(杉下右京)ミステリーですか?
(甲斐享)この映像がですか?
(米沢守)ええミステリーです。
なんでしょう?気になりますねぇ。
ええ。
(米沢)今朝長谷川重徳という出版社に勤務している男性がマンションの自室で何者かに殺害されているのが発見されました。
(芹沢慶二)第一発見者は管理人です。
午前11時頃被害者が勤める出版社から電話。
(芹沢)大事な会議があるのに出社していないので様子を見るように頼まれ発見に至った。
その時部屋の鍵は開いていたそうです。
(伊丹憲一)凶器はこのロープだな?はい。
でこれがスタンガンの痕か?
(米沢)ええ。
スタンガンで弱らせた上で首を絞めて殺したようですな。
死亡推定時刻は昨夜の9時から11時の間といったところでしょうか。
(伊丹)おいこれは?
(米沢)ああ…。
その傷は犯行時に出来た傷ではありませんね。
3日前の午後6時に病院で治療を受けていますね。
(ため息)しかしそれにしても荒らされてるなぁ。
それのどこがミステリーなんですか?それがですね…。
長谷川重徳という名前どこかで聞き覚えがありますねぇ。
確か3年前の風見公園で起きた殺人事件の容疑者がそのような名前だったかと。
さすがは杉下警部。
いつもながら恐ろしいほどの記憶力ですな。
どうもありがとう。
それはどういう事件だったんですか?3年前山本香奈さんという花屋で働いていた22歳の女性が帰宅途中に風見公園で殺害されました。
(米沢)ハンドバッグや時計が盗まれており物盗り目的の強盗殺人かと目撃者を探したところジョギング中の男性が犯行時刻に現場から走り去るバイクとそのナンバーを覚えていたためそこから当時大手出版社に勤めていた長谷川重徳さんが浮上しました。
長谷川さんと山本香奈さんに接点はなかったものの長谷川さんは通り魔的な強盗殺人事件の被疑者として逮捕起訴され…。
(裁判長)判決を言い渡します。
被告人は無罪。
(米沢)裁判ではあの永井多恵弁護士が長谷川の弁護にあたった事もあり無罪になっています。
永井弁護士ってよくテレビに出てるあの?ええ人権派の凄腕弁護士です。
この裁判も彼女の手腕が存分に発揮された裁判だったようです。
やっぱりすごいんだあの人。
ところが半年後事件は意外な決着を見ます。
(米沢)公園内に住みついていた堀内猛というホームレスの男性が病死し彼の持ち物から被害者山本香奈さんの時計が出てきたため山本香奈さん殺害は堀内による犯行だったと結論づけられました。
長谷川さんはやっぱり無実だったという事は3年前に冤罪を晴らした人物が今回殺されたという事になりますね。
でミステリーというのは?あちらをご覧ください。
(米沢)被害者の長谷川さんは午後8時5分に帰宅しています。
ヘルメット?ええ。
彼はバイク通勤をしていたようです。
おや今一瞬靴が光りましたね。
バイクシューズには光を反射するものがありますからね。
なるほど。
ところがそのあとマンションの住人以外に不審者の出入りがありません。
他に出入り出来る入り口は?裏口はありますが鍵がないと開きません。
スペアキーは?管理会社に確認したところこのマンションの鍵はスペアキーを作れないタイプを採用しているそうです。
誰も入ってないし誰も出ていないのに殺されていた。
ね?ミステリーでしょ?ミステリーですねぇ。
やはりカメラに映らずに入るのは無理なようですねぇ。
(管理人)だから言ったでしょう?無理だって。
裏口があると聞きましたが…。
はいこちらです。
どうぞ。
お願いします。
ここもエントランスと同じで住人が持っているキーでないと開きません。
中からは出れますが外からはこのキーがなければ入れません。
この鍵合鍵が作れない鍵だとか。
よくご存じですね。
じゃあ住人がここを開けるのを待って便乗して入ったとか…。
だとしたらその住人が覚えてるでしょうね。
