特集ドラマ ナイフの行方(後編) 2014.12.23


(次男)俺からナイフを取り上げて腕をひねり上げて警察から隠してくれたのは根本さんじゃないですか。
(拓自)骨を折っておく事にした。
(香)子どもが一緒だから気になるの。
どうして家政婦さんを替えたんですか?のめり込みそうで怖くなった。
あの2人に何かあるのは困る。
ああ〜!何だよ〜!あの2人に何かする訳ねえだろう!分からないだろう人間は。

(香)こんにちは。
こんにちは。
緑ちゃんこんにちは。
言えるよね?
(緑)はいこんにちは。
それちょっとおばあさんみたい。
いいよとっても。
さあ入って入って。
(香)今日の職場はこの1丁目ですからすぐなんです。
早かったもんね。
子連れの家政婦が売りですけど一日この子がいるとお年寄りは疲れるから。
ねっ。
怒る。
怒るんだおばあさん。
たまにでしょ。
いつもは優しいでしょ。
苦労してるんだね緑ちゃんも。
うん…。
うん…か。
それで次男さん…。
ああ。
やあっ!えいっ!朝起きるといなかった。
どこへ?寝てると思った。
あまりに人の気配がしないんで2階へ上がるといないんだ。
あの足でどこへ?駅まで歩いてみたよ。
あの辺りのコーヒーショップ食堂漫画喫茶本屋スーパーをのぞいてみたがいなかった。
新宿とかに行ったのかも。
そうかもしれない。
そうなら言いますよね。
まあこの辺に知り合いがいるとも思えない。
そうなんですか。
まあいるとすればあなたと緑ちゃんだ。
携帯も住所も言ってません。
うん…。
いやもしやと思ってかけてしまった。
いいですけどどういうご事情か分かりません。
フフフ…おかしいね。
いいえ。
まだ2時ちょっと過ぎだ。
いないからってどうだってんだよ。
骨折してるんですから。
朝から捜したなんて騒ぎ過ぎだね。
いえ。
要するに暇なんだよ。
暇なんだ…。
まさか…。
まさかと思って来てみたがどうして…。
どうしてこの寒い所に。
ええ?どうしてだよ。
ええ?こんな所にバカ。

(すする音)そうか。
100円もなかったか。
いくらか持ってると思ってた。
どうして出ていった?100円もなくて骨折して。
あんなに暴れてもう終わりだと…。
いいか?あんたは誰かれ構わず刺そうとした。
そんなやつをうちへ連れてきたんだ。
あのくらいの事で終わりにできるか。
(インターホンのチャイム)はい。
(織江)あっ…。
永原っていうんだけど根本さんお留守かな?ああはい。
今はちょっと…。
そう。
だったらそれでもいいの。
大丈夫?足。
あっはい。
18から24までね…。
はい。
とびとびにあの人とできてたの。
え…根本さんとですか?そう。
あの人はねその間にJICAでペルーに2年行ったりしてたから一緒に暮らす事はなかったけど私一筋だったって言ってたわ。
すいません何にもなくて。
お座んなさい。
そうですか。
何が?いや根本さんとできてたんですか。
やだもうそんな言い方しないでよ。
そちらがそう言ったから。
私が言った?はい。
じゃあしょうがないね。
アハハハハハッ!…であなたはどういう人?一緒に暮らしてるんでしょ?ああはい。
あの…ごくごく…。
親しいの?じゃなくて短期間この足が治るまで泊めてもらってます。
本当は息子?とんでもないです!関係ないですよ。
無関係です。
そんなに言わなくてもいいわよ。
あの人は普通じゃないから。
別に不思議じゃない。
ペルーですか。
知らないの?知りません。
どういう人だか何にも知りません。
自慢話しない?しません。
う〜んそう。
もともと口が堅いのよ。
警官だったらしいから。
警官って警察ですか?ほかに何かある?だってJICAでペルーに行ったって…。
辞めて行ったんでしょう?私に聞かないでよ。
男の仕事なんてどうだってよかったの。
恋人なのに?うん?こっちもね若かったし。
(ピアノの音)ちやほやするやつはいくらでもいたし。
芸能界とかですか?何それ?見てちょっとそう思ったから。
ただの私の周りの話よ。
ちやほやって言うから…。
個人は3〜4人いればちやほやでしょ?根本さんが言わない事は聞かなかったの。
それがかっこいいとも思ってたし。
あ…。
(織江)うん?何?根本さん夕飯も外でした。
あるもんで食べてろって。
うんいいの。
いいんですか?いない方がいいくらい。
今どんなふうかな〜と思って。
