京都市の北三方を山に囲まれた里大原に暖かな日がさし始めた。
ようやく訪れた春の光に小さな命たちが輝いている。
大原にある築100年の古民家。
ここでたくさんのハーブや花を育てながら日々を暮らす人がいる。
彼女もまた春を心待ちにしていた。
イギリスから日本に来て39年。
この家と美しい自然に引かれ大原に住むベニシアさん。
14年前この大原の古民家に移り住んで以来家を直し庭を造る毎日。
温もりのある生活を送りたい。
必要なものは自分の手で作る暮らしをベニシアさんは何よりも大切にしている。
家の前の畑でもハーブや野菜を育てている。
きょうはスペアミントを収穫。
ミントはたまにヘアカットする方がいいのね。
しないとこの辺の葉っぱが落ちるから。
うんこんな感じね。
1年中とれるスペアミントは料理だけでなく床掃除にも便利。
去年考えたレシピですから結構簡単に出来るんだね。
材料はスペアミント。
ミントは殺菌作用の力があるから春のお掃除でとっても家中がミントの香りになるからうれしいです。
あと酢も入れます。
普通のせっけんのパウダー。
一番最初はスペアミントをここに入れて煎じるこうやって。
ミントの中のパワーを出すためにまずこのぐらい煎じる。
匂いしてますねミントが。
う〜んいい香り。
ちょっと茶色っぽいグリーンって感じ。
こします。
オッケー。
せっけん入れます。
で酢入れて。
あとは混ぜれば完成。
春の掃除。
イギリスはね冬はすごい暗くて春になるとだんだん日にちが急に長くなるのね。
そしたらお掃除やりたい。
窓開けて家の大掃除はスプリング・クリーニングって言うの。
スペアミントのせっけん水。
使う時は水で薄めて。
大原は春爛漫。
ポカポカ陽気に誘われて散歩に出かけることにした。
ここすごい!なんかよもぎの畑みたいな感じで。
これ全部よもぎ!新しい葉を出したよもぎを摘む。
緑っていう香りが…。
今一番食べる時期でおいしいでしょ。
季節という時の流れが与えてくれる自然の恵み。
感謝して頂く。
きょう採ったよもぎでパンケーキを作りたいと思ってます。
春の香りを楽しむおやつ。
息子も孫も家族はこのパンケーキが大好き。
きれいな緑。
水洗いしたよもぎを軽く茹であく抜きする。
茹でたよもぎを冷たい水に。
冷たい水にさらすとよもぎの色がきれいに出るという。
ちょっと水を切るのね。
で今度ミキサーに入れます。
牛乳も。
水切りしたよもぎを牛乳と一緒にミキサーにかけピューレ状にする。
パンケーキの種を作る。
そしたら小麦粉。
こっちはそば粉。
そば粉を入れるのは血の循環をきれいにするの。
その次はベーキングパウダーと塩ちょっとね。
と砂糖。
最後ちょっと卵。
全ての材料を入れたら軽く混ぜる。
でよもぎを入れます。
この時あまり混ぜすぎないのがふっくらと焼き上げるポイント。
すごいきれいなグリーン。
バターを溶かしたフライパンにおたまで種を上から落とすようにして小さめに焼く。
ホットケーキは日本語だね。
パンケーキかドロップスコーンって言うんですよ。
こっちはドロップスコーンって言うのね。
イギリスのおやつの定番ドロップスコーン。
ベニシアさんも子どもの頃おばあちゃんに作ってもらった。
クリームと…。
ちょっと和風にアレンジ。
粒あんとクリームを添える。
葉っぱは飾り。
よもぎの葉で飾り付け。
ほら出来ました。
よもぎのパンケーキ。
春の香りが口の中に広がる。
ジョー出来たよ。
午後のティータイム。
じゃ食べましょう。
いただきます。
ふだんはあまり野菜を食べないジョーくん。
でもこのパンケーキは大好き。
うん。
おいしい?うん。
春に成長する植物のようにたくさん食べて元気に育ってほしい。
煙るように降り続く雨。
ちょっぴり遅れてやってきた今年の梅雨。
本格的な夏がやってくる前にベニシアさん強い日ざしに備えてドクダミで化粧水を作る。
ドクダミ・アロエとゆずの種の化粧水ね。
まずホワイトリカーの中にアロエを入れます。
アロエはヨーロッパで有名な…クレオパトラが使っていた化粧水はアロエの化粧水で。
日焼けにもいいしあとしわを伸ばすのね。
そのぐらい入れてドクダミの葉っぱ入れます。
これの香りがすごくいいのね。
両方あったらもう絶対皮膚がツルツルになると思ってます。
ドクダミには皮膚の殺菌と新陳代謝を高める効果があるといわれている。
ドクダミを入れて最後ゆずの種も…秋になるとゆずジュース作るとかゆず氷を作るんで種はもったいないから焼酎に入れてるんですけど。
ネバネバになるから塗りやすくなりますからそれを入れようかなと思ってる。
ゆずの種に含まれてるペクチン。
これが肌の保湿効果を高めてくれる。
でちょっと混ぜます。
これは涼しい暗い場所にちょっと置いといて2か月ぐらいで出来るんですよ。
ほんでこういうゴールドの色になりますから。
最初はこの葉っぱが色が変わるからこれ全部こしますね。
でかわいい瓶があれば入れて毎日使ったらいいと思います。
使い方は通常の化粧水と同じようにコットンに染み込ませ肌に塗る。
みんなドクダミの香り嫌いという人結構多いんだけど化粧水作るとすごい甘い香りになる。
ヨーロッパのアロエと日本のドクダミ。
肌に良いと信じられてきた女性たちの知恵を合わせて使うのがベニシア流。
梅雨が終わると太陽が顔を出す。
真っ青な空に入道雲が立ちのぼる。
夏の大原は一面赤紫に染まっていく。
夫の正さんと大原を散歩するベニシアさん。
なんか風が来るときれいな…。
(正)うん。
こっち行く?
(正)うん。
向かったのは大原に越してきた頃から通っている二人の行きつけの食堂。
(2人)こんにちは。
いらっしゃいませ!家族で食堂を営む田口さん一家。
ここはベニシアさんが大原で一番好きな食堂。
おじいさんが畑で作った旬の野菜や米を使った料理は素材を生かした昔ながらの味。
どうも。
どうもありがとう。
うまそう!
(2人)いただきま〜す。
うん!本当のトマトの味。
(正)あそう。
うんうまい。
なんか味が濃いね。
おいしいって感じ。
フフフ…。
わっすごい。
この季節ベニシアさんが必ず頼むのが名物のシソゼリー。
すごい。
この色がすごいね。
うん。
おいしい!
(正)そう。
おいしそう。
これ作り方覚えたんだなぁ。
やってみようかな。
新鮮なシソを使って田口さんに教わったシソゼリーを作る。
今からシソゼリーを作ろうと思ってます。
何年も前からたんば茶屋で食べてるゼリーこの間習いました。
まずシソジュース作ります。
赤シソで作ります。
すごいきれいな色なのね。
じゃシソ入れます。
まずはシソジュースを作る要領で弱火で10分ほど煮る。
色が出るまで煮ます。
大体10分くらいです。
色素が染みだし赤から緑に早変わり。
はいオッケー。
じゃクエン酸。
わっきれいな色。
うん…すごいきれい。
きれいなピンクになってる。
これをこします。
1滴も無駄にしない。
これは近所のおばあちゃんに教わったこと。
こういうこと日本で習ったね。
イギリス人だったら絶対しないよねここまで。
はいオッケー。
それでこれ戻します。
で砂糖入れます。
中火にかけ砂糖を溶かせばシソジュースが完成。
シソジュースが出来ました。
そのまま飲んでも大丈夫です。
甘いおいしいジュース。
じゃゼラチンをここに入れて。
半分ここに戻します。
ゆっくり入れる。
半分に分けゼラチンを加えてからもう半分を入れる。
こうすると混ざりやすいという。
なんかジョーが喜ぶわ。
ゼラチンを溶かしたら容器に入れ冷蔵庫へ。
じゃ出来ました。
ちょっと冷やして蓋して冷蔵庫に入れます。
甘酸っぱくてさわやかなシソゼリーが完成。
暑い夏はこれで乗り切る。
山の木々もすっかりと色づいた京都大原。
風に舞う木の葉も黄金色。
朝晩ぐっと気温が下がるようになった。
家族みんなが体調を崩しませんように。
ベニシアさんを助けるのは庭に植えた150種を超えるハーブたちだ。
中でもセージはこの時期大活躍する。
今の時期うがい薬を作ったらちょうどいいのね。
風邪のウイルスと戦う力があるという感じのものですね。
今からセージとヤロウのうがい薬を作ろうと思ってます。
もうすぐ寒くなるしなんかよく私喉が痛くなるから。
簡単に出来ますから。
まず水を鍋に入れてセージ。
これはヨーロッパの一番…オールマイティーのハーブ。
一番強いハーブ。
とヤロウ。
日本語でノコギリソウ。
煎じます。
大体20分くらい。
セージは殺菌作用があって風邪も効きますから咳も効きますから。
これでうがいしたら本当に風邪ひけないのね。
ひいてるのかなぁと思った時すぐのんだら絶対大丈夫なの。
何回も経験したことあるんですけど。
ヤロウは最近入れている理由は歯茎の病気のためにいいハーブですから混ぜてます。
あっもう出来ました。
20分で…。
20分間沸騰させたらこす。
こんな色になってます。
セージにもヤロウにも殺菌効果があり風邪予防に最適のうがい薬が出来上がる。
出来上がり。
これを洗面所の近くに置いて自分がのみたい時に小さいコップに入れてのんでうがいしたらいいし。
大体3日間分あります。
ベニシアさんの庭のハーブ。
家族の健康も守っている。
大原に雪が降った。
夜半から降り始め朝が来てもやむ気配がない。
雪が降ったらじっとしていられない人もいる。
ベニシアさんの孫ジョーくん。
いくぜベイビー!滑るよ。
寒さをものともせず田んぼの土手でそり遊び。
ラジャー。
うゎ〜!いつだって子どもは遊びの天才。
冬の定番料理といえば鍋。
ハーブとトマトでベニシア流にアレンジ。
ちょっとヨーロッパ風の鍋を考えたのね。
それはトマトのスパゲッティのベース。
今スープ作るのね。
まずはスープ作りから。
オリーブオイルでみじん切りのにんにくを炒める。
サフランを湯で溶かして加える。
でイタリアンパセリの茎。
これ出汁のためにね。
塩コショウ。
イタリアンパセリの茎。
塩コショウ。
トマトピューレで味を調える。
ワインをちょっと入れて。
あまり最初からいっぱいワインを入れると酔っ払い。
やっぱり子どもが一緒に食べたら少しずつ入れる方がいいのね。
出汁がブクブクしたらこれ去年の夏に作ったバジリコを少し入れて出汁をとるためにハマグリかムール貝かアサリ。
何か貝類を入れて。
魚入れます。
悠仁がサーモンが好きだからサーモンとタラ。
まぁ皆さんの好きな魚でいいですから。
その上に野菜。
ここからはいつもの鍋の要領で白菜ネギしいたけトマトを入れる。
豆腐。
豆腐を入れてひと煮立ちさせる。
最後にハーブよね。
そしたら魚の近くにフェンネルを入れます。
フェンネルと魚は相性がいい。
おいしい一緒に食べると。
次はちょっとだけ。
悠仁あまり好きじゃないからコリアンダー。
悠仁くんは苦手。
でも正さんが大好きなコリアンダー。
入れる量が難しい。
ベニシアさんの庭でとれるフレッシュハーブをたっぷりと。
はい出来ました。
トマトハーブ鍋。
ベニシアさん特製トマトハーブ鍋が完成。
悠仁くんがおなかを空かせて待っている。
出来てる?うん。
食べたい?わっ!グツグツいってる。
コリアンダー入れたやろ?それはちょっとお父さんのため。
悠仁くんはコリアンダーが本当に苦手。
(悠仁)おいしそう。
いただきま〜す。
うん!おいしい?おいしい!よかった。
はい。
あんまりコリアンダーの味しないし。
よかった。
フフフ。
結構さっぱり味やな。
まぁでもうまい!いっぱい食べれそうね。
うどんの代わりに軽く茹でたスパゲッティを入れお好みでパルメザンチーズを振るのがベニシア流の締め。
うんおいしい。
「おいしいね!」。
家族がこう言ってくれた瞬間ベニシアさんの笑顔が輝く。
2014/12/23(火) 12:25〜12:55
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手「四季のハーブレシピ」[字][再]
京都・大原で自然とともに生活を送るベニシアさん。7年かけて作り上げた庭には季節ごとに様々なハーブが育つ。番組でとりあげた季節の代表的なハーブレシピを紹介する。
詳細情報
番組内容
京都の大原で、自然とともに生活を送るベニシアさん。7年間かけて造り上げた自宅の庭には、季節ごとにさまざまなハーブが育つ。旬のハーブを使い、できるだけ身の回りのものを手作りするのが、ベニシアさんの生活信条。番組では、これまでベニシアさんが作る数多くのハーブレシピを紹介してきた。今回は、そのなかから季節を代表するハーブレシピを、大原の自然の移り変わりとともに紹介する。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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