人生デザイン U−29「神職」 2014.12.15


ここ数年盛り上がる神社ブーム!特に去年は伊勢神宮と出雲大社で遷宮が行われ共に過去最高の参拝者数を記録した。
更に若い人が訪れる姿が目立つように!この辺来たら…この神秘的な雰囲気に引かれ仕事にしてしまった人がいる。
欅田那月さん29歳。
男性が多い神職の世界に飛び込んだ女性神職だ。
ごく普通のサラリーマン家庭で育った欅田さん。
神職になるため見知らぬ土地にやって来た。
しかし力が入るあまりちょっと生真面目。
しかも人と接するのはあまり得意な方ではない。
(欅田)そうですね…どちらかというと…彼女は憧れていた世界でステップアップする事ができるのか。

(鳥のさえずり)香川県高松市にある田村神社。
飛鳥時代から1300年以上続くと言われ香川県内で最も歴史ある神社だ。
長く地域の人から愛されてきた。
朝8時神職欅田さんの1日が始まる。
真っ先に本殿隣にある調理場へ向かう。
そしてまず…お米をとぐ!?次はお酒。
欅田さんの朝一番の仕事は「神饌」と呼ばれる神様の食事を用意する事。
でもどうして答えてくれなかったの?古くから水不足に悩まされてきた香川県。
田村神社は水を守る神様を祭っている。
この奥に神様が居る。
しかし欅田さんもご神体は見た事がない。
(太鼓の音)お供えが終わるとすぐに神職が一同に集まり朝のご祈とう「朝拝」が始まる。
(祝詞)田村神社には宮司を筆頭に8人の神職が仕えている。
(祝詞)男性が多い中数少ない女性として期待を背負っているのが欅田さんだ。
(祝詞)朝拝が終わると毎日行われるのが神職総出の境内の清掃だ。
欅田さん仕事中は黙々と作業に当たりほとんど口を利かない。
9時半過ぎご祈とうが始まる。
この日は地元の電気工事会社が安全祈願にやって来た。
毎日夕方まで10件以上のご祈とうが行われる。
(祝詞)ご祈とうでは神職の1人が「斎主」を務め参拝者の願いを神様に伝える。
欅田さんも斎主ができる立場だがいつも補佐役が多い。
神職になってから4年たったものの男性神職よりも前に立つ事をできる限り避けてきた。
良いお参りでした。
午後5時半仕事が終わった。
おっ!私服だと随分雰囲気変わるね!徒歩3分すぐ近くにスーパーがあるのだが通り過ぎてしまった。
更に歩く事20分。
わざわざ隣町のスーパーへ入っていった。
どうして!?厳かなイメージを壊さないためのこの徹底ぶり。
すごいね〜!今欅田さんは実家を離れて1人暮らし。
家に帰るとまず紅茶を飲む。
このひとときがようやくホッとできる時間だ。
欅田さんが神職に興味を持ったのは中学時代。
家族旅行で出雲大社に行った時だった。
偶然見た巫女舞の厳かな美しさに魅了された。
…のがきっかけですね。
高校卒業と共に念願の巫女になった。
しかし巫女の多くは20代までの未婚女性。
「ずっと神社で働きたい」と女性ながらも神職を目指したが簡単ではなかった。
23歳で神職の資格が取れる学校に入学。
学年で12を争う優秀な成績で卒業。
3人いた女子生徒のうち唯一神職への道を切り開いた。
神職になるには養成学校や大学などで専門の教育を受け資格を取る必要がある。
この大学ではおよそ1,000人の学生が神道の研究や祭式儀礼作法を学んでいる。
中でもここ最近増えているのが女性だ。
…なと感じました。
しかし資格を取っても最終的に別の仕事に就く人が多い。
・「トーラー」
(竜笛)憧れていた世界に身を投じた欅田さん。
人一倍神職としての仕事を全うしたい気持ちが強い。
・「トーラートー…」
(竜笛)この日は2つ年上の先輩と共に笛の練習。
「竜笛」と呼ばれる日本古来の横笛を先輩の拍子に合わせて吹く。
・「ラーラートー…」
(竜笛)練習中に欅田さん先輩の小さなミスに気付いた。
…いいですかね。
(先輩)えっ・「トーロラルイター」。
・「アーローラ」実は先輩音と音の間にあるこちらの息継ぎのマークを忘れていたのだ。
・「トーロラルイター」でちょっと「アロラ」入る前に若干空けると…。
若干はい空けた方が。
了解です。
フフフフフ…!…OKなんやけど。
はい。
欅田さん神職としての所作を完璧にこなしていく。
同僚にも決して隙を見せない。
…何かあるんじゃないですか。
ここで欅田さんの収入を見てみよう。
月収は12万円。
こだわりの紅茶にはなんと月に5,000円!一週間スケジュールはこちら。
休みは月に6日。
平日特に仏滅の日は休める事が多い。
この日の休みも平日。
欅田さんは2か月ぶりに遠出した。
