土曜プレミアム・リーガルハイ・スペシャル 2014.11.22


(岡部)赤目院長の総回診が始まります。
(広瀬)S2から3のHCCでケモ3日目です。
(赤目)サイドエフェクトも大丈夫そうだな。
肝臓と大腸の2人退院させろ。
予定では来週…。
(赤目)もういい。
ベッドを空けさせろ。
(広瀬)はい。
(広瀬)投薬を始めて3日目です。
(さやか)あの…すごくつらそうなんですが。
(赤目)そういう薬だとじゅうぶん説明したはずですよ。
(さやか)はい。
それはよく分かってますがでもいったん薬をやめるっていうのは…。
構いませんよ元のもくあみでいいなら。
やめますか。
続けてください。
うん。
問題ない。
この病気のこと一番分かってるのは私ですから。
薬に慣れるまでの辛抱です。

(広瀬)はい。
バイタルは?
(さやか)起きてよ淳ちゃん!ねえ淳ちゃん!淳ちゃん!
(看護師)危ないですから…。
(さやか)起きてよ淳ちゃん!
(看護師)離れてください!
(さやか)淳ちゃん!
(広瀬)手は尽くしましたが…残念です。

(九條)なめてんのか?
(社長)いえ。
あの私どもの誠意ということで…。
へ〜。
前途ある若者を大ケガさせておいてたった3万で済ますのがあんたらの誠意か。
(社長)いや〜でっですがあのうちの車でですねおケガはさせておりませんもので。
お宅の運転手が勝手に抜け道に入ったから渋滞に巻き込まれたんだよ。
そのせいで新幹線に乗り遅れそうになって階段を慌てて駆け降りたから尾てい骨を骨折したんだろうが!
(社長)ですがそれはあの…駅の中のことでございます。
分かった。
出るとこ出よう。
えっ?勝手に道変えて到着時間遅らせて料金ぼったくった揚げ句どんな後遺症が出るかも分からねえ大ケガを誘発させたタクシー会社を世間の皆さまに知ってもらおうじゃねえか!
(社長)ちょっちょっ…ちょっと待ってください。
ちょっ…ちょっと待ってください。
ちょっと待ってくださいよ。
何て弁護士だ。
何か文句あんのか?ついてくんじゃねえよ!裁判…起こしたいの。
(黛)耳の不自由な方の力になりたい。
素晴らしい言葉を届けたい。
その一心で石井さんは手話通訳となりこれまで立派に仕事をしてきました。
しかしどんなに優秀な通訳であっても完璧ではありません。
彼も講演会では間違った手話を繰り返してしまいました。
(黛)体調が悪く目まいがしパニックに陥ってしまったからです。
決してだまして手話通訳をしていたわけではないんです。
彼はずっと手話と共に生きてきました。
その証拠にご覧ください。
先ほどから自然と手が動いています。
手話が身に染み付いているんです。
手話は彼の人生そのものなんです。
以上です。
(磯貝)私磯貝邦光が代表を務めますオフィスネクサスには様々な能力を持った弁護士がいます。
彼女もその一人。
手話協会に所属しています。
ただ今の石井さんの手話もえ〜通訳してもらいました。
黛先生読んでいただけますか?さあ読んで。
「大変だ。
背中がかゆい。
とてもかゆい」「おしっこも漏れそうだ」「100円ちょうだい。
エビカニエビカニ」「大変だ。
大きいエビがやって来る」「大きいカニもやって来る」ハハ。
「たくさんやって来る」「エビカニエビカニ。
小さいエビ小さいエビ」「大きい100円ちょうだい。
背中がかゆい。
とてもかゆい」「おしっこも漏れそうだ」はっ!?
(磯貝)黛君ハハハハハ残念だったね。
まあこんな勝ち目のない訴訟も果敢に引き受けるのが君のいいところだ。
これからも頑張って。
うちに来るんならいつでも大歓迎だから。
どうも。
あっ!それでどうなのかな?彼の容体は。
相当悪いの?
(服部)黛先生依然手術を拒否なさってます。
何しろ確率が5%ですからね。
一日中あの木を見詰めております。
最後の葉が落ちたら自分の命も消えるときだとそうおっしゃって。
(古美門)・「いのち短し恋せよ乙女」あ〜!!お前何するんだよ。
盲腸の手術で死んだりしない!さっさと手術を受けなさい!何でそう言えるんだ。
確率が5%なんだぞ!失敗する確率でしょうが。
それも古美門先生独自調べの。
その5%に私がならないという保証などどこにもないだろうが!君のように心身ともに超合金でできている無神経な人間には分からないだろうが私のように繊細な精神の持ち主はたとえ成功率の高い手術であっても非常にナーバスになるのだ!それも理解せず心の支えであった最後の一葉を故意に毀損したことは病人への虐待に等しい!直ちに接着剤で葉っぱを復元するとともに精神的苦痛に対する謝罪を要求する!はう!はっ服部さん…。
はい。
盲腸が破裂したかもしれないのでナースコールをした後この暴力性異常者を隔離病棟に拘束してくださ〜い。
了解。
服部さんそばにいてくれないかな〜。
終わるまで手握ってて。
手術の邪魔になりますので。
服部さんが執刀してよ。
私は以前外科医をやったことだけはありません。
何で…あっ辞世の句詠んでない。
まだ辞世の句を詠んでない。
「金が好きああ金が好き金が好き」勝手に詠むな!「毒舌の最低弁護士古美門だ」そんな古美門かるたみたいなのやだ!服部さ〜ん!
(野々宮)はいあ〜ん。
あ〜ん…ん〜。
(藤森)コミコミヒジキも食べて。
んっ?ヒジキ…ん〜。
いや〜味気ない病院食も君たちに食べさせてもらうと実に美味だよ。
私の専属にしてもらってよかった。
(野々宮)私たちもコミコミのお世話ができてうれしかったです。
(藤森)もうすぐ退院と思うとさみしい。
君たち私のプライベートナースとしてうちに来たまえよ。
退院後の経過が心配なんだ。
ねえ今幾らもらってるの?言ってごらん。
ねえ言ってごらんよ。
ねえ言ってごらんよ。
(岡部)古美門先生例のお相手がみえました。
会議室へ来ていただけますか?黛君用意はできたか?これ何ですか?古美門先生の総回診です。
だからこれ何なんですか?やってみたかったんだ。
奥さんの話を聞いてさ俺は涙が止まらなかったよ。
こんなひどい話があるのかと思ったね。
かわいそうに。
旦那さんに死なれた上に治療代の借金返すのに今も必死だよ。
昼は事務夜は居酒屋。
(広瀬)心よりお悔やみ申し上げます。
ですが処置は適正でありまして…。
適正?
(岡部)中原さんの死因は持病による心不全で手は尽くし…。
おいおい寝ぼけたこと言ってんじゃねえぞ!あんたらが薬を入れた途端容体が急変したんだ。
明らかに医療過誤だろ。
医療過誤…。
あんたじゃ話になんねえ。
院長呼んでこい。
(岡部)院長は学会に出席しておりまして。
(舌打ち)じゃあ俺と話ができるやつを連れてこい。
ご意見は承りました。
裁判を望まれるのであればどうぞ法的手続きをお取りください。
へ〜えらく威勢がいいな。
裁判になって困るのはあんたら病院じゃねえのか?いいえ。
何事もうやむやにするのはよくありません。
白黒つけましょう。
私もそろそろ大きい裁判をやりたいと思っていたところなんですよ。
腕がなまってしまわないように。
申し遅れました。
私当院の顧問弁護士をしております古美門法律事務所の古美門研介と申します。
黛真知子です。
古美門?あの古美門研介?「あの」とはどのことか分かりませんが例えば安藤貴和の死刑判決をひっくり返した古美門研介ならこの私です。
ハハ…何だよ。
医者のふりしてだますなんてずりいな。
だますなんてとんでもない。
これは私服です。
ねっ?2人ともたまたま白が好きなので。
別に何が何でも裁判ってわけじゃなくてよそっちがそれなりの誠意を見せてくれさえすれば…。
誠意ですか。
いかがですか?広瀬先生。
申し訳ありませんが医療に不測の事態は付き物です。
特別な対応をするわけにはいきません。
それじゃあまりにも気の毒だ。
立ち飲み屋ででも一杯やってください。
遠慮することはない。
さあ。
すまんねつまらん仕事頼んで。
ハエを追い払う程度仕事のうちにも入りません。
(赤目)ああいう言い掛かりに一度でも甘い顔をすれば骨までしゃぶられる。
黛君覚えとくといい。
ああいうのをゆすりたかりの野良犬というのだ。
最下層の弁護士だな。
(岡部)古美門先生今回のお礼の方は?そうですねえ。
お言葉に甘えるとすればナースの野々宮さんと藤森さんを私の自宅に派遣していただけないかな?
(さやか)それでのこのこ帰ってきたんですか?仕方ねえだろ。
「裁判やったっていい」って言うんだから。
「やって」って言ってるのよ。
俺はたかりの弁護士だ。
こんな大それた裁判手に負えねえんだよ。
ホントに裁判やろうってんなら俺なんかじゃなくてもっとちゃんとした弁護士に頼め。
ちゃんとした弁護士は誰も相手にしてくれませんでした。
じゃあ諦めろよ。
敵の弁護士は俺みたいな小銭稼ぎとは違うんだ。
でかい裁判勝ちまくってるやつなんだよ。
あなただって同じ弁護士でしょ?
(蘭丸)いただきま〜す。
う〜まっ!ん〜。
やっぱり服部さんの料理は最高ですねえ!先生の退院祝いに用意したシュラスコでございます。
私は以前リオデジャネイロで…。
・「タンタ〜ン」・「タンタンタンタタンタタンタンタン」サンバを踊ってるころに覚えました。
先生は病み上がりなんですからほどほどにしといた方がいいですよ。
(蘭丸)そうそう。
俺が代わりに食べますから。
蘭丸君君はこういうときだけ現れるねえ。
病院には一度も見舞いに来なかったくせに。
心配過ぎて先生に会ったら泣いちゃいそうでさあ。
それなら仕方ないねえ。
なかなかいいナースを2人ほど見繕ったんだが。
マジ?野々宮さんと藤森さんうちに来てくれるかも。
(古美門・蘭丸)ムフフフフ…。
(服部)先ほどこのような郵便物が届いておりましたが。
うっ…う〜!「九條」そんなネギみたいな名前のやつは知らんね。
この間病院で追い返した弁護士ですよ。
あのたかりか。
仕事をくれという哀れみの手紙だったらすぐに燃やしたまえ。
(蘭丸)何それ。
どういう意味?
(服部)先生赤目院長からお電話でございます。
病院が医療過誤で訴えられたそうです。
宣戦布告…。
面白い。
野良犬の分際でこの私にケンカを売るとは。
リハビリがてら遊んでやろうじゃないか。
もっともリハビリにもならないだろうがね!
(沢地)んっ…。
(三木)う〜…。
あの年で盲腸とは笑えるな。
(沢地)もっとお若い方がなるものだと思ってました。
(三木)精神年齢によるもんなんだろうな。
ハハハ。
痛てて…そこ痛いな。
ここ盲腸です。
あっ!
(井手)三木先生!
(三木)ノックぐらいしろ山下!
(井手)井手です。
あのこういう方がお会いしたいと。
(三木)んっ?知らん名だな。
(井手)古美門先生と裁判をやるので協力してほしいそうです。
(三木)通せ。
(三木)「ハイムリック・ルーゴル症候群」確か全ての臓器を侵す全身性の珍しい難病でしたね。
依頼人の夫は5年前に発症し最後の方はほとんど起き上がれなくなっていました。
東都総合病院の赤目院長はこの病気の権威で独自の治療を行っていました。
彼らにとっては最後の望みの綱でした。
《試してみるか》《Zマブですか?》《Zマブ?》《最近開発された画期的な新薬です》《うまくいけば劇的な効果があります》
(さやか)《そんな薬があるんですか?》《日本ではまだ未承認ですが当院では有用性を重視して希望される患者さんに使用しています》
(さやか)《副作用とかは?》《強い薬ですのでやはり体にダメージはあります》《体質にもよりますが》《奥さん副作用のない薬というのはないんです》《ですがこの薬が他の薬に比べて特別危険ということはない》《私は今までにない素晴らしい薬だと考えてます》
(中原)《やるよ》
(赤目)《まあ当然自由診療ですから治療費は高額になりますが》《構いません》投薬を始めるとその苦しみは予想以上。
そして3日目の夜容体が急変し心肺停止に。
(心電計の警告音)
(広瀬)《手は尽くしましたが…残念です》病院が言うには死因はあくまで心不全。
投薬との因果関係は不明。
その直後薬の承認は見送られ病院も使用禁止にしました。
(三木)禁じられた薬を使って死なせたわけだ。
(井手)ひどい話ですね。
でかい戦争になる。
人手が欲しいんです。
古美門研介はあなたの因縁の相手ですよね?共に赤目義二と古美門研介を葬ろうじゃありませんか。
ぜひあなたに協力したいところなんですがあいにくわが事務所は今手いっぱいでしてねえ。
手の空いてる者がいたかな?沢地君。
そうですねえ…。
(沢地)いませんねえ。
(三木)いないねえ。
九條先生お力になれなくて申し訳ない。
(井手)どうして断ったんですか?
(三木)当然だろうが。
(沢地)医者は医者を守る。
医療裁判で患者側が勝つケースはわずか2割程度。
しかも相手は古美門先生。
あんなよれよれスーツ野郎が太刀打ちできるわけないだろうが。
どうせな古美門を引きずりだすこともできずに終わるのがオチだ。
あんなやつをこの私の部屋に入れるんじゃないよ大泉!
(井手)井手です。
(女の子)返して。
ねえ。
ねえ返して。
ねえ!
(男の子)返さないよ〜。
(女の子)返して!ねえ!
(赤目)いや〜それは助かりますな。
(赤目の笑い声)どこで買ったんだよそれ。
パーティーだからおしゃれしてこいって言ったのは先生でしょ?『ベルサイユのばら』のコスプレパーティーとは言っていない。
院長。
お〜…。
後ほど。
(男性)はいどうもね。
すまんなこんな所に。
おっ黛君いいな。
お招きいただいて光栄です。
ご自宅でこんな豪華なパーティーなんてさすがですね。
愚妻が好きでな。
出資者のご機嫌取りだ。
あれが長女だ。
長女の亭主と孫たち。
病院の跡取りを捕まえろと言ったのにアイスホッケーの選手と一緒になりおった。
ああ幸い次女が頑張ってくれた。
どうも。
広瀬先生。
お二人ご結婚されるんですか?
(好美)この人の気が変わらなければ。
(赤目)フッ。
逃げられんよう捕まえておけよ。
後継問題は安泰のようですね。
(赤目)賠償金は2億4,000万だと。
吹っかけてきましたねえ。
(広瀬)どんな薬にも危険性はあります。
中原さんの死因が新薬のせいだという可能性ももちろんある。
でも仮にそうだとしてもあの時点では分かりようがなかった。
防げない事故だったんです。
(好美)それに薬に問題があったなら製薬メーカーの責任でしょ?新薬の危険性についてはちゃんと中原さんに説明されたんですよね?もちろん同意書にサインも頂いています。
なら問題ありません。
ご家族の気持ちも分かるけどこういうことでいちいち裁判起こされてたら病院は破産しちゃうよね。
そうだよね。
あの弁護士はどの程度のやつなんだ?キャリアは長いようですが裁判での実績はほとんどないみたいです。
だからこそこんなバカげた裁判を起こせるんでしょう。
高い金払ってんだ。
頼むぞ古美門君。
私が出ていく必要があるかどうか。
おそらくこの超合金程度で十分かと。
ド〜ン!あ〜ご精が出ますな。
まるで医学部を受験するような勢いですな。
医療裁判はどれだけ専門知識を身に付けられるかに懸かってますからね。
頑張ります。
古美門先生も大量に本を購入して一心不乱に読みふけってますよ。
『ブラック・ジャック』ですけどね。
医療漫画の最高傑作だ。
君こそちゃんと勉強したまえ。
私は君の援護しかしないぞ。
やってますよ。
(さやか)もう飲んじゃってるじゃない。
どうぞ。
(男性)気が利くね。
(さやか)は〜い。
(さやか)はいおごり。
頑張って。
おう任しとけ。
俺も同じ弁護士だ。
(沼井)運動の伝達が思うようにいかなくなり自然と筋肉が衰えます。
やがて心肺機能にも影響が出て多くは心不全などの発作を引き起こして亡くなります。
いわゆる進行性筋無力症候群の一種というわけですね。
(沼井)そうです。
これまではステロイドや血液浄化といった治療法が一般的だったようですが。
どちらも効果が薄い上に危険性が高く効果的な治療法は確立していないのが現状です。
その難病ハイムリック・ルーゴル症候群についてわが国の第一人者はどなたですか?赤目義二先生です。
以上です。
(裁判長)原告代理人。
原告代理人。
はい。
えっと…あの〜ステロイドや血液浄化といった治療法が一般的なはずですが効果は上がってないんでしょうか?質問が重複しています。
もう答えました。
そうですね。
あの〜…。
裁判長九條先生は裁判に不慣れなようです。
温か〜い目で見てあげましょう。
(井口)TNFを抑制することで病気の進行を抑えることができます。
筋肉の回復を図れれば日常生活に支障がないレベルまでの回復も可能です。
まさに夢の新薬というわけですね。
ところが現在わが国では使用が禁じられています。
なぜでしょうか?
(井口)最近になり重大な副作用を引き起こす可能性が判明したからです。
重大な副作用とは?
(井口)海外の例ですが死亡するケースがありました。
それが判明したのはいつごろでしょうか?
(井口)昨年から本格的な検証と議論が始まりました。
当時は新薬の危険性は判明していなかったということですね?はい。
以上です。
(裁判長)原告代理人。
あっ…えっとあの〜…。
ないようなので終わりましょう。
今なら首都高が渋滞する前に帰れます。
あっありません。
予想以上の駄目駄目君でしてねえ。
ホントにがり勉超合金だけで勝てちゃうかもしれません。
確かに私一人で十分かもしれませんね。
まあ院長の手前私も行かないわけにはいかないが弱い者いじめをしているようで面白くも何とも…。