え…聞かないんじゃないんですか?それは昔の話。
人間はどんどん変わるもんでしょ。
・「LetthesunshineLetthesunshinein」・「Thesunshinein」そうか。
面白かったか。
はい。
きれいで明るくて。
ああこの前ものすごく久しぶりに新宿でばったり会ってね。
とても楽しかったって。
ああ楽しかった。
それきり電話もくれないって。
あ…飲むよ1人で。
楽しかったのに電話もしないんですか?そう。
私の欠点だね。
根本さんらしいって言ってました。
そう。
私はね楽しければ楽しいほど間を置きたくなるんだ。
楽しかったからまた会おう。
楽しかったから毎週会おうというように盛り上がるとねこう…楽しさが汚れていくような気がしてしまうんだ。
いや…それで会わなかったらつまらないじゃないですか。
そうだね。
まあ無駄な私の我慢だろうがそんな我慢が嫌じゃないんだ。
あんな人がいるんだったら緑ちゃんとママの事で俺にやきもちなんか焼く事ないですよ。
その話は別だ。
私には子どもがいなかったからあんたの方がモテると悔しいんだ。
そうやって俺に力をつけてくれるのはうれしいけど…。
そんな事考えちゃいない。
ただ悔しいんだ。
そんな事言われるともっと緑ちゃんに会いたくなるな。
会わせるもんか。
それ本気で言ってます?本気だよ。
はあ〜分っかんないな。
簡単に分かられてたまるかよ。
あの織江さんも2年間のペルーから帰ったあとどこの国へ行ったか何をしていたか全く知らないって。
うん。
それでも何も言わないんですか?そういう人間もいるんだ。
言わなかった事があるって…。
何?あ…やっぱりやめとくって。
何だそれ?会うべきですよほっとかない方がいいですよ。
まあそうだな。
(鼻歌)・「LetthesunshineinThesunshinein」
(陽三)そいつなあそいつ。
どいつ?松葉杖の若いのだよ。
急に言ったって分かんないでしょ。
何怒ってんだよ。
怒ってないでしょ。
怒ってるよ。
俺が客に口を挟むと「2階へ行ってろ!」。
あの子が何?俺もイメージ合わねえよ。
何のイメージ?根本のイメージだよ。
あいつはね仕事でいざとなりゃ5人でも10人でも自分の部屋に泊めた事はあったよ。
しかしもともとは私生活をがっちり守るタイプだろ?だろ?うん?あいつはそういうタイプだろ?だから何?関係ないやつを泊めて骨がくっつくまで面倒見るなんておかしいだろ?人はね変わるの。
年取って成熟するタイプもあるのよ。
褒めるなよ。
褒めてない。
今は俺といるんだからあいつがいいような事を言うの失礼だろ。
褒めてないでしょう。
感じるの。
ケチな嫉妬しないでよ。
愛してるからだろ?愛してりゃいいの?そうよ。
愛は全てに勝つのよ。
気を付けて。
グラスすぐ割るんだから。
(割れる音)
(せきばらい)おお〜よし!あと3回だぞ。
そしたらこっちの番だからね。
さあこい!うわ〜!あら…。
(笑い声)よし!さああと2回だぞ〜。
次男さん下りてこない?痛むの?まだ。
次男さん!ああゆっくりでいい。
下りてこいよ。
緑はねおにいさんとも遊びたいの。
次男さん!こんにちは。
今日は仕事抜き。
この子がおじさんとおにいさんのとこ行きたいって。
ねえ緑。
遊ぼ。
ちょっとぐらい大丈夫だ。
せっかく来てくれたんだ。
ああ悪いけど。
痛むの?いや…下りてきてそこら座ってればいい。
そう。
ボールの相手はいいの。
痛むんだ。
ごめんね緑ちゃん。
足が痛いの?来いよいいから。
無理はいけないけど。
やめとく。
下りてくと痛くなりそうなんだ。
ごめんね。
おい…そんな事言うなよおい!バイバイ。
また来ます。
ありがとう。
今日はありがとう。
バイバ〜イ!バイバ〜イ!バイバ〜イ!バイバ〜イ!おい。
はい。
本当だぞ。
はい。
本気で庭へ下りてこいって言ったんだ。
はい。
素直に下りてくりゃよかったんだ。
はい。
来ないからあのママ私が何か言ったんじゃないかって顔してたぞ。
ああでも俺が目の前で緑ちゃんにモテるよりいいんじゃないんですか?うん…それもそうだけれどだな…。
いいんです俺は。
いや私はそんなに狭くないよ。
いいんです。
(時計の時報)じゃああの子もう杖なしで歩けるの?いやまだ。
若いから早いわよね。
ああ。
何が心配?うん…変なやつだから黙っていなくなるかもしれない。
