(小栗)皆さんこんばんは。
小栗旬です。
今夜は三谷幸喜監督が初めて挑んだ時代劇『清須会議』をお送りします。
信長亡き後に巻き起こる織田家の跡取り合戦を真面目にでも三谷監督らしく面白おかしく描いております。
シバカツさん派か猿君派かそれぞれの陰謀が渦巻きます。
いやあ信長が死んだ後色々大変だったんですね。
僕が演じている信長の活躍は月曜夜9時より放送の『信長協奏曲』をチェケラ。
(家臣たち)おはようございます
(玄以)おはよう
(寝息)臭いごめん明智日向守ご謀反!
(明智兵)とりゃあうわあちゃ!戦上手の日向守父上といえども助かるまいお館様が…ここも明智の軍勢が寄せ来るのは必定わしは籠城して最後まで戦う所存だお前たちは早々に落ち延びよ私もここに残りますそれはならん!三法師を連れ清須へ向かうのだ嫌でございますわしを困らせるなだから来るなと言うたのだ松三法師を頼む玄以後は任せたかしこまりましたこれで戦の世に逆戻りだ
(家臣たちの掛け声)丹羽様がお見えです丹羽様これはこれは
(長秀)藤吉郎よくぞ戻ってきてくれたいやあ五日間ひたすら駆けに駆けましたわ明智は少なく見積もって一万我が方は三千まともに戦っては勝ち目がなかった待っていたぞそれがしの方は二万明智など蹴散らしてみせまするふははは…
(官兵衛)織田信孝様がお見えですおっ
(秀吉)ははっ藤吉郎大儀であった
(秀吉)ははーっすぐに出陣じゃこの織田信孝が父上と兄上の仇を討つ!
(兵士たちの叫び声)
(いななき)
(うめき声)未だに信じられん本当にお館様はもうこの世にはおられんのか考えようだむしろお館様らしいご最期ではなかったか本能寺と共に焼け落ち突然髪の毛一本残さず消えてしまわれた
(物音)
(盗人)うう…うわわ…この場で殺生は控えろ消えろ
(盗人)ひひ…ひひーここは立ち入りを禁じようどうなるこれから織田家は一刻も早く信孝様にお家を継いでいただくそして権六お前がその後見として織田家を守り立てていくのだわしが?それが宿老筆頭としてのおぬしの役目だ柴田修理亮勝家うむ問題は藤吉郎だその名を出すな明智を倒したのはあの男これからますます力をつけていくわしは奴が草履取りの頃からお館様と共に戦ってきたサルに織田家を乗っ取られてたまるかだからこそおぬしに働いてもらわねばならんのだ何をすればいいまずは評定を開く
(勝家)評定?各地に散った家来を一堂に集め織田家の今後について話し合うそこで権六の存在を天下に知らしめる場所は清須がいいだろう清須
(長秀)かつての我らの居城思い出の場所だこれは戦だなそう戦だ評定という名の
(寧)あなた様も見とらんで手伝ってちょ今さら畑仕事なんかできんて
(寧)おかあ様藤吉郎様はお館様の仇を討ってからどえりゃあ人が変わったでかんてまるで天下でも取った気になっとるがね
(なか)藤吉郎いくら綺麗なべべ着とってもなおみゃあには百姓の血が流れとるんだで
(秀吉)お袋様はうざこいんだがや兄者こんなできゃあのが穫れたでおうまっと大きなるかもしれんでそのまま置いときゃあ
(なかと寧)は?あんなこと言うとるでいかんわ
(なか)たわけなんじゃいなにとろくせえこと言うとるこれ以上置いとくと皮が硬なるがねそんなことも忘れとるわ百姓の心失うとる
(なか)このくそたわけが
(小一郎)あほんだら黙りゃあ!
(なか)このでか耳あんたのせいじゃ
(官兵衛)殿
(秀吉)おう届きましたぞ
(秀吉)思いの外早かったな清須城にて織田家の跡目相続と御領地の配分を決める評定を行うそうです親父殿にしてはずいぶんと手際がいいのう恐らく背後には丹羽様がおられるかとふんなるほどのう殿に宿老筆頭の座を奪われるのではないかとびくびくされてるご様子ふふふ…とろくさええいわしが望んどるのはそんなちっぽけなものではにゃあわ清須か官兵衛支度だはっ
(玄以)皆々おはよう
(一同)おはようございますこの度この清須において織田家の今後を決める極めて重大な評定が開かれることと相成った評定の成功はすべて我ら裏方の働きにかかっていると言って過言ない一同気を引き締めて事に当たるように
(一同)はっこの景色この風昔のままだ何年ぶりになるかのうかれこれ二十年になります出陣の時はいつもこの空が見送ってくれた清須の空じゃ!
(勝家の笑い)左近は?まだ来ておらんのか小田原の戦で手こずっているらしい
(勝家のため息)早速だが信孝様の所へ行ってほしい着いたばかりだぞ早いからいいのだ我らの旗頭となるべきお方礼を尽くしておいて損はないうんその前にちょっと顔を出したい所がある信孝様が先だ藤吉郎に先を越されたらえらいことになる
(勝家)すぐに戻る
(勝家)北陸の名産でございます大儀である権六
(勝家)お市様が香の物がお好きだとおっしゃっていたのを覚えておりまして香の物?
(勝家)加賀で穫れたらっきょうでございますらっきょうは元来精がつく薬とされてきましたが甘酢に漬けますと殊の外美味でございます権六はい
(お市様)織田家にとって未曾有の危機どうか皆の者が一つとなってこの危難を乗り越えてくださいますように心得ております
(お市様)跡継ぎは誰と考える信孝様がよろしいかと信孝ならきっと兄上のご遺志を継いで天下を治めてくれるであろうこの権六勝家信孝様を守り立ててて…織田家がもっと栄えるよう尽力いたしまするよいですかくれぐれも藤吉郎の勝手にさせてはなりませぬぞはっ織田家を引っ張ってゆくのは宿老筆頭たるそなたですサルではないよしっ!
(勝家)おう
(お市様)香の物が好きだなんてわたくし一言も言ってません以前お香の話をされたのを覚えていたのでしょう
(お市様)普通お香と聞いて漬け物と思うかしら
(小袖)権六で大丈夫でございますか
(お市様)藤吉郎を抑えられるのはあの男しかいませんあれはわたくしが死ねと言えば死ぬ男サルにひれ伏すくらいなら織田家は滅んだ方がましわたくしは決してあの男を許しはしない決して
(物売り)見るのはただどうですかー
(少女)サルが帰ってきたよ!
(少女)サルが帰ってきたよ!
