ガイアの夜明け【今こそ、若手職人を育てる!】 2014.11.18


「GAIA」…それは息づく大きな生命体。
混沌の時代にも希望を見いだし再生を果たして未来へ向かう。
そこにきっと夜明けがやってくる。
東京・港区にあるオフィスビル。
ここに本社を置くのが…。
スーパーゼネコンと呼ばれる日本の建設会社トップ5の一つです。
社内のある会議をのぞいてみると…。
その施設の建設やインフラの工事など大きなプロジェクトが動き出していました。
更に東北の震災復興事業などもあり建設業界は今活況を呈しているのです。
ここは大林組が手がける都内のビルの建設現場。
よく見るとヘルメットや作業服の色はバラバラです。
おはようございます。
(一同)おはようございます。
本日の作業内容は2階…。
この現場には現場の管理をする大林組の社員はこのオレンジ色の制服とヘルメットを着用した10人ほどしかいません。
日本の建設業界では大手や準大手などのいわゆるゼネコンが大きなプロジェクトのほとんどを落札。
それを職人を抱える中小の建設会社に下請けさせる仕組みができあがっています。
ところが現場を見てみると年配の職人が目立ちます。
多摩地区にある中小の建設会社が合同で就職説明会を開いていました。
200人の学生が来ると見込んでいましたが…。
会場はガラガラです。
数少ない人材を逃すまいと企業は必死。
地図なんですけども…。
仕事内容を紹介するビデオまで用意。
現場の職人たちが一緒に働こうと呼びかけます。
この会社では親しみやすさをアピールしようとこんなキャラクターまで。
人手不足にあえぐ建設業界。
未来を担う若手職人をいかに増やし育てていくか。
その新たな取り組みを追いました。
女性の職人を増やそうと特別チームが誕生。
男社会の現場に強烈なダメ出しが。
なぜか高学歴の学生が殺到する異色の建設会社があった。
仕掛け人は元トップセールスマン。
若い職人たちが生き生きと働く。
その驚きの仕掛けとは…。
はいもしもし。
いつもお世話になっております。
えっ2丁目ビルの建設現場に10人ほど職人を回してほしい?いやぁご協力したいのはやまやまなんですが実はうちも職人がまったく足りてないんですよ。
いやぁそうおっしゃられても。
いやなにしろ今は人手不足ですから。
いやぁほんとにすみません。
はい失礼します。
はい。
(ため息)人事部長。
はい社長。
職人の募集のほうはどうだ?少しは来てるのか?実は…全然来ていません。
全然来ていない?ええ。
(ため息)募集ポスターまで作ってあちこちに貼り出したっていうのに1人もこないっていうのはどういうことなんだ?あのやはり危険きつい汚いのいわゆる3Kのイメージがつきすぎて建設業界に入りたい人は少ないんですよ。
そうか。
じゃあうちの新人を早く一人前にするしかないか。
はぁ。
どうだ?そろそろ大きな現場でも任せてみるか。
あぁそうですね。
失礼します。
失礼します。
おっどうした?ちょうどいいとこに来た。
キミたちの話をしてたところだ。
あの…。
少しは仕事には慣れたか?あの会社を辞めさせてください。
どうして急に?現場の上司は怒るばかりであまり技術を教えてくれないんです。
僕の現場は20代の職人が少なくて話がまったく合わないんです。
もう少し頑張ってみないか?そう慌てることはないだろう?もう少しだけ頑張ってみないか?すみません。
すみません。
建設業界で働く人は年々減ってきています。
1997年のピーク時には685万人いましたが去年は499万人まで減ってしまっています。
また高校の新卒者が3年以内に離職する割合は46.8%。
つまり半分近くの人が3年以内に辞めてしまうというのが現状です。
『ガイアの夜明け』今回はいかに若手を集めベテランの技を伝えていくか。
その新たな取り組みを追いました。
都内のある建設現場。
ここでもベテラン職人の姿が目立ちます。
その中に今や貴重な若い職人がいました。
工業高校を卒業後鉄筋工の会社に入って3年目こうして組んだ鉄筋にコンクリートを流し込むことで建物の骨組みが出来るのです。