世話になったのに?あっあんたの店は知らないがしばらく使ってもらえないかというような事を考えた。
黙っていなくなるかもって言わなかった?あ…ああ。
なら世話焼く事ないわよ。
うんああ。
若い人が自分で出ていくのいいんじゃないの?うん…金を持ってない。
あ〜いくらかあげるなり貸したりすれば?うん…それで済めばいいが。
どうして済まない?うん…そう簡単じゃないんだよ。
どういう事?ああ言えないよ。
人にものを頼んでそれはないでしょ。
言えない事はあるだろう。
ふ〜んどういう事?誰だって言えない事を抱えて別の話をしてるんだ。
うん?今何て言った?誰だって言えない事を抱えて別の話をしてる。
別の話なの?そうとも言える。
何それ。
言えない…。
そんな目してからかうな。
そうだな。
まっ若い人が自分で出ていくんなら行かせればいいわよ。
喜べばいい事でしょ?今1人?えっ?1人じゃないよね。
急に聞かないでよ。
1人?あなた以外の人間だってね言いたくない事はあるのよ。
ああそうか。
初めて知った?ああ。
バカ野郎。
今ここの旦那は女房と会っている。
俺の女房だよ。
事実上の私の女房と新宿だかで会っている。
店を開く前に会えないかと言ってきた。
いいわよと女房が言った。
私に隠したりしない。
それで今私は安心してここに来ている。
上がるよ。
ああいえそのあの…。
いない時まで何言ってる。
あんた何て呼べばいい?名前。
ああ次男です。
つぎお?次男と書いて次男です。
次男坊か?ところがそうじゃなくて一人っ子なんで。
そりゃああんたが生まれる前にご長男が亡くなったんだろう。
いやそうじゃなくて父は自分の次に家を継ぐ息子だから次男と付けたって。
気持ちは分かるけどな。
いやどこへ行っても「ああ次男坊なんだ」って言われて。
そりゃあ言われるよな。
勝手な名前付けて7歳の時に死んだからあとは文句も言えなくて。
2本目開けちゃったよ。
いや…どうぞ。
まだ冷蔵庫にあります。
そうか。
町工場で殴られたか。
ああそれは就職したばかりの頃で。
もっともっとひどい目に遭ったか。
はい。
よくしゃべるな。
すいません。
根本さんにも精いっぱいしゃべったんだろう。
止められました。
止めた?しゃべるとそれが本当になるからって。
(陽三)だって本当なんだろう?本当じゃないのか?いや本当ですよ。
でも本当の…全部じゃない。
(陽三)全部話すのは大変だ。
俺…俺…。
どうした?こんなふうに俺の話聞いてくれる人いなかったから。
あんたもしゃべらなかったんだろう?そうですね。
嫌がるやつも多いからな。
はい。
人の話は面白いよ。
そうですか?つらい話もひと事だもんな。
ハッハッハッハッ。
あなたがどういう人か知らないのに。
人徳だよ。
えっ?人徳。
黙り過ぎたんだよ。
しゃべればいい。
(時計の時報)去年の5月。
(陽三)うん。
とっくに桜も終わってるのに3月みたいに寒い日があって。
いいなあ。
えっ?いいって?そういうのいいよ。
省略すると。
省略するなよ。
いや結構しゃべったし。
肝心の話だろう?感じたぞ。
夜のバイトが終わって朝早く地下鉄へ歩いていたんです。
うん。
半袖でトレパンの女がしゃがんでて。
道端に?「すいません」って言われて。
いいなあそういうの。
気分悪いのかと思って「はい」って言うと立ち上がって。
いい女?とても。
若いの?はい。
どこ?地下鉄。
青山一丁目。
1等地だ。
コート貸してくれないかって。
コート着てたんだ。
ボロ隠しで。
それ貸せってか?温かいつもりで走り始めたら急に寒くなって動けないって。
貸したんだ。
家まで送って。
上がれ上がれか。
大丈夫かよ。
ものすごい金持ちの家でビビって門の所で別れたけど。
マンションじゃないんだ。
それからは携帯でしゃべるようになって。
携帯教えたんだ。
でもどうせ格差ありすぎて関係ないと思ってうそばっかりついて。
うそ?慶應の…経済の大学院生で。
おいおい。
両親はカナダにいて今は自分を鍛えて社会勉強のためにバイトで食ってるって。
よくそんな事言うよ。
俺のシャツとズボン見ればそんな訳ないのすぐ分かるだろうと思ったけど言ったまんま信じる人で。
育ちがいいんだ。
会ってもあれは冗談だったとは言えなくて…。
会いだしたんだ。
恋人みたいになって…。
