趣味Do楽 にっぽんの布を楽しむ〜訪ねて・ふれて・まとう〜第3回「絞り染め」 2014.12.23


皮はパリパリ中はしっとり!ハーブとにんにくの風味が効いた一品です。

(テーマ音楽)
(女性)これで普通に回して。
(川上)普通に回して…。
布にちなんだ名前は布地デザイナーの母親が付けました。
布にゆかりの深い川上さんがにっぽん各地に訪ねるのは今も輝きを失わずに人々の心を捉え続けるにっぽんの布。
昔ながらの方法で手間を惜しまず生み出される布には肌ざわり色柄など独特な味わいがありおしゃれなアイテムとして最近注目されています。
川上さんが布のふるさとで魅力の秘密を探ります。
案内するのは…京都で江戸時代から続く染色家の5代目でにっぽんに伝わる布や染め物の研究に取り組んでいます。
第3回は布を染めて多様な模様を生み出す絞り染めです。
「にっぽんの布を楽しむ」。
今回は絞り染めです。
キュートでかわいい乙女心をくすぐるこの「豆絞り」もその一つです。
青色の豆が布地にじんわり染み込んで何ともいえない味わいを出しています。
絞り染めは紀元前より行われていた世界で最も古い模様染めの一つとされ日本でも4〜5世紀ごろには既に伝わっていたと言われています。
奈良正倉院宝物の中にも絞り染めの施された布が残っています。
室町時代の終わりから江戸時代の初めにかけては「辻が花」という技法が盛んに行われました。
その後さまざまな技法が生み出され複雑な模様も表現できるようになったのです。
それが現在小物や雑貨を彩るポップな模様として人気を集めているのです。
長い間人々に愛され続けている絞り染め。
今回はその魅力の秘密を探ります。
川上さんと吉岡さんがやって来たのは名古屋市有松。
江戸時代から栄える絞り染めの一大産地です。
なんか江戸時代に来たみたいな。
(吉岡)いい町並みがね残りましたな。
ここは東海道五十三次の有松…。
隣が鳴海っていうまあ一番栄えた宿のうちですね。
ここ三河地方の…木綿が出来るいい場所だったのでそれとともにこの宿場町で藍染めの手ぬぐいを作る事がだんだんと広まっていったわけですね。
やっぱりその手ぬぐいは相当に人気があったんですか?そうですね。
江戸へのいい土産になったんじゃないですかね。
人気役者が括ってますよね。
「有松絞り」か「鳴海絞り」かなと思われるような文様が…。
あっ絵になって残ってる…。
浮世絵になってますね。
それからこの町並み自体も立派な建物とかそれから道の長さっていうか…。
繁栄の具合が分かりますよね。
分かりますね。
ところで絞り染めはどのようにして出来るのでしょうか。
おおまかに見ておきましょう。
まずどんな柄にするか決まったら生地に目印をつけるための型紙を作ります。
型紙を布にのせ水洗いすると消える染料で下絵をつけます。
この下絵をもとに染め残す部分を糸できつく絞る「括り」という作業を行います。
そして括った生地を水やぬるま湯につけたあと染めます。
生地が乾いて糸をほどくと括って染め残した部分が模様となり現れるのです。
慶長13年1608年の創業で有松で最も古いと言われる店が保管している昔の絞り染めを見せてもらいました。
うわ〜…うわ〜!すごい!随分また年季の入った…ねえ。
これが私どもにあります木綿の「絞り」で江戸の後期から明治大正ぐらいのものなんですね。
すごく貴重なものですよね。
(竹田)そうですね。
古くて絹のいいものはいっぱい残ってんですけどね木綿は昔みんな使っちゃったもんですからもう残ってないんですね。
それが故に非常に希少品になってしまいました。
こちらの着物もなんか花火みたいなすごいきれいな柄ですけど細かいですよね。
これも全部絞りで…ねえ。
私もねこれ花火の柄だと思ってましたら「鉄砲」っていう名前が付いてんですって。
「パン」とこう破裂した時の…。
そういう柄なんですか。
川上さんね木綿絞りの特徴は…「足」って我々いうんですけどこういう所からスーッと影のようにね。
ほんとは浸透してほしくないがほしいところがギリギリのところにこう…。
入っていくんですね。
こういう「ぼかし」というか…これが特徴で藍の濃淡がおのずから出てくるというかね。
それはやっぱり毎回違う出方がね…。
染め足のボケが一つの美しさをつくってますね。
ここにあるだけでも全部違う技法なんですよね?絞り方っていうか…。
みんな違いますね。
大体どのぐらいあるんですか?その技法として。
とりあえず今まで130ぐらいの技術は開発されてると思うんですね。
実際「今作れ」という事になるとまあ65種類…。
この前数えてみたら「65ぐらいはまだできるよね」みたいな。
でもね今これ見ても全然古く感じないですよね。
今欲しいぐらい。
こういう…。
似合うんちゃいます?
(笑い声)持って帰ります?持って帰りたいですよ〜。
さまざまな模様は括り方の違いで生まれます。
伝統の技を少しだけ見せてもらいました。
こんにちは〜。
すごい細かいお仕事ですね!何ていう技法なんですか?私は「巻き上げ」が専門なんですけど。
今回はこの葉っぱのような模様の部分を染めないように括ります。
じゃあ今この下絵のまずここを縫ってキュッと絞って。
(加藤)はい。
これがね。
まず下絵に沿って模様の輪郭を縫っていきます。
縫ったら引き絞り模様の中心だけを出し括ります。
どのぐらいやられてるんですか?この作業は。
小学校の2年生からやってるから…。
あっそうなんですか!?母親がやってたからねそれでず〜っとやって何十年とやってるんです。
そうなんですか!じゃあもうベテラン中のベテランですね。
こんな感じでやってくんですけどね。
これ大体どのぐらいかかります?これだとやっぱり2か月3か月かかるよね。
一日で大体どのぐらい…。
一日でいくらも出来ないですよ。
一日やってても飽きは来ない。
そうなんですか?毎日家でやってるんですけども。
へえ〜!やっぱ合ってるんですかね。
楽しいんですかね。
やってても楽しいんですよ。
ねえ。
この名古屋の有松・鳴海では一つの括りの技を一つの家が代々引き継いできました。
こちらの方の技法はどういうものでしょうか。
手で筋とってまして「手筋絞り」あるいは柄的になると「柳絞り」っていうふうにも表現いたします。
へえ〜。
手筋絞りは布を蛇腹に折り畳んで括る技法。
先ほどの「手縫い巻き上げ絞り」と異なり下絵がありません。
何にもない布で…。
手の感覚ですか?はい。
一切印っていうものが入っておりませんね。
クシャクシャに寄せるという感じでなくて自分の繊細に感覚をよく…指先の勘をとりながらあらかじめ繊細な筋出したいもんですからきれいに流れるように…。
まあ分かりやすく言いますと柳の木をご存じと思いますけどあのしだれを頭にイメージさせながらこの枝を出しながら流れを筋をとっていくんです。
柳の枝がしだれながら風で動いてるイメージやね。
先ほどのは計算して計算どおりにやってられる。
これはやたらにやってるように見せかけてもう計算ができてるという。
そうですね。
この他にもいろいろな括り方で特徴のある模様を生み出します。
代表的な模様を見てみましょう。
最近小物や雑貨に取り入れられ女性に人気が出ている模様があります。
(女性)洋服っぽい柄よりは古いぐらいの柄の方がかわいいんかなって思います。
雪の結晶をちりばめたような…豆絞りは「板締め」というちょっと変わった技法を使います。
まず布を蛇腹に折り畳みます。
そして表面に細い溝が入った板に挟みます。
それをいくつかまとめて染料に浸します。
程よいタイミングで引き上げると細かな溝から染み込んだ染料で並んだ豆の模様が出来上がります。
「雪花絞り」も豆絞りと同様板締めという方法で染めます。
こちらは三角形や四角形の板を使います。
この三角形で作ったものがどうしてお花みたいな柄に?どうやって染めていくんですか?
(鵜飼)これが染め上がったものなんですけれども。
「雪花絞り」っていう柄なんですね。
お花…ほんとにきれいですね。
雪の花っていう感じで。
でこれの場合は底辺を染めてますのでこういう感じで染めて下からず〜っと。
上の部分は残して。
ここの部分が白くなりまして。
それでこういう感じに。
模様が出てくる…すごい。
私みたいな素人でもできますかね?そうですね。
今日はちょっとやって頂きたいんですけれど。
川上さんが雪花絞りに挑戦です。
染めるのは手ぬぐい。
まず布を三角形に畳みます。
きれいにやって頂くとちょうど頂点の所がきれいに出るので。
柄もきれいに出ますので。
これ結構難しいですね。
意外にずれますね。
そうですねええ。
川上さんは初心者でも取り組みやすい三角形の先端部分を染める方法にしました。
これ結構緊張する。
あ〜なんか震えてるんですけど。
1分ほど浸したら引き上げ水洗いします。
さてきれいに染まっているでしょうか?え〜きれいですね。
・これから青くなります。
青くなってくるんですか。
え〜!?あの三角がこんな柄になるなんてちょっと想像つかないですよね。
出来ました!初めてにしてはなかなかの出来じゃないですか。
世界にたった一つの自分の手作りが出来上がりました。
むちゃくちゃうれしいです!今「しぼり」は世界で通用する言葉になるほど海外からも注目されています。
絞りを学びに多くの人が外国からやって来ます。
研修生を受け入れている村瀬裕さん。
絞りを布を染める技法としてだけでなく新しい形で生かそうとしています。
この産地は400年のある…そういった絞りのすばらしい技術を持っている産地なのでその技術を新しいものに置き換えて今現代に合うような形の商品の「絞り」を作っていくと。
村瀬さんが試みているのは括りの技で布地に変化をつける事。
ウールや化学繊維を括り形が残るよう加工します。
括りの形がついたユニークな生地で衣服やインテリア商品を作ろうというのです。
もっと新しい可能性のある絞りっていうものが考えられると思います。
その考え方を若い人たちにどんどん広げて…絞り染めのすてきな模様をいろいろと見てきましたがちょっとした工夫でもっと楽しめる方法があるそうなので教えてもらいたいと思います。
こんにちは。
よろしくお願いします。
こちらこそよろしくお願いします。
柄を生かした作品づくりが得意な布構成作家です。
先生が今してらっしゃるすてきなマフラーがもしかして絞り染めですか?中に綿を入れて温かく快適に。
手ぬぐいっていうと夏だけの…汗拭くイメージはありますけど。
冬でも。
簡単に。
簡単にできます?私でもできますかね?もちろん。
じゃあ是非チャレンジしたいと思いますけど。
ではその手ぬぐいを探しに行きましょう。
よろしくお願いします。
まずおしゃれな手ぬぐいを探しに行きましょう。
(丹羽)ちょっと拝見してみましょうか。
なんか割と現代的なものもね。
(2人)こんにちは〜。
たくさんありますね。
うわ〜。
どれでもできるわけですよねその手ぬぐいのサイズであれば。
そうなんですよ。
ええ〜迷いますね〜。
首に巻くものなのでちょっとお顔映りとかも確認されながら。
あっ渋い。
渋いですね。
この柄が出てくるんですよね。
そうなんですよ。
そして斜めに折っていくので柄が斜めに出てくるのでまた今かっこいい感じが少しやわらかくなってモダンな印象にもなったりしますね。
これもすごい…これはこれでなんか華やかですよね。
全然イメージがまた…。
う〜ん!どうします?先生。
どうしたらいいですか?どんな雰囲気で攻めていくかですね。
どう思います?持ちましょうか?どっち…。
でもなんか…これにしよう。
大人かっこいい川上さんに…。
「大人かっこいい」にしましょうか。
よしこれに決めました。
これにします。
お願いします。
では材料なんですけれども今手元にご用意して頂いている手ぬぐい1枚とあとキルト綿をご用意下さい。
糸を引っ張って一本の糸につながるようになるまで布の端のほつれを取っていきます。
一本につながればまっすぐになった証拠です。
糸が抜けたら…じゃあ折っていきますね。
布端を下から上へ外表に持ち上げて斜め45度に折ります。
この時短辺の端が1cmはみ出すようにして下さい。
今度は反対側も同じように上から下へ折っていきます。
同じように短辺の端は1cmはみ出させて下さい。
続いて今折った所が一直線になるように折ります。
この時…アイロンをかけて折り癖をつけましょう。
形が崩れないように軽く待ち針を留めます。
まず…。
これがちょっと上に出るぐらいですね。
はい1cmぐらいですね。
上に出るように折ってそしてここの線が一直線になるように折るんですね。
はい。
これを…。
こう持っていくという事ですね。
はいきれいですね。
もうこれで…。
あっこういう形でしたねマフラー。
これが完成の形になります。
こういう柄になるんですね。
次にキルト綿の準備です。
折った手ぬぐいの長い方の端から上下0.5cmずつ短い方の端から左右1.5cmずつ小さくキルト綿をカットします。
台形に折った手ぬぐいを開いてキルト綿を挟み込みます。
小さなはみ出した三角形も一緒に巻き込んでおきましょう。
キルト綿が挟めたら待ち針を留めておきましょう。
次にミシンをかけていきます。
まず斜めの線を1本縫います。
そして布をひっくり返してまた1本斜めの線を縫います。
次に両端を縫いますがはみ出したフリンジの方を下にすると縫いやすいです。
小さく折り込んだ三角形も縫い留めておきましょう。
最後にマフラーの先のとがった所もステッチをかけておきます。
こうすると中の綿がずれるのを防ぐ事ができます。
これで手ぬぐいマフラーの完成です。
楽しいですねこれ。
よかったです。
「もうすぐ出来る」と思うと余計に楽しくなりますね。
いよっ。
そして返し縫いをしたら…。
はい出来ましたね〜。
出来ましたね〜。
ちょっと見て頂いていいですか?はい。
うわ〜すてきですね!かっこいいですねすてきです。
こんな感じで。
よくお似合いで。
ほんと意外に私でも出来ましたから。
川上さん絞り染めの手ぬぐいマフラーを肩にかけました。
こういう使い方もおしゃれですね。
肌ざわりがこうやわらかくて冬に向けていいですね。
お年寄りにプレゼントしてもいいですよね。
ほんとに絞り染めってラフなものからきちんとした柄までいろいろありますのでね。
今回絞り染めの世界にふれてほんとに奥が深くて…。
(丹羽)ほんとそうですよね。
でいろんな柄があって手法を見てもその細かさにすごく驚いたんですけどまたそれをちゃんと引き継いで下さる方たちにも感謝しますしこれからまた若い人にも引き継いでいってほしいなと思いましたね。
ちょっとミシンも久しぶりにふれましたのでいろいろものづくりチャレンジしたいなと思います。
是非楽しんで下さい。
ありがとうございました。
2014/12/23(火) 11:30〜11:55
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 にっぽんの布を楽しむ〜訪ねて・ふれて・まとう〜第3回「絞り染め」[解][字]

見ているだけで心引かれる「にっぽんの布」。魅力の秘密を日本各地の産地に探る。今回は女優・川上麻衣子さんが絞り染めの高度な技が伝わる名古屋の有松・鳴海へ。

詳細情報
番組内容
見ているだけで心引かれる「にっぽんの布」。魅力の秘密を探りに、染織史家・吉岡幸雄さんの案内で日本各地の産地を訪ねる。今回は女優・川上麻衣子さんが、絞り染めの高度な技が伝わる名古屋の有松・鳴海へ。絞り染めは世界で最も古い模様染めの一つ。有松・鳴海では伝統の技で多様な模様を生み出す。川上さんは、最近人気の「雪花絞り」に挑戦。絞り染めの「手ぬぐいマフラー」の作り方を、布構成作家・丹羽裕美子さんに教わる。
出演者
【講師】染織史家…吉岡幸雄,布構成作家…丹羽裕美子,【生徒】川上麻衣子,【出演】竹田嘉兵衛,加藤小鈴,松岡清子,鵜飼小百合,村瀬裕,【語り】一柳亜矢子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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