(チャイム)あっ来た!おみえになったようです。
呼んできて呼んできて!どなたですか?決まってるだろ。
あっ!ちょっ…うわ。
ナースの野々宮さんと藤森さん。
君はこんなときだけ忍びらしい現れ方をするねえ。
(蘭丸)ヘヘヘヘヘ。

(野々宮・藤森)お邪魔しま〜す!
(蘭丸・古美門)いらっしゃ〜い!やっと来てくれたね〜。
待ってたよ…。
どうぞ。
(野々宮・藤森)コミコミ〜!会いたかった〜!
(野々宮)この家すっげえ!ヤベえ!このソファ超跳ねる!
(蘭丸)この2人?さあさあさあさあ。
・「コミコミ飲む〜ぞ」
(野々宮・藤森)・「コミコミ飲む〜ぞ」・「コミコミ飲む〜ぞ〜」・「3秒で飲むぞ」
(藤森・野々村)321!
(野々村)はい!
(藤森・野々村)321!
(野々村)もうちょっと!よくやった〜!フフゥ〜!野々宮さんと藤森さん?違うと思う。
やっぱり俺はたかりだよ。
勝てっこない。
(さやか)まだ始まったばっかりじゃない。
孤立無援だし有力な証人も得られない。
あそこねずっと空き店舗だったんだ。
夫と2人でいつか小さなレストランを開くのが夢だった。
ここを通るたびに「あそこいいね」って言い合ってた。
取られちゃった。
何で俺なんだ?何で俺なんだよ。
あんたもさみしそうだからかな。
ここでいいわ。
おやすみ。
たかりはたかりらしく俺のやり方で戦うか。
(岡部)中原さんの病状はかなり進行していて深刻な状況でした。
中原さんは新薬のリスクについても納得していたということですね?
(岡部)はい。
赤目先生自らが説明されましたし同意書にサインもしていただきました。
これですね?そうです。
確かに中原さんご本人のサインがあります。
以上です。
原告代理人。
知ってたんじゃありませんかね?何をですか?新薬に死亡の危険性があり得ることです。
ですから当時は知り得ませんでした。
でもほら同意書の「副作用」のページ細かい字で色々と書かれてますが「非常に稀」という欄に「心筋梗塞」とある。
これ心臓発作が起こるって知ってた証拠でしょ?それはあくまで理論上の可能性の問題で現実に起こるとは…。
私は医師ではないので正確には分かりません。
院長は知ってたんだ。
死ぬかもしれないって知ってて使ったんだ。
(岡部)知ってたら使うわけないじゃありませんか。
でもうまくいったら病院の実績が上がるでしょう。
世界中から患者が押し寄せる。
異議あり。
臆測で被告をおとしめる発言をしていますし質問の内容は証人が答えるべきものではありません。
すいません。
ただ岡部さんは院長をかばって嘘をついているんじゃないかと思ったもんですから。
何で私が嘘をつくんですか?だってあなた院長の愛人でしょ?はっ?だからあなたは赤目院長の言いなりなんじゃないかって。
愛人だから。
異議あり!本件とは…。
関係あります。
証人の信用性に関する質問だ。
根も葉もないことです。
院長にインタビューしたくて先週一週間彼の後をつけていたんですよ。
そしたらうち2日はあなたのマンションに帰られた。
彼の別宅になってますよね?誤解です!あなたは異例の若さで看護師長に抜てきされたそうじゃないですか。
さぞお上手なんでしょう。
何ていうか老人のお世話をするのが。
異議あり!「六代目」とはどういう意味ですか?はっ?スタッフの一部は陰であなたのことを「六代目」と呼んでいるようです。
どういう意味ですか?知りません。
院長の愛人六代目という意味ですよ!異議あり!あんたも院長も知ってたんだろ。
あの薬は毒薬だって!
(裁判長)原告代理人やめなさい!知ってて使ったんだ。
病院の実績を上げるために!院長が世界的権威になるために!死んじまったら心不全と言えばいい。
そうだろうが六代目!いいかげんにしてください!もっともっと金もうけして一緒にうまい物食って毎晩毎晩楽しむ…。
理論崩壊してますよ。
患者が死んでしまっては実績を上げるもへったくれもないでしょう。
あなたよほど頭が悪いらしい。
裁判長原告代理人は本件とは関係のない妄言を繰り返し何ら意味のないプライベート写真をばらまいて証人の尊厳を大いに毀損しました。
よって原告代理人には散らかしたごみの速やかな片付けと証人への謝罪を要求する。
さもなければ審議の続行を拒否するとともに名誉毀損でこちらから提訴する。
今この場でだ。
どうもすいませんでした。
なにぶん裁判には不慣れなもので。
上等だ野良犬。
あんたもだろ。
(裁判長)双方席に戻りなさい。
それはそれは難儀でしたな。
ひどいもんですよ。
法廷で初めて古美門先生がまともに見えました。
ハハ。
しかしその九條先生とやらそんな戦術を取ったら自分の首を絞めるだけのような気がしますがね。
やけくそなんでしょうね。
まっこっちは粛々と医学的証明を進めるのみです。
それで済めばいいがね。
どういう意味ですか?もしかすると血で血を洗う死闘になるかもしれないよ。
そんな厄介な敵なんですか?最も厄介な敵は失うものがない人間です。
先手を打っておきましょうかな。
出番だ草の者。
出番だ〜!!こういうときは現れないんですよね。
触ってみ?まだ震えてる。
ハハ…。
この次はどうするの?さあな。
こっちは孤立無援。
弾もない。
まあやるだけやるさ。
(沢地)なかなか面白い戦い方をなさってるようですね。
(三木)計算高いのかただのバカなのかまだ評価はできんな。
でも古美門先生を引きずりだしました。
私お手伝いいたしましょうか?そっと。
やりたそうだな。
最近退屈なもので。
好きにやりなさい。
(沢地)ぞくぞくしますわ。
(赤目)おはよう。
(赤目)飯は?
(赤目)おい!
(好美)嘘よね?
(赤目)くだらん三文記事だ。
ほっとけ。
(広瀬)はい。