夕方5時半一日の仕事を終えた宮原さんが現場から出てきました。
お疲れさまです。
お疲れさまです。
この日の現場からは会社まで1時間以上かかります。
宮原さん車に乗り込むとすぐに寝入ってしまいました。
宮原さんの勤める会社は千葉県・市原市にあります。
別々の現場に出かけていた職人が帰ってきました。
やはり多くは年配の人たち。
会社の隣にある社員寮。
若手社員のほとんどはここで暮らしています。
あっそうなんですかへぇ〜。
8人いた同期のうち4人は1年ももたずに辞めてしまったそうです。
寮は4畳半の1人部屋。
休みは週に1日。
給料はおよそ23万円。
社会保険や寮の費用などが差し引かれ手もとに残るのは17万円ほどだそうです。
宮原さんが作業服姿で向かったのは…。
大林組の研修センター。
その一室で5人の若者が授業を受けていました。
彼らは四国や東北などにある下請け会社から来た若い職人たちです。
パソコンと格闘中なのは宮原さん。
鉄筋を組み立てる図面を作成していました。
これまで現場では上司に言われるまま鉄筋を組んできた宮原さん。
鉄筋の構造について一から学んでいたのです。
実はここ大手ゼネコンがこうした学校を作るのは初めて。
職人が不足するなか若手の育成に本格的に乗り出したのです。
彼らは2ヵ月間会社の仕事を休み研修センターの寮に泊まり込んで授業を受けます。
(笑い声)こうして交流することで同じ仕事に就く同世代につながりを持ってもらおうというねらいもあるそうです。
宮原さんが現場に戻っていました。
これまでは言われるままでしたが自分で考えながら仕事を進めるようになっていました。
宮原さん2ヵ月の研修で何を得たのでしょうか。
一方男社会だった建設現場を変えようと女性だけの特別チームが立ち上がりました。
建設中の高層マンションがあります。
ここは三井住友建設が手がけています。
現場を見ると生コン車の作業員は女性。
防水工事の職人も女性。
鉄筋工にも女性がいます。
こういうしかし800人を超える職人が働くこの現場で女性の数は12人にすぎません。
今年4月。
国は建設現場で働く女性を5年で倍増させる計画を発表しました。
それを受け三井住友建設はそれぞれの現場ごとに女性たちを集め特別チームを作ることにしたのです。
彼女たちの名前は建設現場で働く女性を増やす。
それが彼女たちに与えられた使命です。
エレベーターで一緒に行きましょう。
お願いします。
まずは女性が働きやすい環境にするために現場の改善点を探します。
この日は上層階を見て回ることに。
すると32階にあった大きな布の前で彼女たちの足が止まりました。
中を覗いてみるとそこには仮設トイレが。
やっぱ嫌ですよね。
そこですよね。
余計に洗うときに。
男女兼用ですが女性がこのトイレを使った場合男性用トイレの真横で手を洗わなければならないのです。
そうですよね。
こうして女性の目線であぶり出した改善点を会社に報告。
少しずつ現場を変えていこうという試みです。
この日芝浦工業大学の学生たちが現場の見学会にやってきました。
9人中7人が女性。
彼女たちに建設現場でも女性が働き環境が変わってきている様子を見てもらおうという作戦です。
できた?はい。
チーム晴海女子が案内します。
あがります。
はい。
うわ〜すごい。
まず連れて行ったのは鉄筋工事が進む現場です。
待っていたのはこの現場で唯一の女性ふだんどんな仕事をしているのか学生たちに手ほどきします。
結束線とハッカ−を使ってこの鉄筋…持ってここで押さえてここでクルクルクルクルと回します。
これはこういうふうに回るものなんですよ。
クルクルクル。
初めて触れる職人の道具に興味津々。
そうそうそのままクルクルクル。
はいできました。
できました。
すごいって言われてますけど。
次に案内したのはここには建設中の上のフロアにある仮設トイレとは違い温水シャワー付き。
女性が働きやすい環境に変えていく。
これが人手不足解消のカギとなるかもしれません。
一方こちらはみんな楽しんでいきましょう!乾杯!
