「だから」になる。
「なぜなら」とは逆だ。
(アリスウサギ)面白い!あっ!ハンプティ・ダンプティ!
(ハンプティ・ダンプティ)落とすんじゃないぞ。
生き物の不思議を解き明かす「生物基礎」へようこそ。
病原体から私たちを守る免疫。
今回学ぶ「適応免疫」は前回の「自然免疫」より更に強力に病原体を排除する。
今日はそのしくみを学んでいきますぞ。
こんにちは八田亜矢子です。
今日も楽しく「生物基礎」を勉強していきましょう。
よろしくお願いします。
東京アヴァンギャルド丸沢丸と…。
綾瀬マルタと…。
森の精のミドリ君です。
最近焼き肉食べに行くとカルビがちょっと厳しいな〜…っていう年頃らしいですよ。
わ〜年だね。
ちょっと分かる。
あぁ…。
よろしくね〜。
よろしくね〜。
さあ今日のテーマは…ん?適応免疫?はい。
前回自然免疫には……の段階がある事を学びました。
そこで今回は更に強力な適応免疫これは獲得免疫ともいいますがそのしくみを見ていきます。
えっ?でもさ自然免疫の食作用だってすごかったよね。
そうそう。
好中球やマクロファージが病原体をむしゃむしゃ食べちゃうんだったよね。
そうそう!食作用で病原体は…相変わらずおめでたい事じゃのう。
病原体の中には…あっそうか。
そういうヤッカイな病原体をやっつけるのが適応免疫なんですね。
そういう事じゃ。
では丸君今日のキーワードを出してくれたまえ。
はい。
ジャン。
(丸)「適応免疫は自然免疫と何が違うの?」。
今日はそのしくみを見ていきましょう。
ところでお二人さんは…はいはい!任せて下さい。
チャーハンスパゲッティあとカツ丼。
ほ〜うそれは大したもんじゃ〜。
で味の方はどうなんじゃ?そりゃあまあ丸君の料理は何でもそこそこイケるんですよ。
ただまあもうひとつってとこですかね。
それはしかたないよ。
だってプロじゃないんだもん。
うむ。
それはまさに…えっ自然免疫?僕の料理が?そうじゃ。
それに対して…どどどういう事ですか?はい。
ではこちらで説明しましょう。
前回学習したように自然免疫の食作用を行う食細胞は病原体の成分と結合する…なので食細胞でさまざまな病原体を排除する事ができたんです。
ただその…なるほど。
そこそこっていうところが丸君の料理と同じですね。
ちょっとちょっと!じゃあ…はい。
適応免疫では1つの免疫細胞は1種類のレセプターしか持っていません。
つまりそれぞれの免疫細胞は自分のレセプターに結合する成分を持った病原体だけを排除する…なるほど。
専門家が作った方がおいしいですもんね〜。
ある病原体にはそれを専門にやっつける免疫細胞。
それは強力だよね。
うん。
しかもこの免疫細胞に病原体の成分が結合した時驚くべき事が起こるんです。
(丸)えっ!?こちらを見て下さい。
例えばこのレセプターに合う成分を持っている病原体がこのように結合するとこの細胞が活性化してバ〜っとたくさん増えるんです。
(マルタ)え〜!?
(丸)お〜!活性化して増える。
はい。
そしてこの活性化された免疫細胞の集団が自分の敵である病原体を集中して排除するんです。
そして別の病原体に対してはまた別の免疫細胞が活性化して攻撃します。
(マルタ)なるほど。
だから適応免疫は自然免疫より…でも亜矢子さんそのスペシャリストってどんな免疫細胞なんですか?はい。
ではここで私たちヒトの体を守ってくれる免疫細胞についてまとめておきましょう。
前回学習した自然免疫では白血球の好中球やマクロファージが食作用によって病原体を排除した。
一方適応免疫では樹状細胞と白血球の一種であるリンパ球のT細胞とB細胞が大きなはたらきをする。
これらの細胞は互いに密接に連絡を取りながら病原体を排除する。
へぇ〜。
適応免疫では……ってやつらが活躍するんですね。
でも互いに連絡を取りながらってどんなしくみなんだろうね。
う〜ん…。
うむよしよし!向学心旺盛で結構な事じゃ。
はい。
ありがとうございます。
しかししくみを知る前に…つまり…分かっておるのかな?え?ん?適応免疫が必要な場合。
それは例えば病原体の一種である…えっ?ウイルスが…。
細胞の中に侵入?どういう事ですか?うむ。
2人はウイルスがどんなものだったか覚えておるかな?え〜っとあの〜ウイルスは…。
う〜ん…。
確かこう…小さいやつですよね。
うんちいちゃい。
確かにウイルスは基本的には細菌より小さいものです。
でも…
(丸)え?こちらを見て下さい。
これはウイルスの構造を簡単に描いたものなんですがウイルスというのはこのようにDNAまたはRNAがタンパク質に包まれた単純な構造のものなんです。
(丸)へぇ〜確かに単純ですね。
はいそうなんです。
だからウイルスはDNAを持っていても自分自身でDNAをコピーして増える事はできないんです。
これが細菌との大きな違いです。
(マルタ)自分自身で増えられないウイルス。
でもそんな増えないウイルスなんてちっとも恐くないじゃん。
そんな事を言ってるとまた天の声に叱られますよ。
そうだよ。
えっ?えっ?ウイルスは自分自身では増殖できませんがそのかわり他の生物の細胞に侵入してその細胞のはたらきを利用して増殖するんです。
(マルタ)へぇ〜まるで…えっ!?え〜!ウイルスは他の生物の細胞の中に侵入して増えていく。
まず細胞に侵入したウイルスのDNAが細胞の核の中に入る。
核の中でウイルスのDNAが大量にコピーされる。
そしてDNAの転写翻訳を経てウイルスに必要なタンパク質がつくられる。
このタンパク質とDNAから新しいウイルスがたくさんつくられ細胞の外に出ていく。
こうしてウイルスは次々と増えていくのだ。
え〜!?ウイルスってずるいやつだね。
まあウイルスだって丸君には言われたくないと思うけど…。
ちょっとどういう事よ!どういう事ですか!おっほん!ところで…分かったのかな?え〜っとそれは…。
亜矢子さんなぜですか?はい。
ウイルスが細胞の中に侵入してしまうと食細胞はウイルスを見つける事ができません。
だから食作用ではウイルスをやっつけられないんです。
なるほど。
そのウイルスをやっつけるのが適応免疫ですね。
はいそうです。
細胞性免疫?適応免疫じゃないんですか?実は適応免疫には……の2つのしくみがあります。
細胞の中に侵入したウイルスの排除に力を発揮するのはこの2つのうちの…イェ〜イ!細胞性免疫ならウイルスも…大丈夫?スベってるよ。
そうですね。
丸君の傷が浅いうちに早速細胞性免疫について説明しましょう。
(マルタ)お願いします。
こちらの体液性免疫については次の回で取り上げます。
よ〜し!ではまず細胞性免疫で活躍する免疫細胞を紹介しましょう。
細胞性免疫で主にはたらくのは…この2つです。
(マルタ)キラーって殺し屋って意味ですよね。
そうさ。
悪いやつを成敗するのが俺の仕事さ。
キラーT細胞は細胞性免疫においてウイルスを殺すスペシャリストです。
そしてこの樹状細胞は例えるなら…樹状細胞とキラーT細胞が密接に連絡を取り合って細胞に侵入したウイルスを排除するんです。
情報提供屋と殺し屋が密接に連絡。
お〜まるでサスペンス!でどうやって何をどう連絡するんですか?ではこちらを見て下さい。
まず樹状細胞はウイルスを自分の中に取り込んでこのようにばらばらに分解しそしてばらばらにしたウイルスの一部を表面に出して示します。
そして殺しのプロキラーT細胞を探しに出かけるんです。
(マルタ)「僕は樹状細胞。
もぐもぐ…。
こんなウイルスを食べちゃったんだけど誰かやっつけてくれないかなぁ」。
えっ!?どうしたの?ミドリ君。
もう勘の悪い男だね。
ミドリ君が樹状細胞の役やってんだからあんたがキラーT細胞やってっつうの。
ああそうか。
「僕キラーT細胞です」。
でどうなるの?ではこちらを見て下さい。
樹状細胞が示している病原体の成分の一部。
これを抗原といいます。
(マルタ)抗原ですね。
はい。
でそこにこの抗原にぴったりのレセプターを持ったキラーT細胞がやって来ると…。
さあどうなるでしょうか?丸君分かりますね?あ…はい。
「おっ!このウイルスの抗原は僕のレセプターにぴったりだ」。
これでいいですか?丸君にしてはよくできた方ですね。
お〜っとっとっと…。
でキラーT細胞が抗原と結合するとどうなりますか?え〜っと…。
あっ活性化です!「うお〜!」。
はいそうですね。
さっき説明したように殺しのスペシャリストキラーT細胞が活性化したくさん増えます。
「よし。
増殖!」。
増えた…「どこだ?どこだ?」。
うん?でもこれ……にはそれを知らせるため抗原が出ています。
それを目印に探せばいいんです。
(丸)「あっこれだな。
おっ僕のレセプターにぴったりの抗原が出ているぞ。
出てこいウイルス!細胞の中に隠れているとは卑怯なり!」。
(マルタ)「嫌ですよ〜」…「う〜ん…」。
どうしましょう亜矢子さん。
はい。
細胞ごと一緒にやっつけて下さい。
えっいいんですか?はい大丈夫です。
じゃあよし!亜矢子さんがそう言うなら。
「う〜んえい!」。
(マルタ)「う〜。
お〜…」。
「この〜!えいえい!」。
(マルタ)「やめて〜」。
「えいえいえい!」。
という事で…これが細胞性免疫のしくみです。
先生こんにちは。
(大野)八田さんこんにちは。
どうぞ。
失礼します。
先生本当に免疫ってよくできたしくみですね。
そうなんです。
今日は細胞性免疫の学習をしてきましたがこの細胞性免疫はもっと奥が深く興味深いしくみなんです。
どういう事ですか?実は…ヘルパーT細胞。
そんなのもいるんですか。
はい。
こちらを見て下さい。
はい。
このヘルパーT細胞も樹状細胞から抗原の情報を受け取って活性化して増えるんです。
この活性化した…活性化したヘルパーT細胞は今度はマクロファージを刺激して活性化させるんです。
樹状細胞によって活性化されたヘルパーT細胞が今度はマクロファージを活性化するっていう事ですね?はいそのとおりです。
活性化されたマクロファージは自然免疫の時より更に食作用が強力になるんです。
そしてキラーT細胞によって殺された細胞ごとウイルスをどんどん食べて処理するんです。
後始末までちゃんとするって事ですね?はい。
細胞性免疫は今見たように……しくみなんです。
いろいろな免疫細胞が見事に連係してますよね。
なるほど。
連係プレイがキーワードなんですね。
それに…いや〜今日はいろんな免疫細胞が出てきたね。
うん。
力を合わせて私たちを守ってくれてるんだね。
では亜矢子さん今日の「実になる一言」お願いします。
今日の「実になる一言」は…
(丸マルタ)「免疫細胞の連係プレイ」。
はい。
今日学習した適応免疫の細胞性免疫では……が連係して細胞に侵入したウイルスを排除しました。
うんうん。
連係プレイ大事ですね。
我々も連係プレイしますか。
おっいっちょやってみっか!よし!ミドリ君も一緒に。
いくよ〜。
(丸)よし!お〜!どうだ〜。
できてるんじゃないの?これ。
連係できてる?できてる。
ミドリ君ミドリ君も連係できてる?交ざってよ。
ミドリ君!ミドリ君?ミドリ君早く!2014/11/18(火) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 生物基礎「適応免疫」(1)[字]
生物を学ぶ事は自分自身を知る事です。ヒトとはどんな生物なのか?体のしくみや健康に暮らすための知識等々、本格的に「生物」を学ぶ前に「生物基礎」でその準備をします。
詳細情報
番組内容
自然免疫では、物理的防御や化学的防御、食作用により病原体を排除していました。しかし、自然免疫だけでは病原体を排除できないことがあります。実は、ヒトは自然免疫に加えて適応免疫(獲得免疫)というしくみも持っています。適応免疫とはどのようなものなのか、2回にわたって学んでいきましょう。【出演】八田亜矢子、東京アヴァンギャルド【講師】大野智久
出演者
【解説】都立新宿山吹高等学校教諭…大野智久,【キャスター】八田亜矢子,【リポーター】東京アヴァンギャルド,【語り】増谷康紀
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 生涯教育・資格
バラエティ – その他
映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:8610(0x21A2)