あのクラシックの名曲をあなたのものに。
人生を豊かにしてくれる一曲を一緒に見つけませんか?「ららら♪クラシック」今回は…。
(「メリー・ウィドー」)億万長者の美女を巡るちょっと大人の恋物語です。
本場ウィーンでも大人気!初演から100年たった今もなお愛され続ける定番オペレッタです。
作ったのは…この作品でオペレッタの一時代を築き上げました。
大ヒットの秘密は…ドラマチックに愛を盛り上げるある仕掛け。
それって一体?ゲストの森口博子さんもなぜか突然衣良さんに愛の告白!?今日は飛び切り甘くちょっと切ないウィーン仕込みのラブソングをお届けします。
「ららら♪クラシック」今日はオペレッタ「メリー・ウィド−」をご紹介します。
このワルツだけでも有名ですよね。
うっとりですね。
吹奏楽の定番にもなっていますしコミカルでとてもエンターテインメント性に優れる作品ですね。
今回はこちらのゲストにも楽しいオペレッタの世界存分に浸って頂きましょう。
おなじみ森口博子さんです。
(一同)よろしくお願いします。
オペラとオペレッタの違いというのはご存じですか?オペレッタっていうとなんかオペラよりもちょっと軽くて楽しい内容で入っていきやすいのかなっていう身近な感じはしますけど。
特徴をまとめてみました。
オペラはね「歌劇」と訳されますがオペレッタは…「喜歌劇」というふうに訳されます。
オペラは重厚でシリアスなものが多いんですがオペレッタは…ジャン!「コメディー」。
やっぱり楽しさもね重要という事です。
そして歌ありセリフありほにゃららあり。
森口さんここ何が入ると思いますか?コメディーですからやっぱり一発芸と言いたいところなんですがミュージカルの先祖となるとダンスでしょうか?すばらしいです。
「踊り」です。
そして特にウィーン生まれのオペレッタに欠かせないのが愛。
ああ〜いいですね。
ほんとに大好物なキーワードです。
で物語のほとんどが「ハッピーエンド」。
更にこちら「愛の百科事典」とかね。
いかがですか?これ。
百科事典欲しくないですか?欲しいです!どのページをめくればそんな愛が出てくるのかって。
愛は売ってないですからね。
ほんとにね〜!すごく気になります。
なんか非常に盛り上がってますけれどもさあ今日ご紹介するこの「メリー・ウィドー」もこれら全てを網羅しているラブストーリーという事で。
完璧ですよね。
そうなんですね。
愛の物語を盛り上げるためにある仕掛けがあるんです。
どんな仕掛けなんでしょう。
それでは詳しく見てみましょう。
「愛の百科事典」とも呼ばれるウィンナ・オペレッタ。
「メリー・ウィドー」にはどんな愛が描かれているのでしょうか?物語の舞台は20世紀のパリ。
架空の小さな国ポンテヴェドロのパリ公使館では華やかなパーティーが行われています。
話題の中心はポンテヴェドロから来た美しいハンナ。
彼女の夫はばく大な財産を残して亡くなったのでした。
パリの男たちはハンナと結婚して美女と財産の両方を手に入れようとチャンスをうかがっています。
焦ったのは駐在公使のツェータです。
「このままでは国じゅうの金がパリの男たちに渡ってしまう」。
そして彼は公使館一の色男ダニロに命じます。
「ハンナと結婚せよ」と。
驚いたのはダニロです。
実は2人はかつての恋人同士。
しかし平民のハンナ貴族のダニロという身分の違いからその恋は引き裂かれてしまったのです。
憎からずと心の中では思っていても過去を引きずり素直になれない2人。
しかし最後にはさまざまな誤解も解け2人は本心を打ち明けます。
そしてやっと結ばれたのでした。
めでたしめでたし。
そんな恋の行方を盛り上げるのがバラエティーに富んだ…レハールの作った「メリー・ウィドー」にはさまざまな種類の舞曲が詰め込まれているんです。
レハールがいろいろな舞曲のリズムをたくさん使って「舞曲のフルコース」って言ったらいいんでしょうかドラマと直結させてるというところが一つの大きな特色ですね。
同じワルツのリズムでもゆっくりになるところとか少し速いとことかそういったところで心理をきちんと表してると。
