(サンショクツバメの鳴き声)アメリカ中部のネブラスカ州。
ここに生息するサンショクツバメの群れにある変化が起きています。
翼が短くなってきているのです。
オーストラリア北東部クイーンズランド州ではヘビの頭が小さくなっています。
アメリカ東部のチェサピーク湾ではカメの体が大きくなっています。
どの変化も驚くべき速さで起きています。
今からおよそ150年前。
イギリスの自然科学者チャールズ・ダーウィンが「進化論」を発表しました。
その中でダーウィンは「生物は長い時間をかけて『自然選択』によって進化してきた」という説を唱えました。
しかし今ある研究者たちは人間の影響によって自然には起こるはずのない「不自然な変化」が急速に起きていると考えています。
地球に生命が誕生したのは今からおよそ35億年前だと言われています。
長い年月をかけて生命はさまざまな形に進化していきました。
どのように進化したのかは長い間謎に包まれていました。
謎の解明に挑んだのはイギリスの自然科学者チャールズ・ダーウィンです。
ダーウィンは自然選択いわゆる自然淘汰と呼ばれる過程を通して生物が絶えず変化している事を明らかにしました。
生物は同じ種でも個体によって少しずつ違います。
私たちの目には同じように見える生き物も遺伝子レベルではそれぞれ違いがあります。
この違いによって環境に適応した個体とそうでない個体が出てきます。
環境にうまく適応した個体は生き延びそうでない個体は淘汰され死んでいきます。
自然によって選択され生き延びる事のできた個体が遺伝子を次の世代へとつないでいくのです。
この自然による選択が進化をゆっくりと推し進めてきました。
ところが数十万年前のちに生物の進化に大きな影響を及ぼす事になる種が現れます。
人類です。
人類の祖先はアフリカで誕生しやがて世界中に広がっていきました。
人類は生物の進化の長い歴史で言えばほんの一瞬の間に草原や森を農地や都市に変え空気や水を汚し地球を大きく変えました。
その結果進化の流れをも変えたと考える研究者たちがいます。
人類がつくり出した不自然な世界のもとで自然のままでは起こりえなかったはずの不自然な変化が急速に起きていると言うのです。
人類が影響を及ぼした不自然な世界はおよそ1万年前に始まりました。
当時中東では人々は狩りや野生の小麦を収穫して食料を手に入れていました。
古代の野生の小麦を集めるのは一苦労でした。
実った穂をとろうとすると実がバラバラにはじけて地面に散らばってしまうからです。
フィル・ハウエルは古代の小麦を研究しています。
古代の野生種の小麦は穂が実ると実が風などによって飛び散りやすい構造になっていました。
そのため収穫するには地面に落ちた実を掃き集め土など他のものと念入りにより分ける必要がありました。
それから粉にして調理していたのでしょう。
しかしある時麦の穂から実が落ちずに一塊になった小麦を偶然見つけました。
こちらの方が麦の穂を丸ごと持ち帰る事ができるので簡単に収穫できます。
人々はこのような小麦を見つけるたびに実の一部を取り置き次の季節に地面にまきました。
やがて栽培される小麦は皆穂が一塊のものになりました。
ここから本格的な農業が始まります。
穂が一塊になった小麦を選択する事で人々は野生の小麦から栽培に適した小麦を生み出しました。
農業は人類の繁栄の礎となりました。
人口も爆発的に増えました。
人間による選択は農業が始まる前から行われていました。
およそ3万年前人間はある野生動物を飼うようになりました。
オオカミの子供です。
小さいうちから人間と共に育ったオオカミの中には人間になつくものが出てきました。
オオカミの鋭い感覚は人間の役に立ちました。
より早く危険に気付いたり獲物を追いかけたりする事ができたからです。
オオカミの中でもよくなつき役に立つものが選ばれ交配が進みました。
そうしてオオカミは野生動物から飼いイヌへの道を歩き出したのです。
人間はオオカミというたった一種類の動物からオオカミとはかけ離れた動物イヌを作り出しました。
しかも同じイヌでもまるで違う外見をしています。
オオカミの習性や外見はなぜこれほど劇的に変化したのでしょうか?ヒントとなるのが1950年代に行われたキツネによる実験です。
実験では最も従順なキツネをきょうだいごとに選び何世代も繰り返し交配させました。
するとたった数世代のうちにすっかり人になつくようになったのです。
外見も変わり始めました。
とがっていた顔は平たくなり耳が垂れてきました。
毛もところどころ白くなりキツネらしさは失われていきました。
まるでイヌのようです。
人間がかつて従順なオオカミを選択した時にも同じ事が起きたのでしょう。
