相棒 Eleven #14 2014.12.06


バレンタインだよ。
どうする?持ってきたの?持ってきたよ。
(校長)警察の方にいて頂けると学校側としても非常に心強いです。
待機場所は校長室で。
(杉下右京)わかりました。
お願いします。
では。
チョコ持ってきた?持ってきたよ。
誰にあげるの?それは教えない。
今日はバレンタインでしたね。
(甲斐享)例の裏サイトの書き込み誰も気にしてないみたいっすね。
慶明中学裏サイト…。
「2月14日8時30分計画を遂行する」「これは復讐だ」?「学校爆破。
教師殺せ」
(中園照生)最近はこのような予告のあと実際に事件化するケースが少なくない。
この学校の警備を頼む。
はい…。
でもなんで特命に?わけは聞くな。
え?フン。
参事官何か隠してますね。
何隠してるんでしょうね?色んな事を隠してる方ですからねぇ。
それよりカイトくんそろそろ予告の時間ですよ。
はい。
『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』杉下さん。
杉下さん…。
ええ。
「復讐成功」藍沢!藍沢!
(教師)藍沢待て!待て!お前な!藍沢ーっ!うわっ!キャーッ!キャーッ!
(女子生徒の悲鳴)落ちたぞ!誰かが落ちた!おい大丈夫か?おいしっかりしろ!どうしました?追っていたら階段から落ちて…。
カイトくん。
はい。
彼の名前は?藍沢…藍沢祐介です!
(救急隊員)段差気をつけろよ!下りるぞ!大丈夫ですからね。
せーの!あれ?杉下さんどこ行ったんだよ…。
(携帯電話)はいカイトです。
「興味深いものを見つけました」えっ?何見つけたんすか?チラシに「復讐成功」と書かれていた事から学校裏サイトに予告をしたのも藍沢祐介くんと見て間違いないでしょう。
先ほどかかっていたのはこの曲です。
『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』?ええ。
8時半にかかるようにタイマーがセットされていました。
ええ。
見つけたのってこれの事っすか?いいえ屋上です。
これです。
なんですか?これ。
ジャズのレコードのようですねぇ。
これも藍沢祐介くんが?おそらく。
しかもここにあるレコードは全て名盤ばかりですよ。
これ。
これはルイス・デビッドソンの名盤です。
これも…名盤。
これも名盤。
どれも希少価値の高いものばかりです。
なんでこんな事を?学校裏サイトの掲示板にはこの計画は復讐だと書かれていました。
彼の復讐とは大音量で『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』を流しながら屋上から垂れ幕をたらしてチラシをまき散らしジャズの名盤を粉々に砕く事だった。
しかしそれが…。
ええ。
一体なんの復讐になるのでしょうねぇ?じゃあ普段の藍沢祐介くんは目立たない存在であんないたずらをするような子じゃなかったんだ。
はい。
あいつ友達いなかったんで。
復讐とか言われても本当意味わかんないです。
ではジャズに興味があったかどうかは?さあ…。
アニソンばっか聞いてたよな?きっついアニオタだったもんな。
アニメソングばかり聞いてるアニメオタクの事です。
どうもありがとう。
じゃあ彼の周りで何か変わった事は?あっ変な噂あったよな?変な噂?あっあったあった!3か月前ぐらいから藍沢と高村が付き合ってるって噂でしょ?そうそうそう。
けどあり得ないって!高村はミス慶明中だよ?そうだよな。
あり得ないあり得ない。
高村奈津さんですね?
(高村奈津)私と藍沢くんが付き合ってる?3か月前にそのような噂があったと聞きました。
ただの噂です。
正直迷惑でしたし…。
では彼がジャズが好きだったかどうかも…。
私は何も知りません!クラスも違うしまともに話した事もないんです。
そっか…。
チラシはご覧になった?なんで警察があんな噂調べてるんですか?
(女子生徒)奈津!次の時間理科室だって。
わかった。
失礼します。
行こう。
あっここですね。
ちょっと開いてますね。
あっ…。
ええ。
確かにアニオタのようですね。
杉下さんこれ。
「中古レコード買取見積書」藍沢祐介くんは3か月前にレコードを売ろうとしていたようですねぇ。
やっぱりいい値段しますね。
このリストにあるレコードは全て屋上で砕かれたものと一致してますねぇ。
えーっとココナッツディスク…。
(ホイッスル)
(パトカーのサイレン)どうも。
どうも。
(米沢守)おや2人もいらしてたんですか?殺人事件のようですね。
ええ。
被害者はこの店の店主の白石幸生さん48歳。
死亡推定時刻は本日午前0時から2時頃。
死因は脳挫傷。
背後から後頭部を強打されたようですな。
凶器はこの店にあった消火器です。
どうもありがとう。

(伊丹憲一)奥さんが店を開ける時間にここに来たらご主人が倒れていたんですね?
(白石喜美子)はい…。
彼は飲みに出るとよく店に泊まるんです。
(三浦信輔)それで昨夜家に帰らなくても不思議に思わなかった。
はい…。
(芹沢慶二)店の金品や貴重品などで紛失したものってありますか?昨日の売り上げがレジから…。
値の張るレコードの棚も荒らされてたのでもしかするとそこからも…。
そうですか。
わかりました。
どうも。
窃盗目的の犯行か?被害者に見つかって衝動的に殺したっていうところか…。
皆さん。
うおっ!こちらでしたか。
警部殿!どうも。
(芹沢・三浦)どうも。
ちょっと見て頂きたいものが。
このレコードプレーヤーを見て頂けますか?ふむ。
犯人が物色している時か被害者ともみ合った際に棚から落ちたんじゃありませんか?それが何か?このレコードプレーヤーはスイッチが入った状態になっています。
カイトくん。
はい。
(伊丹)あっ…。
ええ。
察するにこのレコードプレーヤーはなんらかの理由でスイッチが入ったままの状態で棚から落ちその拍子にコンセントが抜けた。
ええええ。
つまり被害者の白石幸生さんは犯人が店内に侵入した際にレコードを聴いていた可能性がある。
…と考えられませんか?だとすると…犯人は被害者がいる事をわかってた。
のせられてんじゃねえよ。
しかし警部殿の話も一理ある。
窃盗目的なら人がいるとわかってる店内に忍び込むとは考えがたい。
それならこの荒らされた部屋は強盗に見せかけた偽装工作とも考えられますね。
という事は怨恨の線も出てきますよ。
ああもう!怨恨の線も洗う!ただし強盗の可能性が消えたわけじゃありませんから。
もちろんその可能性も否定しませんよ。
ご理解頂いて感謝します。
あとは我々がやりますのでお引き取りを。
わかりました。
どうも。
少しよろしいでしょうか?…はい。
藍沢祐介くんという中学3年生の少年をご存じですか?レコードの見積もりを依頼していたようなんですが。
あの…。
これなんですが…。
確かに彼の字ですけど私は知りません。
ひとつお願いがあるのですが。
藍沢祐介くんの名前は顧客リストの中にはないようですねぇ。
レコードが買い取られた形跡もありません。
白石幸生さんは買い取りは見送ったんですかね?もしくは藍沢祐介くんの気が変わって…。
売るのをやめた。
ええ。
(咳払い)もう十分でしょう。
そろそろお帰り願えますか?あとひとつで終わります。
もう杉下警部…!すみませんねぇ。
これが最後です。
ご主人の左手首に傷がありましたが…。
以前彼がカッターで荷物を解いている時自分で切ったんです。
そうでしたか。
(伊丹)終わりましたか?終わりました。
あっご苦労さん。
奥さんちょっと。
頼みますから帰ってください。
ねっ。
(心電図モニターの音)
(藍沢英樹)復讐…ですか?今朝のいたずらが。
どういう意味かお心当たりはありませんか?さあ…わかりませんね。
(藍沢修子)私もです。
まだ信じられません。
祐介そんな問題を起こすような子じゃないんです。
ではこのレコードに見覚えはありませんか?これも祐介くんがやったみたいなんですが。
(藍沢)全部私のコレクションです。
祐介くんはなぜお父さんのコレクションをバラバラに砕いてしまったのでしょう?…知りませんよ。
もうよろしいですか?仕事を抜けて来てるんです。
戻らないといけないんで。
お忙しいところを。
失礼します。
(修子)すみませんでした。
主人が失礼な態度を…。
いえ…。
(修子)あの…上の子を亡くしてから祐介とは溝が出来てしまって…。
祐介くんのお兄さん病気か何かで…?弘信は活発な子でした。
学校ではサッカー部のキャプテンで正義感が人一倍強かったんです。
(男)よこせ!
(三崎佐那)放して!やっ…!よこせ!あっ!いやっ…!いやっ!いやっ…!
(藍沢弘信)大丈夫ですか?
(刺す音)
(佐那)あっ…!
(修子)3年前の今日でした。
弘信は祐介と同じ15歳でした。
(修子)犯人は麻薬中毒者だったそうです。
覚醒剤の過剰摂取で死んでいたと聞かされました。
私たちは恨みをぶつける相手さえ失ったんです。
(修子)主人は特に弘信をかわいがってました。
自分の大好きなサッカーやジャズを教えゆくゆくは会社も継がせるつもりだったんです。
事件の少し前弘信の15歳の誕生日の日に大切なジャズのレコードも弘信に譲ったんです。
あのレコードは弘信くんの遺品でもあるんですねぇ。
ええ…。
なぜその事が原因で祐介くんとお父さんの間に溝が…?主人が祐介に冷たく当たるようになったんです。
亡くなった弘信と比べていたのかもしれません。
(修子の声)祐介もいつしか弘信の事は口にしなくなり…。
まるで初めからいなかったみたいに…。
そうですか…。
あ…とっても仲のいい兄弟だったんです。
弘信の命日にこんな事になってしまって…。
祐介くんの携帯電話お借り出来ますか?復讐の意味とレコードを砕いた理由を調べさせてください。
わかりました…。
祐介くんの復讐計画はお父さんとお兄さんに対する反発が原因だったんでしょうか?そうかもしれませんねぇ。
しかしひとつ気になる事があります。
なんすか?弘信くんの命日です。
命日…?3年前の2月14日ですよね?そして白石幸生さんが殺されたのが…。
今年の2月14日バレンタイン。
ええ。
2つの事件が時を経て同じ日に起こっています。
これ偶然でしょうかねぇ…。
うーん…。
あっカイトくん。
先ほど見つけたのですが祐介くんはソーシャルネットワークで日記を公開しているようですよ。
INDIGOというハンドルネームでアニメ好きのコミュニティーにも参加しています。
学校で友達作らないでこっちで作ってたんだ。
頻繁にカツアゲされてたみたいですね。
フィギュア買うためにレコード売ろうとしたんだ。
このヴェラノというハンドルネームの人物が白石さんの店を紹介したようですよ。
「いい店発見!ココナッツディスク」「ネットの評判も上々。
今度行ってみない?」ん…?やっぱりレコード売ったんだ。
でも変ですよね。
なんで売ったのに持ってたんでしょうか?その事が書かれた日記はありませんでしたねぇ。
どうします?ヴェラノさんに直接当たってみましょうか。
ええ。
でもハンドルネームだけじゃ身元を特定出来ませんよ。
一人心当たりがあります。
制覇したいけどさ〜。
それはねちょっと厳しいかな…。
どうしたの?先行ってて。
なんか用ですか?君…ヴェラノさんだよね?ヴェラノというのはアニメのメーンキャラクターですねぇ。
またヴェラノにはスペイン語で「夏」という意味が存在します。
つまり奈津さんあなたの名前と同じ音になるんです。
それでもしやと思いました。
ヴェラノはあなたではないかと。
なんで隠してたのかな?祐介くんと友達だって。
学校ではキャラが大事なんです。
だからアニメ好きだと誰にも言えなかった?…はい。
でもネットなら匿名で人と話せます。
ソーシャルネットワークでアニメのコミュニティーに参加するようになってINDIGOと知り合いました。
そのINDIGOが祐介くんだったんですね?仲よくなってからお互い気づきました。
最低ですよね。
自分守って藍沢くんの事隠して。
本当の自分を出せる唯一の友達なのに…。
祐介くんとココナッツディスクにレコードを売りに行きましたね。
察するにそれを同級生に目撃されて付き合っているという噂が立ったんじゃありませんかね?その時の話聞かせてもらえるかな?
(祐介)こんなに…。
嘘でしょ…。
(白石幸生)これでも安いぐらいだ。
(白石)文句なければ住所と名前。
(藍沢祐介)いえ文句なんて…。
一応聞いとく。
こんな高価なレコードなんで中学生が持ってる?盗んだんじゃないだろうな?違いますよ。
違いますよ。
兄貴の遺品なんです。
(白石)藍沢…。
お兄さんの名前は?弘信ですけど。
レコードは持って帰ってくれ。
今さらなんで?気が変わったんだ。
買い取りはやめる。
祐介くんのお兄さんを知ってたって事?わかりません。
でも店長さんの様子が急に変わったんです。
レコードは結局別の店で売りました。
その売ったはずのレコードを裕介くんは粉々に砕きました。
どういう事か心当たりはありませんか?バレンタインの前の日藍沢くん学校にあのレコード持ってきてたんです。
(奈津)このレコードどうしたの?ああ…取り戻したんだ。
(奈津)なんで?バレンタインに復讐する。
復讐…?どういう事?あんま話さないほうがいいよ。
…また噂になるから。
(奈津の声)その「復讐」って言葉にいやな予感がして…。
なるほど。
藍沢くん意識戻りますよね?心配ならお見舞いに行ってあげなよ。
病院の場所教えてもらえますか?もちろん。
あっ杉下さん。
ごめんね。
これ…。
このキャップなぜこんなに集めているのでしょう?20個集めて応募するとアニメのオリジナルDVDが当たるんです。
つまりアニメのキャンペーンって事?そうです。
藍沢くんに教えてもらって。
つまり藍沢くんもこれを集めていたのでしょうか?はい。
藍沢くんが大好きなアニメなんです。
必ず当ててやるって毎日何本も飲んでました。
白石幸生さんは祐介くんと同じキャップを集めてたんでしょうか?だとしたら命日に続いて妙な偶然ですねぇ。
彼女の話では白石幸生さんは生前の弘信くんの事を知ってたんじゃないっすかね?僕もそう思いますよ。
(米沢)こちらが白石幸生さんの着衣や所持品です。
そしてこれが3年前の藍沢弘信くん殺害事件の捜査資料です。
拝見します。
この日付。
弘信くんが殺された当日です。
ん…?しかも店の住所は弘信くん殺害現場のすぐ近くですね。
3年前の事件を調べてみましょう。
どうも。
警視庁特命係の杉下と申します。
同じく甲斐です。
三崎佐那さんですね?はい…。
藍沢弘信くん殺害事件についてお話伺えますか?どうして今頃…?この男性に見覚えはありませんか?白石幸生さんといって数日前に殺害されました。
この人…。
ご存じですか?この人の顔は忘れられません。
しかし当時の捜査資料などには白石幸生さんに関する証言は見当たりませんでしたが。
…言えなかったんです。
誰にも。
うっ…。
金…金…。
いやっ!金…!キャーッ!祐介くんが白石さんを殺す動機が見つかりましたね。
でも白石さんはどうしてあんな古いレシートを取ってたんでしょうね。
逃げた事を後悔していたのかもしれませんねぇ。
やっぱり祐介くんなんですかね?仮に祐介くんが犯人だとして祐介くんは白石幸生さんが弘信くんを見殺しにした事をどのように知り得たのでしょうねぇ。
(藍沢)祐介が殺人事件に関係してるとおっしゃるんですか?その疑いがあります。
2日前2月14日の午前0時から2時頃息子さんはどちらに?わかりません。
私は仕事で明け方に帰ってきたので。
そうですか…。
息子さんの部屋は拝見出来ますか?拝見します。
見て頂きたいものがあります。
拝見します。
これは…血痕ですね。
3か月くらい前祐介が外のゴミ箱に捨てていたんです。
祐介くんには訳は聞かなかったのでしょうか?…ええ。
3か月も放っておいたんですか?私が聞いても祐介は何も答えません。
私を毛嫌いしてるんです。
面倒な息子なんですよ。
面倒…?私にはお手上げです。
あとは警察にお任せします。
あなた…!カイトくん。
…はい。
祐介が罪を犯してるなら逮捕でもなんでもしてください。
もし罪を犯していたとしたら。
あなた帰ってたの?祐介の着替えを取りに。
あの子個室に移ったのよ。
あとは意識が戻れば…。
もう寝るわ。
明日も早いしな。
ねえ!祐介のお見舞い行ってあげて。
あの子が入院した時顔出したきりじゃない。
仕事が立て込んでるんだ。
祐介の事心配じゃないの?弘信が亡くなってからずっと冷たく当たって…。
あの子がどんな気持ちだったかわかる?今さら俺にどうしろっていうんだ。
…もう遅い。
えっ?祐介は逮捕されるよ。