(村人の歓声)ありがとうありがとう清須の皆々様藤吉郎が帰って参りました賊将明智光秀の首を挙げ見事お館様の仇を取って皆々様の藤吉郎が帰って参りましたぞ!餅じゃ餅じゃ!ありがとうありがとうわしでよいのかぜひとも織田家の家督は殿下に継いでいただきたいしかしわしには兄がいる何をおっしゃいます信雄様は大うつけ織田家の棟梁が務まるわけがない権六口が過ぎるぞ失礼確かに信雄様は殿下の兄上しかしながら実際にお生まれになったのは殿下の方が二十日ほどお早い
(勝家)その通り
(長秀)跡目を継がれるのに何の気兼ねが要りましょう天下統一は志半ばで亡くなられた父上の悲願でしたできることならその思い引き継ぎたいわしでよろしければやらせていただきましょう信孝様さえ味方につければこっちのものサルの悔しがる顔が目に浮かぶわさて藤吉郎はどう出るか官兵衛お市様に会ってくるぞお館様を亡くされて落ち込まれていることであろうからなちょっと行ってお慰め申し上げてくるわふふ…京土産喜んでくれるとよいがのう
(秀吉)あーっ!お館様の仇を討ったのはわしでございますそれで喜ぶと思ったか兄もそなたもわらわの敵じゃ
(秀吉)なんでじゃなんで喜んでまえんのきゃそれだけあの方の殿に対する恨みが根強いということ何年たったと思っとるんだ
(官兵衛)息子を殺された恨みはそう易々と消えるものではありません
(秀吉)わしだって好きで万福丸を殺したわけではないわあの時はお館様の命で仕方なく
(官兵衛)その理屈がお市様にはお分かりにならない
(秀吉)なんだかなそもそも旦那がお館様に楯突くもんであんなことにわしを責めるのはお門違いゆうもんだがや
(官兵衛)殿お市様のことはお忘れくださいわしがお市様に惚れたらかんかお館様の妹だでかわしが百姓の出だでか!柴田様は明日の評定の足固めを着々と進めております既に信孝様と手を組まれたご様子早いな先を越されました我らも早々に手を打たなくては信孝様を取られたとなれば対抗できるのは一人しかおるまい
(信雄)え?ちょっと待ってくれ権六は信孝を推してるのか?そのようでございます
(信雄)えー何だよそれ下りる手伝え
(信雄)早く早くもう
(秀吉)はっ頭頭だ頭ここ持ったら痛いでしょもうあー俺次男あいつ三男まったくもって理不尽なお話でしょそもそも信孝は父上が身分の低い女に産ませた子だ
(信雄の力む声)俺がいるじゃないかよえ?なんなんだよ信雄様織田家の跡目お継ぎくださいますかいいよいいよ?これで織田家は安泰でございまする藤吉郎俺を真のうつけと思うな待てこれは世を欺く仮の姿父上の遺志を継いで必ずや天下統一を成し遂げてみせるそれでこそ織田家の棟梁!任せておけほれ
(蛙の鳴き声)待ったかいがあったな柴田様
(勝家)ん?ご無沙汰しておりました明智討伐ご苦労であった
(秀吉)ぐあっははー親父殿がおってくれたらまっとはよ明智を討てとったのにいささか手こずってしまいました
(秀吉の笑い)いやーこうして親父殿と飲んどると昔を思い出しますなこの清須におった頃は毎晩のように集まっとりましたなあのう親父殿と呼ばれたのは久方ぶりだ柴田様がどんなに偉なられてもわしらにとっては親父殿ですわなあ犬千代ああ
(秀吉の笑い)
(勝家)藤吉郎わしは織田家の家督を信孝様に継いでもらおうと思っている聞いとります既にそれで話は進んでおる構わんなわしは信雄様こそふさわしいと考えております本気か?本気でございます信孝様ではなぜいかん信孝様は御三男生まれたのは信雄様より先だされどお館様が信雄様を御次男にとされたのです親父殿はお館様のお考えに逆らうおつもりでございますか信雄様に織田家を率いていけると思うのか思いませんあれはたわけですからしかし織田家には親父殿がおります丹羽様もおります及ばずながらこの藤吉郎も我ら家来が一つとなれば必ずやこの危難を乗り越えられるものと信じております親父殿がおる限り織田家は安泰でございまする確かに一理ある
(長秀)それで黙って帰ってきたのか藤吉郎ごときに丸め込まれてどうする酒のせいだああっ自分が嫌になる藤吉郎は信雄様を推すかいよいよ全面対決だな
(勝家)よーしまず何をすればいい五郎左お前だけが頼りなんだこれよりは信孝様となるべく行動を共にするのだうん噂はすぐに城内に広まる宿老筆頭と信孝様が共にいれば織田家の中心はこちらにあると誰もが思うだろう
(利家)藤吉郎俺とお前の仲だ本心を聞かせてくれ本心?まさか織田家を乗っ取るつもりではないのか
(秀吉の笑い)物騒な話をするな御しやすい相手ゆえ信雄様を選んだ違うかお館様が亡くなられたと知った時どんだけわしが泣いたか知らんだろあのお方に一番世話になったのはわしだがや今こそ恩返しすべき時だと思っとるその言葉信じてよいなお前の前では嘘はつかんもし偽りと分かった時は俺はお前を斬るどうぞ斬ってちょしかし相部屋とは恐れ入ったよな国々に散ったお館様の家来が評定のために呼び戻されたのだ部屋が足りないのだろうだからってさ俺たちだっていい大人なんだから佐々殿なんならわしは表で寝ても構わんがあ…そういうふうに取らないでほしいな悪かった悪かったではおやすみなさい明日の評定は結構荒れそうだなまあ流れからいくと藤吉郎有利は間違いないなおっさんでも俺はどちらかと言えば親父殿だなどう思う寝ちゃった?
(成政)なんだよはえーなほらおっさん飲もうぜ皆々おはよう
(一同)おはようございます本日予定されていた評定は滝川左近将監一益様のご到着が遅れているために延期となりましたなお定められた予定とは別に諸将の皆さんによる個々の会合は随時行われると思われますのでお茶の支度または酒宴の準備は怠らないよう
(一同)はっ
(秀吉)はははいやいや…遠路はるばるよう来てくれたがや千人の味方よりも心強いで清須もでえら感じが変わったわ昔の方が栄えとった気がするがねそりゃ昔はお館様がおったもんで活気もあったわ藤吉郎様まだ分からんでかんわなんでゃあなんで私は呼ばれたのそのうち分かるてささこっち来やはよはよ
(勝家)退け信孝様のお通りである頭が高い
(官兵衛の声)それはまるでかつてのお館様を見るようでした既に跡継ぎに決まったかのようなご様子つまらん真似をしおってよーし負けておられんこっちもやろうやりますかよっよっおっ…おわーっ
(秀吉)織田信雄様のお通りであるはは…ああーっ
(信雄の高笑い)
(勝家の笑い)それは見てみたかったなはっははは…しょせん信雄様は大将の器ではないわ
(勝家の笑い)
(勝家)どうした信雄様はともかく藤吉郎を取り巻く輩どもの多さが気になる長いものには巻かれろというくだらん連中だ藤吉郎は存外人気があるようだああわしは人気がないよ悪かったな何か手を打たねばなるまいどんな
(お市様)茶々初江
(勝家)これはこれはお市様
(お市様)権六
(お市様)さあさささ…
(勝家)さあ姫権六のおじさんが抱っこしてあげましょうね
(お市様)ちょっと
(江)嫌じゃ
(勝家)高い高い高い
(勝家)高い高い
(江)嫌じゃ嫌じゃ
(江)嫌じゃ
(勝家)ほらほらんー
(お市様の笑い)
(お市様)よかったわね江
(お市様の笑い)まだ臭いが残っておるはっ失礼いたしました
(お市様)シラミをうつされたかもしれませんよく調べておくように
(小袖)かしこまりましたして藤吉郎の反応は?
(小袖)それはそれは落ち込んでおられました何よりじゃ藤吉郎に一泡吹かせることができるのならしばらくは娘たちにも我慢してもらいましょう
(江)嫌じゃ嫌じゃ
(小袖)お江様お待ちください怒られますぞ母上にお江様!
(長秀)余計なことをしてくれたな何が余計だわしはよかれと思っておぬしは分かっておらんわしとお市様が一緒にいれば織田家の中心はこちらにあると誰もが思うわお市様はお館様の妹君織田家にとっては神聖なるお方だそれを汚されたと思う者も中にはいるのだまるでわしが汚い物のように言うではないかおぬしがお市様に惚れてるのは分かっているお前…お前何言ってんだよ馬鹿じゃないの!ここは自重せよ以後お市様には近寄るな
(官兵衛)お市様のことは忘れてください誤解するなわしは親父殿のことで妬いてるわけではない
(官兵衛)分かっておりますお市様が向こうについてわしらの立場が危うくなったらどうするわしはそれを言っておるんじゃ
(官兵衛)ならばこうしてはいかがですお館様の血縁でお市様と等しくいや…お市様以上に力を持っている織田家の誰かをこちらに引き入れる数ある弟君の中でお館様が最も目をかけていた織田上野介信包様です三十郎様?