ですよね。
(伊丹)これはこれは特命係がこんなところで何をしてるんでしょうか?どうも。
(伊丹)「どうも」じゃねえだろ。
(芹沢)もしかして俺たちと同じように密室殺人のトリックを暴こうとしちゃってる?馬鹿!余計な事言うな。
入れそうなところはなさそうですよ。
ですよね。
ほらやっぱりこのマンション全体が完全な密室なんですよ。
こりゃミステリーだなぁ。
裏口から入ったんだよ。
住人の中に鍵をなくしたり盗られたりした者がいないかもう一度当たるぞ。
はい。
あっあんまりこの辺うろうろしてると不審者と間違われて通報されちゃいますよ。
ご忠告どうも。
確かになんらかの方法で鍵を手に入れて裏口から入ったとしか考えられませんね。
だとしたら疑問がひとつ。
犯人が裏口から入った場合直接長谷川さんの部屋のチャイムを押した事になりますねぇ。
オートロックシステムのマンションに住む人間が直接部屋を訪ねられたとして何も警戒せずにドアを開けますかね?という事は犯人は長谷川さんとよほど親しい関係だった…。
そういう事になりますね。
部屋を見せてもらいましょうか。
はい。
しかし派手に荒らされてますね。
これ灰皿でしょうかね?変わったデザインですね。
海外の不動産…。
仕事の資料かなんかですかね?あっこの本…。
ええ。
長谷川さんは裁判で無罪になったあと冤罪事件の体験を出版したようですねぇ。
永井弁護士が推薦文を寄せています。
彼を弁護した…。
ええ。
なるほど。
長谷川さんはこの本がきっかけで今の出版社で働くようになったようですよ。
あとがきにそう書いてあります。
えっ?もう読んだんですか?早っ!確かこの部屋からはパソコンも盗まれてましたね。
ええ金目のものは一切合切。
売却目的ならば普通こういうものも持っていきませんかね?確かに。
という事は犯人は金品目的じゃなかった…。
これだけ荒らすにはかなり時間がかかりますよ。
何か探していたのでしょうか?
(佐野修一)社長の佐野です。
どうぞ。
まさか長谷川くんがこんな事になるなんて…。
彼の頬に最近出来た傷があったんですが誰かとトラブルがあったとか?いえ…。
階段で転んだと聞きましたが。
では彼が何か重要なデータを持っていて誰かにつけ狙われていたというような事はありませんか?まさか…。
パソコンには原稿や資料が入っていたとは思いますがそれで殺されたとは…。
これは皆さんにお伺いしてるんですが昨夜9時から11時の間どこで何を?その時間ならここで仕事してました。
あいにく一人だったので証明は出来ませんが…。
ところで…。
この本僕も読ませて頂きましたが大変興味深い内容でした。
それはうちが出した本の中では珍しく売れた本です。
内容的にも冤罪がどのように作り出されるのかをあぶり出す意義のある本だったと自負してます。
長谷川さんはこの本がきっかけでこちらで働くようになったそうですがそもそもこの本はどのような経緯で出版されたのでしょう?元々は弁護士の永井さんが彼を紹介してくれたんです。
冤罪被害の体験をまとめて本にしたらどうかと。
それが縁でうちで働く事に。
なるほど。
彼女は人権派の言葉どおり何かにつけて彼をサポートしてましたよ。
ここにも時々顔を見せてましたしね。
あの…そろそろよろしいですか?これから人と会う約束が。
これはこれはお忙しいところ…。
永井弁護士さすが人権派ですね。
裁判が終わってからも依頼人をフォローするなんて。
ええ。
彼女のような弁護士がついていてくれたら心強いでしょうねぇ。
(秘書)どうぞこちらへ。
どうも。
(永井多恵)お待ちしていました。
弁護士の永井です。
警視庁特命係の杉下と申します。
同じく甲斐です。
どうぞ。
長谷川さんの事ですよね?聞きました。
大変な事になってしまって…。
永井さんは裁判が終わったあとも随分彼をフォローされていたと伺ったんですが。