(米沢)カッターの柄の部分から藍沢祐介少年の指紋が検出されました。
どうぞ。
どうもありがとう。
刃に付着していた血痕は白石幸生さんのものでした。
血痕は先端から4センチに及んでいましたから相当深い傷だったでしょうな。
ではこの傷は…。
(米沢)ええ。
監察医務院に確認を取りました。
杉下警部のご推察どおりこのカッターの傷でほぼ間違いないかと。
この傷祐介くんが?だとすると3か月前から復讐の機会を狙ってたって事ですか?しかし妙ですねぇ。
この傷が祐介くんの仕業だとすると矛盾してますねぇ。
あ…。
(喜美子)この傷が何か?先日お聞きした時あなたはこうおっしゃいましたね。
彼がカッターで荷物を解いている時自分で切ったんです。
何かの間違いという事はありませんかねぇ。
間違いありませんけど。
どういう事ですか?実は以前お聞きした藍沢祐介くんの所持していたカッターからご主人の血痕が検出されました。
監察医によるとご主人の手首の傷はそのカッターによるものだとわかりました。
何言ってるんですか?彼は私の目の前でけがしたんですよ。
そちらの間違いじゃないんですか?ご主人は左利きですか?そうですけど。
それが何か?いえ。
こちらのハサミ…。
左利き用ですよねぇ。
ひょっとしたらと思いまして。
しかしだとすると妙ではありませんかねぇ。
左利きのご主人がカッターナイフで左手首にけがをする…。
いささか不自然に思えるのですが。
…すいません。
なぜご主人が自分でやったなんて嘘を?祐介くんをかばっているようにも思えるのですが正直にお話しして頂けませんか?
(男子生徒)おい金出せよ。
(男子生徒)出せよ!
(男子生徒)早く出せよ!
(祐介)うあーっ!
(祐介)あーっ!
(白石)やめろ!何してんだ!
(祐介)ああっ!本当にすいませんでした!…いいんだ。
気にしなくていい。
やっぱり僕警察に行きます。
よかったんだよ刺されて。
彼は祐介くんに話しました。
3年前お兄さんを見殺しにしてしまった事を。
気にしないでください。
兄貴は自分で勝手に巻き込まれて勝手に死んだんです。
この人が買い戻したの。
お兄さんの大切な思い出だろ。
なんでこんな事…。
『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』の歌詞カードの裏見てみな。
兄貴の字…。
(弘信の声)「バレンタイン計画」
(弘信の声)「これは俺を取り戻す計画だ」「親父は俺を思いどおりにしようとする」「本当の俺はジャズよりアイドルが好きだ」「サッカーより野球が好きだ」「優等生の俺はバレンタインでサヨナラだ」「学校で騒ぎを起こして親父のレコードをぶっ壊す」「本当の自分を取り戻してみせる」なんか用?明日のバレンタイン朝うちの中学に来いよ。
面白いもん見せてやるからさ。

