ハートネットTV ブレイクスルー「File.16 女優 サヘル・ローズ」 2014.12.22


(サヘル)ようこそ女子の秘密の花園ブラジャーの世界へ!
(風間)
イラン出身のタレント…
その飾らないキャラクターで人気急上昇中です
バラエティー番組からトークショーまで。
そして今最も力を注いでいる仕事
それは女優です。
発信力のある女優になって伝えたい事があるからです
(銃声)
サヘルさんは3歳の時…
8歳の時養母と共に来日。
しかし学校では過酷ないじめ。
貧しさから公園でのホームレス生活も余儀なくされます
今がどんなに苦しくてもいつか前を向ける日がやって来る。
その事を子どもたちに伝えたい
女優サヘル・ローズさんのブレイクスルーに迫ります
壁にぶつかった時再び一歩前に踏み出すヒントを探る番組「ブレイクスルー」。
今回の主人公は女優のサヘル・ローズさん。
紛争で家族全員を亡くしそのあとも貧困やいじめなど壮絶な人生を歩んできました。
今女優という仕事に打ち込む背景にはある特別な思いがあります。
7月。
厳しい暑さの中仕事へ向かうサヘルさん。
移動はいつも電車です。
ゲロゲロ。
ゲロッゲロッゲロッ。
やって来たのは都内の劇場。
女優としてこの日の舞台に立つためです。
おはようございます。
よろしくお願いします。
ここはいつか自分も演じたいと願い続けてきた憧れの場所。
今回の舞台はコメディー。
サヘルさんにとって初めての経験です。
劇団の主宰者がやって来ました。
前日の公演でサヘルさんの演技に物足りなさを感じたようです。
後ろの席まで声が届いていないと駄目出しを受けたサヘルさん。
一人黙々と練習を重ねます。
女優という仕事にこだわる訳。
それは影響力のある女優になってどうしても伝えたい事があるからです。
(爆撃音)イラン西部の小さな村で生まれたサヘルさん。
3歳の時その村がイラク軍のものと見られる空爆を受けます。
家は全壊。
がれきの下敷きとなり4日間も身動きがとれませんでした。
両親と兄弟全員が亡くなりただ一人生き残りました。
その時の記憶がトラウマとなり今も突然恐怖に襲われると言います。
がれきの中から奇跡的に救出されたサヘルさんは首都テヘランの孤児院に入ります。
甘えたくても甘える相手がいない生活。
食べ物や洋服も十分ではなくいつも子ども同士奪い合うようにして暮らしていました。
その後養母に引き取られ日本で暮らすようになったサヘルさん。
自分と同じように親と暮らす事ができない児童養護施設の子どもたちと交流を続けています。
施設で暮らす子どもたちの気持ちを広く世の中に伝えたい。
その思いがサヘルさんを突き動かしています。
開演の30分前。
サヘルさんが突然顔にほくろを描き始めました。
役になりきるためのちょっとした儀式。
舞台が始まりました。
観光バスからツアー客がこつ然と姿を消すという事件がありました。
失踪したのはコヤガオカヒバリ。
エリック・ジョーンズ…。
指摘を受けた声もこの日は客席の後ろまでしっかり届いていました。
今日はサヘル・ローズさんにお越し頂きました。
よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
サヘルさん今のVTR見て電車で移動されてるんですね。
はい。
もちろん今日もこちらまで電車で来ました。
やっぱり移動してる時に町並みを見たりとかすると思うんですけれども自分の記憶の中にある幼い頃に見た景色と今の日本の景色っていうのの差みたいなものは感じたりしますか?正直小さかったのでパッて言われて今こうですとは言えないんですが体は覚えていますね。
例えば暗闇に入ったりするとフラッシュバックじゃないですけどもすごく嫌で怖くなってきますしこういう話をする時体が震えるのもそうですしいい汗なのか悪い汗か分からないですけどもすごく今のVを見たりとか自分の過去を思い返す時ってあんまり具合的にはよくはないです。
いろいろな経験をしてきた中で女優という仕事をサヘルさんはチョイスする訳なんですけれどもそこにはどんな思いがあるんですか?芝居を通していろんな…子どもたちにもこういう生き方があってこういう人が今こう頑張ってるんだっていうふうに…。
私はたまたま施設から出て今ここにいるじゃないですか。
だからこそ自分がみんなの目につくところにいたいって思ったのがこの仕事につながったんですよね。
私はいつかその芝居を通して施設だったりとか血のつながりがない親子を演じてみたいなと思っていて演じる事でもっと多分言葉ではなくて…映像ってそうじゃないですか。
