きょうの健康「下肢静脈瘤(りゅう)」 2014.12.23


(テーマ音楽)正しい健康情報を分かりやすくお伝えする「きょうの健康」です。
今日はまずこちらの写真からご覧下さい。
女性の右足の写真なんです。
脚の形が変わっている箇所がありますよね。
これは下肢静脈瘤という病気で膨らんでいるのは血管なんです。
脚の静脈に血液がたまって血管が曲がりくねったりこぶのように膨れ上がったりします。
脚がこういった状態になってしまうとちょっと心配ではありますよね。
下肢静脈瘤は良性の病気で命に関わるような事はないんですが不快な症状が続いてしまう事があります。
…という事で今日のテーマはこちら。
症状を改善する方法などについてお伝えします。
では早速専門家の方をご紹介しましょう。
血管外科で下肢静脈瘤をはじめとしたさまざまな血管の病気の診断治療がご専門です。
どうぞよろしくお願いします。
下肢静脈瘤特に女性はスカートをはいた時にちょっと目立って気になりますよね。
もう一度写真を見てみましょうか。
このようにやはりボコボコッとしてしまう事が多いんですか?はい。
下肢静脈瘤は女性を中心に大変多くの人に起きてる病気ですがいくつか種類があります。
まず冒頭で紹介した膝から下の部分にかけて血管が浮き上がりボコボコとこぶのようなものが出来る下肢静脈瘤のこれが典型的なタイプです。
一方こちらは軽いものでうっ血はそれほど強くなくて脚の表面に赤や青色をした細かな血管が不規則に散在するタイプ。
こういったものもあります。
下肢静脈瘤が進行すると色素沈着が起きたり潰瘍が出来たりもします。
こういう症状を見ると心配にはなってくると思うんですが実際大丈夫なものなんでしょうか?冒頭にもあったように下肢静脈瘤は幸い命に関わったり脚の切断となる病気ではありません。
しかし生活に不便を生ずる事が一番問題となります。
症状は必ずしも見た目に比例するものではなくて瘤がたくさん出来ていても無症状の方や全く目立たないのに症状が強い方もいらっしゃいます。
下肢静脈瘤で現れる症状としては足がだるい・重い・痛いとか朝より夕方に強い足のむくみが生じたり夜間のこむら返りといったものがあります。
いずれも生活の質を落としてしまいます。
この下肢静脈瘤起こる仕組みというのはどういう事なんでしょうか?正常の場合のモデルで説明します。
酸素や栄養分が使われたあとの血液が脚から心臓に向かって流れている血管を静脈といいます。
脚の断面図を見て下さい。
脚の静脈は大きく2つに分かれます。
筋肉を覆う膜である筋膜の中の深部を通っている静脈。
この辺りのこの点々ですよね。
それと筋膜の表面を通る静脈。
こちらやこちらになる訳ですね。
この2つがあります。
下肢静脈瘤は筋膜の表面を通る静脈で異常が起こります。
これは静脈の中で何が起きてるんでしょうか?それは弁の異常です。
静脈は弁構造を持っており血液の逆流を防いでいます。
このため通常は血液は静脈の中を心臓に向かって一方通行で流れています。
しかし静脈瘤の場合は何らかの原因でこの静脈の弁が壊れてしまいます。
壊れてきちんと弁が閉まらないと立ってる状態では血液が逆流して静脈の圧が上昇するので静脈は拡張し曲がりくねってこぶとなってしまいます。
そういった結果血液が脚にたまり脚がうっ血を起こすのでむくみやだるさなどの症状が起こってきます。
下肢静脈瘤はどんな人が起こしやすいという事は分かっているんですか?まず女性に多く見られます。
男女比は1対3ですが…というのも妊娠・出産を契機に発症する事が多いからです。
また長時間立ち仕事をしている人は血液が心臓に戻りにくくなるので起こしやすくなります。
そして当然ですが立ってる時間が長かった高齢者の方やそのほかに下肢静脈瘤の家族歴がある方にも多く見られています。
この下肢静脈瘤じゃないかなと思った場合にどの科に行けばいいんでしょうか?受診先は血管外科が専門ですのでまずお勧めします。
しかし近くにない場合は外科皮膚科形成外科などでも治療を行ってる場合があるのでまず相談してみて下さい。
その治療というのはどんな事を行うんでしょうか?下肢静脈瘤は良性の疾患なので血管が浮き出たというだけでは必ずしも治療が必要な訳ではありません。
不快な症状があってつらいという方に行うのが原則です。
またどうしても外見が気になるという方も場合によっては治療を検討します。
詳しくその治療を教えて頂けますか?まず治療の基本は圧迫療法です。
