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放射線影響考えにくい 前回異常なしの4人がん疑い 従来の見解を維持

 東京電力福島第一原発事故に伴う子どもの甲状腺検査の二巡目の本格検査を受け、県の「県民健康調査」検討委員会の星北斗座長(県医師会常任理事)は25日の検討委で「現時点で放射線の影響は考えにくいという(従来の)見解を変える要素ではない」との見方を示した。原発事故直後に行われた一巡目の先行検査では「問題ない」とされた4人が、4月から始まった二巡目の本格検査で「がんあるいはがんの疑い」と診断されていた。
 報告によると、4人は事故当時、6歳男子、10歳男子、15歳女子、17歳男子で、腫瘍の大きさは7~17.3ミリだった。一巡目の検査で2人が「A1」、他の2人は「A2」と判定され、いずれも「問題ない」とされていた。
 4人のうち3人は、原発事故から4カ月間の外部被ばく線量が推計できた。最大2.1ミリだった。4人は福島市、田村市、伊達市、大熊町にそれぞれ居住していた。ただ、委員からは「外部被ばく線量だけではなく、内部被ばく線量も考慮しないと原発事故との因果関係は分からない」として、誤解を招かないような情報発信を求める意見も出された。
 星座長は検討委終了後の記者会見で「(がんの疑いとされたのが)4例と少なく、一巡目との比較が必ずしも十分ではない。検査を継続して受けてもらうことが重要」と説明した上で「現時点で放射線の影響を直接証明することが難しい」と従来の見解を維持した。
 また、二巡目の本格検査で、血液や細胞などを詳しく調べる二次検査が必要な「B」と判断された人は27年度分の先行実施2人を含め、457人。このうち、一巡目の検査で「A1」「A2」と判断されていたのは333人(72・9%)だった。
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 一巡目の先行検査で、甲状腺がんと確定した子どもは、前回公表の6月30日時点の57人から27人増え84人に、がんの「疑い」は22人減って24人となったことも報告された。

※甲状腺検査 1巡目の先行検査は事故当時に18歳以下だった約37万人が対象で、2巡目の本格検査は事故後1年間に生まれた子どもを加えた約38万5千人を対象にしている。それぞれ、1次検査は超音波を使って甲状腺のしこりの大きさや形を調べ、程度の軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定する。大きさが一定以上で「B」と「C」とされれば、2次検査で血液や細胞などを詳しく調べる。1巡目に比べ、がんが増えるかを比較し、放射線の影響を調べる。

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