(一之瀬)ハシバの技術を世界規模でライセンスして収益を出すんです。
これがハシバの未来を切り開くと思っています。
(部長)一之瀬秘書室に行ってもらう。
(瀧)私に裏金の仕組みを教えたのは最上だ。
(最上)役員たちに絶対服従を誓えないのなら今のうちにここから去った方がいいよ。
俺は8人の取締役のうち過半数の5人を味方にし今のハシバを変えるつもりです。
(加賀)どうですか最上さん。
新規契約の件は。
はい順調です。
(井岡)まあ費用はかかりそうですがこれが決まればハシバメディカルも調子を取り戻すんじゃないですかね。
(塩崎)費用はいかほどでしたか?
(里中)3,000万ですね。
必ず結果は出すつもりです。
(羽柴)期待してますよ最上さん。
皆さんのご期待に沿えるよう励みます。
ハハハハハ。
(田坂)ここが岩永さんのお部屋。
こちらが瀧さんのお部屋です。
はい。
おはようございます。
おはよう。
おはようございます。
うんおはよう。
君は新任の?一之瀬です。
(山根)今日は一之瀬の実務研修をしております。
そうか。
田坂君会長のお体の具合はどうかな?だいぶ落ち着かれたそうですが無理をしないよう主治医の先生から言われていらっしゃるそうです。
会長のお顔を見られないのは寂しいね。
第一線を退かれても会長はハシバになくてはならないお方だ。
おはようございます。
(2人)おはようございます。
山根君先にお茶用意してくれないか。
(山根)はい。
一之瀬君ちょっと来い。
はい。
君は松木社長とライセンスビジネスの事業計画を立案したそうだね。
はい。
少しお手伝い致しました。
ハシバは本社と子会社が協力して完全自社生産を貫いて質の高い製品を生み出してきたんだ。
自分たちの手で作る事をやめて何がハシバだ!お前もここで生きていきたいならハシバの伝統を守る事を考えろ。
(松木)もともと最上は技術者出身だったな。
若手時代を高度成長期の工場で過ごしています。
(小宮)ものづくりを生きがいにやってきたタイプですね。
(番場)最上さんが主導して製品化した冷蔵庫当時にしては画期的な冷却システムを採用してるんです。
(志桜里)そういう能力が買われて役員に?
(安城)それだけじゃない。
白物家電の業績が落ち始めた頃すぐに家電の技術を生かした医療機器の開発に乗り出して結果を出したんだ。
(吉田)ですがそれは表の顔ですね。
じゃあ裏の顔は?トラブル処理や汚れ仕事も構わず引き受けて今の立場を確立した正真正銘のたたき上げだ。
山根さん。
はい。
最上専務宇都宮に毎週行かれてるんですね。
ええ。
開拓中の取引先があるそうです。
相手の社名は分かりますか?交渉のめどがついたら知らせると言われているのでまだ分かりません。
それが何か?いえ何でもありません。
(瀧)確かに宇都宮まで毎週通ってるのは何かありそうだ。
彼がハシバの裏金に大きく絡んでるのは確かだが尻尾を捕まえるのは容易な事ではない。
慎重に近づきます。
秘書が社外に出るのは難しい。
外出が必要な時は私の指示で出かけたと言ってくれ。
口裏は合わせる。
いいんですか?君が転んだら私も困る。
(吉田)「続いて特集です」。
(女性)「今日はアメリカから腎臓がん手術の世界的権威時任秀郎先生をお迎えしました」。
(時任)「こんばんは」。
(秋山)お疲れさまでした。
今日会議の日だったろ。
局長に何か言われた?まあ…おおむね好評でした。
正直に。
正直…今の数字じゃ厳しいって言われてます。
(吉田)栃木のネット局の人間に調べてもらったら最上はこの黎秀会宇都宮北病院に何度も通ってた。
タクシーの運転手に聞き込みさせたから間違いない。
ここが裏金の受け渡し先なんでしょうか。
可能性はあるな。
すぐに調べます。
ハシバはハシバメディカルという医療機器の子会社もやってるのでそっちも探ります。
うん。
(ため息)すいませんお疲れのところ。
