(風間)
高さ15mの壁を自らの手と足の力だけで登る人々
フリークライマーの小林幸一郎さん46歳。
小林さんにはほかの人と違うところがあります。
それは目がほとんど見えない事
(鈴木)左左。
それ一瞬触ったのが…。
左。
コーチの声を頼りにルートを見つけ頂上を目指します
(鈴木)そこからだったらすぐよすぐ!それそれ!あ〜!ガンバガンバ。
左足もっと!頑張れ!膝の下!OK!
小林さんは世界選手権で金メダルに輝いたトップアスリートです
(拍手と歓声)コウイチロウ・コバヤシ!コバ!コバ!コバ!コバ!
サラリーマンだった28歳の時突然遺伝性の難病で失明すると宣告されました
絶望のふちをさまよう日々。
生き方を変えてくれたのはある人のひと言
選んだ道は10代の時出会い夢中になった事。
視覚障害のフリークライマーとして生きる。
困難に負けず自分の人生を生き抜こうとする小林幸一郎さんのブレイクスルーに迫ります
茨城県つくば市にあるショッピングモール。
こちらだと思うんですけど…。
(安藤)カラフル。
あっ。
あちらが小林さんですよね。
すっご。
フリークライミングを普及するNPOの代表を務めながらアスリートとして活動しています。
こんにちは。
こんにちは。
今ちょっと遠巻きに見させてもらってたんですけれどもすごいですね!やっぱりこの…何て言うんですか?こんな斜面立てるのかっていう所に自然と立ってるんですけれども僕らはパッと見どう立ってるのかもいまいち分からない感じなんですけど…。
無理でしょ。
これとかちっちゃい!
(小林)ちっちゃいのはわざと意地悪につけてるだけなので。
意地悪なんだ。
小林さんこうやってお話ししてると視覚障害者だっていう感じが全くしないんですけど今どのぐらい目が見えない状態なんですか?今の見え方はここの上に電気があるのがちょっと分かったりお二人が息を静めてたらここに人がいるっていう事も残念ながら分からないです。
そうか…。
じゃあもう本当にここのコミュニケーションで登っていく形ですよね。
ピンクがうちでは一番易しいルートになるのでこのピンクの四角をやって頂きたいんですけれども。
風間さんピンクのマークがついた初心者向けルートに挑戦。
忍者風間現るだよ。
(笑い声)挑戦します。
いきます。
あっもうこんなちっちゃいの?一つ一つの足が。
(齊藤)ナイス。
…ですぐあります。
ここにあります。
次がここになります。
ナイスナイスナイス。
あ〜なるほど!これ本当に頭使いますね。
そうですよね。
使いますよね。
手をクロスしないとなとか考えますね。
そうですよね。
両手で持ったりとか。
ナイス。
これでこう来て…。
(齊藤)ゴールを両手で持って頂いて。
両手で持った時点で…。
(齊藤)はいナイスです!
(拍手)これすごい達成感ありますね。
(齊藤)すごい上手でした。
今一番簡単なピンクなんだけどものすごい達成感ありますね。
(子どもたち)よろしくお願いします!はいじゃあおはようございます。
おはようございます。
4時?1時?小林さんのNPOは毎月クライミングスクールを開いています。
ナイス。
ガンバガンバ。
この日は小学生と中学生21人が参加。
目の見えない小林さんはロープの感触で子どもたちの動きを把握します。
(小林)ガンバ!ガンバ。
子どもが登れなくなった時必ずかけるアドバイスが。
ガンバガンバ。
小さな凸凹や割れ目などどこかに道は隠れている。
諦めなければ必ず先に進む方法は見つかる。
(拍手)やった〜!おめでとう!小林さんは苦しい時壁にぶつかった時いつもクライミングから生き方を学んできました。
スポーツが苦手だった小林さん。
16歳の時偶然見かけた雑誌がきっかけでクライミングを始めました。
努力すれば必ず上達する。
登り切った達成感。
すぐに夢中になりました。
就職はクライミングの知識が生かせるアウトドアメーカー。
しかし28歳の時突然人生の歯車が狂いだしました。
ある雨が降る夜。