(秀吉)味方についてくれるかのう
(官兵衛)なにしろ変わったお方ですからそれなりの手を考えなければなりませんな
(秀吉)京で手に入れました丹次郎の香炉でございますわしに何をしろと言うのだ
(秀吉)いや他意はござらんただ…んんんただ久々にお会いするのに手ぶらも失礼かと存じましてふんおかしな話だな
(三十郎)兄が生きていた頃は誰もわしに見向きもしなかったお館様亡き後三十郎様は織田家の柱ともいうべきお方兄の後継には信雄を推すらしいなさすがお耳がお早い加勢してほしいのかできますれば断る
(三十郎の笑い)生ぐせえ話は苦手だ誰が跡目を継ごうがわしにはどうでもよいこと
(秀吉)三十郎様らしいお言葉
(三十郎)無駄足させてしまったなでは失礼
(三十郎)藤吉郎忘れ物だ
(秀吉)ちなみにその香炉京で買った時には三千貫でございました
(三十郎)ふっあれが?お館様がお亡くなりになられ戦乱の世が戻ってくれば御金蔵の金銀も戦の資金に回されます織田家の皆様に払う扶持もこれからは切り詰めていくことになりましょうお手元に置いておいた方が何かとご都合がよろしいかと
(襖の開閉の音)
(秀吉)まったく食えん男だがや
(官兵衛)感触はいかがでした?突き返さんかったところを見ると受け取ったと見ていいだろうしょせんはお館様の身内というだけで生き延びてきた男格好つけても底の浅さが見え透いとるわ藤吉郎が三十郎様と会ったそうじゃないかこうしちゃおれんわしも会ってこよう
(長秀)権六落ち着け
(勝家)あっらっきょうまだあったかな権六!三十郎様は決して表舞台には上がられないお方よもや藤吉郎の肩を持つことはない案ずるなさて…次は?藤吉郎と奴を取り巻く家来どもを引き離すどういうことだ評定の前に宿老だけで話し合いがしたいと丹羽様が申されまして
(長秀)評定の出席者を絞りたいのだが
(勝家)ええっ
(秀吉)どういうことでしょう
(長秀)むやみに多くの家来たちを揃えるとそれだけ意見も分かれ時間がかかって仕方がない大事な案件に関しては我ら宿老だけで決めるというのはいかがかなるほど一理あるな船頭多くして船山に登るの例えがあるここは我らだけで話し合うのがよかろうどうでしょうなあそれでは何のために家来たちを呼び寄せたのかこのような重大事を密室だけで決めるというのはいかがなものか
(長秀)今最も優先すべきは一刻も早く新しい当主を決めること空白の時が長ければ長いほど近隣諸国の大名たちに付け入る暇を与えてしまうそうか
(長秀)評定は短い方がよい
(勝家)もちろん
(長秀)我ら宿老だけで話し合い
(長秀)決定事項のみを
(勝家)のみを
(長秀)他の家来たちに伝えるという形ではどうだろうさすが五郎左妙案じゃ
(長秀)いかがかな羽柴殿お二人がそれでよろしいのであれば
(勝家)決まりだでは信雄様信孝様に皆々様そして滝川左近様の六人ということで異議なし解散!お待ちください滝川様の名があるのは解せませんなは?
(玄以の咳払い)
(秀吉)滝川様はお館様の弔い合戦に間に合わなかった上に未だに清須へも到着しておられない評定に参加する資格はござらん無礼であろう藤吉郎左近は紛れもない宿老の一人だでは柴田様は滝川様を待つとおっしゃるのか当然である親父殿は先ほどの丹羽様のお言葉をお忘れのようだなに!今最も大事なことは一刻も早く新しい当主を決めることおう滝川様を待つ余裕などありませぬでは我らだけで決めようというのか宿老の数が足りなければ新しく選べばよいこと
(勝家)選ぶ?
(秀吉)新たに一人増やせば十分に話し合いはできまするいつからわしに指図するようになったこのサル!
(玄以)柴田殿
(秀吉)うわぁ
(秀吉の叫び声)親父様落ち着かれよ親父様!うわーおー落ちるがやあやややや…あっあーあああ…助けてくりょ権六!控えろ
(玄以)三十郎様
(秀吉)三十郎様?
(三十郎)騒々しいのう長秀
(長秀)はっ何よりも大事なのは一日も早く兄上の跡継ぎを決めること違うか?
(長秀)さようでございます早いとこ決めてしまえ
(長秀)かしこまりました三十郎様らっきょうはお好きですか加賀のおいしいらっきょう…
(長秀)うるさい!
(秀吉の引き笑い)左近についてはあと一日待ってみようではないかその間に新たな宿老を選び左近が間に合う間に合わないにかかわらず明後日の朝評定を開くというのは異存にゃあです柴田殿もそれでよろしいなしかしここは折れよ
(官兵衛)三千貫の香炉が効きましたなまったく親父殿には骨が折れるわええい問題は新たな宿老を誰にするかもちろんわしの味方になってほしいが親父殿や丹羽様も納得してもらわんと困るそんな都合のいい男がいるかのう
(官兵衛)池田恒興様はお館様にとっては乳兄弟立場としては申し分ありません何より損得ずくで動かれるお方得さえ与えれば裏切ることはない
(官兵衛)池田様え?後にしてくれ柴田様に呼ばれてるんだ宿老だってよそのことで藤吉郎?我が殿が池田様を宿老にご推挙されたのですほほうそうかい藤吉郎の魂胆は何だ
(官兵衛)評定の場ではぜひともこちらにご加勢をこの俺を甘く見るなよこの池田恒興は羽柴側でもなければ柴田側でもねえ俺は池田側だ
(官兵衛)殿は遺領の配分には便宜を図ってもよいと申されておる欲しい国があったら遠慮なく申されよ摂津尼崎それと兵庫も欲しいかな殿にお伝えしておこうお味方していただけますな考えておくはっきりしたご返事を頂きたい
(恒興のため息)知らねえのかい俺ははっきりした返事をしない男でねまずは宿老昇格おめでとうござるこちらこそ身に余る光栄恐悦至極に存ずるお前の働きはずっと見てきたよ藤吉郎ごときが宿老に名を連ねお前が入ってないのはどうもおかしいと前々から思っておったんだそれはそれは知りませなんだ評定でわしは織田家の後継に信孝様を推すつもりでいるそなたにもぜひ賛同してもらいたい織田家の棟梁に信孝様よりふさわしい人がいるだろうかいないだろいないよなん…まっ確かに信孝様はお館様の跡継ぎにはふさわしいと思いますが…どうだろう勝三郎もしわしに加勢してくれた暁には越前のおいしいお米を毎年送ろうじゃないか勝三郎わしはお前が子供の頃から知っておる戦場では何度も命を救ってやったよもや藤吉郎の側につくとは言わせんぞいいな!親父殿に言われちゃしょうがないなよくぞ申したそれでこそ勝三郎!ようし飲もう
(太鼓の演奏)♪「くつわ踊り」の歌
(秀吉)いんげん食べるでしょほれ蜂屋殿もっと気楽にしてちょうだいませ今度あんたの時代だでよ
(秀吉の高笑い)さあみんな今夜は楽しんでちょー!玄以殿楽しんどりますか頂いております空いとる徳利お替えしまーす小一郎このお方がおらんと城の政は何一つ進まんのだわご無礼のにゃーようになにゃあにゃあお注ぎしまーすいやーめでたいこれでこっちはわしとお前と勝三郎向こうは藤吉郎一人
(勝家の笑い)どう転んでもこっちが有利だもういいか左近は相変わらずのん気な男だなどうしたいやー先ほどからちょっと寒気がどうやら夏風邪を引いたようでおおそれじゃらっきょう食って早く寝た方がいいぞはあ…かたじけない頼りにしてるぞ勝三郎おい持ってけあーいやいや…いいから♪「くつわ踊り」の歌と演奏
(家臣)酒持ってきたぞ!池田殿!待っとったがやさあこっち来やこっちこっち一杯やってちょーよ宿老の件引き受けてまって感謝しとりますこちらこそあーこれこりゃこりゃ気ぃ使ってまって…おぬし評定の席ではぜひともお味方してちょーせあのな…領地配分の件はしっかと受け止めましたでなもそのことなんだがな藤吉郎兵庫と尼崎を手に入れればおぬしは摂津一国をほぼ手中に収めることになるがや信じていいんだなせっかくだで大坂もつけてさしあげましょう大坂も?
(秀吉)いらん?いやいる
(秀吉)ふはは…それぐらいさせたってちょーでゃあ
(寧)うわっえらいでかんわさっきから踊りっぱなしだではぁーまあちょびっと頑張りゃああんたがおると場が盛り上がるでやっと分かったがね私が呼ばれた理由わしのためだと思うて頼むてしょうがあれせんわほれ早うほれ
(寧)もういっちょいこまーい!
(家臣)いこまいいこまい
(秀吉)よしわしも今夜は楽しんでってちょーでゃあ朝まで飲んでちょー!♪「くつわ踊り」の歌と演奏
(成政)うるせえなあ誰の部屋だ藤吉郎だ城で働く下の者たちを呼んで酒を振る舞っているらしい
(成政)サルめいささか調子に乗っておるな先が見えたなここはやはり親父殿についていくのが無難かもしれんななあおっさんあれも藤吉郎の戦なのだ織田家家臣滝川左近一益北条家家臣更科六兵衛
(六兵衛の叫び声)今は戦っておる暇はないのだごめん!はあ…ああ…よかった人間死んだらおしまいよよかった本日は宿老滝川一益様のご到着を待ちつつ千鳥ヶ浜におきまして丹羽長秀様主催によります紅白対抗旗取り大会を開催することになりました旗取り大会とは面白いことを考えたな左近の到着をただ待っていてもしょうがない信孝様の武勇を世に知らしめる絶好の機会だ
(長秀)おっあっちだ
(勝家)殿下あっ!殿どうして俺がこっちの組に入ってんだよ俺はまだどっちにつくか決めてねえって言っただろ人数合わせだがや諦めやあ殿
(信雄)父の仇おりゃーうわーっ
(信雄)行くぞ困るんだよな
(寧)松姫様寧殿
(寧)やっとかめでございます清須に戻っていると聞いていたので会える日を楽しみにしていましたあれからいろいろありました父も死に兄も死にましたその兄を討った夫ももうこの世にはおりませんおいたわしゅうございます武田から嫁に来た時から覚悟はしてました姫は今でもコンペイトウはお好きでいりゃあす?コンペイトウ?昔町に南蛮の品を扱う店があってようこっそり覗きに行ったがねその店のコンペイトウが姫はどえらい好きで南蛮の味がする言っとったでしょう今コンペイトウの味が口の中でよみがえりましたああ…すっかり忘れていましたよかったが思い出したってくれて今もあの店はあるんでしょうか
(寧)あは甘い
(しの)失礼します
(松姫)あ…しのようやくお目覚めになりましたあ…はぁ…立派なお顔立ちだわ鼻のあたりはお館様にがっしりした骨格は私の父によく似ていますあは…なんだか不思議だわこの小さな体に武田信玄公と織田信長公の血が流れとるんだわ赤組先鋒前田利家様
(声援や鳴り物の音)ここで勝ってはずみをつけろ柴田様予め言っておきますが…何だわしは槍も剣術も得意ですが走るのだけが苦手なのですなに?
(玄以)白組先鋒池田恒興様
(声援や鳴り物の音)いい加減腹くくりゃあ困るんだよな悪いようにはせんていずれは宿老筆頭だがや俺が?その時お前は?はいさあ始めましょうか
(玄以)それでは参ります
(玄以)ひのふのみ
(銃声)犬千代腕を振れ!腕を振るんだ!池田殿いいぞ走れ!池田殿走れ!あーっ!肉離れ!
(勝家の叫び声)池田!赤組一本
(勝家)殿下赤組副将柴田勝家様
(勝家)おう
(気合の声)
(玄以)白組副将羽柴秀吉様
(信雄)藤吉郎いよっ藤吉郎
(気合の声)
(玄以)それでは参りますひのふのみ
(銃声)
(勝家の叫び声)
(秀吉の笑い)あーあーああ…
(秀吉)取った!おー!白組一本
(白組一同)やったー!親父殿も若くはないのですからご無理をなさいませぬよう
(秀吉の高笑い)赤組大将織田信孝様殿下ここで見事旗を奪えば殿下の名は国中に轟き渡りますぞ緊張するなお館様はよく申されておりました“常に平常なれ”平常心?その通り余計なことは考えずに無心に走るまずは跡目のことはしばしお忘れください分かったここで名を売れば跡目相続は間違いなし
(玄以)白組大将織田信雄様
(秀吉)よっ信雄様!
(秀吉)殿下
(信雄)えっ?ここはうつけの仮面を捨て本気でお願いします走るのは任せてくれ結構得意なんだ頭使わなくていいから特に肉離れにはお気をつけください昨今流行りのようですのでうおっそれでは参りますひのふのみ
(銃声)信雄様
(秀吉)行けいいぞ行けおういいぞもう少しもう少し
(秀吉)信雄様!戻ってこーい!赤組一本お見事!あの馬鹿川が見たいへっ?昔よく河原で水遊びをしましたねびちゃびちゃになってまって信忠様によう叱られたがね姫のすることではないって寧の顔を見ていたら久しぶりに川へ行ってみたくなりました行こまい!
(利家)止まれ殿下手を振ってあげてください狙い通りだなこれで信孝様有利は動かんちょっと出かけてくるどこへ行く先に城へ戻っていてくれ
(利家)参りましょうあいつの馬鹿っぷりは我らの想像を超えていますな何か手を考えねば
(信雄)ねえねえねえ…今さらだけどさ旗を取れって言われてたっけ?今さらでしょうやり直さない?頭冷やしてくるあと頼むでおいおいおい…俺走るのは速かったろ速かった速かった信孝様日本一!旗って何だろ
(寧)ふふ…
(水の音)
(秀吉)寧
(寧)ん?
(寧)あっおかえりなさいこれはこれは松姫様ご無沙汰しております
(松姫)お久しゅう藤吉郎あは…お元気そうで何よりと存じますということは…おほ
(寧)三法師丸様このお子が!おほほほ…藤吉郎でござりますよサルとお呼びくだされキャキャキャ…いかがでした?旗取り大会それには触れてはなりませんふははは…いやいやいやたまらんのう誰かに似とる思わん?ん?ほら誰じゃお館様ん?ほうじゃお館様だはは…これは小さなお館様じゃ小さな…小さなお館様ん?それだわこうしちゃおれん行くぞ官兵衛でかした寧なにぃ?しかしこれはかなりの荒技でございますなそれゆえ策がいるあの男を味方につける以外に勝機はないと見ました丹羽長秀
(官兵衛)なかなか骨が折れそうですななあにどんなに頑丈な鎧でも探せばどこかに必ず小さなほころびがあるもの亡き父の教え“常に平常なれ”という言葉を胸に無心で走ったのがよかったのだと思います父にほんの少しですが親孝行ができたような気がします
(玄以)すばらしい皆さん今夜は心ゆくまで楽しんでください
(玄以)何はともあれおめでとうございます
(一同)おめでとうございますさあ皆
(一同)ははっ
(家臣たちの歓談)権六はなぜ来ない声をかけたのですが先に始めていろとどこにいるいや…
(長秀のため息)
(長秀)権六
(勝家)おうそんな所で何している匂いで分かるだろさざえを焼いてるんだなんで昼間地元の漁師に頼んで分けてもらったんだどうだこんなでかいやつ見たことあるかすぐに来いお前が顔を出さんと始まらんだろ今は駄目ださざえが…さざえはいいから!たまらんなこの匂いお市様の喜ぶ顔が目に浮かぶわなあ五郎左物知りのお前なら知ってるだろ年下の女とお付き合いする秘訣は何だ権六信孝様の側にいてくれんかお前が隣にいることで柴田勝家の名が上がるのだせっかくの機会ではないか後で顔を出すお市様には深入りするな!
