堂々と立ち並ぶ女たち。
(行司)はっけよい。
のこったのこった!この秋鳥取県で開催された…体重別に5階級で争われます。
19回目を迎える今年は過去最多の159人が参加しました。
ひときわ小柄な選手がいました。
高校2年生です。
正面から相手にぶつかり一気に押し出す相撲を貫いています。
17歳の女性力士を見つめます。
全国大会で27回の優勝を誇り角界に17人もの力士を輩出しています。
大相撲で今最も注目を集めるあの逸ノ城の出身校です。
この相撲の名門校に去年長野県から親元を離れてやって来たのが…そんな柳瀬さんの稽古の相手は大柄な男子部員です。
男性力士でもちゅうちょする頭からのぶつかり。
柳瀬さんはためらいなく突進していきます。
相手の懐に飛び込み一気に土俵から押し出す。
この押し相撲が柳瀬さんの取り口です。
稽古のあとは相撲部特製のちゃんこ。
男子部員のぶつかりに負けないよう毎晩茶わん3杯のごはんがノルマです。
柳瀬さんのふるさと長野県飯田市。
ここにまっすぐぶつかる相撲の原点がありました。
(一同)223や〜!柳瀬さんが小学生の頃通っていた相撲クラブです。
相手を押し出した時の爽快感に引かれのめり込んでいきました。
はっけよい!前出て!自分から。
前前前!前へ出ろ!まっすぐぶつかる押し相撲を教えたのはコーチの清水里香さんです。
本当に愚直にというところだけを彼女の時は特に力を入れて。
清水さんの指導の下押し相撲に磨きをかけ小学校6年生の時には県大会で優勝を収めました。
しかし中学校に入った柳瀬さんは大きな問題に直面します。
授業中にふざけていた女子生徒を注意した事で周りから無視や嫌がらせなどいじめを受けるようになったのです。
正しいと思った事がなぜ。
柳瀬さんはクラスメートに会うのが怖くなり一時学校に通えなくなりました。
ここです。
中学校の卒業アルバムです。
本当に自分が特定した人にしか書いてもらってないです。
友達のメッセージで埋め尽くされるはずのページ。
空白ばかりでした。
柳瀬さんの変化に気付いた清水さんは学生相撲時代のつてを頼って鳥取城北高校に入学する事を勧めました。
彼女の中でもいろいろな思いがあったり。
言っていいのか分からないですが彼女やっぱり…本人自身が変わりたい。
ここで変わりたい。
今変わらないと変われない。
心に傷を負って地元を離れ鳥取に来た柳瀬さん。
当初は誰とも話さず道場を逃げ出す事もありました。
そんな柳瀬さんに顧問の先生や周りの選手たちは優しく声をかけてくれました。
周囲の支えを受けもう一度相撲と向き合いたいと柳瀬さんは思うようになっていきました。
まっすぐ押す。
小学校時代清水さんから教わった押し相撲に懸けると決めたのです。
押し相撲で再び歩み始めた柳瀬さん。
一つの目標が出来ました。
10月に鳥取県で開かれる全国大会で優勝する事です。
地元優勝したいだろ。
はい。
はい!う〜!大会10日前。
柳瀬さんの練習一段と熱が籠もっていました。
う〜!力出せ。
はい!うりゃ〜!いい当たりだ。
下から下から下から下から。
押し切れ押し切れ押し切れ!日本一になるには克服しなくてはならない課題があります。
小柄な柳瀬さん立ち合いで相手にまわしを取られると動きを止められ自分の相撲が取れなくなります。
まわしを取られず一気に相手を押し出そうとしますが…。
下から下から押せって言わなかった?なかなか思うようにいきません。
駄目でしたね。
柳瀬さんが理想とするのは土俵にまっすぐな跡電車道が残る相撲です。
仕切り線からずっと土俵際まで。
大会1週間前。
この日鳥取県代表の選手は本番を想定して大会会場で稽古を行いました。
押し切れ押し切れ押し切れ。
はい!はい!押せ押せ押せ!突き上げてない。
立ち合い。
まわしをつかませないよう下から相手を突き上げる動きを練習します。
はい!足!出てないじゃん。
下から上にまっすぐ。
何度も繰り返し体にたたき込みます。
少しずつ感覚をつかめるようになってきました。
何か達成感…大会2日前。
この日鳥取県代表で元世界チャンピオンの選手が道場にやって来ました。
本番前の調整をするため母校の相撲部を訪れたのです。
お願いします。
柳瀬さん胸を借ります。
仕上がりはなかなか。
柳瀬いいよ。
(一同)ありがとうございました。
柳瀬さんまっすぐ押し相撲で大会に臨めそうです。
迎えた全国大会。
会場には長野で相撲を教えてくれた清水さんの姿がありました。
柳瀬さんをずっと気にかけてきた清水さん。
電車で8時間かけて駆けつけました。
思いっきり自分のやれる相撲やりたい相撲をやって来て下さい。
すごく楽しみにしています。
頑張りましょう!
