シリーズ世界遺産100「ワロン地方の鉱山遺跡群〜ベルギー〜」 2014.12.23


(テーマ音楽)豊富な石炭を基にイギリスに次ぎ産業革命を成し遂げたベルギー。
労働者を仕事に集中させるよう炭鉱はさまざまな手を打ちました。
ベルギー南東部ワロン地方。
19世紀初頭から20世紀後半にかけて稼働した炭鉱が点在しています。
東西170kmにわたる地域からおよそ150年間に15億トンもの石炭が産出されました。
石炭はベルギーをヨーロッパ有数の工業国へと押し上げる原動力でした。
産業革命の広がりとともに輸送手段の鉄道が急拡大。
需要が増した線路をベルギーは輸出し経済発展を遂げました。
炭鉱各社は労働者集めと労務管理に工夫を凝らしました。
大胆にだ円形を取り入れた建物。
警備部門などが入る事務所です。
幾何学的で無駄な装飾を省いた新古典主義のデザインで統一されています。
だ円の建物は一目で事務所を見渡す事ができ労働者の管理に適していました。
炭鉱の仕事は重労働です。
経営者たちは炭鉱労働者を安定的に確保するため住環境の整備を進めました。
2階建て3DK。
平均80m^2の広々とした住宅にはポーランドやイタリアなどさまざまな国から労働者が集まりました。
曽祖父の代にポーランドからこの炭鉱にやって来たヴァンデンベルグさんです。
この住宅街にはもう一つの目的がありました。
過酷な環境で働く労働者が反乱を起こしたりしないよう高台に建つ経営者の住宅から監視を行っていたのです。
当時は町の入り口全てに守衛が常駐し不満を抱いた労働者が勝手に集会を開かないように見張っていました。
労働者の管理は休日にも及びました。
日曜日も労働者が生活を乱さないようにミサへの参加を強制したのです。
ミサのあとも全員参加のクラブ活動が待っていました。
スポーツや音楽演芸などのクラブに所属させ労働者が自由に使える時間を少なくしたのです。
炭鉱に教師として雇われていたフォンテーヌさんです。
フォンテーヌさんはフランス語を教えるかたわらコーラスクラブの指導を行っていました。
1973年閉山とともに会社によるミサやクラブ活動の強制は終わりました。
しかし人々はその後も教会に集う事をやめませんでした。
一度なくなったコーラスクラブも数年後には復活しました。
教会で聖歌を歌うためです。
かつて炭鉱労働者を縛りつけてもいた教会とコーラスは今人々をつなぐ絆となって地域を支えています。
2014/12/23(火) 04:15〜04:20
NHK総合1・神戸
シリーズ世界遺産100「ワロン地方の鉱山遺跡群〜ベルギー〜」[字]

「労働者に規律を」▽文化遺産▽ワロン地方から産出された石炭は、ベルギーに産業革命をもたらした。炭鉱各社は、労働者が仕事に専念するようにさまざまな対策を導入した。

詳細情報
番組内容
150年間に15億トンもの石炭が産出されたワロン地方。ここから産出された石炭は工業生産の原動力となり、イギリスに次いで2番目の産業革命をベルギーにもたらした。炭鉱各社は労働者を確保するため、広さ80平方メートル、2階建て3DKの住宅を整備した。この住宅には、労働者を監視する目的もあった。住宅街の入り口すべてに守衛が常駐し、労働環境に不満を抱いた労働者が勝手に集会を開かないように見張っていたのだ。
出演者
【語り】松平定知

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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