(勝家)五郎左わしはこの年で戦以外で真剣になれるものをようやく見つけたんだそっとしておいてくれんかよし焼けた焼けた
(勝家)さざえの肝は体の髄によいらしく肌に潤いを与えるともっぱらの評判で権六!わたくしの肌に潤いがないと言いたいのですかいいえそういう意味では…食べたくありませんこの臭いは嫌いじゃ申し訳ありません熱っ!熱っ熱っ熱っ熱っ!お市様は海の物はあまりお好みにはなりません馬鹿だなあわしもさざえはみーんなが大好きだって勝手に思い込んでいましたわざわざわたくしのために?お市様のために地元の漁師から買い求めて参りましたしかしもういいんです熱っ熱いんだな権六はっ今日はご苦労さまでしたこれで信孝の跡目は決まったも同じもうひと踏ん張りお願いいたしますはっさざえ頂きますあつつ熱っあつ…ええ?あつつつ…
(秀吉)丹羽様
(長秀)こんな所で何をしておる折り入ってお話が
(秀吉)評定を前にどうしても丹羽様にお願いしたき儀がございます申してみよ明日はぜひともこの秀吉の味方をしていただきたい親父殿とは手を切ってくださいますよう血迷うたか藤吉郎
(秀吉)親父殿には織田家をまとめていくだけのお力はございません
(長秀)口を塞げ
(秀吉)塞ぎませんこれからの世に大事なのは大局を見る目親父殿にはそれがありません丹羽様もお分かりのはず心配はないわしが支えていく
(秀吉)お二人の間に深い繋がりがあるのは存じておりますしかし丹羽様が支えていかねばならぬのは親父殿ではなく織田家ではないのですか
(長秀)わしと権六とで信孝様を支えていくのだ
(秀吉)確かに信孝様は優れたお方ですしかしいかんせん経験がないそれを言うなら誰でも同じお館様ですら家督を継がれた頃はそうであった
(秀吉)お館様には天賦の才がございましたそれと同じだけの才覚が今の信孝様におありだとお考えですかだからこそ当面は我らが力を合わせて…しかしながらその筆頭である親父殿が今は御年も忘れて色に首ったけになっておられる本日も信孝様のお祝いの席にも参上いたさずお二人で部屋に籠っていたとかさすがに耳が早いな正直申し上げてこれほど見苦しいものはありませんそれについてはわしも頭が痛いどうか私情はお捨てくださいませ賢明な丹羽様ならお分かりのはず親父殿に任せていては織田家は滅びてしまいます
(長秀)だが考えてみよ信雄様は棟梁の器ではないわしもそう思いますあの馬鹿では無理です大事なのは筋目筋目を考えた時新しい棟梁に最もふさわしいのは誰か信長公の正当な跡継ぎは御嫡男の信忠様しかしその信忠様も今はもう亡いということは信忠様のお子こそが織田家の跡継ぎとなるべきお方三法師様
(秀吉)はい
(長秀)馬鹿な三法師様なら信雄様も信孝様も文句は言えますまいいかがでございましょうお前の狙いは何だ藤吉郎いい加減丹羽様もわしを信じてちょーでゃあいいでしょうぶっちゃけて申し上げますがわしとしては信孝様が跡目にならなければそれで御の字わしが一番困るんは信孝様が棟梁となって親父殿が力をつけることそんなことになってまったらわしの出番はどっこにもなくなりますんでなるほどどうか力を貸してください明日の評定では“領地の配分”についても話し合われますもしわしに加勢してくださるなら丹羽様に便宜を図るつもりでおります失礼を承知で申し上げますれば本能寺の変の折丹羽様は京の近くにおったにもかかわらずわしの軍が到着するまで一歩も動かれなかったこれは明らかなる失策本来ならば御領地を没収されてもおかしくないお立場しかしこれについても目をつぶりましょうそれどころかわしはこれまでの織田家への功績を鑑み丹羽様には近江高島を貰っていただきたいとさえ…丹羽様!一晩考えさせてくれ明日の評定で織田家の行く末が決まります今夜は寝ずにお考えいただきたい
(一益)くそ!ここはどこなんだ権六待っておれでゃーっおー五郎左
(長秀)権六おぬしのおかげでここまでやってこれた改めて礼を言う
(長秀)やめてくれ
(勝家の笑い)お前はわしの生涯の友だ!ははは…これからも支えてくれ池田恒興が心配だ評定の前にもう一度念を押しておいた方がいい御意!
(勝家の笑い)わしは先代の頃から宿老を務め織田家のために働いてきた柴田様あっての織田家これからも命に代えて信孝様を支えていくつもりだ親父殿がおれば織田家は安泰ですな悪いことは言わんここでわしに恩を売っておけ勝三郎これから毎年越前のカニをお前さんの所へ送ってやるあっちのカニはうめえぞ織田家をまとめていく者は国をまとめていく者だつまりはそれ相応の身分でなくてはならんこれはここだけの話にしてほしいがわしはいずれはもっと上の官位にありつこうと思っとる筑前守では足りんというのかその時にはもちろんおぬしにも就いてもらうぞ俺も?今考えておるのは従五位下治部少輔治部少輔…池田治部少輔恒興なかなかよいではないかまあ夢のような話だがそんだでくれぐれも親父殿には味方したらかん頼むでよおそれでは行ってまいります織田家の行く末はそなたにかかっておりますよろしく頼みますよ心得ましたあ…藤吉郎に一つも二つも泡吹かせておやりう…はっやるべきことはやったが…ご武運お祈りしとりますしくじればわしはわやだわうちの人はいざという時に強いお人だがねただな藤吉郎様今の暮らしでもうちは十分幸せだでねわしはごめんだがやここまで這い上がってきたんだで途中で降りるわけにはいかんてっぺん目指すがやほんだら出陣だわ!思い出すな京の馬揃えまだ始まらんのか信忠わしはもう帰っていいか
(信忠)叔父上まあそう言わずまもなくもうまもなくですからいやー表はえらい賑わいでございますよ京の人間が全員集まってるんじゃないですかこれは後世に残る馬揃えになりそうだなわしには分からん大金をつぎ込んでこんな大掛かりなことをする意味があるものなのか光秀言葉を慎め織田家の威信を世間に知らしめるよい機会ではないか
(信忠)光秀そちの言うことも分からないではないが父上は何事につけ派手なことがお好きなお方ここは我慢して付き合ってくれはっ殿のおなりです
(弥助)バハティ・ハイナ・ダワ我ら出立の準備整っておりますであるかうん
(蘭丸)それでは出立いたしますご一同表へ
(一同)おーっどこなんだここは
(玄以)これより評定を始めます最初お館様亡き後の御当家の跡継ぎについて次いでお館様御遺領の配分に…
(秀吉)その前に一つよろしいか羽柴様織田家の御家督を話し合う時に直接関わられておられるご当人の信雄様と信孝様がおられては何かと話しにくい終わるまでお二人には別室でお待ちいただくというのはいかがか何を言い出す丹羽様もそうは思われませんか確かにそれは道理だ
(信雄)え?いちゃ駄目なのか駄目ではございませんが信雄様も信孝様の前では気を使われることでしょうしその逆もまたしかり俺は別に平気だけど筑前の言うことわしにはよく分かりますわしも兄の前では何かと話しにくいでは他の方々も異論なければ恐れ入りますが信雄様信孝様には一時お席を離れてお待ちいただきたく存じます俺はいても平気だよ後は我らにお任せを
(信雄)いや俺は別に平気だけど
(成政)おーい!信雄様と信孝様がお部屋を出たそうだ藤吉郎が仕掛けたらしいぞなんとどういうことだ何を企んでいるお館様の跡継ぎは信孝様以外にはない文武共に秀でた信孝様こそが織田家の当主となるべきお方とわしは思ういかがかな池田殿しごく真っ当なご意見でございます
(玄以)これに対して他の方は?