対向車のライトがいつもよりまぶしく感じられた小林さん。
軽い気持ちで眼科を受診。
医師から告げられたのは信じられない言葉でした。
「遺伝を原因とする網膜の病気です。
治療方法はなく近い将来あなたは失明します」。
何かの間違いでは?小林さんは都内の有名病院を次々と受診。
しかし診断はどこも同じ。
失明という言葉が繰り返されました。
徐々に文字が読めなくなり車に乗れなくなりました。
この先どう生きていけばいいのか。
将来に絶望しか感じられなくなっていきました。
そんな時人生を変える出会いがありました。
当時ソーシャルワーカーとして働いていた…小林さんは失明する前にどんな準備をすればいいのか相談しました。
久保さんの答えは全く予想外のものでした。
どうやって生きていきたいのかなんですよって。
こういうふうに言われたんですよね。
自分の人生を生きるとはどういう意味なのか。
悩んだ小林さんはある障害者の存在を知りアメリカに会いに行きました。
全盲の登山家…エベレストを含む7大陸の最高峰の登頂に成功した鉄人です。
エリックさんと山に登った小林さんは気付きます。
どんな状況でも人生は意志があれば楽しむ事ができる。
帰国後これまでの安定した仕事を辞めフリークライミングで生計を立てる決意をしました。
失敗しても悔いのない人生を生きる。
クライミングが教えてくれてる事があるんだとしたらそれは…それがクライミングだと思います。
小林さんは今フリークライミングの魅力を同じ視覚障害がある人たちに伝えたいと活動しています。
この日参加したのは20代から50代の5人。
これまで小林さんがスクールを通して出会った視覚障害者は延べ2,000人以上。
それです!今触った。
はいナイス!自ら選んだクライミングの仕事。
小林さんは自分の人生を生きる喜びを感じています。
いや何か本当にクライミングの奥深さみたいなのをちょっと今感じてるんですけどその先人であるエリックさん。
全盲でエベレストに登るっていうありえない情報だったんです。
そんな人がいるんだったら視覚障害っていうのは自分が思ってるよりもっともっといろんな事ができるんじゃないかというふうな自分に可能性を与えてくれる出会いでしたね。
子どもたちにかける言葉で必ず登れる道があるからっておっしゃってたじゃないですか。
すごいいい言葉だなって思うのがいろんな方法で道を変えていけば必ずできるからっていうのってすごい人生に大事な事だなって…。
(小林)そうですね。
悔しさと向き合うとかそういうのをあまりしてなかったりする子どもたちなので結構簡単にパッて諦めちゃう子がいたりしたのでもう駄目かなと思ったら絶対に大きい声で「『絶対できる』って自分に言って」って言ってるんですね。
最初はパッてできないんですけどその子たちがもう駄目かもと思った時にみんなして後ろからは「ガンバガンバ」って応援して自分でも「俺できる」って言ってもう一個次の所まで手が伸びたりとかするようになっててそういうふうに教えてくれる事がクライミングの中からたくさんあるんじゃないかなって思いますね。
とんでもない所についてますね。
まずスタートホールドがこれになります。
天井だもんね。
えっスタートそこなんだ!おおっ!すげえすげえ!駄目だ。
なるほどね。
え〜!どうしようかな。
きっと今俺がやろうとしてるやり方ができないだけであってきっと今の俺の筋力だったり俺の体でできるはずなんだよね。
ルートさえ多分きっとできれば。
全然できるはずです。
すげえ人生観ですね。
平面で見ないと。
一回やらせてもらっていいですか?お願いします。
いきま〜す。
それは思った!思いましたか?思った!指指!真上真上!そうナイスです。
うわ〜!
(齊藤)それで2時です。
ナイス指先。
もうちょい右。
はい。
ナイスです。
そこから1時やや近めでゴールです。
(拍手と歓声)うわ〜もう…。
(齊藤)いけるいけるいける。
すごいすごい。
(小林)ガンバ。
遠いな〜!
