ダーウィンが来た!「パラオの異色カップル!絆よ永遠に」 2014.12.23


南国パラオの海から「ちょっと変わった組み合わせの熱々カップルがいる!」という情報が入りました。
カップルの一方はこの魚…ん?貝殻をくわえてどこかに持っていきます。
次に海藻。
お相手へのプレゼントだそうです。
熱々カップルのお住まいにお邪魔してみましょう。
え!?ハゼさんお相手は誰なんですか?早く教えて下さい!・「僕たちの中にある小さな宇宙」・「どこまでも続く地平線」・「僕たちは果てしないまだ知らない世界へと」・「きっとゆけるさ」真っ青な海に浮かぶ島。
また島。
日本から南に3,000キロ。
常夏の国パラオです。
今日の主役ハゼたちのカップルが暮らすのは沿岸の浅い海。
深い湾になっているので波も小さく穏やかですね。
透明な海の中には…いろんな形のサンゴが見えます。
さぁ潜ってみましょう!きれいな魚が集まっています。
でもちょっと小さな魚が多いのが分かりますか?大きさ僅か3センチ。
こちらは更に小さな…波が静かな湾の中は小さな魚でも暮らしやすいんです。
しばらく進むとサンゴ礁が途切れました。
見えてきたのは砂地の海底です。
今日の主役ハゼのカップルはこの砂地に住んでいます。
さぁ皆さんも一緒に探してみて下さい。
今見えてますよ。
もう一度見てみましょう。
ほらほら目の前。
あっ隠れました!ここはいわばハゼの村です。
海底にいたのは大きさ10センチ程のハゼの仲間…英語で…「ピンクの斑点模様がついたハゼ」という意味です。
まだ日本語の名前は付いていません。
しきりに砂を口に入れています。
これハゼのお食事。
エラで貝や甲殻類をこしとって食べます。
さぁ名前がややこしいのでもう一度。
カップルのお相手はどこのどんな方でしょう?あっ!後ろ向きに泳げるんですね。
砂地で食事をしたあとは必ず住みかに戻ります。
そこにお相手のヒントがあるはずです。
この穴がその住みか。
ん?穴の中から音が聞こえます。
きっとハゼのお相手。
え?エビ!?エビに間違いありません。
この周辺にはハゼと一緒に暮らす5種類のテッポウエビがいます。
名前の由来は砂の中をのぞくと分かります。
(音)パチッ!穴の中から聞こえた音です。
ハサミを鉄砲のように鳴らすから「テッポウエビ」なんですね。
改めてパラオの異色カップルをご紹介しましょう。
早速この2匹がどのように一緒に暮らしているのか熱々ライフに密着してみましょう。
まずはエビ。
砂を運び出していますねぇ。
実はこれが大切なお仕事。
一方のハゼは何もしていないように見えますが…。
おや?お出かけでしょうか?あれ?出てきたエビがすぐに穴の中へ戻ってしまいました。
しばらくしてハゼが戻ってくると…エビが出てきましたね。
砂を運んで穴掘り再開です。
でもまたハゼがいなくなると…。
慌てて砂を放り出して巣穴に帰ってしまいました。
つまりエビが外に出てくるのはハゼがいる時だけなんです。
いったいどうしてなんでしょうか?実はテッポウエビは視力が弱くあまりものが見えません。
エビは穴の外に出る時にはいつもハゼの体に触角をくっつけています。
危険が迫るとハゼは尾ビレを動かします。
するとエビは巣穴の中へ避難。
目の悪いエビはハゼから危険を教えてもらっているんです。
1匹の魚が巣穴に近づいてきました。
大きくはありませんが肉食の魚です。
こういう時はあの合図。
尾ビレを動かしエビに出てこないよう伝えます。
更にハゼは敵に攻撃。
体を張って魚を追い払いました。
つまりハゼはエビの用心棒なんです。
もっと危険な事態に陥ることもあります。
アオリイカの群れです。
アオリイカはエビだけではなくハゼも食べてしまう怖い相手です。
ハゼも緊張しているようです。
徐々にイカが海底に近づいてきました。
ここでハゼは尾ビレで危険サイン。
エビは巣穴の奥に避難します。
イカはもう間近です。
あっ巣穴に隠れました!エビが掘ってくれた巣穴はハゼにとっても安全な隠れがなんです。
巣穴の中はどうなっているんでしょうか?こちらは研究者が調べたテッポウエビの巣穴の様子です。
種類によって大きさも形も違いますがかなり奥行きがあります。
体長5センチ程のエビが長いものでは1メートルにもなる巣穴を作ります。
一方自力で穴を掘れないハゼ。
逃げ場所やねぐらとしてどうしても巣穴が必要です。
だからハゼはエビが安心して砂を外に出せるよう入り口で見張りをします。
危険が迫れば一緒に巣穴へ。
お互い助け合っているんです。
ハゼもエビも相手を失えば天敵に襲われやすくなります。
パラオの異色カップル。
深い絆で結ばれているんです。
いや〜仲良きことは美しきかな。
感動しましたなぁ。
そうでしょうヒゲじい。
でもちょっと待った。
そもそもこの2匹っていつどうやってカップルになるんですか?実は…よく分かっていません。
あららら…。
でもそのヒントになりそうなカップルがいます。
こちら。
えっとどこか変わってますかな?よ〜く見て下さい。
画面の端に見えてきますよ。
大人のハゼ。
比べてみると…。
わっ!ちっちゃいですな。
ええまだ幼いカップルなんです。
大きさは2センチしかありません。
ちっちゃくてもエビが穴を掘ってハゼは見張り役。
ちゃんと役割を果たしておりますな。
ハゼとエビは生まれてすぐ目に見えない程小さな時に出会い同居を始めると考えられます。
ちっちゃい頃からずっと2匹で生きていくんですな。
実は2匹とは限りません。
こちらをご覧下さい。
エビが2匹…。
あらっ?全部で3匹になっちゃいましたぞ。
はい。
2匹のエビは夫婦なんです。
エビの夫婦は同じ巣穴で暮らします。
はぁ?これじゃハゼさんはお邪魔虫になっちゃうじゃないですか。
いえいえハゼのおかげで安心して暮らせるわけですからたとえエビが夫婦でも大歓迎です。
じゃあハゼの方の恋はどうなっちゃうんでしょう?ヒゲじいいい質問ですね。
それは第2章で徹底調査します。
え〜びっくり!ハ〜ぜひ教えて下さい。
なんちゃってね。
パラオの異色カップル物語。
ハゼがくわえているのはなんとエビへのプレゼント!尽くしに尽くすハゼの隠れた思惑が明らかになります。
とってもすてきなパラオの風景。
島々の個性的な形にある秘密が隠されています。
なんと穴の開いた岩まであります!海の中も浅い所から深い所まで複雑な地形が出来ています。
こちらは海底洞窟。
薄暗い所が好きなベラやハナダイの仲間が住んでいます。
パラオの海の複雑な地形や環境に合わせてやってくる魚の種類はなんと1,300を超えます!世界有数の魚の楽園です。
多岐に富んだ地形を造ったのはサンゴ礁です。
何千万年もかけて積み重なったサンゴ礁。
氷河期海面が下がり陸地になりました。
もろいサンゴは雨や波に削られ不思議な形の島が出来上がります。
氷河期が終わり海面が上昇。
こうして海の中も複雑な環境になったんです。
ハゼとエビが暮らすこの砂地の多くもやはりもともとはサンゴ礁。
その証拠に砂を掘ってみると…サンゴのかけらが出てきました。
波などに砕かれたサンゴはこうして砂の粒に変わっていきます。
つまりハゼとエビのカップルが助け合いながら生きていけるのもサンゴ礁と大地の長い歴史があったからなんですねぇ。
パラオの海に住むハゼとエビの異色カップル。
実は最近驚きの新発見があったんです。
きっかけはカップルの一方ピンクスポッティドシュリンプゴビーの不思議な行動でした。
カップルの巣のそばに海藻が流れてきました。
すると…ハゼが取りに行きました。
このハゼは貝や甲殻類が好物。
海藻は食べないはずです。
それなのに…あっまた取りました!そして巣の入り口に持ち帰ります。
いったい取った海藻をどうするつもりなんでしょうか?その謎を解き明かしたのは長年パラオでハゼとテッポウエビのカップルを観察してきた日本人研究者…テッポウエビの巣にハゼがしていたように海藻を入れてみます。
すると…。
巣の奥からテッポウエビが現れました。
海藻を巣穴の奥へと引き入れています。
これは…食べていますね!海藻はエビの食べ物になっていたんです。
つまりハゼは同居するエビのためにわざわざ海藻を持ち帰っていたというわけです。
家族や仲間でもない違う種類の生きものに食べ物を持ってきて与えるなんてほとんどの動物では考えられない行動です。
更にハゼのエビへのプレゼントは海藻だけではありません。
今くわえたのはサンゴのかけら。
やっぱり巣穴に持ち帰ります。
今度は貝殻を拾いました。
いったい何に使うんでしょうか?実は受け取ったサンゴや貝殻を使ってエビが巣を修理するんです。
巣の中をのぞくとこのとおり。
壁を石垣のように組むことでちょっとやそっとじゃ崩れない頑丈な巣になるんです。
つまりハゼは巣の材料をエビに渡して巣穴作りの手伝いをしていたんですね。
いやちょっと待った。
ヒゲじい何ですか?ハゼすごいでしょう?アハハハッすごいすごい。
そりゃそうなんですがちょっと勘ぐっちゃうんですよね。
えっ!?何か裏があるんじゃないですか?あっヒゲじい鋭いですね。
そう。
相当な下心があるようなんです。
ほ〜らやっぱりね。
実はハゼの中には積極的にプレゼントをするハゼと積極的ではないハゼがいます。
何が違うんです?よくプレゼントをするのはオスなんです。
見分けるポイントはヒレの斑点模様。
オスの方がはっきりしています。
でもどうして?実はハゼの恋愛事情に関係しているそうなんです。
坂上さんによるとピンクスポッティドシュリンプゴビーは繁殖の時メスがオスの巣に行きその中で産卵します。
そしてすぐにメスは自分の巣に帰りオスが卵の世話をします。
このためメスは卵を安心して預けられるしっかりした巣を持つオスを選ぶんですよ。
なるほどね。
だからオスはエビに食べ物や巣の材料をプレゼントして巣作りに専念してもらっていると考えられているんです。
ほぉ自分の恋がうまくいくようにテッポウエビにメッポウ尽くしていたわけですな。
ハゼ君のキッポウをお待ち致しております。
なんて。
エビに立派な巣を作ってもらったオスのハゼ。
いよいよメスにアタック開始です。
浮かび上がりましたよ。
こちらのオスも大きくヒレを広げて浮いています。
これは「ホバリング」と呼ばれるオス特有の行動。
メスにアピールしているんです。
より高くより長く舞い上がればそれだけメスの注目を集めることになります。
更に気に入ったメスがいるとヒレを広げて接近。
自分の巣に来てもらおうと誘います。
鮮やかな斑点模様をメスに見せつけます。
さぁメスの気持ちは?あら〜嫌われちゃったみたい。
オスを追い払おうとしています。
オスは一生懸命食い下がりますが結局ダメ。
メスを巣に呼べるかどうかはオスの魅力次第。
こればかりはエビには頼れません。
あぁこちらのオス。
ヒレがボロボロ何度もメスに追い払われ続けたようです。
エビに尽くしてメスの機嫌をうかがってハゼのオスって大変なんですね。
そこに遠くの巣から1匹のハゼがやってきました。
鮮やかな模様立派なオスです。
他のハゼの巣をのぞいています。
メスを誘いに来たんでしょうか?あれっ?出てきたのはオスです。
実は遠くから来たこのオスより良い巣を奪おうというんです。
あっ遠くから来たオスの方が巣穴に入りました!もともとこの巣にいたオスエビに尽くして大切にしてきた巣をそう簡単に奪われるわけにはいきません。
必死で巣から追い出します。
これをきっかけにハゼたちは大騒ぎ。
オスもメスも入り乱れての大乱闘に発展してしまいました。
これではもう恋の駆け引きどころではありません。
ハゼの恋の行方どうなってしまうんでしょう?第3章ではオスがメスへの必死なアピールをもっともっと続けます。
そしてメスがオスの巣穴へ。
ついに恋が成就?突然ですがここで「ダーウィンNEWS」です。
ヨシに留まった2羽の鳥。
美しい羽のシジュウカラ。
実はどれも木から作った彫刻作品です。
「バードカービング」と言います。
これを使い鳥の魅力を伝えている人がいます。
内山春雄さん。
バードカービング作りの第一人者です。
この日は目の見えない子どもたちに触らせて鳥の形を教えています。
内山さんは学校などで手に取って触ることのできる彫刻を通して鳥の魅力を伝えてきました。
今内山さんが取り組んでいるのは南米のガラパゴス諸島などに住むダーウィンフィンチの仲間です。
いくつもの島があるガラパゴスは環境の違いで生きものがいろんな進化を遂げた場所。
このフィンチは器用に枝を使い木の中に隠れている虫を捕まえて食べます。
一方こちらは大きな鳥に乗るとなんと血をなめています。
見た目も暮らしぶりも違いますが実は祖先は同じ。
それが15種類にも分かれたんです。
内山さんはフィンチの特徴を彫刻で表現し進化のおもしろさを伝えたいと考えています。
(内山)頭のカーブとくちばしのカーブがほとんど丸に近い。
あ〜ホントだ!ね?確かに何か違う。
子どもたちは進化の不思議を体で感じたようです。
ハゼとエビの異色カップルが暮らすパラオの海底です。
この日ピンクスポッティドシュリンプゴビーのメスが謎の行動をとるのを目撃しました。
こちらにオスの巣があります。
食べ物を探しにいっているのか巣穴に姿が見えません。
するとメスが巣を離れ自分からオスの巣に向かいました。
半分程体を入れてすぐ出てきます。
続いてこっちの巣にも。
オスの巣に出たり入ったりしています。
実はこのメスオスの巣が自分の好みに合うか体を入れて品定めしているようなんです。
ようやく恋の気分になってきたんでしょうか?オスが巣に帰ってきました。
さぁ今日もめげずにアピール開始!高く浮かび上がります。
メスはというと…そしらぬふり。
やっぱり今日もダメなんでしょうか?お目当てのメスがいるのはここ!オスは一生懸命ヒレの模様をアピールします。
その時ですメスが来ました!体を少しずつ巣穴の中に入れていきます。
そしてゆっくりと巣の中に入っていきました。
ついに恋が実ったんです!このあとメスは卵を産みオスは卵がふ化するまで大切に守り続けます。
南国パラオの海。
違う種類の生きものなのにいつも寄り添って暮らす不思議なカップル。
誰に教えられるわけでもなくハゼとエビは幼い頃から共に生きていました。
それは命に刻まれた約束。
種を超え時を超えパラオの海に受け継がれていく永遠の絆なのです。
2014/12/23(火) 05:15〜05:45
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「パラオの異色カップル!絆よ永遠に」[字][再]

南国パラオ。海底の巣穴で一緒に暮らすのは、ハゼとエビという奇妙な組み合わせ。ハゼは体を張ってエビを守り、ある「プレゼント」まで。異色カップルの絆の謎を解明!

詳細情報
番組内容
南国パラオの海に、奇妙な組み合わせのカップルが暮らしている。ハゼとエビ。種は違っても2匹はいつも一緒。エビは一緒に暮らすための巣穴を掘り、ハゼは巣の入り口で見張り番。敵が迫ればハゼは体を震わせて合図を出し、エビに危険を知らせてあげる。さらに最近の研究で、ハゼがエビに、ある目的で“プレゼント”を贈ることまでわかってきた。ハゼの献身ぶりの裏には、子孫を残すための驚きの戦略が隠されていた。【歌】平原綾香
出演者
【語り】首藤奈知子,龍田直樹,豊嶋真千子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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