今ではさまざまな特徴まで選択されています。
足の長さや体の大きさ毛の長さなど…。
およそ3万年前に始まった選択が今では意図的に行われています。
人間は意図的に選択する事で新しい動物だけでなくすでに絶滅してしまった動物も作り出そうとしています。
(ウシの鳴き声)家畜用のウシはおよそ1万年前に生息していたオーロクスという野生のウシに遡ります。
オーロクスは大きな体で植物を食べ群れで生息していました。
しかし17世紀半ばに絶滅してしまいました。
今オランダの研究チームがオーロクスをよみがえらせようとしています。
もしオーロクスがよみがえればヨーロッパの生態系の保護のために活用したいと考えています。
オーロクスはかつて原生林の形成に大きな役割を果たしたと考えられているからです。
ヨーロッパの原生林にはかつて森林と草地がバランス良く存在していました。
オーロクスのような動物が草をはむ事で草地が形成され生態系が維持されていたと言うのです。
オーロクスをよみがえらせるのに必要なのが遺伝情報つまりDNAです。
オランダの研究者リチャード・クルーイマンズはヨーロッパ中からオーロクスの骨を集め遺伝情報を解明しようとしています。
オーロクスをよみがえらせるためには骨が必要です。
骨の一部分を切り取りそこからDNAを抽出して分析します。
とても難しい作業ですが成功すると信じています。
遺伝情報を解明したとしてどのようにしてオーロクスをよみがえらせるのでしょうか?オーロクスの遺伝情報の一部は原始的な品種のウシに今も引き継がれています。
(ウシの鳴き声)別の研究者ロナルド・ホーデリーはオーロクスの遺伝情報を受け継ぐさまざまな原始的なウシをヨーロッパ中から集めています。
ここに集められたウシはそれぞれどれも少なくとも一つはオーロクスと同じ性質を持ち合わせています。
ホーデリーは原始的なウシを交配させオーロクスの遺伝子をできるだけ多く引き出そうとしています。
その助けとなるのがオーロクスに関する古い記述と研究チームが解明する遺伝子の情報です。
生まれてきた子ウシとオーロクスの遺伝子の情報を照らし合わせオリジナルにどれくらい近いかを判断します。
1頭だけではたまたまうまくいっただけかもしれません。
でも適切な品種をうまく交配させる事によってオーロクスに限りなく近いウシを誕生させられるはずです。
研究チームは「まだオーロクスをよみがえらせたとは言えない」と言います。
しかし群れのウシの外見はオーロクスに似てきています。
この自然保護区には原始的なウシの他に原始的なウマもいます。
氷河期の終わり草地が点在していたと言うヨーロッパの原生林。
原始的な動物の力を借りる事でその生態系を再現する事が期待されています。
人間は太古から自分たちの望むように動植物を変化させてきました。
ダーウィンはそれを「人為選択」と名付けました。
動植物が変化するという点では人為選択も自然選択と同じです。
ダーウィンは「自然選択が新たな種を作り出す」という自身の説を証明するため人為選択をより詳しく研究する事にしました。
ダーウィンが研究対象として選んだのは飼育されたハトです。
ハトは人間によってさまざまな種類が作り出されています。
ダーウィンはハトのブリーダーを訪ねどのようにして新しい種類が作り出されたのか調査を重ねました。
ダーウィン自身ハトの品種改良に魅了されたと言います。
もし人為選択によってたった数百年の間にこれほど外見の異なるハトを生み出せるとしたら自然界でも何億年という長い時間をかければ似たようなプロセスによって極めて多様な種が自然に生み出されるはずです。
ダーウィンは進化には膨大な時間が必要だと考えました。
彼はこう記しています。
「自然選択は突然大きな変化を遂げる事はない。
少しずつゆっくり進んでいくものだ」。
しかし現在指摘されている数々の奇妙な変化は進化のスピードがダーウィンが考えていたよりもずっと速く起きている事を示しています。
自然界において捕食行動は進化を促す大きな要因の一つです。
獲物となる生物がうまく逃げられるよう進化すれば追う方はうまく捕まえられるように進化します。
どちらにとっても生死を懸けた攻防です。
アメリカ東部チェサピーク湾に人間による漁がきっかけである変化を遂げたと考えられる生物がいます。
キタキスイガメです。
しかし人間が漁をしようとしているのはカメではありません。
チェサピーク湾はカニの漁場です。
カニを取るためにエサを仕込んだわなが仕掛けられています。
14.9。
キタキスイガメはエサを目当てにカニ漁のわなに入り込みます。
しかし抜け出す事はできません。