それでは舞曲のフルコース少しずつ味わってみましょう。
まずは女性たちがパーティーを盛り上げようと踊るシーンから。
続いてはハンナの登場シーン。
財産目当てに言い寄ってくる男たちを軽くあしらっていきます。
ハンナとダニロ。
再会し惹かれ合いながらも意地を張る2人がひととき素直になる場面です。
そして最後2人は本心を打ち明けようやく気持ちが通じ合います。
このオペレッタには他にも舞曲が盛りだくさん!登場人物の気分にぴったりのダンスにロマンチックで親しみやすい舞曲のメロディー。
それが人々の心に響き「メリー・ウィドー」は世界的大ヒットを記録したのです。
華やかですね〜!なんかこう「舞曲のフルコース」っていう意味が分かりました。
音楽でその人物の心情を表している。
ほんとフルコースですごいですね。
でもこれ音楽に詳しい人はほんとに楽しいでしょうね。
今VTRにもあった舞曲以外にもギャロップとかポロネーズとか「ケークウォーク」なんていう当時すごく新しいダンスなんかも盛り込まれているという事なんですよね。
レハールは踊りも好きだったでしょうし当時の時代の流行っていうのにもすごく敏感だったんでしょうね。
この「メリー・ウィドー」…オペレッタがミュージカルにつながっていくっていうのはよく分かりますよね。
歌ありセリフあり踊りもたくさんですから。
全部でその世界が表現されてるんだなっていう事が分かりますよね。
森口さんもミュージカルの経験ありますよね?はい。
どういう点がミュージカルって大変なんですか?初めて「タイタニック」という作品に参加させて頂いた時にイギリス人の演出家の方でとてもストレートに厳しくだめ出しをされる方だったんですけどもう何やっても…もうず〜っと「No」なんですね。
セリフを言ったあとに「森口博子」が出てくる。
「あなたの役はアリスっていう役だけなの」って。
やっと出来上がった時に「そう!そのエネルギー!できるじゃない!それ以上エネルギーが落ちたらあなた殺すわよ!」って。
もう通訳の方も「そうそう!Killyou!」とか…。
いやそこ訳さなくても分かりますよって。
へえ〜!すごいですねその演出家も。
でもそれぐらいしごかれて。
ただ歌だけというのではなくて。
でもそう考えると…そうですね。
全てを動員してつくり上げるというね。
作曲家フランツ・レハールは現在のハンガリー・ブダペスト近郊の町で生まれました。
12歳でプラハ音楽院に入学しその後バイオリニストとして活躍しながら作曲の技術も磨いていきます。
そして31歳で発表した…ウィーンへと移り劇場指揮者をしながら…30代半ばそんな彼に大きな転機が訪れます。
「メリー・ウィドー」との出会いです。
ウィーンで活躍する人気台本作家がこの作品をオペレッタに仕立てる作曲家を探していたのです。
そこで白羽の矢が立ったのが当時まだオペレッタ作曲家としては駆け出しのレハールでした。
彼は渡された台本を一気に読み是非作曲を任せてほしいと申し出ます。
翌日には台本作家に電話をかけ受話器を片手に頭に浮かんだメロディーを弾いて聴かせたそう。
こうして「メリー・ウィドー」を作る事になったレハール。
作曲は順調に進んでいきました。
しかし作曲途中の楽譜を見た…というのも今までのオペレッタはコミカルな要素が強いものが一般的。
しかし…。
「メリー・ウィドー」にはセンチメンタルな雰囲気も混じっていました。
これまでのヒット作とは一味違った作品だったのです。
そのため比較的客が入らない12月30日に初演が設定されました。
更に衣装は古いものを使い回し舞台装置も節約。
リハーサル回数も少なかったのだそう。
ところが公演が始まると観客数はどんどん増えていきました。
これまでとは違ったセンチメンタルなラブストーリーと音楽が受け徐々に人気が高まったのです。
このヒットは世界中に広がっていきました。
初演から10年足らずで公演数はなんと…「メリー・ウィドー」の大ヒットにより無名の男だったレハールは世界に大きく羽ばたいていったのです。
こちらがですね…「メリー・ウィドー」が大ヒットした事からネーミングそこから頂いたんですね。