みたいって?本当の恋人になったと思った時もあって…。
壊れたか。
アパートに2人でいた時いきなり男が3人入ってきて…。
3人?まるで角張った鉄みたいなやつらで。
今どきそういうのありかよ?彼女は…。
どうした?俺の事をまともな人だって叫んで。
そりゃそうだ。
慶應の経済を出て両親はカナダにいて立派なビジネスマンでモントリオールの大学で講義をした事もあるとか。
うそを丸ごと信じてたんだ。
全部うそだと中の一人が言って。
冷たい鉄がな。
俺の本当を…びっくりするぐらい詳しく調べていて。
どうした?「信じない。
信じられない」って彼女は叫んでそれから俺に「どっちが本当?どっちがうそ?」って。
そりゃ聞くよな。
7歳から1人で中学しか出ていないと言うと…殴りました。
ぶったかよ。
ぶったっていうよりボクサーのストレートで吹っ飛んだっていうか。
ちょっといいなあその子。
のけぞりながら彼女を見ると彼女も冷たい鉄の塊になっていて…。
しょうがないよなそれは。
いなくなりました。
そうか。
両親がカナダじゃなけりゃいけないのか。
あんたがついたうそだろう?そうなんです。
全部俺がついたうそで情けなくて。
薄汚いのは俺でものすごく死にたくなって。
そりゃそうだ。
でも…7歳から1人なのは…俺のせいか?女に育ちのいいやつと思われたいといううそは俺のせいか?そう来たか。
死んでしまおう。
死んでやるよと思いながらこれで1人で死んだらあまりにさみしいって。
そりゃあないだろう。
のんきに歩いてるやつを見るとこいつら刺せば自分を刺す力も湧いてくるような気がして。
(陽三)のんきに見えてのんきじゃないやつもいくらでもいるよ。
そんなの見分けがつかないからわ〜っと誰かを刺そうとしたら…。
包丁を持ってたのか。
ナイフですよ。
(陽三)持ってたのか。
自分を刺す気だったんです。
自分も…そこらのやつらも。
そんな勝手な。
誰かを刺そうとしたらあっという間に腕をひねり上げられてそのまま自分じゃないみたいに走らされて横の道走ったり坂道上ったり。
根本拓自だ。
ええ。
俺もものすごい勢いで追い出されたろ?ええ。
あいつの合気道はすごいからな。
何なんですか?根本さんって。
ほんの少ししゃべるよ。
…はい。
しゃべれるかどうか分からないがな。
はい。
ある国でね。
はい。
2人一緒に経験したんだ。
はい。
ひどい出来事でね。
はい。
いまだに…それが何だったか分からない。
超常現象とか?そんなもんじゃない。
はい。
駄目だよ。
はい。
思い出したくない。
思い出せないんだ。
想像できません。
私はもうその場から逃げて逃げて戻る事ができなかった。
何があったんですか?2年と少したってマニラで人混みでいきなりあいつにばったり会った。
根本さんにですね。
「丹波丹波。
生きてたのか」って。
抱き締めそうになるのに「違うよ。
人違いよ」って。
フィリピンの英語で叫んで逃げた。
ただ逃げまくった。
どうしてですか?だから分からない。
ただもう逃げたかった。
ある出来事を一緒に見た人間に会いたくなかった。
恥ずかしかった。
恥ずかしいんですか?…かどうか。
とにかく人間って分からない。
「丹波丹波」って呼ぶ声から逃げまくった。
分かんないよ。
人間って分からないまんまだから勘弁してよって感じだった。
分かりません。
そうだな。
フフフ…。
(堀田)少々はしたないところをお見せしましたが。
ありがとう。
あんな事でやる気を出す男もいるもんですから。
私も少しくらくらした。
ああ今ね1人トイレ。
女性でも男6人吹っ飛ばせば気持ちがいいでしょう。
そりゃあもう女性の方が気持ちいいでしょう。
元気が出るといいんだが。
(堀田)いつでも治ったら鍛えますよ。
お願いします。
ありがとう…。
うん?ございました。
俺大丈夫ですよ俺。
うん?合気道に頼らなくてもやっていけます。
体でも気持ちは変わるからな。
はい。
ゆっくりでいいんだ。
骨折が治れば大丈夫ですよ。
言ったろう?ゆっくりでいいんだ。
ゆっくりだ。
…はい。
いいお店だ。
ありがとう。
もう店閉めたの?うんそうなの。
早いだろう。
今夜はね。
うん?もったいつけないで言っちゃうね。
何を?さっぱりしたいの。
何を?いらっしゃい…ませ。
亭主なの。
ごめんね。
(織江)合気道はよしてね。
あ…そうなの。