(勝家)藤吉郎言いたいことはないのかでは申し上げます信雄様は残念ながらお館様の跡を継ぐのにふさわしいとはお世辞にも言えません実力人柄どれを取っても信孝様こそが当主にふさわしいよくぞ申した
(秀吉)しかしながらお生まれの卑しさはいかんともしがたい信孝様は血筋に難があり信雄様はご人格に難があるこれではどちらが跡を継いだところで必ず遺恨は残ります下手をすれば将来織田家の分裂を引き起こすことになりかねないではどうすればよい
(秀吉)となれば道は一つしかありません三法師様を御当主に仰ぎまする藤吉郎は信雄様を見限って三法師様を推すらしいぞ
(家臣たちのざわめき)こりゃ面白いことになってきたあり得ん!
(秀吉)なぜです三法師様は信忠様の御嫡男織田家の正当な跡継ぎでござるしかしまだ赤子だだからこそ我らで守り立てていくのですいかがかな池田殿しごく真っ当な意見だ信孝様でよいではないかあのお方には織田家御当主としての器量がある織田信長公のご遺志を継いで天下を治めることができるのは信孝様しかいない
(秀吉)柴田様は何か思い違いをなされてるようですな何だと
(秀吉)これは織田家のお跡目を決める評定でござる天下人を決めるものではない!皆様お忘れか六年前の天正四年お館様は嫡子信忠様に既に家督をお譲りになられているなあ池田殿確かにそうだ
(秀吉)よって我らが決めるべきはお館様の跡継ぎではなく信忠様の跡継ぎとなれば三法師様の他に誰がおりましょう池田殿しごく真っ当な意見だわしの言葉に間違いがありましょうやちょっと待ってくれ五郎左五郎左なんか言ってやってくれ五郎左!ちょっと
(勝家)何だお前ら!では意見も出尽くしたようなのでここは入れ札で決めるというのはいかがでしょうか入れ札?面倒くさい手を挙げればよいではないか
(玄以)せっかく支度をしてありますのでああ?支度がしてあるそうですからここは入れ札でいこうじゃないかな?
(玄以)今から配る紙に三法師様か信孝様かいずれかの名前を書いていただきますそれぞれの立場をはっきりさせるために自分の名前も書いてもらおうかな自分の名前も書くの?自分の名前はいいんじゃないのかななんでそれじゃ手を挙げるのと同じになっちまうだからわしは最初から言ってるんだ池田殿は自分の意見をはっきり示すことにためらいがあるのか馬鹿なことを言うな
(勝家)面倒だもう手挙げて決めようぜ信孝様!
(玄以)いかがなされますかご一同三法師様勝三郎池田殿その前に羽柴殿に一つ伺いたい何かお前さんさっき信雄様信孝様いずれが家督を継いだとしてももう一方が黙っちゃいないそう言ったよなそれが何かたとえ三法師様が家督を継いだとしても同じことが起きるんじゃないのかいその点いかがお考えかその点は心配しておりませんぶっちゃけた話信雄様にしてみれば信孝様が当主になるより三法師様の方がずっとましなはず信孝様だって同じそれでもお二人がぐだぐだと申したならば仕方がないわしと親父殿で時間をかけて説得するしかないでしょうねえ納得したこの池田恒興三法師様お前!ただ今信孝様お一人三法師様お二人残るは丹羽様でございます五郎左
(官兵衛)滝川様お待ち申しておりました評定はどうなった勝家が待っておるのだ評定の場へと案内いたせ
(官兵衛)評定は既に終わりました終わった?
(官兵衛)織田家の跡継ぎは我が殿が推す三法師様に決まりました五郎左何とか言え!いかがされましたちょっと厠へ行ってくる何だと!腹こわしてまったもんで
(玄以)しかし今席を離れるのはいかがかといや我慢ならんのだわ後は任したておーいてててて…では少し休みます長秀めこんな馬鹿な話があるか藤吉郎は頭がおかしくなっちまったんだどうするもう信孝様でいいじゃねえかとりあえず羽柴様のお戻りを待ちましょう構うことはない!出ていったあいつが悪いんだえっと…今のところ三法師様に二人五郎左はわしと同意見だから信孝様に二人これに左近の分を加えて三人と二人で信孝様の勝ちかぁそいつは強引すぎやしないですかお前はふらふらふらふら!ちょっと待ってくれわしは三法師様を推したいは?跡継ぎは三法師様こそふさわしいそれが筋目というもの三法師様どういうことだどうもこうもないなんで藤吉郎の味方をする藤吉郎は明智討伐の第一の功績意見を尊重するのは当然のこと宿老筆頭はこのわしだその宿老筆頭が山崎の合戦では何をされたそなたが京へ着いた時は既に明智は討たれた後ではなかったかお前…ここは藤吉郎の言葉に従い三法師様を跡継ぎとするのが一番と心得る五郎左
(長秀)よって三法師様三人信孝様一人で三法師様に跡継ぎは決まり申した貴様さては…親父殿勝負はついた
(ため息)羽柴様ではございませぬか
(秀吉)おうきゅうきゅうかんん?おほほほおうおう評定はどうされたのですか
(秀吉)あ?あの堅苦しい雰囲気はどうも苦手でな外の風が吸いたくて出てきたそれよりきゅうきゅう何でございましょうちょうどよいところで会うたまあ座りゃおみゃあさんに頼みたいことがあるんだがやわしにできることなら何なりと何でもそつなくこなす名人久太郎は泣いとる赤ん坊のあやし方にも詳しいかわしには子供がおらんもんでよう分からんのだわ一番いいのはやはりお馬さんでしょうねお馬さん?ええ背中に乗せてはいしどーどーはいどーどーと駆け回ってやるのですわしの甥御たちはだいたいそれで笑いますよ他には?あとはそうだな…でくの坊かなでくの坊?ええ木で作った人形です手足が動くようになっており滑稽な動きをするんでこれがまたおかしくておかしくてきゅうきゅうそのでくの坊すぐに手に入れられるかいつまでに本日の夕刻何とかいたしましょう
(恒興)藤吉郎
(秀吉)行きゃ
(恒興)そこにおったのか捜したぞ腹の具合どうなんだえ?厠へ行ってさぞすっきりしたことだろう丹羽殿はこっちについたすべてあんたの思い通りだ跡継ぎは三法師様に決まりだよ
(秀吉)今は
(恒興)えっ?そろそろ戻ろうぜあんたがいねえと始まんねえってよ
(秀吉の笑い)しょうがあれせんな
(成政)丹羽様も三法師様の側についたぞ丹羽様が?これで藤吉郎の勝ちだ時が動いた!やったがや兄者がやったがや親父殿一つよろしいか三法師様がご成人なさるまでの間後見人を置くというのはいかがかわしは信孝様が適任と思うのだがは?ご一同の意見を伺いたい
(秀吉)ちょっと待って…