ああいや疲れてる訳じゃないんだ。
ああ大塚君。
(大塚)番場君久しぶりだな。
ハシバグループの合宿以来か。
ああ。
何だよ聞きたい事って。
ハシバメディカルの社内の事財務状況とかいろいろ聞かせてほしいんだよ。
何でだよ。
俺面倒な事パスだから。
ますみちゃん!うちのCMやってた時の販促品。
君大ファンだったよね?ごめんね。
(ノック)どうぞ。
失礼します。
すまないな急に呼び出して。
いえ私もご相談がありましたので。
君の話から聞こう。
宇都宮の病院に最上の怪しい動きがあったんだったな。
はい。
それで調べに行こうと思っています。
宇都宮にか?番場が探りを入れて今子会社のハシバメディカルがかなりの経営難だという事をつかんだんです。
最上専務は頻繁にメディカルの社長と連絡を取り大口の契約先を探せと指示を出しています。
私の方からもいくつか情報を集めて連絡しよう。
あ…松木さんのお話というのは?君の奥さんの治療の事だ。
(美砂子)宇都宮に行くの?うん。
出張で。
おみやげ買ってきてね。
この前将棋の強いおじいさんと知り合ってまた対戦しようって約束したの。
勝負が長引くからお菓子があるとうれしいんだ。
美砂子が言うんだからかなりの腕なんだな。
病院の中での楽しみが増えた。
もう毎日暇で暇で。
美砂子。
アメリカで治療を受ける気はあるか?アメリカ?松木さんが強皮症の研究が進んでる向こうの病院を見つけてくれたんだ。
日本にいるより進んだ処置が受けられる。
薬の認可がいつになるか分かんないけどアメリカにいた方が早く手に入ると思う。
費用は?かなりかかるんじゃ…。
それは心配しなくていい。
松木さんが相談に乗ってくれるって。
美砂子どう思う?諒はどう思うの?アメリカに行った方がいいと思う。
でも俺は仕事があって一緒に行けない。
一人で行かせるのはすっごい心配。
少し考えてもいい?もちろん。
ゆっくり考えて。
うん。
大きな病院なんですね。
(運転手)ええ。
院長の折原先生も町の名士ですから。
(運転手)正面につけますか?いやそのまま直進して下さい。
梶原先生でしょうか?一之瀬と申しますが。
(梶原)松木さんって方のお知り合いの?はい。
辞めた病院の事で話なんかしたくなかったんですけど院内の不正を調べてるって聞いて協力しようと思ったんです。
先生があの病院をお辞めになったのはいつですか?2か月前です。
院長と意見が合わなくて。
どういったところで?院長はワンマンで下の意見に耳を貸しません。
人手が足りないのにうちで医師をしていた自分の息子を突然留学させたりして。
それに最先端の医療機器も確かに必要ですけど独断で進められては周りは困ります。
院長は何か高価な医療機器を購入されたんですか?検討中のようでしたけど事務方がぼやいてました。
病院でこの方を見かけた事は?さあ…ないと思います。
そうですか。
大変ですね。
こういう人を調べる仕事は。
私も梶原先生と同じように今の会社のやり方に疑問を感じています。
自分が動く事で何かが変わればと思って調べています。
無謀な事かもしれませんが。
お忙しいところありがとうございました。
事務の米田ってやつ訪ねてみて下さい。
梶原の紹介って言えば分かる事は教えてくれます。
ありがとうございます!院長先生ありがとうございました。
(折原)お大事になさって下さいね。
(田宮)ちょっとおにいさん。
はい。
ちょっとここ押さえてくんないかな。
はい。
ありがとう。
子どもの患者が音が出ないっつってぐずってね。
手慣れてらっしゃいますね。
いい暇つぶしだよ。
病院は暇で暇で。
ありがとう。
うちの妻も別の病院に入院中なんですけど暇だ暇だっていつも言ってます。
入院中ってのは一人だけこの世に取り残されたような気になっちまう。
顔を見に来てくれるのが一番の薬だよ。
あの〜米田さんですか?