日本に戻ってあなたの消息を知りたくて捜してね。
こっちも知らないわよって。
それでもまたこの人に会いたくなってね。
何度も来て。
あなたの思い出を話したりしているうちに…こういう事になってね。
私も1人だったし。
こっちはベリーズから戻ってそれこそ1人だったんでね。
ベリーズ。
ホンジュラスの?そう。
隣小さいイギリス領だった。
住んでた?ええ。
現地雇いで使いっ走りをね。
そう。
あなたもそうでしょうけどあれ以来あの日を抱えてずっと余生を生きてましたよ。
(織江)あなたにはずっとひどいやつだと思われてるんじゃないかって。
あの子を神業のようにあなたが止めてそして骨折させたって。
普通じゃない。
でもあなたならって思った。
あなたもあの事を忘れていないとはっきり感じましたよ。
怒る?怒って出ていく?うん?そんな事はない。
ああよかった。
合気道使われたらどうしようかと思ってた。
合気道は人を傷つけない。
お互い長くへこたれてましたね。
ず〜っと後を引いたね。

(車が止まる音)・
(門の開閉音)・
(ドアの開閉音)・
(せきこみ)・
(音楽プレーヤー)
(音楽プレーヤー)・
(音楽プレーヤー)あっうまいじゃん緑!おっいいね。
来たよおにいさん。
おめでとう。
ほら分かる?おにいさんの足を見て。
ギプスも取れている。
杖もない。
うん!こんにちは。
ねえ見て見て。
あっ無理しないで。
あ…何?今日は。
さっき根本さんから電話もらったの。
ギプス取れるって。
電話するか?ううん。
勤務すぐこの先だからちょっと行きますって。
ああいいの?でももう行く。
残念だけど。
そうなの。
2人セットの勤務中だから。
うれしいな緑ちゃん来てくれて。
うん!おめでとうは?おめでとう。
ありがとう。
いなくなるの?ああだって足治るまでだから。
…そうか。
残念だな。
またいつかね。
ああ。
また遊ぼう。
絶対来るよ。
うん。
うん!じゃあ行こうか。
じゃあ。
あっ取れた!あれ?ウフフ。
今日ギプスが取れるから来ないかって。
どうしてそんな事で。
見せて。
えっ?ちゃんとまっすぐ歩けた?そりゃもう。
あ〜!おめでとう!ねえ来て来て亭主も一緒なの。
えっ?ご主人とですか?そうなの。
こういう訳なの。
あ…あ〜そういう訳ですか。
(陽三)おめでとう。
ありがとうございます。
治って帰ってきました。
お世話になりました。
骨折させた人間に礼を言うのも妙だがな。
シャンパン買ってきたの。
ねえ飲むでしょう?はい。
歩いてみせてよ。
ああもう病院からずっと歩いてきたから大丈夫です。
よかった。
はい。
私が余計な事をした。
ああいいえ。
あの時止めてもらわなかったらきっと自分を投げ捨てるような事をしていたと思います。
ここで今日までお世話になってどれだけ助かったか分からないと思ってます。
ありがとうございました。
しっかりした事言うじゃない。
ああそれだけ分かってれば大丈夫だ。
ああいえ口だけです。
そうだ。
え?ちゃんとした挨拶じゃないの。
口だけだと本人が言ってる。
ああ…。
(陽三)言葉のあやだろう?
(織江)そうよ。
揚げ足取ってどうするの?あんた誰かれ構わず刺そうとした。
ほんの1か月前の事だ。
それを何でそんなにけろりとしている?はい…。
(織江)けろりの何が悪いの?元気になって何が悪いの。
ああ。
人は突然目が覚める事もある。
別の人間になる事だってある。
お礼を言ったのよ。
骨折は荒っぽいが恨むどころか明るく礼を言ったんだ。
喜んであげないでどうするの?彼から聞いたよ。
殴られながら1人で生きてきた。
話したよ。
7歳からずっと1人だなんて本当偉い!やっとできた恋人にうそをつきまくったか。
1人が長すぎたのよね。
誰だって恋人にいいところを見せようとするさ。
そうよ。
女が変よ。
仲を裂こうとする親を怒るのが恋ってもんでしょ?そりゃあうそをいいとは言えないけど。
軽い。
だるい?軽いだろ?軽いと言ったんだよね。
ああ軽い。
(織江)何が?万事が軽い。
誰かれ構わず刺そうとしたやつがもう別人になったか。
(織江)何がいけないの?
(陽三)すぐじゃないだろう。
ひとつき近くここであんたの世話になったんだろう?そういうやつはまたひとつき足らずで別人になるさ。
また自分を哀れんで人に当たるだろう。
(織江)どうしてそんな事言うの?