長谷川さんは無実の罪で逮捕され職も失っています。
しかし裁判では無罪でも公的なフォローは勾留1日につき1万円程度の補償金だけ。
この国では疑いをかけられただけで社会的弱者になるんです。
そんな弱者を支えるのも我々弁護士の役割だと思っていますので。
それは素晴らしいお考えですねぇ。
それに長谷川さんが書かれた本を読ませて頂きましたが法廷での弁護も見事でした。
事件当日公園の街灯が壊れていた事を修理記録から明らかにし目撃証言の曖昧さを指摘。
さらに被害者から盗まれた金品を長谷川さんが所持しておらず処分した形跡もない事などを訴え見事無罪を勝ち取りました。
やるべき事をやっただけです。
長谷川さんは無実なのに検察は確たる証拠もないまま少年時代の問題行動まで持ち出して有罪にしようとしていましたから。
少年時代の問題行動といいますと?一時期動物を虐待していたようなんです。
動物虐待…。
しかしそれは15年も前の事で3年前の事件とは関係ありませんでしたから。
ところで昨夜9時から11時の間どこで何をされてましたか?えっと…。
(永井)高木さん。
(高木)はい。
(永井)私昨日何時に帰ったかしら?夕方からデスクでずっと仕事をなさっていて深夜0時過ぎにお帰りになりました。
食事で出られたりはしませんでしたか?食事は宅配のピザで。
一緒に頂きましたので確かです。
(永井)ありがとう。
私に出来る事があれば協力しますので必ず犯人を逮捕してください。
もちろんです。
おはようございます。
おいっす。
あの…なんかわかりました?例の事件。
マンションの住人の一人がさ鍵の入った鞄を帰宅途中に盗まれていた事がわかったんでその鍵の行方を今から俺たち…。
芹沢!余計な事を言うな。
おはようございます。
おはようございます。
何見てるんですか?3年前の事件の資料?杉下さんは今回の事件が3年前の事件と関係してると考えてるんですか?関係があるかどうかはわかりませんが3年前に冤罪をかけられた人物が殺されたのですから念のために。
(角田六郎)朝っぱらから暇か?おはようございます。
コーヒーもらうよ。
なんだよ。
暇じゃなさそうじゃない。
今度はどんな事件調べてるんだ?ちょっとしたミステリーみたいな事件です。
ミステリー?おや変ですねぇ。
何が変なんですか?これは3年前の事件の真犯人とされたホームレスの堀内が所持していた被害者山本香奈さんの時計なんですがね…。
この時計がどうかしたのか?いえ時計ではなく新聞です。
新聞?この新聞「千葉版」とあります。
あっ本当だ。
全然読めない。
都心の公園で奪われた時計がなぜ千葉版の新聞に包まれていたのでしょう?千葉?そういやあ堀内のおっさん寒くなると千葉のほうに引っ込んでたな。
あっちのほうが暖かいと言って。
それで桜が咲く頃になると戻ってきてた。
事件があったのは4月2日。
ちょうど桜が咲く頃ですね。
ああそういやあ…。
(堀内猛)戻ってきた早々いいもの拾ったよ。
…なんて嬉しそうに見せびらかしてたけど本当はあれ人を殺して盗ったんだよな?どうも。
「視聴者から人権派の永井弁護士にご相談がきています」「子供の養育費を別れた夫が約束をしたのに支払ってくれません」「支払わせる方法はないでしょうかとの事なんですが」「そうですね…子供の養育費の支払い確保の手段としては履行勧告…」あっ永井弁護士だ。
ええ。
(永井)「強制執行するためには…」これが時計が包まれていた新聞と同じものです。
日付は4月3日。
山本香奈さんが殺害された日の翌日ですね。
つまり事件当日堀内はまだ千葉にいた。
ええ。
となると生前本人が言っていたとおりなのかもしれませんね。
というと?事件の翌日上京し公園周辺で時計を拾い千葉から持ってきていた新聞に包んで隠した。
という事は堀内は犯人ではなかった…。
ええ。