(一同)乾杯!ある建設会社の合宿が行われていました。
集まっていたのは来年4月に入社する人手不足の建設業界にあってこの会社には若者が殺到していたのです。
しかも…。
そのほとんどが高学歴の学生たち。
(歓声)率いるのはこの人。
その狙いとは?今日はちょっと変わった建設現場があると聞いてここは神奈川県相模原市にある建築現場に来ています。
こちらですかね。
どうもこんにちは。
こんにちは。
どうもはじめまして。
平成建設の井岸です。
井岸さんどうも江口です。
よろしくお願いします。
お願いします。
こちらで何か変わった試みをしてるということなんですが。
ちょっと見せてもらえますか?はいご案内します。
よろしくお願いします。
なるほど。
結構大きな現場ですね。
はい。
ああなるほどなるほど。
見たことあります。
大畑ちょっと来て。
はい。
なるほど。
普通はこんなに持ってないわけですか?普通はこんなに。
型枠の方は型枠の免許しか持ってないんですか?なるほど。
他にも何か大畑さんが持ってるもので作業見せてもらえますか?玉掛技能講習。
はい。
じゃあ作業を見せますんで大畑お願いします。
はい。
確かにそうですよね。
大きい鉄骨なんか運ぶとき大変ですもんね。
そうですね。
一人ひとりの社員の人たちがいろんな資格を取ってみんなそれぞれが免許をたくさん取得していくわけですか。
そうですね。
そこで何かいちばんのメリットというのは?全部の工程がね頭に入ってやれるっていうのはいいんでしょうね。
はい。
平成建設の本社はこの町にあります。
年に一度社内で技を競う大会が開かれていました。
これは釘の早打ち。
10本の釘をいかに早く正確に打てるかを競います。
早い!やった!こちらはかんな掛け。
木材を早くきれいに削る競技です。
しかも…。
9割以上が大学や大学院を出たいわば高学歴の大工集団なのです。
こちらは平成建設が手掛ける建設現場。
そこに今年の春入社した新人の職人がいました。
北海道出身の百野さん。
今は沼津市にある社員寮で暮らしています。
大学院の仲間たちが就職先として大手ゼネコンや有名設計事務所を目指すなか百野さんは平成建設だけを受けたといいます。
なぜなのか?平成建設は職人になりたいという高学歴の学生にとって数少ない受け皿となっているのです。
これは建設部門の人気企業調査。
上位に大手ゼネコンが並ぶなか平成建設は8位にランクイン。
この会社を一代で作り上げたのが大工の家に生まれた秋元さん。
トップセールスマンとして活躍しました。
当時から将来職人が不足するという危機感を持ち自ら会社を立ち上げたといいます。
まずは。
平成建設の職人にはある特徴があります。
入社11年目の渋谷さん。
鉄筋の組み立て作業をしたかと思えば…。
次はコンクリートを流し込むための更に午後には違う現場に出向き…。
重機の操作までこなしてしまいます。
実はこれらの作業一般的にはそれぞれ専門の業者が行うもの。
平成建設では一人がさまざまな作業をこなす多能工と呼ばれる職人を育てているのです。
多能工がいることで専門業者に頼らずほとんどの作業を自社だけで行うことができます。
こうしたやり方で業績も右肩上がり。
25期連続で増収を続けています。
一戸建て住宅の建設現場。
ここは5人の職人が担当しています。
棟梁以外の4人は皆20代。
若い現場です。
そのなかで最年少が川上さんはまだ新米職人の川上さんにとって作業はわからないことだらけ。
OKです。
なんでも先輩に聞きながら仕事を進めていきます。
同じ会社の社員だけで作業を行うからこそ先輩から後輩へと技術が伝わりやすいのです。
平成建設の本社。
加工場をのぞいてみると…。
仕事を終えたはずの若手職人たちの姿がありました。
実は秋に行われる社内の技能テストのために自主的に練習をしていたのです。
そのなかに川上さんの姿もありました。
こうするんです。
それとそれを組む?そうなんですよ。
そういう課題なんです。
今年の課題は釘を使わずに木材をピタリと合わせる木組みと呼ばれる技。
実際の現場では柱や天井の梁に用いられる難易度の高い技術です。
川上さん仕上げたものをはめてみますが…。
こうした自主練習が日々の仕事にもつながっていくのです。
その川上さんが別人に…。
いったい何があったのか?平成建設の秋元社長毎年恒例の社員旅行に来ていました。
