今日の舞台は東京築地市場。
カンパチサンマどれも新鮮でおいしそう。
でも築地で生きがいいのは魚だけじゃない!そいや〜!
(田島)ハハッハハッ!今日の主人公は…。
アハハハ!カメラマンさんともイエ〜イ!こちら…ではなくこちらの若者。
ちわっす。
(一同)おはようございま〜す。
どうも。
今日ゴマ入ってます?ゴマ。
田島龍さん25歳。
毎日築地に通って鮮魚の買い付けをしている。
この道に入ってまだ3か月。
築地の仲買人たち相手に日々奮闘中。
おいしい。
実は彼が勤める会社はIT企業。
これまで電話やファックスでのやりとりが中心だった水産物流の世界に本格的なITシステムを導入。
飲食店がタブレット端末を使って魚を細かく発注できる仕組みを作って急成長している。
全国の産地へと魚の仕入れ先も拡大中。
しかし…。
そうですよね。
アナログか?デジタルか?鮮魚とITの世界に乗り出した田島さん。
う〜っ!う〜!でかいねこれ。
魚だけでなく自分の人生も釣り上げられるのか!?こちらが田島さんの勤める会社。
3年前にITを使った鮮魚流通のサービスを始めた。
社員の平均年齢29歳。
特にここ半年で社員の数は倍増した。
この会社の最大の売りはタブレット端末を使った商品の発注システム。
こちらが鮮魚のリスト。
詳しい商品ページに移ると…写真付きで産地やサイズ値段などが細かく掲載されている。
旬のサンマは200グラム170グラムとサイズを選べる。
この細かな注文システムが飲食店に受けている。
商品のリストは毎日更新される。
産地からの入荷状況に合わせて販売リストを作成していく。
(松井)これはもう明日山口の萩から来る魚ですね。
これもLINEで送られて来るんですけど。
SNSなどを駆使して品物を目で確かめながらラインナップを決める。
仕入れは築地市場からも行う。
明日の入荷予測を見ながらあらかじめ価格まで決める。
客から注文が入ると直接築地に仕入れに行く。
この仕入れが田島さんの仕事だ。
朝5時田島さんが築地にやって来た。
仕入れ担当者たちも集合。
価格やサイズなど仕入れ条件を確認しそれぞれ担当の魚を仕入れに行く。
田島さんの今日の最大のミッションは特選のサバを探す事。
おはようございます。
田島です。
これから訪ねる仲買人にまず電話。
仕入れは時間との勝負。
条件に合った良い魚があれば先に押さえる事もある。
おはようございます。
おはようございます。
どんな感じで。
これからが旬のサバ。
刺身にできる高級品の注文が増えている。
あとは…数あるサバの中でも神奈川県の松輪漁港で取れるサバは脂の乗りが良く築地では「黄金のサバ」とも呼ばれる高級品。
これ何本出る?これが8本で。
8本。
これは7本って。
そうか…。
田島さん手元のリストに従って仕入れ価格も確認。
今日は全部で6本の特選のサバを仕入れる。
とりあえず多分3もらうんで一応また後で来ますそしたら。
おはようございます。
(店主)おう!あれだ。
(店主)今日松輪の方いくらですか?う〜ん…。
(店主)だと思う。
今日入ってない。
入ってない。
確かに。
サンマル…。
想定していた値段よりも高かった。
ね。
間違いないですね。
あ〜。
でも値切りは切り出しにくそう。
これでニーゴーでしょ。
あ〜お疲れさまです。
判断をチーフに相談。
サンマルだったら結構いい松輪入るんですよ。
あ〜。
すると見かねた店主が…。
じゃあ1本だけ松輪いく。
はいそれで。
はい。
ありがとうございます。
(店主)OK?OK。
1本だけおまけをしてもらってなんとか条件内で買う事ができた。
IT企業とはいえこうした生のやりとりが日々の仕事だ。
(女性)今日化粧してきた?え?アハハハ!駄目だよテレビに映るんだから。
アハハハ!イケメンだからね。
もらいますよ。
うん。
どうぞどうぞ。
田島さんがやって来たのは貝類を多く扱う仲買人。
あっこれか〜。
うん。
岩手県産のカキを見つけた。
食べる?初物は飲食店からの注文も多い。
仕入れの判断は味に納得がいくかどうか。
おいしい。
いくつかカキを購入して持ち帰る。
最終判断を下すのは仕入れのリーダー松井さん。
松井さんは1年前同じ水産業界から転職。
チーム随一の目利き力で商品を見極める。
しょぼい?いや。
食うと結構ある?ですよね。
うん。