(一同)はい!気を付け礼。
(一同)ありがとうございました。
(清水)そしてなかなかだけど柳瀬がいつもみんなに教えてもらって支えられて鳥取で頑張っていると思います。
皆さんありがとうございます。
ありがとうございます。
またよろしくお願いします。
(一同)お願いします。
お前が頭下げるんでしょう。
中。
清水さんが声をかけました。
立ち合いだけな。
えいっ!よしっ!うわっいいじゃん。
お前に抑えられる…。
いいんだよ。
後ろが壁ですもん。
お前に抑えられたくないわ。
いいな。
よし。
よしっ!「はい」って言ってないじゃん。
言ってない。
もういっちょ。
いいな。
はいよしっ!うお〜。
よしよし。
強くなったな。
ありがとうございます。
頑張れよできるからな。
本当に頑張ってきた事を力出してな。
はい。
ありがとうございます。
じゃあみんなのお世話してこいちゃんと。
頑張れよ!はい。
柳瀬さんさあ勝負です。
柳瀬さんが出場するのは50キロ未満の超軽量級です。
相手は高校1年生です。
一気に押し出しました。
続く2回戦。
相手は全国大会で優勝経験のある社会人の選手です。
(拍手)よしっ!ふう〜。
そして準決勝の対戦相手。
豪快な投げ技を得意とする大学生です。
(拍手)下から上へ。
一気に走れ!はっけよい!まだまだ!う〜ん。
立ち合いでかわされ柳瀬さんまわしを取られてしまいました。
礼!はあ〜。
勝負できるだけの器…土台が出来たんで。
柳瀬さん優勝は逃しましたがまっすぐを貫きました。
大会から2週間後。
再び前に進む柳瀬さんの姿がありました。
この冬足腰を鍛え抜きます。
相撲の仲間に囲まれて柳瀬さん今まっすぐな道を歩んでいます。
まっすぐって言ってもそんなに人間がまっすぐできるって限らないんで…。
2014/12/14(日) 08:00〜08:25
NHK総合1・神戸
目撃!日本列島「まっすぐ〜女子相撲 17歳の挑戦〜」[字]
女性たちのぶつかり合い、女子相撲。この秋、鳥取県で女子相撲の全国大会が開催された。今年、過去最多の159人が参加。この女子相撲に、青春をかける高校生を見つめる。
詳細情報
番組内容
あの関脇・逸ノ城を輩出した、鳥取城北高校相撲部。ここに、唯一の女性部員がいる。150センチ、49キロ、高校2年生の柳瀬佳奈(17)さん。去年、長野県から鳥取県へ単身“相撲留学”した。柳瀬さんの戦法は、立ち合いから鋭く相手の懐に飛び込み、一気に押し込む、押し相撲。そこには、かつて受けたいじめの体験から、一度は曲がりかけた人生をまっすぐに戻したいという思いが込められている。女性力士の戦いを見つめる。
出演者
【出演】守本奈実
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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