(米田)はい。
ええ何度か見た事があります。
最近もですか?臓器の模型を作る医療用3Dプリンターの購入の事で院長に会いにいらしてたと思います。
もう契約は済んだんですか?いやまだのようです。
ただこの契約はいつもと違って院内の機器購入の担当者が同席していないので詳細は分かりませんが。
院長と2人だけで交渉が行われてるんですか?ええ。
(御園)今日は将棋はしないのかい?きっと負けちゃうから。
お〜。
何かあったのかな?夫がアメリカで治療したらどうかって言ってくれて。
お〜。
でも…こんな時に離れ離れになるのは心細いです。
送ってくれてすまない。
また来る。
あなたと離れている時…。
私がどんなに心細い時間を過ごしているかお分かりですか?う〜ん…。
人にはあの時違う決断をしていたら人生は別のものになったのではないかと思う分岐点のような時があるのかもしれない。
後悔しても取り戻せない瞬間が誰にでもある。
未来なんて結局思い描いたとおりになどならない。
だったら今自分がどうしたいかを一番に考えればいい。
そうすれば答えは出る。
最上専務が3Dプリンターの受注の見返りに裏金3,000万円を払うかどうかどうにかして調べる必要がありますね。
これ以上周辺を探っても何も出てこないだろ。
最上専務の部屋を調べるしかないかもしれません。
(志桜里)忍び込むって事ですか?秘書は役員の個室に入れるのか?難しいです。
鍵は役員本人しか持っていません。
ですが三雲室長がスペアキーを持っています。
(三雲)食事行ってきます。
行ってらっしゃい。
最上専務の部屋に入るチャンスは限られている
すいません。
申し訳ありませんでした。
三雲室長が昼食を終え鍵を棚に返すのが13時半。
最上専務が13時に来る来客に会う約15分の間に侵入する
中座している間ならパソコンが起動したままの可能性がある
応接室にいる。
(洋子)かしこまりました。
(洋子)小宮さん!どうしたんですか?ちょっといいかな?部長から取引先に持っていく手土産用意するように言われたんだけどさ何がいいか教えてくんないかな?食べ物にうるさい人みたいでさ。
(洋子)いいですよ。
これだ。
・
(洋子)最上専務?どうなさいましたか?契約書忘れた。
(瀧)最上専務。
見て頂きたいものがあるんですが少しよろしいですか?来客中なんだ。
2〜3分で済みます。
例の集金プランのご相談を急ぎでしたくて。
分かった。
室長お帰りなさい。
ああ。
あっこれ落としました。
あれ?すまない。
やはり3,000万円は院長に渡っていたか。
よくやってくれた。
証拠のメールは持ち出せませんでした。
ですが正式な契約はシンポジウムのあとです。
その契約を押さえれば証拠をつかめるかもしれません。
最上が不正に金を渡して院長に医療機器を買わせた事は公正競争規約っていう医療業界のルールに違反する事になる。
違反?医療機器の購入費用は国民が負担する社会保険制度や税金などの公的資金でも賄われてる。
だから裏金で不当に契約を勝ち取る行為は禁じられてるんだ。
最上への切り札になるという事ですね。
そうだ。
お疲れさまです。
あの〜これ誰が?さっき最上専務が届けて下さいましたよ。
一之瀬さんのじゃないかって。
山根さん今最上専務どこに?ジョイスキャピタルマネジメントっておっしゃってたけど。
あなたは一之瀬という男を使って何をしようとしてるんですか?あなたの存在なしにあの男がこんな大それたまねをできる訳がない。
私はもう一度ハシバの社長になってあなた方に却下されたライセンスビジネスでハシバを再生させたいだけですよ。
(最上)何を言ってるんだあなたは。
ベトナムで大規模な環境技術ライセンスを展開できる下地作りはしていました。
そうすれば本社は単独で利益を出せる。
だから子会社は売却する。
子会社売却など絶対ありえない。
あなたも分かってるはずだ。
製造でこの先ハシバがよみがえる事は難しい。
この事は取締役会に報告しますよ。
好きにして下さい。
だが私が何の切り札もなくあなたにこんな事を話すと思いますか?あなたの考えている事はもう分かっています。
本当に分かってるのかな?ええ。
分かっています。
今日のシンポジウムのあと正式な契約が行われる。
その現場を押さえれば裏金を渡した証拠がつかめるかもしれない
すいませんでした。
どうだった?大丈夫です。
(最上)「講演のあと院内の喫茶でお待ちしておりますので」。
(折原)「分かりました。
伺います」。
(女性)「いらっしゃいませ」。
折原先生。
お待たせしました。
(最上)お疲れのところすいません。
(折原)退屈なされませんでしたか?