早速明日から飲食店に販売する事が決まった。
作業が終わりオフィスに戻ると時刻は12時過ぎ。
今日のランチは同僚お手製のお弁当。
フフフ!めちゃくちゃおいしい。
一息ついたところで買い付けの精算作業に取りかかる。
築地での買い付けは全て現金支払い。
お願いします。
お願いします。
毎日1円単位で精算してようやく築地での買い付けが終了する。
頂きます。
ドキドキですよもう毎日。
入社して3か月できるだけ魚の知識を増やしていきたいと田島さんは考えている。
この日向かったのは契約している飲食店。
(ノック)ちわっす。
・
(店主)おはよう。
すいません。
あ〜開かないね。
はいはい。
すいません遅くなっちゃって。
あ〜いえいえ。
もらっていい?はい。
大丈夫です。
この店は2年前から田島さんの会社のサービスを利用している。
アジがね〜すごいいいんですよ。
全然腹も張りあるし。
田島さんの仕事は仕入れだけではない。
こうして定期的に飲食店に足を運び客の声を聞く事でニーズを探る事も求められている。
とりあえず今日納品した魚食べてみようぜ。
はい。
仕入れた商品を食べさせてもらえる事になった。
あんまり乗り乗り過ぎるよりなんかちょっと…いやまだ口の中入れたばっかだもん。
これはもう間違いはない。
うん。
いいと思ういいと思う。
このお店では珍しい魚をメニューに加える事でチェーン店に対抗しようとしている。
あっ!ウツボとかも…。
へ〜。
すごくおいしいらしいよ。
そうなんすか。
そう。
そうそうそう。
これまで仕入れた事のないさまざまな珍しい魚の話で盛り上がった。
田島さんの一週間スケジュールはこちら。
毎朝5時から築地で仕入れ。
そしてお休みの日は…。
船で東京湾へ。
子どもの頃から海が大好きで釣りによく出かけていた。
この日も絶好調。
し〜っ!う〜っ!う〜!でかいねこれ。
うまそ!月に2〜3度は職場の先輩と一緒に海釣りに出かける。
ヘヘヘ…!やりましたよ。
やりましたね〜!いいサイズですよこれね。
釣りだけでなく大学時代はサーフィンやダイビングのインストラクターをしていた事も。
就職は勢いで決めた。
就活で最初に出会ったネットの広告代理店で卒業後働きだす。
この仕事を一生続けていくのか疑問に思った田島さん。
自分の考えを整理するため1冊のノートを書き始めた。
自分の興味をひたすら書き出し改めて自分が海が好きな事に気が付いた。
自分のやっぱりルーツですね。
自分らしさ。
26年間生きてきた中のルーツを生かせられる。
あと新しい分野を開拓していく。
あと社会的意義ある事業ですね。
この軸に沿っていれば僕は何でもいいと思っていますしむしろそれ以外の事はやりたくないなと考えていろんな仕事を探した結果この会社に行き着いたと。
ここの会社が一番最初の会社であったら多分ここまで考えてないですね。
自宅では魚をさばいて食べるんだって。
魚に使うお金は外食も含めると5万円。
多いね〜。
10月上旬のこの日。
台風が日本列島に接近していた。
仕入れへの影響が心配だ。
既に取引先のある九州では数日前から海が大荒れ。
全く漁に出られない状況が続いていた。
案の定産地からこんなメールが…。
これ唐津なんですけど水揚げがやっぱり上がんないから。
台風といえども飲食店からの発注はいつもどおり。
魚をどう確保するか。
翌朝田島さんは築地市場に向かった。
やっぱりね〜。
旬を迎え今売れ筋のサバがなかなか見つからない。
青森以外は全然入って来ない?全然ダメ。
はい。
あ〜。
今日はダメ。
ダメ。
うん。
いいよいいよ。
俺撮ってもらわなくていいよ。
今日ないよ。
多分…ないですよね。
アジいくらですか?今日はない…。
まじっすか。
うん。
アジはなんとか昨日築地に届いたものが残っていた。
しかしちょっと小ぶりのようだ。
しょうがないか。
これもらいますわ。
なんとか欠品は免れた。
魚の仕入れは大きく天候に左右される。
安定して仕入れるにはどうしたらよいのか…。
入社3か月の田島さん。
お願いします。
この日社長に呼び出された。
松田雅也さん。
26歳で最初の起業。
その後今の鮮魚流通会社を1人で立ち上げた。
社長は田島さんに初めての産地訪問を命じた。
(松田)とっても値ごろで。
産地ならではのオリジナリティーある商品を発見しより安く安定的に飲食店へとつなげていけるか。
会社の今後を左右する課題だ。
はい。
ちょっと初めての産地なんで…。
ちょっと緊張しますけどね。
あそう。
楽しみですね。
うん。
房総半島の南端に位置する海沿いの町だ。
東京まで1時間半と近いうえ魚の種類も豊富だという。
おはようございます。
出迎えてくれたのは黒川友一さん。
この辺りの3つの漁港の競りに参加できる地元の仲買人。
産地から買い付けをするには彼のような存在が欠かせない。
今回は黒川さんとの関係作りも重要なミッションだ。
こちらはサイズの小さなシイラ。
成長すると1メートル以上にもなる。
定置網に引っかかった小さいものは地元では買い手がつかないという。
(黒川)これだって何かしら加工すれば使えない事はない…。
みんなこれゴミで捨てちゃうもんだから。
あ〜。
一とおり魚を見たところで市場の競りが始まる時間になった。
黒川さんに市場の魚の仕入れを急遽お願いする事に。
これでいきましょう。
ここでの競りは入札方式。
仲買人はそれぞれ札に値段を書き最も高い値段を書いた人が落札できる。
一発勝負だ。
(競り人)マルタケー!
(競り人)マルタケー。
黒川さんに仕入れをお願いした魚は買えるのか…。
(競り人)4キロがイチゴー。
マルイチ。
おっ札に丸がついた。
(競り人)マ〜ルチョ〜。
ガラ買えましたね。
この日は全部で3種類の魚を落札した。
まあいい経験になりましたね。
そうですね。
まあまあこれはこういう事ですのでよろしくお願いいたします。
はい。
よろしくお願いします。
じゃどうも〜。
はい!ありがとうございます!夜黒川さんたちが歓迎会を開いてくれた。
(黒川)やっぱり魚は鮮度ですよ。
ね。
間違いないですね。
本当にそうですね。
(黒川)だから今日の見たでしょ。
定置のもんと釣りのものの色の違い。
全然違いますもんね。
お酒が進むにつれて黒川さんからはこんな本音も。
(黒川)僕はねネットっていうのはねあんまり好きじゃないの。
声が聞けないじゃないですか。
そうですよね。
だから僕誰か消息とかね声が聞きたいなっていう時はやっぱりねネットではね面白くないね。
元気か声聞けばすぐ分かるもん。
この日の飲み会は3時間以上続き話題は家族の話にまで及んだ。
やってみて「あれ?何だこれは」って人ではダメですから。
だから田島さんにも会って社長にも会ってこうやって人柄とかそういうものを見てね「じゃあこれでやってみようかな」っていうあれにもなりますしね。
やっぱり…人柄ですよ。
う〜んみんな。
これから自分が連絡させて頂くので。
(笑い声)もう面識あるので。
翌朝。
港には黒川さんと肩を並べ魚を見る田島さんの姿があった。
産地からお客の元へ魚を届けるための新しいつながりができたみたいだね。
生々しい現場を知って…本当に自分のためにもなったと思いますし。
やっぱりこの自分が見た事をお客さんにちゃんと伝えないといけないと思ってますんで。
ITで新たな魚の流通に挑む田島さんたち。
人と人とがリアルにつながる事でその流通が完成するんだね。
私野田ともうします。
2014/11/17(月) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「IT鮮魚流通会社 社員」[字][再]
鮮魚流通にITを取り入れ急成長中の会社で働く田島龍さん・25歳。インターネット広告代理店から転職してまだ3か月。築地市場や産地で関係者にもまれる日々を追う。
詳細情報
番組内容
鮮魚流通の世界にITを取り入れ急成長中の会社がある。そこで鮮魚の買い付けや飲食店への営業を行う田島龍さん・25歳が主人公。3か月前にインターネット広告代理店から転職したばかりだ。前の会社でやりたいことが見つからなかった田島さんは「海が好き」という自分のルーツを思い出し、この業界への転職を決めた。IT企業とはいえ田島さんを待ち受けるのは“濃い”人間関係。築地や産地で信頼を勝ち取ることはできるのか。
出演者
【語り】Mummy−D
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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