(刺す音)
(白石の声)俺が助けていたら君はきっと会えたんだ。
(白石)本当の自分を取り戻したお兄さんに…。
兄貴はこんな事を思ってたんだ…。
あの日を境に祐介くんはうちに遊びに来るようになりました。
東京じゃねうちでしか置いてないんだよ。
本当に?いや本当だよ。
(喜美子)そうそう野菜にんじん。
(白石)肉肉。
(喜美子)はいオッケー。
それがあの日…2月13日の夜の事です。
なんでキャップなんて集めてるの?ああグリーンキャップ運動。
知ってる?キャップをリサイクル業者に売った資金で世界中の緑を増やすの。
じゃあ僕のキャップもあげるよ。
いらないよ。
アニメグッズ当てるんでしょ?人の役に立った方がいいからさ。
はい。
ありがとう。
どういたしまして。
おかえり。
おかえりなさい。
祐介。
もううちには来るな。
え?どうして急に…。
ずっと思ってたんだ。
こんな事を続けてちゃダメだ。
…どういう意味?お前は自分の家に居づらいから俺たちを逃げ場所にしてただけだ。
ここにいると本当の自分でいられるんだ。
いつまでも親から逃げるな。
お兄さんだってきっとそう思ってるはずだ。
偉そうな事言うなよ。
兄貴を見殺しにしたくせに。