(最上)若い頃のお話は興味深く伺わせて頂きました。
(折原)「いやお恥ずかしい」。
本題に入りませんね。
(ノイズ)すいません。
すぐ調整します。
様子見てくる。
えっでも…。
大丈夫。
すぐ戻る。
何を嗅ぎ回ってる?今回のコンペで競合しているアメリカのウィルソン社と戦いの真っ最中なんだ。
競合?ああ。
フェアな戦いだ。
早くとも結果が出るのは木曜。
我々にもウィルソンにも公平に交渉する権利がある。
1億の契約だ。
取られたくない。
競合相手がいるとは知らなかった。
最上と院長のメールでは3,000万円は既に院長に渡っていて今日正式に3Dプリンターの契約が完了するという話でした。
これからウィルソンの担当者に会って裏を探ってみる。
(チャイム)ミスターヨシダ?イエス。
一之瀬。
ミーティングの資料は?出来てます。
こちらです。
・秘書室です。
・
(安城)一之瀬か?安城さん。
黎秀会宇都宮北病院のコンペウィルソン社が取った。
まさか…。
確かな筋からの情報だ。
間違いない。
どうしてハシバがコンペに負けたんですか?分からない。
3,000万円は確かに折原の手に渡っているのに。
私もこの契約はハシバが取ると思っていた。
もう一度宇都宮に行って院長の情報探ってきます。
最上専務松木さんに「あなたの考えている事は分かっている」と言われた時表情が変わりました。
最上専務はまだ何か秘密があるように思います。
院長ならそれが何か知ってるかもしれません。
院長は今…。
(米田)東京です。
日本に一時帰国してる腎臓がんの権威の方と会う約束で。
本当は息子さんの事でそれどころじゃないんだろうけど。
留学されてる息子さんですよね?ええ。
向こうの病院が合わなくて院長に帰ってきたいって言って大もめしてるみたいですよ。
確か先月留学されたばかりですよね?ここだけの話息子のミスの尻拭いはしょっちゅうです。
今日も修理屋さんですか?お〜。
いやこれは俺のだよ。
いい手ですね。
物を作り出す人の手です。
手で作るから物に血が通う。
血が通ってるから暮らしになじんでいく。
だからいいんだよ。
ものづくりってのは。
そのラジオ…。
え?どうした?いえ…これと同じものを持ってる人を知っていて。
珍しいな。
こんな骨とう品みたいなものを。
俺昔このラジオ作ってたんだ。
ハシバの方なんですか?昔な。
このラジオで俺の人生は変わっちまった。
こいつがなければもっと楽な人生を送ってたかもしれないな。
まあ俺はもういつ死んでもいいんだけんど…。
アメリカから有名な先生が来て手術をしてくれる事になってるんだ。
あの病院に最上とつながる人間がいたのか。
はい。
田宮栄作という男で昔宇都宮にあったハシバの工場に勤めていた元同僚です。
2人が主軸となってSMF200というラジオの開発・製造に携わっていましたが宇都宮の工場が閉鎖になった時業績が評価されて本社に栄転になったのは最上専務だけでした。
田宮さんは九州の工場に異動して体を壊して辞めていました。
その病院に入院してるのは偶然か?分かりません。
でも2人とも同じ古いラジオを持っていました。
ラジオを?はい。
それから田宮さんは腎臓がんを患っていて今アメリカから帰国中の腎臓がん治療の権威時任医師が執刀するようです。
確かその先生は吉田君の番組に出ていたな。
時任先生に会ってきたが本人は田宮さんの手術はしないと言っている。
何度手術を断っても折原院長が諦めてくれないそうだ。
時任先生は日本の医学界が合わずに海外に出た人で日本で執刀する気はないと言っている。
田宮さん自身そこまで時任医師の執刀にこだわりがあるようには思えませんでした。
じゃあ院長はどうして諦めないんだ?俺たちも調べて分かった事があるんです。
(吉田)何です?ウィルソン社の役員に最上専務と親しい人間がいるんです。
