小さな子からお年寄りまでみんな大好きロールケーキ。
人生のターニングポイントでこのお菓子に出会ったのが…ロールケーキを食べながら書いた小説はひときわ思い出深い作品に。
ロールケーキとよしもとさん親子3世代を繋ぐ特別なスイーツの物語に迫ります。
光る石をたどれば行き着く不思議な家にあのお菓子の家のヘンゼルとグレーテルの末裔が暮らしています。
彼らが振る舞うおいしいお菓子の物語をご賞味あれ。
う〜ん…。
はあ〜。
何だこれは。
フフフフフ。
ちょっ…何だろう。
どうしたの?ヘンゼル。
えっ?いやかまどちょっとこれ見て。
姉ちゃんから奇妙なメッセージが…。
奇妙な?おっ?何だろう。
どういう事?ちょっと怖い。
怖い?あのね「幽霊の家」っていうのは実は日本を代表する作家よしもとばななさんの小説の題名です。
おっ?…でその「幽霊の家」っていう作品の中に登場する主人公が食べていたロールケーキの事なんですね。
へえ〜。
それが食べたいんだってね。
知らないな〜。
知らない?ちょっとじゃあ今から探りましょうか。
本開いてみて下さい。
うん。
あっ!…という事で今宵ひもとくのはよしもとばななのロールケーキ。
1987年23歳の時「キッチン」でデビュー。
以来ベストセラーを次々と発表。
45もの作品が出版されています。
世界中に愛読者を持つ日本を代表する作家です。
ラーメンにハンバーグかき氷。
よしもとさんの作品ではおなじみの食べ物が大切な役割を持っています。
ロールケーキがなくてはならない存在として描かれているのが小説「幽霊の家」です。
物語の舞台は夫婦の幽霊が出るという取り壊しの決まった古いアパート。
ここに住んでいるのが主人公の恋のお相手岩倉君。
老舗ロールケーキ屋の跡取り息子です。
2人はここで一緒にロールケーキを食べながら語り合い距離を縮めていくのですが…。
物語の重要人物がなぜロールケーキ屋の息子だったのでしょうか?そういうのをイメージしたかもしれないですね。
岩倉君はロールケーキ屋の跡を継ぐ事に疑問を抱きフランスへと旅立ちます。
しかし8年の修業の末実家に戻った岩倉君。
父親の作るロールケーキが独自の技術と工夫のたまものである事に気付くのです。
ロールケーキ作りの地道で奥深い世界に気付いた岩倉君。
これを一生の仕事にする決意を固めるのです。
あ〜なるほどね。
うん?この本の中にある「幽霊の家」のロールケーキって事だね。
そうですよ。
あのねよしもとばななさんはこの小説の中で岩倉君のお父さんのロールケーキについてこんなふうに書いてます。
うん。
これ割と正統派な感じですよね。
…という事で味わいのキメテをお願いします。
しっかり!はい。
昔ながらの誠実な味を目指しますよ。
はい。
じゃあまずスポンジ生地を作りますよ。
オーケー。
このスポンジ生地はね食べ応えがあるしそしてまたふんわりとした感じにしますから。
分かりました。
じゃあ早速オキテ!たっぷりです。
たっぷり入れるんだね。
じゃあ今回は卵黄と卵白を分けて泡立てます。
卵黄からいきますかね。
いきますか?30グラムの上白糖入れて下さい。
しっかり空気を入れて下さい。
空気をたっぷり入れないとふんわりしません。
ふわふわしてきた気がするけどな。
オーケー?はい。
卵白。
卵白いきますか。
今回は本当にふんわりさせたいから泡立てる前に上白糖入れる方がきめ細かくなります。
混ぜ過ぎると…硬くなるので。
混ぜ過ぎても駄目?まだもうちょっと。
ちょっと持ち上げてみて見極めようよ。
ちょっと垂れる感じだね。
いつもよりこの角がピ〜ンって立ってない感じ。
卵白に卵黄を入れて下さい。
ここでこのふわふわ感を潰しちゃいけないんだね。
空気を壊さないように。
それ大事です。
さっくり混ざりましたよ。
いいですね。
天板に…。
流していきましょうか。
結構ボリュームが…。
そうなのよ。
しっかりしてるのにふわふわなのよ。
カードでならします。
これ押さえつけない方がいいって事だよねあんまりね。
そうですよ。
生地の中の気泡抜きたいので軽く落として。
焼き色がきれいっていうのがポイントですから。
平らにする事がとっても大切。
はい。
もう一つ大事なポイントがあります。
オキテお願いします。
どういう事かって言うと高温短時間で焼くと表面にしっかり焼き色がつくんですよ。
そしてまた中にある水分を逃さないからね。
ふんわりとしてそしてしっとりとした生地に仕上がります。
なるほど!高温というのは200度で短時間っていうと12分です。
よし!はい。
ちょこっと…。
さっ!いい色に焼けるといいな〜。
小説「幽霊の家」を書いていた時ばななさん自身も人生のターニングポイントを迎えていました。
38歳にして妊娠。
そのころ突然はまってしまったのがロールケーキでした。
結構私…全体的に…なんと陣痛の始まる直前もロールケーキを食べていたというばななさん。
無事男の子が生まれます。
出産直前まで書き続けた小説には一つの覚悟が込められていました。
へえ〜。
ロールケーキを食べながらロールケーキの話を書いてたんだね。
すごいね。
すごいね。
(オーブンの電子音)おっかまど!焼けましたよ〜。
焼けましたか〜?見て下さい。
ちょっと見てみよ。
どうかな?よいしょ。
おっ!来た?来た来た?ちょっと見て下さいよ。
ほら!ほら!ねっ?いい焼き色です。
表面を触って弾力があればオーケーなんですけど。
弾力がしっかりあります!ありますね。
すごい!ここでオキテ!はい!冷めていくとどんどんどんどん水分がとぶでしょ?だからとんでしまわないようにオーブン用の紙をかぶせときます。
かぶせとかないと巻く時に表面が割れちゃう事があるんです。
よいしょ。
オーブン用の紙だと生地にくっつかないのでいいんですね。
うまく冷めて下さい!じゃあその間にスポンジに巻く具とクリームの準備をしましょう。
さっきの「幽霊の家」の小説ね。
小説の中に出てくるのがこの具が入ったケーキなんですね。
具?ちょっと来てみ。
はい。
はい。
見てよほら。
中?はいよ。
(ノック)どうぞお入り下さい。
あれ?これ…。
これかまど!ちょっと何これほら。
栗じゃないですかこれ!はいよ!栗の存在感満点!真ん中に栗が丸ごと入ったロールケーキにしますよ。
よし。
よしもとばななさんの父は戦後思想界の巨人と呼ばれた…隆明さんは体の弱かった母に代わりしばしば料理をしていました。
しかしそれは一風変わったものだったとか。
びっくりする感じでしたでも。
食材にあまり手を加えずユニークな発想で組み合わせた料理。
当時はいやいや食べていたそうですが…。
「懐かしいあれ。
あっ作ってみよう」と思ってもうほとんど同じに作ろうとするんだけど…一段階どうしてもやってしまうので。
そんなお父さんの好物だったのが…お好み焼きの生地であんこを巻いた…東京下町育ちのお父さんにはたまらないおやつだったそう。
ひょっとしてばななさんのお父さんは巻物がお好きだったんですかね?巻いていきましょう巻いていきましょう!来ましたね〜!来ましたね。
あのね栗を真ん中にドカンと置いてしっかり巻くためにクリームの塗り方とか巻き方にすごく重要なポイントがあります。
分かりました。
側面はちょっと剥がしちゃっていいって事かな?その上にもう一枚紙を載せます。
もう一枚紙を載せる?今度は…さっきはオーブン用の紙だったんだけど今度はコピー用紙。
普通の白い紙ですね。
これ後々分かりますから。
紙を載せたままひっくり返すんですけど…。
うん。
ちょっと本当に難しいよ。
こうでいいんじゃないかな?うわっきれいに…。
じゃあ次にクリームあったじゃない?泡立てた。
全体に広げていくんです。
壁塗ってる感じで…。
塗装職人みたいな…。
奥の方5センチぐらいからはちょっと薄めにして…。
坂になるような感じで。
いよいよ…。
栗です栗。
丸ごとぜいたくに使わせて頂きます。
じゃあちょうどそこら辺が真ん中ぐらいになると思うんだけどそこに隙間なく一列に並べて下さい。
ちょっとむらしとくと巻く時にずれないからね。
いいんですよ。
じゃあこれでいよいよ?巻いていきます?巻いていきますよ!はいオキテどうぞ!お〜?どういう事?どういう事?全く分からない。
そう。
じゃあ土手を作るっていう事をちょっと考えてみて下さい。
紙ごとゆっくりと巻くんだけれど緩やかに栗の手前に丸く折り込む感じ。
うわっこれ難しい。
指先で生地の縁を軽く押さえます。
この辺を?よいしょ。
はい。
それが栗の手前に土手を作るという事です。
こういう事ですね。
この土手をクッションにして巻いていきます。
上に一回持ち上げた方がいいね。
持ち上げて…思い切ってどっこいしょ。
いった巻いた!来た!ちょっとこっち向けていい?あっ!苦戦しております。
どうした?何?こっちの生地が…。
うわ〜。
もう何で〜?こういう事もあるから。
ねっ?ケーキごと真ん中にちょっとずらしちゃって。
優しくね。
それでもすてきなロールケーキだから。
おすし屋さんの気分になってよ。
こういう事ですね。
巻きずし作ってるみたいに…。
最後の終わりの所がちょうど真下になるように。
そうそう…。
形を整えて下さい。
はい。
紙の所定規でギュギュギュッとね…。
これをここに挟むと。
そうそう。
それをグググッと押してみて。
下の紙引っ張ってグッと押してみるとグッと縮まるでしょ?そうそう…。
ちょっと丸くなってきたよ。
オーブン用の紙だとこのテープが貼れないから。
はいはいはい。
ねっ?とじ目ちょっと下になるように。
それを冷蔵庫に入れますよ。
20分から30分落ち着かせましょうか。
はあ〜。
できたできた。
よし。
20〜30分後きれいなロールになってますように。
「幽霊の家」の執筆中ロールケーキを食べ続けたばななさんのおなかの中で育った息子。
やっぱりロールケーキ好きに成長?ばななさん息子が描いた理想のロールケーキの絵を披露してくれました。
チョコレート生地に思いつく限りのフルーツを詰め込んだカラフルなロールケーキ。
一体どんなお味なんでしょうか?かまど!これは作るしかないですね。
そうきましたか?やりますかじゃあ。
やりましょう。
はい。
じゃあチョコレート味のスポンジに生クリームいきますか。
オーケー!断面からフルーツが色鮮やかに見えるロールケーキにしたいですね。
分かりました。
ちょっとかまど!スポンジがさっきよりちっちゃいんですけど大丈夫かな?これは。
息子サイズ。
ハーフサイズ。
そういう事ね。
はい。
巻き方を少し変えます。
スポンジでクリームとフルーツを一巻きで。
一巻きでいく?一巻きで包みます。
まずクリームの半量を平らに塗って下さい。
今回は絶対にやってやるぞ。
じゃあそこにイチゴ以外のフルーツを一列ずつ等間隔で並べて下さい。
できましたか?できましたよ。
はい。
ではここでオキテ!どういう事?これは。
残り半分の生クリームの塗り方なんですけども巻き始めと巻き終わりが薄めです。
こういう事になるって事ね。
そういう事ですよ。
山型にします。
緩やかな山型になるようにして下さい。
そうすればバランスよくフルーツが並ぶし巻きやすくもなりますと。
緩やかな感じじゃないですか?じゃあイチゴ今度は。
ここの真ん中にいきますか?そうそう。
…に埋めるように並べていきますか。
はい。
あ〜きれい。
あっピッタリですね。
いいですね。
じゃあ巻いていきますか。
ふんわりと端と端を合わせていきたいと思います。
オーケー。
いきます!そう。
横から見ると涙の形みたいな…。
涙の形。
はいはい。
定規をやって…。
押し込む。
ギュギュギュッと。
丸くしますそれで。
どうだ?丸くいきましたか?はい!ちょっと一息TeaBreak!ロールケーキの進化を見ていきましょう。
日本でロールケーキが一般に広まったのは昭和30年代。
日本の街角で洋菓子専門店がおなじみになったこの時期ロールケーキも店頭の人気者に。