医療用の圧迫用のストッキングである弾性ストッキングや弾性包帯などを使って脚に適度な圧力を与えます。
専門医に処方される弾性ストッキングは普通のストッキングとは違い特別な編み方で作られています。
外側から一定の圧で脚を圧迫する事により血液が心臓へ戻りやすくなるので脚のうっ血が改善できるのです。
日本静脈学会では弾性ストッキングの適切な使用のためストッキング・コンダクターという資格を作り医療従事者の育成指導をしています。
ではその圧迫用の弾性ストッキングの履き方について今日は特別に専門の方に教えて頂きます。
はい。
こちらにはストッキング・コンダクターの育成指導をなさっている横浜市立大学の松原忍さんにお越し頂きました。
動脈静脈リンパ管などの治療を専門とする日本脈管学会認定の脈管専門医でいらっしゃいます。
どうぞよろしくお願い致します。
こちらに弾性ストッキングありますがいろいろな種類があるんですね。
そうですね。
一番多いタイプがこのハイソックスタイプになります。
男性の方が好まれる綿の入った厚手のタイプそれから爪先のないタイプもあります。
これは爪先がないんですね。
そうですね。
あとは長いロングストッキングタイプもあります。
これも同じように爪先のないタイプのロングストッキングタイプもあります。
状況によってはパンティーストッキングタイプを使う事もあるのですが静脈瘤の治療の場合には一番このハイソックスタイプを使う事が多いので今日はこちらを使って履き方の練習をしてみたいと思います。
それでは早速その履き方をこちらで教えて頂きましょう。
こちらにハイソックスタイプがあります。
久田さんこのストッキング履いてみて下さい。
はい。
では私が履いてみます。
ちょっとこちらをめくりますね。
このハイソックス普通履く時はこういうふうにしますよね。
このようにやって…さあ履いてみましょう。
よいしょ!あっ…これ結構硬いですね。
入らないですね。
きついですよね。
はい。
このようにふだんストッキングを履くようにまとめてしまうとゴムの塊のようになってきつくて履けないんです。
これがよくある失敗例です。
ではまず一旦ストッキングを伸ばして頂きます。
はい。
伸ばします。
この爪先の部分とそれからかかとの部分の布地を確認します。
生地が違うので分かりますね。
このかかとの部分を目標に中に手を入れていきます。
かかとの部分に手を入れました。
そしたら反対の手でかかとの布を奥に押し込んで中にある手でつまみます。
かかとを押し込んで中の手でつまみました。
このつまんだ手を離さずにストッキングの端を持って一気にひっくり返して下さい。
ここでひっくり返すんですね?そうです。
こうでしょうか?はい。
握ったままです。
そうするとこのかかとの布地が外に出て爪先の入る部分がこのような空洞になります。
ここがかかとで…こういう空洞という事ですね。
そうすると布地が2枚なので先ほどよりも引っ張りやすくなります。
そうですね。
引っ張りやすいです。
今度はそれを下に置いてかかとがかかとの方向に向くようにストッキングを置いて履いてみましょう。
ここで履いてみるんですね?思いっきり開いてなるべく奥まで一気に足を入れてしまって下さい。
なるべく開いて一気に入れます。
よいしょ!ここまでできれば大丈夫です。
あとはこの布地の余っているところをつまんで上に引き上げていって下さい。
この余っているところをつまんで引き上げます。
これで大丈夫ですか?はい大丈夫です。
よいしょ!これも結構力がいりますね。
このかかとの位置とそれから爪先の位置が合っていればきちんと履けた事になります。
爪先とかかとを合わせるんですね。
今大体合ってますね。
そのままストッキングを上に伸ばしてって下さい。
上に伸ばす…。
これもなかなか大変ですね。
よいしょよいしょよいしょ…。
こんなもんでどうでしょうか?履けているんですがこのようにストッキングが塊になってしまうとここが食い込んでしまってまたそこで圧力がかかってしまうのでなるべくこういうシワが出来ないように伸ばしていきます。
やっぱりシワがあるとよくないんですね。
なるほど。
こう伸ばしましたと…。
そうするとこのくらいでこんな感じでどうでしょうか?これもよくありがちな失敗なんですが上が長さが余ったからといって折り返してしまうとここでストッキングが二重になってまたここで圧力が高くなって食い込むもとになります。
ですのでストッキングを履く時は上縁が膝の下になるような形に合わせて全体に均等にストッキングの布地が寄るように調整して下さい。