その役員からの急な命令でウィルソンの担当者は日本に交渉に来たそうです。
一之瀬。
折原院長を訪ねてくれ。
でも院長に直接会うのは…。
院長には公にできない秘密があった。
ハシバの一之瀬と申します。
あなたが来ても何も話さないように言われています。
留学中の息子さんの事でお話があります。
息子さんが酔って通行人を殴って大ケガを負わせた事件です。
あなたはつい最近その被害者に示談金として3,000万円支払いましたね。
それからもう一つ。
院長あのウィルソン社との3Dプリンターの契約出来レースだったんじゃないですか?水曜に私の友人がウィルソンの担当者を取材しました。
まだ契約が決まる前なのにウィルソンの担当者の荷物は今にも運び出せるようにパッキングされていたそうです。
最上は結果が出るのは早くても木曜と言っていた。
これは明らかに不自然です。
ウィルソン社の役員に最上と親しい方がいます。
最上に呼ばれて急遽契約に来る事も可能です。
ですが分からないのは最上の気持ちです。
ウィルソンが交渉に勝てば不正を暴こうとしてる私たちの追及から逃れる事ができます。
ですが契約を奪われた最上は会社から責任を問われる。
最上はなぜ自分の首を絞めるような事をしたんでしょうか。
最上と田宮さんはどんな関係なんでしょうか。
あの人は何も言わない。
田宮さんの事は。
最上専務黎秀会宇都宮北病院との3Dプリンターの交渉まとまらなかったそうですね。
申し訳ありませんでした。
ウィルソン社に横から持っていかれたとか。
もうほぼ決まりという話でしたのにねえ。
ですがほかの病院にも交渉しておりましてすぐに損失の補填もするつもりでおりますので。
本当に残念でした。
心身共にさぞお疲れでしょう。
医療機器担当を新任の瀧君に代わってもらって君は少し役員の職を離れるというのはどうですかね。
いえ私は医療の分野は門外漢で…。
私も井岡さんから最近最上さんがご無理されているようだと聞いて心配してたんです。
一時的な事ですから。
(ドアが開く音)
(加賀)遅くなって申し訳ありません。
今黎秀会宇都宮北病院の折原院長から電話がありまして。
今回はウィルソンと契約したけれど今後はハシバとの関係を大事にしたいと。
あの3,000万をハシバとの関係を深めるための足掛かりとして今後大型機器の購入はうちに発注される事になりました。
医師会の先生方にも製品を薦めるとまで言って下さいました。
(井岡)まあそういう経緯があるなら今回の損失に関しては不問にせざるをえませんね。
ですが今後このような事がないようにお願いしますよ最上さん。
はい。
申し訳ありませんでした。
院長ありがとうございます。
院長のご配慮のおかげで現状のまま勤める事ができます。
私は一之瀬さんの提案を受け入れただけです。
一之瀬?それから申し訳ないが時任先生にはやはり手術はして頂けそうになくて…。
お呼び立てしてすみません。
最上専務。
私をなぜ助けた?あなたには役員にとどまり我々の味方になってもらわなくてはなりませんから。
笑わせるな。
お前らに利用されるつもりはない。
俺たちは初めハシバメディカルの業績を回復させるためにあなたが折原院長に3,000万円の裏金を渡し3Dプリンターの契約を取ろうとしてるんだと思っていました。
でもウィルソン社を呼んだのはあなた自身だった。
あなたは自分が社内で不利な立場になる事を覚悟してまで契約をウィルソンに譲った。
それは田宮さんの手術を時任先生にしてもらうという個人的な目的のために裏金を使ったという事を隠し通すためだったんです。
そもそも3Dプリンターの交渉それ自体が田宮さんの手術のために折原院長に渡す裏金3,000万円をハシバから引き出すための口実だった。
