木曜時代劇 ぼんくら(10)(最終回)「さよなら鉄瓶長屋」 2014.12.24


ピクチャー・レコードはいっぱいあるんですけど変型ってなかなかそんなにないんですよ。
あんまり大きくなり過ぎてもちょっと回らないっていう。
ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのギターみたいな形のもありますし。
湊屋総右衛門の女房おふじが信心に凝っていたいきさつから鉄瓶長屋の八百富があった場所に総右衛門の姪葵の骨が埋まっていると確信した平四郎は政五郎らの力を借りて八百富の下の地面を掘ってみた。
しかし出てきたのは犬の顎の骨だけであった
(烏の鳴き声)
(平四郎)ああ〜!
(鳴き声)弓之助のあんばいはどうだって?
(志乃)熱を出して伏せっているとの事です。
気がふさいでいるようで元気もあまりないとか。
漏らしちまったからな〜。
体が冷えたのかもしれん。
一体何があったのでございますか?悪党の岡っ引きを1人捕まえた。
あっそうだ。
前にも話しただろう。
弓之助がかたどった歯型の一件。
はい。
そいつが役に立った。
(仁平)痛い痛い痛い痛い…!
(仁平)痛い…。
(政五郎)ぴたりでござんす旦那。
これじゃあ言い逃れできねえなあ仁平。
旦那!正次郎ははなから殺すつもりだった訳じゃねえ。
拷問にかけたのだって湊屋総右衛門の悪事をばらすためだったんだ!その事は旦那だってご存じなはずだ!総右衛門の姪の葵を殺したのはおふじだ!見逃してくれとは言わねえが総右衛門と女房のおふじを道連れにしなきゃ間尺に合わねえや!仁平よう。
訳の分からねえ事言ってんじゃねえよ。
その何だ?湊屋の悪事ってのは何の事だ?政五郎分かるか?いいえ知りません。
ああ!?俺も知らねえぞ。
あ?何?総右衛門の姪?姪?誰だ?そりゃ。
しらばっくれるんじゃねえよ!だったら何で八百富の跡を掘ったりしてたんだよ!葵の骨を探すつもりだったんだろうがよ!何を言ってんだよあそこの差配人の佐吉になこの政五郎が留守を頼まれてたんだよ。
そこで手下を挙げての大掃除よ。
そうだろう?政五郎。
へい。
そしたらな仁平。
虫があっちこっち巣食いやがってあのままじゃ建物が食い荒らされるかもしれねえって事になってな。
どうもそのでっかい虫の巣が八百富の下辺りらしいってにらんで掘ってたんだよ。
ねえ旦那。
いい加減な事言ってんじゃねえ!何言ってんでえ!おら!俺もな佐吉にはいろいろと頼まれてるからなあ。
お前も知ってのとおり俺は昼行灯で暇な体だ。
腹ごなしに助けてたって訳だ。
うそだうそだうそだうそだうそだうそだ!俺は諦めねえからな!間違いねえんだよ!あそこに埋まってるんだよ!ふう〜。
結局全部掘ってみるしかねえか。
放っておきゃよかったかな〜。
お客様です。
誰?鉄瓶長屋の差配人の久兵衛さんです。
いい加減頭上げてくんな。
はあ…。
鉄瓶長屋の周りであんたを見かけたってうわさがあった。
雨の日にちょきの舳先に笠かぶって乗ってたってさ。
あっおくめも…知ってるだろう?幸兵衛長屋にいた女。
あいつも八幡様の近くで見かけたって言ってたし。
そうだ。
いつだったか鬼ごっこもしたんだっけなあ。
お露と富平にも会ってたんだよな。
(足音)あらあらどうされたのですか?そんなにかしこまって。
それにしてもお久しいですね。
お元気でしたか?鉄瓶長屋は久兵衛さんの差配でもっているといつも主人がうわさしておりますのよ。
