あのクラシックの名曲をあなたのものに。
人生を豊かにしてくれる一曲を一緒に見つけませんか?今回は…。
(「フィンランディア」)「フィンランディア」はその名のとおりフィンランドと深〜い関わりのある一曲です。
作ったのはフィンランドを代表する…この曲はおよそ120年前のフィンランドが直面していたある事態の中で生まれました。
次々とあらわれる特徴的なメロディー。
それらが表現しているものは!?今日はこの名曲の魅力をたっぷりご紹介します!「ららら♪クラシック」今日はフィンランドの作曲家シベリウスの「フィンランディア」です。
日本でもね非常に人気の曲ですよね。
では本日のお客様ご紹介しましょう。
ルー大柴さんです。
よろしくお願いします。
ルーさんは10代の頃にヒッチハイクで北欧を旅されたと聞いたんですがフィンランドいかがでしたか?非常にね…非常にねフィンランド人というのは親日家ですよ。
ヒッチハイクするでしょ。
そうすると「よかったら今ちょっとお母さんに電話するからうちに泊まれ」なんて言ってね。
フィンランドといいますとね日本人にはすごく遠い所というイメージがあるんですけれども実際にはどうなのかちょっと確かめてみましょう。
ちょっとねこちら地球儀をご用意しましたけれども日本がこちらにありましてそしてフィンランド。
東にロシアそれから西にスウェーデンという事でガイドブックなどでは「日本から一番近いヨーロッパ」なんていうふうに表現されているようなんですけれども。
作曲したシベリウスの実はこれ造語なんですよね。
「頑張るんだ!」というものが込められてるのかもしれませんね。
そこは「森と湖の国」とうたわれる美しい国です。
湖の数はおよそ19万。
そのほとりには深い森が広がっています。
クリスマスに活躍するサンタクロースとトナカイが暮らすのもフィンランド。
ファンタジーあふれる国なんです。
そして産業ではすてきなデザインの家具や食器が有名ですよね。
そんなフィンランドに暮らす人々はどんな生活を送っているんでしょう?サウナをこよなく愛して楽しそう!「サウナ」ってフィンランド語だったんですよ!知ってました?美しい自然に囲まれて笑顔あふれる人々。
まるで絵に描いたように豊かな国フィンランド。
でも実は苦難の歴史を歩んだ国でもあるんです。
19世紀フィンランドはロシアの支配下にありました。
世紀末になると母国語や歴史教育まで禁止され苦しい時代を迎えます。
やがて…人々の間に民族意識が高まったこの時期に生まれたのが「フィンランディア」なのです。
(「フィンランディア」)当初はフィンランドの歴史を描いた舞台劇のための音楽でしたがその後単独の作品に改められ繰り返し演奏されるようになりました。
フィンランドに平和が訪れるのは20世紀半ば。
それまでは度重なるロシアからの侵略に脅かされたり2度の世界大戦を経たりするなど長い苦しみの中にありました。
こんな時代に一貫して人々を勇気づけてきたのが「フィンランディア」だったのです。
「フィンランディア」はその後合唱曲にも編曲されました。
今では「第二の国歌」とも呼ばれるこの曲。
フィンランドの人々の心にこの曲はどのように響くのでしょうか?「フィンランディア賛歌」はフィンランドの大学の合唱団の多くが歌いますしさまざまなセレモニーの席でも歌われます。
この音楽には独立運動を支援したシベリウスの強い民族意識や当時のフィンランド国民の祖国への思いが息づいているのだと思います。
ですから今の私たちにとっても重要な意味を持つ曲なのです。
いかがですか?そういう歴史があったわけですね。
今の豊かな福祉国家フィンランドっていうのからイメージかけ離れてますね。
でもね苦難を越えて文化的にも非常に復活して成熟してるわけですけどルーさんは何かフィンランドの文化でお気に入りのものありますか?やっぱり町を歩いてるとね先ほどVTRにもありましたけど食器。
すてきなね…今私うちにあるのが…ムーミンのマグカップでコーヒー飲んでらっしゃるんですか?そうです。
見てみたいですよね。
VTRで紹介したとおり「フィンランディア」のもととなった曲というのはフィンランドの歴史を追った「歴史的情景」という舞台劇につけられた音楽の一曲なんですね。
そしてその最終場面に出てくるのが「フィンランドは目覚める」のために書かれた曲。
これが今の交響詩「フィンランディア」の原形になっています。
この「フィンランドは目覚める」の場面なんですけれどもこういうふうに指示が書かれています。
「フィンランディア」という名の交響詩に形を変えてからもね曲が描いているこの内容はまさにどんぴしゃり。
ただ立ち向かうだけじゃなくて…そういう意味なんじゃないでしょうかね。
