がありました。
ジョニーが生きた時代に思いをはせフェスティバルにはみんな開拓時代の衣装を着て参加。
更に調理に使うのは薪。
当時の生活も再現しています。
このお祭りはジョニー・アップルシードのためのお祭りなの。
リンゴや地元の食材全てに感謝をするのよ。
ここフォートウェインでは重要なイベントなの。
ジョニー・アップルシードさんの魂は今もちゃんと受け継がれてるんだね。
ねえ〜。
フェスティバルアメリカ各地で行われてるらしいですよ。
へえ〜。
やっぱそれだけ愛されてるって事だよね。
仕上げに取りかかりましょう!よし!はいじゃあリンゴを生地に盛りつけていきますか。
分かりました。
これアーチ状に何か最後はやってたもんね。
そうなの。
これさかまど残ったお汁は…?お汁を加えなきゃおいしくならないわよ。
そうですよね。
お汁。
じゃあここで残りの生地を使いたいんですけど。
何でしょう?えっ!?これ何これ!かまどのすてきなところじゃないのあなた。
細長…。
よいしょ。
来ましたよ。
何ですか?これ。
三つ編み用の生地で〜す!えっ!?パイの生地を…。
この…飾ってくれるんですか?これで。
そうそう。
三つ編みちょっとやった事ないですよ。
はい。
やった事ないよね。
三つ編みの縁取りっていうのはかまどのオリジナルなんですよ。
優しくね。
優しく…そうそう。
これクロスが本当に難しいですよ。
そうなのよ。
すごいきれいにできてる。
え〜?本当ですか?それで出来上がり。
すごいきれい。
やった〜。
ちょっと一息TeaBreak!ジョニー・アップルシードフェスティバルで見つけたリンゴスイーツをご紹介!まずはこちら。
開拓時代から飲まれている定番ドリンク…新鮮なリンゴをこちらの機械に入れて細かく砕いて…。
あとはグルグル回して搾るだけ。
ただそれだけなんです!ろ過しないのがポイント。
だからリンゴのうまみがた〜っぷり詰まってるの!ちなみに肌寒い季節には砂糖やシナモンを加え温めて飲むのもお勧めだそうで〜す!続いては大行列のこちら!丸い形の焼き菓子。
その名も…皮をむいたリンゴを丸ごと生地で包んで焼いたもの。
スライスしない分ダイナミックにリンゴの風味を味わえるの。
食べ応え満点です!最後はこちら。
串刺しのリンゴにキャラメルをたっぷりつけたその名も…このお菓子にはまだ青みがかった酸っぱめのリンゴを使うのがポイント。
シャキシャキの酸っぱいリンゴとトロトロの甘いキャラメル。
一緒に食べるともう止まらな〜い!ちなみに左の女性はナッツをトッピング。
風味が重なってこれはもうリンゴスイーツの宝石箱や〜!じゃあそろそろ焼けたんじゃないでしょうか。
そうだね。
よいしょ。
(小声で)来ました。
ちょっとどう?見てこれ!あっきれいきれい。
焼き完璧ですよ。
三つ編みもきれいに出てますよ模様が。
ほら。
すごいきれい。
いやよかった。
この形やっぱりすてきだわ。
なかなかのワイド感…。
(チャイム)あっ姉ちゃん帰ってきた。
姉ちゃんお帰り!プルップルのアップルパイ出来てるよ!本当にいいタイミング。
開拓時代からアメリカで愛されてきたアップルパイ。
ゴロッと大きめのリンゴはスパイスたっぷりのとろみをまとってとってもジューシー。
さっくりとしたパイ生地と相性抜群。
素朴で心温まる味です。
50年に及んだジョニー・アップルシードの旅。
彼は荒野を切り開き厳しい自然環境の中でも諦める事なくリンゴを植え続けました。
インディアナ州でリンゴ農園を営むジョーさんにも厳しい試練があったといいます。
あれは2012年だった。
3月なのに気温が27度にも達したんだ。
この年春からインディアナ州を記録的な暑さが襲いました。
平均気温を20度も上回る日が何日も続きました。
1か月も早く花が咲いてその後急に気温が下がって花が全滅だった。
結局リンゴはほとんど取れなかった。
アップルパイ1個分がやっとだったね。
自然の猛威に直面しても2人はリンゴ栽培を諦めませんでした。
毎年楽しみにしてくれるお客さんがいるからね。
そうね。
リンゴを取ったり農園の景色を楽しみにしているの。
ここは「みんなのリンゴ園」なのよ。
そうだね。
うまくいかない事があったらがっかりするけど悩んでいたってしかたがない。
ただリンゴを育て続けるだけさ。
ジョーさんとレイチェルさんこれからもアメリカ人が大好きなリンゴを作り続けて下さいね。
今日の「グレーテルのかまど」いかがでしたか?ワイルド&ジューシーなアップルパイを作ってみてアメリカ人の開拓魂を感じる事ができました。
そこには人生の大半をささげてリンゴを広めた人物の思いが込められていました。
いや〜愛を感じるアップルパイでしたね。
ではまたこのキッチンでお目にかかりましょう。
ではちょっと失礼して。
う〜寒い寒い。
これかまどすごいね!リンゴの皮も入れたから鮮やかな色。
頂きます!すてき。
ちょっとあっサックサクですね。
豪快にいっちゃって。
ワイルドだから。
う〜ん!リンゴそのものを食べている感じですね。
アメリカ人が大好きな食べ方もいっちゃおうかな。
何ですか?それ。
アップルパイア・ラ・モードというんですけど。
そこにアイスがあるでしょ?それ絶対おいしいでしょどう考えても。
あ〜おいしそう。
やだやだ。
絶対おいしいなこれは。
おいしいだろうさそりゃ。
う〜ん。
ねっ?おいしいでしょう?アメリカではチーズを載せて食べるっていう人もいますよ。
これにチーズを載せるの?しょっぱいのね。
…っていうとどうする?やっぱりねめんたいこ。
うん。
ハハッ。
何かあんま意味分かんないけど。
障害者のための情報バラエティー…2014/11/19(水) 00:00〜00:25
NHKEテレ1大阪
グレーテルのかまど「ジョニー・アップルシードのアップルパイ」[字][デ][再]
サクサクのクラストとプルプル・ジューシーなリンゴの食感がたまらない、アメリカン・アップルパイ。伝説の男が築いた、開拓期アメリカとアップルパイの深い関係を探る。
詳細情報
番組内容
サックサクのクラストとプルプル・ジューシーなリンゴの食感がたまらない、アメリカン・アップルパイ。実は“家庭の数だけアップルパイの味がある”と言われ、収穫期には各地でコンテストが開かれる、国民的なお菓子。その人気の裏側には、歴史に刻まれた伝説の男の存在が…。開拓期、リンゴ栽培を広めたジョニー・アップルシード。アメリカとリンゴの深い関係をひも解き、アメリカン・アップルパイの素朴な味わいの原点に迫ります
出演者
【出演】瀬戸康史,【語り】キムラ緑子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
バラエティ – 料理バラエティ
情報/ワイドショー – グルメ・料理
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