多分みんなに読み聞かせをしてそれを分かる子もいれば映画とかドラマを通して物語として聞かせてあげるとああそうなんだって誰かしらに影響を与える事もたくさんあるので…。
こんにちは。
(取材者)こんにちは。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
サヘルさんは今養母のフローラ・ジャスミンさんと2人で生活しています。
(取材者)よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
女優として活躍するようになった今も決してぜいたくはしません。
この家具も20年前に買ったもの。
(サヘル)結構ガタガタなので。
ねっ。
そうそう。
大変ですけど。
外食もほとんどしません。
今日のメニューは故郷イランの家庭料理ナスのトマト煮込み。
温かいごはんを一緒に食べる普通の暮らし。
それを手に入れる事は2人にとって簡単な事ではありませんでした。
サヘルさんが養母のフローラさんと出会ったのはあの爆撃の時。
大学生だったフローラさんがボランティアとして被災地を訪れがれきの中にサヘルさんの小さな手を見つけたのです。
この子を養子にすると決めたフローラさん。
しかし由緒ある家に育ったため若くして孤児を引き取る事を両親に強く反対され勘当されてしまいます。
その後知人を頼り日本にやって来た2人。
程なくしてその知人との関係もうまくいかなくなりました。
頼る人も行く当てもなく公園でホームレス生活を送るようになった2人。
水道で体を洗い食事はスーパーの試食品で済ませました。
その後公園での生活からは抜け出しましたが今度は学校でいじめの標的になります。
擦り切れるまで大切に履いていた靴も投げ捨てられました。
お母さんだけには心配をかけたくない。
いじめの悩みを一人抱え込み次第に追い詰められていきました。
ある日今日こそは死のうと思って学校から帰ると家ではフローラさんが一人涙を流していました。
フローラさんもまたギリギリの生活を送る苦しさを一人で抱えきれなくなっていたのです。
お互いの苦しさを語り終えた時もう一度前を向く気力が取り戻せたというサヘルさん。
苦しい時にその苦しさを吐き出す事が何より大切だと感じています。
誰も味方がいないとか守ってくれる人が…。
そうじゃなくて絶対誰かはいるし発信したらそのモールス信号は絶対届くもの。
発信する事を諦めないでほしい。
(安藤)何よりお母様フローラさんがめっちゃくちゃ強くてすごい方なんだなという事をすごい感じましたね。
本当にお母さんはきっと夜屋根もない壁もないあの空間で女性一人で子どもを守るっていうのを課せられていた時のお母さんの思い。
…と思ったらやっぱりそこで本当だったら私を施設に戻し…国に帰って施設に戻して新たなスタートを切ればよかったのかもしれないけれどもそれをしなかった。
最後まで自分を手放さずに手を握りしめてくれた事はすごい感謝しています。
本当にすごい。
そのお母様が弱音を吐いていた姿を見た時に自分もやっと弱音を吐く事ができたっておっしゃってましたけどそれがあったからこそ2人の絆っていうのは更に深まったんでしょうか。
正直な事を言うとそれまではお母さんはお母さんだけど私はどこか遠慮をしてる自分がいて…というのも自分のせいで国からも出てきちゃったし本当だったらもっと明るい未来が彼女には待ってたけれども何か迷惑かけてるなっていうのも感じた自分がいて後ろめたさがたくさんあったんですね。
だから中学校とかでいじめに遭っていても…母親だけどこの人の前では別の人を演じようと思ってそこから演じていたんですよね。
お母さんの好きなサヘルを。
お母さんを逆に心配かけないように演じなきゃいけなかった。
はい。
勉強が分かんなくてだんだんと落ちてくるじゃないですか成績が。
そうするとお母さんに一応成績表は見せていたんですけども母が…あれ成績表数字が1から5まであって5が一番よくて1が一番悪いじゃないですか。
お母さんに「何で1があるの?」って言われた時に「日本が一番1がよくて5が一番悪いんだよ」って真逆のうそついてみたりとか。
だからお母さんの中では私は成績優秀の優等生の何でもできちゃう子っていうのがお母さんが私を見てそれを感じていたから私もそのお母さんの好きな私を演じてあげてた。
でもお母さんのその弱った姿を見た時「私だけじゃなかったんだ」って。
苦しんでいたのは。
お母さんもお母さんで苦しんでいたんだ。
この人は。
…で苦しさを吐き出せた時お母さんも苦しんでいてもっともっと本当は話していたら救ってくれたんだろうなって。
人はちゃんと言葉に出す事で感情を出す事で先へ進めるんだっていう。
ちゃんと言葉に出そう感情をっていうふうに目覚めた瞬間でしたね。
8月下旬。
サヘルさんは児童養護施設を訪ねる準備をしていました。
子どもたちにプレゼントしたいと用意した消しゴムはなんと300個。
これだけあればけんかにならない。
孤児院での生活を経験したサヘルさんならではの思いやりです。
サヘルさんが4年前から支援する児童養護施設。
3歳から18歳までの子どもおよそ50人が生活しています。
その多くが親からの虐待などによって施設にやって来ました。
高校生のまなみさん。
学校の友人に親の事を話せないなど施設暮らしならではの悩みを抱えてきました。
4年前初めてサヘルさんと会って自分もこうなれるかもしれないと希望を感じたと言います。
この日久しぶりに施設を訪れたサヘルさん。
すいません。
まもなく夏休みを終え学校が始まる子どもたちを元気づけたいと思っていました。
サヘルさんと久々に再会したまなみさん。
話したい事があると言います。
まなみさんの夢は大学に進学して子どもに関わる仕事をする事。
しかし学費をどうするかなど不安がいっぱいです。
いろいろ大変な事はあるけど夢は諦めないでほしい。
サヘルさんからのメッセージです。
施設にいる子たちって日本に限らずふるさとでもそうだったんですけどもやはり夢を持てない子が結構たくさんいるんですよ。
夢の持ち方が分からないというのもそうだしその期間に愛情を受けていない子たちは大人になってしまった時に人の愛し方だったりとか優しさっていうのを分からずに大人になってくるんですよね。
そういう子たちがたくさん生まれてしまっているのが現状であってでも同じ人間に変わりはないじゃないですか。
でも夢を…施設にいるのといないとで持ち方が分からない。
また夢が持てないというのはすごく私は残酷的な事だと思うしあってはならない事。
そういう子たちはどうやったら夢を持てるのかそういうマインドになっていけるのかっていうのは何かありますかね?とにかくやりたい事を…どんな事でもいいから例えば小さな事でも大きいものってそんな…こう言ったら恥ずかしいとか何かそういうものを気にせずにとにかく自分が好きな事で笑っていられるものを一人一人が口に出してこれが好きっていうのをどんどん言ってもらいたいしそれを周りが気付いてあげて今の社会の人たちもその子たちにちゃんと目を向けてほしい。
そういう子たちにとっての心の支えになる目印になるような目標になるような存在でありたいっていうのが思いとしてあるんですかね?あります。
大人になってこういうお話を通して生きるってすごいんだなって。
毎日目を覚ます事もすごく奇跡なものだし全力で生きるってすごい…当たり前にみんな生きてるじゃないですか。
でもそうじゃなくて一日一日が明日がないかもしれないと思って生きると生きてる人って人間ってすごい生命力にあふれていてなにかしら生かされてるのには意味があってこれを次の世代に伝えるためのメッセージがあったからこそきっと私はこうしてそこで生き延びる事ができたんだろうなと。
無駄にはしたくないなって思います。

(テーマ音楽)2014/12/22(月) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV ブレイクスルー「File.16 女優 サヘル・ローズ」[字]

月曜はブレイクスルー。今回の主人公は、女優サヘル・ローズ。紛争で家族全員を失い孤児院で育った彼女が、演じることで伝えたいこととは?【出演】風間俊介、安藤桃子

詳細情報
番組内容
ハートネットTV。月曜は、壁にぶつかった時、一歩前に進むためのヒントを探る「ブレイクスルー」。今回の主人公は、イラン出身の女優サヘル・ローズ。3歳の時、紛争で家族全員を失い孤児院で育った。養母とともに来日後も、イジメにあったり、生活苦から公園でホームレス生活をおくったり。だからこそ彼女が今、女優として、演じることで伝えたいメッセージとは?【出演】風間俊介(俳優)安藤桃子(映画監督)【音楽】若旦那
出演者
【ゲスト】サヘル・ローズ,【司会】風間俊介,安藤桃子

ジャンル :
福祉 – 社会福祉
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
福祉 – ボランティア

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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