(恒興)いやーけだし名案後見人は信孝様しか考えられんそれですべて丸く収まるのだここは折れろ羽柴殿も賛成だそうです権六はどうかお前とは口をきかん後見人は信孝様でいかがでしょうか異存なしよーしこれで八方丸く収まった万々歳だそれはどういうことだあり得ない評定のやり直しを要求する!お二方ともよろしいか我ら宿老に一任された以上評定で決まったことは守っていただきますそれを覆すのは織田家のあり方そのものを崩すことになります我らを外したのはそのためだったのかやられた権六に裏切られたそれは違いますあの男は最後まであなた様を推していましたえっ藤吉郎は?三法師様を推したのは藤吉郎です信孝様には三法師様の後見をお引き受け願います後見におなりになるということは言わば織田家の棟梁も同じいかがでございましょう後見は後見だですが実際に采配を振るのは信孝様でございます後見は後見だ信孝様がご辞退されると別のお方にお願いすることになりますがえっなに?やろうか後見引き受けさせていただくいやー暑い暑い信雄ごめーんね
(三法師の泣き声)どうか機嫌を直してくだされほれ
(三法師)いやーだ!いやーだ私にお任せください坊やおじさんといいことしよう
(三法師の絶叫)
(松姫)何してるんですかもうやめてくださいどうする皆が広間で待っているしょうがありませんなあ
(三法師の泣き声)ほれははは…ほれほれほれ…
(三法師の笑い声)
(秀吉)三法師様でくの坊でござります
(三法師)でくの坊さすがでございますな殿は三法師様の心をつかむのもうまい三法師は藤吉郎が大のお気に入りのようです
(秀吉)三法師様が大好きでござりまする
(蝉の鳴き声)ご一同織田家の新たな当主三法師様であられる頭が高い!ははーっ
(一同)ははーっ頭が高い
(秀吉)それでよい殿には何とお詫びをしたらよいか終わったことだ何より丹羽様の裏切りが痛かったよく言うわいだいたい貴様どの面下げてお言葉ですな信孝様が後見になられたのはこの池田恒興が藤吉郎を説得したおかげお忘れになられては困るわしが間に合っておればこんなことにはそれにしても三法師とはこれで分かった藤吉郎は我らが束になってもかなう相手ではないということだ♪「くつわ踊り」の歌と演奏あんじょうやってちょ
(武将)はっはいはいお次の方
(秀吉)おーっやっとかめだがね俺はいいと思うよあんたは間違っちゃいない天は俺たちに天下を治める力は与えなかったがその代わりに天下人を見抜く目を下さったとなりゃあとはとことんあいつにしがみついてくしかないだろうこの世は生き残ったもん勝ちだ俺は生き残ってみせるよ楽しんどらっせるかなご両人頂いてるよ
(秀吉の笑い)こんなにうまい酒が飲めるのもお二人のおかげこれからもよろしくお願いいたします
(秀吉の笑い)
(秀吉)さあ飲んでちょーでゃあ!
(一同)おーっ!もういっちょいこまーい
(太鼓の音)
(お市様)藤吉郎を殺して他にもう手はありませんいやしかしそればかりは…このままあの男のいいようにさせても構わないのですかそそそ…それは織田家を藤吉郎に乗っ取られるのを黙って見ているというのですか殺すのですわたくしはあなたの味方どこまででもついていきます権六わたくしのためにあの男を殺してわしが忍びをしてた頃からの馴染みじゃ決して討ちもらすな御意間違いないか
(成政)柴田様の部屋から出てきたんだ藤吉郎に教えに行くべきかなここで恩を売っておけばあとあと何かいいことがあるような気がするしかし知らせに行ったことが柴田様に知られたらこれはこれでまずいあー難しいところだなおっさんならどうするもう遅いよ
(成政)え?は?藤吉郎一刻も早く清須を離れろそれを言いに来た親父殿がわしを狙っているのか女か退け!見かけ倒しだお前はいささか出しゃばりすぎたそうは思わん親父殿の後ろにはお市様がいるこのままでは済まんぞ親父殿とはいずれ決着をつけることになるだろう藤吉郎犬千代お前だけには打ち明けるわしはお館様に代わって天下人になるお館様亡きあと誰が天下を治めることができるわし以外に誰が身の程をわきまえよ藤吉郎斬りたければ斬ればよいだがわしを斬れば戦の世はあと百年続く考えてみよ信雄も信孝も天下を治める器ではない親父殿に至っては戦場でしか生きられない男だああいった連中の時代はもう終わったこれから新しい時代が始まるのだ新しい世の中をわしが作るそれでも斬るというのなら斬れ!それでこそ我が友だが犬千代力を貸してくれんきゃわしは親父殿に仕える身だあの男についとっても先はあれせんぞそれも宿命だわ待っとるでね藤吉郎悪いことは言わん早うここ出てきゃあお待ちくださいここで死ぬわけにはいかんしかしながら逃げ帰るのはいかがなものかと殿が城を出る時は堂々と表門から行かれるべき忍びに囲まれたらおしまいだわですから身を隠すのですちゃっと逃げた方がええて城の中はどこに隠れても見つかってまうていや安全な場所が一つだけあるさよう一つだけ匿ってくれるかのう夜分遅く申し訳ありません何者かに命を狙われておりますどうか一晩匿っていただきたいなんという面の皮の厚さよ大した度胸だ気に入った今夜はもうよい下がれ三法師様のことよろしく頼むかしこまりましたたださすがにずっとお側にいるわけにもいかずお守り役として堀秀政をつけようと思うとります名人久太郎は子供の扱いにも長けておりますゆえなるほどよい考えだ
(勝家)藤吉郎
(秀吉)親父殿
(勝家)教えてくれんかわしには織田家を支えていく力はないか織田家はもうかつての田舎大名ではありませんお館様が目指していたのは天下統一そしてそれはもう目の前でございます
(勝家)そこにわしの居場所はないか
(秀吉)はい
(勝家)ないか
(秀吉)申し訳ございませんいや構わんそんな気がしておった本音を言えばわしは信長様と共に討ち死にしたかっただがこうして生きている生きている以上はわしは残りの人生を織田家に捧げる覚悟でいるだからよいかそれを拒む者に対しては命を懸けて戦うつもりだ評定では敗れたが戦場ではおぬしには負けんそれが遠い先であることを祈るばかりです藤吉郎これからも織田家のことよろしくお願いいたします
(秀吉)かしこまりましたあなたに一つお知らせしたいことがあります
(秀吉)何でございましょうわたくしは柴田権六勝家と近々祝言を挙げますんあ?お祝いの言葉はないのですかおめでとうございますお前に喜んでもらえて本望ですしかしなにゆえ親父殿の元に?もちろん好きで嫁ぐわけではありません評定ではあなたにすべてを持っていかれ権六に殺すよう命じたのにそれも叶わずわたくしにできることはあとはもうこれしかないのですそこまでしてわしを苦しめたいのですかわたくしは生涯あなたを許さないわたくしの夫を滅ぼしたあなたを許さない息子を殺したあなたを許さないだからわたくしは…だからわたくしはあなたがこの世で最も嫌がる嫁ぎ先へあえて嫁ぐのですそこまで嫌われたならば秀吉も本望でございます支度できたそろそろ行くわ
(お市様)お見送りいたしますわ聞いた?