(記者)いたいたいたいた…。
(記者)院長裁判について一言お願いしますよ!ここは病院内です。
ご遠慮ください。
(記者)院長愛人問題について一言!
(広瀬)外に出てください。
お願いします。
(記者)院長コメントお願いします!
(赤目)しっしっ!
(記者)院長!
(赤目)しっ!
(蘭丸)はい。
九條が申請中の証人リスト。
こんなにたくさん?九條先生いつの間に…。
手を貸している者がいるということでしょうかな。
知らない名前ばっかり。
どういう人たちかしら?
(蘭丸)う〜ん…調べてんだけど事件との関連性が分かんないんだよね。
無関係な連中をこじつけて引っ張りだす気だよ。
彼らの共通項はおそらく赤目院長に個人的な恨みを持っているといったところだろうね。
それって…。
医学論争は放棄して院長の個人攻撃に徹するということでしょうかな。
黛君医学書を捨てよ。
もはや勉強など無意味だ。
ルール無用の殴り合いが始まるぞ。
もっとも私の得意分野だがね!アハハハハ…!ア〜ハッハッハッ…!
(青葉)赤目君とは若いころから医療の将来を語り合い切磋琢磨してきた仲です。
彼はとても素晴らしい医師でした。
「でした」と過去形なのはなぜですか?どこかで彼は変わってしまった。
医療よりも地位や名誉を求めるようになった。
東都病院の院長は赤目先生ではなくあなたが目されていたと聞きましたが。
私は一臨床医でいたい。
目の前の患者を救いたい。
それだけなんです。
権力の座に上り詰めた現在の赤目先生はあなたの目にどう映りますか?異議あり。
本件と無関係です。
赤目義二という人物の医師としての資質を明らかにしようとしています。
しっかりとした検証が必要です。
まるで独裁国家の支配者。
裸の王様ですね。
医師もナースも患者さえ彼のために働く奴隷です。
以上です。
青葉先生この方を覚えてらっしゃいますか?おや覚えていない?それはおかしいなあ。
あなたの青春時代のアイドル。
南国から来た右手の恋人バーバラ山本さんですよ。
(青葉)しっ…知らないな。
さぞ感激したことでしょうねえ。
健康診断であなたの診察室に現れたときは。
「胸にしこりがある可能性がある」と言って何度も何度も何度も何度も触診を繰り返してしまってもしかたがない。
何を言っているんだ。
異議あり!本件とは無関係だ!関係はある。
証人の信用性に関わる質問だ。
このことが問題になりあなたは院長候補から脱落した。
本当は院長になりたくてなりたくてしかたがなかったのに。
赤目院長を逆恨みするのはやめましょうよ。
(青葉)違う。
私はいち…一臨床医でいたい…。
一臨床医でいたいでしょうねえ。
院長になってしまったらグラビアアイドルの健康診断なんか担当できなくなっちゃいますから。
これからも大いに触診をしてください。
以上です。
記念にどうぞ。
(高木)院長は利益!利益!利益!僕はそんな人の下で働くのは耐えられなかったんです!まだ入院の必要のある患者を強制的に退院させたというのは事実ですか?日常茶飯事です。
「ベッドの回転率を高めろ」が院長の口癖ですから。
まるで患者を物扱い。
金もうけの道具としか思ってないんだ!院長の利益効率至上主義こそが東都病院の体質となり今回の医療過誤を引き起こした遠因であると思われます。
以上です。
患者を甘やかさず退院を促し新しい患者を積極的に引き受ける。
何がいけないんですか?かっ彼は利益のことばっかりで…。
金なんかどうでもいいとおっしゃるんですか?いっ医者にとって大事なのは心の温かさで…。
心の温かさ?なるほど。
では高木さんが昼飯代を病院のレジからちょろまかしたことも温かい心で大目に見るべきだ。
たかだか日替わり定食580円じゃないか。
首にするなんてひど過ぎる!そうおっしゃるわけですね?540円だよ。
以上です。
(小林)院長と看護師長の関係はいわば公認の間柄でみんな知ってました。
院長はもともと奇麗な女性スタッフには甘いんです。
それに引き換え私のようなタイプには…。
ひどいセクハラを受けていたそうですね?「お前はデブだ」「目障りだ」「痩せないなら病院を辞めろ」ううっ…。
以上です。
あなただけナースの制服のサイズがなくて特別注文なのは事実ですか?肥満が原因で膝に水がたまり思うように動けずベッドから起こそうとした患者を押しつぶし危うく窒息させるところだったのは事実ですか?院長の言葉は全て正論だ!あなたはデブだ!痩せなさい!さもなければ病院を辞めなさい!患者を窒息死させないうちに!以上。
まだまだこれからだ。
いくらでも相手になるよ。
挑発に乗るべきじゃありませんよ。
同じ土俵に立ってどうするんですか。
ちゃんとまっとうな裁判をやりましょう。
私はそのために猛勉強したんですから。
君は何も分かってないねピノコ。
誰がピノコですか。
売られたケンカを買わないと世間は負けたと見なすのだよ。
アッチョンブリケ。
(蘭丸)いや〜この病院もシフトきついっすねえ。
話が違うなあ。
看護師の久本さんが「ここはいい」って言うから移ってきたのに当の本人辞めちゃってて。
久本さんホントのところは何で辞めたんすかね?院長と何かあったんすか?教えてくださいよ〜!
(沢地)ねえ院長の前の愛人って小児科の平井先生?
(看護師)いいえ。
その辺の人間関係知っとかないと働きにくいのよ。
ほら女医同士って結構面倒じゃない?あっこれ麻布のイタリアンの食事券。
取っといて。
(看護師)ありがとうございます。

(蘭丸)もしも〜し。
(蘭丸)あっ俺です。
ようやく見つけました敵の潜入スパイ。
お互いさま。
暗躍という言葉がすっかり板についてきましたねえ。
しかしやや火遊びが過ぎるのでは?沢地君江女史。
中原さんと奥さんがあまりにお気の毒で。
力になってあげたいじゃありませんか。
お医者さんごっこを楽しんでいるだけでは?古美門先生術後の経過はいかがですか?よろしかったら診察して差し上げますわよ。
君江ちぇんちぇ〜この辺りがねたま〜にちくちくちゅるんだよ〜。
にゃ〜。
お前のナース姿とクオリティーが違い過ぎるんだもん。
沢地さん三木先生にお伝えください。
「こんなプライベートの暴露合戦はもうやめましょう」と。
裁判の争点からずれる一方だしそちらにも不利です。
(沢地)あくまで九條先生が決められた方針ですから。
九條先生に協力するなら裏でこそこそせず正々堂々と関与なさったらいいじゃありませんか。
ええいずれそうなると思いますよ。
三木は勝算のない戦いには手を出さない方ですから。
ではお大事に。
はったりだよね?だってこのまま判決まで行けば向こうは自滅だもん。
だよね?そうよ。
誰も得しない裁判よ。
判決までたどりつけばだがな。
どういうことですか?要するにだな九條ははなから勝訴を取ろうなんて思っていないのだよ。
このまま個人攻撃を延々と続け院長の権威を失墜させ病院を社会的に追い詰める。
しょせん民間病院だ。
経営が行き詰まれば白旗を上げるしかない。
判決を得なくても勝てる。
そんな…。
実に野良犬らしい戦い方じゃないか。
われわれはもはや場外乱闘でやつを殴り倒すしかないのだよ。
(所)弊社が研究しているZマブは残念ながら承認を得られてませんが弊社は実用化を諦めていません。
きっと難病患者を救う夢の薬になると信じてます!こんな事故が起きたのに?研究段階ではしかたのないことです。
赤目院長も同じ考えですか?はい。
たくさんの助言を頂いてます。
お宅の会社から赤目院長に多額の金が渡されているという話がありますが事実ですか?はい。
学会の研究資金として提供させていただいてます。
(ざわめき)それ裏金というんじゃありませんか?赤目院長にZマブを使ってもらうための。
研究資金です。
これまでに渡した裏金の総額は?あ〜おそらく数千万円になるかと。
数千万の裏金。
それだけの裏金をもらっていたら病院はZマブを使わないわけにはいきませんよねえ。
たとえ危険だと知っていても。
あっいやそれは…。
以上です。
(記者)製薬会社から裏金をもらってたこと知っていました?知ってて投薬したんですか?
(記者)あっ来たぞ!
(記者)あっ来た来た来た。
赤目院長ちょっとお話聞かせてくださいよ。
裏金何に使ったんですか?金もらってるから投薬したんでしょ?犠牲になった患者にはどのように説明してるんですか?邪魔だ!どけ!
(記者)あ痛っ!痛たたたた…。
(赤目)出てけ!
(記者)折れた!痛て…。
うるさい!
(リポーター)この赤目院長にはかねてから黒い噂があったことが私たちの取材で明らかになったんです。
あの院長には私もひどい目に遭ったよ。
病院を追い出すんだ。
金にならない患者なんか診たくないんだよ。
あっお礼金みたいなのを要求されるってよく聞きますよ。
僕の叔父もあの病院で死んだんですよ。
やってしまいましたね院長。
(赤目)あの記者が無礼なんだ。
それにわざとやったわけじゃない。
ほらサッカーでPKもらおうとわざと転ぶやついるだろ。
あれだよ。
いずれにしてもあなたははめられた。
どうして法廷でちゃんと反論しなかったんだ。
裏金じゃなく研究資金だと!しましたよ。
しかし世間は正論よりも醜いスキャンダルの方が好きなんです。
今やあなたは白い巨塔の頂点で欲望のかぎりを尽くす悪の権化ということになっている。
悪の権化が受け取った金は研究資金ではなく裏金なんです。
何か手を考えろ!そうですねえ。
院長心労がたたって倒れるというのはいかがです?
(赤目)えっ?ホントに倒れる必要はありません。
あなたならその辺はいくらでも装えるでしょう。
軽い心筋梗塞をわざと起こす薬なんかも用意できるんじゃありませんか?真面目に言ってるのか?お孫さんが泣いている絵でも撮らせてやれば世論も幾分変わります。
(赤目)バカバカしい。
そんな小ざかしいまねができるか。
案外効果的なんですがねえ。
もう限界ですよ。
和解するべきだ。
(赤目)何だと?私も広瀬先生に賛成です。
真実を明らかにしてどちらに非があるのかを決める。
それが本来の裁判です。
お互い醜いののしり合いで傷つけ合うだけならこれ以上続けても無意味です。
出た出たぽんこつ理想主義者!だってそうでしょ!
(赤目)ここまでこけにされた私の名誉はどうなる!?お言葉ですがほとんど事実なんじゃ…。
院長病院はがたがたです。
どこもかしこもマスコミが押し掛け抗議の電話が鳴りっぱなし。
逃げ出す患者も続出している。
正常な病院運営ができない。
それどころか患者や遺族が原告団をつくり訴訟を次々と起こされたらうちはつぶれます。
それが向こうの狙いです。
こちらが白旗を上げるのを待っている。
上げればいいじゃありませんか。
過ちを認めることは恥ずかしいことじゃない!貴様この私が過ちを犯したっていうのか!?院長のご家族も苦しんでいます。
奥さまも家を出ていかれましたよね?
(赤目)それが何だ?好美さんは外出しなくなり夜眠れなくなりました。
知ったことか。
2人のお孫さんは学校でいじめに遭っている。
そんなことはどうでもいいことだ!何ですって?あなたのお孫さんですよ!そんなにご自分の名誉が大事ですか!広瀬お前誰に向かって口を利いている?自分の将来考えろ!広瀬先生過ちとは何ですか?本当のこと教えてください。
広瀬先生!
(赤目)何とかしろ古美門。
分かりました。
終止符を打ちましょう。
(赤目)どうやる?醜いスキャンダルを蹴散らすことができるものはただ一つ。
もっと醜いスキャンダルです。
勝負どころだ。
君も傷を負うことになると思う。
(さやか)覚悟はできてる。
「お茶でも」って言ってあげられなくてごめんなさい。
そんなのはいい。
(さやか)おやすみ。

(さやか)結婚して2年目に彼が発症しました。
ハイムリック・ルーゴル症候群と診断されたんですね?「有効な治療法はない」「持って5年くらいじゃないか」って言われました。
そんなときに東都病院を薦められたんです。
院長がこの病気の第一人者だからって。
私たちはわらをもすがる思いでした。
新薬Zマブについてはどう説明されましたか?まだ未承認だけど劇的に回復する夢の新薬だと。
リスクについて細かい説明はありましたか?一応同意書を読み上げられて…。
同意書の「副作用」一覧の中にある「心筋梗塞」についてはどう説明されましたか?どうも何も冷たく事務的に読み上げられただけなので深刻には受け止めませんでした。
それに院長はこうおっしゃったんです。
《この薬が他の薬に比べ特別危険ということはない》《私は今までにない素晴らしい薬だと考えてます》つまり心臓発作が起こるかもしれないのに素晴らしい薬だと偽って説得したわけだ。
その院長はご主人が亡くなられたときあなたに何と言葉を掛けましたか?
(赤目)《中島さん》
(赤目)《残念でした》《お悔やみ申し上げます》《今日中にベッドを空けてください》《次の患者を入れますので》《「中島」じゃなくて「中原」です》
(さやか)それだけです。
人の死よりもベッドの回転数。
しかも名前すら覚えていない。
これが難病治療の権威とあがめられる赤目院長の本性です。
最後にさやかさんご主人との夢があったそうですね?2人で小さなレストランを開くことです。
病気を治して夢をかなえる。
主人はその思いだけだったと思います。
その夢がかなうことはありませんでした。
残されたのは高額な治療費の借金のみ。
彼女は今も一人昼も夜も働きづめの日々です。
以上です。
やめませんか?お気の毒です。
私もあなたの境遇には同情を禁じ得ません。
さやかさん振り返ればあなたの人生は試練の連続でしたね。
21歳のとき働いていたキャバクラで知り合った男性と恋に落ち最初の結婚をした。
しかし男性は浮気癖が直らずわずか半年で離婚。
おつらかったでしょうね。
結局慰謝料を50万円ほど受け取ったようですが金をもらったところで心の傷は癒えませんよね。
そのよくとしには交際していた男性に妻子がいたことが発覚しましたね。
ショックだったことでしょう。
あなたは全て知っていたと男性は主張したそうですがそんなはずありませんよね。
結局200万円ほどあなたに支払い和解したようですが金をもらったところで心の傷は癒えませんよね。
同じころ別の男性からDVも受けていてそちらからも幾らかもらったようですね。
金額は分かりませんが幾らもらったところで心の傷は癒えません。
え〜っとそれからまた別の男性からは言葉の暴力による精神的苦痛でこれも慰謝料を。
それに暴力団関係者とも長い期間交際を…。
異議あり!無関係な話だ。
あっ確かにそうですね。
私としたことが。
これ以上はやめましょう。
以上です。
今度は…今度は本当なのよ!今度は!?今までだってホントでしょう。
まさかあなたが言い掛かりをつけて金をむしり取る常習犯だなんてこれっぽっちも思ってません。
あの人が私を変えてくれた。
どうしようもない生き方をしてた私をあの人が…あの人…。
今までもそうやって幾度となく涙を流されたことでしょうねえ。
本当にお気の毒です。
もうやめろ!せめてもの救いはもうすでに新しい男性が支えてくれているということでしょうか。
ご主人が亡くなってまだ1年だというのに本当によかった。
今度こそお幸せに〜!暴力か?ふざけるなよ…ふざけるなよ古美門!そっちが仕掛けてきたことだ。
くしゃくしゃの千円札で我慢しておきゃよかったんだよ。
なめたまねしやがって!
(警察官)離れなさい!
(裁判長)席に着きなさい!原告代理人!大丈夫ですか?「悲劇の妻に怪しい過去」「元キャバ嬢の黒い人脈」ネットはもっとあからさまです。
「夫の死も金もうけ」「たかり女とたかり弁護士お似合いのくずカップル」興味の対象は完全に次の話題に移りました。
これで少しは静かになるでしょう。
(赤目)ハハ。
さすがだな。
あとは担当医である広瀬先生が「落ち度はなかった」と法廷できっぱり証言してくだされば勝利は手中に収めたようなものです。
ああ。
しっかりな。
(赤目)おい広瀬。
はい。
分かってます。
若干危なっかしいですね。
(赤目)ヘヘ。
心配いらんよ。
あいつは将来を棒に振るほどバカじゃない。
だといいですが。
(受付)広瀬先生。
(受付)広瀬先生先生宛てです。
(広瀬)あっありがとう。
(記者たち)中原さん!
(記者)暴力団関係者とつながりがあったというのは本当ですか?一言お願いします!
(記者たち)お願いします。
(さやか)すいません。
(記者)今までも何回も示談金なんかもらってるって話ですけどね。
(記者)何か一言お願いします。
(記者)今回の裁判もそれが目的で起こしたんじゃないんですか?放せ!
(記者)あっ!九條弁護士。
どけ!
(記者)今回の裁判の真意を…。
どけ!
(記者)ホントのことを知りたいんです。
(クラクション)
(井手)乗って!
(記者)ちょっと…。
すまない。
(井手)さやかさんのアパートも張られてるのでホテルを用意しました。
どうせすぐ飽きます。
ほんの少しの間ですよ。
これ以上は無理かもしれない。
(井手)だそうです。
(三木)弱気になってどうするんですか。
相手は古美門研介ですよ。
そう簡単にはいかない。
ここまでの九條先生のご健闘ぶり三木は大変高く評価してるんですよ。
うちの弁護士に足りないのは君のようなハングリーさだ。
見習え具志堅。
井手です。
だけどもう弾がない。
(三木)手玉がないときの武器は敵の弾だ。
広瀬…。
あの男は良心の呵責に苦しんでいる。
何が何でも落とせ。
(蘭丸)うん。
うんうんうん…。
ん〜うん。
広瀬を監視すればいいわけね。
そうだ。
万が一彼が敵の手に落ちれば終わりだ。
広瀬に九條を近づけるな。
もし接触してきたら即座に撃退しろ。
多少手荒なまねをしても構わん。
うん。
OK。
服部さんお代わり。
お代わりじゃないよ。
行け〜。
(蘭丸)うん。
はいは〜い。
(ため息)ご機嫌斜めのようですな。
別に…。
こんなのおかしいです。
真実を明らかにするべきです。
彼に本当のことを証言させるべきです。
ぷんぷん。
などというとんちんかんな朝ドラヒロインはとっくに卒業したはずだよねえ。
お疲れさまでした。
(好美)キャ〜!
(広瀬)わ〜!キャ〜!
(好美)結構迫力あったね。
(広瀬)あり過ぎだよ。
(好美)ありがとう。
大変なときなのに無理やり連れ出してくれて。
いや気分転換したかったのは僕なんだ。
(好美)ねえねえ次あれ乗らない?
(広瀬)無理無理あんなの。
1人でどうぞ。
(好美)じゃあそうする。
(蘭丸)そこまでだ。
手荒なことをしてもいいって言われてるんだ。
ここはおとなしく引き返してくれませんかね。
俺の真空跳び膝蹴りが炸裂する前に。
そんなことをすれば私の脳天ぱっくり地獄落としが炸裂するわよ蘭丸君。
真知子ちゃんどうしてここにいるの?そしてそれどういう技?九條先生広瀬先生と話したいことがあるならどうぞ。
ちょっちょっ…どっちの味方?私はフェアにやりたいの。
九條先生にだって広瀬先生と話す権利はあるわ。
でも古美門先生に…。
言い付けるならどうぞ。
でもねこれは医療過誤裁判なのよ。
人が亡くなってるの。
駆け引きはもうたくさん。
真実を究明するべきだわ。
九條先生どうぞ。
ただし脅しやどう喝はなしです。
話を聞きますよ。
やめた。
えっ?やめたよ。
どうしてですか?広瀬先生を説得しに来たんでしょう?「真実を話すべきだ」って。
説得したって無駄だよ。
何で分かるんですか?分かるんだよ。
あなたも僕と同じ境遇だったからだろ。
(広瀬)匿名であなたの経歴が送られてきたよ。
あなたも昔はまともな弁護士だった。
大手といわれている事務所に入りボスの娘と結婚した。
将来は約束されていた。
(広瀬)だけど事務所の不正を許せず告発し全てを失った。
(広瀬)奥さんはあなたについてきたがどん底の生活の中で体を壊し若くして亡くなられた。
正義を貫くってのは気持ちいいもんだよ。
たとえ貧乏だろうが自分に酔っていられる。
だから女房の体がぼろぼろだったことに俺は気付きもしなかったんだ。
正義だの信念だのそんなものはしょせん自己満足だ。
あんたにとって現実はあの子だ。
そうだろ?真実なんてくその役にも立たねえよ。
黛先生…。
赤目院長は僕の師であり義理の父親になる人だ。
裏切ることはできない。
彼女を不幸にすることも。
というわけで広瀬は大丈夫。
問題ないっす。
うちのぽんこつよりはるかに大人だったということだな。
(さやか)貧乏なろくでもない女とたかりの弁護士がさ大病院の権威と敏腕の弁護士を苦しめたのよ。
すごいよ。
私はここまでやれただけで満足。
広瀬先生は将来を嘱望される大変優秀な内科医です。
患者からもスタッフからも信頼が厚い。
その広瀬先生が担当医としての信念を持って中原さんには新薬が有効であると判断したんです。
そうですね?あなたは当時知り得るかぎりのリスクを患者に説明し承諾を得ましたね?何一つ隠してはいない。
そうですね?どうしました?
(好美)《さっきの人たち何だったの?》
(広瀬)《何でもないよ》《あなたがずっと苦しんでるの知ってる》《そんなこと…》《私のために我慢してるなら怒るよ》《バカにしないで》《私もあなたと一緒に戦ってるつもり》《全てを失っても誰に嫌われても怖くない》《本当のことを話すべきよ》《それが裁判でしょ》《それがあなたという医者でしょ》質問を変えましょう。
新薬に大変危険な副作用がある可能性を当時のあなたは知る由もなかった。
そうですね?そうですね?いいえ。
(ざわめき)質問を変えます。
亡くなった原因が新薬であると断定することはできませんよね?断定できませんがその可能性が高いと思い…。
質問を終えます。
(広瀬)私は新薬の危険性を知っていました。
質問にだけ答えてください。
(広瀬)当時すでに海外では…。
もう結構。
(広瀬)死亡例が出ているという…。
もう結構。
(広瀬)院長とも話し合いを…。
やめなさい。
質問を終わります。
広瀬先生あなたは新薬の危険性を知っていたんですよね?はい。
噂になっていたので。
赤目院長も。
(広瀬)投薬をしたのは私です。
私の責任です。
院長の指示に従ったんですよね?最終的に判断をしたのは私です。
院長が中原さんを説得した…。
主治医は私です。
全ての責任は私に。
他の薬より危険はない素晴らしい薬だと偽って。
なぜ院長は新薬にこだわったんですか?製薬会社から多額の裏金をもらっていたからでしょう。
ここでしか受けられない治療なら患者はこぞってやって来る。
治療費は言い値だ。
どんなに高額だろうが命が助かるなら払う。
こんなにうまい商売はない。
だから新薬にこだわったんだよ!そうだろうが!中原さんと奥さんに今言いたいことはありますか?「医は仁術なり」私の座右の銘でした。
ですが忙しさの中で私はいつしかそれを忘れ患者やご家族の心に寄り添うことをないがしろにしていたと思います。
中原さん申し訳ありませんでした。
バカなやつだ!娘が広瀬をたきつけたらしい。
2人して病院に泥を塗りやがって!真実を語ったんです。
私は立派だと思います。
何だと?すいません。
なにぶん脳味噌が超合金なもので。
私は絶対に負けんぞ。
もちろんです。
徹底抗戦しましょう。
ああ。
広瀬なんてしょせん下っ端の一ドクターだ。
そんなやつが何を言おうと関係ない。
最終的な責任者は院長であるこの私なんだ。
そのとおり。
その院長が本人尋問でしっかりお話しになればじゅうぶん逆転は可能です。
できればその前に心労がたたって倒れ無理を押して法廷に現れるとさらに…。
だからそれはやらんと言ってるだろう!はい。
すいません。
君らも食え。
腹が立ってるときはこいつをむさぼるに限るぞ。
ではこの野良犬が〜!広瀬君座ってくれ。
(理事)先ほど理事会を臨時招集して話し合ったんだがね。
君に承諾してもらいたいことがある。
(理事)理事会全員一致で決定しました。
赤目義二医師を当病院の院長から更迭する。
新たに広瀬史也医師を院長とし新たな体制をもって病院運営の健全化を目指す。
その若造が院長だと?
(広瀬)私も荷が重いと申し上げたんですが…。
(理事)世間は広瀬君を高評価している。
イメージを一新するには広瀬君が適任です。
赤目派閥も反赤目派閥も双方が納得する。
病院を救えるのは広瀬君しかいない。
ハッ。
バカバカしい。
裁判はどうする?終わらせます。
(赤目)古美門が納得しないぞ。
彼にも去ってもらいます。
すでに新しい弁護士と交渉を始めてますので。
そいつの入れ知恵か。
ふざけやがって。
おやおやこれはこれは。
(井手)受付を通してください。
何ですか?この茶番は。
(井手)うっ…。
あっ…。
(三木)このたび古美門先生に代わりこの三木長一郎が東都総合病院の顧問弁護士を仰せ付かりました。
よろしくどうぞ。
(沢地)ようやく正々堂々と関与できることになりましたわ。
広瀬先生説明してください。
病院を守るためです。
(三木)下手すりゃ業務上過失致死だぞ。
俺が手を回して丸く収めてやったんだ。
感謝しろ。
広瀬先生この事務所は陰で九條先生に協力していました。
大変問題があります。
(沢地)平和的解決の仲介をしていただけですよ。
古美門先生黛先生私たちは2億4,000万全額支払うことを決めたんです。
これで裁判は終わりです。
和解交渉の最中なんで部外者は席を外してください。
出てけよ。
広瀬先生まだ赤目先生の本人尋問が残ってる。
最後までやるべきだ。
往生際が悪いな。
あんたはもう負けたんだよ。
どうせ全額を払うなら最後までやってからでもいいはずだろ。
裁判で負けて嫌々払うのと和解して進んで払うのとではまるで意味が違うだろ。
彼の身にもなってやれ。
みんながみんなお前みたいに争うのが好きなわけじゃないんだよ。
(広瀬)古美門先生ご理解ください。
私はこれ以上病院の信頼をおとしめるわけにはいかないんです。
病院の信頼をおとしめる証言をしたのはあなただろう。
私は自分の信念に基づいて証言したんだ!
(沢地)お引き取りを。
行きましょう。
(広瀬)古美門先生和解に賛同してくれるなら一緒にやりましょう。
断る。
われわれは赤目院長に雇われた。
最後まで彼と共に戦う。
(ドアの開く音)
(井手)では裁判所での和解の段取りを決めましょう。
最後まで戦うっていっても解任されちゃったらどうしようもないですよ。
このまま引き下がれるか。
赤目院長個人に雇い直してもらう。
病院を不当人事で訴え彼を院長に返り咲かせ裁判を続行させる。
そんなことできますか?やるんだよ。
3,700…。
3,700…3,700…。
あっ…これか。
うっ…。
うっ…うっ…。
うっ…あっ…。
(せき)うっ…。
(チャイム)留守ですかね。
こんにちは。
古美門と黛です。
お邪魔しま〜す。
院長?あっもう院長じゃないんだ。
赤目先生?院長…。
あっ…。
院長!院長!救急車呼びます。
ハハハハ…。
やってくれますね院長。
さすがのリアリティーだ。
ホントに発作を起こす薬を使ったんじゃありませんか?これならみんなだまされますよ。
奇跡的に回復して証言台立つって筋書きですよね!立ってもらわなければ困るんだ。
院長!
(岡部)先生は隠していらっしゃいましたが以前から心臓に疾患を抱えていらっしゃいました。
回復する見込みは?お父さん…。
赤目が?
(井手)危篤状態だそうです。
古美門の策略じゃないのか?われわれもそれを疑っていましたがどうやら本当のようです。
あいつにとって最後の望みの綱も断たれたってわけか。
終戦だな。
(ため息)諦めましょう。
今回ばかりは負けです。
負けたわけじゃない解任されただけだ。
それに赤目院長が回復する可能性だってある。
私もそれを願ってますけど裁判はあしたです。
和解成立です。
もう寝る。
起きてきたばっかりでしょう。
フォーク…持ってっちゃった。
そうですか。
打つ手なしですか。
でも今回は和解でよかったと思います。
真実が明らかになった以上早く裁判を終わらせさやかさんに賠償してあげるべきですから。
ほう。
真実が明らかになりましたか。
広瀬先生が打ち明けたとおりです。
お医者さんは偉い人だって持ち上げられますから目の前の患者の命に寄り添うことを忘れがちなんだと思います。
それが今回の悲劇を引き起こした遠因です。
なるほど。
しかしそれは広瀬先生の真実ですよね。
えっ?患者の命を救いたくない医者なんかいるんでしょうか。
あ〜いやいやあの…あの方の真実はまだ明らかになっていない。
そう思いましたので。
ちょっと出掛けてきます。
院長が倒れる間際までまとめていたリポートです。
新薬に関するデータですよね?そのようですね。
その内容はご存じでしたか?先生ならそのデータの意味が分かるはずです。
赤目院長が何を言いたかったか。
広瀬先生あなたはご自分の信念に基づいた証言をしました。
赤目院長にも赤目院長の信念に基づいた証言をさせる場を与えるべきではありませんか?でも先生はもう証言台に立つことは…。
私たちがいます。
私たちは赤目義二という医師の真実を明らかにしなければなりません。
何だよ〜。
寝てたんだよ〜。
何だ?これ。
分からないなら勉強してください。
はっ?やっと始まるんです。
医療裁判が。
中止?和解をせず裁判は続けるそうだ。
そしてうちは顧問を解任された。
新しい弁護士は?古美門先生と黛先生です。
まったくバカげてますよこんな一方的なやり方。
広瀬があの2人にどうやってやり込められたかは分からんが理事たちはあくまで和解を望んでいるらしい。
広瀬を更迭して和解に持っていくという手もなくはないが…。
いや…いい。
さあお勉強の時間です。
やるよ。
最後まで戦いたい。
古美門研介と。
(裁判長)では開廷します。
本日は赤目義二前院長の本人尋問の予定でしたが被告赤目前院長は現在病床にあり回復のめども立っていません。
これは証人が倒れる直前まで今日のために準備していた資料です。
そこで異例ではありますが私が証人に代わってこの資料を説明することをお許し願いたい。
(裁判長)原告代理人。
構いません。
ではどうぞ。
これらは全て国内外の新薬Zマブ使用患者に関するデータです。
これによると本件発生当時主要7カ国において計468人の患者が新薬治療を受けています。
その一人一人について実に詳細な分析が行われています。
その統計結果を要約すると以下のようになります。
468人のうち目覚ましい効果が挙がった患者が164人。
やや効果があったが47人。
効果がなかった不明が213人。
状態が悪化した患者が38人。
死亡した患者が6人です。
さらにごく簡単に言い換えるとこうです。
新薬は治るケースが35%。
死亡するケースは1.3%。
同意書に記されていたとおり心筋梗塞が起こる危険性はあるのでしょう。
しかしその発生率はわずか1.3%。
これは他の治療薬ザフトスマブやグライフスマブに比べてもはるかに小さな数字です。
逆に35%の治癒率は極めて大きい数字といえます。
つまりこの薬は他の薬に比べて特別危険ということはないこれまでにない素晴らしい薬なんです。
赤目前院長は決して偽ったわけでもだましたわけでもありません。
データに基づく事実を伝えたんです。
結果は残念ながら痛ましいものでした。
しかし赤目前院長に落ち度は何一つありません。
以上です。
(裁判長)原告代理人何か意見はありますか?
(裁判長)原告代理人。
くだらない!データ統計…治るのが何%死亡するのが何%。
ハッまったくくだらない!結局患者を数字とデータでしか見ていないってことだ!今あなたが証明したことは前院長がいかに血も涙もない人間かということ!そしていかに医師失格かということだ!彼が医師失格ですか?人間一人一人の死に大きいも小さいもない!たとえデータ上は1.3%であっても本人にとってはたった一つの掛け替えのない命だ!そのことを赤目医師はまったく分かっていない。
膨大なデータを調べたから何なんだ!そこに一人一人の人生が書かれているのか?どんな悲しみを抱え誰を愛し何を夢見て生きてきたのかこれを読めば分かるのか!!そういうものと向き合おうとも思っていないんだ。
だから危険な治療でも軽い気持ちで勧めてしまう。
死んだとしても何ら責任を感じず踏ん反り返ってる。
冷たい言葉で家族の心を踏みにじっても平気でいる。
しょせん人の命を金もうけに使ってるだけだからだ!落ち度がない?ハッ。
笑わせるな。
彼の場合はそれ以前の問題だ。
医師として人間としての資質そのものが欠落している。
病人の悪口は言いたくはないがあえて言う。
最低の医者だ!医は仁術。
確かにその点からいえば赤目義二は最低の医者かもしれませんね。
権威にあぐらをかき不遜で横暴でスタッフとあつれきが絶えずいい年をして若い愛人をたくさんつくった。
患者や遺族の気持ちなど意に介さず死んだらさっさと追い出し患者の名前すらちゃんと覚えない。
最低だ。
そのとおりだ。
最後は病院から放逐され家族からも見放され広い豪邸でたった一人助けてくれる者もなく倒れていた。
まさに哀れな晩年です。
罰が当たったんでしょうか。
ですが彼の書斎は膨大な資料の山で足の踏み場もないほどでした。
病院を追われた後も彼はその山に埋もれて研究に没頭していました。
その姿を思い浮かべるとき私には彼がこう言ってるように思える。
「医は科学である」と。
科学?難病治療という科学の発展こそが彼にとっては全てだった。
そのために金を集め実績を挙げ権力を欲した。
科学に必要なものはデータです。
人生でも名前でもない。
医学を前に進めるために必要なことは遺族と一緒に泣くことではない。
直ちに次の患者の治療に当たることだ。
彼はこんなことを言っていた。
「病院がつぶれようとも家族がいじめに遭おうともそんなことはどうでもいいことだ」と。
その後にこう続けたかったのではないでしょうか。
「医学の進歩に比べれば」血も涙もとっくに捨てたんですよ。
(バイブレーターの音)たった今赤目義二医師が息を引き取りました。

(女の子)おじいちゃん。
おじいちゃん!
(女の子)おじいちゃん!赤目義二は極めて優れた医師だった。
私はそう思います。
何が…何が科学だ!科学なら人を殺してもいいのか!?進歩と引き換えに犠牲を要求してきたのが科学だ。
じゃあ犠牲者はどうなる?気の毒だ。
それで済ますのか?済ますしかない。
残された人間の悲しみはどうなる!彼女がどんな思いで生きてきたと思ってる!この先どんな思いで…。
死んだからこそ意味があるんだよ。
何だと?死は希望だ。
ふざけるな!その死の一つ一つが医療を進歩させてきた。
現代の医療はその死屍累累のしかばねの上に成り立ってる。
誰しも医学の進歩のためには犠牲があってもしかたがないと思ってるはずだ。
その恩恵を受けたいからね。
しかしその犠牲が自分や家族であると分かった途端にこう言うんだ。
「話が違う」と。
何で自分がこんな目に遭わなければいけないんだ。
誰のせいだ。
誰が悪いんだ。
誰をつるし上げればいいんだ!教えてやる。
訴えたいなら科学を訴えろ。
あなたのご主人を救えなかったのは現代の科学だ!そんなことできるわけないだろう!だったらせめて狂気の世界で戦い続ける者たちの邪魔をするな!もちろん世間には本当に悪質な医療過誤もある。
それは断じて断罪されなければならない。
しかし事この裁判に関しては医療過誤ではない。
余談ながらおそらく赤目医師の遺体は今頃研究機関に運びこまればらばらに切り刻まれていることでしょう。
彼は自分の死後肉体の全てを臓器移植と研究献体に提供する契約をしていたからです。
科学は死に意味があるんです。
死こそ希望です。
(裁判長)原告代理人他に質問は?ありませんか?詭弁だ!科学なんて言葉に惑わされちゃいけない!問題は人間一人一人の命の重さだ!掛け替えのなさだ!赤目医師はそれを軽んじていたんだ!だから今回の悲劇が起きたんだ!九條和馬先生。
赤目義二をつるし上げたところであなたの奥さんの弔いにはならない。
われわれにできることはせめて今ある命を慈しむことです。
一日一日が奇跡なのだと知ることです。
(裁判長)それでは判決を言い渡します。
主文原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
本件は亡き中原淳が被告病院を受診していたところハイムリック・ルーゴル症候群を疑わせる検査結果等から被告病院において…。

