ハートネットTV「緊急報告 子宮頸がんワクチン接種後の障害」 2014.12.23


今年10月番組に一通のメールが届きました。
「子宮頸がんワクチンを打ってから体に異常が出ています」。
18歳の女性からの訴えです。
ワクチンの接種後頭痛や手足が動かなくなるなどさまざまな症状に悩まされているといいます。
国内で年間1万人程度が発症し…その原因となるウイルスの感染を予防する子宮頸がんワクチンが2009年に承認されました。
その後法律に基づいて公費で受けられる定期接種にもなりこれまで10代の女性を中心に…ところが…。
ワクチンの接種後けいれんや体の痛み運動障害など原因不明の症状を訴える人が相次いでいます。
こうした事態を受け国は去年6月積極的な接種の呼びかけを中止。
研究班を作り症状や因果関係を調べてきましたが詳しい原因は解明されていません。
治療法や支援体制が整わない中深刻な症状に苦しむ少女たち。
彼女たちの現状から今何が求められているのか考えます。
こんばんは。
「ハートネットTV」。
若い女性がかかるがんとして乳がんに次いで多いのが子宮頸がんです。
その原因となるウイルスの感染を予防しようというのが子宮頸がんワクチンです。
WHO世界保健機関もこのワクチンは安全だとして接種を勧めています。
日本では2009年に国が承認。
これまでにおよそ340万人が接種してきました。
ところがこのワクチンを接種したあと体の痛みなどの症状を訴える患者が相次いでいるんです。
厚生労働省は去年6月接種の積極的な呼びかけを中止しました。
そんな中番組に一通のメールが届きました。
メールをくれたのは夢心さん18歳です。
子宮頸がんワクチンを接種したあとさまざまな症状に悩まされているといいます。
一体彼女たちに今何が起きているのか。
まずはこちらからご覧下さい。
番組にメールをくれた夢心さん高校3年生です。
3年前から3回にわたり子宮頸がんワクチンを接種しました。
去年9月ごろから左の手足にまひが出始め今は全く動かす事ができない状態です。
高校ではバスケットボール部に所属し日々練習に打ち込んでいた夢心さん。
徐々に体のまひが悪化しコートに立つ事も難しくなってしまいました。
いくつもの病院を回り検査を受けましたが原因は分かりませんでした。
症状が悪化する中夢心さんはインターネットでワクチン接種後の症状に関する情報を見つけます。
その後受診した大学病院でワクチン接種後の障害が疑われると診断されました。
治療やリハビリを続けていますが左手足のまひに加え頭痛や全身の痛みなど次々に出る症状に悩まされているといいます。
子宮頸がんワクチンの接種後原因不明の症状に悩まされているという女性が都内の医療機関にも相次いで訪れています。
ここは大丈夫?痛い。
痛い。
難病の研究に携わる西岡久寿樹医師です。
この一年余りでこうした患者50人以上を診察してきました。
診察の結果時間を追っていくつもの症状が出てくる事が分かってきたといいます。
西岡さんが診察した患者の一人吉川佳里さん中学3年生です。
おととしから去年にかけて3回ワクチンを接種。
その後全身の脱力体の痛みなどさまざまな症状に苦しんでいます。
ペンケース。
あ〜そう言うんだ。
筆箱とは言わないの。
両親と妹弟と暮らす佳里さん。
体調が安定しないためほとんど学校に通えず一日の大半を自宅で過ごしています。
幼い頃から活発で歌やダンスが大好きだった佳里さん。
これまで大きな病気やけがはした事がありませんでした。
そんな佳里さんに異変が起きたのは去年9月。
体育祭の練習中突然手が震え体に力が入らなくなり病院に運ばれました。
検査を受けましたが原因は不明。
退院したものの佳里さんの体にはさまざまな症状が現れるようになりました。
呼吸困難を訴え救急車で運ばれたり体が自分の意思と関係なく動いてしまう不随意運動も度々起こるようになりました。
症状は今も増え続けています。
23日に昔の写真とか見せたけどもう友達も…。
突然意識を失ってしまった佳里さん。
長い時には3時間以上意識が戻らない事もあるといいます。
日々変化する佳里さんの症状。
家族の生活にも大きな影響が出ています。
母親の智美さんは毎日佳里さんの体調やのんだ薬の副作用などを記録。
片ときも目が離せません。
(智美)ここまでが精神的なもの。
これまでに診察を受けたのは精神科小児科神経内科など…父親の勝好さんが仕事を休む事もしばしばです。
経済的な負担ものしかかります。
治療費や交通費車いすの購入費など…しかし医療費の支援など救済制度は受けられていません。
佳里さんと家族を更に苦しめている症状それは記憶障害です。
数字やひらがな漢字の読み書きもできなくなりました。
2か月ほど前からは両親の事も認識できない状態が続いています。
スタジオには取材に当たった野辺さやかディレクターです。
若いこれから社会に出る2人が苦しんでいたと。
本当にこれから先心配ですよね。
(野辺)はい。
今回取材した夢心さんは高校3年生佳里さんは中学3年生でしたが2人とも進路に不安を抱えていました。
夢心さんは小学校の頃から看護師になるのが夢だという事なんですが今の体の状態ではなかなか難しいという事で進学についても悩んでいました。
佳里さんも現状学校にほとんど通えていません。
記憶障害もかなり深刻な事から現状来年の春の進学は難しいような状況という事でした。
ワクチンを接種したあとに障害が現れていたんですけれどもこれはワクチンによるものなんでしょうか?因果関係についてはまだ分かっていません。
ワクチンの接種後まれに副反応が出るという事については一般的にも知られています。
今回も頭痛や発熱ですとか関節の痛みなどについては予想されていました。
ただしかし今回の取材した2人のように接種後しばらく時間がたってから症状が出たりですとか記憶障害や長期にわたる運動障害といった予想していなかった症状を訴える人が出てきています。
この事が今回議論になっているんです。
専門家の中でも意見が非常に分かれていて詳しい原因についても解明されていません。
同じような症状がワクチンをうたなくても出ていたかという事も分かっていないんです。
まだまだ分からない事が多い訳ですよね。
はい。
ただ子宮頸がんワクチンを接種してから発症しているという事は皆さん共通しています。
ワクチンを接種したあとに症状が出ているという事が共通だという事ですがでは今一体どれぐらいの人がこの症状に苦しんでいるんでしょうか?厚生労働省に副反応ではないかとして報告されている事例が今年の3月までの段階でおよそ2,500件あります。
この中には発熱や接種した場所への痛みだとか因果関係が明確でないものというのも含まれています。
その後専門家の間で検討がなされた結果ワクチンとの因果関係が否定できない広い範囲の痛みですとか運動障害を中心としたさまざまな症状というのが176例あるとされています。
しかし今回取材したお二人なんですけれどもこの報告の数の中にはまだ含まれていません。
176例には入っていないという事ですね。
そうです。
このような状況からも副反応と疑われる人の数というのはもっと多いのではないかと考えている人もいます。
そして先ほどの映像の最後の部分にもありました家族の皆さんの精神的そして経済的な負担も本当深刻だと思うんですよね。
原因が分からない中で多くの家族が病院を点々としているような状況のようです。
目の前で苦しんでいる娘さんに対してどうする事もできないつらさは想像を絶しますし家族自身が疲れてしまうというケースもあるようです。
親の方が参ってしまっている方というのも実際にいらっしゃいます。
こうした事態に国はどのような対応をとっているのか取材しました。
国は去年6月子宮頸がんワクチンの積極的な接種呼びかけを中止しました。
接種後体の異常を訴える人が相次いだからです。
その後症状とワクチン接種との因果関係を調査。
今年1月にまとめられた見解では「ワクチンそのものが原因ではなく接種の際の不安などの心理的な要因によって症状が出た可能性がある」としています。
現在国はさまざまな症状に総合的に対応できるよう診療体制の整備を進めるほか先月には症状に悩む人たちの相談窓口を作りました。
またワクチン接種後の症状に関する情報をより細かく集めこれまでに報告があったケースについても追跡調査をするとしています。
一方患者にとって大きな負担となっている医療費などは既にある薬や予防接種の副作用被害救済制度で対応するとしています。
患者の中には既に申請を出している人もいますがワクチンとの因果関係が認められていない症状については今のところ認定は難しい状況です。
そんな中独自で支援を始めた自治体があります。
横浜市では今年6月全国に先駆け医療支援を始めました。
市が実施した子宮頸がんワクチンの接種後日常生活に支障を来す症状がある人が対象です。
専門の医療機関などにかかった際の医療費更に交通費などを補助するための手当として…既におよそ60件の相談が寄せられているといいます。
さまざまな症状に回復の道はないのか。
医師や患者たちは手探りで治療を進めています。
神経内科が専門の平井利明医師です。
足の裏とか。
患者の多様な症状に合わせてさまざまな分野の薬を用いた治療を行っています。
これまでの経過でいくとこれがね11月の…。
この表は高校生の患者が母親と一緒に作っているものです。
表の下の部分にはのんだ薬を種類ごとに記録。
この時は7種類の薬を使っていました。
更にのんだ量とその後の心身の変化を細かく記録しています。
また不安症状やだるさなど日々変わる自分の体調を自ら10段階に分けチェックしています。
こうした記録を活用しながら治療に最適な薬を医師と共に模索しているのです。
こうした事態を受け先週日本医師会と医学会は専門家を招いてシンポジウムを開きました。
症状とワクチンとの因果関係については意見が分かれており結論は出ていません。
しかし因果関係や症状に関係なく治療を必要とする患者に対する医学的なガイドラインを今年度中にもまとめたいとしています。
因果関係も分からない。
そして治療方法も模索中だという事で国も医師も懸命に手探りで対応方法を考えようとしていましたが改めて今求められている事はどんな事なんでしょうか?まずは症状に苦しむ患者を助ける事が第一だと思います。
患者に寄り添いさまざまな症状に対応できる治療の体制を整えてほしいと思います。
またワクチン接種後の症状については専門家の間でもさまざまな見解がありますけれどもなるべく早く原因を明らかにしてほしいと思います。
また周囲の理解も重要だと思います。
今回取材した2人のように今回症状が出ている方多くが中学生高校生です。
彼女たち学校に通えていないような状況もありますので彼女たちの学校側の理解というのも不可欠なのではないかと思います。
本当にこういう患者さんを支援する仕組みというのはないんでしょうか?公的な薬の副作用救済制度というのがありまして昨日確認した段階で支給が決定していたのが18件ありました。
また横浜市先ほどありましたが横浜市のほかにもいくつかの自治体では独自の救済制度を打ち出しています。
そしてこの番組を見るなどして「もしかしたら私も」と思った方もいらっしゃるかもしれませんがその場合どうしたらいいんでしょうか?まずは接種した医療機関に相談してほしいと思います。
また厚生労働省では相談窓口を設けています。
協力医療機関ですとかそういった情報についてもホームページで紹介されていますので参考にしてほしいと思います。
また同じような症状が出ている患者さん当事者の会もあります。
こちらの方も参考になるのではないかと思います。
まずは…「私も娘がいるので見てて胸が潰れそうです」というような声。
「僕とほとんど同じ年。
同情しかできない」という声もありました。
それから「私も接種後高熱や腕のしびれなどの副作用がありました」というんですよね。
今回取材したのは若い方だけではなくて成人の女性でも被害が出ているという方もいました。
さまざまな方に症状が出ているようです。
そして「これ国がどうにかしなきゃ駄目でしょ絶対」という声だったり「メリットとデメリット両方しっかり説明する必要があるのではないでしょうか」。
こんな声も届いています。
たくさん意見が届きました。
ありがとうございました。
野辺さん今回取材してどんな事を一番感じましたか?原因が明らかにならない中でなかなか周囲からも理解されずに孤立してしまっている人もたくさんいます。
症状が出ている人たち彼女たちの声にまずはきちんと耳を傾ける必要があるのではないかと思いました。
2014/12/23(火) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV「緊急報告 子宮頸がんワクチン接種後の障害」[字][再]

これまで約340万人が接種した「子宮頸がんワクチン」。接種後、原因不明の体の痛みなどの症状を訴える患者が相次いでいる。当事者の現状、治療情報などを緊急報告する。

詳細情報
番組内容
子宮頸がんの予防効果を期待され2009年に日本でも承認された「子宮頸がんワクチン」。これまで10代の女性を中心に330万人以上が接種した。しかし接種後、体の痛みなどの症状を訴える患者が相次ぎ、専門家たちは独自に調査を開始。ワクチンの副反応の可能性がある症状が全国1000件以上にのぼることがわかってきた。これに対し国も追跡調査の実施を決定。こうした動きや当事者の現状、治療情報などを緊急報告する。
出演者
【出演】野辺さやか,【司会】山田賢治

ジャンル :
福祉 – 障害者
情報/ワイドショー – 健康・医療
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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