連れてきたのは入社1年目2年目の若手社員。
3年以内に辞める人が多いという建設業界。
ふだん別々の現場で働く同期たちと交流してもらい横のつながりを強めるのが秋元社長の狙いです。
あの川上華恵さんも仲のよい同期とステージへ。
思う存分楽しみます。
「小粋だね髪に飾った花も」「細い腰あわせ揺れるよめッ!」秋元社長今度は中堅の社員たちと一緒です。
訪れたのは京都御所の近くにある日本庭園。
そのなかの茶室。
連れてきたのは5年以上大工として働く職人ばかりです。
この茶室は数寄屋造りと呼ばれる伝統的な建築様式で造られていました。
丸太や石など自然の素材を生かした造りが特徴です。
案内してくれたのはこの茶室を造った平成建設の職人たち大先輩の技を学ぼうと真剣に耳を傾けます。
ここで止めたい…。
これは天井まで突き抜けていない中柱。
数寄屋造りには空間を美しく見せるためのさまざまな技があるのです。
日本の伝統建築の奥の深さに触れた職人たち。
大きな刺激を受けたようです。
秋元社長は数寄屋造りの技術を学ばせるため今後社員を順番に京都へ修業に出すつもりです。
実際にはい。
年に2回の技能テストがいよいよ始まりました。
川上さん勝負の時です。
この日は年に2回行われる社内の技能テスト。
その中に川上さんの姿も。
緊張気味。
はい。
いよいよスタート。
いかに早く正確に課題を完成させられるか。
川上さんが挑戦するのは…。
少しでも誤差があれば木材ははまりません。
2年目の職人への課題は木組みの技術が2か所に必要です。
4時間半以内に仕上げなければなりません。
川上さん連日仕事のあとに自主練習してきた成果は出るのでしょうか。
およそ3時間かけて仕上げた2本の木材を1本につなげていきます。
〜見事ぴったりとはまりました。
2年目の職人では一番に課題を完成させた人が。
川上さんも急いで次の作業へ。
もう一つの木材を合わせて完成です。
二番目の早さで仕上げました。
これ大事なのは…。
先輩の大工が審査してくれます。
評価は?うまいじゃん。
そして成績発表。
合計得点では川上さん2年目の職人の中で3位でした。
秋元社長の目標は若い職人を1,000人育成することだといいます。
東北の復興そして2020年の東京オリンピック。
需要はあるのに人手が足りない。
建設業界はそんな問題を抱えているようです。
日本の優れた建設技術を次の世代につなげていくためにもこれまでの常識にとらわれない新たな方法で人材を集め育てることが求められているのかもしれません。
2014/11/18(火) 22:00〜22:54
テレビ大阪1
ガイアの夜明け【今こそ、若手職人を育てる!】[字]

25年連続で増収!200人の職人を安定雇用!驚きの建設会社▽女子大生たちが憧れる建設現場!?…男社会を激変させた「12人の女性集団」とは!?

詳細情報
番組内容
東日本大震災からの復興や2020年の東京五輪などで、いま建設需要が急激に膨らんでいる。ところが、現場で作業する職人の人数が足りず、工事が大幅に遅れたり、建設を延期するケースが出てきている。また、職人を募集するにも、危険、きつい、汚いの「3K」のイメージがつきすぎ、若手はなかなか集まらないという。いかに若手を集め、ベテランの技術を継承していくか。新たに始まった取り組みを追う。
出演者
【案内人】江口洋介
【ナレーター】杉本哲太
音楽
【音楽】
新井誠志
【テーマ曲】
◆オープニング曲
 「鼓動〜ガイアの夜明け」(作曲/岸利至)
◆エンディング曲
 「夜空の花」(作曲/新井誠志)
「ガイア」とは
ギリシャ神話に登場する「大地の女神」を意味し、後にノーベル賞作家のウイリアム・ゴールディングが「地球」を指して“ガイア”と呼んだことから「ガイア=地球」という解釈が定着している。「ガイアの夜明け」という番組タイトルには、地球規模で経済事象を捉えることで21世紀の新たな日本像を模索すること、そして低迷する経済状況からの再生=「夜明け」を目指す現在の日本を描くという意味合いが込められている。
関連情報
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◆公式Twitter

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