ふるさと再生 日本の昔ばなし 2014.12.14


昔むかし一寸法師と呼ばれる親指ほどの身の丈の若者が都を目指して旅に出ました。
よっと。
京の都だ。
うわ!ひえ〜っ!キャー!姫いかがいたした!?ななんでもありません。
かわいいホホホホ。
京でも指折りの大臣の姫様に危ないところを拾われた若者はその身の丈から一寸法師と呼ばれ姫様のお気に入りとなりました。
いてっ!えいえい!ニャー。
クシュン!うわ〜ひゃ〜っ!ホホホホ剣術の修業に精が出ますね。
はい早く姫様の身辺をお守りできるように強くなります。
メキメキ剣術の腕をあげた法師は針の刀を授かり姫のお供に加わることになりました。
その頃都では黄昏時になると暗がりの中から鬼が現れ人々を襲うということがしばしば起こりました。
そろそろ鬼どもが出てくる頃じゃな。
鬼と戦ったことがあるか?いいや。
侍が叩きのめされるのを見たことがある。
早くお姫様のお使いが済んで鬼の出ぬ間にお屋敷に戻りたいものじゃ。
何をおっしゃるか。
我ら3人がお供するからには姫様に指1本触れさせるものですか。
何が我ら3人じゃ。
2人と親指1本くらいにしかなっとらんぞ。
鬼にひとのみされぬよう用心するんじゃな。
く〜っ!お待たせしました。
さあお屋敷へ戻りましょう。
〜待て待て。
(2人)出た!近頃都を騒がす鬼とは貴様のことだな。
今宵我らが成敗してくれる。
ぐあ〜っ!成敗とは片腹痛い。
観念して鬼の里へ来い。
私が相手だ!何だお前は。
えいえい!ギャーッ!法師!なんと!自分から飛び込んでいった!うっうう…。
うわ〜!痛い痛い痛い!あっぱれ一寸法師。
(2人)あっぱれじゃ。
鬼のやつめ口ほどにもない。
それは打ち出の小槌ではないか?ひと振りすれば願いが叶うという。
鬼め盗んだ宝を落としていきおった。
これは一寸法師のお手柄。
まず法師の願いを叶えてあげましょう。
はっ…。
うんっと!さぁ一寸法師願い事を申しなさい。
私の願い…ですか?やった〜!お〜!まぁ!立派な侍となった一寸法師は大臣から姫の婿様となることが許され屋敷の主人となりました。
もはや一寸法師とは呼べない若者は故郷の両親を屋敷へ招き姫とともに末永く暮らしたということです。
昔山奥に小さな村がありました。
この村は毎年冬になるとオオカミの群れに襲われました。
オオカミだ!オオカミが来たぞ〜!
(みんな)うわ〜!うわ〜!この群れを率いているオオカミはひときわ体が大きく右の耳が裂けていました。
村人たちはこのオオカミをちぎれ耳と呼んで恐れ冬の間オオカミたちが去るのをじっと待っていました。
初雪の降ったある日の晩巡礼の格好をした娘が1人この村を訪れました。
もし…今夜ひと晩泊めていただけませんか?他あたってくれ。
何軒訪ねても娘を泊めてあげようという家はありませんでした。
この先に寺があるからそこで頼んでみろ。
吹雪の日によそ者を村に入れるとオオカミどもがやってくる。
そんな言い伝えがこの村にはあったのです。
娘は言われるままに寺を訪ねました。
フン!本堂の軒下でも使うんだな。
夜が更けるにつれ雪は激しくなり吹雪になりました。
寒い…ととさまかかさま。
娘が1人旅をしているのには訳がありました。
もとは名家の娘だったのですが両親が亡くなり家は他人に騙し取られてしまいました。
娘は遠くに住む親類を訪ねて1人旅をしているのです。
あっあれは…。
やがて白く渦巻く吹雪の向こうにオオカミの群れが現れました。
軒下の娘の匂いを嗅ぎつけたオオカミが娘を取り囲みました。
あぁ私はここで死ぬんだわ。
ととさまかかさま…。
《ナンマイダ…ナンマイダ…》ゴロ?ゴロ!お前はゴロじゃないの。
まだ娘が幼く両親が生きていた頃父親がマタギから娘の遊び相手としてオオカミの子をもらい受けてきました。
娘はゴロと名付けてかわいがりました。
ゴロはマタギの犬に耳を食いちぎられてうずくまっているところを拾われたのです。
娘に懐いたとはいえ元は野生の獣何が起こるかわかりません。
案じた父はゴロを山に放してしまったのです。
その後父親が亡くなり母親もあとを追うように亡くなって独りぼっちになってしまいました。
あぁこんな所で会えるなんて。
私は独りぼっちだと思っていたのよ。
再会を喜んだ娘とちぎれ耳は一緒にオオカミの巣穴へと向かいました。
これはあの娘の!オオカミにさらわれたんじゃな。
仏様があの娘をつかわせてわしの身代わりにしてくれたんじゃ。
わしは救われた。
住職は娘がオオカミに食われたと思い込みそれを嘆くどころか自分の身代わりになったと喜んだのです。
しかしその晩のこと…。
わ〜!住職はオオカミに襲われました。
このことがあってから村人たちはオオカミを退治しようと決めました。
あ〜!来たぞちぎれ耳だ!よし今夜こそあのちぎれ耳を仕留めるぞ。
来たぞ来たぞ。
村人たちがしかけた罠にオオカミを追い込みマタギが鉄砲で撃つ手はずでした。
いけ〜!ゴロもう人を襲ってはいけない。
その時マタギがちぎれ耳を捉えて引き金を引きました。
あぁ…。
そそんな。
(みんな)あぁ…。
ちぎれ耳の前に立ちはだかって銃弾を受けたのは娘でした。
ちぎれ耳が撃たれそうになっているのを見てとっさに前に飛び出したのです。
ゴロいけません。
もう殺し合ってはいけません。
お願い…。
あまりの出来事にマタギをはじめすべての村人がそこに立ち尽くしました。
ちぎれ耳は娘を起こそうとしましたがもう二度とその美しい目がちぎれ耳を見つめることはありませんでした。
(吠え声)それからしばらくの間夕闇の中にオオカミの悲しい鳴き声が響きわたりました。
その後ちぎれ耳たちが村に現れることは二度とありませんでした。
峠にはオオカミの形をした石があります。
それは悲しみのあまりちぎれ耳たちが石になった姿だと伝えられています。
村人たちはこの石を拝んで娘とオオカミを供養したということです。
昔町にはお殿様のお城を中心にたくさんの人々が住んでいました。
いわゆる下々の者町人というわけです。
町人は日々の生活が精いっぱいですからお城に仕えるお侍やお殿様が毎日どんな暮らしをしているのか知りません。
反対にお城のお殿様は下々の暮らしを知りません。
おぉ!これ三太夫あれは何だ?はっ。
あれは紙くず屋にございます。
さようか。
ではあっちは何じゃ?あれは踊りの稽古でございます。
う〜んさようか。
おもしろいものだな。
下々は上のことを知らず上の者は下々のことがわからない。
だから間にいる三太夫は城の中のことも庶民の暮らしにも精通しておりました。
でもその分余計な心配も多かったりして…。
ある秋の日。
お殿様は急な思いつきで遠乗りに出ました。
ほ〜。
三太夫ここは何というところだ?はっ目黒と申す土地にございます。
ほう目黒と申すか。
よいところだな。
ちょうどお昼時。
農家では食事の支度をしています。
ん?う〜ん。
おい三太夫何やらよい匂いがするがこれは何か?これはさんまでございますな。
近くの農家で焼いておるのでしょう。
さんまと申すか…実によい匂いだ。
う〜ん…。
(お腹が鳴る音)三太夫余は腹が減った。
さんまをこれへ持って参れ。
え〜っ!三太夫さん困りました。
庶民の食べ物をお殿様に食べさせるわけにはいきません。
さんまを焼いていたのは年老いた夫婦でした。
(2人)いただきます。
あ〜ん…うん?
(戸を叩く音)そこへお殿様一行が現れたのだから驚いたのなんの…。
苦しゅうない。
さんまは庶民の食べ物。
本来ならお殿様の口へ入るものではありません。
たくさん買っておいてよかったのう。
そうですね。
殿目黒にてさんまを食せしことどうか他言無用に…。
殿の名誉に関わることでございます。
わかったわかった。
さんまが焼けましてございます。
(みんな)おぉ〜。
今が旬のこのさんま。
庶民が食べておいしいわけですからお殿様が食べておいしくないわけがありません。
うまい!かわりを持て!目黒はよいところじゃ。
かようなものが食せる。
うふふ…。
三太夫小骨が…。
殿!命にかえてもお取り…。
ほっ…取れた。
う〜ん。
それでも殿は大喜び。
老夫婦もたっぷりお礼をもらいました。
うまかった。
下々の者はいつもあのようなものを食べておるのか。
お殿様さんまの味をすっかり気に入ったようです。
さてそれからというもの…。
お殿様は目黒で食べたさんまの味が忘れられません。
お食事の時間でございます。
おお待っておったぞ。
何しろお殿様の食事は健康第一。
薄味でやわらかいものしか出てきません。
脂っこいさんまなどもってのほかです。
お殿様いろんなものがさんまに見えてきます。
お城の食事にはすっかり手がつかなくなってしまいました。
《はぁ…さんまが食べたい。
目黒のさんま…ん?》さんま!ん?何でございますか?あ…いやなんでもない!朝から晩までさんまさんま…。
すっかりさんまに取りつかれてしまいました。
わがまま育ちのお殿様…。
さんまが気になって夜も眠ることができません。
そんなある日のこと…。
おじの大殿様からお祝い事の知らせがありお殿様は籠に揺られてえっちらおっちら…。
野を越え山を越えて遠くの国までやって参りました。
よく来てくれた。
今日はめでたい日じゃ。
何でも好きなものを食すがよい。
何でも!?では…余はさんまが食べたい!何?さんま!?
(みんな)さんま!?《言っちゃダメだと言ったのに…》ただちにさんまが取り寄せられました。
しかし困ったのは料理人たち…。
こんな脂っこい魚をお殿様に出すわけにはいきません。
そこで下茹でをしてじっくり火を通しせいろで蒸してやわらかくします。
ノドにつかえないように尾ひれを取って小骨をすっかり取り除きそれを食べやすいお団子にしました。
さんまでございます。
これはさんまか?さようでございます。
つまんで口もとまで持ってくるとなるほど…確かにさんまの香りがします。
パクリと食べてみると身はパサパサ…。
う〜ん…余が知るさんまとは違うようだがこれはどこで獲れたものだ?はっ…。
日本橋の魚河岸にて買いつけましたさんまにございます。
何日本橋?それはいかん!
(2人)いただきます。
あ〜ん…ん?
(地響き)苦しゅうないぞ!これはいったい…。
はっふはっふ…。
殿脂がのってたいへんおいしゅうございますな〜。
そうだろうそうだろう。
やっぱりさんまは目黒に限る!はっふはっふ…。
2014/12/14(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]

「一寸法師」
「オオカミ石」
「目黒のさんま」
の3本です。みんな見てね!!

詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
 柄本明
 松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
 作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
 編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
 歌:中川翔子
 コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ

http://ani.tv/mukashibanashi

ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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