その可能性が出てきましたね。
(永井)ホームレスの堀内が真犯人ではなかった?まだ可能性の段階ですが。
しかしもしそうであれば長谷川さんが殺害されたのも3年前の事件が関係しているかもしれません。
ついては捜査に協力して頂けないかと思いまして。
ちょっと待ってください。
3年前の事件まさか長谷川さんが真犯人だったというんですか?それを知った誰かに殺されたと?それも可能性のひとつです。
そんな事はありえません。
彼は無実です。
それは彼を弁護した私が一番よくわかっていますので。
しかし実際に長谷川さんが殺され真犯人とされた男が無実かもしれないとなると改めて調べ直す必要はあると思うのですが…。
わかりました。
私も事件に関わった法律家として真実を確かめたいのは同じです。
協力します。
ありがとうございます。
どうぞ。
(永井)ただいま。
どうも。
何かわかりましたか?これによると犯行時長谷川さんは一人で自宅にいたようですねぇ。
つまりアリバイはなかった。
だからって彼に香奈さんを殺す動機はありません。
金銭的にも困ってはいなかったし2人に接点もなかったんですから。
確かに2人の接点は見つかっていないようですねぇ。
(名波)3年前にも同じ事を聞かれましたけど記憶にないですね。
常連のお客さんなら大抵覚えてますけど。
あの…香奈ちゃんの事件ならもう終わったんじゃないですか?ああそれがちょっと…。
カイトくん。
あっこれ…。
灰皿でしょうかね?この灰皿のようなものこれはなんでしょう?ああ花のアレンジメントに使うんです。
アレンジメント?はい。
こんなふうに…。
この形の器はうちのオリジナルです。
そうですか。
つまり長谷川はこの店で花を買っていた。
ええ。
2人の接点が見つかりましたね。
(永井)長谷川さんが山本香奈さんを知っていた?ええ恐らく。
でもあの花屋で花を買っただけじゃないんですか?それもただの偶然じゃないんですか?それだけならば。
しかし犯行現場から走り去る長谷川さんのバイクが目撃されている事を考え合わせれば真犯人である可能性が出てきます。
仮に長谷川さんが真犯人だったとして彼を殺す動機のある人物というと被害者遺族という事になりますね。
(永井)香奈さんの父親ですか?ええ。
(永井)もし仮に長谷川さんが真犯人だったとしてもでもその事を山本さんがどうやって知ったというんですか?それはまだわかりません。
ですから山本さんにお会いしてお話を伺ってみようと思っています。
私もご一緒してもいいですか?はい?ただ見てるだけでいいんです。
私もこの事件を弁護した者として立ち会いたいんです。
(山本勇一)去年脳梗塞をやりまして…。
どうぞ。
恐れ入ります。
どうぞ。
長谷川さんの事は新聞で知りました。
なんて言っていいか…。
早速なんですが事件があった夜9時から11時の間どこで何をされてましたか?夜はいつも一人でここに…。
私を疑っているんですか?それでここに?あくまで形式的な質問です。
実は当時真犯人とされた男が無実だった可能性が出てきています。
えーっ!?じゃあ誰が香奈を殺したんです!?それを今改めて調べ直しています。
(山本)あんたあの時の弁護士だな?
(山本)長谷川が犯人だったのか!?じゃああんたは真犯人を無罪にしたのか!
(山本)どうなんだ!?山本さん落ち着いて。
帰ってくれ!顔も見たくない!昨日の永井弁護士相当ショック受けてましたね。
あっおはようございます。
(芹沢)おいっす。
(伊丹)どうも。
そういえば住人がなくした鍵って見つかりました?あれただの勘違いでさ自分で持ってたんだと。
だからお前はもう余計な事を…!
(携帯電話)行くぞオラッ!あっ米沢さん。
はい芹沢。
あっはいわかりました。
すぐ行きます。
米沢さんがなんと?被害者の盗まれた携帯の通話履歴が判明したみたいで…。
お前は馬鹿か?