引き揚げられなければ溺れ死んでしまいます。
生物学者のランディ・チェンバーズは人間によって不自然な世界がつくられていると指摘します。
90匹ものカメが一つのわなの中で死んでいた事があったそうです。
たった1日で相当な数のカメが死んでしまうという事です。
あ〜5.0。
チェンバーズは「自然であれば起こらないはずの変化が起きている」と言います。
残念ながらオスのカメはこのくらいのサイズにしかなりません。
一方のメスはこのように大きく成長します。
オスとメスでこれだけ違うんです。
オスは体が小さいため簡単にわなに入れます。
しかし体の大きなメスは入れません。
メスは体が大きくなるとわなに入る事ができません。
その結果わなに入れない大きなメスが生き延び遺伝子を次の世代につなげる事ができるのです。
カニ漁のわなのある地域と無い地域に生息するキタキスイガメを比較したところわなのある地域のメスはより早く大きく成長する事が分かりました。
わなに掛からないようにするためだと考えられています。
メスは早い段階で大きく成長します。
カニ漁のわなに掛からないように変化した結果でしょう。
この変化はかなり短い間に起きています。
ざっと75年つまりたった7〜8世代の間にメスの体のサイズは大きく変化しました。
およそ15%も大きくなったんです。
わずか何世代かのうちにこれだけの変化が起こるとは驚くべき事です。
ダーウィン説を信じる学者は耳を疑うでしょう。
しかし現実に私たちの目の前で急速な変化が起こっているんです。
人間の手が加わらない場合でも変化が短期間で起こる事があります。
南米エクアドルの沖合にあるガラパゴス諸島はダーウィンとゆかりの深い場所です。
ダーウィンはここを訪れた事で進化の謎を解き明かすヒントを得たと言われています。
ガラパゴス諸島に生息する鳥ダーウィンフィンチ類。
アンドルー・ヘンドリーはこの鳥について研究しています。
ダーウィンフィンチ類は自然選択がどのような結果をもたらすかを示す格好の例だと言えるでしょう。
鳥の群れが新しい環境に住みつくとそこで今までとは違ったさまざまな種類の食べ物を口にするようになります。
昆虫や果物植物や種子などです。
鳥のくちばしは特定の食べ物に合わせて形が変化していきます。
その結果もともと1つの種だったのが異なる種へと分化していくんです。
体の大きさが変わる事もあります。
数百万年前まで1つの種だったのに…。
変化は今も続いています。
ダーウィンフィンチ類のうちガラパゴスフィンチと呼ばれる種が2つの種へと分化しつつあります。
食料である植物の種子が大きい場所では大きなくちばしの鳥が。
小さい場所では小さなくちばしの鳥が生息しています。
中間のサイズはほとんどいません。
新しい種がまさに誕生しようとしているんです。
まずは多様化が起こりそこから種の分化が進んでいくと考えられます。
しかしこの鳥が今人間による不自然な世界の影響を受けていると言います。
ここでは1960年代から調査が行われています。
調査地域には人間の影響が及んでいる場所もあります。
かつて種の分化が進んでいたはずなのに現在ではその傾向が見られなくなってしまった地域もあります。
原因は人間が与える食べ物です。
米やポテトチップス果物など普通なら口にしないような物を食べているためです。
そうした食料を食べるのにくちばしの大きさは関係ありません。
それで2つの種に分化しようとしていたものが再び1つに戻ったんです。
いわば進化のプロセスが逆行した訳です。
ダーウィンが「進化論」の着想を得た場所でそのような事が起こっているとは何とも皮肉な話です。
人間が食べ物を与える事によって進化しようとしていた種がその動きを止めてしまったのでしょうか?私たち人間は深く考えずに鳥に食べ物を与えています。
その影響についてはまだ解明されていません。
しかしすでに何らかの変化が起きている可能性はあります。
驚くべき速さで変化を遂げている鳥の研究例は他にもあります。
アメリカでは毎年8,000万羽もの鳥が車に衝突して死んでいます。
サンショクツバメは高速道路に架かる陸橋に巣を作ります。
車やトラックにはねられる危険性の高い場所です。
不自然な変化はここでも起きていると考えられています。
鳥類学者のチャールズ・ブラウンは長年サンショクツバメを研究してきました。
車にはねられて死ぬサンショクツバメの数が年々減っているんです。
調べてみると車にはねられて死んだ鳥は同じ群れの他の鳥と比べて翼がかなり長い事が分かりました。
ブラウンは「この群れの羽の長さが研究を始めた30年前より短くなった」と言います。
この群れでは30年の間に翼の長さが平均して5〜7ミリ短くなりました。
微々たる変化に聞こえるかもしれませんがこのサイズの鳥にしてみれば大きな違いです。
翼が短くなれば飛ぶ時の動きも大きく変わります。
より素早く飛ぶ事ができるはずです。
数ミリの違いでも空気力学的には大きな違いです。
羽が短くなる事でより素早く垂直に飛び立つ事ができます。
迫り来る車を避けるには好都合です。
進化生物学者たちは以前から翼の長さは鳥の種を特徴づけるものの一つだと考えてきました。
しかし研究の結果翼の長さは変化しやすいものだと分かりました。
(列車の音)日に日に増す交通量に適応するためサンショクツバメの羽は変化しより素早く飛べるようになったのかもしれません。
自然界では起こりえないまた人間による意図的な変化でもない不自然な変化です。
2030年までに世界の人口のおよそ2/3が都市で暮らすようになると予測されています。
生物の中には都市の環境にすでに適応しているものもいます。
ハヤブサはもともと海岸近くの崖などで巣作りをします。
都市ではコンクリートが崖にとって代わりました。
都市は獲物も豊富です。
ハトももともとはハヤブサと同じく海岸沿いに生息していました。
今ではすっかり都市に順応しています。
しかし都市にも天敵はいます。
ハヤブサは上空から街を見下ろし獲物を探します。
狙いを定めると時速300キロのスピードで急降下します。
オスがハトをしとめ子育て中のメスに譲りました。
都市という不自然な世界は不自然な選択を引き起こす大きな要因となりえます。
18世紀半ばに産業革命が起こると都市は黒煙で覆われ大気汚染が深刻化しました。
工業化による環境汚染は不自然な変化の原因となりました。
その証拠は今も保存されています。
オオシモフリエダシャク。
ガの仲間です。
羽の色が薄いものと濃いものがあります。
産業革命以前はほとんどが薄い色でした。
地衣類に覆われた木にとまると薄い色のガはほとんど見分けがつきません。
一方濃い色のガは目立ち鳥に狙われやすくなります。
しかし産業革命による環境汚染によって地衣類は失われ木々はすすに汚れ黒く変色しました。
状況が一変したのです。
薄い色のガはたちまち捕まり数を減らしていきました。
変わって濃い色のガが大幅に増えました。
現在工場の煙が厳しく制限されるようになり状況は再び変わりつつあります。
濃い色のガの数が減っているのです。
不自然な変化を引き起こす要因は環境汚染以外にもあります。
人間の作り出したさまざまな化学物質も不自然な変化をもたらしています。
ある動物を駆除するために人間が意図的に与えていた毒物が効かなくなってしまったケースもあります。
ニューヨークでは夜になるとある動物が姿を現します。
毒物に耐性を持つドブネズミスーパーラットです。
ドブネズミは都会で人間の残飯などをあさりながら繁殖しています。
都会の環境に驚くほど適応しています。
人間はドブネズミを駆除するためワルファリンと呼ばれる薬品を60年以上にわたって使ってきました。
当初は効果がありました。
やがてワルファリンが効かない新しいタイプのドブネズミスーパーラットが誕生し短期間で数を増やしていきました。
スーパーラットはワルファリンを口にしても死なないため駆除するのは簡単ではありません。
スーパーラットが増加する事でネズミが媒介する病気が世界各地の都市でまん延するのではないかと危惧されています。
現在どの大都市にもネズミが生息しています。
貿易が活発になるにつれてネズミだけでなく多くの生き物が新たな場所に移動し外来種として繁殖しています。
外来種はしばしば移動した先の生態系に影響を及ぼします。
不自然な変化の要因になるものもあります。
もといた種に不自然な変化を引き起こした外来種がオーストラリアにいます。
オオヒキガエルです。
オオヒキガエルは害虫を駆除するために1930年代にオーストラリアに持ち込まれました。
しかし害虫ではなく他の生き物を食べ始めます。
100匹しかいなかったオオヒキガエルはすぐに増殖し生息域を広げました。
オオヒキガエルの背中には強い毒があります。
そのためこのカエルを食べた動物の多くが死にました。
この毒に耐性を持つよう変化した動物もいればアカハラブラックスネークのように全く別の変化を遂げたものもいます。
ベン・フィリップスはこのヘビを調査しています。
これはアカハラブラックスネークと呼ばれるヘビです。
この地域にオオヒキガエルが生息するようになった直後は数が激減してしまいました。
しかしその中で毒の少ない小さなカエルを食べたヘビは生き延びました。
頭が小さければ小さなカエルしか飲み込む事ができません。