そうですね。
「フィンランディア」はロシアから演奏禁止令が出ていた時もあってその時は…ちょっと待って。
ウェイト!それは言い過ぎなんじゃないですか?ですから多分僕の想像では「祖国」っていうのやっても「それは『フィンランディア』の事だろ?駄目だ!」。
じゃあ「即興曲」で何やるか分かりませんよと言って出してひそかに演奏してたんじゃないですかね。
かえって音楽の力そのものを考えると…分かりやすいのかもしれないですね。
みんな一緒だよみたいなそういうところあるかもしれないですね。
さあこの「フィンランディア」を書いたのがフィンランドを代表する作曲家ジャン・シベリウス。
ジャジャジャーン!ありがとうございます。
ちょっと簡単にねプロフィールを見ていきたいと思います。
生没年1865年〜1957年という事で非常に長生き。
長生きっていうか私生まれてましたよもう。
ちょっとかぶってますか年代?私54年ですから3イヤーズの時ですね。
つい最近ですね。
(笑い声)そして性格はシャイで得意な楽器はバイオリン。
さあシャイなバイオリン弾きがする事といえば?シベリウスが好きだった事。
シャイな人ってちょっと女性の前に行くとてれたりするじゃないですか。
私もそうだったんですけど。
言葉では自分の表現はしないでバイオリンを弾いて気を引かせる。
なるほど。
全然違います。
こちら。
あまりにもシャイすぎますね。
よくボートの上に乗って湖の真ん中なんかで弾いていた。
1人でですか?ええ。
だから自然が好きなんですね。
続いてなんですけれども今度はシベリウスさんがハマったもの。
何だと思いますか?これはね…クイズに全くなりませんでした。
そのとおりです。
こちら正解は…でもね知らない人もたくさんいらっしゃると思うんですよね。
一体「カレワラ」とは何なのでしょうか。
VTRをご覧下さい。
管弦楽や合唱室内楽など350もの作品を残した…何より愛したのは生まれ育ったフィンランドの豊かな自然でした。
彼は生涯を通じて自然にまつわる作品を多く書いています。
(「樅の木」)シベリウスがもう一つ大事にしていたのがフィンランドに昔から伝わる民族芸能です。
中でも特別な関心を寄せたのが古い伝説や神話を歌うように語る…
(「カレワラ」)「カレワラ」とは世界の始まりを描いた神話や英雄の一代記などをまとめた民族叙事詩です。
シベリウスは「カレワラ」の朗読の会に度々足を運ぶなど熱心に学びました。
そして「カレワラ」にちなんだ楽曲を多く残しています。
(「トゥオネラの白鳥」)シベリウスの作曲活動を支えたのはフィンランドの美しい自然とふるさとに古くから伝わる文化だったのです。
シベリウスの作品を数多く演奏してきた指揮者の尾高忠明さんが考える彼の音楽の魅力とは…?ふるさとの自然と伝統を愛したシベリウス。
この曲にもフィンランドらしさを込めました。
(「フィンランディア」)そして今「フィンランディア」はフィンランド人だけでなく世界中の人々に愛される曲となっているのです。
こちらがねその「カレワラ」の非常に厚い本なんですけれども口伝えだった節つきの詩をまとめた民族叙事詩という事なんですよね。
19世紀中期にまとめられたものなんですけれども。
これは非常にフィンランドのいろんな所からもうおじいさんおばあさんとかそういう方たちも忘れかけてたものを集めて一つにしたっていう事を聞いた事あります。
なるほどね。
そういうあれですかね…。
今も好きな昔話みたいなものは?まあ小さい時聞いたのは…ああごめんなさい。
「桃太郎」とか。
あっ「さるかに合戦」とか。
まあそういうポピュラーなものが…。
で分かりやすいものが私の中では好きでしたね。
美濃さん何かあります?今のなんか新しい話みたいで…。
ああ「ピーチ太郎」がね。
申し訳ございませんでした。
僕はどっちかっていうと教訓がないのがいいですね。
勤勉に働いた人が報われるみたいなものじゃなくてもう訳の分からない…。
神様がいきなり来てむちゃくちゃな事やって勝手に帰っていくみたいなああいうのいいですよね。
愛国独立運動の中で生まれた「フィンランディア」はフィンランドが平和を勝ち取るまでの姿を描いた作品です。
それを音楽でどう表しているか作曲家の美濃さんが解き明かします!音楽でどのように表現されているのか大きく3つのブロックに分けて見ていきたいと思います。
まずは冒頭部分ですね。
音にするとこういう感じです。
どうですか?やっぱりこう苦しんでる。
ドーンドン!ドーンドン!やっぱこうちょっと落ち込んでくる感じ。
これ「苦難のモチーフ」と呼ぶ人もいるようなテーマなんですけれども…何かが起こる感じというのを演出しているんです。
すごいね。
半音進行というのはここの…。
ベースラインに出てくるのが半音で上がってて。
上に出てくるのが半音で下がってる。
これがぶつかり合っていて緊張感がより増すというか何かが起こる感じという。
何かが起こるっていうのは分かるんだけど…これだけインパクトがあると。
まさに…そうですね。
さあ続いてはですね圧政に負けずにフィンランドの人たちが心を一つにする非常に穏やかな場面に出てきます。
こちらです。
いかがですか?非常に優しい感じがしますよね。
さっきのねあの勢いと…ダンダン!っていうのとこっちはなんかやっぱりこう優しく…。
みんなで森あるいは湖を眺めながら優雅に過ごしたいねみたいなそんなイメージですね。
一転して確かに…先ほども紹介したとおりこの部分は「フィンランディア賛歌」というふうに…歌いやすい穏やかな音型で出来ているからこそみんなで口ずさめるようなメロディーなんですよね。
では今度はですね…このあと出てくるフレーズからエンディングに入ります。
もう一度聴いてみましょう。
チェロとコントラバスに注目。
というふうにシベリウスは…実はこの音型は中盤にも一度出てきているんです。
これは5拍で1つのかたまりというのが注目すべき点なんですね。
5拍子のように感じられる。
トゥントゥントゥントゥントゥンというふうに。
実はこの5拍子先ほど紹介した「カレワラ」これも5拍子のリズムで出来ているのでちょっともう一度ね「カレワラ」聴いてみましょう。
(「カレワラ」)何となく独特の雰囲気がありますよね。
普通は音楽で一番多いのは4拍子とか3拍子で収まりがいいんですけれども何かちょっとずれたようなでもそれが非常に心地いい感覚。
今のすごく素朴だしこの拍子に乗って神話だったりこの国はこう出来たんだという事を朗々と歌われるとああそうかなって思っちゃいますよね。
グッとくるものがありますよね。
そうなんです。
…というのは非常に意味深い。
でもシベリウスさすがですね。
この5拍子を聴けばフィンランドの人であれば誰でもあれは「カレワラ」の拍子だっていう事が分かりますからそういうのを曲の中にうまく織り込みながら「フィンランド頑張ろう立ち上がろう」みたいな事をちゃんと音楽にしていくっていうね。
それでは今日はカット版でお聴き頂きましょう。
シベリウス作曲交響詩「フィンランディア」です。
どうぞ。
(拍手)非常にスケールの大きい。
要するにこれ全体的な事で考えるともういろいろなシーンが音楽によって聴いててあらわれてくるような気がしましたね。
北欧の音楽を聴くといつも思うんですけど独特な透明感がありますよね。
何でしょうねあの澄んだ感じ。
やっぱり湖森。
森の空気。
そういうところじゃないですかね。
要するにフィンランドの持ってる豊かさそれから人の優しさそういうのが感じられますね。
また新たな気持ちでフィンランド行きたくなっちゃいましたね。
ほんとですね。
フィンランドそのものなんでしょうねこの曲が。
またあのイワシの燻製食べたいなと思って。
ルーさん今度フィンランドに行ったらこの曲についてまた違う発見があるかもしれませんね!「SWITCHインタビュ−達人達」。
2014/11/22(土) 21:30〜22:00
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「森と湖と音楽と〜シベリウスの“フィンランディア”〜」[字]
フィンランドの作曲家シベリウスが書いた「フィンランディア」を特集。ロシアの圧政に苦しむ祖国の人々を励ますために彼がこの曲に忍ばせた秘密とは?楽曲誕生秘話に迫る。
詳細情報
番組内容
フィンランドの大作曲家・シベリウスが書いた交響詩「フィンランディア」。この曲は、19世紀末にロシアの圧政を受けて苦しむフィンランドの人々を勇気づけるために書かれた作品だ。祖国の人々の心を励ますためにシベリウスはある方法でこの曲に“フィンランドらしさ”を感じさせるようにした。その手法とは?音楽を使ってフィンランド国民の気持ちを慰め、奮い立たせたシベリウスの思いと楽曲の誕生秘話に迫る。アンコール放送。
出演者
【ゲスト】ルー大柴,【出演】指揮者…尾高忠明,管弦楽…東京フィルハーモニー交響楽団,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【語り】服部伴蔵門
ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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