2000年代に入るといよいよロールケーキブームが到来!専門店も続々出現!素材や具のバリエーションが一気に急増〜!こんな人気キャラクターまでロールケーキになっちゃったんです!更に更にロールケーキがタワーとなって登場!色とりどりのミニロールを積み重ねて出来ているんです。
かわいい!一つ一つが小ぶりだから手でつまんで食べられるパーティーの人気アイテムなんですよ!はい!やっ!う〜ん。
あのロールケーキタワーすごいね。
最高ですね。
いろんな種類が食べられるんでしょ?あれ。
そうよ。
あれ食べてるうちにあっという間に4つも5つも食べてそう…。
確かに。
じゃあそろそろいいんじゃないでしょうか。
さあこれドキドキですね。
ドキドキワクワク。
どんな感じでしょうか?さてさて。
両手で?よいしょ。
焼き上がりが上に来てていい感じだね。
きれいな焼き色じゃないですか。
いきます!はい。
ほら!うわ〜!出来てるよ!栗もちゃんと…。
見た目はともかく中はすばらしいですよやっぱり。
ちょっとかまどこれ見て!うん?ほら!きれい。
すごいきれい!これで親子ロールケーキ完成です!
(チャイム)あっ姉ちゃん帰ってきた。
姉ちゃんお帰り!ロールケーキ出来てるよ!よしもと家の親子ロールケーキ。
こんがり滑らかに焼けたスポンジに大きな栗の存在感たっぷり。
お隣のミニロールは色とりどりのフルーツが目に鮮やか。
独創的なロールケーキを考えてくれたばななさんの息子さん。
晩年体調を崩した祖父隆明さんに特製の栄養ドリンクを作ってあげたそうです。
それはプロポリスお酢オリゴ糖はちみつなど体にいい素材を独自の配合でブレンドした甘〜い飲み物。
これを飲んだ隆明さんがばななさんにこんな事を言ったそうです。
ああいうところを…それをすごく大切に思ってます。
今でもちょっとした事で…今日の「グレーテルのかまど」いかがでしたか?よしもとばななさんのロールケーキ。
まあロールケーキというと僕の中ではすごく素朴で素材もシンプルですごくなじみのあるスイーツなイメージだったんですけれど今回作ってみてその難しさにとてもびっくりしました。
ロールケーキの奥深さを思い知らされたという感じです。
それではまたこのキッチンでお目にかかりましょう。
ではちょっと失礼して。
頂きます!どうぞ。
いや〜本当にこの割れてるのがな…。
本当に残念だけど。
そういうのがいいのよ。
頂きます。
あ〜おいしそう。
生地ふわふわなんですけど弾力がありますね。
このフルーツの方。
きれいよほら。
とってもぜいたくな…。
う〜ん。
うれしい顔になりましたね。
これはまっちゃいますよ。
ねっ。
はまっちゃいましょうか。
どんどんいけるもん。
もう完食してる!うん。
2014/11/21(金) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
グレーテルのかまど「よしもとばななのロールケーキ」[字][デ]
作家・よしもとばななが、妊娠中に食べ続け、当時執筆していた小説にまで登場したのが、ロールケーキ。スタジオでは、秋の味覚・クリがまるごと入ったロールケーキに挑戦!
詳細情報
番組内容
作家・よしもとばななが並ならぬ思い入れを持っているスイーツ、それがロールケーキ!2003年に発表した短編小説「幽霊の家」では、老舗ロールケーキ屋の息子と洋食店の娘のカップルが登場し、ロールケーキが重要な役割を担って描かれる。執筆時は妊娠中で、将来への期待と不安に直面していた作者が託した思いとは?スタジオではヘンゼルが、クリがまるごと入ったロールケーキに挑戦!
出演者
【出演】瀬戸康史,【語り】キムラ緑子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
バラエティ – 料理バラエティ
情報/ワイドショー – グルメ・料理
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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