(広瀬)中原さん。
(広瀬)あらためて担当医としてお悔やみ申し上げます。
ご主人を助けられずすいませんでした。
私からも謝ります。
父が無礼な態度をとり申し訳ありませんでした。
私は夫の復讐がしたかっただけなんです。
お父さまのことお悔やみ申し上げます。
広瀬先生夫の死で難病治療が大きく進歩することを願っています。
はい。
失礼します。
九條先生!いや〜思いの外いいリハビリになりました!負けると思ってひやひやだったくせに。
アッチョンブリケ。
やっぱりあんたらすごいよ。
俺なんかとはものが違う。
そんなことありませんよ。
九條先生も今後は依頼が殺到すると思いますよ。
また法廷でお会いしましょうね。
もうたくさんだよ。
俺はたかりの弁護士だ。
またたかりに行くよ。
また一人手ごわい敵が出現してしまいましたね。
ただの野良犬だろ。
すまなかったな。
(さやか)ううん感謝してる。
一緒に戦ってくれて。
こっちこそ感謝してるよ。
俺を選んでくれて。
じゃあな。
元気で。
痛っ。
今度は幾ら分捕ろうか?お茶入れる。
(読経)
(広瀬)僕には赤目先生がいる場所の景色が分かってなかった。
僕に院長なんて務まんない。
とてもお父さんのようにはできない。

(好美)お父さんから送られてきたの。
(赤目)「好美へ」「私が彼を最も高く評価している点は私の正反対の医師だからだ」「広瀬君を支えて頑張りなさい」
(三木)まったく拍子抜けもいいところだったな。
あのたかり野郎。
(沢地)そうでしょうか。
私は素晴らしい戦いだったと思いますよ。
すてきだったしセクシーで。
(三木)何がセクシーだ。
「最後まで戦いたい」「古美門研介と」苦み走った顔しやがって!笑わせんじゃねえよあのよれよれスーツが!二度とあんなたかり野郎この部屋に入れるんじゃねえぞ!いいな与那城。
(井手)はい。
「はい」じゃねえだろ。
「井手です」って言わないと。
(井手)もう何でもいいです。
言えよ!
(井手)いっ…!
(服部)それでは勝利を祝って乾杯。
(一同)乾杯!
(蘭丸)う〜ん。
(服部)あ〜。
うん。
(蘭丸)いっただきま〜す!うんめ〜!蘭丸君君は今回大して働いていないのだから戻しなさい。
いや俺めちゃくちゃ活躍したじゃないっすか。
どうかな?えっ?
(服部)おや?先生どうかなさいましたか?いえこの辺りがやっぱりちくちくするんですよね。
(蘭丸)手術した所?痛てて…。
ひょっとして先生5%のうちに入ってしまわれましたかな?えっ?
(蘭丸)5%って?盲腸で失敗する確率。
嘘…。
確かに先生ってそんな感じですもんね。
嘘…嘘嘘嘘…。
再手術ですかな。
嫌だ…。
では辞世の句をどうぞ。
「あの病院医療過誤で訴えてやる絶対に」めちゃくちゃ字余り!
(服部)あっ…。
番組が始まってもう1カ月たつっていうのにまだまだ悩みが尽きないんだって
2014/11/22(土) 21:00〜23:10
関西テレビ1
土曜プレミアム・リーガルハイ・スペシャル[字][多]

大人気法廷コメディ完全新作!大病院で起きた突然死…医療ミスか不可抗力か!白い巨塔に隠された闇?愛憎渦巻く裁判の罠?堺雅人 新垣結衣 生瀬勝久 小池栄子

詳細情報
番組内容
 今回のテーマは、医療過誤問題。古美門研介(堺雅人)と黛真知子(新垣結衣)のもとに、巨大総合病院から弁護の依頼が入る。依頼は、1年前に病院内で死亡した患者の妻・中原さやか(吉瀬美智子)が弁護士を立て、病院に対してクレームを入れてきた件を処理してほしいという内容。古美門が対峙した弁護士・九條和馬(大森南朋)は、うだつの上がらない中年で、依頼人の夫が死んだ原因を院長である赤目義二(古谷一行)の医療過誤
番組内容2
と決めつけ、お金を巻き上げようとする“たかり弁護士”であった。もちろん、百戦錬磨の古美門に九條がかなうわけもなく、あっさりと追い払われてしまう。しかし、その後、古美門のもとに九條が病院を正式に訴えてきたと赤目から連絡が入る。
 初めは、余裕を見せていた古美門だが、法廷で“たかり弁護士”ならではの戦い方を見せる九條に苦戦を強いられることに。そして、裁判は、古美門に対して激しい敵対心を燃やす三木長一郎
番組内容3
(生瀬勝久)や、三木の秘書・沢地君江(小池栄子)をも巻き込み、やがて大きな裁判へと発展していく。果たして、古美門は勝利を収めることができるのか。
 他にも、赤目の次女・好美役に剛力彩芽、赤目のもとで働く若手内科医・広瀬史也役に東出昌大と豪華ゲスト陣がずらり。「法律」と「笑い」、相反する2つの要素を絶妙に組み合わせ作り上げる、「弁護士ドラマ」史上、最も笑える極上のリーガルコメディに乞うご期待。
出演者
堺雅人 
新垣結衣 
生瀬勝久 
小池栄子 
田口淳之介
  ★  
大森南朋 
吉瀬美智子 
剛力彩芽 
東出昌大
  ★  
古谷一行
  ★  
里見浩太朗
スタッフ
【脚本】
古沢良太 

【編成企画】
成河広明 
加藤達也 

【プロデュース】
稲田秀樹 

【監督】
石川淳一 

【制作】
フジテレビ 

【制作著作】
共同テレビ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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