がんと診断されたらあなたは誰と一緒に闘いますか?今がんの治療現場ではさまざまなチームが活躍しています。
治療方針はもちろん栄養やリハビリ緩和ケアなどについて多くの職種の専門家が協力して問題解決に当たります
何が好きなん?寿司です。
寿司やって。
栄養士さん寿司出してくれへんか?しかも甘い寿司や。
甘い寿司。
(医師)いなり寿司とかやったらどうなん?
(患者)そういうのが好きです。
1人の患者をさまざまな視点から見る事で患者の希望や悩みをすくい上げ治療に反映させるのです。
今週はがんの患者を支えるチーム医療についてお伝えします
(テーマ音楽)知っておきたい健康情報を分かりやすくお伝えします。
「きょうの健康」です。
今週は「がんのチーム医療」をテーマにお伝えしてまいります。
こちらにがんのチーム医療を構成するメンバーをまとめました。
大勢ですね。
はい。
何と言ってもこのチーム医療の主役はこちら患者本人です。
そして患者に寄り添いサポートをしていくのが家族や看護師ですね。
更に治療を担当する医師。
検査などを担当する技師。
更に体の痛みや心の悩みのケアをする緩和ケアチームにも医師や臨床心理士がいます。
そして上にはリハビリチームがあります。
リハビリ医そして理学療法士作業療法士言語聴覚士がいます。
更にこちら栄養サポートチームには管理栄養士薬剤師歯科医歯科衛生士がいます。
こうしたがんのチーム医療実践の中心となるのがこちらキャンサーボードなんです。
今日はこのキャンサーボードについてまず詳しくお伝えしていきます。
今日も専門家をお迎えしております。
分かりやすく教えて頂きましょう。
ご紹介致します。
院長として職種を超えたチーム医療に取り組んでこられました。
どうぞ今日はよろしくお願い致します。
まず言葉の問題ですがキャンサーボード。
これはどういう事を指しているんでしょうか?キャンサーはがんです。
ボードは会議あるいは私たちの言葉でいうとカンファレンスですね。
これを意味しています。
つまりキャンサーボードはがんの診療と治療に関連して医師あるいはそれ以外の職種の方が参加して合同で方針を相談し決める。
そういう会議の事をいいます。
患者の側から言いますとちょっと難しい病気の状態の場合いろいろ相談して頂いてるんだなというイメージがこれまでもありましたが…。
恐らくこれまでは1つの診療科の医師同士が話をするあるいは診療科を超えて関係のある医師同士が話をするそういう会議ではあったと思うんです。
キャンサーボードはどこが違うのかと申しますと医師以外の看護師薬剤師あるいはソーシャルワーカーさん。
先ほどそちらで説明して頂いたさまざまな職種の方が参加する。
そういうところが少し違います。
そのキャンサーボードの背景にはチーム医療というものがある。
そのチーム医療が必要だというふうになってきたのはどういうような背景があるんでしょうか?職種を超えたチーム医療が必要になったその背景はこちらにまとめて頂きました。
医療者側の要因から申しますと医療の内容は非常に高度化しさまざまな専門家が存在しています。
手術する人放射線治療をやる人お薬を使う人などです。
それから患者さんにはがん以外にもいくつかの糖尿病高血圧心不全などの合併症を持ってる事が多いんです。
そういう合併症を治療する専門医も参加します。
つまり1人だけで最新の医療を全てカバーする事は非常に難しくなっています。
更にもう一つ最近の課題は患者さんの高齢化です。
さまざまなほかの病気を持ってる事以外に独居老老介護認知症と非常に難しい問題もあります。
この事は治療後の生活あるいは家庭でどういうふうな環境で過ごしておられるか。
そういう事も課題になってきます。
最終的に仕事をどうされるのか。
これらの問題を持ちながら心の悩みはないのか。
こういうがんという病気に加えてさまざまな課題悩みを抱えているのが患者さんの現状なんです。
こういう状況も考慮に入れながら最終的にいい治療法を選ぶためにはどうしても職種を超えたチーム医療が必要になってきます。
こうしたこのチーム医療の中でも中心となるのが今日のキャンサーボードという事なんですがこのキャンサーボードが始まったのは大体いつごろからなんでしょうか?日本でがんの専門病院でがんに対する職種を超えたチーム医療あるいはキャンサーボードを始めようと声を上げたのは恐らく私が病院長をしていました静岡がんセンターで約13年ぐらい前になると思います。
そうですか。
さあキャンサーボードにはさまざまな職種の人が関わっているという事ですね。
実際のキャンサーボードどんな様子なのかをご覧頂きましょう。
がん・感染症センター都立駒込病院の胃の外科では毎週キャンサーボードが開かれています。
外科が主催する会議に抗がん剤や内視鏡の治療を担当する内科医が参加。
更に病理医看護師薬剤師など多くの職種が集まります
まず治療方針を話し合います。
70歳代の胃がんの男性のケース。
数年前に胃を半分切除する手術を受けましたが残った胃に新たにがんが発生してしまいました
どうでしょうか?よろしいでしょうか?
内視鏡治療ができないと手術になりますが糖尿病と高血圧があるため手術に耐えられるかどうかが焦点になりました
議論の結果体の負担が少ない腹くう鏡手術で胃を切除する事になりました。
更に…
退院後のケアというのを方向ではどう考えましょうか?