(芹沢)出版社関係に印刷所…。
特に怪しいものはありませんね。
(携帯電話)おい貸せ。
はい。
(芹沢)はいもしもし。
えっ!?はいはいはい。
わかりました。
すぐ伺います。
先輩…。
ああ…。
あっ…こんなもんでよかったらどうぞ。
どうも。
(伊丹)行くぞ。
(芹沢)はい。
何かつかんだんですかね?そのようですねぇ。
ああカイトくんこのサンデー出版ですが…。
サンデー出版って確か主に芸能関係の本を出してる出版社ですよね?ええ。
司法関係の本が中心の長谷川さんの出版社とは畑違いですよね。
これどんな用件だったのでしょう?確かに気になりますね。
そうですか。
その企画は却下されたんですか。
ありがとうございました。
なんでしょう?長谷川さんの左頬の傷ですがねあなたは彼から階段で転んだと聞いたとおっしゃいました。
しかし彼の体には他に階段で転んだ時に出来たような傷はありませんでした。
あの傷はあなたが長谷川さんを殴った時に出来たものではありませんか?そう考えれば長谷川さんの左頬の傷もあなたのその腫れ上がった指輪の痕も納得がいくのですがね。
(佐野)確かに殴りました。
仕事上の事でちょっとした口論になって…。
その口論って…彼の企画の事じゃないですか?その内容を聞いてあなたは彼を許せなかった。
長谷川さんは事件の前日サンデー出版に電話をしています。
先方に確認したところ長谷川さんが絶対に売れる企画があるとあなたに提案したところ却下されたのでサンデー出版で本を出してもらえないだろうかと売り込んでいたそうです。
長谷川さんが絶対に売れると自信のあった企画をあなたは却下しただけではなく激怒して殴ってしまった。
ええ…よほどの事があったのでしょうねぇ。
例えばこんな事。
裁判は一事不再理。
つまり一度無罪になった人間を二度と同じ罪で裁く事は出来ない。
彼はそれを逆手にとって3年前とは正反対の本を出そうとしたんじゃありませんか?すなわち真犯人は自分だったという告白本を。
いかがでしょう?長谷川と被害者の香奈さんの間に接点が見つかりました。
香奈さんを殺した真犯人は長谷川なんじゃないですか?驚きましたよ。
私は彼をずっと信じてましたから。
(長谷川重徳)デタラメじゃありませんよ。
…えっ?無罪になったけどあれ本当は僕がやったんですよね。
あの花屋の女の子許せなくてね。
今まで黙っててごめんなさい。
いいんですか?こんな事して。
訴えますよ!お前今まで俺を騙してたのか?俺はな…!俺はずっとあの本を誇りに思ってたんだぞ!
(佐野の声)許せるわけないでしょ。
あいつは私を…世間をずっと騙してたんですよ。
(佐野)その上それを本にしたいなんて…。
(伊丹)話は聞かせてもらった。
それで殺したってわけか。
(佐野)えっ?伊丹さんたちどうして…?事件の前日マンション近くで男が長谷川さんと揉めているのを見たという人がいるんですよ。
(芹沢)がっちりした体形で中年男性の声でこう言ったそうです。
「やっぱりお前だったのか。
殺してやる」と…。
あんたそう言ったでしょ?
(佐野)違う。
それは私じゃない。
場所を変えて詳しい話聞かせてもらいましょうか。
(伊丹)長谷川はなんで香奈さんを殺したんだ?
(佐野)会社にバイクで通う途中花屋があってそこで働く香奈さんを気に入ったと。
それで…。
ねえ君。
彼氏いるの?
(山本香奈)えっ?…いえいません。
じゃあ今度お茶でもどう?えっ?僕とじゃ嫌?そんな事…。
じゃあぜひ。
それでいいよ。
いい感じですか?うん。
ああー!きゃあ!嘘つき女め!
(佐野)「この俺に嘘をついたのが許せなかった」そう言ってました。
盗んだ時計や財布は物盗りに見せかけるためにあちこちに捨てたと。
そんな事で殺したのかよ…。
奴はその事を本にしようとしていた。
裏切られた上にそんな本を出そうとしている長谷川をあんたは許せなかった。
それで殺した。
そうだろ?私は殺してなんていない!
(芹沢)しかしあなたは前日に長谷川に迫ってましたよね?「やっぱりお前だったのか。
殺してやる」ってそういうの聞いちゃった人がいるんですよ!だからそれは私じゃない!ええ。
それは佐野さんではないと思いますよ。
なんですか!いきなり。
佐野さんが長谷川から真実を聞き彼を殴ったのがその前日です。
真実を知っていた人間が「やっぱりお前だったのか」そんな言い方をするでしょうかねぇ?佐野さんあなたは事件の真相を誰かに話しましたね?そうなのか?誰に?こんな事になるなんて思わなかったんです。
長谷川から真実を聞かされていてもたってもいられなくなった。
だからせめて山本香奈さんの父親だけには真実を伝えなければと思ってそれで…。
(伊丹)って事は犯人は…。
(芹沢)山本香奈さんの父親…。
でも香奈さんの父親は去年脳梗塞で倒れて右足を引きずっています。
人を殺すのは無理ですね。
じゃあ誰が…。
(伊丹)自分でやらなくても復讐する方法はある。
(伊丹)あなた3年前の事件の真犯人が長谷川だった事を匿名の手紙で知り彼を殺害したんじゃありませんか?私にそんな事が出来るはずがないでしょう。
この足ですよ?直接手を下したとは言ってませんよ。
この口座に400万振り込んでますよね?
(伊丹)こちらです。
(芹沢)この口座犯罪を請け負う闇サイトで使われていたものとわかったんですよ。
(伊丹)あなた今になって事件の真実を知り娘さんの敵を討とうとした。
しかし自分じゃ出来ない。
だから誰かに頼んで殺させたんじゃないですか?開き直ったんですよあいつは!私に向かってだからどうしたって言ったんですよ!
(山本)お前が香奈を殺したのか?だからどうしたんです?あっ訴えたって無駄ですよ。
僕は裁判で無罪になったんです。
一度無罪になった人間は同じ罪で裁かれる事はないんですからね。
(山本)やっぱりお前だったのか!お前…。
ちょっと…。
殺してやる…!その体で何が出来るんです?怪我しないうちに帰ったほうがいいですよ。
(山本の声)私はなんとしてもあいつを罰してやりたかった。
だから…。
(芹沢)そのサイトに金を振り込んだんですね?あんた自分がやった事がわかってるのか?直接手を下してなくてもこれは立派な殺人だ!後悔はしていません。
あの男はこの世から消えなければいけないんだ!
(内村完爾)なんだと?もう一度言ってみろ。
(中園照生)はっ。
3年前の事件が冤罪でその事件の被害者遺族が復讐のために真犯人を殺害して…。
(内村)特命だろ?そういう最悪の状況を作り出すのは特命に決まってる。
さすが部長そのとおりです。
馬鹿者!はっ。
(内村)お前は記者会見が得意だったな。
はっ?これだけの事態だ。
会見をしないわけにはいかんだろ。
はあ…。
お前にやらせてやろう。
大丈夫!お前だったら出来る。
はあ…。
警察の未来はお前にかかっている。
頼んだぞ。
はっ!
(永井)山本さんが…。
ええ闇サイトに殺人を依頼した事を山本さんが認めました。
そんな…。
今金を受け取った実行犯を割り出し中です。
銀行口座やサイトの情報がありますからまもなくたどり着けるでしょう。
そうですか…。
そういう人だったら合鍵が作れない鍵でもなんとかして入れそうですものね。
私…バッジを外すべきかもしれません。
えっ…?辞めるんですか?弁護士。
今回の事件を引き起こしたのは私が長谷川さんを無罪にした事が発端です。
そのせいで山本さんに罪を犯させてしまったんですから。
なんか…複雑ですね。
犯人が闇サイトの人間だったとして…。
しかしどうやってマンション内部に侵入したのでしょう?謎ですねぇ…。
ええ。
あるいは…本当に侵入したのでしょうか?…えっ?カイトくん。
はい。
これ反射する素材ですね?そうですね。
マンションの玄関から持ち帰りしたシューズです。
証拠品として現場から持ち帰ってました。
しかし事件はもう解決したのでは?例のミステリー解かないと気が済まないみたいで。
おや?こちら反射しないタイプのもののようですねぇ。
はい。
