姿を変え色鮮やかに踊り歌いメスを魅了する謎めいた鳥「極楽鳥」。
その生態を探るため鳥類学者と写真家が10年にわたる探求の旅に出ました。
策を練らないとな。
姿を変える瞬間をカメラに収めたいものです。
目的は極楽鳥の全ての種を撮影する事。
下りるのも一苦労だ。
2人の試みは成功するのでしょうか?やったぞ!写真家ティム・レイマン。
鳥類学者エド・スコールズ。
2人は10年にわたってニューギニア島のジャングルを旅してきました。
およそ40種の極楽鳥を写真や映像に収め研究するためです。
(鳴き声)美しく輝く羽。
奇妙な形。
魅惑のダンス。
派手な装飾。
翼で出す音。
極楽鳥のオスの特徴は全てメスを引きつけるためのものです。
極楽鳥が生息するニューギニア島には手つかずの自然が残されています。
ティムとエドは20回以上ニューギニア島を訪れ50か所以上で撮影と調査を行ってきました。
空を飛び海を行き危険な生物が潜むジャングルを進みます。
ジャングルではクモに注意しないといけません。
こんなのが顔に貼りつく事もありますからね。
2人はほとんどの極楽鳥をカメラに収め全ての種の撮影まであと少しです。
今回の目標は「オナガカンザシフウチョウ」です。
標高の高い山に生息しています。
目的地まで飛行機で行くはずでしたが予定変更です。
(エド)乗るはずだった飛行機が着陸時のトラブルで故障したんです。
(ティム)ヘリコプターに変更しました。
問題はヘリが着陸できる場所があるかどうか分からない事です。
実際に行ってみないと状況が分からないんですよ。
この辺りには標高1,800メートル以上の険しい山もあります。
視界が悪い中を飛ぶのは無謀ですね。
幸い翌日は良い天気になりました。
目的地はふだん人がほとんど足を踏み入れない地域です。
(ティム)「晴れて良かったな」極楽鳥はジャングルの奥深くに生息しているため詳しい生態はまだ分かっていません。
極楽鳥はいわば「自然界の七不思議」。
ピラミッドと同じくらい謎めいています。
まるで違う惑星の鳥のようです。
「極楽鳥」と呼ばれる「フウチョウ科」はおよそ40種。
それぞれに特徴があります。
「カンザシフウチョウ」のオスはメスを引きつけるためにとても凝ったダンスを披露します。
「ワキジロカンザシフウチョウ」のオスは8の字を描くように踊ります。
オスの行動一つ一つにメスにとってどのような意味があるのかを全て理解する事は困難です。
目的地が近づいてきました。
今回の目的はオナガカンザシフウチョウの「求愛ダンス」を観察し研究する事です。
わくわくしますよ。
2人は尾根の一角にキャンプを張り3週間過ごす予定です。
「無事着陸できれば」の話ですが。
(エド)「そろそろか?」。
(ティム)「煙が見えるぞあそこだ」。
(エド)「竹が生えてるな」。
(ティム)「ああ」。
(エド)「着陸できる?」。
(パイロット)「あれなら楽勝だ」。
(ティム)「ほっとしたよ」。
(ティム)こんな場所にもヘリで来られて助かるよ。
カンザシフウチョウ属は驚くほど姿を変えます。
オスには胸に求愛ダンス専用の羽があります。
(エド)まるで森の妖精がスカートをはいて踊っているみたいで面白いですよ。
ティムとエドは既にカンザシフウチョウ属を5種類全て撮影しています。
そこで今回はメスがオスのダンスを見る場所からつまり上からダンスを撮影しようと考えています。
メスと同じ目線で見ればこれまで気付かなかったものが見えてくるはずです。