さまざまな職種の専門家がそれぞれの視点から意見を出し合い患者にとって最もよい道を模索していきます
患者ご本人を取り巻くさまざまな事情が議論されているんですね。
そうですね。
印象的だったのがこの治療の事だけではなくて退院後の生活についてもいろいろ話が出ていたという事なんですね。
そうですね。
治療が終わってからも患者さんは社会で生活をされる訳ですからその生活がどういうふうになるのかそこまでを配慮して治療の内容を決めていくという。
それがとても大事なやり方だと思います。
非常に広い視点ですよね。
そうですね。
今見たようなキャンサーボードの取り組み。
これは広く行われていると考えていいんですか?はい。
今現在厚労省は407の施設だったと思うんですががん診療連携拠点病院に指定しています。
その指定要件に重要ながん5大がんというんですが5大がんに関してはキャンサーボードを運用する事という条件をつけていますから実際にはキャンサーボードはそれぞれの施設で機能してるとは思うんです。
ただし医師同士のカンファレンスというか会議はあるんですがほかの職種までどれだけ参加しているかについてはまだまだ疑問な点があります。
恐らくこれからの課題ではないかと思います。
そういう広がりをもっと確実なものにしていく事が大事なんですね。
必要だと思います。
じゃキャンサーボードが行われているという病院では全てのがん患者についてああいう事が行われるという…?現実には全ての患者さんに対して先ほど説明があったような全ての職種が集まるという事はもう物理的にも時間的にも場所の問題もあってできません。
…でどういうふうにやってるかというと非常に課題の多い1つの診療科だけではどうしても解決しにくいような難しい患者さんに絞り込んでその患者さんの抱えている課題に対して関係のありそうな職種に声をかけて臨機応変に集まって会議をすると。
そういうやり方をしています。
このキャンサーボードを行う事でどんなメリットが生まれたんでしょうか?非常にメリットは大きいと思います。
こちらを見て頂きますとかつて電子カルテで情報共有していた時代はやはりどうしても微妙なニュアンスが書ききれないしリアルタイムのディスカッションがなかったんです。
でもこのキャンサーボードという形で集まるといかにも時間が無駄という印象があるかもしれませんが非常に深い議論がタイムリーにできますから課題を整理して方向性を決めて役割分担をそれぞれ決めて持ち帰る。
そういう事がスムーズに行えるようになりました。
そういう事ができるようになると多くの人が情報を共有してる訳ですから何か漏れがあってもすぐに誰かが気が付くカバーしてくれるんです。
そういう意味では医療の安全性を担保する非常に重要なツールになっていると思います。
こうしながら病気を診るだけではなく心の課題から生活に関する配慮まで総合的なサポートが患者さんに対してできるようになっています。
…で実はこういう作業を医療者と患者さんが一緒にする事でお互いにとてもいい時間を過ごすんです。
病院の医療従事者はここで過ごしたこの時間が非常に張り合いのある時間になります。
キャンサーボードの課題としては先ほど医師以外の職種がもっと参加すべきだという課題を挙げて頂きましたが今後展望としてはどういう事ございましょう?先ほど治療が終わったあともご自分の元いた所で生活するそれが非常に重要でそれが本当の最終目標になると思うんです。
そういう意味では病院の中だけで職種を超えたチーム医療をやってるだけでは不十分で帰られたあとその患者さんのお住まいの周辺にいるさまざまな医療従事者というか関係者の方々ともお互いに一緒にチームを作って患者さんをサポートしていく。
そういう連携のネットワーク作りがこれからの課題になると思います。
がんの治療は今日のお話を伺っておりますとその病巣だけの治療ができればいいという問題ではなくてもっと社会的な広がりを持った視点が大事だという事なんですね。
治療に対する哲学が変わったというかがんの診療は病気を診てそれを治療するだけではなくてそれが誘因になって起こったさまざまな問題も一緒に解決をする。
そうやって患者さんがその人らしくその人生を生ききるのを支援する。
そういう観点までをがんの治療として取り組むようになっています。
そういう意味ではそれを実現するのはもうチーム医療しかありえないと思うんです。
そのチーム医療の重要な一員が患者さんでありご家族ですから患者さんご家族もご自分の思いをしっかりと語って頂いてその一員として積極的に参加して下さる事が大変うれしいし望ましい事だと思います。
がん治療に向き合う相談相手は医師だけではないという事を我々も覚えておきたいですよね。
どうもお話ありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
2014/12/15(月) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 がんのチーム医療「キャンサーボード」[解][字]
がん診療連携拠点病院などの治療現場では様々な医療チームが活躍中。1回目はがんの治療方針を主治医だけではなく多様なメンバーで検討するキャンサーボードを紹介する。
詳細情報
番組内容
いま、がん診療連携拠点病院など、がんの治療現場では、さまざまな医療チームが活躍している。患者を早期回復に導いたり、患者の多様な要望に応えるためには、医師だけでなく、多くのメンバーの知識と知恵を集めることが有効だからだ。患者と家族は病院内のチームをよく知り、適切な診療を受けることが大切。シリーズ1回目はがんの治療方針を主治医だけではなく多様なメンバーで検討する「キャンサーボード」について伝える。
出演者
【講師】がん・感染症センター都立駒込病院院長…鳶巣賢一,【キャスター】濱中博久,久田直子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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