頭の小さなヘビが生き残った結果アカハラブラックスネークの頭のサイズは小さく変化していきました。
変化を遂げたのはヘビだけではありません。
オオヒキガエルもまた生息域を広げる中で変化していきました。
新たな生息域を開拓するのに有利な特徴が現れはじめたのです。
オオヒキガエルはオーストラリア北部で生息域を広げるにつれ変化していきました。
体のサイズに対して足の長さがどんどん長くなっていったんです。
その結果移動するスピードがどんどん速くなりました。
以前は1年間に10キロほど広がっていた生息域が今では1年で60キロ近くも広がるようになってしまったんです。
オオヒキガエルは70年間で急速に変化し更に恐るべき存在へと変貌しました。
変化する事で外来種の脅威から生き延びる生物もいます。
しかし全ての生物が環境の変化にうまく適応できる訳ではありません。
今世界では多くの種が絶滅の危機にひんしています。
イギリスの湿地帯にはかつて野生のツルが生息していました。
しかし湿地が干上がり食料がなくなった事で個体数が激減野生のツルは絶滅してしまいました。
イギリスでは今野生のツルを取り戻すためのプロジェクトが進められています。
ドイツから届いた卵がふ化しました。
肝心なのはここからです。
人間の手が加わると自然では起こりえない何らかの変化がもたらされる可能性があります。
人間に慣れてしまうと野生に返した時に問題が起きるかもしれません。
ツルの世話をしているナイジェル・ジャレットはできる限り不自然な変化が起こらないよう注意しています。
私たちはツルに人間だと気付かれないようにこのような特別な衣装をまとっています。
ツルは初めて目にする相手を親鳥として認識します。
もし人間を親だと思い込んでしまったら自然界では生きていく事ができません。
ですから人間だと気付かれないよう細心の注意を払っています。
道具の先端には親鳥に似せて作ったこのような頭を付けています。
くちばしの先にスプーンを付けて食事を与えています。
正しい行動をとった時はご褒美を与えてやります。
ツルを育てる上で何よりも大切なのは自分たちが鳥だという事をしっかりと自覚させる事です。
今のところこの作戦はうまくいっているようです。
自然に放たれたツルはまるでそこで生まれ育ったかのように他のツルとつがいになっています。
今年は1組のつがいが巣を作って卵を産みふ化に成功しました。
とてもうれしいニュースです。
ジャレットたちは人間による影響をできる限り排し野生のツルを増やす事に成功しています。
しかし人間によって引き起こされる不自然な変化は広がり続けています。
人間は地球環境に影響を与えています。
科学者たちは次の100年で地球の温度は数度上昇すると予想しています。
地球の環境は大きく変わるでしょう。
深刻な干ばつやハリケーン穀物の不作海面の上昇などが懸念されています。
気候の変動は生物にも計り知れない影響を与えるはずです。
新たな変化が起きたとしても不思議ではありません。
チャールズ・ダーウィンは生物の進化は自然選択によってゆっくりと起こると考えていました。
一方人間の手による人為選択によって変化が速いスピードで起こる事も理解していました。
しかし今自然選択でも人為選択でもない地球環境の変化がもたらす不自然な変化が急速に起きていると言われています。
ダーウィンはこうした変化をどのように考えるのでしょうか?たくさんの小さなガラス玉。
2014/12/06(土) 19:00〜19:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「不自然な“進化”〜今 動物に何が!?〜」[二][字]
ツバメの羽が短くなった!?カメが大きくなった!?今、様々な動物に異変がおきているとの報告がある。何が起きているのか?原因は何か?最新の研究調査をもとに探る。
詳細情報
番組内容
チャールズ・ダーウィンの「進化論」を揺るがすような異変が起きているのだろうか? アメリカで30年以上サンショクツバメを調査している研究者はツバメの羽が5ミリ程短くなったという。車との衝突を回避できるよう、素早く飛ぶためだという。漁の網にかからないように体が大きくなったカメや大気汚染に伴い、茶色い羽の個体数が多くなったがなど、さまざまな動物が急速に変化しているという。(2014年オーストリア)
出演者
【語り】渡辺徹
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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