…あれ?ええ。
これでミステリーの謎が解けました。
なんなんですか?こんな場所に呼び出して。
ここは山本香奈さんが殺害された場所なんです。
それで話というのは?ようやく犯人がわかりました。
やはり闇サイトの人間だったんですか?いいえどうやら違うようです。
闇サイトの人間だとすると犯人はどうやってあのマンションに侵入し長谷川さんにドアを開けさせたのか?その謎が解けないんです。
その謎を解く鍵が長谷川さんの靴にありました。
靴?彼はバイク通勤をしており帰宅した時に履いていた靴は車のライトが反射するタイプのものでした。
ところが玄関に出されていたのは反射のないタイプの靴でした。
という事は長谷川さんはいったん帰宅後靴を履き替えてもう一度出かけた事になります。
つまり犯人が侵入したのではなく長谷川さんが出ていったんですよ!でも確か監視カメラには出かける姿なんて…。
ええ映ってはいませんでした。
なぜならば長谷川さんは裏口からこっそりと出かけていったからです。
裏口から?なんのために?ええ通常ならば裏口から出る必要などありません。
しかし長谷川さんは裏口から出ていった。
なぜか?考えられるのはひとつ。
アリバイ作りです。
アリバイ作りって…なぜそんな事?犯人が長谷川さんに犯罪をそそのかしたんです。
…えっ?そもそも長谷川さんが告白本を書こうとしたのは海外不動産を買うための大金欲しさでした。
その告白本の出版を止めるために犯人は長谷川さんにこう話を持ちかけた。
例えばある金庫に大金が眠っている。
自分が手はずを整えておくから盗みに入っても絶対にバレない。
ただし万が一疑われた時のために部屋にいたかのようにアリバイを作ってから来るように…犯人がそう指示を出したとしたらどうでしょう?金欲しさにその誘いに乗った長谷川さんは自分のアリバイを作っているつもりでこっそりと裏口からマンションを出た。
実際には自分が殺される際の犯人のアリバイを作っている事も知らずに。
そうやって長谷川さんを誘い出した犯人は…長谷川さんにスタンガンを押し付けて…。
ロープで殺害。
いったん死体を隠しておき自らのアリバイを作った上で夜中に長谷川さんの鍵で裏口から侵入。
そして長谷川さんの死体を部屋に運び込みあたかもそこで殺害されたかのように偽装をした。
ただの想像じゃありませんか?犯罪をそそのかすだなんて…。
ええ。
ですからこの犯行が可能なのは長谷川さんが心から信頼しなおかつ犯罪をそそのかすだけの弁舌を持つ人物に限られます。
そのような人物は彼の周囲には一人しか見当たりません。
永井さんあなたですよ。
何を言うんです?なぜ私がそんな…。
この間あなたは我々にこうおっしゃいました。
そういう人だったら合鍵が作れない鍵でもなんとかして入れそうですものね。
ええ確かにあのマンションの鍵は合鍵が作れない鍵です。
しかし…なぜあなたはそれを知っていたのでしょう?その事が気にかかりましてね。
あなたが犯人であれば全てのつじつまが合うんですよ。
今鑑識があなたの部屋を丹念に調べています。
証拠は必ず見つかるでしょう。
永井さん本当の事を話して頂けますね?永井さん!ああするしかなかったんです。
あの日長谷川から佐野さんに殴られたと電話があって…。
3年前の事件本当は僕が犯人なんだって言ったらいきなり…。
ひどいでしょ?訴えてやりたいんだよ。
今なんて言ったの?あなたが犯人!?はい。
やだな先生。
何?その顔。
別にもういいでしょ。
裁判にも勝ったんだし…もう終わった事なんだから。
先生マジすぎ。
ハハハ…。
ちょっと!どういう事?
(永井の声)まさか彼が犯人だったなんて…。
しかも彼には良心のかけらもなかった。
私は自分の犯した過ちの大きさに気がつきました。
だから…。
ちょっとお手洗い行ってくる。
はい。
誰にも見られなかった?大丈夫。
先生の言うとおりアリバイもちゃんと作ってきた。
でお金どこにあるの?事務所よ。
今誰もいないから。
じゃあ早く行こう。
後ろ乗って。
(スタンガンの音)ああっ!