(齊藤)ガンバ!惜しい〜!超面白い。
はまってるよ。
こんにちは。
お願いします。
おはようございます。
7月下旬。
小林さんは都内のジムを訪れました。
日本代表の合同練習です。
目指すは2年に1度開かれる世界選手権。
スペインに世界9か国からパラクライマーが集いその技を競います。
この日集まったのは国内トップスリーの実力者。
目標はもちろん金メダル。
緑…。
緑これだ。
(鈴木)それでもいいです。
そのあと12時近めサイドプル。
OKです。
11時近め。
コーチの声を頼りに壁に向かいます。
(鈴木)はいOK。
次が1時…。
(鈴木)6時かなり遠め触ってみて。
まず予選突破レベル。
(鈴木)ちょっと触って下さい。
もっと左の。
小林さんの挑戦。
(鈴木)OK。
前回の世界選手権は銀メダル。
チャンピオンの座を奪還するための課題は年齢とともに落ちてきた筋力。
(鈴木)そこからだと1時近め。
右!右!OK。
左!その左!もっと左!最大の難所。
大きな障害物が腕力を消耗させます。
こらえきれず失敗。
(鈴木)僕の指示がちょっとまずかった。
(鈴木)1時近め。
失敗した場所から再挑戦。
しかし…。
(鈴木)それちょっと遠め。
右手出して。
左!左!左!ああ〜あれ。
お疲れさまです。
(鈴木)はいお願いします。
続いて会田祥さん。
18歳の高校生。
8年前小林さんのスクールに通った事がきっかけでクライミングを始めました。
そして前回の世界選手権では小林さんを抑えて金メダル。
伸び盛りの若手です。
(鈴木)かなり近い。
下!OK。
柔軟な体を使い力強くダイナミックに登ります。
ガンバ!ガンバ!
(鈴木)惜しい惜しい!もう一回もう一回!ガンバガンバガンバ。
最大の難所。
(鈴木)惜しいぞ!一回タッチしろ。
左手それそれそれ!少々無理な体勢でも腕力でキープ。
(鈴木)左足今7時にある!左足7時にある。
左手から7時にあるぞ。
うんそれOK。
最後!OK!一気にゴール。
こらえたね。
こらえたね。
年の差28歳。
最強のライバルです。
再び小林さん。
(鈴木)2時!右足右下!OK。
ガンバ!11時よ。
11時の次がキャラメルコーンね。
もっと左!OK!バッチリ!張りぼての左が…左左!先ほどはこらえきれなかった障害物。
今度は力に頼らず巧みに体を使い回り込みました。
(鈴木)下!11時近め!OK!2時!右!それ!バッチリ。
さあいこう!いけ!イエ〜イ!
(拍手)OK!維持してよ。
はい。
あ〜…。
2度目の挑戦でクリアーしました。
小林さんやりましたね。
(笑い声)本当に文字どおり登っていくっていう…越えていくっていう感じが体でも心でも感じられてもちろん障害があって苦難がある人もこれを見てる人たちも人生においていろんな苦難があると思うんですけどそれを乗り越えるヒントになるなってすごく思いました今日。
いろんな意味がそこにありますね。
見えない壁は心の中に誰もがやっぱり持っているものでその壁を登る…登るだけじゃなくて越えていくっていう先にその人が成長していく姿もあるしそれってクライミングの中でたくさん経験できる事なんですよね。
今度それを人生にも持っていけるし。
だから今僕らは見えない壁だって越えられるっていうのが自分たちの活動目指しているものはそこだって。
(歓声)ショウ・アイタ。
(拍手)
(拍手)ショウ・アイタ!コウイチロウ・コバヤシ!
(拍手と歓声)
(拍手)2014/12/15(月) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV ブレイクスルー▽File.15 フリークライマー小林幸一郎[解][字]
「ブレイクスルー」主人公は、視覚障害者のフリークライマー、小林幸一郎さん。「見えない壁を登ることは人生そのもの」。世界大会で金メダルに輝いた小林さんの挑戦の物語
詳細情報
番組内容
「ブレイクスルー」。主人公は、視覚障害者のフリークライマー、小林幸一郎さん。28歳の時に失明を宣告され、自暴自棄に陥った。そんな小林さんの人生を変えたのは、ソーシャルワーカーからかけられたある一言。「大切なことは“あなたがどう生きたいのか”」。小林さんが選んだのは自分の大好きなフリークライミングの道。「見えない壁を登ることは人生そのもの」。世界大会で金メダルに輝いた小林さんのブレイクスルーに迫る。
出演者
【出演】フリークライマー…小林幸一郎,【司会】風間俊介,安藤桃子
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
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