きょうの料理 手作りするならこの1品!「達人10人の特選正月料理」(1) 2014.12.22


(與芝)今年はおせちどうしよう?手づくりは大変だし買って済ますのも気が引ける。
(後藤)そんなあなた。
今年は一品入魂。
「これぞ」という1品だけでも手づくりして新年を迎えませんか?そこで「きょうの料理」今年のレギュラー陣10人が競演。
土井善晴さんは父・土井勝さんから受け継いだ「黒豆」を。
一口口に入れたらみんなビックリされてね。
清水信子さんは「ごまめ」にあっと驚く一工夫。
これみんなどんなお顔で召し上がるのかしらって思うと想像しただけで今から楽しくてね。
野口日出子さんは身近な食材で「だて巻き」を誰でも作りやすく。
お金で買えるものじゃなくって母親が作って子供たちに食べさせてあげて…いつまでもね。
初日はこちらの3品。
さあどれを手づくりしてお正月を迎えましょうか。
まずは土井善晴さんが大切に作り続けている「黒豆」です。
おせちの定番ですよね。
まめまめしく暮らせるようにと。
そうそう。
土井さんの父・勝さんが定番だからこそ誰でも失敗なく作れるようにと工夫したレシピです。
お客さんなんかが来たらいつもこの黒豆をまず注目して一口口に入れたらみんなビックリされてね。
「ふっくらしてるね」。
「こんなに大きいのがあるんですね」とか。
まあ子供の頃から無意識のうちに私にとっても黒豆というのは特別なもんになってきてるような気がします。
まず準備したのは…。
うわ〜くぎですね。
年季入ってる。
そうさびたくぎ。
お父さんの代から50年以上使い続けているものだそうで黒豆をより黒々と美しく仕上げるために使うんですね。
これさらしの布巾ですけどこういうようなものに包んで…。
お鍋の中に豆と一緒に入れるわけですね。
こうして豆は必ず洗います。
今分量のお湯を煮立てました。
そして火を止めます。
火を止めて調味料。
お砂糖。
おしょうゆ。
お塩。
そして重曹も。
豆の皮を柔らかくしますね。
やっぱり入れてないと柔らかくなりにくいですね。
それと布に包んださびくぎと…。
こうして軽く溶かして豆の方をこうやって入れてしまいます。
調味料の中で戻すというのが土井の黒豆の特徴です。
そしてこれで一晩戻しておく事によって今度煮る時に豆がほんとに全部…100%皮がむけないできれいにふっくらと煮上がるというのが特徴なんですね。
こちらが一晩煮汁に浸して戻した黒豆です。
最初に水で戻さなくていいというのがうれしいですよね。
そしたら翌朝戻ったものをこうして強火にかけて。
そしてアクを取るんですよ。
アク取り好きな人いるじゃないですか。
鍋物してもうすぐにアクを取らなあかんと思ってる人。
そういう人はほんとに楽しい…ビックリするぐらいアク出ますよ。
このアクを取るっていうことでえぐみとかを除くことになるんですよ。
もっと浮かせようという事で2〜3回に分けて1カップの差し水をします。
こうしたら煮汁が止まるでしょ。
そして火を強めましてまたアクを浮かべようという事なんですね。
これを繰り返して頂いたらかなりアクがきちっと取れます。
もう「全部なくなるまで」なんてできないから一旦火を弱めてこれで落としぶたをして…。
落としぶたのこの黒くなってるのも黒豆を毎年煮るから黒くなってるわけですけども。
そして更にふたをしてこれで8時間煮るわけですよ。
きちっとふたができないと水けがなくなって豆が煮汁から顔を出すとシワが寄ってしまうんですよね。
ですからできるだけ煮汁の中につかった状態で炊き続けるという事が大事なんです。
これで火を止めようという時にふたを取って実際に豆がどれだけ柔らかくなってるかとかそういう事を見ていくわけですわね。
どうでしょう?豆は一旦茶色くなってますけどもこれが冷めますとまた黒くなりますので。
食べてみるという事ですよ。
それでかたさを見て「これでいいな」というところを見極めますでしょ。
これで冷めるまでこのまま置いておきますと一層味を含んで柔らかくなってきます。
ふた開けますね。
色がまだちょっと赤茶けを帯びてますでしょ。
これが更に風に当たりますとまあ黒く。
さびくぎが酸化してですねより一層色の黒い豆に仕上げるという事なんですね。
もうこの時点で味はどうもならないから味見しないでお正月の楽しみです。
31日のうちに味見を…お正月の料理に関してはしないですよね。
もうほんとにここで食べてしまったらもったいない。
お正月の楽しみに全部おいておきます。
じっくり時間をかけて黒々と仕上がった「黒豆」。
こうして黒豆作りをしながら土井さんは毎年心構えを新たにするといいます。
去年ずっとおかずに普通に使ってたおしょうゆを黒豆に使おうという気にはなかなかならなくって新しい澄んだ封を切りたてのしょうゆを使ったり袋を開けたお砂糖を使ったりという事をするわけですよね。
昔でしたら新品の…まっさらの下着をつけてお正月は着替えたものですよ。
そういった気持ちっていうのは日本人にとっては一つのけじめをつけると。
悪い事は反省もするわけですが新しい年に願いを込めると。
「今年こそいい年にするぞ」という事で「頑張るぞ」と子供の時に思ったものです。
そういった気持ちをやっぱり毎年今でも持ち続けているんだなと思います。
シワも寄らずふっくらとした土井さんの「黒豆」。
う〜ん!きれい!父・勝さんが試行錯誤の末たどりついたレシピなんですね。
これなら失敗なく出来そうですね。
材料のおさらいです。
黒豆は水で戻さずご覧の調味料で味付けした煮汁で戻しそのまま煮るのがポイントでした。
続いては清水信子さん。
「五万の米」という字が当てられ五穀豊穣を祈って食べる「ごまめ」です。
しょうゆと砂糖を煮からめて作るのが一般的ですが清水さんが30年間作ってきたというごまめはひと味違います。
ほお〜。
昔ですとお祝い肴といって…あめでからめて祝い肴の一つにしたわけですけれどもどうもあれは売れ行きが悪くて私のうちでもあんまり消化されない…なくならないんです。
それで一回揚げてみたらどうかしらと思って揚げてみたところもうほんとに瞬く間になくなっちゃって「お代わりないの?」というような状態だったんですね。
それで「これならごまめもみんなたくさん召し上がって頂ける」と思って次の年から私のうちでは「揚げごまめ」が祝い肴の中に形を変えて入ってきたわけです。
このお料理はやっぱりちょっと大ぶりのごまめの方が頂きやすいし揚げやすくて便利だと思いますので私はちょっと大ぶりのを使っております。
揚げてしまうから骨まで柔らかくなるんですよ。
ここにパッと入れます。
そしてこれを混ぜます。
ちょっと何となくおいしそうな匂いも出てきますし…。
かたくはならないんですけれどもカサコソという感じになると火が通っておりますのでここでこれを取り出してしまいます。
そしてこの厚手の紙の上に載せましたらここでちょっと油を周りに取るような感じで動かします。
ごまめを揚げるだけでも驚きなんですが清水さんここでなんとカレー粉をふります。
えっカレー粉?意外ですね。
どういう事?カレー粉が好きなの私。
アンチエイジングだから。
ハハハハ!ほんとにカレー粉好きなんです。
いろんなものにカレー粉…。
炒め物にカレー粉ちょっと入れたりとかしてるのでその延長みたいなものでしょうね。
ここで一番大切なポイントは…これ乾いてしまうととても混ざりませんからどうぞ気を付けて下さい。
このままこれをざるのような空気の通る所に置いて冷まして下さい。
いきなりバットの中なんかに入れますと空気が通らないからまた水っぽくなってしまうのでカリッとは仕上がらないはずです。
更に清水さんカレー粉以外にもいろんな味で「揚げごまめ」を楽しんでいます。
へえ〜。
今度は青のりいきましょうね。
青のりをかけて…。
青のりは香りもいいしそれから色もなんかとっても爽やかな感じがしますのでこれはお正月向きかもしれませんね。
今度は七味とうがらしを入れます。
やっぱり大人の…酒の肴よねピリッと辛くて。
それで七味とうがらしも香りがいいから。
盛りつけにはお正月らしいちょっとした心遣いを。
清水さんが選んだのは南天の葉。
「難を転じる」という意味があるんですよね。
はあ〜ここにも縁起担ぐんですね。
カレー風味をここによそう事にいたします。
そろえて盛りつけするのもきれいですけれども思い切ってザッといくとまたその豪快さっていうのかしらそろえたおいしさとまた違ったそのものの本質みたいのが出るような気がして私はこのガサガサっていう盛りつけもとても好きなんです。
だから今回はこれガサガサっていうので盛りつけてまいりましょう。
今回はピンクペッパーを一緒に入れました。
とってもお味が良くて歯触りも同じようなカリッとした感じなので来年のお正月はこれみんなどんなお顔で召し上がるのかしらって思うと想像しただけで今から楽しくてね「どうなるんだろう」っていう感じなんですよ。
3種類の風味。
ごまめを揚げた香ばしさと相まってついつい手が伸びる1品です。
これはもうお酒好きにはたまりませんね。
おせち料理を作るっていうのは来年もほんとに幸せに暮らしたいから作るわけでしょ。
だから作る人がみんなの幸せを願って作らなければ…。
だからほんとにこういう事を放送する事によって作って下さる方たちがみんな幸せになって明るい新年を迎えて頂くような気持ちで作ってほしいなそういう世界にしたいなって願いながら作ってるんです。
確かに!これなら簡単だし作る人も食べる人も幸せな気分になれそうですね。
子供からお年寄りまでみんなで楽しめますしね。
おさらいです。
ごまめはカラリと揚げて熱いうちに風味付けするのがポイントでした。
是非お試しを。
最後は野口日出子さんが毎年欠かさず作る「豆腐だて巻き」。
しっとりなめらか。
上品な味わいのだて巻きです。
これなぜ作るか分かります?巻物っていうのはね…。
昔書物は全部巻物だったの。
それで「一年間頭が良くなるように本を読む」とかいう意味でこの巻物を作ったんです。
だから子供たちが賢くなるように毎年作ります。
このだて巻きですが卵に白身魚のすり身を混ぜてふんわりさせるのが一般的なんですが代わりになんと豆腐を使うのが野口さん流なんです。
ふ〜んユニークですね。
木綿豆腐でしたいんです。
絹ごしでは困るんです。
木綿豆腐で余分な水けを少し取ってすり鉢ですって卵とで作りたいんです。
柔らかいフワーッとしたおいしい…それを作ります。
もともとは20年ほど前魚のすり身が手に入らない人のために考えたのがきっかけだそうです。
豆腐なら手軽でいいですよね。
結局すり身よりもこちらの方がおいしいからしたわけですよ。
グラグラと沸いたところへ入れます。
そうすると余分なお水を絞り出すわけですよね。
これで布巾の四隅を持ちまして上に持ち上げてある程度水分絞るんです。
乳白色の水が出てくるのは豆乳なのでそれ出てきたらやめるんです。
これ少し白くなったの見えますか?これが出てきたらもう絞らないっていう事ね。
ここでしっかりと…最初ちょっと潰しまして…。
ここで細かくすりたいです。
そうしないと卵と混ぜて焼いた時にきれいになめらかになってこないわけねこれをしっかりすっておかないと。
ねっとりしてきましたでしょ。
これなめらかになってきたでしょきれいに。
砂糖とお豆腐とよく混ぜ合わせたいの。
すった豆腐にまず砂糖を加えてよ〜くすり混ぜます。
卵はよく溶いてから少しずつ加えます。
これも一気に入れないで少しずつ入れて混ざっていくとなめらかに入っていくのでね。
もう薄味よすごい。
これもうす口しょうゆよ。
ほんの涙ほどしか入ってないでしょ。
卵6つも入れてるのに。
薄い。
お砂糖だけしっかり入ってるんです。
甘いね。
だて巻きを焼くのに使うのは長年愛用している銅製の卵焼き器です。
たくさんありますね。
で焦がさずきれいな焼き色をつくるためオーブン用の紙を敷きます。
こんなふうに焼いていくんですね。
だて巻き1本分の生地を流し入れて中まで火が通るようアルミ箔でふたをして焼きます。
しっとり出来そう。
はい。
一度返すんですけれど焼き目のついた方を中に焼くときれいに巻いた時に線が入るのでね。
ただそれだけで焼き目をつけたいんです。
あっきれいに焼き目ついた。
よいしょ。
ほいやっ。
やっ。
あっきれいきれい…。
うわ〜!きれいな焼き色ですね〜!ねえ。
裏面も同様に弱火にかけて焼き上げます。
もう取ります。
ここで登場するのがこちら。
ネーミングがすごいですよね。
この凹凸でだて巻きのあのギザギザが出来るんですね。
そうそうそう。
よいしょ。
焼き色がよくついた方を上にして中心に濃い渦巻きが出来るように巻いていきます。
ここで横に切り目を入れます。
ひび割れを防いで内側にきれいな巻きじわを作るためなんです。
「じわじわ」っとね。
フフフ…。
巻く時は菜箸を芯にすると滑らずしっかり巻く事ができるんですよ。
なるほど〜。
これぐらい。
卵の液が出るくらいがおいしいの。
立てたら下に液が出てくるんですよ。
よいしょよいしょ。
ちょっと待ってちょうだいね。
はいはい巻きました。
はいこれで巻けました。
これでしっかり巻いてあげるんです。
それで輪ゴムをはめて立たせておくんです。
立たせた時にここに水こう落ちる方がおいしいの。
完全にパサパサに焼けてないという事ね。
これが全然水が落ちてこないと焼き過ぎなんです。
きつめにしっかり留めたいんです。
そうしないとくっつかないのでね。
これはこっち。
これで下のまな板にこうやって落ちてくるからこういう…上にこうして置いて下さい。
あらら危ないね。
はいのります。
完全に冷まして形が落ち着いてから切り分けます。
ほらこうやって入ってます。
この端で味見るんですけどね。
おいしい。
私じゃなく皆さん1切れずつ頂いて。
おいしいよ。
甘いんです。
カステラみたい。
ほんとにカステラみたいよ。
お魚臭くないから。
おいしい。
う〜ん!切り口もきれいですね。
ねえ。
ほんとにまるでカステラ。
野口さんの「豆腐だて巻き」の出来上がりです。
お正月は子供たちがみんな帰ってきますからね家にね。
娘も息子も。
嫁いで…みんな別に住んでますからね。
その時に…やっぱりいつまでも母親のものが頂けるというねあれで家帰ってきますから。
必ず作ります。
それが家族だと私は思ってるんですよね。
お金で買えるものじゃなくって母親が作って子供たちに食べさせてあげて…いつまでもね。
お金で買えないものを私は子供に教えてあげたいの。
う〜ん確かに。
お母さんの味を求めてお正月にみんな集まって帰ってくるなんてすてきですね。
まあ身近な材料ですぐ作れますからね。
是非挑戦してみて下さい。
すり身の代わりの木綿豆腐はしっかりと水けをきってからすり鉢でよくすって下さい。
なめらかに仕上がりますよ。
次回は和洋中の3品が登場します。
(後藤與芝)お楽しみに!
(テーマ音楽)2014/12/22(月) 21:00〜21:25
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きょうの料理 手作りするならこの1品!「達人10人の特選正月料理」(1)[字]

おせちを手作りするのは大変だが、せめて一品だけでも手作りして新年を迎えてみては?番組のレギュラー陣10名が、手作りするならこれ!という一品を、3日にわたり紹介。

詳細情報
番組内容
土井善晴さんは、父・土井勝さんから受け継いだ「黒豆」を紹介。豆は水で戻さず、煮汁で戻してそのまま煮ていくのがポイント。清水信子さんは長年作り続けている「揚げごまめ」。砂糖としょうゆで煮絡めず、カリッと揚げてカレー粉をまぶす。野口日出子さんは「豆腐だて巻き」。卵に魚のすり身を混ぜてふわっとさせるのが一般的でが、より手軽にできる様、代わりにすった豆腐を加える。
出演者
【講師】料理研究家…土井善晴,料理研究家…清水信子,料理研究家…野口日出子,【語り】後藤繁榮,與芝由三栄

ジャンル :
情報/ワイドショー – グルメ・料理
趣味/教育 – その他

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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