ねえあなた。
うん?ああちくと込み入った話がある。
それは気が付きませんでした。
ではごゆるりと。
そうか。
うちのはお前が差配人を辞めた事を知らなかったのか。
そりゃそうだ。
話してねえから。
(久兵衛)井筒様。
えっ?井筒様は手前どもが何を申し上げなくてももう全てご承知の事と存じます。
手前がしでかした不始末につきましては重々おわび申し上げなければならないとかねてから心苦しく思っておりました。
しかし今日のところは手前はあるじ湊屋総右衛門の使いとして参りました。
あっそう。
はい。
湊屋さんは何て言ってるんだ?是非とも井筒様に一度お目にかかりたいと。
俺に?はい。
夕刻湊屋の使いがやって来た
行ってらっしゃいまし。

(房吉)足元にお気を付け下さい。
お前房吉とかいったな。
お律は元気にしてるかい?お待ちでございます。
はあ〜すげえなあこりゃあ。
さすが湊屋さんだ。
そうだ。
ここに来る事は茂七親分の一の手下岡っ引きの政五郎には伝えてある。
さようで。
その政五郎は今仁平に付きっきりでなあ。
知ってるよな?仁平。
はい。

(物音)失礼致します。
(障子が開く音)お初にお目にかかります。
湊屋総右衛門でございます。
今宵は失礼も顧みずぶしつけながらこのような座を設けました。
ご不快がございましたならばこの総右衛門幾重にもおわび致します。
どうぞお許しを。
心の声へえ〜五十路半ばにしちゃ若えや。
なるほどこりゃ女好きのする顔だ。
それにしてもいい着物着てるじゃねえか。
縮緬だな。
けど髷の結い方がちょいと後ろすぎやしねえか?
(久兵衛)井筒様?井筒様。
えっ?おうすまねえちくと酔ったようだ。
ご酒を召されていませんが。
いや船によ。
まあ俺もあんたに話を聞きたいとは思ってた。
だからとっとといこう。
湊屋さんあんたどうして久兵衛さんを使って佐吉も使って手間ひまと金をかけて鉄瓶長屋から店子を立ち退かせようとしてきたんだ?俺は正直そこが分かればあとはおまけみたいなもんなんだがな。
井筒様はどうお考えで?ハッハッハッハッ…。
俺に話せってか。
よ〜し。
平四郎は弓之助と共に探り当てた事を話した。
八百富の太助殺しから始まった鉄瓶長屋の出来事がおふじと葵の確執による殺人事件が発端でありそれを隠そうとした総右衛門の仕業であった事。
だが葵の骨はまだ見つかっていない事。
多少話は前後はしたがあらかた話しおおせた
とかく人をだますってのは難儀な事だ。
けどさすが立派な差配人の久兵衛さんだ。
お徳は今でもだまされてる。
湊屋さん葵はどこに埋まってる?それが分からねえ事にはにっちもさっちもいかねえや。
もう手詰まりだよ。
井筒様。
何だい?葵は死んではおりません。
生きております。
…えっ?ですから鉄瓶長屋の地所には何も埋まっていないのです。
…えっ?そこさえ除けば全て井筒様のおっしゃるとおり当たっております。
恐れ入りました。
とりわけ提灯屋の離れでおふじと葵がもめ事を起こし葵の亡骸がそこに埋まっているというご推量はまことにお見事でございます。
・そうか…。

(総右衛門)はい。
死んでないのか。
はい。
いやけどよ葵が生きてるのに俺たちの言う事が当たってるというのはおかしくねえか?ですがそうなのでございます。
葵は死んではおりません。
17年前提灯屋でいさかいのあげく…。
(葵)ああ〜!
(おふじ)うわ〜!