(永井の声)長谷川はつまらない理由で簡単に人を殺すような人間だった。
あの男はきっとまた同じ罪を繰り返す。
だから自分の手でこの男をなんとかするしかない。
そう思ったんです。
全部…杉下さんあなたの推察どおりです。
お呼びだてしてすみませんね。
永井多恵さんですね?あなたの自宅のスーツケースから長谷川さんのものと思われる毛髪が見つかりました。
ご同行願えますか?永井さん。
あなたは今の言葉を法廷で語り自らを弁護するおつもりですか?殺人鬼を野に放った責任を取り自ら手を下したと。
ええそう言えば恐らく情状酌量はあるでしょうねぇ。
しかしそれが本当の理由でしょうか?何がおっしゃりたいんですか?あなたが長谷川さんを殺害したのは長谷川さんが世に出そうとしていた告白本を止める事にあったんじゃありませんか?あなたは長谷川さんの部屋を派手に荒らしましたねぇ。
あれだけ荒らすには随分時間がかかったはずです。
強盗に見せかけるためにしてはやりすぎですよ。
あなたは部屋で何かを探していたんじゃありませんか?恐らく長谷川さんの告白本の原稿を…。
長谷川さんはすでに原稿を書き上げていましたよ。
これが彼がサンデー出版という出版社に送っていたものです。
参ったわね…。
ええそうよ。
どうしても告白本は止めなければならなかった。
だってあいつ自分がやった事を最初から認めてたんだもの。
先生。
もう無駄な事はいいよ。
あの子殺したの僕なんだから。
裁判に勝てばあなたはやっていなかった事になるの。
裁判は真実ですら変えられるの。
だけど…。
必ず勝てる。
私に任せておけばいいの。
この世の中には私を必要としている弱者といわれる人たちがたくさんいるの。
彼らを一人でも多く救う事が私の理想なの。
だからなんとしてもあの裁判には勝ちたかった。
なのに今になってあんなつまらない男に私の理想を邪魔されたくなかったの。
だからこれは正義にとって必要だったのよ。
それがあなたにとっての正義ですか。
あなたモンスターですか?どんな理由があろうとも人を殺していい正義などこの世に存在しませんよ!あなたは法に携わる者でありながら法を破るという最も許されざる過ちを犯したんですよ!いいですか?あなたに言うまでもありませんがその罪は…極めて重いですよ。
(伊丹)さあ行くぞ。
そのカード杉下さんの携帯のだったんですね。
あくまで非常手段です。
どうしても彼女の口から真実を聞きたかったものですからねぇ。
へえ〜そういう事もするんだ。
ですから仕方なく。
なんですか?いいえ。
(月本幸子)お疲れかなあと思ったので今日は甘いものをどうぞ。
ああうまそう!ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源でもあるんですって。
へえ〜。
食べないなら僕がいただきますよ。
いいえ。
今回は脳を使いすぎました。
僕食べます。
珍しい…。
カイトさんのもありますよ。
どうぞ。
俺も脳使ってますからね〜。
食べよ。
いただきます。
どうぞ。
うまい。
新婚さんいらっしゃい!は先週に引き続き今週も熊本県熊本市からお送りします2014/12/14(日) 12:00〜12:55
ABCテレビ1
相棒 season13[再][字]
第3話「許されざる者」
以前殺人の容疑をかけられ無罪となった男が密室のマンションで殺害される!
今回の事件と過去の事件に関連は?右京と享が密室トリックに挑む!
詳細情報
◇番組内容
出版社に勤める長谷川(夙川アトム)という男性が自室で殺害された。長谷川は3年前、強盗殺人の容疑者として裁判にかけられたが女性弁護士・永井(片岡礼子)の手腕で、無罪となった人物。現場マンションが巨大な密室状態であることにミステリーを感じた右京(水谷豊)は、享(成宮寛貴)と共に独自の捜査を開始。右京たちが調べを進めると、3年前の強盗殺人の真犯人とされていたホームレスが無実だった可能性が浮上してきて…!?
◇出演者
水谷豊、成宮寛貴、鈴木杏樹、川原和久、山中崇史、六角精児、山西惇、小野了、片桐竜次 ほか
【ゲスト】片岡礼子、千葉哲也、山田明郷、夙川アトム、指出瑞貴
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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