今でも一般的に飲めるお酒でバーなんかで注文すればこれが出てきます。
チェリーが入っててすごいきれいな色でかわいらしいですね。
お似合いですよ。
ありがとうございます。
あっ甘〜い香りがして。
でも今ちょっとお仕事中なので衣良さん飲んで下さい。
分かりました。
バトンを頂きました。
「赤いカクテルお似合いですね」。
あっ。
いかがですか?口当たりは甘くてまろやかなんですがすごく強いですね。
他にも当時…でもそれだけ「メリー・ウィドー」という作品自体が作品の力だけで当たったっていうのが大きいですよね。
生涯およそ40ほどのオペレッタを書いたレハールなんですけれども実はオペラに憧れを抱いていたという事なんですね。
中でも影響を与えたとされているのが「トゥーランドット」や「蝶々夫人」などを書いたイタリアのオペラ作曲家…だからまさにほんとにこのレハールの場合はそれまでのコミカルなオペレッタに…やっぱり程よいミックス感で大成功を収めていくという。
ただ楽しいだけではなくてやっぱりその奥深さという…。
でもやっぱりその時代を画する大ヒットになれるものってそういうどこかしらに新しさとか今までの…そうですね。
私もスタートはアイドルだったんですけど途中からバラエティーっていうお仕事をやらせて頂いた事によってまた紅白歌合戦とか全国ツアーにつながっていったりしたので…クラシックにまつわる素朴な疑問にお答えしま〜す!答えて下さるのは東京フィルハーモニー交響楽団首席ホルン奏者の…一番大きなものはやはり…その他に…例えばなんですけどもノーマルに吹くと…。
こういう音がするんですけども例えば完全に塞いでしまうと…。
(高橋)約半音下がってしまいます。
見えない右手が重要な役割を持っているんですね。
番組ではクラシックにまつわるあなたの疑問・質問をお待ちしていま〜す!今日の名曲は…これまでのコミカルなオペレッタにセンチメンタルさを取り入れたレハールの大ヒット作です。
物語の終盤に登場するのはダニロとハンナの…元恋人同士の2人は惹かれ合いながらもお互い本音を言えずにいます。
その後行き違いや誤解を経てついに思いを告げようと決意するシーンです。
そんな愛の告白をよりドラマチックに盛り上げるレハールのマジックとは?作曲家の美濃さんが解説します。
さあこの作品の中で最もロマンチックではないかと思われるのが終盤に出てくるウィンナ・ワルツ「唇は黙して」というダニロとハンナの2重唱の曲なんですけれどもねここからはそんなダニロとハンナの距離に注目して頂きたいと思います。
男女の距離感というのは大事ですからね。
微妙な距離感ドキドキします。
まずは冒頭の部分ねオーケストラのみで演奏されて…静かに入ってくる部分です。
歌ではなくて…これから私が右手で弾きます。
そして男性役の…左手で演奏してみたいと思います。
こんなところです。
どうですか?なんかこう「ねえ…」「なんだい?」みたいなもどかしい感じ。
「ダメよ〜ダメダメ」みたい。
そう!そんな感じしますよね。
こう揺れ動いてる感じ。
そうですよね。
でもなんか「何?」「いや言いたいけど…」ってこうためられると余計女性は高まるというか「何か隠しめいたものがあるのは分かってるわよ」。
学生時代に「さあ体育館の裏に来てちょうだい」みたいな。
背を向けていた2人がようやく向き合います。
しかしまだ距離は離れたまま。
そしてまずダニロがハンナに思いを伝えます。
ダニロの気持ちを受け止めてハンナのソロが出てくるんですが歌いだすところに…その雰囲気でハンナが「これから大切な事を言うぞ」と。
「受け止めるぞ。
私も言うぞ」みたいな感じの部分なんですが先ほどねバイオリンでハンナの気持ちを捉えていた時はこのぐらいのテンポでした。
ところがこの「Valselento」出てきてこれから大切な話をするよという時のテンポは…。
もうたまりませんねこれ。
違い分かりますか?分かります。
それが実際にどうなのかちょっとここからは体験という事で衣良さんに森口さんへの熱い思いをまずは早口で伝えて頂きましょう。
博子さん昔からファンでした。
ありがとうございます。
これ早口バージョンですね。
ためますよ〜。
博子さん昔からずっとずっと…ファンでした。
お願いします。
ええ〜!あ…ありがとうございます。
はい。
これで決まりですね。
すばらしい。
何でしょうこの猿芝居。
でもためられた方がちょっとやっぱりうれしいです。
やっぱり違いました?うん。
なんかその歴史とか思いがすごく伝わってきていいです。
せっかくだからお返ししましょうか。
マジですか?アハハハ。
私も初めて「ららら♪クラシック」に出演させて頂いた時から…気になってました。
いい感じです!全て捨ててもいいかなみたいな気持ちになります。
いいですね。
いい時間です。
楽しいですねこのコーナー。
だからこうやってやっぱり…ダニロに続きハンナも素直な思いを告げます。
2人の距離も少しずつ近づいてきましたね。
このあと2人は同じ思いだったという事に気が付いてやっと2人の声が重なるという部分なんですけれどもそれが…甘いですね。
ふっとこうワルツの甘い2重唱。
いいですね。
本当に最初はちょっと駆け引きがありながらガチガチだったのが…やっぱりなんかこうデュエットのよさってそうやって育った環境も全て違う2人がなんかポロッて歌いだした瞬間に生きてきた時間が一つになる時間。
まさに…歌詞ももちろんなんですけれども音楽でもねこうやって2人の揺れ動く気持ちというのを表現しているあたりがレハールのすごい技の部分ですね。
すばらしい。
それではお聴き頂きましょう。
「メリー・ウィドー」からワルツ「唇は黙して」です。
(拍手)このシーンだけじっくり見ると最初はもどかしい気持ちとか結ばれるうれしさみたいなのをピアノの時は感じてたんですけどあのシーンをじっくり見ると生きる喜びみたいなとこまで到達するような感じがしてすごいちょっとグッときました。
まさに魂のブレンドですねあの瞬間。
本当に今のは見てるとなんか青春が戻ってくる感じちょっとしません?うん。
もどかしい気持ちだったり。
そう。
こう言う時が…。
ダニロのためらうところね。
あんなのいいなあ。
ワルツのリズムワルツの人生いいなと思いました。
何ですか新しい恋愛宣言みたいな話ですか?え?そういうつもりじゃなく?いやなんか今学びました。
このリズム大事だなって。
こういう呼吸ができるような…。
そうです。
そして大事な言葉はゆっくりささやいて。
そうです。
いい恋愛ができそうですね。
はい。
今日は来てよかったです。
森口さんすてきな恋を後押しするクラシックまだまだた〜くさんありますからね!ブリザードが吹き荒れる北極。
この日の気温はマイナス30度。
風速20メートル。
2014/12/06(土) 21:30〜22:00
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「甘いワルツとともに レハールの“メリー・ウィドー”」[字]
「メリー・ウィドー」はコミカル一辺倒だったオペレッタ界に、センチメンタルな雰囲気を入れ込み大ヒットを記録。ロマンチックに愛をもりあげるレハールの技に迫る。
詳細情報
番組内容
今回はレハールの大ヒットオペレッタ「メリー・ウィドー」。億万長者の女性をめぐる、ちょっと大人の恋物語。作曲したのはウィーンで活躍したオペレッタ作曲家フランツ・レハール。当時コミカル一辺倒だったオペレッタの世界に、センチメンタルな雰囲気をもちこみ世界中で大ヒットを記録した。さらにヒットの秘密は愛をもりあげる仕掛け。主役のふたりの距離をロマンチックに近づけようとするレハールの技に迫る。
出演者
【出演】歌手…森口博子,オペラ研究家…岸純信,ホルン奏者…高橋臣宜,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【語り】服部伴蔵門
ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ
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