(陽三)これからの事だろう?励ませばいい事だろう。
口先だけだと本人が言ってる。
それは謙遜っていうか何ていうか。
内心不安だからつい言ったんだろう。
そうよね。
自信たっぷりな訳ないもんね。
今日にも出ていきたいような事を言っている。
そりゃ足が治った以上これ以上は甘えられないと思って。
立派じゃない。
ああ何がいけないんだ?ここへ今日あんたに来てもらったのはあの日の事を次男に話したかったからだ。
その日の事はただもう忘れたいんでしょ?そうだ。
ただずっとこの人が無事かどうか。
無事なら俺も無事だと言いたかった。
すいません。
あんたのせいじゃない。
いやマニラで。
そうか。
(陽三)俺でした。
そうか。
思い出すのが嫌で。
そっか…。
ほとんどそう思ってたよ。
はい。
あんたに話をしておきたかった。
こんな事があったと。
それをどう考えるかはあんた次第だ。
この人にいてほしかった。
私だけだとおとぎ話と思われそうだからね。
そんな事思いません。
私も聞いてないの。
この人あの日って言うだけでしゃべれなくなるって言うの。
2人とも20代の2年間青年海外協力隊でペルーにいた。
はい。
協力隊の規則でねどの国のどこへ派遣されても1人ずつだったんだ。
1人でその国の人たちの中に入ってできる事で協力する。
町でピアノを教えるという女性もいた。
山で荷物運びのケーブルを造った男もいた。
ほとんど井戸掘りを現地の人たちから教わるだけだったという者もいた。
みんな教えられる事の方が多かったかもしれない。
はい。
(陽三)しかし1人暮らしは結構きついからね。
中心の街に日本が借り上げた宿泊所があった。
そこへ行けば日本の漫画もビデオもほかの隊員にも会えた。
そこで根本さんと知り合った。
そのペルーの話じゃあないんだ。
お互い2年の期間を終えて日本へ戻って日本での就職は面白くなくてね。
といって外国で日本を背負って生きるのも嫌だった。
ゲバラって名前は知ってるかな?あっはい。
チェ・ゲバラ。
そう。
キューバ革命の時カストロと並んで中心で戦ったアルゼンチンの人だ。
キューバ革命が成功するとボリビアの革命に加わって殺された。
生まれたアルゼンチンのためじゃない。
どこの国だろうとその国の人たちの正義の戦いに加わるのがこれからの生き方だろうなんて結構本気で考えてた。
どこの国かは省略したい。
小さな独裁者のいる制限の多い国だった。
協力隊の影響で一人一人で入っていこうという事になった。
ある人口7〜8万の町がいわば地下組織の中心だという話を聞いていた。
私がその町に入った。
私はその周辺の村の一つにね。
この国が好きだと言った。
そして国の実情を知ろうとした。
みんな親切だった。
驚くほど貧しかったがとっても素朴でいい人たちだった。
しかし政治はひどかった。
独裁者グループのほとんど思うままだった。
車の修理の仕事をもらってみつきほどしてやっと分かってくれそうな人にこの国をこのままでいいと思っているのかと雑談に紛らして聞いた。
片言でね。
私の方はそんな事は聞くな。
どうせどうにもならないと言われた。
町の方は案外たやすく抵抗を考えている人にたどりついた。
定番の地下室にアジトがあった。
根本さんのいる村にもアジトがあるらしいと。
村にもアジトがあった。
6人ほどの集まりだが思いがけないほど国を変えなくてはいけないという熱気があった。
これは町と農村の人たちが手を組むべきだ。
2つのアジトの交流こそ俺たちがやるべきスタートじゃないかと。
連絡係になった。
(陽三)日本人が日本人と会うのをとがめる人はいない。
独裁者は倒すべきだし民主主義の方がいいのは明らかだった。
それでも両方が会うというのを町の人間も村の人間もためらっていた。
意外なくらいためらっていた。
どうして会うのをためらうんだ?会って力を合わせて話し合うのがなぜいけないんだ。
お前らには分からないとも言われた。
何が分からない?正しいだろう。
両方で同じ事を考えている。
あとはもう動き出すしかない。
正しい事をなぜためらうんだと。
頭が悪いんじゃないかとか。
弱気すぎるぞと怒ってみた事もあった。
小人数で会うだけだ。
何を怖がってるんだと。
それからやっとあの日が来た。
うん。
はい。
両方から同じくらい遠い乾期には干上がってしまう池があった。
月明かりの夜真夜中に町から2人村から2人。
それに私と根本さんとで会う事になった。
彼は町だから私の方はリーダーとその叔父さんと3人だった。
しかし歩いていると背後から人がついてくる気配があるんだ。
足音を感じた。
誰か来ると私が言うと知っているとリーダーは歩く。
こっちは分からない。
隠れて初めて両方会うんだ。
だから小人数にしたんじゃないかと。
大丈夫だとリーダーは言うんだ。
叔父さんも気にするなというようにうなずく。
