中国人主婦の韓ヤンさん(42)は昨年2月から済州島北西部の海岸沿いにある高級リゾートコンドミニアム、Rプライベートタウンで暮らしている。夫は中国・瀋陽の自宅で生活しており、娘(11)の教育のため、第2の自宅として済州島で高級コンドミニアムを購入した。娘の教育費には年間2億5000万ウォン(約2600万円)ほどを充てている。近くの国際学校に通わせ、家庭教師を雇って英語、ピアノ、水泳、ゴルフ、乗馬も習わせている。韓さんは「済州島の生活は気に入っているが、大きなデパートがないのが不便だ」と話す。そのため、週末には飛行機でソウルへ行き、繁華街・明洞のデパートでショッピングを楽しんでいるという。
このコンドミニアムは全934戸で、韓さんのような中国人462世帯が入居している。地下の駐車場にはマセラティ、ポルシェ、BMW、ベンツなどの高級外車が数十台並んでいた。平均分譲価格は5億ウォン(約5100万円)から6億ウォン(約6200万円)で、中国人がこのコンドミニアムの購入に費やした資金は2500億ウォン(約256億円)に達する。まるで「高級チャイナタウン」だ。
済州島を管轄する済州特別自治道は、住宅の取得税・登録税と事業者に対する地方税を含め、これら中国人から115億ウォン(約11億8000万円)余りの税収を得た。中国人の入居者が支払う管理費は年間20億ウォン(約2億1000万円)、これら中国人を主な顧客とするタウン内のレストランや免税店、皮膚科クリニックの年間売上高は計72億ウォン(約7億4000万円)に上る。
済州道庁によると、2010年2月から昨年9月にかけて分譲された島内のコンドミニアム1464戸のうち、少なくとも768戸(52.5%)を中国人が購入したという。これは5億ウォン以上の分譲型コンドミニアムを購入し、居住ビザ(F2ビザ)の発給を受けた中国人だけを集計したもので、実際の中国人分譲率はさらに高い可能性もある。
「高級チャイナタウン」まで登場するほど中国人の不動産投資が活発化し、済州島内に中国人が保有する土地は今年6月現在、592万2000平方メートルに達した。金額にして5800億ウォン(約595億円)=土地・土地分に対する累計購入価格基準=規模と、半年で2倍に増加した。中国人による済州島の不動産への投資額は2011年に米国人を制して1位を記録し、今年は面積でも米国人を抜いた。
中国資本による大型リゾート建設なども島内各地で進められている。西帰浦市の「済州ヘルスケアタウン」では、153万平方メートルの用地に医療研究開発(R&D)センター、文化施設、宿泊施設などを造成する工事が行われている。中国の不動産開発企業、緑地グループが1兆ウォン(約1025億円)を投じて医療複合団地を造成するもので、中国人富裕層をターゲットにしている。このほか、同市の海抜260-320メートルの中山間地域でも、中国人を狙った大型リゾート開発が進んでいる。済州島で進行中の外国人による投資事業は18件、8兆7000億ウォン(約8920億円)規模で、このうち中国系の資本は14件、6兆ウォン(約6150億円)規模に達する。
コンドミニアムなど住居用のほか、商業用の不動産も中国人が多く購入している。特に、中国系の旅行会社が近ごろ済州市内のホテル、ショッピングセンター、レストラン、美容外科などを相次いで買収している。