(祐介)ふざけんな…!
(喜美子)ちょっと…!これでよかったんだ。
何言ってるの!?行ってあげて!早く!ほら!翌朝何が起きたのかわかりませんでした。

(杉下の声)祐介くんをかばうために偽装工作をしたというわけですね。
夫だったらそうするような気がして…。
えっ白石さんもペットボトルのキャップを集めてたんですよね?あの人以前から祐介くんのために集めてたんです。
たまったら渡すつもりで…。
ご主人の集めていたキャップは今どこに?それが…事件のあとから見当たらないんです。
大変参考になりました。
カイトくん。
はい。
ひとつ確かめたい事が出てきました。
これはあなたの家のゴミ置き場を写したものです。
1週間ほど前あなたはそのキャップの飲料水をまとめ買いしましたね?近くのスーパーで確認しました。
まとめ買いは祐介くんのためですね?祐介くんはアニメDVDを当てるためにこの飲料水のキャップを集めていましたからね。
何をおっしゃりたいんですか?なぜこんなにたくさんのキャップが一度に捨てられていたのかどうも引っかかってしまいましてね。
祐介が集めるのをやめたんです。
おや妙ですねぇ。
祐介くんがこのキャップを集めるのをやめようと決心したのは白石幸生さんが殺害されるほんの数時間前ですよ。
しかもそれを話した相手は白石幸生さんとその妻である喜美子さんだけでした。
もうひとつ妙な事があります。
これらのキャップからはあなたの指紋とそしてもうひとつ。
白石幸生さんの指紋が検出されました。
このキャップは白石さんの店にあったものですよね?それをあなたが持ち出し家に持ち帰りゴミ置き場に捨てた。
違いますか?このままでは我々は祐介くんを容疑者として疑い続ける事になります。
お母さんはそれでもいいんですか?私はただ…祐介の笑顔が見たかったんです。
(修子の声)弘信が死んでから祐介は笑わなくなりました。
今日祐介の好きなハンバーグ作るから。
(修子の声)祐介を守ってあげられるのは母親の私だけだと思いました。
でも3か月ほど前から祐介の帰りが遅くなってきたんです。
訳を訊いても話してくれませんでした。
あの子は母親の私にまで心を閉ざしてしまったんです。
(白石)『木綿のハンカチーフ』。
(祐介)全くわかんない。
(白石)わかんない?
(喜美子)嘘〜。
(修子の声)ずっと見たかった祐介の笑顔でした。
私は祐介の気持ちを取り戻したくて必死でした。
はい。
明日は弘信の命日よ。
家族3人で…。
いってきます。