しかしその足音が1人や2人じゃないんだ。
3人4人。
いやもっと多い。
10人?それ以上。
振り返ると人は見えない。
雨期なんでまあ灌木というか結構低い木が茂っているんだ。
それにしても明るい月の下で誰ひとり見えない。
村の人間たちだよとリーダーが小さく言う。
「どうして?」と聞いてしまう。
みんな国の事を思ってる。
このままじゃいけないと思っているとリーダーは言うんだ。
これ以上複雑な話はできない。
まして歩きながらだ。
真夜中だ。
人の気配だけがどんどん増えてくるんだ。
すごいと思った。
あんなに素朴で村の自慢話とダンスと大笑いしかないような人たちがどう知ったのか国の事を思ってついてくるんだ。
それも10人じゃない。
もっといる。
多分20人だって…胸が熱くなってきた。
こっちはそれより早く池のほとりに立っていた。
3人だ。
理髪店の主人と中古バイクの販売と修理をしていた子だくさんの四十男と私だった。
約束どおり町からは3人なのにこっちが大勢だと分かったらどうするんだと。
ちょっと血が引くような思いもあった。
こっちも同じだった。
実は隠れて37〜38人が来ていた。
どっちがそれを先に察したか。
池を前にして気が付くと3人と3人じゃなく両方ともその後ろに30〜40人の男たちを従えるようにして向き合っていた。
誰もが黙っていた。
そのままどんどん空気が張り詰めてくるのが分かった。
何だこれはとリーダーに私は聞いた。
国を思う仲間同士じゃないのかと。
池を回って握手をと私は笑顔を作って言ったよ。
村の側の若いのが一人池の端に足を踏み入れた。
(陽三)水は足首辺りだった。
みんな見ていた。
動かなかった。
若いのだけが町の連中の方へ水を少し蹴るようにして渡っていく。
何かこういう時の風習かと思ったよ。
何だこれはと小声で私はリーダーに聞いた。
リーダーは私の目を見た。
分からないのかという怒りのようなものが走った。
分からなかった。
かぶりを振るともう私を見ていなかった。
水の端を行く青年を見ていた。
そして小さく言った。
「俺たちには長い物語があるんだ」と。
(陽三)若い男は畑で使う反り返った小刀を素早く振りかざして町の連中の端にいた老人をなぎ倒した。
それから…それからもう口では言えない。
銃は2丁だけだった。
町の銃だ。
しかしそれは初めの数分で…。
あとはもうナイフやら斧やら鉄の棒やら…持ってきたもので水の中でも外でもどっちが町でどっちが村やら分からない乱闘になった。
何なんですか?一人残らず死んだよ。
一人残らず?俺は生きてるよ。
顔見ちゃったわ。
私も生きている。
どうして?よその人間は見分けたんだ。
でなければとっくにやられてた。
警察がいたって事ですか?そうじゃない。
多分だがな。
はい。
国をどうにかしたいという思いは同じでもそれだけで仲間同士にはなれない。
長く深い事情があったんだろう。
実を言うと私は殺し合いのものすごさにいたたまれなかった。
大騒ぎの中を逃げ出していた。
私もただ身を潜めるのがいっぱいだった。
気が付くと夜が明けかけていた。
彼の死体を探したよ。
死体は50体ぐらいは数えたがあとはもう数えるのはやめた。
彼はいなかった。
しかし見落としたんじゃないかという思いがず〜っとしこりのように長〜く残っていた。
それであんなに激しくあの時…。
私は根本さんに生きていると言いたかった。
しかしあなたはあのあとずっと行方が分からなかった。
あんたもな。
そう。
でもあなたに会わなければとずっと思っていた。
しかしあの殺し合いを思い出したくなかった。
地球の片隅で小さくなっていたかった。
分かるか?…え?なぜこの話をあんたにしたか。
私はあの日からどこにいてもあの日を振り払えないでいるよ。
はい。
なぜ殺し合ったかは分からない。
今でも世界中のあちこちで殺し合いを憎みながら殺し合っている。
自分にもそんな血が流れているんじゃないかと思う事があるよ。
それがどうだ?誰かれ構わず刺そうとしたあんたがたかが1か月でけろりと忘れて。
「元気になりました。
1人で生きていきます」なんて信じられるか?でも俺…変わりました。
変わるもんか。
人間がそう簡単に変わるもんか。
いいじゃないの。
本人が1人で生きていくって言ってるんだから。
明日にでも出ていくと言いながら一円の金も持ってないだろう?持ってないだろう?それはその…。
私が貸すとでも思ったのか?…はい。
でも絶対に返す。
倍にもしてきっと返すって。
貸すもんか!誰が貸すもんか!お前は人を殺そうとした自分をひとつきで忘れるんだ。
「元気です」なんて笑ってるんだ!軽いんだ!
(陽三)根本さんそれはいけない。
あの日の事とこの子の事は全然違う。
重さも大きさも違うでしょ。
殺してもいない。
殺したさ。
お前は俺が止めていなかったら絶対誰かを刺していた!
(陽三)よせよ!俺が引き受けよう。
あっ私が引き受けるわ。
お金も貸してあげる。
自立するまでうちの2階に住めばいいわ。
根本さんもう言うな。
何も言うな。
私が力になるわ。
(はなをすする音)泣くな泣くな。
このくらいでいちいち泣くな。
軽いんだ。
軽くてムカムカする。
もうねもうやめなさいって。
ねっ。
根本さん時々あんたは頑固でいけない。
大丈夫。
俺たちがついてる。
ついてるわ。
じゃあ次男君今スナックにいるんですか?そう。
2度頼んだんだけど断られたんでね。
断られたんですか。
そう。
だから向こうから自主的に私たちが引き受けると言うようにしむけた。
しむけたんですか?うん。
私はもういつ死ぬかもしれない。
どっかお悪いんですか?万事衰えてるよ。
大丈夫ですよ元気じゃないですか。
ハハッ私以外にあいつの相談に乗る人間が必要なんだよ。
余計な心配じゃないかな〜。
いや仮にも誰かれ構わず刺そうとしたやつだ。
でも根本さんのおかげで変わったって。
信じたいが多くの場合人はそう簡単に変わりはしない。
そうなんでしょうか?また思い詰めた時私以外にも行き場所があった方がいいと思った。
そんなふうに考えてスナックのお二人を呼んで引き受けると言わせたんですか?素朴な計略だよ。
大人って怖い。
そう。
怖いんだ。
私は後始末どころじゃなくあの日の事から彼の言うように逃げて逃げて逃げまくって生きてきたようなもんだ。
人間は分からないと。
みんなが人間を信じ過ぎているように思えてならない。
のんきすぎるように思えてならない。
その日の事ってその国とかどこかの新聞とかに載ったんでしょうか。
多分載ってない。
そうなんですか。
20年ほどしてその国の人と偶然会った事がある。
ええ。
雷が落ちていちどきに100人ほど死んだという話になっていた。
ひどい…。
ああ。
でもそんなめったにない事で人間は怖いなんて一般論にしないで下さい。
ナイフを持った次男の目を見た時私はあの日刃物を持って浅瀬を歩きだした青年の横顔を思い出した。
止めなければいけない。
それは私の使命だと感じた。
その次男君をスナックのお二人に押しつけていいんですか?ああ知り合いができればいいんだ。
すぐあいつは帰ってくるよ。
帰ってくるんですか?うん。
あなたと緑ちゃんが会いたがってると言えばやって来るさ。
会わせたくないんじゃないですか。
会わせたいさ。
だから会うなと言ったんだ。
そう言えば燃えるだろう?あきれた。
それも計算のうちですか?うん?仲人はそういうもんだ。
仲人って何ですか?うん…。
次男と似合いじゃないか。
なんて事言うんですか。
(香)蹴れる?蹴ってみて。
キック。
せ〜の。
こっちだ。
こっちだ。
こっちか。
こっちにも蹴ってよ。
(香)よいしょ!よし!よし。
ジャンプ!うまいね緑。
せ〜の!
(香)うまい上手上手!ほい!思いっきりだよ思いっきり。
(香)思いっきりせ〜の。
足元足元足元。
気を付けて気を付けて。
ここはね段になってるから。
(陽三)ああはいはいはい。
1人で行けるから。
お待ち遠。
大丈夫。
俺は大丈夫だから。
頭頭頭。
今ね今ね次男こっちに向かってるって電車だって。
じゃあ入れ代わりだ。
そう入れ代わり。
はい!はいビーフシチュー。
プラスチックのパックに入ってる。
ビーフシチューを私へ?うん。
乗ってから乗ってから。
ああありがとう。
人間はいいね!そう。
人間はいい!ああ人間はいいねありがとう。
ああっああ〜!大丈夫大丈夫。
アハハハハッ!ああ〜ビーフシチュー…。
ビーフシチュー開けたら…あれ?あれ?もれてる。
えっ?ああこれひどい。
ひどいな。
こぼれてるよねえこぼれ…。
立たないで立たないで立っちゃ駄目お客さん。
アイタッ。
ああ…はあ〜。
人間って…人間って痛い。
はあ…。
人間って…痛い。
痛い。
2014/12/23(火) 22:00〜23:15
NHK総合1・神戸
特集ドラマ ナイフの行方(後編)[解][字]

拓自(松本幸四郎)が時折見せる不信に傷つく次男(今井翼)だが、距離は縮まらない。骨折が治り根本家を去る日、拓自は次男に自分が経験した壮絶な過去を語り始める…。

詳細情報
番組内容
次男(今井翼)と香(相武紗季)の接近に不安を覚えた拓自(松本幸四郎)は香の家政婦契約を打ち切るが、傷ついた次男は根本家を出る。捜し当て家に連れ戻す拓自だが、次男の不信は拭えない。そんな折、拓自の若い頃を知る織江(松坂慶子)や丹波(津川雅彦)が相次いで根本家を訪れ、彼らと話すなか次男は次第に心を開き始める。骨折が治り、次男が根本家を去る日が近づく。拓自は若い頃に外国で経験した壮絶な過去を語り始める。
出演者
【出演】松本幸四郎,今井翼,相武紗季,石橋凌,松坂慶子,津川雅彦
原作・脚本
【作】山田太一
音楽
【音楽】住友紀人

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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