も一度まんぷく!「ごちそうさん」ダイジェスト一挙放送! 第11週〜第16週 2014.12.23


ょう。
(和枝)家族の皆さんに会いたいって。
(め以子)え〜!?たたたた…大変。
(静)えらいこっちゃえらいこっちゃ。
十中八九結婚を前提としているんじゃないかってお静さんが。
お姉さんにやっと来た幸せだから一致団結して頑張りましょうって。
(悠太郎)一致団結…。
はい。
・「突然偶然それとも必然?」・「始まりは気付かぬうちに」・「予報通りいかない模様」・「そんな時こそ微笑みを」ほな先生はうちは一家円満やと思てはるいう事ですか?嫌やわ円満やないの。
お静さんの事は「お母はん」って呼んでな。
それからな話ややこしなるから当日はそのおなごしみたいな着物やめておくんなはれ。
…えっ?ちゃんと悠太郎さんの嫁らしゅうしはって。
えっええ…いいんですか?
(和枝)め以子はん。
はい!?えっ?何なん?ああ…名前で呼ばれたんで。
あのな先生がお越しになる時のお料理だすけど。
一緒に考えてくれはる?関西の家庭料理とか?あえてイワシ尽くしとかな。
…ぎょぎょぎょ。
何やそれ?
(トラ)
め以子はイワシが唯一苦手な食べ物なのでございます
あっあ…長崎県出身ってあります。
長崎のお料理なんてどうでしょう?ほなちょいと調べてきますわ。
かくして安西先生がやって来る日と相成りました
(安西)これは何の料理ですか?お里長崎ですよね?あっああ〜そうでした。
両親はとうに亡くなっておりますし私は外遊や東京で…はあ〜いや懐かしいです。
(和枝)そう思いまして。
頂きます。
頂きます。
(希子)頂きます。
いやおいしいです。
亡くなった親にも食べさせてやりたいです。
ほなぎょうさん召し上がって下さい。
そしたらそこまで。
あの人何や怪しないですか?初めは金目当てかと思てんけどな。
よう考えたらうち借金しかないがな。
そうですね。
勘ぐり過ぎですよね。
あの…私と一緒になってくれますか?その前にわての話聞いてもらえます?今日は取り繕ってましたけどうちもガタガタで。
借金もぎょうさんおますねん。
気が楽になりました。
私の出番がありそうで。
なにかしら役に立てると思います。
先生…。
(和枝)失礼致します。
ある日和枝が安西の研究室を訪ねると…
これ…金でっか?
(安西の笑い声)
(倉田)ちょっと縁談があるんやけどな。
あの〜実は姉は嫁ぐ事になりまして。
ホンマかいな。
はい。
相手は?学者さんです。
京都帝大の。
こらまた…。
和枝ちゃん最近ついとるな。
ついてる?持っとった株でえらい事当たって。
…えっ?姉さん。
うん?持っとった株が当たったっていくらぐらいになったんですか?…5,000円くらい。
5,000円!?まさか先生に渡してないでしょうね。
わてが持ってるさかい。
何やのもう。

(和枝)これ金でっか?私としてはここと組むのがいいと思うんですけどね。
ひょっとしてこの会社に投資すれば…。
さすがですね。
あなたと私の出資分も受け付けてもらえるように話をつけてきました。
やっぱりやめようかなって。
もしかして私の事疑ってます?先生を信用してない訳やないんです。
してないじゃないですか。
けど信用というのは無理強いする事ではありませんからね。
あなたを責める資格は私にはありません。
この株…。
悠太郎さんにあげるさかいに。
上場したらべらぼうに上がるやろからそれ売って借金払てもうて。
これからは名実ともにあんたがこのうちの大黒柱やろ?
(安西)お子さんおいくつだったんですか?
(和枝)6つです。
池に落ちて亡くなったんです。
何とかふんばってこられたんはこの子のおかげです。
気持ちがくじけそうになる度にこの子を握りしめましてな。
恨みを力に気張ってきましたんや。
もう擦り切れてますね。
もうそういう生き方やめえって言われてるんやと思います。

(竹元)な…。
何だこの…人の心を惑わす罪深い黒い魔女は。
気に入ったんですね。
そういえば経済学部の安西教授って知ってはります?
(竹元)あ?ああ。
あの夢と現の間を行き交う先生な。
懇親会の写真あったな。
見るか?これが安西先生だ。
あっお帰りなさ…。
どうしたんですか?お兄ちゃん…。
ただいま。
お土産買うてきましたで。
あ…ありがとうございます。
…どないしたん?
(静)さっき悠太郎さんが血相変えて出ていってなあ。
ふ〜ん…。
はあ…はあ…。
姉さん…この会社はありません。
登記もされてませんしこの住所もありません。
詐欺やったんです!何言うてはんの?とりあえず警察に行きましょう。
あの人も同じの買うてはったしあの人もだまされたんと違う?それも警察で確かめましょう。
ちょっと待ってちょっと待って。
あさってあの人と約束してるから。
話ちゃんと聞いてからでええやないの!悠太郎さんちょっと待って。
それからでええやないの。
待ち合わせの日待てど暮らせど安西は来ず。
しばらくして詐欺事件として報道されました
(正蔵)和枝はどないや?食べれば少しは気力も出ると思うんで何か好きな物でも作ってあげたいって思うんですけど。
何かお姉さんの好きな物分かりますか?強いて言うたらイワシかいな。
イワシは「七度洗たら鯛の味」いうてな。
イワシだけはどうも好きになれないんですよね。
なら習たらどうや?和枝に。
あいつのイワシ料理は絶品やで。
ああ…お父さん今は…。
め以子さん頼られるっちゅうのも張り合いの出るこっちゃ。
そうかもしれませんね。
どうしたの?あの…お姉ちゃんがおらんようになった。
えっ?師匠〜!
(正蔵)何や?お姉さん…来てませんか?戻ったらいなくなってて。
今みんなで捜してるんですけど。
ど…どないしたんや?あ…今日何かちょっと変で。
め以子さんうちへ戻ろう。
あかん鍵掛かっとる。
えっこれ…ガス?
(正蔵)あかん。
こっちも開かへん。
開けて下さい!
(正蔵)そこどき!
(和枝の荒い息遣い)
(せきこみ)それこっち渡し。
来たら…つける。
何言ってるのやアホんだら!姉さんを外に!
(正蔵)よっしゃ。
早う!
(せきこみ)お姉さん大丈夫ですか?余計な事を…。
だまされてガス吸うてそんな詐欺師の思うつぼやないか。
生きて見返したろうと思わなあかんのんと違うんか?ずっとそうしてきたんやんか。
ず〜っと…。
わてを不幸にした奴を見返したろうって。
何が悪いねん。
顔か?性格か?違うやろう。
こんなん運だけやろう。
悪いのはいつ直るねん。
どうやったら直るねん!20年近う…ええ事なんて一つもないんや!わてはもう…疲れたんや。
お姉ちゃんがええ事ないんはお姉ちゃんの心がいびつやからやと思う。
希子ちゃん…。
(希子)今までいろいろ不幸せやったと思う。
けど…それを人にやり返していい理由にはならへんしそんなんしてたらどんどん周りの人離れていくよ。
せやからいつまでたってもさみしいんや。
さみしいからつけ込まれたんや!そうやって悪い事ばっかり振り返ってそそ…そやからいびつやっていうんや!和枝…。
お前はええ子やった。
お前の悪いのんは心やない。
運でもない。
親や。
あんなとこに嫁に行かしてしもたわしはホンマにぼんくらや。
恨むんやったらわしやで。
どないしたんや?め以子!
(希子)ちい姉ちゃん?おなか…。
腹痛いんか!?何食うたんや!?どうしたら気付かずに過ごせるんですか?何か月も。
ちょっと太ったなとは思ったんだけどね。
食べ物が変わったからかなとか。
アホなんですか。
すいません…。
しばらく家の事は…。
あんたとうちしかないわな。
(希子)昨日は言い過ぎてごめんな…。
和枝ちゃん…。
誰もがそれは和枝の再生だと思ったのでした
すご〜い。
市場の人らがねちい姉ちゃんに精つけさせろって。
あのお姉さんこんなにたくさん大変でしたよね。
ありがとうございます。
頂きます。
イワシ…。
すごいのお姉さんの料理。
おいしいだけじゃなくて彩りとか盛りつけとかもうきれいで。
イワシ初めて食べられたの。
もう全然生臭くなくてね。
元気になっため以子は…
私に教えて頂けないかなと思う次第で…ございまして。
塩水で洗うんですか。
早い…。
あ…みそに山椒も入れるんですね。
頂きます。
さっぱりして軟らかくて…。
料理ってホントに人柄が出ますよね。
私お姉さんの料理すご〜く好きです。
お姉さんから見たら私の料理許せないところいっぱいあったと思います。
でも…これから少しずつ直していきたいと思うのでいろいろ教えて頂けたら…。
あかん…。
えっ?あんたを好きになんか…なれへんわ。
…えっ?まるで仏さんやな。
気持ちええやろう。
そんなつもりは…。
許された方がどんだけ惨めかやなんて思いもつかんやろう。
待って下さい!私…いびられた事も泣かされた事も忘れてませんよ。
やですよ!思い出したら腹立ちますよ!だけど…やなとこもいいとこも一緒だと思うから。
あれだけ舌を巻くような意地悪ができたのはお姉さんがこまやかで人の気持ちがよく分かるからで。
それがお料理に向かうと優しいお料理になるから。
だから腹は立つけど好きになっちゃうんじゃないんですか!どんだけおめでたいんや!あの料理に何か入ってるとは思わへんの?お姉さんは…そんな事はしません。
あっ…。
(静)か…和枝ちゃん!それでも好きやなんて言えるんか!一緒に暮らそうなんて思うんか!出てって下さい。
それでええんや。
わてを追い出すんはあんさんや。
どうして…どうしてですか?どうしてこんなふうになっちゃうんですか!
それから程なくして和枝は一旦倉田さんの別荘に移る事になりました
和枝の荷物を整理していると…
全部…おむつ。
(希子)作ってくれてたんですね。
嫌いになんかなれない。
そして和枝は農家へ嫁ぐ事になりました
ごちそうさんでした!イワシ。
これお礼です。
要る訳ないやろうそんなもん。
私がお姉さんの事を好きだっていう事がお姉さんを怒らせるなら私はお姉さんを好きだって言い続けます。
それが私のいけずです。
いけずにはいけずで返したいと思います。
(倉田)ああっ!あんさんのために割ったってんで。
なんぼでもいけずができるように。
また送りますから。
行きまひょ倉田はん。
ああ…。
これ全部…。
私が読んだ方がいいところだけ抜き出しておいてくれ。
何で僕が竹元さんの下働きせんといかんのですか。
め以子の包丁を滑らせ悠太郎の本を崩したこの揺れは後に関東大震災と呼ばれる事になり大阪という都市の運命をそして西門家を大きく揺り動かしていく事になるのでした
(め以子)お茶ここ置いときますね。

(戸が開く音)・
(藤井)西門君おるか?すぐ役所の方に来てくれって。
(悠太郎)えっどうしたんですか?東京が全滅やって。
えっ!?・「突然偶然それとも必然?」・「始まりは気付かぬうちに」・「予報通りいかない模様」・「そんな時こそ微笑みを」失礼します!救援物資を手配するという事は届ける人間が要るという事ですよね。
僕にその役割をさせてもらえないでしょうか。
僕東京の地理には詳しいです。
(新条)君は向こうに身内がいるんですか?身内の安否確認を最優先にするつもりはありません。
せやから港湾部の仕事や…。
お願いします!
(竹元)これは何の騒ぎですか?竹元さん…。
(静)どないやった?
(希子)駅まで行ってはみたけど電話も電報もつながらんみたいで。
(静)そんなにひどい事になってんの。
ちい姉ちゃんお願いします。
(桜子)どうやって行くつもりよ!鉄道だってどうなってるか分かんないわよ!
(室井)歩けばいいじゃない。
「弥次喜多」だってさ…。
私が見に行かなくていいって言ってんの!家を捨てるってそういう事なんだから…。
分かった。
(慌ただしい足音)
(桜子)ちょっと室井さん!室井さん!・
(静)め以子さん。
ろくに食べてへんやろ?とにかく何かおなかに入れ。
いいです。
(希子)ちい姉ちゃん大丈夫?
(静)食べたん?よかったよかった。
こんな時におなかすくなんてもう何か嫌になっちゃって。
食べるのはお母ちゃんとしての仕事やで。
(静)何か分かった?救援隊として東京に行ける事になりました。
(静)悠太郎さんが?救援物資集めてる最中なんで戻ります。
あの…悠太郎さん。
ありがとう。
僕も気になるから行くんです。
(トラ)
関西から関東へ救援隊や物資を乗せた船が続々と派遣されていきました。
悠太郎を乗せたあんです丸も3日港を出発。
卯野家の安否はいまだ分からぬまま地震発生から1週間が経過しておりました
め以子さん。
集会所で東京から避難してきた人ら受け入れるねんて。
炊き出し手伝いに行こう。
(源太)おお〜奥の炊事場にみんなおるから行ったって。
助かるわ。
(勝田)おっ湯島だったのかあんた。
何丁目だ?あの開明軒っていう洋食屋知りませんか?ちょっと後にし。
私の実家なんです。
どなたかご存じありませんか?よかったですねこっちに嫁いで。
…えっ?親は知らないけど。
(勝田)おいそんな言い方しなくてもいいじゃねえか。
気ぃ立ってんだよ。
許してやってくれ。
(トミ)そらあんた間ぁ悪いわ。
もうちょっと気ぃ遣わんとな。
気遣いが足らんねん。
さっきはすいませんでした。
どうぞ召し上がって下さい。
ほかの人にあげて。
おみそ汁だけでも。
食べないと力出ませんから。
はい。
熱っ!大丈夫?ちょいと何て事するんだい。
せっかく頂いたもんを。
今更力出して私どうしろっていうのよ!こういう時だから食べなきゃいけないと思います。
(マサ)ちょっとちょっとあんさん。
下がっときなはれ。
つらい気持ちは分かります。
食べないからどんどん気がめいっちゃうんですよ。
あんたに私の何が分かるっていうの?避難してきはった人怒らせて何考えてはりまんのや?もうここへは顔出さんとっておくれやす。
あ…でもこのままあの人食べなかったらどうするんですか?落ち着いたら食べはりますわ。
でも…。
ちょっと落ち着き。
なっなっ。
(正蔵)まあしかしこういう時は人の気持ちに寄り添うちゅうのは難しいこっちゃ。
気を遣うたつもりがかえって的外れになったりしてな。
私は私で救われに行っとってそれが誰かの役に立っとるんやったら結構な話やないか。
このぐらいの気持ちでおったらええのや。
あの…。
私やっぱりここでお手伝いしたいです。
絶対表には出ませんから。
(タネ)この子ごっつう料理できるんですよ。
そうそう。
こんな大根パパパ〜ッて。
山のような大根をむく事にしばし救われる人間がいる一方でどんどんと自分を追い込むばかりの人間がいたのでした
(源太)ちょっと待ってや。
何でそないな事になんねん。
当たり前ですやろ。
そんなんこの子に対する当てつけですがな。
ここで死なはったらあんさんどないしてくれはりますの!ちょっと言い過ぎちゃうの?このまま食べはれへんかったらお宅らのせいですさかいな。
何も口にしようとしないふみに何とか食べさせようとめ以子が考えたのは…
(定吉)ほれ!
(一同)うわ〜!江戸っ子の秋といえば新そばなんだけどね。
カ〜ッ!こっちでそばが食えるとは思わなかったよ。
どうぞ。
新そばです。
(喉が鳴る音)
その夜の事です
ちい姉ちゃんお兄ちゃんから。
「お父様お母様照生君全員無事です」。
(ため息)どないしたん?もしこれが逆だったらって…。
谷川さん逆だったのかも。
おはよう。
おはようございます。
(源太)地震昼やったやろう。
昼御飯の煮炊きの火がもとでご家族亡くなりはったらしいんや。
自分だけ生き残ってもうたんちゃうかってのがみんなの話すり合わせて出てきたとこでな。
どこまで思い詰めとるんか分からんけど飯食わへんのは自分を責めてるんちゃうかて。
(戸が開く音)
(トミ)誰か…谷川さんが!
(静)起きて谷川さん。
起きて下さい。
(源太)おい!随分と弱ってはるし入院された方がええですな。
(源太)サンマか。
(静)秋やなあ。
痛い痛い痛い。
何何?もう。
ちょっとこのサンマ貸して!後で倍にして返すから!実りの秋や。
おいしいもんようさん出てくるわ。
食べ物には力があるさかいな。
め以子さん!め以子さん!秋はこれやろ。
これやんなあ!回想
(子ども1)僕のあげる!
(子ども2)僕のも!
(夫)じゃあ俺のも。
いいわよあんたまで。
俺らもういいんだよ。
なあ?
(2人)うん!ホントサンマ好きだよねお母ちゃん。
もういいから食えよ母ちゃん。
食えよ腹いっぱい。

(タネ)はあ〜サンマは大したもんやな。
はい。

(勝田)あいよ。
おい何にすんだい旦那!たまんねえよ今日は。
いい子がそろっててよ。
おすし屋さんやったんやね。
なあ。
頂きます。
(谷川)ごちそうさま。
いいえお粗末さ…。
あああの…。
やっぱり。
髪結いさんだったんですね。
私のせいでうちは火事になったようなもんで。
そこにいるのもいたたまれなくなって。
それでふらふらこっちにやって来たんだけど。
死ぬほどの思い切りも出なくて。
そのくせおなかばっかり鳴るのが嫌だったのよ。
けど結局サンマには勝てなかった。
ああ〜食べたいなって思ったら亭主と子どもの事が頭に浮かんで。
都合よくできてるもんだね人間ってのは。
あの…私も心配しながらおなか鳴りました。
どんな人でもそこだけは一緒なんです。
一緒じゃなきゃいけないと思うんです。
それは…みんな生きてるって事だから。
女学校の先生が言ってました。
だから…自分の事責めないで下さい。
ありがとね。
炊き出しだってのにあんなおいしいもん出してくれて。
いや別に大したもの…。
何言ってんの。
おみそ汁なんてご丁寧に一度も同じ物なかったじゃないの。
いやそんな…。
(谷川)きっかけを与えてくれたのはサンマだったけど生きる力を与えてくれたのはあんたのみそ汁だった。
ホントに…ごちそうさまでした。

(桜子)いらっしゃいませ。
め以子?どうしたの?その頭。
谷川さんね髪結いさんだったの。
ねっあれホントよ。
宮本先生が卒業式におっしゃってたの。
民ちゃんから手紙が来たんだけど。
宮本先生が火事に巻き込まれて…。
ご遺体の確認に時間がかかったみたいなんだけど。
そばにあった包丁にお名前が残ってたって。
(宮本)食べなければ人は生きてはいけないんです。
納豆食べたい。
源ちゃん。
おう。
納豆が食べたい時ってどうしてる?こっち来てから食うのやめてもうたな。
こっちでは食べへんからなあ。
そっか…。
ありがとう。
(静)お帰り。
これ…。
ああ桜子ちゃんらがな関東煮作って持ってきてくれたんや。
こっちはおでんにタコ入れるのよね。
そうそう。
こっちでは関東煮っていうのよね。
東京ではおでん。
へえ〜。
どないしたん?あっ関東煮はこっちに根づいたのに納豆は根づかなかったんだなって思って。
やっぱりなかったのね。
えっ?もしかしてそれでみんな心配して来てくれたの?あんたのためだけじゃないわよ。
一緒にお弔いしたかったの。
食べる事をさすごく大切にしてた方じゃない。
それを教えて下さった先生じゃない。
バクバク食べてるとこ見せるのが先生一番喜んでくれると思うの。
そういう事なら…。
(2人)頂きます。
うん!
(笑い声)おいしい。
(桜子)おいしい。
やがて夜も更けた頃…
ご遺体を何とかしたくてもしてる余裕がなくて。
そんな事いっぱい見てね。
僕炊き出し手伝いながら食いつないでたんだよ。
そん時にさ…また揺れが来て。
おでんがひっくり返っちゃったんだよ。
けどねひっくり返った鍋の底に1つだけガビガビに焦げた大根がねへばりついてたんだよ。
うまかったんだこの大根が。
それ食べながら思ったんだよ。
鍋底大根はうまくなくてはならない!ひっくり返った具たちのために全力でうまくならなくてはいけない!僕も…おいしい鍋底大根にならなきゃって。

数日後…
重い荷物を背負った悠太郎が戻ってきたのでございました
(静)卯野の皆さんお元気やったん?多少のケガやヤケドはあったようですけどお元気で。
僕が伺った時には既に皆さん総出で店の蓄え使って炊き出しされてました。
炊き出し?元気なんですうちの家族。
お母ちゃんは?子どもができた言うたらあなたがどれだけ食べてるか思うと申し訳ないって。
しっかり食べてしっかりいい鍋底大根になるんです。
鍋底大根?はい。
(竹元)これがあの浅草とはな。
これは?コンクリート造の建築物でも火災の熱で窓ガラスが溶けて延焼してしまうんで。
調査結果を整理しろ。
…はい。
浮かない顔だな。
まるで建物が…人を殺しているようでした。
無駄な感傷だな。
参考になる。
それぐらいの思いで見れんのか。
建築をなりわいとするんだったら。
あなたは見てないからそんな事が言えるんです!そうだ。
お前は見てきているんだ。
それを自覚しろと言っているんだ!今の大阪の都市計画を担う人間で現場に行ったのは誰もいない。
今のお前の切ろうとしている舵は確実に都市計画事業の進むべき方向を決める。
今お前はそういう場所に立っているんだ!何ですか?はい新米です。
うわ〜。
新米の熱々は格別だから…。
まずはお塩でどうぞ。
ほな頂きます。
うまい。
うまいです。
旬の力ですね。
この生活を守っていくのが僕の仕事ですよね。
僕の鍋底大根ですね。
新米くらいは心おきなく買えるお給料が欲しいですね。
さっ旦那次何にしやしょう?どの子もいい味出しやすぜ。
結局はそれをやりたかったんですか?え…駄目ですか?あなたはそのままでいて下さいね。
何?何で?そのままでって言うから。
もういいですか?これ。
(め以子)お母ちゃんから。
(静)お母さん何て?お正月みんなで来ていいかって。
・「突然偶然それとも必然?」・「始まりは気付かぬうちに」・「予報通りいかない模様」・「そんな時こそ微笑みを」
(希子)楽しくなりそうですね。
(静)なあ。
この機会にお父さんをって思ったんですけど無理ですよね悠太郎さん。
(藤井)あの小学校もともと予算厳しかったの知ってるやろ?けどここまで計画自体は固まってるもんやし新たにコンクリート造の小学校の模範として造ってはどうかって。
(大村)模範?
(悠太郎)この段階で模範を設計しろというのはあまりにも時期尚早ではないでしょうか?
(竹元)じゃあやめよう。
立ち消えになるくらいならと思っただけだ!竹元さん!ほら悠太郎さんカキ食べカキ。
お兄ちゃんお酒飲んでお酒。
はい!何やあるんですか?
(3人)えっ?年の瀬からな卯野の親御さんと弟さんこっち来たい言うてはんねんけど。
そんなんええに決まってるやないですか。
誤解されたままになってる事あるじゃない?誤解?あの人死んだままになってへん?頂きます。
このうちどうなってんのやって心配しはる思うねん。
ほなその間僕はうま介の2階に寝泊まりさせてもろてあの人にはここに来てもらいましょう。
ちょっと待って。
そんな事したら心配しはる。
ホンマの事を告げるというならきちんと告げましょう。
なぜ娘をこんな所にやってしまったかと後悔の念を募らせて頂きましょう。
何の御用でしょうか?
ある日の事です
(岩渕)西門正蔵さんはご在宅でしょうか?以前西門さんの下で働いておりました。
お父さん。
(正蔵)へえへえどちらさんやな?お久しぶりです。
いつも先頭に立っていた長田さん覚えていらっしゃいますか?よう覚えてます。
先日お亡くなりになりました。
「あなたに渡してくれ」というのが遺言だったそうで。
会社の方に送られてきました。
あの…あの村はどうなってますのやろう。
あの時のままですよ。
あなたが放り出したあの時のままです。
来月には生まれるんですよね。
この子に何か関係あるんですか?いや…この子かて小学校に通うやないですか。
小学校いうんは小さい子どもが通うとこでしょ。
ごっつい安全に頑丈に造ったらなあかんやないですか。
責任重大ですね。
そうなんです。
そんな大切なものやのに今までの計画を白紙にしてコンクリート造で僕が設計し直す事になってしまったんです。
それってすごい事じゃないですか。
え…えらい事やないですか。
お祝いしないと。
まだ始まったばっかりなんでうまくいくとは限りませんから。
大抜擢だと思うんですけど…大喜びっていうふうでもないんですよね。
まあ大仕事やさかいな気が張り詰めとんのやろう。
あっ。
西門のお節を教えて頂きたくて。
卯野の家族が来るので食べさせてあげたいなって。
ありがとうございました師匠。
お節って何や思う?お重に詰めたお正月のお料理ですよね。
お正月早々お台所に立たなくて済むっていう。
暇があったら考えてみといて。
はい。
願い?
(馬介)お節は願いを込めた料理やんか。
黒豆は今年もまめまめしく働けますようにて。
数の子は子孫繁栄。
エビを使うんは長寿。
「腰が曲がるまで」いう事や。
昔の人はないろんな願いを年の初めの料理に込めたんや。
へえ〜。
あの…ただいま戻りましたけど。
あっあ…ちょっとお節考えてて。
お節ってそんなに考えるもんなんですか?私なりのお節に挑戦してみようかと。
料理ってええですね。
料理は人を傷つけへんやないですか。
まあ食べるものですからねえ。

(トラ)
め以子のお節作りは着々と進んでいましたが…
う〜んあと一つ…。
ちい姉ちゃん。
皆さんがお泊まりになるのってお姉ちゃんの部屋でええんですよね?うん。
…うん?今日ですよね?卯野家の皆さん来はるの。
あっ!桜子。
今日お父ちゃんとお母ちゃん来るんだけど…。
(桜子)め以子!師匠っていうかお父さんの事黙っといてもらえるかな?ねえ…。
(戸が開く音)
(大五)何黙っとくんだよ。
あっ!何で?
(大五)えっと〜…。
悠太郎の母の静でございます。
(イク)今日お姉様の方は…。
言ってなかったわよね。
ごめんお嫁に行かれたの。
はっ?
(イク)そうなの?うんいろいろあって。
聞いてねえぞ俺は。
いやそっちだってそれどころじゃなかったでしょ。
あのなそういうのはチョロチョロって書いてよこしゃ済む事だろ。
いやあの大事に電報一つよこさなかった人に言われたくないです。
お前…。
(照生)どっちもどっちだよ。
やめなさいもう恥ずかしい。
ホントすいませんねがさつな娘で。
いいえ明るうて助かってます。
いつでものしつけて返してもらって構わないですから。
なんて事言うの。
えっどこ行くの?おうちょっと市場でものぞきに行ってくらあ。
(源太)おじさん?やっぱりそうや!源太や源太。
め以子の同級生やった。
ああ〜源ちゃんか!おお〜おっきくなったな。
なあお前こっち住んでんのか。
あれ?あいつから聞いてなかったんですか。
あいつそういう大事な事何にも言わねえんだよ。
まあ忙しいですからね。
(染丸)源ちゃんお知り合い?ああ。
こちらはめ以子のおやじさんと弟。
あっそうなんだすか?え〜もう私師匠にはずっとお世話になってて。
師匠って?あの…め以子さんのお父さん。
…のいとこ!それも聞いてねえけどな。
力不足だと?震災でコンクリートが必ずしも安全ではないという事が分かって。
これをやっていれば大丈夫なはずだという確信が自分の中に持てないんです。
申し訳ありません!もういい。
この案件は別の人間に任せる。
お前には荷が重すぎた。
お前には…失望した。
(ドアの開閉音)
(大五)悠さん元気ねえじゃねえか。
いえ…仕事でちょっと。
何困ってんだよ。
言ってみな。
飯まずなりますよ。
いいからいいから言えよ。
親子じゃねえかよ。
コンクリート造の小学校の設計を任されたんですけど…。
おお〜すごいじゃねえか。
今回の震災でコンクリート造の建築物でも被害が出たものと出なかったものがあるんですね。
そんな難しい事こっちのお父さんに言ったって駄目よ。
そういう事は向こうのお父さんにでも相談しないと。
何だったら私向こうのお父さんに相談しましょうか?
(イク)向こうのお父さんって?えっひょっとして生きてる…とか?はい生きてます。
聞いてねえぞ俺は。
ゆ…行き方知れずだったんです。
10年前に家出てってしもて。
せやからもう死んだも同じ言いますか。
どうしてそんな大事な事を言わねえんだよ!俺に何の報告も相談もなしか。
おい悠さん!すいません。
こんなに隠し事多いんじゃお前悠さんの事信用できねえじゃねえかよ!お前今日だって言うつもりはなかっただろ!?…はい。
ちょっと…。
正蔵が生きていると知った大五は…
師匠おる?いや〜…。
いや〜もうめ以子さんが来てくれはったおかげであの家もちょっと風通しがようなりましてな。
ホンマにありがたい話です。
いえあんなバカ娘ホントに迷惑ばっかりおかけして…。
とんでもないとんでもない。
はあ〜もう。
悠さんは仕事大変みたいです。
悠さんの相談に乗ってやったらどうですか?わしがそんな話をしたらあいつ頭から火ぃ噴きます。
けど…それが親の役目ってやつじゃないっすかね。
えっ?火噴かれてもね言ってやった方がいい事もね。
はいどうぞ。
フグだ〜!
(マツオ)これな鉄砲っていう魚やねん。
(トミ)あたると死ぬから鉄砲いうようになったんや。
まあその数々の食いしん坊らのおかげでわてらには食べるための方法が残されたっちゅうこっちゃ。
ありがたい話や。
大みそか
・お父さ〜ん。
これ。
お節。
ハハッおおきに。
あっちょっと早いかもしれんけれどもこれご祝儀や。
そんないいですいいです。
頼むわこのぐらいの事はさせて。
でも…。
その子のお年玉にでもしてもうたらええ。
ありがたく頂きます。
ほなまあええお年を。
よいお年を。
(戸が開く音)うわさをすれば。
産婆さん呼んで下さい!産まれてしまうみたいです!
(イク)あら大変。
大丈夫…大丈夫ですか?
(イク)お布団お願いします。
・今渡したいの!・
(イク)分かったから呼んでくるからもう。
あっ悠太郎さんちょっと来てくれるかい?はい。
はい。
どないしたんですか?何ですか?これ。
読んで。
読んでよ。
(正蔵)「私は昔鉱山で技師をしていました。
主に銅です。
銅の製錬には鉱毒というものが付き物で鉱毒の被害は思たよりも深刻なものやいう事が私の勤める鉱山でもあからさまになってきたのです」。
(せきこみ)ああなんて事!
(正蔵)「自分たちの引き起こした被害を突きつけられる日々に神経が擦り切れそうになったそのころ…」。
人殺し!
(一同)人殺し!
(正蔵)「君のお母さんが亡くなったのです。
私は渡りに船と山から逃げ出したんです。
悠太郎豊かさを追い求め豊かさを失うのが悲しいかな人間という生き物です。
けど過ちを犯したあとにどう生きるかを選ぶ事はできるんです。
もし過ちと闘い続ける姿を見せられていたならば君にその事を伝えられたのではないかと思います。
父親となる君に私のこの間違いだらけの人生が何かの役に立てばと思い筆を執りました。
どうかあなたたちは生まれてくる子どもに輝く未来と豊かな誇りを与える人であって下さい」。
今度はどこ行くつもりや。
初日の出拝もうと思てな。
産まれるから。
きょ…今日か?孫の顔くらい見に来たら?えっえっ?俺はあんたの息子やからあんたが世間に作った借りは返さなあかん。
誰よりも頑丈なもん造る。
あんたが壊して回った分みんなを守る建物を…造る。
せやから逃げんと隣で見とけ思う!おい。
ええんか?ホンマにええんか?・
(産声)産まれた。
(イク)め以子赤ちゃん来るよ。
うわ〜かわいい。
うわ〜め以子もお母さんか。
元気な女の子ですよ。
さっ。
早く入って入って。
汗だくじゃないですか。
あなたほどやないです。
(大五)入って下さいよ正蔵さん!お父さんどうしたん?ちょっとお祝いにな。
すぐ帰るさかいに。
(希子)おおきに。
おそばゆでるの手伝うたら?せやな。
ほら入りましょう。
(源太)寒いからはよ入って。

(静)食べたら寝てもうた。
せ〜ので「ごちそうさま」ですね。
(一同)おお〜!このお重には私なりに願いを込めてみました。
のりを使った鶏だんごは希子ちゃんの人生がこのまま波に乗っていきますようにって作りました。
波。
うん。
これはお母さん。
お静さんがいつまでもお母さん。
おふくろさんでいてくれますようにって。
おおきに。
甘辛いクワイが入ったしんじょ入り。
これお母ちゃん。
はい。
ありがとう。
これがお父ちゃん。
鯛子の寒天寄せです。
いつまでもそのままでって事。
ありがとう。
テル。
これ一見分からないけど鯛が使ってあるの。
早くお父ちゃんを追い越しますようにって。
なるほど。
100年早えんだよ。
…でこれがお父さん。
離れてても見守ってて下さいねって意味でこう…レンコンなんですけどちょっとずれちゃいましたかね。
いやいやいやいや…。
…で最後の悠太郎さん。
卵をフグで包みました。
フグをこうして安全に食べられるようになるにはたっくさんの食いしん坊たちが命を落としてきたんだって。
悠太郎さんは料理は人を傷つけないって言ったけどそんな事ないんですよ。
フグとかキノコとか。
安全な水だって誰かが命を懸けて食べられるよって教えてくれたものなんです。
きっと今私たちが手にしてるものってみんなそうなんじゃないのかなって。
今の私たちだって未来へのこう…下ごしらえだと思うんです。
せやな。
やれるだけやってな。
(大五)おい!名前「ふく」じゃねえか?みんなに福をもたらす子って事でよ。
め以子さんにちなんで平仮名の「ふ」。
永久の「久」。
ふ久ちゃ〜ん。
これは西門家に福が来た日のお話でございました
(悠太郎)何で僕が高速鉄道課に?
(竹元)私が地下鉄の駅舎を設計するからだ。
息をのむような壮大なアーチ型の天井。
最新鋭の高速鉄道が走り込み梅田から心斎橋まで5分だ。
お断りします。
壊れないぞ。
地震で地上がいかれても地下は壊れにくいらしいし避難場所にもなるんだけどな。
(め以子)寒天液を…。
(トラ)
家庭にはガスコンロが普及。
火の扱いが楽になった家庭の主婦たちによってさまざまな家庭料理が考案されめ以子は創作料理の懸賞公募で小遣い稼ぎ。
当選謝金をためにため氷冷蔵庫を入手。
そして…
3人の子の母となっておりました
御飯やで。
・「突然偶然それとも必然?」・「始まりは気付かぬうちに」・「予報通りいかない模様」・「そんな時こそ微笑みを」
(正蔵)頂こうか。
頂きます。
(一同)頂きます。
おいしい?…分からん。
ふ久ちゃんと食べんと大きくなれへんよ。
返事くらいし。
あんた人の話ろくに聞いてへんやろ。
活男!ふ久の。
(活男)始末じゃ〜!あんたが始末せんでええの。
(真田)また漏水があったんですか?
地下鉄建設の担当になった悠太郎は現場で苦労していました
お宅の先生が天井アーチしたい言うんでわしらがどんだけ苦労してる思てまんねん。
しゃあないやないですか。
竹元さんが欧州に引けを取りたくなかったら天井アーチや言うて議会がそれを承認したんですから。
建築はええのう夢ばっかりで。
ケツ拭くんは全部土木や。

(勝)はよ行こう!
(勝)ぼ〜っと立ってるからじゃボケ!行くで行くで!
(希子)「毎日の料理」の時間でございます。
今日も白鳥女子専門学校の原よしエ先生に…。
希子はラジオ局のアナウンサーとして活躍していました
(勝)うあ〜!あ〜!お〜!よっしゃ。
(静)山椒は大人の味やな。
みそもいけますよ。
(静)みそ?みそかいな。
みそて。
あっふ久お帰り。
ふ久はいお口あ〜ん。
あ〜ん。
何かあった?
(多江)ちょっとふ久ちゃんおる?よいしょ。
ちょっとこれ。
何でこんな事したん?ふ久ちゃんがやったんや。
ふ久が?
(多江)学校の2階からでっかい石投げたんや。
ホンマなん?ふ久。
投げてへん。
落としたんや。
そんな嘘をようもええ?歩かれへんようになったら責任取ってもらうさかいな。
何で石なんか投げてたん?投げてへん落としてたんや。
ほな何で落としてたん?落ちへん石探してたんや。
(泰介)姉ちゃん何してるん?月って落ちてこうへんよな。
高いとこから物投げたりしたりせん事。
人にケガさせるような事はやったらあかんよ。
分かった?つまらんもんですけど。
せやけどホンマにちょっと考えた方がええと思うで。
えっ?ふ久ちゃん。
えらい口重いし言葉にならんからあんな仕返しするんや思うわ。
仕返し?あの子…ちょっと普通やないんと違う?えっ?・
(村上)お邪魔致します。
担任の村上ですがお母様いはりますか?はい。
ああ先生いつもお世話になってます。
どうも。
あの…。
あれ?着物は?
(村上)火ぃを消す時に水をかぶってしまったんで。
はあ…火?ふ久ちゃん学校で火ぃ出したんです。
えっ?
(村上)ぼやを出しかけたんです。
いろんな物集めて火ぃつけたみたいなんです。
そのうちに火がおっきなってしもうて…。
見つけた生徒が慌てて水をかけてくれた訳なんですけど。
一歩間違うと大変な事になるとこでした。
ホンマすみません。
しばらく学校をお休みしてもろてよろしいですか?小学校は誰でも行ってもええんやないですか?
(村上)いいですか?お母さん。
いたずらや乱暴はいくらでもあります。
けど火ぃつける子なんて僕ら聞いた事ないんです。
食べるもんやめて。
あっお母ちゃんおやつして。
ふ久学校行かれなくなってしもたで。
どうするん?ええよ。
別に行かんでもええもん。
(活男)なあおなかすいた〜!よくないでしょう。
お勉強教えてもらわれへんようになるしお友達とも会えなくなるんよ。
友達おらんし。
おやつ!欲しいと思わへんのお友達。
別に。
別にって…。
お母ちゃんおやつしてって!うるさい後にして!
(泣き声)話してる時は相手の顔見なさい。
相手の話を聞きなさい。
それが普通なの!普通の子は学校行って終わったら友達と遊ぶの!一人で石落としたり火ぃつけたりしないの!学校行かれへんって言われたら困るの!泣くの!どうしてふ久は普通にできひんの!あれからちゃんとふ久に話聞いたんですか?話す前にこうなってもうて…。
何やってるんですか。
あなた母親でしょう?きちんと話聞いてちゃんとふ久の気持ち理解してやらんと。
かわいそうやししつけもでけんでしょう。
じゃあ悠太郎さんやってくれる?私バカだからふ久の事全く分かんないんだから。
悠太郎さん賢いんだからふ久の事は悠太郎さんやってくれるかな?・全然いないくせに何にも知らないくせにこんな時だけ父親面しないでよ!ほなあなた僕の代わりに働いてくれますか?どうにもこうにも言う事聞いてくれん水相手に知恵絞ってくれますか?
(希子)お兄ちゃん話ずれてる。
あなたの相手は子どもやないですか。
何を甘えた事言うてはるんですか。
普通じゃないから…。
やっていい事と悪い事が分からないの。
普通の人が自然と分かる事が分からないの。
学校行けなくなって困るとかさみしいとかそういう事も思わないの!そういう子どうやって育てたらいいか私分かんないの!あの子は…。
(希子)ちい姉ちゃん。
あの子は…。
(希子)ちい姉ちゃん!
(静)世界一のべっぴんや!お母ちゃん。
僕お姉ちゃんの事好きやで。
変わってておもろい。
お母ちゃんもそう思おうかな。
何で揺れてるん?うん?お湯が沸いてるからや。
何でお湯が沸いたら揺れるん?水が…湯気になって?何で湯気んなったら揺れるん?えっ?お…お父さん!水って膨らむんでしたっけ?えっ?いやあの…ふ久が何でやかんの蓋は揺れるんやって。
もう私説明が…。
石。
煙。
どないしたんですか?
(正蔵)こっからあったか〜い湯気が出てくるな。
この湯気は水よりも軽いやろ?…で軽うてあったかいさかいにこの上へ上がろう上へ上がろうとしよんのやな。
…で上へ上がろうとするさかいにこの蓋をほれふ〜っと持ち上げるんやけれども蓋の方は落ちよるん。
蓋何で落ちようとするの?
(正蔵)下へ下へというこういう力が働きよんねん蓋に。
上に行く力と下に行く力。
(正蔵)この力は目には見えへんのやで。
見えへん力。
(正蔵)そう。
あの…樋がアーチに張り出す事竹元教授に言わんでええんですか?樋がそこここに飛び出すいうの知ったら…。
事後報告でええんやないでしょうか。
・竹元教授が来てくれはりましたけど。
(池本)あかん!あかん。
(竹元)どうかしたのか?ああいえ何でもないです。
ねえ池本さん。
(池本)ああ…何ですか急に突然。
(真田)どないしはったんですか?こっちに出てくる用があってな。
今水が出て大変だと聞いて。
差し入れだ。
うわこんなに!たくさんあるから現場に持ってって皆さんに食べて…。
おい貴様は何をやってるんだ?何でもないです。
(竹元)何だこの樋は?渡すのか?どこにだ?どこにだ!?何のために血がにじむような思いをさせて土木の人間にアーチ型のトンネルを造らせたんだ!これじゃ彼らの努力も台なしじゃないか!いやせやけど土木も樋にしろ言いますよ。
がっかりだ!別にわしらがっかりせえへんし。
なっ?とにかく躯体のコンクリートは絶対削れんさかい。
(ため息)あっアイスクリンや!う〜ん!何やお母ちゃんのとはえらい違うなあ。
まあこれはこれでな。
(室井)へえ〜ふ久ちゃんはこういうのが好きなの?
あれはちょっと傷ついちゃうよね
(ふ久)お母ちゃん。
どないしたん?ああっ!何してはるんですか?お帰り。
ただいま。
あのねふ久がねアイスクリン作ってほしいって。
初めてよ。
あの子が自分から何か食べたいなんて…。
もう〜どうしてやろうかな?どうしちゃおうかな?えっみんなで一緒に作るん?そう。
自分で作ると倍おいしいいうし。
ほなやるで!うん!はい!お砂糖入れて。
すりすり〜。
すりすり〜。
ぐるぐるぐるぐる〜。
おいしくな〜れ。
つまりどうせならアーチを二重にしてこの隙間を水を逃がすスペースにしてしまおうという案です。
こんなんできる訳ないやろ!これだけやってきたんですからできるだけ高みを目指しませんか?そんなんお前らの自己満足やろ!線路にこう…列車入れんようになりませんか?恐らくは5cmほどホームを削る事になると思います。
やってられるかアホ!待って下さい!石川さん!話聞いて下さい。
お前が話し合わなあかんのはわしやない。
お前の先生や。
石川さん僕らもできるだけの事やりますから。
話す事ないんじゃ!あっ!
(真田)西門さん!
(池本)西門君!石川さん…話を…。
昨日おばあさんが…。
(池本)先に医者や〜!
(看護婦)先生お願いします。
こっちはいつものアイスクリン。
こっちは卵白を使って作ってみました。
もう一つが…。
びろ〜ん。
食べてみて下さい。
たまら〜ん!たまらんて。
え〜何やろう?これ…これ何?…納豆なんです。
え〜?納豆食べてしもた。
うわ〜…。
どう?これがおいしいいう事やったんか。
うん?おいしいって分からんやん。
まずいいうんは?感じた事なかったん?昨日のアイスクリンは変な味やなって。
姉ちゃん友達んちで物食った事ない?
(静)そないな事やったんか。
えっ?ふ久は生まれてからず〜っとあんたの料理とあんたがおいしい思た食べもんしか与えられんかったんや。
今までまずいもんを食べた事がなかった訳やろ?せやから人がおいしい言うんがどういう事指してるんかはっきり分からんかったんや。
え…そうやったん?これがおいしいやったらずっとおいしかった。
そんな話やったん…。

(真田)ごめんください!おうちの方どなたか?はい!西門さんがその…頭ケガして病院に。
え…。
(亜貴子)もうええよ悠ちゃん。
アキいつからここに?先月替わってきてん。
悠ちゃんすぐそこで地下鉄造っててんなあ。
松田先生患者さんの奥さんいらっしゃいましたけど。
え…松田って?痛み止め出すから受付でもらって。
今日は安静にして。
せやね明日来て下さい。
戻るつもりですか?そのケガで。
さすがに今日はやめといた方がええんちゃうか?話し合いの途中でしたし。
けど頭打ってるんですよね?大丈夫ですよ話し合うだけですから。
何があったんや!?停電で排水ポンプがいかれてもうて地下に水があふれ出てもうたんです。
あいつ何やっとんねん。
(増岡)ケガ大丈夫なんですかね?真田ポンプどうや?
(真田)もう少しです!よし!お帰りなさい。
あっそれお薬もろて。
え…どうしたんですか?もう包帯も汚れてるやないですか。
あ…ええですええです。
明日消毒行きますから。
ホンマにもう明日朝一番で病院行って下さいよ。
ちゃんと行って下さいよ。
あっありがとうございます。
どうしたんですか?お礼言うだなんて。
いやいやたまにはええやないですか。
ほな行ってきます。
行ってらっしゃい!何やあいつまたえらい早いな。
一番にお医者さんにかかりたいんですって。
できるだけ現場に遅れたくないから。
ふ〜ん。
お兄ちゃんホンマに頑張ってますねお仕事。
お母ちゃんかてごっつう頑張ってる。
お母ちゃんの見えへん力でうちの御飯は出来とるんや。
せやからふ久も頑張ってるんかいな。
えっ?ふ久。
ごちそうさん。
(泰介)お…お母ちゃん?おお…。
おおきにな。
アキ松田ってどういう事や?光男さんとは結局一緒にならんかったんか?一緒になって去年亡くなりはった。
何や困った事あったら言うてや。
言うてええの?ああ。
もうず〜っと好きで好きで困ってる。

(亜貴子)もうず〜っと好きで好きで困ってる。
・「突然偶然それとも必然?」・「始まりは気付かぬうちに」・「予報通りいかない模様」・「そんな時こそ微笑みを」仕事がな。
(悠太郎)仕事?
(亜貴子)何や思たん?ああいや…。
(亜貴子)趣味とかないんよねうち。
人づきあいも苦手やしな。
どこがやねん。
本音で話せる相手はおらんし。
時々ここに悠ちゃんおったらなとは思たよ。
はいお疲れさんでした。
この時間やったら来られるで。
ホンマに?どうせ消毒にも来なあかんしな。
(源太)今日はあれか?
(め以子)うん。
悠太郎さんケガしたし好物やし。
すじは皮膚にもええって雑誌に載ってたし。
(源太)ほやけどようやるなあ。
ごっつ手間かかんのに。
これが私の仕事やから。
ほな明日の朝からずっと7時に出るんですか?はい。
排水の設計をやり直さなあかんので。
ふ〜ん…。
何ですか?忙しくても病院だけはちゃんと行って下さいよ。
はい。
どうぞ。
頂きます。
あなたのカレーは天下無敵です。
(室井)大変だ〜!先生どこですか?先生!診てほしいんですよ。
娘がねケガをね。
落ち着いて下さい。
お父さん落ち着いて。
あれ?
ある日悠太郎の職場へ差し入れに行った時の事です
(亜貴子)ほなお願いします。
(真田)渡しときます。
(亜貴子)お邪魔しました。
(真田)はい。
…えっ?今出ていかはった人…。
ああ西門君の先生でっせ。
先生…?昔からの知り合いらしいですね。
でも奥さん心配でしょう。
あんなお友達。
そうですね…。
奥さん差し入れ来てくれはってな忘れもんや。
会いました?2人会いました?会ってないけど…奥さんは見はった。
西門〜。
(桜子)早めに行って治療してもらってたよ。
以上終わり…じゃない?嘘ついてたのよ。
早く現場に行くためだって。
何もないなら何でそんな嘘…。
ああもうええやんけ!浮気の一つや二つ!
(馬介)僕も聞かん方がええ気するなあ。
聞いてもうたら白黒別にしてごっつやりにくぅならへん?
(泰介)ただいま戻りました。
(子どもたち)こんにちは〜!
(一也)おばちゃん今日何?
(三四郎)何何?帰って。
今日はないから。
(次雄)何もないんやったらしょぼ焼きでええで。
今日はない!・ただいま戻りました。
お帰りなさい。
頂きます。
あ…ごめんなさい。
それ失敗して…。
いや結構いけますよ。
おいしいです。
御飯進みますし。
あかん…。
耐えられへん。
えっちょっと何するんですか。
イテッどこ行くんですか?イテッ。
どういう関係なんですか?昔そういう関係にはなれへんみたいな事言うてましたけど。
僕の口からは言えないんで。
どうして秘密にするんですか?アキが言わないと決めてる事やからです。
私が教えてくれって頼んでも教えてくれない訳ですか?私がそれで嫌な思いしても悠太郎さんは…。
ほなあなたは桜子さんが必死で隠している事を僕に頼まれたら話すんですか?そうやけどそれは…。
とにかくあなたがそこまで気に入らんのやったらもう行きませんから。
それで堪忍してもらえますか?
(静)今日ははよ出んでええの?ええまあ…。
(正蔵)頂きます。
(一同)頂きます。
あら?今日は新聞読まないんですか?食事の時は食事を味わおうと。
ふ〜ん…。
来えへんか今日は…。
(正蔵)め以子さん。
すまん。
やめて下さいよ。
何でお父さんが…。
悠太郎が何かしでかしたんやろう?悠太郎さんには昔なじみの女の人がおるんです。
もしその人と一緒になれるんやったら私の事は選ばなかったと思うから。
そうなんやろかな?あんたと初めて会うた時わし「ああ…」と思た。
あいつがあんたを選びよった事すと〜んと腑に落ちたんや。
窮屈な生活しかできへんかったあいつがあんたに憧れよった気持ちわしよう分かる。
悠太郎さんごめんなさい。
ちょっとお話できませんか?ごめん…。
うん?アキ…ごめんな。
おはようございます。
おはようございます。
(子どもたち)おはようございます。
おはようさん。
(静)あ〜何やこれ悠太郎さんの好きなもんばっかりやな。
そうですか?ホンマですよ。
これ食べたかったんです。
ほな頂きます。
(一同)頂きます。

(活男)お母ちゃんうまいわ!ごちそうさんでした。
今日は朝からおいしかったです。
そうですか。
最後やったんで腕振るってみました。
えっ?出てってくれますか?出てけって何でですか?何で?みんな蔵行こう。
蔵行こう。
蔵へ蔵へ。
行こう行こう行こう。
あなたが浮気してるからでしょう!してませんよ。
じゃあ何で新聞読むのやめたんですか!?忙しいのに御飯に戻ってくるんですか!?何が悪いんですか?あなたがずっと機嫌悪いからやないですか!むくれて嫌みばっかり言うて。
私のせいですか。
私が悪いんですか。
毎日毎日料理作ってお弁当作ってる私のせいですか!そんな事言ってないでしょう。
「ごめんアキ」って何ですか?…えっ?何がどう「ごめん」なんですか?鬼みたいな嫁がいるから会えなくなって「ごめん」ですか!?押し切られて結婚してもうた「ごめん」ですか!?いや何の話か…。
寝言で言うてたんです。
寝言って…。
困りますよね夢の中の事言われたって。
自分じゃどうしようもできないんだから。
でも…だからホントなんでしょ?もう…もう無理しないで下さいよ。
うちの主人とはどのようなご関係でしょうか?友達やと思うけど。
ほな昔2人の間に何があったか教えて下さい。
私には…聞く権利がある思います。
権利?妻ですから。
(ため息)悠ちゃんと最初に出会たんは…。
火事の現場ですよね。
(亜貴子)それが縁で話すようになって悠ちゃんは街造り。
うちは医者になろうって誓い合うたんや。
けどうちが身ぃ寄せてた親戚にはそんな金は出せんて。
困ってたところに来たんが村井家からの話やった。
それはいずれそこの息子に嫁ぐ事が条件やってん。
現実から逃げ出したい2人はホンマに逃げ出した。
それって駆け落ちって事ですか?そう言うたら格好ええけど駅まで行ってそこで終わりや。
けど…。
俺が大人やったらアキの夢かなえられるようにしたれんのに。
(亜貴子)ものすごううれしかった。
うちのために泣いてくれる人が世の中に一人だけはおるんやて。
それからは覚悟決めてうちは村井の家に入って。
悠ちゃんは家に戻って。
特別な事は何もなかった。
相談事が出来たら話しに行くようなつきあいや。
亜貴子さんはずっと悠太郎さんを好きやったって事ですか?あのなぁうちにも我慢の限界があるんやけど。
えっ?あなたに権利振りかざされてこっちは話したくもない事延々話させられてるんやけど。
いやだって私は…。
悠ちゃんの奥さんやから?うちはあなたに何から何まで答えなあかんの?そういうつもりは…。
うちからしたら後から来て横取りしてったんはそっちなんやで。
この世でたった一人の心許せる相手を後から来て持ってったんはあなたなの!め以子…どうだった?邪魔者は私やった…。
うわ〜潰れてもうたんか。
(亜貴子)悠ちゃん?カレー食べに来たん?ああ。
ここやんな。
昔来てた。
せや。
うちで食べる?・
(泰介)お母ちゃ〜ん!ほなここ置いとくからな。
お母ちゃんの大好きな具のおむすび。

(ふ久)鶏みそや。
お母ちゃ〜ん!鶏みそのおむすびやで!
(亜貴子)はい。
おいしい?うん…。
おいしいけどちょっとあっさりめやな。
そこの写真光男さん?アキどないしたんや?ごめん…ごめんな。
誰かとこうやって家で御飯食べるなんて二度とないと思ってたから。

(泰介)食べてる。
お母ちゃんのおむすび無くなってた。
そうか。
ほな食べたんやな。
とりあえずよかったよかった。
けどお母ちゃんの具合ってあれで治るん?泰ちゃんは心配せんでええからほらしっかり食べ。
(トラ)
具合が悪いって嘘だよねえ
泰おばちゃんどうや?どうもならん。
そろそろおばちゃんのおやつ食べたいんやけど。
食べたいなあ。
ほらまる屋のちょぼ焼きやで。
お母ちゃんのしょぼ焼きがええ!・
(泰介)ただいま戻りました〜!・
(子どもたち)こんにちは〜!泰ちゃん今日はあかんで。
(子どもたち)2階2階!泰ちゃん!私なんていない方が…。

(泰介)お母ちゃん!・
(次雄)おばちゃんおやつ!・
(一也)いつまで待ったらええねん!お母ちゃんのしょぼ焼きが食べたいねん!かっちゃん…。
しょ〜ぼ!
(子どもたち)しょ〜ぼ!しょぼしょぼしょぼ焼き!・
(静)残りもんの!・
(子どもたち)しょぼ焼き!始末の料理や!
(子どもたち)しょぼ焼き!死ぬほどしょぼくれとるで!
(子どもたち)やった〜!しょぼ焼きや!しょぼ焼き!おばちゃんしょぼ焼きメッチャうまい!お母ちゃんしょぼ焼きメッチャうまいわ!おばちゃんホンマたまらん!おばちゃんもうないで!あんたら飲んでるやろ。
かんで食べ!
(子どもたち)しょぼしょぼしょぼ焼き!しょぼしょぼしょぼ焼き!
(静)あんたホンマどうするつもりなん?これから。
悠太郎さん迎えに行くか?一緒に行ったろか?待ちます。
気持ちは縛れへんから。
悠太郎さんの気持ちに任せます。
けど何があっても私はここから出ていきませんけどええですか?いやいやいや…あんたは出てったらあかん。
あかんえ?め以子。
悠太郎…。
どこにいはったんですか?詰め所にいました。
亜貴子さんとこには…。
一度だけ行きました。
カレーをごちそうになって結果的に言うと振られました。
振られた?光男さんな…。
ええ人言うたら聞こえはええけど生きてはるのに死んでるみたいやて…。
最期も穏やかでね。
「自由に生きや」ていまわの際に言いはった。
ああず〜っと知ってはったんやなって。
しんどかったろうなって。
うち悠ちゃんとずっとこうなったらええなって思てた。
これがうちの夢やと思てた。
けど…今は…何でここにおるんは光男さんやないんやろて思てる。
ごめん…。
それ…ホンマに振られただけやないですか。
振られたから戻ってきただけやないですか。
しゃあないやないですか。
僕の戻るとこはここしかないんですから。
アキのカレーはそれなりにおいしかったですけど僕には無理です。
あなたのカレーがある限りよそのカレーを心からうまいと言うのは僕には無理なんです。
どんなカレーを食べてもあなたのカレーを思い出してまうんです。
あなたの所に戻ってきてしまうんです。
せやからもう二度と追い出すとか無駄な事せんとって下さい。
いつか亜貴子さんには感謝できるくらいにはなりたいな思ってる。
感謝?亜貴子さんと出会わなかったら悠太郎さんは今の悠太郎さんやなかったかもしれん。
せやから下ごしらえしてくれはったんやって思えるようになりたいなって。
ほうか。
今はまだ無理やけどね。
・ただいま戻りました。
あっお帰りなさい。
(竹元)失礼する!
(竹元)無限の広がり。
心が震えるようだ。
カレーの女神だ!奥!ありがとうございます。
おいこいつが死んだら私がもらってやってもいいぞ奥。
はあ!?お父さん食べてばっかりやのうて何か言おうや。
うん?お代わり。
お代わり!わしも!はい。
(め以子)お父さん!大丈夫ですか?お父さん!大丈夫ですか!?・「突然偶然それとも必然?」・「始まりは気付かぬうちに」・「予報通りいかない模様」・「そんな時こそ微笑みを」
(医者)次に発作が起きた時は覚悟をした方がええかもしれませんけれども。
(静)次の発作てどのくらいで?3日後かもしれんし3年後かもしれんしな。
食事とか何か気を付けた方がええ事とかありますか?しっかり機嫌よう食べられるんが一番ですわな。
(正蔵)ふ〜っ。
(正蔵)うん。
何か食べたいもんとかあります?うん?いや別にあらへん…。
何?
(静)前の奥さんのお料理なん?正直に言い。
怒らへんから。
言うて!柿の葉ずしってあの柿の葉っぱで巻いてあるおすし。
亡うなった奥さんがな季節になったら樽いっぱいに作ってそれ持ってみんなで行楽に出たりしとってんて。
(トラ)
塩しておいたサバを酢に漬け込んで…。
昆布で挟んで寝かせる。
酢飯を作って…握って柿の葉でネタと一緒にくるんで。
おもしをして…
一日置く。
はい。
きれいなあ。
どうですか?おいしいなあ。
うんまあこんなもんや。
こんなもん?こんなもんこんなもん。
それからもめ以子は試行錯誤を重ねてみましたが…
難しい!
そこでめ以子は意を決して和枝を訪ねる事にしました
あ…あの。
ちょっとお伺いしたいんですけど。
(和枝)何?やる事ぎょうさんおますさかい手短にお願いできまっか?お父さんが倒れられてですね。
えっ?次の発作が起きたらあかんって言われてて。
それでその…お母様のお得意であられたと聞き及びましたる…柿の葉ずしをですね…私にご教授頂けないかと参上つかまつった次第でございまして。
あ…お姉さん?はっはっはっ。
お…お姉さん…。
どんだけ面の皮が厚いとそないな口きけるんか思いましてなあ。
何でわての大事なお母ちゃんのお料理をあんな父親に今更食べさせてやらなあかんの?いやそこを何とか…。
はあ〜伸びる伸びる伸びる〜。

(希子)ただいま戻りました。
お帰り。
突然お邪魔して申し訳ありません。
会社の方?川久保啓司と申します。
技術を担当しております。
お嬢さんを頂けませんでしょうか?いや…。
え…。
(希子)祝言はこの家で挙げたいんよ。
手順とかしきたりとかいろいろあるんでしょうね。
(悠太郎)あっこの際予行演習でざっと挙げてみます?駄目です。
挙げないって決めたんですから。
はい…。
お父さん。
(正蔵)へえ。
西門家の祝言のしきたりとかお料理とか教えてもらえます?お姉さんみたいにやりたいんです。
和枝みたいに?お姉さんがここにいはったらきっとこうやりはったそういうふうに希子ちゃんを送り出してあげたいんです。
そうか。
お願いします。
魚の粕漬けがあったな。
その時の魚に何を選ぶかによって御寮人さんの才覚が問われるちゅうやっちゃ。
才覚!?言わんかったらよかった。
才覚…。
返事はお伝えした思いますけど?お姉ちゃんからしたらお父さんに文句言いたい事山ほどあると思うけど。
やっぱり最後は気持ちよう親孝行したい思わへん?兄弟姉妹そろたとこ見せてあげたい思わへん?畳の上で死ねるだけでもあの人にしたら上出来なんちゃうか?雲の上のお母ちゃんもうちらそろてるとこ見たら安心しはるんちゃうやろか。
大人になりはったなぁあんさん。
えらい事世慣れたやり口だすなあ。
どないしてもわてに出てほしい言うんやったらちい姉ちゃん追い出してもらえまっか?お料理でバタバタしてる思うし私は別にええですよ。
それはないで。
せやのうてもあんた和枝ちゃんにいらん義理立てして祝言もせんで。
これ以上遠慮する事何もない。
ホンマに別に…。
(希子)そうしてもろてええ?あんたようそんなむごい事言うな。
やっぱりお姉ちゃんに出てもらいたいんです。
お姉ちゃんはうちにとってお母さんでもあったんです。
ええよ。
そうしよう。
(希子)「当日ちい姉ちゃんには台所に入ってもらう事になりましたので」。
(倉田)無理が通ったら通ったでやりにくいもんやろ?あの柿いつもこうなんか?ああ。
今年だけ何でか葉ぁ落ちへんのですわ。
ほなこうしましょか?「柿の葉が当日まで残っていたら出席します」。
倉田さんちょっと待っててもらえますか?えっ?今返事書いてきますから。
郵便でやってもらえんかいな。
一日仕事やで。
けれどその後和枝からは返事は来ず…
祝言の日となりました
・お邪魔しま〜す!はい。
お届けもんで〜す。
ああありがとうございます。
えっ?お姉さん…。
希子ちゃん!お姉ちゃん…。
柿の葉落ちんかったからな。
お母ちゃんの名代や。
(桜子)め以子。
んっ何?
(桜子)希子ちゃんが呼んでる。
えっ?ちょっ…まだ着てないの?ちょっと桜子。
希子ちゃんは?し〜っ。
実は一つ皆様にお願いがございます。
兄と姉の祝言を挙げさせて頂きたいと思います。
(希子)お姉ちゃん話聞いて。
だまし討ちにも程がありますやろ!わてらはあんたの頼みやからのめんもんものんでここへ来たんや!それをようも…。
(希子)話聞いて!ちい姉ちゃんね今まで祝言やらへんかったの。
お姉ちゃんに認めてもらわれへん祝言なんて意味ないと思てはるからや。
うちねちい姉ちゃんが来るまで何もでけへんあかんたれやった。
でも…ちい姉ちゃんが来てうちにもええとこあるよって教えてくれた。
そっから言いたい事も少しずつ言えるようになってそっからはもうとんとん拍子で。
うちはちい姉ちゃんに人生をもろたんです。
うちはお姉ちゃんに育ててもろうてちい姉ちゃんに人生をもろた。
2人とも大好きやからお姉ちゃんにちい姉ちゃんの事認めてもらいたい。
その姿をお父さんに見せてあげたいの。
(冨美)希子そらないで。
(満子)うちらまるで悪者みたいやんか。
(希子)ずるいと思てます。
でも…これだけはお願いします。
(志おり)ちょっとやめてえな。
お願いします。
何や頭下げる方が気の毒な気ぃすんねんけど…。
わてはもう口出す立場でもおまへんさかい。
好きにやっておくれやす。
(希子)お姉ちゃんおおきに。
行儀悪いで。
やめておくんなはれ。
(希子)おおきに!
(源太)でかっ!
(タネ)通れるんかいな。
「馬子にも衣装」やな。
きれいやな。
(はなをすする音)お父ちゃん…。
(大五)何年越しだよ。
(イク)め以子きれいだよ。
柄ばかり大きな2人が一緒になってもう9年になります。
お恥ずかしい騒動も多くその度に皆様にご迷惑をかけ教えられそして支えられてまいりました。
今日のこのよき日もまた僕たちの力では到底迎えられませんでした。
これは皆様からのごちそうやと心からそう思てます。
最高の心尽くしに感謝の言葉に代えまして…。
(2人)ごちそうさんです。
(3人)ごちそうさんです!
(拍手)ちょちょちょ…あんさん!何なんだすこのお膳は。
何なんでっかこの雑魚は?ちっちゃいけど鯛とかもあるんですよ。
雑魚は雑魚でっしゃろ。
大事なんは肩書や名前やなくておいしいかどうかやって。
大事な事見失わないでって希子ちゃんに伝えたくて。
あんさんはわてをいらだたせるために生まれたようなお人だすな。
おいしくなかったですか?普通。
ありがとうございました。
あのなぁこれからはMrsキャベジの料理手本にするとええ思うわ。
え?あれはうちの長患いの年寄りにも食べやすう作ってあるさかい。
えっえ〜!?
(足音)Mrsキャベジってお姉ちゃんやったんですか?まあわての方が分が悪い状態で採用数は倍ですわ。
ほな倍倍。
これたまらんなあ。
うまいやろう?なあ?夢みたいな一日やったなあええ?2人の祝言見られてそこに和枝までおって。
柿の葉ずしまでついてきた。
ホンマにお…。
(ぶつかる音)
(静)ちょっとあんさんどないしたん?お父さん?おじいちゃん?医者呼んでくる。
大丈夫ですか?
(静)どないしたん?
(泰介)おじいちゃんどうなんの?
(静)寝てるだけや。
希子ちゃん。
Mrsキャベジのお料理が載ってる台本写させてもらえへんかな?
その日から西門家の女たちは正蔵のために動き出しました。
それぞれができる事を
・「チョイト私が気を紅葉」
(泰介)おじいちゃん。
おっ。
何や泰ちゃん。
これ。
これ見て。
え?100点満点や。
ようやったなあ。
(活男)おじいちゃん干し柿出来たで!干し柿!よう出来たよう出来た。
(ふ久)お母ちゃん一緒に食べる。
えっ?おお?何やいな。
ふ久が一緒に食べたい言うて。
なっ?へえ〜へえ〜…。
ああ〜何や懐かしい味やな。
それお姉さんが考えたおついなんです。
ほう道理で。
じいちゃんも頑張らんとあかんな。
(竹元)おい。
いらしてたんですか。
(竹元)おやじさん倒れたらしいな。
お父上をここにお招きしろ。
何でですか?ずうたいばかりでかい息子がきちんとやってるかどうか心配されていた。
ほな行ってきます。
(正蔵)行ってきます。
行ってらっしゃい。
複雑やありませんか?うん?地下鉄の開発かて銅山と似たようなところありますし。
どっちへ転ぶや分からんからこそ開発やら技術なんちゅうもんの裏には良心が貼り付いててほしいと思うんや。
むしろ技術ってなもんは技術でしか救えんもんやろうとそう思てる。
期待してるえ。
気ぃ付けて下さいね。
天井がもう高うて丸うなってんのや。
そこにエスカレーターってなもんがつくらしいで。
張り切って。
大丈夫かいな。
あんなもん見せてもうたら地下鉄乗るまではもう死んでも死にきれん気分になる。
お父さんどうぞ。
ああおおきにおおきに。
これ何やいろいろ入ってるな。
どうですか?聞かんでもええんちゃう?ここんとこず〜っとええ事ばっかりや。
悪い事もぎょうさんあったからとんとんやな。
ハハッせやな。
ええ事も悪い事も腹いっぱいなお人やね。
ごちそうさんな人生やな。
おはよう。
お母ちゃん。
うん?おじいちゃんまだ寝てる。
お父さん。
お父さん。
朝御飯何やったん?白和えとお漬物とあと…酒昆布のおついです。
ゆんべな…。
今日おいしかったな。
明日何やろな?何やろねえ。
(笑い声)希子ちゃんええ祝言見せてくれておおきに。
悠太郎さんどえらいもん見せてくれておおきに。
め以子はん毎日毎日御飯ホンマにおおきに。
みんなのおかげでおなかいっぱいで逝きはった。
ごちそうさんやて逝きはった。
大往生やった。
おおきにな…。
ありがとうございます。
最高の送り方してもろた気がします。
明日の御飯考えながら逝ったなんて。
僕の時もそうして下さいね。
嫌ですねえ。
私より長生きして下さいよ。
自信ないですね。
あなた長生きしそうですから。
2014/12/23(火) 13:05〜15:09
NHK総合1・神戸
も一度まんぷく!「ごちそうさん」ダイジェスト一挙放送! 第11週〜第16週[字]

め以子と悠太郎が帰ってきた!連続テレビ小説「ごちそうさん」を第11週から第16週までダイジェストでお送りします。め以子、3人の母に。そして、涙の祝言。

詳細情報
番組内容
め以子(杏)の妊娠。そして3人の母に。悠太郎(東出昌大)は地下鉄建設に関わる。長女・ふ久(原見朋花)は小学校でボヤ騒ぎなど事件を起こして停学に。工事現場でけがをした悠太郎は、病院で亜貴子(加藤あい)と再会。寝言で亜貴子を呼んだ悠太郎に怒りが爆発。時は過ぎ、希子(高畑充希)と川久保(茂山逸平)の祝言を家であげることに。希子の発言に、一同は仰天。
出演者
【出演】杏、東出昌大、キムラ緑子、高畑充希、和田正人、前田亜季、山中崇、ムロツヨシ、吉行和子、宮崎美子、近藤正臣 ほか
原作・脚本
【作】森下佳子
キーワード1
連続テレビ小説
キーワード2
ごちそうさん

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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