(修子の声)弘信が死んで…今また祐介まで…私の手の届かないところに行ってしまう…。
(修子の声)気がつくとあの店の前でした。
(祐介)さっきはひどい事言ってごめんなさい。
(白石)本当の事だ。
(白石)俺はお前に慕われる資格なんかない。
(祐介)バレンタイン計画が終わったら逃げるのはやめる。
そうか。
だからまたおじさんちに行っていいよね?祐介お前…。
明日の計画は復讐なんだ。
兄貴をあんな運命にした神様への復讐。
それと親から逃げてた兄貴と僕への復讐。
(祐介)本当の自分になりたかった兄貴に見せてやる。
そう思えたのはおじさんとおばさんに会えたからだよ。
そうか…。
キャップ集めるのやめたんだな。
うん。

(祐介)これもおばさんに渡しといて。
それじゃあ帰るね。
また明日。

(修子の声)祐介の心を奪ったこの男が許せなかった…。
『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』
(殴る音)『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』祐介はどうして母親の私に本当の自分を見せてくれなかったんでしょうか。
親子だからじゃありませんかねぇ。
血の繋がりがあるからこそ生まれる愛情の行き違いじゃありませんかねぇ。
ありがとうございました。
(看護師)藍沢さん!祐介くんの意識戻りました。
(修子の嗚咽)ひと目会っていかれますか?ちゃんと罪を償って本当の祐介に会いに行きます。
この度はご迷惑をおかけしました。
祐介には私から全て話します。
そうですか。

(祐介)お父さん…。
(藍沢)…顔色いいじゃないか。
祐介くん大丈夫ですかね?僕はそう信じていますよ。
俺たまに見に行ってきます。
それはいいですね
(角田六郎)おい。
これ持ってってくれって中園参事官が置いてった。
えっ?なんか娘さんの手作りらしい。
バレンタインだとさ。
なんで参事官の娘さんがうちにチョコを?あれ?知らなかったの?え?慶明中学の警護に行ったんだろ?はい。
あそこ中園参事官の娘が通ってんだよ。
娘のためか…。
謎が解けましたね。
親は子供の事となるとどんな些細な事でも心配になるのでしょう。
しかしおかげで事件も解決出来ました。
ハハ…よかった。
(享・角田)おお〜!かわいいですねぇ。
いやあうらやましいね。
俺なんかさかみさんも娘もなんにもくれなかったよ。
残念ですね。
俺は彼女にもらいました。
イヤミな奴だな。
(享・角田)おっうまい!おっあんたもどうだい?これ。
どうせ1個ももらってないんだろ?チョコ。
失礼ですね。
杉下さんのうちはチョコレートでいっぱいですよ。
ねえ杉下さん。
いっぱいってお前…。
2014/12/06(土) 16:30〜17:25
ABCテレビ1
相棒 Eleven #14[再][解][字]

「バレンタイン計画」

詳細情報
◇出演者
水谷豊、成宮寛貴
川原和久、大谷亮介、山中崇史
山西惇、六角精児、小野了

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語
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