(め以子)銀次さ〜ん。
忙しそうですね。
(銀次)もうすぐ天神祭やからな。
天神祭のごちそういうたら何ちゅうてもハモや。
ハモ?ほら。
(銀次)ハモのごっつおう作って天神さんのお渡りを待つんや。
家族みんなでお獅子が回ってくるんを待つんや。
家族みんなで?おう。
・「突然偶然それとも必然?」・「始まりは気付かぬうちに」・「予報通りいかない模様」・「そんな時こそ微笑みを」
(希子)天神祭にお父さん…。
そう。
一緒におうちでお獅子待ちませんかって。
今日師匠にね話してみようと思って。
(静)あの人んとこ行くん?あっ…はい。
(静)ホンマなん?あの人家の事気にしてるって…。
ホントです!本音は戻ってきたいんだと思うんですよ。
お静さんって芸者さんだったのよね?
(希子)千代菊いうて若い頃はブロマイドも出回ったぐらい人気者の。
それをお父さんが入れ揚げてやめさせてあげくの果てにポイ。
さすがに恨むないう方が無理やと思います。
うん…。
師匠皆さんどうも。
しがらき作ってきました〜。
(正蔵)ああそうか。
お父さん!
(正蔵)えっ?天神さんの事なんですけど。
みんなで一緒に御飯食べませんか?えっ天神さんや!お父さん!
(姐さん)今日は何言うてもあかんと思うわ。
またにしとき。
(大村)5時や〜!今年も来た来た来ましたよ。
何仕事してんねん。
はよ片づけ。
行くど赤門!これから1週間天神祭のお手伝いに行くんや。
(和枝)あ〜あ。
何でわてはこう付きがおまへんのやろう。
(丁稚)だんさんだんさんこれ!
(倉田)和枝ちゃんこれ!
(丁稚)米冨紡績が暴騰や!ああ〜!
ついに和枝に付きが回ってきました
お帰りなさい皆さん…。
(室井)着きましたよ。
(悠太郎)気を付けて足元。
(室井)段差ありますよ。
はいはいよいしょ。
どうしたの?ネタ探しに酒場をウロウロしてたら偶然お静さんを見つけて。
西門のお静さんじゃないですか?駆け落ちしてきた人や。
どんな話してたの?う〜ん…ほとんどはお父さんの話かな。
責任感のせの字もない最低の男だって。
ああ〜帰りましょう。
ハモニカない?ハモニカ。
(室井)お静さんハモニカ来ましたけど。
こんなんとちゃう!
(室井)あ〜!すいません。
ああいいのいいの大した事ないし。
何なんだろうね?ハモニカって。
ハモニカ…。
ねえ源ちゃんハモニカって何かあるかな?楽器以外で。
(源太)肉のアバラんとこハモニカいう人もおるって聞いた事あるけど。
えっそうなの?
(トミ)けど魚でもあるんちゃうかな?あの…メカジキいう魚のな背びれんとこをそう呼ぶって聞いた事が。
これも魚もな食べてる格好がハモニカ吹いてるように見える〜って。
へえ〜!
(静)何これ?ハモニカですけど。
こういうのやめてくれるかいな。
酔うた時の事なんて蒸し返されとうないん分からんか!?頂きます。
(藤井)おう。
何ですか?お帰りなさい。
姉さんあいびきしとったんです。
(2人)ええ〜!?何や鳩が豆鉄砲食ろうたような顔して。
先生。
弟の悠太郎です。
安西真之介といいます。
初めまして。
京都帝大で経済いうの教えてはって株の事いろいろ教えてもうてんのや。
お静には内緒にしようと決めた3人ですが…
あんた男でけたやろ?何やあんたら知ってたん?ぼ…僕はたまたま見たんです。
いや…。
株式の事を教えてもうてるだけだす。
ふ〜ん。
まっせいぜいだまされんようにな。
(和枝)わてはちゃんと人見ますさかいに。
家族をほっぽらかして逃げるような男にだまされたりせんさかい安心しておくれやす。
うちはなあんたらの父親に頼み込まれてわざわざ芸妓やめてんで。
(和枝)ほな出ていかはったら?勝手に居座りはったんあんさんでっしゃろ!おお…お静さん。
お静さん落ち着いて下さい。
お静さん…。
(静)あんたはどない思てるん?私は何度も出てってやるって思いました。
芸者さんに戻るって事は考えたりしなかったんですか?ごちそうさん。
分かったよめいちゃん。
ハモニカはお菓子だ!お菓子?うん。
おタネさんが教えてくれたんだけどね昔天神祭の夜店で一時期出てたお菓子なんだって。
どんな?
(室井)白くてふわっふわで。
それが湯引きしたハモの形に見立ててあるんだって。
…でハモに似ているカン。
寒天の「カン」なのかな?語呂が悪いんでそれをみんなハモニカって呼んでたんだって。
知ってる知ってる。
ハモに似たこのくらいのお菓子や。
作り方とか何となく分かります?そら知らんな。
何で?お静さんが食べたがってる…かもしれなくて。
師匠はお静さんの事どう思ってるんですか?三味線はうまいし話はおもろいしそらまあ笑た顔がかいらしねん。
頼むさかい嫁に来ていうて拝み倒したんや。
奥さん亡くなってからまだ一年もたってへんのにあんた何を考えてはりますねん!けんもほろろ。
そうでしょうね。
そこでや。
「今日が最後やつきおうて」言うてお酒を…。
酔っ払うてしもて寝そうになってるお静さんの手ぇを取って一筆書かせたんや。
「一緒になります」て。
一筆取ったらこっちのもんや。
「これ見てみなはれあんたここに書いたやないか。
書いたやろう」言うて引かせたん。
お静さんの笑顔がかいらしかったって言いましたよね。
今はね目つり上がってますよ。
元はと言えば師匠のせいですからね!
(和枝)えっ何?
天神祭を家族みんなで過ごそうとするめ以子ですが…
わて明日おらんさかい。
えっ!?先生に案内してほしい言われてな。
帰ってこない?大村さんの手伝いで当日は市中引き回しになりました。
遅かったですねお静さん。
明日の打ち合わせしとってな。
えっ?出てみよかなぁ思て。
…えっ?お座敷。
そんな…天神祭はみんなでって。
ごめんなぁ間ぁ悪うて。
(トラ)
そしていよいよ天神祭と相成りました
(柏手)よう似合てるわ。
これおいしい!ほな行てきます。
行ってらっしゃいませ。
もしかしてうち出ていく事考えてたりしないですよね?お静さん!出ていくとか考えてないですよね!?あんたの言うとおりホンマは何べんも何べんも出ていこう思ててん。
けど…悔しいとか恨みとか惨めな思いに足引っ張られてズルズル8年もいてもうたんや。
言うてくれておおきに。
ホンマ嫌みとちゃうで。
希子ちゃんも出かけるの?買いもん行ってきます。
ちい姉ちゃんのハモ食べたいです。
2人でい〜っぱい食べましょうよ。
おむすび差し入れです。
ありがとう。
(希子)ただいま戻りました。
(室井)お邪魔しま〜す。
どうしたの?うま介も半ドンやしどうせなら一緒にお獅子待とうって。
ホントに?
(馬介)うんさすがめ以子ちゃんやな。
どなたか来てはんの?お姉さん先生案内してたんじゃ?家族でお獅子待つもんやって話したらそういうお祭りなら帰りはった方がええんちゃうかって。
どうもどうもその節は〜。
お姉さん出来たものつまみながらちょっと一杯やりましょうよ。
お履物脱いで脱いで。
室井さんって…すごい。
おいでやす。
(旦さん)いや〜千代菊。
よう来てくれた。
出発前に講元のひと言を頂戴する。
いよいよお獅子を送り出そうという時…差し入れのおむすびで大勢が腹痛を起こしたのです
傘踊りやってんか。
千代菊得意やったやろ?ええ。
いやっ。
何や切れてしもたんか?もう千代菊はおらんみたいですわ。
おいおるか〜?源ちゃんどうしたの?ほい。
うん?あの〜。
(希子)お獅子!お獅子!お獅子来ますよ〜!
(桜子)お祭りねえ。
(室井)さすが天神祭立派なお獅子だね〜。
(和枝)けど何や今年は大きない?
(室井)飲み過ぎですよ。
大きい気ぃするな。
そうですねえ。
お静さん…何で?やっぱりお稽古とお座敷は違うわ。
何ややき回ってしもてな。
お兄ちゃん?
(希子)あれお兄ちゃんや。
(室井)悠さんだ!
源太が持ってきたお重の中身は…
(室井)ハ…ハモニカ。
これハモニカ。
そうですよね。
そうですか?
(桜子)何で源太さんが?師匠…。
私が師匠にお静さんが食べたいかもとか言ってしまってそれで…作ってくれたんだと思うんです。
余計な事だったらごめんなさい。
こんな…こんなんとちゃうねんで。
ホンマはもっときれいやねんで。
けどこんなにおいしいもんでもなかったわ。
今日…一瞬だけみんなで一緒に過ごしたんとちゃいます?そ…そうよね希子ちゃん家族みんなで過ごしたのよね。
天神祭の夜西門家に起きた小さな小さな奇跡のお話でございました
(静)あんたあの人から何か聞いたん?私お静さんが無理やり引かされたって話聞いて。
これ書かしたんはうちの方。
うちがあの人に初めて会うたんは十の時や。
天神祭に姐さん芸妓にハモニカ買いに行かされてな。
けどせっかく買うたもんをこけてわやにしてしもたんや。
(正蔵)大事ないか?これ持っていき。
(静)あんなだんさんがええなって。
幼心にも思たもんや。
初恋やなうちの。
それから芸妓稼業もそろそろ潮時かな思た頃またあの人に会うたんや。
おねえさん名前は?千代菊いいます。
ええ名前や。
この人は仏さんがくれたうちの最後のだんさんやと思た。
しつこうつきまとうて飲ませて…。
師匠も何であんな嘘を。
ああ…始まりはたまたまやな。
やり合うとった時に和枝ちゃんが言うたんや。
「あの人だまくらかして入り込んだくせに」って。
まあ鋭い事言うからうちつい言うてしもたんや。
「入れ揚げたんはあんたの父親や。
だまされたんはうちや」って。
それをたまたまあの人が聞いててな。
じ〜っとうちの方を見て「ホンマにごめんな」って。
あの人はあの日ぃからず〜っと嘘ついてくれてんねん。
あの人より優しい人をうちは知らんのや。
うちがここに居ついてもうた一番の理由は…。
未練ですか?私も悠太郎さん初めはとってもすてきに見えて。
でも一緒に暮らすと全然格好よくなくて。
それでも好きで。
前より好きで。
そういう気持ちですか?私ちゃんと分かりたいんですお静さんの気持ち。
あんたが娘でよかったわ〜。
ハモのちらしずしです。
きれいやな。
それから伝言ですお静さんから。
「ハモニカごちそうさん」だそうです。
ほうか。
ハハハッおおきに。
あ…お帰りなさい。
先生がうちに挨拶に来はるて。
(物音)2014/12/23(火) 12:15〜12:35
NHK総合1・神戸
も一度まんぷく!「ごちそうさん」ダイジェスト一挙放送! 第10週[字]
め以子と悠太郎が帰ってきた!連続テレビ小説「ごちそうさん」を第10週をダイジェストでお送りします。謎の「ハモニカ」の正体とは?!
詳細情報
番組内容
天神祭が近づき、め以子(杏)は、正蔵(近藤正臣)を含めた家族全員で巡ってくる獅子を見たいと願う。祭りの手伝いに忙しい悠太郎(東出昌大)は許さない。め以子は、酔った静(宮崎美子)が「ハモニカを出せ」と言ったことを伝え聞く。肉や魚にハモニカと呼ばれるものがあると聞き、料理して出すが、静は不機嫌だ。ハモニカの正体は意外なものだった。祭りの当日、西門家の面々の前を獅子が通りすぎた瞬間、小さな奇跡が起こる。
出演者
【出演】杏,東出昌大,近藤正臣,宮崎美子,キムラ緑子,高畑充希,和田正人,前田亜季,山中崇,徳井優,木本武宏,【語り】吉行和子
原作・脚本
【作】森下佳子
キーワード1
連続テレビ小説
キーワード2
ごちそうさん
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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