(秀吉)え?祝言いつ頃にしようか権六の都合に合わせます
(勝家)あっちで話そうおいで残念でございましたね国許にお戻りになるのですね
(寧)まあ少し時があるで川に行かんかね今日はいい天気だで三法師様もお喜びに川は好きではありません戦で亡くなった人たちが流れてくるのを子供の頃から何度も見ています川は不吉
(寧)ほんでも…あの時川辺に行ったのはあそこにいれば誰かが通りかかると思ったから旗取り合戦から戻ってきた誰か
(寧)うちの人?そして藤吉郎は三法師を見て決めたのですこの子を織田家の跡継ぎにすることを
(寧)そこまであんばいしとったんですか私の父武田信玄は私に申しましたくれぐれも武田の血を絶やしてはならぬとそうすれば武田の血を引く者がいつか必ず天下を治める時が来るとそして武田の血を引くこの子が今や織田家の当主父上松はお約束を果たしましたあなたの孫が次の天下人もう会うこともなかろう世話になった
(長秀)おぬしは考えなしで動きすぎる何か事をなす時はなす前にまずそれが本当に正しいかどうか心の中のわしに問えうん
(長秀)年下の女房は年上のように年上の女房は年下のように扱うそれが円満の秘訣だ肝に銘じておく白状しちまえよ
(秀吉)はい?一体何のことでございましょうお前が狙っているのは天下だろ?その時に一番邪魔になるのは織田家の人間お前はいずれわしらを滅ぼすつもりでいる信孝を滅ぼし信雄を滅ぼし三法師を滅ぼしわしを滅ぼすそれでは支度がありますので失礼いたします遠慮することはない滅ぼしちまえよ兄が本能寺で死んだ時に織田家の命運は尽きたあの日兄と共にわしも死んだのだ後はお前に任せるよ兄もきっとそれを望んでいるしかと承りました失礼殿お急ぎください最後の一仕事が残っております行け失礼いたしますよっ急ぎゃあ
(寧)はいお館様
(秀吉)おうまだ早いて
(秀吉)ほれちょっとどいてちょ急ぎゃあほらどいてちょどけどきゃあほら失礼親父殿お待ちください!
(利家)止まれ!
(秀吉)数々のご無礼失礼いたしましたすべては織田家を思う気持ちから出たことどうかお許し願いたい一晩よく考えて思い直しましたやはり織田家は柴田様あってのものこれからもどうか宿老筆頭として我らをご指導ください
(秀吉)寧!
(寧)ん?お前も頭下げやよろしくお願いいたしますへへ…あは…大儀である
(利家)進め!藤吉郎また会おう
(秀吉)さてわしらもきゃーるか官兵衛が待っとるでこれでしばらくは親父殿も国許でおとなししとるだろええ?先ほどの言葉は本心で言っとりゃせんかったんですか当たり前だわあらまああ言って親父殿を安心さしてなその間にこちらは力を蓄えるんだわしは約束するでよそうさな一年以内に親父殿を滅ぼし織田家を乗っ取るそしてその先は天下だて!
戦前のカナダで生き抜いた青年たちの勇気と友情を描いたこの冬の感動超大作
1900年代初頭貧しい日本を飛び出し成功を夢見て海を渡った日本人はそこで厳しい差別と過酷な肉体労働を強いられていた
そんな暮らしの中ある野球チームが生まれる
それが…
(レジー)「俺たちには俺たちのやり方がある」
初めは白人チーム相手にまるで歯が立たずバカにされるだけの弱小チームだったがそのひたむきな姿にやがて誰もが心を動かされてゆく
(一同)『土曜プレミアム』をご覧の皆さんこんばんは。
妻夫木聡をはじめバンクーバー朝日のメンバーを演じたのは魅力あふれるキャストばかり
そんな彼らが作品への思いを語ってくれました
映画の中の野球のシーンはキャストたち自らがプレー
徹底してリアリティーにこだわったそう
・そうなんですか。
エースピッチャーロイ永西を演じた亀梨和也の投球について聞いてみると
(亀梨)嘘つけ。
(亀梨)ホントやめてください。
(上地)デザインか。
あっそっか。
(上地)出てた。
深い信頼関係で結ばれたチームメートを演じる彼ら
撮影前に合宿も行い連帯感をつくり上げていったそう
遠い異国の地でいったい彼らは何を信じ何を求めて走り続けたのか
「いくぞ!」
(妻夫木)12月20日から公開となります。
ぜひ劇場にお越しください。
よろしくお願いします。
海を渡り世界で活躍する日本人選手たち
これはその先駆者たちの知られざる真実の物語
戦前カナダに実在した日本人野球チームバンクーバー朝日
「バカだ貧乏だって見下されんだよ」「地位だって向上しないんだよ!」
(レジー)「やっぱり勝てるわけないんだよ」
(笠原)「白人相手に腰引けとるわ」
(ロイ)「起きてる間働きづめでそれで野球まですんのは何か意味あんのか?」
(観客たちのざわめき)「バカなことしたもんだな」
(フランク)「日本人みんな首になってる」「俺たちには俺たちのやり方がある」「バント一本で1点取ったなんてよ見たことねえわ」
(エミー)「みんなのこと見てると頑張らなくちゃって思います」
(笠原)「親父にはできんことお前はやっとる」
夢も希望もない激動の時代の中で彼らはやがて人々にとって光となった
「いくぞ!」
(幸一)「大阪国総理大臣真田幸一です」
(松平)「大阪国?」
(幸一)「われわれは立ち上がります」
(松平)「なぜこんなおとぎ話のような世界を信じることができる」
400年の時を越え歴史の封印が解かれる
「いったい何が起きてるんですか?」
(松平)「それは闘うという意味ですか」・
(銃声)2014/12/06(土) 21:00〜23:55
関西テレビ1
土曜プレミアム・清須会議[字]
三谷幸喜のもとに集結した豪華キャスト!時代劇の枠を超えた新しい歴史エンタテインメント!本能寺の変で一代の英雄織田信長が死んだ。後を継ぐのはだれか?
詳細情報
番組内容
天正10年(1582年)、本能寺の変。一代の英雄織田信長(篠井英介)が死んだ。
後を継ぐのはだれか?後見に名乗りを上げたのは、筆頭家老・柴田勝家(役所広司)と、のちの豊臣秀吉・羽柴秀吉(大泉洋)。
勝家は信長の三男でしっかり者の信孝(坂東巳之助)を、秀吉は次男で大うつけ者とうわさされる信雄(妻夫木聡)をそれぞれ信長の後継者として推す。
番組内容2
勝家、秀吉がともに思いを寄せる信長の妹・お市様(鈴木京香)は、秀吉への恨みから勝家に肩入れする。
一方、秀吉は、軍師・黒田官兵衛(寺島進)の策で、信長の弟・三十郎信包(伊勢谷友介)を味方につけ、妻・寧(中谷美紀)の内助の功もあり、家臣たちの心をつかんでいく。
そして開かれる清須会議。出席者は4人。勝家、秀吉に加え、勝家の盟友であり参謀的存在である丹羽長秀(小日向文世)、
番組内容3
立場をあいまいにして有利な方につこうと画策する池田恒興(佐藤浩市)。
繰り広げられる一進一退の頭脳戦。様々な駆け引きの中でだましだまされ、登場人物たちの思惑が絡み合う!
出演者
役所広司 :柴田勝家
大泉洋 :羽柴秀吉
小日向文世 :丹羽長秀
佐藤浩市 :池田恒興
妻夫木聡 :織田信雄
浅野忠信 :前田利家
寺島進 :黒田官兵衛
でんでん :前田玄以
松山ケンイチ :堀秀政
伊勢谷友介 :織田三十郎信包
鈴木京香 :お市様
中谷美紀 :寧
剛力彩芽 :松姫
坂東巳之助 :織田信孝
阿南健治 :滝川一益
市川しんぺー :佐々成政
出演者2
染谷将太 :森蘭丸
篠井英介 :織田信長
戸田恵子 :なか
梶原善 :小一郎
瀬戸カトリーヌ :小袖
近藤芳正 :義兵衛
浅野和之 :明智光秀
中村勘九郎 :織田信忠
天海祐希 :枝毛
西田敏行 :更科六兵衛
スタッフ
【原作・脚本】
三谷幸喜
【監督】
三谷幸喜
ジャンル :
映画 – 邦画
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