オスが羽で作り出すスカートのような形が上からだとどんなふうに見えるのかがはっきりするでしょう。
このキャンプ地にしばらく泊まり込みます。
現地のポーターに協力してもらいキャンプの設営に取りかかります。
2人は「踊り場」と呼ばれるダンスの舞台を見にいきました。
以前来た時はこの辺に…。
ああそこだろう。
踊り場があったはずです。
多分ここだな。
新しい鳥のふんがある。
(エド)「ふん」か。
地元の言葉で「ペックペック」だ。
むき出しの地面はオスが求愛ダンスをする場所です。
カンザシフウチョウ属は踊り場をいつもきれいに保つ習性があります。
エドは小型カメラを設置し踊り場に木の葉をまき散らしました。
オスが今もここを使っているかどうかを確かめるためです。
オスはこんなふうに葉っぱが散らかっているのは耐えられないはずです。
やってきたらすぐに掃除を始める事でしょう。
こりゃあいいや。
ここから見下ろせるぞ。
上からの撮影にはもってこいの場所です。
これだけ離れていれば気付かれない。
あのつるは取り除こう。
いけそうだな。
メスと同じ目線でダンスを捉える事ができれば研究にとって大きな収穫です。
姿を変える瞬間をカメラに収めたいものです。
何としてもね。
2人がカメラをチェックしていると早速オスがやってきました。
来たぞ。
よしカメラに向かってきた。
オスは掃除に夢中でカメラに全く気がつきません。
すごいぞ。
(ティム)こりゃ最高だ。
まさかここまで撮れるとは。
笑えるなあカメラを全く気にしてないぞ。
ずいぶんでかいな。
(エド)尾羽が長い。
(ティム)これほどの大物はめったにいないぞ。
踊り場の周りにカメラが3台設置されました。
そのうち2台をエドがパソコンで操作し3台目のカメラはティムが隠れて操作します。
まずはしごを組まないと。
ジャングルにはさまざまな材料がそろっています。
エドはカンザシフウチョウ属の求愛ダンスを何年も研究しています。
ほかのどの種よりも複雑なダンスです。
まず頭をちょっと下げてから胸と脇腹の長い羽を膨らませます。
次にその羽を背中の方までぐるりと広げて翼を覆い隠します。
立ち上がると頭の両脇からワイヤーのようなものが3本ずつ出てきます。
そしてスカートを広げたような形で歩き出し頭を激しく振り始めます。
メスと同じ場所から見れば奇妙な動きの意味が分かるかもしれません。
相手を選ぶ決定権を握っているのはメスです。
「オスはメスの気を引く動きをしている」と考えられています。
よしできた。
今は12時15分で鳥があまり活動しない時間です。
活動を始める前に撮影準備を整えました。
問題なく映っています。
いよいよ作戦開始です。
ティムが隠れ場所に入りオナガカンザシフウチョウが再び現れるのを待ちます。
(鳥の鳴き声)
(エド)間違いなく近くにいるようです。
(雷の音)何時間も粘りましたがさすがにそろそろお開きですね。
(ティム)「帰り支度を始めよう」。
そうしよう。
しかたない今日はここまでだ。
(ティム)まっ初日に撮影できると思うのは虫のいい話だな。
翌朝2人は再び持ち場に戻ります。
朝はやっぱりコーヒーがないとね。
う〜ん。
(鳥の鳴き声)オナガカンザシフウチョウがついに現れました。
(シャッター音)
(シャッター音)
(鳥の鳴き声)
(ティム)「よし撮れたぞ」。
ああこっちも撮れた。
(ティム)「見るのが楽しみだ」。
撮れました。
さあどうだ?
(鳥の鳴き声)左右を見ておじぎして。
あの尾羽…スカートを広げるぞ。
上から見ると動きがよく分かるな。
羽がチラッと光るのもよく見える。
期待以上の成果でした。
光る部分は頭の後ろにもあるぞ。
メスの目線で見るといつもとまるで違って見える。
上から撮影する事で新たな発見がありました。
オスは真上にいるメスだけに見えるようさまざまなアピールをしていたのです。
いつも地面の近くから撮影していたから分からなかったよ。
あのチラッと光る羽は上にいるメスに見てもらうためにあったんだな。
こんなに見え方が違うとはね。
3方向からの映像を同時に見ると状況が更によく分かります。
こりゃいい。
頭のワイヤーで体の揺れを分かりやすく見せているようだ。
羽が青と黄色に光ってる。
上からだと両方見られる。
大成功だな。
極楽鳥にはさまざまな種がいてそれぞれ特有の習性があります。
ティムとエドはオナガフウチョウが逆さまになって求愛ダンスをするのを発見しました。
あの時は「やったぞ!」という感じでした。
逆さまになってダンスをする種はほかにもいます。
アオフウチョウベニフウチョウシロカザリフウチョウです。
撮影するのはとても難しくエドは「オオウロコフウチョウ」のダンスを90秒間撮影するために80時間待った事もあります。
ティムはこれまでに150本近い木に登ってきました。
最も高い木は50メートル。
15階建てのビルと同じくらいの高さです。
時には木の上で食事も済ませます。
今日のランチはインドネシア風。
ご飯に野菜に麺なかなかイケますよ。
次の撮影は更に大変です。
出発できる?何とかね。
ひどい雨だな。
ティムとエドが次に探す極楽鳥は「ベニカザリフウチョウ」です。
(鳴き声)非常に珍しい鳥で生息地はニューギニア島の沖にある2つの島だけです。
極楽鳥はパプアニューギニアの国旗に描かれかぶとや帽子などの羽根飾りにも盛んに利用されてきました。
極楽鳥の生息数は羽を目的とした乱獲が原因で一時激減しました。
保護活動によって現在はだいぶ生息数が増えましたが実際に見つけるのは簡単ではありません。
乗る時落ちないように気をつけないとな。
ハハハッ。
水に落ちなくても結局びしょぬれのスタートだ…。
極楽鳥には木の上で求愛ダンスをするものもいます。
撮影するためにはティムも高い木の上に隠れ場所を作らなくてはなりません。
迷彩柄の布で目立たないようにしたお手製の隠れ場所です。
コフウチョウの踊り場は木の上です。
あっちの木の上でダンスをするはずです。
もう6日間空振り。
今日で7日目の朝です。
そろそろ姿を現してほしいものです。
忍耐が報われる時がきました。
集まってきました。
あれはオスです。
(シャッター音)
(鳴き声)
(シャッター音)撮れました。
同じ方法でオオフウチョウの撮影にも成功しました。
複数のカメラを使っています。
この枝が踊り場。
あそこが私の隠れ場所。
デジタルの一眼レフカメラを葉で覆い隠しています。
うまくいく事を祈りましょう。
葉で隠したカメラはエドがパソコンでコントロールしティムはもう1台のカメラで撮影します。
準備完了。
あとは鳥を待つだけです。
オスが2羽現れました。
羽を膨らませてメスの気を引きます。
メスが現れアピール合戦が激しくなります。
(鳴き声)うまくいった。
完璧だ。
オスのダンスが気に入るとメスは羽でくすぐられてもじっとしています。
そして交尾が始まります。
これまでにない角度から交尾の撮影に成功しました。
次の目標ベニカザリフウチョウも木の上で求愛ダンスをします。
2人はこれまでに成功した作戦を全て組み合わせて撮影に臨む予定です。
しかし天候は悪化しています。
(ティム)黒い雲がべったりだ。
(エド)港を出てから波は高くなる一方だし雨は土砂降り。
海も荒れてひどい状況ですよ。
ベニカザリフウチョウの生息地までは過酷な道のりが続きます。
島の間をボートで進みファーガソン島に上陸。
その先は全て徒歩です。
ニューギニアでの調査研究は信じられないほど不便です。
どこまでも続くジャングルや険しい山々が人の侵入を拒否するかのように広がっています。
こうした環境だからこそ極楽鳥のような珍しい生き物が生息しているのかもしれません。
閉ざされた環境で極楽鳥は独自の進化を遂げてきました。
(ティム)着いたぞ。
ようやく島に着きました。
ここからが厳しい道のりです。
ガイドを務めるデヴィッド・ミッチェルから悪い知らせがありました。
道は腰の辺りまで水浸しです。
極楽鳥がいる森の周辺も同じ状況という事ですか?ええ。
でも2日も待てば水も引きますよ。
道は池のような状態です。
ティムとエドは別のルートを進む事にしました。
水が増してきたな。
地元の人たちの協力でジャングルを進みます。
(エド)若い女性や子どもまで荷物を運んでくれます。
僕らは荷物が少なくて申し訳ない気分です。
ようやく村にたどり着きました。
お目当てのベニカザリフウチョウは近くの森に生息しています。
早速見にいきましょう。
2人は極楽鳥の踊り場に向かいました。
おっと!ここは滑るぞ。
(鳥の鳴き声)聞いた?有望だな。
「この辺に踊り場がある」って聞いたけど。
もうその木は使われていません。
なぜ?近くにあった木が倒れてきたんです。
そんな…。
鳥はどこに行ったんだろう?声だけはあちこちでしているけど。
みんな散り散りになりました。
ダンスはどこか別の木でしているはずです。
それを探すって訳だ。
はい。
深いジャングルの中で踊り場を探す事になりました。
(鳥の鳴き声)ダンスの前に発する鳴き声に近いな。
(鳴き声のまね)次はこうだ。
(鳴き声のまね)ダンスの始まりだ。
ほかにも聞こえるな。
鳥の鳴き声はあちこちでしていて姿も見えますが特定の木には留まりません。
耳を澄まし求愛ダンスの時に出す独特の鳴き声を聞き分けて探すしかありません。
これだけ枝葉が生い茂っていると撮影も一苦労です。
翌朝踊り場が見つかりました。
あそこの枝がジャングルジムみたいに交差している隙間に目当ての鳥がいます。
近くに隠れ場所を作れる空間がないため計画を変更しなくてはなりません。
今回は遠隔操作ができるカメラを使う事にしました。
近くの木の上にカメラを2台設置して葉で覆います。
そこから地面までケーブルを引っ張りノートパソコンで遠隔操作して撮影するんです。
こんなふうに極楽鳥を撮影するのは初めてでしょう。
遠隔操作にはさまざまな機材が必要です。
これはここか。
これを君のパソコンにつないで。
おい…でかいヤスデが足をはってるぞ。
ヤスデが分泌する液に触れると焼けるような痛みを引き起こします。
下手に刺激すると液を引っかけられるから慎重にやらないとね。
さようなら。
カメラのテストをしよう。
2台ともきれいに映ってるよ。
あと足りないのは鳥だな。
一つ芸を披露してみるか。
(鳴き声のまね)ハハハッうまいだろう?カット。
よし木に取り付けよう。
ベニカザリフウチョウの踊り場は地上30メートルの場所にあります。
(エド)あ〜失敗か。
(ティム)狙いは良かったけど何かに当たって跳ね返されたみたいだな。
もう一度。
またダメか…。
よし今度は大丈夫だ。
ロープがしっかりと結び付けられます。
よし行くぞ。
目標の高さまで来たが木が折れそうだ。
大丈夫か?幹のところはね。
ロープで体をつなぎます。
足元の木が折れても地面にたたきつけられずに済みますからね。
一番近い病院まで2日はかかるのでけがはできません。
見え方はどうだい?よく見えるよ。
2メートル先だ。
いい写真が撮れそうだ。
おっと…足元が本当に危なっかしいな。
カメラの設置が終わらないうちにベニカザリフウチョウの鳴き声が大きくなってきました。
(鳥の鳴き声)あの鳴き声デートの前に髪をとかしながら「よ〜し今日は決めてやるぞ!」と言ってる感じですね。
さまざまな技を駆使してメスを引きつけるのは極楽鳥のオスにとって何よりも大切な事です。
オスは求愛行動の時期複数のメスと交尾する場合もあれば同じメスと数週間にわたって交尾する場合もあります。
しかし相手や回数の決定権はあくまでもメスにありオスはえり好みできません。
重要な研究課題は「メスが何を基準にオスを選んでいるのか」という点です。
ダンスが行われる木のそばにいます。
ここに設置されているのが遠隔操作ができる「カメラ1号」。
こっちが「2号」。
カメラの設置に3時間かかりました。
ずっと変な体勢だったから足がしびれてきた。
ちょっと休憩するよ。
折れやすい木の上では休めないため腕の力がなくなる前に下に下りなくてはなりません。
下りるのも一苦労だ。
疲れたよ。
(鳥の鳴き声)私たちの後ろの方で鳴いています。
高さ25メートルくらいのところでしょう。
設置したカメラに気付いておびえているのかもしれません。
(鳥の鳴き声)頼むから早く来てくれよ。
(ティム)すぐ近くにいる事は確かです。
メスのぬいぐるみでも木にくくりつけておこうか?すぐに寄ってくるかもよ。
待つのも仕事のうちか…。
参ったよ。
狙った木に留まってくれないとはなあ…。
(鳥の鳴き声)雨だ。
店じまいか。
暗くなってきたし雨も降ってきたのでまた上まで登ってカメラを降ろさないといけません。
夜は撮影できずカメラは防水ではありません。
1日目は空振りに終わりました。
明日は苦労が報われる事を祈りますよ。
翌日2人は夜明け前に現場に戻りました。
目標の木のすぐそばで鳥が眠っているはずだから静かにやろう。
できるだけ手早くカメラを設置してくるよ。
ティムは再び折れやすい木に登ります。
まだ暗く木は雨にぬれて滑りやすくなっています。
(エド)ネズミが夜のうちにケーブルをかじっていないかチェックします。
ネズミの仲間はすぐにケーブルをかじりたがるんです。
まったく…研究者泣かせの連中ですよ。
予定どおり5時半になる前に下りてきたよ。
お疲れさま〜。
あとは日が昇るまで30分ほど待つだけだな。
まだ姿を現しません。
一晩中雨が降っていたのでそこら中びしょぬれです。
だから鳥たちもまだ活動しないんだと思います。
辛抱強く待つしかありません。
(鳥の鳴き声)近くにいるのにカメラの前には来てくれないな。
カメラを仕掛けた木は避けられているようです。
昨日も今日も天気はいいのに狙った場所に来ないという事はやはり仕掛けたカメラを嫌っているようです。
何か別の手を考えるしかないですね。
ティムとエドはベニカザリフウチョウの撮影をいったん諦め別の極楽鳥を撮影する事にしました。
別の極楽鳥が近くでずっと鳴いているんです。
向こうでも鳴いてるけどどうする?イチジクの木の方に戻ろう。
新たなターゲットは「チヂレゲカラスフウチョウ」です。
SF映画の効果音みたいだ。
そこにいた。
あ〜でもこれじゃ逆光だ。
チヂレゲカラスフウチョウは極楽鳥の祖先に当たる鳥に似ていてほかの種のように華やかな姿をしていません。
一夫一妻制なのでオスがメスに奇抜なアピールをする必要がないためです。
極楽鳥の多くの種は進化のどこかの時点で性淘汰が極端に発達したんです。
性淘汰によってメスが最も魅力的だと感じるオスの特徴が子孫に受け継がれていきます。
極楽鳥の奇抜な羽もメスがそれを好んだ事で現在のような形に進化してきました。
オスがメスにアピールする装飾的な羽や動きは子孫に受け継がれるうちに更に派手になっていきました。
一方メスがオスを選ぶ時の態度も風変わりで人間的に言えば「お高く留まっている」という感じですね。
食べ物が豊富で敵も少ないため極楽鳥はエネルギーのほとんどを交尾のために使います。
メスはまるでオーディションのように最も魅力的な求愛行動をしたオスを選びます。
性淘汰の結果生み出されたオスの求愛行動をメスが長い時間をかけて審査します。
一夫一妻制のチヂレゲカラスフウチョウもほかの種のように奇抜ではありませんが求愛行動をします。
鳴き声によってです。
エドは録音した鳴き声を利用して鳥をおびき寄せる事にしました。
あそこにいるぞ。
どの辺に?そこの下だよ。
よし見つけた。
木の後ろだ。
ちょうど日が当たってる。
のどが動いてるのが見える。
のどにあるらせん状の気管であの変わった鳴き声を出すんです。
この鳥が鳴くときの動きを撮影したのは世界初だと思います。
今朝よりうまくいったな。
2人はベニカザリフウチョウの撮影もやり遂げるつもりです。
すぐ近くにいるな。
カメラを仕掛けた木から50メートルほどのところで2羽のオスが求愛ダンスをしていました。
(シャッター音)
(鳴き声)この位置から望遠レンズを使えばすぐそばにいるような写真が撮れます。
(鳴き声)メスは近くでオスのダンスを観察しています。
オスがメスにだいぶ近寄った。
よ〜し。
交尾をしています。
1羽は成功。
交尾の瞬間を捉えました。
(鳴き声)ダンスの時間は長いのに対し交尾はあっという間です。
終わったよ。
交尾の様子も全部撮影できた。
ここからだとよく見えるな。
ただ手前の枝がちょっと邪魔だな。
これだろ?オスが2羽いる時からこんな感じだ。
迷惑な枝だよ。
あとは遠隔操作のカメラでも撮影できれば完璧です。
コーヒーが入りました〜。
「極楽鳥が印刷されたパプアニューギニアのコーヒーを愛用のマグカップに注ぐ」と。
遠隔操作のカメラを設置するためティムはまた木に登ります。
あ〜失敗。
(エド)あら…もう一息。
(ティム)よしやった。
また例の弱い木だ。
あの木はもうたくさんだよ。
よし行くか。
こう設置しました。
あそこの木を撮影できるようになっています。
今度こそダンスを撮影できればいいんですが…。
映りは完璧だ。
あとは鳥が来てくれるかだな。
地上からも撮影しよう。
そこの木が邪魔だな。
鳥が興奮してる。
オスだ。
撮れてるか?ああ。
ほかにも来るぞ。
やった。
オスとメスが2羽ずつだ。
木の上のカメラはバッチリだ。
よしその調子。
任務完了。
ティムとエドは協力してくれた村の人たちに撮影した写真を披露しました。
ベニカザリフウチョウです。
この撮影でベニカザリフウチョウのメスはオスの赤い羽に魅力を感じるらしい事が分かりました。
またダンスの間中オスは尾羽でメスの胸をなでています。
乾杯。
最高の一日だったな。
ティムとエドは世界初となる撮影を数多く成し遂げました。
チヂレゲカラスフウチョウの求愛行動を撮影。
ベニカザリフウチョウを木の上のカメラで撮影。
オナガカンザシフウチョウをメスの目線で撮影。
2人は10年近い歳月をかけておよそ40種の極楽鳥の撮影に成功しました。
(ティム)最も困難で最もやりがいのある挑戦でした。
(エド)極楽鳥を見て単に美しいと思うだけでなく進化の歴史や習性を知ると本当に魅了されますよ。
今日の大実験の舞台は台湾。
2014/12/13(土) 19:00〜19:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「極楽鳥 魅惑のダンスを追え!」[二][字]
ニューギニアのジャングル深くに生息する極楽鳥。およそ40種全ての撮影に挑戦している写真家と研究者がいる。2人の涙ぐましい努力と極楽鳥の見事な求愛ダンスを伝える。
詳細情報
番組内容
色鮮やかな羽に奇抜な装飾、複雑でユニークな動き…極楽鳥はメスを魅了するためにダンスを繰り広げることで知られる。求愛を受けるメスの目線でダンスを撮れば、最高のパフォーマンスを見られるのでは?2人は“メス目線”にこだわって複数のカメラを設置。見事撮影に成功する。ロープだけで高さ30メートルの木に登ったり、大雨の中で撮影したり…。苦労が多いだけに美しい極楽鳥の姿をとらえた喜びは大きい。(2012年米国)
出演者
【語り】渡辺徹
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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