折り返しちゃ駄目なんですね。
この膝下のところに上が来るような感じで…。
最後にこうしてなでつけるとシワがだんだん伸びていきますのでこのような形でストッキングを履いて頂けたらと思います。
なるほど。
これでシワなく履けました。
やっぱりコツがあるんですね。
このコツを覚えて頂きたいと思いますがやはり手の力が弱かったり指先に痛みがあるような方はちょっと難しいかもしれませんね。
そのような方の場合にはこの弾性ストッキングにも圧力がいくつかありますのでもう少し下の圧力のものを使って頂いたりとか場合によっては弾性包帯を巻き上げるというような形がいいと思います。
担当の先生によく相談するようにして下さい。
分かりました。
どうもありがとうございました。
圧迫用の弾性ストッキングの詳しい履き方教わりましたがこれ一日中履いてた方がいいんでしょうか?立ってる時は履く必要がありますが横になれば脚にうっ血を起こさないので寝る時は外して結構です。
弾性ストッキングを履く事で静脈瘤による脚のうっ血がとれるので症状がある方は快適に過ごす事ができるようになります。
決して歯を食いしばって履くものではありません。
弾性ストッキングは有効な治療手段で症状を軽くする事はできるんですが脱ぐと再び静脈瘤が出てしまいます。
残念ながら頑張って履いていると静脈瘤が治るという訳ではありません。
ちょっと久田さんまだ慣れなくて少し頑張ってらっしゃいましたが慣れてくればだいぶ楽に履けるようになると思うんですが弾性ストッキングでなかなか症状が治まらない場合その根本的な治療というのはどんな事になるんでしょうか?根本的に治したい人には手術を行います。
特にうっ血の症状が強い方皮膚に変化が起きている方潰瘍が出来てしまってる方などは強く手術を勧めています。
長年行われてきたのは弁不全を起こしている静脈を引き抜いてしまう抜去術というものです。
最近では広がった血管の中にカテーテルを通してレーザーや高周波といったエネルギーを使って焼く方法もあります。
ただこの静脈をこんなふうに取ったりそれから焼いたりしてしまって大丈夫なんですか?ほかにも静脈はたくさんあります。
ほかの静脈特に深部の静脈がちゃんと機能しているかどうか。
いくつもある訳ですよね。
これを手術前に必ず確かめます。
幸いほとんどの場合大丈夫です。
そのあと小さな静脈瘤が残った場合などは補助として静脈瘤に固める薬を注射して静脈瘤を潰す硬化療法を行う事もあります。
今日は下肢静脈瘤についてお聞きしてきましたがもう一度ポイントを教えて頂けますか?下肢静脈瘤は良性疾患のため命に影響したり脚の切断になる事はありません。
しかし不快な症状で生活の質を落とす事が問題です。
治療の基本は弾性ストッキングを用いた圧迫療法です。
症状の軽減にもなりますし根本的な治療をする上での判断材料にもなります。
コツをつかめば比較的簡単に履けるのでまずはストッキングを試してみて下さい。
その後症状がひどい場合は医師と相談して根本的な治療である手術を検討して頂ければと思っています。
今日は下肢静脈瘤について詳しくお話を伺いました。
宮田さんどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/12/23(火) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康「下肢静脈瘤(りゅう)」[解][字]

下肢静脈瘤(りゅう)は、脚の静脈に血液がたまり血管が膨らんだり蛇行したりする病気。女性に多い。治療の基本は締めつけが強い「弾性ストッキング」を履くこと。

詳細情報
番組内容
下肢静脈瘤(りゅう)と、脚の静脈に血液がたまり、血管がこぶのように膨らんだり、蛇行したりする病気。女性に多い。良性の疾患だが、うっ血により「脚がだるい」「夜間のこむら返り」などの不快な症状が続くこともある。治療の基本は医療用の「弾性ストッキング」で脚に適度な圧力を加えること。締めつけが強くて履きにくい弾性ストッキングを上手に履くコツなどを紹介する。
出演者
【講師】国際医療福祉大学教授…宮田哲郎,横浜市立大学、日本脈管学会認定専門医…松原忍,【キャスター】久田直子,寺澤敏行

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:34998(0x88B6)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: