NHK高校講座 国語表現「発信する言葉・投書」 2014.12.23


あんた何これ!?こんにちは中江有里です。
今日のテーマは投書です。
投書という言葉槙尾さん聞いた事あります?投書…そうですね。
いろんな所で見聞きする言葉ですよね。
投書箱とか投書コーナーとか。
ああそうですね。
投書は意見や要望苦情などを文章にして訴えたい相手に送る文章の事なんですけどね。
スーパーでよく見ますよね意見箱とか。
あとは番組に寄せられる意見みたいなのもある…。
はい参考にしておりますね。
ところで岩崎さんはどちらに?いや…。
あれ?何かまた変な事やってますよ。
「スマホのながら歩きまじでやめろ。
危険すぎる。
やってるやつは人間じゃない」。
え〜そこまで…。
「親の顔が見てみたい。
ね」。
(槙尾)は?何最後の「ね」って。
(岩崎)これをこうして…。
(槙尾)うん?何か折ってますけど。
待ってろよ〜。
届け〜。
届かない…。
何やってんの?
(岩崎)いやちょっと何か最近ね「これどうなの?」っていう俺の中でちょっと引っ掛かる事があったからもう新聞に投書しようと思って。
新聞に投書欄ってあるでしょ。
あそこに出せばいろんな人の目に触れるしまあこれからもっと俺世の中をよくする側に回っていこうと思って。
何言ってんの?確かに投書は投げるって書くけど本当に投げてどうすんのよ。
届く訳ないわよそんなの。
固まってますけど。
まあでもね岩崎さんみたいにね日常生活の中で感じた問題ですとかそれだけじゃなくて感動した事とか発見した事っていうのをね自分の中でとどめておくのってもったいないですよね。
今日はですね新聞に載る事を目指してみんなも投書を書けるようになりましょう。
新聞の投書は自分の考えを社会に発信できる方法の一つです。
今日の講師は青嶋先生です。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
ではね実際に新聞に掲載された投書を見てみましょう。
こちら。
はい。
これは高校生が書いた投書です。
「他人を注意できない日本人」というタイトルで起承転結の構成でまとめています。
まず起で「通学中の電車内でのことだった」と自分の体験で始め承では「乗客が誰も音漏れを注意しなかった」とその出来事を詳しく描写します。
そして転では話題を社会一般に広げながら他人を注意しない理由を考察し結で「どんな理由でも注意をしないのはほめられたことではない」と自分の主張を述べます。
通学中に感じた疑問が主張につながりそれを社会に投げかけています。
投書にはこうした主張を論理的に述べるタイプのほかに身近な出来事についての素直な気持ちを伝えるタイプもあります。
身近な人への感謝をつづったものや日本文化を大切にしようと呼びかけるものなど幅広いテーマで書く事ができます。
ですから自分が心から感じた事思った事を投書すればいいんですかね。
多くの人に読んでもらう事を意識して最低限のルールに気を付けたら自由に書いて結構です。
ふ〜ん。
その最低限のルールって何なんですか?はい。
まず字数制限です。
大体400字前後です。
読みやすくするためにも一文を短くして文のねじれにも気を付けましょう。
文章の書き方は小論文でみんなたくさん勉強したから大丈夫だよな。
(瑞生)はい。
大丈夫ですか?ただ小論文と少し違って投書はもっと広い公の場に言葉を投げかける行為です。
書き方には注意しましょう。
論理的には正しい事を言っても誹謗中傷になってしまったり読む人を不快にさせたりするのはよくないです。
じゃああんたのさっき書いてたやつあれやっぱり新聞には絶対掲載できないわね。
ああ大丈夫大丈夫。
もう俺あの投書既に新聞5紙ぐらいにもう投稿したから。
どっかからは採用されるでしょ。
いやいやいや岩崎さん。
同じ投書をいろんな所に送るのはルール違反なんですよ。
そうですよね先生。
はいそうなんです。
これは二重投稿といって投書に限らず小説でも音楽でも作品公募の共通のルールです。
未発表の作品である事が原則です。
気を付けて下さい。
気を付けて下さい。
あ…あ…はい。
新聞に掲載される投書はどのように選ばれているのでしょう。
東京都内の新聞社を訪ねました。
(4人)こんにちは。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
投書欄の編集を担当している鈴木さんに案内してもらいます。
こちらの新聞社は首都圏を中心におよそ50万部を発行しています。
そしてここが投書欄の担当部署。
ここに紙がば〜っと並んでおりますけども実はこれが投書そのもので。
ひとつきでおよそ1,000通の投書が送られてきます。
そのうち紙面に掲載されるのは一日6本。
なかなか狭き門ですね。
何人ぐらいで読んだりするんですか?現在は3人。
編集者が3人で読んでます。
で全員が目を通します。
要するにAさんが読んだものはBさんが読まないんじゃなくてみんなが同じ原稿に目を通します。
一番大切にしているのは意見の多様性。
さまざまな考えの投書を偏りなく選びます。
毎日投書に目を通して掲載するものを決め推敲するのが鈴木さんたち編集者の仕事です。
内容は変えずに字数を調整したり言葉の間違いを直したりします。
どんな投書が編集者の目に留まるのでしょうか。
(茉愛羅)最近読んだ若者の投書で面白かったものはありますか?はいえ〜っといくつかあるんですけれどもとても印象に残ってるのがえ〜っと10月に載った中学生…14歳の女子中学生からの投書だったんですけども…。
この投書の作者はノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの訴えから世界には学校に行きたくても行けない子供がいると知りました。
そして15分の通学時間に不満を持っていた自分を反省したと書いています。
(鈴木)これは本当に短い原稿なんですけれども見たり聞いたりしたニュースでふと自分がいつも考えてる事を反省してそれをすごく素直に自然に書いているというところが読んでてすごく感動しまして。
「私もそう思う」とか続々とそれに続くような投稿も来たりして…。
(圭祐)何か僕は10代でやっぱり60代70代の方と比べたらあんまり知識とかもないだろうし経験も少ないと思うんですけど…。
あの〜世界政治の事を書かなくちゃいけないとか環境問題を書かなくちゃいけないとかいう制約は全くなくて自分の身の回りの事を書けばそれが立派な投書たりうると思いますしそれを実はほかの世代上の世代が読んだ時になるほどこういうふうに10代は考えてるんだっていうふうにとても新鮮な感じで捉える事が多いと思うのでいずれにしてもそこで自分とは何かとかえ〜人間とは何かとか学校とは何なのかとか自分の家族って何なのか友人は何なのかっていうふうに考える事。
考える事が投書という文章を書く出発点になると思います。
ですから是非考えて頂きたいと思います。
具体的なアドバイスを聞いた4人。
さてこれを演習に生かせるかな?瑞生のばか!さよなら。
えっちょっ…えっ…。
(泣き声)「袖を絞る」。
(泣き声)
(理乃)言葉の…。
(一同)言葉のプロに聞いてみよう。
ジャーナリスト…通信社の記者を経て現在はテレビやラジオなどさまざまなメディアで活動しています。
今回は社会へ発信する時に心掛けている事を聞きました。
あの〜ご自身が取材された事をもちろん執筆される。
それを不特定多数の方に読んでもらうっていう時に非常に書く時に大事にされてる事っていうのがあると思うんですけどどういう事でしょうか。
書く時に大事にしてる事…。
う〜ん。
ご自身の書いたものを何回も読み返す。
そう。
何回も読み返す。
つまり自分の文章がきちんと…そのためには本当繰り返し繰り返し読む。
大丈夫だろうか。
これで誤解与えないだろうか。
それから伝わるだろうかっていうのを何回もやりますよね。
だから読み返すっていうのが一番いいんじゃないですか文章の訓練としては。
なるほど。
うん。
あの〜青木さんはジャーナリストとしてさまざまな現場で取材されていると思うんですけど原動力になるものっていうのは何なんでしょうか。
難しいですねそれもね。
あの〜まあはっきり言えば…この事件実はこういうふうに伝えられてるけれども実際はどうなんだろうとかあの政治家の人はこういう事言ってるけれど本音ではどう思ってるんだろうとかっていう好奇心っていうのが一番だけれどもただねこんな言葉もあるんですよね。
…っていう言葉があるんですよね。
歴史のデッサンをする人。
デッサン。
つまり記者たちが取材をしてきちんと記録を残していく。
でその記録に基づいて後の世の人たち研究者の人とかそれから学者の人とかあるいは社会の人たちがあの時にこういう事があったんだっていう事を知れる。
記録残さないと結局なくなってっちゃう訳ですよね。
で記者が取材しないと出てこないという記録ってのもたくさんある訳ですよね。
ありますね。
だから最初に取材をする人たちがどんな思いでどんなその〜何て言うのかな目的を持って取材をして事実を報じたかによって後の世に残っていく記録ってのはまた変わっていく訳ですよね。
だからその最初の部分の所を描くっていう事で歴史のデッサンをする人。
時には間違えますよね最初に取材するから。
後でそういうのは訂正しなくちゃいけないんですけれどまあでも間違えるんだけれどもでもそうやって……っていう仕事はやりがいもあるし何かすごく面白いですよね。
なるほど。
うん。
自分の考えを社会に発信する投書。
生徒のみんなはどんな事を書いたのでしょうか。
では皆さんの投書を発表してもらいましょう。
じゃあ圭祐君に発表してもらいましょう。
はい。
圭祐君の投書は前半部分で公の場で子供をどなりつける親に異議を唱えています。
後半ではどなる原因は周りの目を気にしているからとして気にし過ぎない事が大切であると主張しています。
結論はタイトルにもあるように人と人はお互いさまなので平常心を持って相手を許容し信頼すべきと訴えています。
自分の身近なね見た光景っていう経験を大きなテーマとして「社会で許容し信頼する」っていうね。
(槙尾)確かに大きなテーマに発展しましたよね。
圭祐君の一番いいところはやっぱり冒頭にあると思います。
短い文章でその場がイメージできるように書いています。
読者の頭の中がその場の情景がすごく浮かぶんですね。
そこが一番の魅力だと思います。
後半はちょっとテーマに近づけようとして無理があるのでそこが整理できるととてもいい文章になるんじゃないでしょうか。
次は瑞生君の投書です。
瑞生君は電車の席の譲り方について自分の2つの体験を基に書いています。
席を譲ろうと声をかけたら断られた体験と声をかけずに席を立った結果ほかの人に座られてしまった体験です。
結論では若者だけでなくお年寄りも席を譲りやすい状況を作るべきだと訴えています。
瑞生君が席を譲りたいっていうねその気持ちが非常に伝わってきましたよね。
恥ずかしい思いをしたからもう譲らないではなくてでも譲りたいのはどうしたらいいんだっていう事の問いかけですよね。
そうですね。
最初の体験それから2つ目の体験この2つの体験によって引き裂かれているところがあってそこからどうしようかっていうところへ結論を持っていこうとしているところここに力強さがあると思うんですね。
電車の中っていうのはやはり我々にとって一番身近な公共な場ですからいろんな問題があるのでそれを探っていくっていう事はとても大事だと思います。
皆さんの素直な考えが聞けて私はとても面白かったなと思うんですけれど先生総合的にいかがでしたか?皆さん本当に自分の体験を基にして訴えているのでとてもいい投書だと思います。
高校生がいろんな事考えてると思うんですけれどでもそれを言葉に出さなければ消えてなくなってしまいます。
だから自分の言いたい事を新聞へ出してみる。
もしかしたら君たちが結婚して子供ができた時にその投書を読むかもしれない。
そういうふうに投書というのは広がりを持つ。
そういうものだと思うんです。
是非誰かに向けて自分の考えを発信してほしいと思います。
かもめんたるのお二人いかがですか?うん何かみんな本当ちゃんと文章がしっかりしててびっくりしましたね。
うまくなってるわね文章の書き方ね。
ね!みんなの成長が見れてうれしかったわ。
僕もいつも以上にみんなの気持ちとか考えてる事が分かって今までみんなはただ食べて寝て若さを貪ってるだけのやつらだと思ってたから君たちが今回書いた投書は少なくとも僕の胸には刺さったよ。
では岩崎さん例のものをお願いします。
これでみんなも投書の達人じゃ〜。
あと投書する時は紙飛行機で送んないでちゃんとポストに入れるんだ。
当たり前でしょそんなの。
あんたじゃないんだからみんな分かってるわよ。
バイバ〜イ。
(4人)バイバ〜イ。
新聞を開いていろいろな投書を読んでみましょう。
自分がどんな世界に生きていてどこに問題があるのか。
自分と社会とのつながりが見えてきます。
投書は公の場にことばを投げかける行為です。
いつでも読み手を意識して書きましょう。
(礼央)僕たちはいつのころからか「それ」を曖昧にしてきた。
2014/12/23(火) 14:10〜14:30
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 国語表現「発信する言葉・投書」[字]

読む、書く、聞く、話す。あらゆる教科で必要な表現の基礎力を養います。ユニークな演習や様々な分野で活躍する表現の達人へのインタビューで、表現のコツを学びます。

詳細情報
番組内容
小論文や手紙などでは読み手があらかじめ決まっているが、表現のなかには不特定多数にあてて自分の意見を表明するものがある。投書がその一つだ。投書と小論文の違いはなんだろうか、また投書を書くときにはどのようなことに気をつけなければならないかをを学ぶ。【出演】中江有里、かもめんたる、青嶋康文(都立南多摩中等教育学校) 【ゲスト】青木理(ジャーナリスト)
出演者
【講師】都立南多摩中等教育学校…青嶋康文,【ゲスト】青木理,【出演】モーガン茉愛羅,大野瑞生,佐藤優津季,斉藤圭祐,【司会】中江有里,かもめんたる,【語り】田中杏沙

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趣味/教育 – 中学生・高校生
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バラエティ – その他

映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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