日曜美術館 アートシーン ▽“内藤礼 信の感情”展ほか 2014.12.14


今年の11月にリニューアルオープンした…この美術館は昭和8年代表的なアール・デコ建築として建てられた…建物自体が美術品として高く評価されています。
建物は見事に修復復元されました。
さてリニューアル最初の展覧会は…現代美術作家内藤礼が制作した木彫の小さな「ひと」です。
小さな「ひと」は大人の指ほどの大きさ。
広い室内でぽつんとたたずんでいます。
鏡の前に立つ「ひと」。
鏡にはこちらを向いた「ひと」がいます。
(内藤)鏡はあの…かつてそこで暮らしてた人やそこを通りかかった人がのぞいていたものだと思うととても不思議な物体で今はその姿は見えませんけども何人もの人がそこの中を見てそういう中で人のいる場所を考えていって鏡を通してこちらを見て待っている人っていうのが浮かんできたんですね。
内藤は鏡を通して建物が経てきた年月やここで暮らした人々の思いを表現しようとしたのです。
小さな「ひと」は数ある部屋の思わぬ場所に潜んでいます。
美術館の中を探索しながら見つけるのも楽しみ方の一つです。
この小さな「ひと」は窓の外を静かに見つめています。
本館のリニューアルと共に新しい展示会場も建てられました。
内藤はここに一見何も描かれていないように見える白いカンバスを飾りました。
「色彩のはじまり」を表現するこの作品はアクリル絵の具を僅かだけ水に溶かし何度も重ねています。
見つめているとふとした瞬間に色彩が浮かび上がります。
(内藤)光が…光はいつも向こうからやって来る。
何かが現れようとする…。
現れたのかもしれないというその瞬間。
もしかして今現れようとしているのではないかっていうその時を見たいというか自分で感じ取りたいという事なんでしょうね。
深く静かな感動をもたらす作品を発表してきた内藤礼。
版画と詩の作品集「月映」。
刊行100周年を記念した展覧会です。
1914年3人の美術学生によって木版画と彼らの詩をまとめた作品集が誕生しました。
田中恭吉は当時「死の病」といわれた結核に苦しめられながら命を刻むように木版画の制作を続けました。
藤森静雄は生と死について深く内省した作品を生み出しました。
そして恩地孝四郎は日本における抽象版画の先駆者として活躍。
3人が刻んだ木版画は近代美術史に大きな足跡を残しました。
西洋ファッション史研究の第一人者として活躍した石山彰。
そのコレクション展です。
16世紀世界各地の服装を挿絵入りで紹介する書物が相次いで出版されました。
17世紀以降当時の流行衣装を描いた「ファッション・プレート」と呼ばれる版画作品が盛んに出版されます。
18世紀に入るとカラーのプレートも出回るようになりました。
18世紀以降のドレスも展示されています。
ファッションを通して各時代の美意識生活様式などをかいま見る事ができます。
その後ご覧の会場でも開かれます。
優しいまなざしで乳を与える女性。
豊かな色彩が躍動感を生み出しています。
新しい日本画を創り出すため積極的に取り組んだ福田豊四郎。
生誕110年を記念する展覧会です。
秋田県出身の豊四郎は川端龍子と土田麦僊という2人の革新的な日本画家のもとで研さんを積み若くして注目されました。
豊四郎は戦前戦後と独創的な作品で日本画壇をけん引してきました。
一方で65歳でその生涯を閉じるまでふるさと秋田を思い続け郷土色豊かな作品も残しています。
イギリスの現代陶芸を紹介する展覧会です。
ロンドンで活躍する陶芸家の作品を中心に洗練されたフォルムの器が展示されています。
イギリスの陶芸は近代になって日本にも深い影響を与えてきました。
土と向き合う陶芸家たちの内なる感覚が個性的な器を生み出しています。
フランス人画家ジョルジュ・ルオーのもとで学び日本洋画壇に影響を与えた伊藤廉。
角を突き合わせて戦う2頭の水牛。
描かれたタッチからは躍動する力強さと生命力がみなぎっています。
テーブルに置かれたザクロとイチジク。
実は熟し皮がはじけています。
多彩な色使いで見事に表現されています。
また芸術大学で教べんを執るなど美術教育の分野でも業績を残しました。
絵本をめくると鮮やかな色彩と美しい線で描かれた絵が次々と現れます。
幼い子供たちのために文字に頼る事なく斬新な構成で物語を作っています。
描いたのはイタリアの絵本作家イエラ・マリ。
イエラの作品は当時の児童文学の世界では画期的なものとなりました。
新しい絵本作りの表現を開いたイエラ・マリの世界です。
数多く展示されている絵本の原画。
これは黒一色で描かれています。
チョウの羽が一本一本丁寧に描写されています。
こちらはカラーで描かれた原画。
鶏の羽を緻密に描く事で躍動感が生まれています。
この原画が絵本になるとこうなります。
めんどりが卵を産みやがてひながかえり成長していくという物語。
最後のページには大人の羽に抜け変わりつつある若鶏が描かれ物語の最初につながっていきます。
優れた観察眼で生き物の命のサイクルを表現し子供たちに伝えようとしました。
イエラの自然を見る目も絵本に反映されています。
同じ構図で描かれたこの絵本はまるで定点カメラのように視点を一定に保ち時間経過や物事の変化を表現しています。
季節の移り変わりを大きな木と小さな生き物たちと共に描き自然の成り立ちを教えています。
今年の1月に82歳で亡くなったイエラ。
彼女の絵本は世界各地で出版され多くの子供たちを魅了してきました。
その後ご覧の会場で開かれます。
2014/12/14(日) 20:45〜21:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“内藤礼 信の感情”展ほか[字]

「内藤礼 信の感情」(東京都庭園美術館 11月22日〜12月25日)ほか、展覧会情報

詳細情報
番組内容
「内藤礼 信の感情」(東京都庭園美術館 11月22日〜12月25日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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