(総右衛門)おふじは葵を殴りつけその首を絞めたそうでございます。
ですが非力な女の力です。
絞めきれなかったのでしょう。
おふじが逃げ帰ったあと葵は息を吹き返したのです。
(せきこみ)
(総右衛門)葵は井筒様も知ってのとおり私とは深い仲でした。
あれの使いで提灯屋の奉公人が私に知らせに来たのですがいやもう仰天致しました。
私は大事な寄り合いがありましたのでお店の者を差し向けとにかく葵をかくまったのでございます。
ちょっと待った。
はい。
そのお店の者ってのは今日俺を迎えに来たあの…房吉とかいう番頭さんかい?お察しのとおりでございます。
そんな昔っからかい。
八百富の太助を殺したのはあの男なのか?いや殺したってのはあれかな。
黙らせた?井筒様。
あ?あの当時お徳たちが思っていたような事はございませんでした。
だろうな。
お露が殺したのでもない。
もちろん富平でもない。
私が殺したのでもありませんという事ではお許し願えませんか?構わねえよ。
どうせあんたを締め上げてもとどのつまり「恐れ入りました。
太助を手にかけたのは私です」。
…と湊屋さんをかばうだろうしなあんたなら。
話の続きを聞かせてもらおうか。
とにもかくにも葵は助かりましたがそれをおふじにどう伝えたらよいか迷いました。
息を吹き返したなどと伝えたら人殺しにならなかった事を喜ぶよりむしろし損じた事を悔しがるのではないか。
そう思えてなりませんでした。
とどのつまり私は葵を死んだものとする事に決め逃がしたのです。
もしもおふじがその事を悔いている様子を見せたら実はと打ち明けるつもりだったのですが…。
どこに行っちまったんだろう。
お店の者たちも心配してるというのに。
ねえお前さん。
(総右衛門)鬼のような女だと思いました。
提灯屋にはおふじから何か尋ねられたら葵の亡骸は床下に埋めた。
もう気にするなと答えるように伝えました。
もちろん親戚ですからそうやすやすとは聞き入れませんでしたがそれに見合うだけの事はすると言い含め約束させたのです。
そいつは大変だったな。
はい。
佐吉はおっ母さんがお店の金を盗み手代と一緒に逃げたと信じ込んでる様子だったがそれもただのうわさなんだろう?恐らくおふじに言い聞かされたのでしょう。
ただあのころ松太郎という手代がそんな騒ぎの中金を盗んで湊屋から逃げたという不始末はございました。
つまりおふじさんはそいつを葵がいなくなった事と結び付けて佐吉に作り話を聞かせたって訳だ。
あれならそれぐらいの事はしかねません。
あんたはどうしてたんだい?それを黙って見てたのか?佐吉の事は心配でした。
おふじは遠慮なく佐吉につらく当たるようになったのです。
ですから先から知り合いの植木職に預けたのです。
酷だとは思いましたが葵には佐吉にとってもお前はもう死んだ人間なのだと言い聞かせました。
そうかい。
泣いてたろうなあ。
はい。
それはもう母親ですから。
そうかい。
…で?井筒様もご存じのとおりそのうち提灯屋が目を悪くして地所を買い取りました。
私は葵の亡骸が埋まっている事を知らないふりをして事を進めました。
必ずどこかでおふじが本当の事を言いだすだろう。
それを待ってあとはいかようにでもできると。
ところが…あれは本当に恐ろしい女です。
(総右衛門)ぎりぎりになるまで何も言わないで待っていたのです。
知らないでしょうけどあそこには葵が埋まってるんですよ。
ええ私があの女を殺しましたのさ。
7年前の事ですよ。
あなたの大事な葵はもうこの世にはいないんですよ。
私の手にかかって死んでしまったんですから。
葵はもうあなたの手の届かない所にいるんです。
ほら驚いてる。
フフフ…アハハハハッ!手柄顔でございましたよ井筒様。
あれは葵を殺してもまだ飽き足らず私を憎んでおりました。
それでもあんたは本当の事を言わなかった。
仁平に感づかれる事は考えなかったのか?おふじの顔を見ていると言えませんでした。
しゃべった途端おふじは葵を捜しにかかり今度こそ本当に殺してしまうでしょう。
うるさく付きまとう仁平よりその方がよほど怖かったのです。
(総右衛門)葵は死んでる事にしておかねばならなかった。
おふじには葵を殺したと思い込んでもらわねばならなかった。
私にとって葵の命は何より大切なのです。
だからうそをつき通したのです。
(総右衛門)首尾よく事は運んでおりました。
みすずの顔が次第次第に葵に似てくるまでは。
店子たちを立ち退かせたあとどうするつもりだったんだい?
(総右衛門)あそこに湊屋の屋敷を建ておふじを住まわせるつもりでした。
おふじさんを葵さんの墓守にするって訳か。
(総右衛門)本人がそう望みましたので。
総右衛門さん。
つまりあんたはこの17年間ずっと葵さんを囲ってきた訳だ。
あんたの女道楽はおふじさんの目を葵さんから隠す煙幕ってとこか。
いかようにもお考え下さい。
私は一人の女も不幸にはしておりません。
してるさ。
おふじさんは不幸だよ。

(総右衛門)あれは私一人のせいで不幸になった訳じゃない。
自分で自分を不幸にしてきたのです。
佐吉はどうだ?あんたたちのうそのせいで自分の母親を男好きの恩知らずのろくでなしだと思い込んで生きてきたんだぜ。
井筒様。
佐吉は男でございます。
何?私とて海のものとも山のものとも分からぬ男でございます。
ですが私はそれを自力で乗り越えた。
男はそうでなくては困ります。
けどよう。
男だろうが何だろうが佐吉だって本当の事を知りてえはずだ。
それが人情ってもんだろう。
この世の中にどんな本当の事があるんでしょうねえ。
井筒様がどうしても佐吉に打ち明けたいとおっしゃるならそうして下さっても結構でございますよ。
ただしその場合でも佐吉はきっと自分の母親の命を守り通した私に感謝こそすれなじる事などないと思いますが。
そりゃそうだ。
そういうふうに育てられてきたんだからな。
今何と?別に。
俺にはもう何も言う事はねえよ。
葵は死んでねえとなりゃ町方役人の出番じゃねえ。
正次郎はひでえ死にざまだったが殺したのはあんたらじゃないなら責めようもねえ。
仁平が何をわめこうと残るのは正次郎殺しだけだ。
仁平は殺し損。
正次郎は死に損。
まあそんなところでこの話はおつもりだな。
恐れ入ります。
それはつまり井筒様の口から本当の事が外に漏れる気遣いはないとそうお約束頂いたと思ってもよろしゅうございますね?本当の事?フンッ本当の事なんてどこにあるんだよ。
ハハハハ…。
(腰が鳴る音)イテッ!
(腰が鳴る音)はあ〜…。
うん…。
邪魔したな。
(障子の開閉音)あれがおふじさんかい?はい。

(久兵衛)井筒様。
井筒様。
話は済んだ。
お許し下さい。
許す事なんざねえよ。
あんたには大切なお店のご主人じゃねえか。
尽くして当たり前。
俺に謝る事なんざねえよ。
それが本当の事だろう。
ご苦労でした平四郎殿。
その翌日の事
毎度あり〜。
本当によろしいんで?あんな手の込んだ事をしてバカバカしい芝居のようなまねをして大勢の人の手を煩わせて金を遣ってまあ葵のためなんだろうが正気の沙汰じゃねえ。
けどまあ総右衛門は総右衛門なりにおふじの事を思ってたのかもしれねえし。
いや違うかもしれねえが。
どっちだっていい。
もう終わりにしたい。
そばもう一枚だ。
はい毎度おそば6枚目!えっまだ食べなさるんで?ところで湊屋はお前にいくらよこした?えっ?ああ…。
うん?金持ちは違うな〜。
遣っちまえばいいそんな金。
どうせ手前の金じゃねえんだ。
遣っちまえ遣っちまえもうパ〜…。
(腰が鳴る音)旦那…。
腰…。
腰?お〜いおでこ。
腰が…。
腰ですかい?腰だってよ。
あらやだね。
腰が…。
冷やすのかい?温めるのかい?
(小平次)佐吉さん。
ああ小平次さん。
これ着替えと卵です。
ありがとうございます。
(佐吉)「井筒の旦那お届け物ありがとうございました。
あれからおくめさんは風変わりなお医者の先生に診てもらっています。
お徳さんがそばに付きっきりで」。
(お徳)うん?何だい?
(おくめ)楽しかったよお徳さん。
何言ってんだい。
あんたまだ若いんだよ。
私の煮汁を受け継ぐのはあんたしかいないんだからね。
早くよくなって元気出して。
いいね?はい。
(佐吉)「おくめさんはあまり長い事ないようです。
お徳さんは最期まで面倒を見てやりたいと言っています。
私はもう少ししたら深川に一度戻ります」。
「お徳さんの家移りの世話をしなければなりませんので。
佐吉」。
これからは佐吉は佐吉の暮らしをすればいい。
好きな女と所帯を持つんだ。
そうなりゃ子どもも生まれてあいつの人生が始まる。
もう古いものは掘り起こすまでもねえって事だ。
分かるね?弓之助。
はい。
佐吉さんの好きな人がよい人ならいいですね。
うん佐吉が選ぶんだいい娘に決まってる。
ハッハッハッハッハッ…。
あ〜あ…。
イテテテテ…。
まだ痛みますか。
へえ〜…。
ところでお前この家の跡取りになる気はあるか?ああいえ〜…。
私が決める事では…。
お前は頭がいいからな。
葵があそこに埋められてる事をはなから見抜いてた。
小役人なんぞにならなくても立派にやってける。
いやですが葵さんは埋められていませんでした。
埋められてるんだ。
それでいいんだ。
なっ?分かりました。
2人で何を話しているのですか?いやこいつもなひょっとするとぎっくり腰のたちかもしれねえ。
弓之助大人になっても船には乗るな。
あの揺れは来るぞ〜。
それから半月以上過ぎたある日の事である
・すっかり寂しくなったな長屋も。
佐吉さんも出たし今じゃ私一人ですよ。
もっとも私も明日には出ちまいますけどね。
こいつが食えるのもこれが最後か。
何言ってんですか旦那。
明日っからは幸兵衛長屋で煮売り屋をいつもどおりやりますからごひいきに。
うん違えねえや。
幸兵衛長屋っていえばおくめは残念だったな。
けどおくめさん幸せですよ。
家移り先がもともといた幸兵衛長屋なんですから。
もっとも私はちゃんと店賃払いますけどね。
ククッ…。
おくめが向こうでくしゃみしてるぜ。
ハハッ本当だね。
世の中分かんないもんだね。
そうそう。
世の中分からねえ。
人殺しのとがで小伝馬町の牢に入れられた仁平って岡っ引きがいてな。
しゃばにいる時は十手預かってる事をいい事にさんざん弱い者をいじめてたやなやつで牢屋敷でもいい顔になってたんだが今はえらい目に遭わされてるんだそうだ。
小ずるく立ち回って甘い汁吸ったり弱い者いじめたりした連中は所詮それだけのやつなんだからさ体一つにむかれたらそれでしまいなんですよ。
そんなもんか?ああ。
はい。
あいよ。
そんなもんですよ。
お天道様は見てますからね。
お前がそう言うならそういう事にしておく…。
あれ?お徳。
家移りは明日だろう。
佐吉が手伝うのか?お露ちゃんも来てくれるって言ってます。
お露が?富平さんも亡くなったそうです。
そうか…お露がな。
(お露)お父っつぁんはもう死んでるようなもんだからって。
お父っつぁんだってそれを望んでるんだって兄さんそう言って聞かなくて。
そんな兄さんにお父っつぁんを殺させる訳にはいかない…。
だから私…。
お徳さんぼんやりしてどうしたんですか?え?思い出した事があってさ。
いいからかんでいいよ。
毎日掃除してんだから。
もう終わりですから。
さあお前さん家移りだよ。
今度んとこはちと狭いけどいいよね?その…おくめさんって人。
しょうがない遊び人でねとどのつまりそれで死ぬ事になっちゃってさ。
私たちが猿江町へ移ってから来た人ですね。
うん。
あれからいろいろあったからね。
あんただけじゃないよ。
これからは自分の幸せ見つけなきゃねお露ちゃんも。
久兵衛さんどうしてるかねえ。
・いい差配人さんだったよね。
お徳さん。
何だい?ごめんなさいね。
・やだねこの子は。
今更謝る事なんかないじゃないか。
うん?じゃあ大切な煮汁先に運んでおきます。
ありがとよ。
あっご苦労さまです。
お徳さん荷物置いてきました。
ありがとさん。
(長助)あめ湯だよ。
幸兵衛さんから差し入れです。
あっご苦労さん。
これはもう運んでいいんですよね?それは私が自分で運ぶよ。
何言ってるんですか。
あんたばっかり働かせちゃ悪いじゃないか。
差配人としての最後の仕事ですから。
あんた所帯持つんだってね。
よかったね。
おめでとうさん。
いいもんだよ。
2人で暮らすってのもさ。
そりゃ苦労もするけど結構楽しいもんさ。
ねっお前さん。
木戸番の友兵衛さんの所で待っていて下さい。
友兵衛さんが炊き出しするって言ってました。
ありがとう。
じゃあ行ってきます。
待ってるよ〜!あいよ〜!回想
(おくめ)お徳さん。
何さ?ありがとね。
誰だい?どちらさんですか?えっあらごめんなさいね。
この長屋に何か御用ですか?そうじゃござんせんの。
そんなら何ですか?ここは鉄瓶長屋っていうんでしょう?あんた誰だい!?私ねここに足踏み込んじゃいけない者なんですよ。
けどこっそりのぞきに来たんですよ。
無くなるんですねここは。
まあやっとね。
フフフッ。
やっと無くなる…。
何て言いぐさだい。
あんた!本当に誰なんだい!?私はねそう幽霊なんですよ。
幽霊。
フフフフフ…。
人をからかいやがって。
このアマ〜!何すんだいひどいじゃないか!とっとと出てけ〜!ああ〜!鉄瓶長屋は見せもんじゃないんだ!お前みたいなすれっからしはこうしてやる!この〜!何を偉そうに!あんたなんかあんたなんか!ざまあ見やがれ!
(烏の鳴き声)官九郎!ふんでもかけておやり!ちょいとその…。
(烏の鳴き声)うえ〜。
ああ…。
ああっ!ああ〜!旦那様旦那様。
旦那様旦那様。
あっはい。
はい。
何だと?旦那にも見せたかったよ。
薄気味悪い幽霊みたいな女ですよ。
幽霊。
叔父上。
もしかすると…。
かもしれねえが…まあいいか。
旦那。
ああ佐吉長助。
お徳さん届けました。
ご苦労さん。
おおうへぇ〜。
よし小平次いくつ食えるか勝負だ。
うへぇ〜。
(友兵衛)ああ。
坊ちゃんこれ。
おいしいよはいおだんごだ。
幽霊ねえ。
2014/12/24(水) 01:25〜02:10
NHK総合1・神戸
木曜時代劇 ぼんくら(10)[終]「さよなら鉄瓶長屋」[解][字][再]

宮部みゆきの傑作時代劇人情ミステリーをドラマ化。江戸深川の鉄瓶長屋から次々と店子が姿を消してゆく。この不可解な事件を、“ぼんくら”同心・井筒平四郎が暴いてゆく。

詳細情報
番組内容
一連の事件の真相に迫りつつあった平四郎(岸谷五朗)であったが、八百富の床下に葵(佐藤江梨子)の遺体が埋まっているという予想ははずれ、八方塞がりとなっていた。そこへ、今まで身をくらましていた元差配人の久兵衛(志賀廣太郎)が訪ねてくる。九兵衛は湊屋総右衛門(鶴見辰吾)と会ってほしいと切り出す。いよいよ疑惑の本丸である総右衛門との対面を果たす平四郎。そこで語られた真相は壮大だがむなしい事情をはらんでいた
出演者
【出演】岸谷五朗,奥貫薫,風間俊介,加部亜門,秋野太作,志賀廣太郎,松坂慶子,六平直政,須藤理彩,大杉漣,音尾琢真,鶴見辰吾,佐藤江梨子,【語り】寺田農
原作・脚本
【原作】宮部みゆき,【脚本】尾西兼一
音楽
【音楽】沢田完

ジャンル :
ドラマ – 時代劇
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:204(0x00CC)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: