半年で35回、勉強会に参加した私が選ぶ「考え方を変えてくれたITイベントTOP3」【2014年後半のインプットlog―小山哲志】
2014/12/26公開
合同会社ほげ技研代表社員・日本UNIXユーザ会 幹事
小山哲志氏(@koyhoge)
1965年生まれ。3社を経た後ビート・クラフト設立に参加。働き出した当時から日本UNIXユーザ会をはじめとするコミュニティに参加。ビート・クラフト、テックスタイルを経て、アジャイルメディア・ネットワークに入社。2013年12月に同社を退職後は、自身で設立した合同会社ほげ技研を中心に活動中
勉強会への参加はエンジニアとしての生存戦略
自他共に“ITイベントマニア”と認めるほど、さまざまな勉強会に顔を出してきた小山哲志氏。この取材のために、今年7月以降に参加したイベントを数えてもらったのだが、なんとその数は35イベント。
2014年の7月~12月までは全部で27週間なので、単純計算でも毎週必ず何かのイベントに参加していることになる。
【2014年下半期に小山氏が参加したITイベント一覧】
■7月
7/16 第18回さくらの夕べ
7/17,18 AWS Summit
7/23 ポスト・スマートフォンを考えるアイデアソン
7/28 PHP勉強会東京
7/29 第1回 IP 2.0 公開研究会<グローバル時代の著作権・特許ルール>
■8月
8/1 カーネル読書会
8/23 LL Diver
8/28 SocialTV Conference2014
8/29 第4回 共創プラットフォーム研究会~映像の共創から未来を考える~
■9月
9/6 “俺の” XP祭り2014
9/8 OWASP Night 13th
9/11 PostgreSQL 9.4 最新情報セミナー
9/13 PyCon JP 2014
9/19 第1回 エンタープライズ向けのオープンソース勉強会
9/25 TechLION vol.18
9/26 第5回 共創プラットフォーム研究会
9/29 82回PHP勉強会東京
9/30 第3回 IP2.0 公開研究会
■10月
10/11 PHPカンファレンス2014
10/17 テンプレートエンジンNight
10/24 楽天テック前夜祭
10/25 Rakuten Tech Conf
10/27 83回PHP東京勉強会
10/28 RICOH THETA 公式ファンミーティング
10/29 JPA Thanks CONBU トークセッション
■11月
11/01 第6回共創プラットフォーム研究会
11/07,08 KOF2014
11/15 AVTOKYO 2014
11/19 未来ヴィジョンを言語化するフューチャー・ランゲージとその実践について
11/23 Maker Fair Tokyo
11/24 Engadget Fes 2014 Winter
11/25 TechLION Vol.19
11/26 Design Sprint for Android Wear
11/29 OWASP DAY
■12月
12/5 PostgreSQLカンファレンス2014
ラインナップを見てみると、小山氏が専門としているWeb系言語に関するイベントから、一見業務とは無関係に見えるイベントまでと、足を運んだイベントのジャンルは非常に幅広い。
自分の専門外のイベントに出る理由を尋ねると、小山氏は「生存戦略」と表現した。
「技術の新陳代謝はめまぐるしく、今、自分が業務で使っている技術が廃れることだってあり得ます。その時に自分の技術を代替できる技術を身に付けているかどうかが、エンジニアとして生き残れるかどうかだと思います」
つまり、エンジニアとして生き残っていくためにさまざまなイベントに出ていることになる。そんな小山氏が、イベントや勉強会に参加する中で最近得た「気付き」は以下の3つだという。
【1】共同作業による、自分自身のブレーキの外し方
【2】全天球動画のプログラミングの必要性
【3】未来のビジョンから逆算して今やるべきことを見つける方法
小山氏が参考にしたITイベント
【1】共同作業による、自分自身のブレーキの外し方
■共創プラットフォーム研究会
http://mediag.jp/news/cat3/post-341.html
この『共創プラットフォーム研究会』は、ニコニコ学会β実行委員長でもある産業技術総合研究所の江渡浩一郎氏と、昭和女子大学の木原民雄氏が中心となって開催されています。テーマは、別ジャンルで活躍する人たちが一つの物事を作り上げる方法論を学んだり、シナジーによって何が生まれるかを試す、というものなんです。
私が参加した回では、会田大也氏の『コロガルパビリオン』という、子どもの遊び場を子どもと一緒に作り上げていく取り組みの話を聞きました。
子どもに対するルールを決める時は、「○○してはいけない」とか、「やってはいけないこと」を決めがちです。しかし『コロガルパビリオン』では、基本的に何をやってもよく、大人が横にいてサポートしながらも、ルールそのものを子どもたちに決めさせているそうです。そうすると、子どもたちの発想も自由になり、子どもだけでは決して作れないであろう新たなクリエイティブが生まれるというのです。
「共創」によって人間が自分で無意識に作った壁が取っ払われることで、新たなアプローチが見つかるという話は面白かったですね。
【2】全天球動画のプログラミングの必要性
■RICOH THETA 公式ファンミーティング
http://ricohthetafan360.peatix.com/
■Maker Fair Tokyo
http://makezine.jp/event/mft2014/
■Engadget Fes 2014 Winter
http://japanese.engadget.com/2014/08/21/engadget-fes-2014-winter-11-24-egfes/
これらのイベントで全天球型カメラやOculus Riftの展示を見て、「2015年は全天球元年になるんじゃないか」と思いました。今までとは大きく違うコンテンツ表現が可能になることで、それとエンジニアリングを組み合わせた、いろんな面白いことができるようになるでしょう。
【3】未来のビジョンから逆算して今やるべきことを見つける方法
■未来ヴィジョンを言語化するフューチャー・ランゲージとその実践について
http://www.slideshare.net/takashiiba/future-language
「フューチャー・ランゲージ」とは、慶應義塾大学の井庭崇准教授らが研究している方法論で、自分が叶えたい未来を実現するために必要な要素を、少人数で議論しながら言葉で整理しつつ、細分化して割り出していく手法です。
ワークショップやアイデアソンのように、短時間でアイデアを出し、それを具現化しなければならないことがあるとします。私もしばしばそういったイベントに参加しますが、そういうアイデアソンでは、考えることそのものはあくまで個人作業なんですね。
「フューチャー・ランゲージ」の手法では、未来のイメージや現在の問題点を共有するところも、もちろんアイデアを出す部分も、グループの議論の中で行われます。それを体系立てて、短いスパンで実現する方法があるということはとても勉強になりました。
ただし、「フューチャー・ランゲージ」は井庭先生がまだ改良を加えている最中で、基本的には井庭研究室にしか開催できる人がいません。そのため、この手法を用いたワークショップが開催される機会は極めて限られていて、一度ワークショップに参加してみたいと強く思いました。
勉強会都市、東京
小山氏は、今のように多数のITイベントが開かれるようになる前、いわゆる“勉強会の黎明期”から各種ITイベントに参加してきた。
「こういうイベントに参加し始めたのは、1996年から日本UNIXユーザ会が毎月開催していた勉強会からです。それまでのIT系の勉強会は参加費が何万円もするような、いわゆるビジネスセミナーばかりで敷居が高かったんですよ。でも今はだいぶ変わってきた。今年の下半期、私が参加したイベントの多くは、無料で参加できるものばかりです」
勉強会の発展と共にエンジニア人生を歩んできた小山氏は、東京が世界的に見ても「エンジニアに有利な都市」であると考えている。
「こんなに狭い土地にこれだけの数の勉強会が密集している都市は、世界のどこを探しても東京だけじゃないでしょうか。交通網が発展し、人口密度も高く、時間的・空間的距離も近い。今の若いエンジニアは、すごくラッキーだと思いますよ。少しでも興味の湧くイベントがあったら、自身の生存戦略という意味でも参加することをオススメします」
取材・文・撮影/佐藤健太(編集部)
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