裏金であっても告発されれば会社の金を私的に使ったあなたは特別背任罪に問われる可能性がある。
折原院長もその金でスキャンダルをもみ消そうとした。
これが公になればあなた方は2人とも社会的に立場を失う。
この事を公にされたくなかったら俺たちに協力して下さい。
ふざけるな。
何がライセンスビジネスだ。
僕たちもハシバを守りたい。
だからやってるんです。
今後ハシバを発展させるためには新興国へのライセンスは不可欠です。
製品が売れなくてもハシバの技術は今も優れています。
だからこれは事業として成立します。
ライセンスビジネスなんてのはお荷物になった製造を切り捨てるための方便だ!ハシバの歴史も知らないお前たちが勝手な資本の論理で会社を切り刻んで売り払うだと?そんな事この俺が許すと思ってんのか!?これ以外にハシバを救う手段はないんです。
待って下さい松木さん。
決して製造を切る事が目的ではありません。
ライセンスビジネスにはライセンス先に技術を教える指導者が必要です。
俺はできる限り子会社の社員を技術指導者としてハシバに残ってもらうつもりです。
彼らがいなくてはハシバは立ち行かなくなる。
違うでしょうか。
いい加減な事言うな!お前らに油まみれになって製品を作ってきた俺たちの何が分かる!厳しい納期低い賃金。
人手不足で寝る暇もないシフト。
体を壊したってみんな納期を守るために休みも取らずに歯を食いしばって働いてきたんだ。
田宮だってハシバのために尽くしてそれで体悪くして放り出されて小さな工場を渡り歩いてなんとかやってきたんだ。
俺がハシバに戻れと言ったらまともに働けない自分じゃハシバの力になれないからって…。
私はあなたが田宮さんと何か利害関係があって手術を手配してるんだと思っていました。
でも違った。
あなたは友情のために役員の座を捨てる覚悟で田宮さんを救おうとしたんですよね。
何をする。
役員になって現場を離れてもこの節くれ立ったあなたの手には製品を生み出してきた歴史が刻まれています。
ラジオを直していた田宮さんと同じ手です。
ああ。
あのラジオは俺たち2人の誇りだ。
この手であなたが生み出したハシバの製品その技術を埋もれさせたくないんです。
ハシバの技術を欲しがっている世界中の人にそれを買ってもらってもっと多くの製品を作るんです。
それが俺たちの夢なんです!青臭い事を言うなと思っていますよね。
若い連中が青臭い夢を語らなくなったらその会社は終わりだ。
俺と田宮は青臭い夢ばかり語ってた。
「今の経営陣は駄目だ。
会社を変えてやる」。
田宮は2人で寝る暇も惜しんで開発したラジオを全部最上一人の手柄だと言って道を作ってくれた。
「お前は偉くなってハシバを変えろ」。
半年前田宮の腎臓がんが悪化しているのを知った。
田宮は離婚で一家が離散して自分の死を悲しんでくれる人間はいないとやけになって手術はしないと言っていた。
だが俺は田宮を死なせたくはなかった。
それで時任先生を見つけ出したんだ。
だが時任先生は海外で執刀してる。
そこで時任先生とパイプのある折原院長に目をつけて田宮の執刀医になってもらうように頼んだ。
だが時任先生は国内で執刀する事をかたくなに拒んだ。
折原院長は説得する代わりに3,000万円用立ててくれないかと言ってきた。
院長は息子の始末の示談金が必要だった。
息子の不祥事隠しに病院の金は使えない。
院長は株の損失で3,000万円の金も作れないような状況だった。
そこで俺はハシバの裏金から3,000万円を渡して時任医師を田宮の執刀医にするよう折原院長に頼んだ。
一体何だったんだろうな。
俺がハシバでやってきた事は。
あなたが我々に協力してくれるなら我々もあなたの私的流用は隠し通します。
あなたも再生するんです。
ハシバと共に。
(最上)先生…。
手術うまくいきましたよ。
よかったな!
(最上)君たちのおかげだ。
ありがとう。
吉田君が密着取材を絡めて時任先生を説得してくれたおかげです。
どうやって説得を?先生のポリシーは分かるが田宮さんと同じがんで苦しんでる人が先生の執刀を見たら生きる望みが持てるんじゃないかと話しただけです。
受けた恩義は返す。
何でも俺を利用しろ。
最上さん。
あなた以外の役員たちはどのように裏金を使っているんですか?
(最上)裏金作りは賄賂や政治献金のために始まった訳じゃない。
何かいわれがあったようだ。
いわれって何ですか?俺には分からん。
ただ何かを知ってるとしたら里中しかいない。
(最上)私に松木さんの下にいた一之瀬を警戒する事を促したのは里中だ。
里中常務が…。
手を打った方がいい。
里中に動きを悟られる前に。
今日はいないみたい。
その将棋が強いっておじいさん?そう。
診察の日はそこのソファーに座ってるの。
会いたかったなあ美砂子の友達。
どうした?私…このまま日本で治療する。
でも…。
諒が私の事考えてくれてる事は分かってるけど。
私は諒のそばにいたい。
分かった。
うん。
すいません急に呼び出して。
どうしたの?ここです。
ここが何なの?・
(寿々子)龍之介さん!
(寿々子)どうして私をまた置いていくの?・「君と見つめていたあの赤い夕陽が」・「冷たい朝陽に変わり」・「そっけなく僕を照らす」・「『こんなはずじゃない』」・「そんなことは一度や二度じゃない」・「誰かを守るために傷つけあう」・「涙も枯れて力も尽きて」・「途方に暮れて」・「それでもどこか出口を見つけ」・「歩いて来たんだよ」2014/12/06(土) 21:00〜22:00
NHK総合1・神戸
土曜ドラマ ダークスーツ(3)「お前らに何がわかる?」[解][字]
ハシバ本社の秘書室に異動になった一之瀬(斎藤工)は、取締役の最上(柴俊夫)が宇都宮に頻繁に出かけていることを知る。三千万円のハシバの裏金の意外な目的とは何か!
詳細情報
番組内容
ハシバ本社の秘書室に異動になった一之瀬(斎藤工)は、専務取締役の最上(柴俊夫)が宇都宮に頻繁に出かけていることを知る。三千万円のハシバの裏金が何に使われるのかを突き止めるため、一之瀬は吉田(戸次重幸)の取材網を通じて最上の行動を調べる。最上はある病院に出入りをしていた。医療機器の契約を成立させるための裏金工作だろうか? 一之瀬、番場(満島真之介)、松木(石丸幹二)たちの前に、思いがけない事実が…。
出演者
【出演】斎藤工,満島真之介,倉科カナ,市川由衣,大鶴義丹,神保悟志,戸次重幸,榎木孝明,大杉漣,石丸謙二郎,柴俊夫,大和田伸也,深水三章,竜雷太,石丸幹二
原作・脚本
【作】荒井修子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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