向かった先は地元兵庫。
ごめん。
お待たせ。
ちょっと遅くなった。
1つ年下の妹梨乃さん。
姉に合わせて休みを取った。
あれ?欅田さんなんかすごくリラックスしてるね!2人がこの日やって来たのは神戸市内にある博物館。
お目当ては…古代エジプト展!欅田さんの趣味は国内外問わず歴史に触れる事。
いわゆる歴女だ。
(梨乃)フフフフフ…。
(2人)フフフフフ…。
11月上旬。
七五三の季節がやって来た。
正月に次いで参拝客が多い特別な時期だ。
(祝詞)ご祈とうでは「祝詞」と呼ばれる言葉が読み上げられ子どもの成長を神様にお願いする。
実はこの祝詞神職が自ら考えて作るもの。
内容は人それぞれ異なる。
欅田さんは後輩の男性神職たちが祝詞を披露する中いまだに七五三の祝詞を作った事がなかった。
(池田)ようお参り下さいました。
良いお参りでした。
ありがとうございました。
どうも。
あっはい。
分かりました。
この日欅田さんは宮司の池田さんに呼び出された。
欅田さん今年こそは自分の祝詞で七五三のご祈とうをするよう告げられた。
言葉の中に魂を込める。
欅田さんに新たな命題が下された。
…というふうに思います。
欅田さんは早速祝詞の下書きに取りかかった。
ご祈とうの合間を縫って3時間以上紙と向き合った。
こちらが下書き。
祝詞の中盤子どものこれからの成長を願う箇所さまざまな言葉を選び悩んだ跡が見られる。
優しい声出したらいいやん。
もうちょっとで出来そうな感じ。
それから3日後。
欅田さんはまだ祝詞の仕上げを終えていなかった。
この日近くの幼稚園に通う200人以上の園児が一足早く七五三のお参りにやって来た。
これだけたくさんの子どもに囲まれるのは欅田さん初めて。
順番に置いて下さい。
はい。
前来てね。
はい。
ここの台に置いて下さい。
慣れない作法にお供えの榊をうまく置けない子どもたち。
一人一人に声をかけてサポートしていく。
そうそうそうそう上手。
はい。
うん。
こっちのこの前に来ていいよ。
前からしてね。
はい。
そうそうそう。
いいよ。
作法はバラバラの子どもたち。
それでも一生懸命にお祈りをしていた。
はい。
手をたたいて下さい。
(かしわ手)はい。
おじぎして下さい。
良いお参りでした。
バイバ〜イ。
ウフフフ!バイバ〜イ。
ウフフ!良いお参りでした。
その日の午後清書に取りかかる欅田さんの姿があった。
寒さの中お参りしていたあの子どもたち。
一体どんな大人になるんだろうか。
2時間かけて書き上げた。
悩んでいた親御さんが子どものこれからを願う箇所。
「すくすくと心素直に知恵深く」。
子どもたちへの願いをこの言葉に託した。
その先…この「心素直」という言葉。
彼女の心からの気持ちだった。
でやっぱり…やっぱり…そういった事を考えて…迎えた11月15日。
七五三当日。
200組を超える子供連れが境内にあふれかえった。
神職になって4年初めて迎えた七五三の祝詞披露。
いよいよ始まる。
(太鼓の音)「紅葉映ゆる秋空に菊花香る今日の生日のたる日に大前に参り出でて…」。
(鈴の音)神職として新たな一歩を踏み出した欅田さん。
彼女もまた「心素直」に参拝者の気持ちに寄り添う覚悟を決めた。
…かなと思いますけれども。
欅田さん!頑張って!私野田ともうします。
2014/12/15(月) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「神職」[字][再]

今回の主人公は神社に仕える“神職”。高松市の神社で働く欅田那月さんは厳かで神秘的な雰囲気に憧れ神職を志した。今年初めて七五三のご祈祷に挑む女性神職の奮闘を追う。

詳細情報
番組内容
今回の主人公は神社に仕える“神職”。伊勢神宮や出雲大社の遷宮などの影響もあり、神社に関心を持つ若者が増えている。高松市の神社で働く欅田那月さんは厳かで神秘的な雰囲気に憧れ神職を志した。女性が神職になるのを許されたのは戦後。圧倒的に男性が多い神職の世界に、欅田さんはサラリーマン家庭から飛び込んだ。神職になって4年目の今年、初めて七五三のご祈祷(きとう)に挑む女性神職の奮闘を追う。
出演者
【語り】Mummy−D

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:28809(0x7089)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: