生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
きょうのテーマはこちらです。
衆議院選挙で自民・公明両党は3分の2を超える議席を獲得して大勝しました。
この結果を受けて私たちの今後の暮らしはどうなるのでしょうか。
担当は藤野優子解説委員です。
与党が大勝しましたけれども、この選挙結果をどう見たらいいんでしょうか。
安倍政権の経済政策の成り行きをもう少し見極めたい、もしくはこれしか選択肢がなかったという有権者の方が多かったのではないかと思います。
一方で野党は共産党が大幅に議席を伸ばしましたが、ほかの野党については与党への不満の受け皿にはなりえなかったその結果が戦後最低の投票率ということにつながったのではないかと思います。
この結果で私たちのこれからの暮らしにはどういう影響が出そうですか?基本的にはアベノミクスこれからも継続するということですので大きな流れ大きな変化はないと思います。
物価もこれから毎年2%上げるということを目標にしていますし富裕層や大企業が利潤を上げることで中所得や低所得の人たちの生活まで潤う、という考え方に立ってこれから政策展開が行われていくことになります。
ここが潤えば隅々まで、ということですね。
しかし、これからの安倍政権はこの一部に限定されていたアベノミクスの効果を中小企業や地方それから国民全体にまで広げられるのかどうかという非常に難しい課題に取り組むことになります。
全体まで行き渡るかということですね。
2年後には消費税の再増税が予定されていますし、また社会保障もこれから相次ぐ負担増なども控えている中で、本当にこれから効果が広がるのか。
政権運営はまさにこれから正念場ということになります。
これから安倍政権は具体的にどんな政策課題に取り組むことになるんでしょうか。
いろいろ課題が山積しているんですがきょうは暮らしへの影響が大きい3つの項目を見ていきたいと思います。
まずはなんと言いましても賃金の引き上げです。
肝心なところですね。
ことしは大手企業を中心に2%余り賃上げとなったわけですがそれを上回る物価の伸びということがあって物価の伸びを引いた実質賃金は16か月連続でマイナスになっています。
賃金よりも物価のほうが上がり幅が大きいということですね。
ですから実質的に家計は苦しくなるので、買い控えということになりますし、ここが消費がなかなか回復してこないという原因になっています。
確かに同じものを買っても支出が増えていますものね、しかも2%も賃金が上がっていない人も多いですよね。
もちろんたくさんいますよね。
それで安倍総理大臣は来年度以降についても継続して賃上げを経済界に求めていくことにしています。
きょう、まさに今まさに政労使の会議を開いて経済界、労働界を交えた会議を開いて協力を求めることにしています。
一方で経団連の榊原会長も先日経済の好循環のためには賃上げは必要だということで、2年連続の賃上げに前向きな考え方を示していますので、来年も大企業を中心に賃上げの方向となると思いますけれども大手ほど賃上げになっていない中小企業についてもここはぜひ賃上げを実現してほしいと思います。
全体的に上がることを期待したいですね。
2つ目の課題は経済対策です。
消費税率8%への引き上げなどの影響で、予想以上に景気が今冷え込んできた。
それを下支えするためということで年内に新たな経済対策をまとめる予定にしているんです。
どういう対策ですか?具体的にはこれから検討が行われるんですが1つは消費増税の負担の大きかった低所得者への一時給付金というものを検討することになっています。
この一時給付金、今年度もあったんですけれども今年度については住民税非課税の人や子育て世帯に1万円が支給されたんですが同じような給付金が検討されることになります。
そして3つ目の課題が社会保障政策の優先順位付けです。
これは消費税率が10%になることが延期されましたので予定されていた社会保障の充実策が財源が足りなくなってくるということが起きてきます。
それで予定していた充実策の中で何を優先的に取り組んでまた何を延期するのかというふるい分け、線引きの作業が行われます。
何が優先されそうなんですか。
安倍総理大臣は選挙期間中に女性の活躍には欠かせない子育て支援例えば保育所の整備などの予算それから深刻な人材不足になっている介護現場で働く人たちの待遇改善、こうしたことには予算をしっかりとつけていきたいと言っていたんですが低年金で低所得となっている高齢者への給付金については年金の充実策は延期する方向で検討が進められています。
もちろん優先されないものも出てくるんですね。
こうした対策で本当に安倍総理大臣が言うように全体的に暮らしは上向いてくるんでしょうか。
私は、そう簡単ではないと思うんですね。
大手企業に勤めるサラリーマンの暮らしは上向いてくる可能性はありますけれども、問題なのは非正規で働く人たちの賃金の問題です。
今、非正規で働く人たち働く人全体の4割にまで増えているんですけれどもこの人たちの賃金と正規で働く人たちの賃金をどう縮めていくのかという問題があるんです。
去年、民間企業で正規で働く人たちの賃金、平均年収は473万円だったんですがこれに対して非正規のほうは168万円。
ずいぶん大きな差がありますね。
そうなんです、現役世代の賃金の差というのは将来受け取る年金の額にも反映されてくるので老後はもっとこの差が広がってくることになるんです。
格差が広がる、心配ですね。
ですから連合は今度の春闘で非正規の人たちの賃金を上げていくように、ということを経営側に求める方針なんですけれどもこの差を縮めていく道筋は立っていないんです。
本当にどうにかしないといけないですね。
底上げをしていかなければいけないと思います。
もう1つ心配なのはこれから予定されている社会保障の負担増と給付カットです。
社会保障の負担も増えることが予定されているんですか?いろいろあるんですがこれ以外にもあるんですけれども、中でも私が心配しているのは来年の4月から始まる予定の年金の新たな抑制策なんです。
どういうものですか?これまでは年金というのは物価が上がりますと年金も同じように上げていたという仕組みだったんです。
これが来年の4月からは物価が上がっても物価の伸びほど年金の伸びが増えないということになります。
アベノミクスで物価を毎年2%上げていくということを目標にしているんですが物価が上がれば上がるほど年金は目減りしていくことになります。
年金が減るというわけではないんですが、価値が下がるんですね。
これで高齢者の生活が厳しくなりますよね。
これは高齢者だけではないです。
この仕組みはこれから20年から30年続くことになりますので今の現役世代が年金を受け取るころになると今よりもっと年金の実質価値が目減りすることになるんです。
現役世代に大きく関わってくるんですね。
老後のためにも財布のひもを今から締めたくなるような話ばかりですね。
そうだと思うんですね。
景気はよくなったと言われるんですが、私たちはその実感がないですし、これから先の社会保障にも不安を感じます。
安倍総理大臣はアベノミクスの効果を先ほど見てきたように国全体に、国民全体に広げていくと約束したわけですから先ほど見てきたような非正規で働く人たちも含めた賃金の底上げ、そして将来の生活不安を和らげるための社会保障改革にも早く着手して私たちが景気回復を実感できるように責任を持って取り組んでほしいと思います。
藤野優子解説委員でした。
次回は高橋弘行解説委員とともにお伝えします。
ぜひ、ご覧ください。
2014/12/16(火) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「国民の選択とこれからの暮らし」[字]
NHK解説委員…藤野優子,【司会】岩渕梢
詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…藤野優子,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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