生字幕放送でお伝えします≫始まりました、「ひるブラ」。
今日は皆さんにクイズを出したいと思います。
私がかぶっていますこちらの帽子。
そして、手に持っているこのバッグ。
≫はたまた、こちらのとち餅こちらちまき。
そして赤かぶの漬物まで。
実はこれら共通点があるんですよ。
あるものを活用しないと作れないんですけども辺見さん!≫どうも。
共通点?≫そうなんです。
分かりますか?≫全然、食べ物とバッグと帽子共通点ないですよね、全く。
≫ちょっと難しいですかね。
≫わら。
≫わら、ブー。
全然違いました。
正解は、こちら灰なんですよ。
実はすごいパワーを秘めてましてこのおしゃれなグッズとかおいしい郷土食を作るのに必要不可欠。
一体どういうことなのかその秘密を解いていきたいと思います。
≫そしてこの灰なんですが木を燃やしてできるものですね。
ブナですとかナラのまきをまきストーブで燃やします。
そのときに出る灰なんです。
普通は捨ててしまうものを捨てずに生活のいろんな場面で活用している集落に今日は来ています。
このまきストーブがまた暖かいんですよね。
集落、見えていますか?≫こちらは新潟県は村上市の山あい山熊田集落でございます。
≫辺見さん、どうですかこの風景。
≫とてもお正月遊びに行きたい。
ここでゆっくりしたい。
≫19世帯約60人の方が暮らしています。
≫そして、おとといまでここも結構な雪が降りましてこうした風景があります。
よく見るとおうちのいろんなところに煙突があってそこから煙が出ているんですよ。
先ほどのまきストーブどのおうちにもあるものなんですね。
≫そして、僕たちがいるのはここです!≫いた、いた。
≫雪に埋もれそうになりながらやっております。
≫そちらは雪の様子どうなんですか?大丈夫なんですか?結構降りましたよね。
≫結構、この集落ふだんから雪は降るんですけど12月にこれだけ降るのは地元の方は多いと言っていました。
今週また寒波がきますので雪に注意が必要ですね。
そんな中、頑張って今日は伝えていきましょう。
≫まずは、とち餅とちまき。
こちらを生み出す灰のパワーとはなんぞやということです。
その秘密こちらの小屋にあるんですよ。
早速、体験しに行きましょう。
≫寒いですけど早く入りましょう。
≫お邪魔します。
暖かい!≫チャンさん、薄着つっこまれましたけど大丈夫ですか。
≫おしゃれには代えられなかったです。
≫この小屋は皆さんがこうしてお茶を飲んだりする場所なんですが奥にいらっしゃるのがこのおうちそしてこの小屋の持ち主の大滝初見さん。
そしてそのお隣がお友達の國井千寿子さんです。
また、親せきの方ですとかお友達の方々にも今日は来ていただいています。
先ほど、とち餅が出てきましたけれどもこちらにトチの実があります。
とち餅の原料になるんです。
辺見さん、見たことあります?≫初めてです。
くりみたいな感じですね。
くりがぼこぼことなった感じ。
≫保存食として山の暮らしには欠かせないものなんですが。
こちらにまきストーブここにもしっかりあるんですがその熱を利用してお釜があります。
ちょっと開けていただきましょう。
國井さん、お願いします。
オープンすると、湯気の中にトチの実が入っているんで國井さんすくってもらってもいいですか。
≫これです。
≫トチの実の皮をむいたものがこちらになるんです。
長時間、煮たものです。
≫むいてもくりみたいでしょ辺見さん。
≫本当ソックリですよね。
≫これ、おいしそう。
味もそうなのか試してみたいのでいいですか?いただきます。
熱くない…。
熱くないんですけど苦いんです。
くりと違う。
どういうこと。
≫これ、ほれてまう味ではなかったですよね?≫ほれれないですよ、これどういうことですか!≫これ本当は食べちゃいけないものなんですよね。
≫そうなんです。
このままでは食べられないもの。
≫なんで出したんですか。
気をつけなはれや!≫食べたいって言ったから。
≫あ、すいません…。
≫トチの実はすごいあくが強くて苦いんです。
このままだとなかなか食べられないということでそこで登場するのが灰なんです。
では、初見さんお願いします。
こちらにトチの実がゆであがったものを入れております。
そして灰をどばーっと入れちゃいます。
そして、もみ込んでいくと。
真っ黒になりましたけれどもこれが実はあくを抜く作業なんですよ。
灰の中のアルカリ性によってトチの実のあく強い癖があるんですけどそれが抜けるということなんですね。
これで3日間ぐらいですよね?≫3日ぐらいですね。
≫3日ぐらいつけるとあくが抜けていくということなんです。
このあくを抜いたトチの実。
こちらをお米、ついてとち餅というのができるんです。
そのとち餅が隣にあるんですよ見てください。
おいしそう。
≫これはおいしいですよ。
≫これは苦くないでしょ。
≫よかった、いただきます。
≫どうですか?≫おいしい。
木の実の香りがプーンとしてまろやかになります。
おいしい。
≫不思議ですよね。
≫全然違う!なんや。
言ってくださいな。
おいしいやんか!≫このあく抜きに使う灰なんですけど灰にも実はこだわっておりましてブナとかナラのまきを使うことでアルカリ性が強いんですよ。
なのでスギの灰だとなかなかあく抜きができないんですけどその木にもこだわってあく抜きをしておいしく食べているという山の暮らしの昔からの知恵ですよね。
≫皆さん、子どものころからこれを食べられてるんですか?≫はい。
≫どんなときに食べられるんでしょうか?≫お祭りとかお正月とか食べていました。
≫めでたいときに食べるものなんだ。
まもなくお正月ですからね。
お先にありがとうございます。
灰のパワーはあく抜きだけじゃないんですよ。
こちらご覧ください。
最初にご紹介させていただきましたこちらちまきでございますけどもこれ、あく笹巻という郷土食でございます。
そして、こちら中身をむいてみますがぺろんといかせていただきましたらほら!黄金色のきれいな色なんですけどこれ、着色料も何も使っていないんです。
それでいてこんなに黄金にキラキラと光っているんですよ。
≫チャンさんの横にボウルがあるんですが、その中にあくを水に入れて煮出したときの上積みをもち米と一緒に入れているんです。
そうするとほんのりともち米が黄色くなるんですよ。
3時間ほど浸すとあくに含まれるアルカリ性でこのようになるんです。
こうすることで保存性も高まっているという効果もあります。
≫笹で巻くとダブルで保存効果があるということで夏なんて常温で1週間ぐらい持つらしいんですよ。
≫でも知恵ですね、本当に。
昔の方のね。
≫いただきたいと思います。
おいしいです、これは。
≫さっきのと違いますか?≫違います。
卵の風味みたいなのが香るような感じです。
≫これは調味料を一切入れてないんですけどほんのりとその味がつくのは…。
≫温泉卵みたいな…。
≫これはトチの実は入ってないんですけど灰のあくの効果ですよ。
≫えらいもんやな。
ちゃんと味がしっかりしてはります。
おいしい、やさしい口当たりです。
≫山里の暮らしを灰が豊かにしてくれている。
辺見さん、ちょっとずつ分かっていただけたでしょうか。
そして、今日はとことんその灰パワーについてお伝えしていきたいと思うんですけどまだまだあるんです。
冒頭にご紹介しましたこちらのバッグちょっと気になりますよね。
バッグにどう灰がかかわっているかということなんです。
その秘密が実はこの小屋の2階にありますので行きたいと思います。
失礼します。
ちょっと、ここ狭いのでカメラさんも気をつけながら来てください。
下は皆さんのお茶飲み場なんですけど、上は物置になっております。
下にまきストーブがありますので適度に熱気があるので上が乾燥した状態になるんです。
なので湿気を嫌う食料ですとか生活用品の保存に最適な場所なんです。
こういうのも雪国の知恵なんですね。
≫雪国のグッズがいっぱいある。
≫食材でいうと先ほどのトチの実もこちらにありましてこの状態、こうした場所で置いておくとトチの実は3年ぐらい持つんですよ。
山里が雪で閉ざされてしまうその生活の中には欠かせないものがこのように大切に保存しているんです。
ちょっと珍しいものでいうと熊の毛皮なんですけれども。
山深い地域ですから熊がまわりにはいるんですね。
こちらには爪が見えているものもありますけれども。
今、ちょうど冬の狩猟シーズンということで山里の暮らしをこういうところからも感じていただけると思います。
そして、お待たせしました。
このバッグにどう灰がかかわるのかをご説明したいんですが手触りなんですが、触ってみます。
ちょっとざらざらしてるんですよ。
麻布よりももう少し粗いかなという感じなんです。
≫かごとはちょっと違う感じ?≫それをちょっとイメージしていただいてもいいかもしれません。
この材料、しな布
(ふ)という伝統工芸品が使われているんですよ。
そのしな布の材料というのが私の後ろにあります、こちら。
これがシナノキ、木の皮なんです。
なので、木の皮からできたバッグということなんですね。
先ほどかごって言いましたけどかごよりももっと繊細な感じがするじゃないですか。
≫そんな感じします。
≫ここからこの木の皮からバッグにどういくのか。
実は灰が欠かせないんです。
実は、この木の皮を水に入れてそこに灰を投入します。
そこで煮込むことによって木の皮の細胞壁が溶けだしていくんです。
簡単に言いますと繊維だけが残るということなんですね。
たくさん煮るとこうなるわけです。
これは繊維だけになったものです。
≫全然違いますね、さっきと。
≫ちょっと裂いてみると分かるんですよ。
もう空間ができているんですよ。
≫繊細になりましたね、すごくね。
≫これが実はこの繊維をちょっとずつ、ちょっとずつ糸にできるということでそれを使って布にしていくということなんです。
ここには、この集落の方々の職人技があります。
≫辺見さん、その技を探しに集落の暮らしを体験できる工房にお邪魔しております。
それがこちらでございます。
≫手で?≫そうなんです。
手作業で繊維と繊維を長く1本につなぎ合わせていくんですね。
近くで見ていると何がなんだか分からない作業でございます。
お母さん、ちょっとゆっくりと見せていただいてよろしいでしょうか。
そして説明もお願いしていいでしょうか。
≫糸をなるべく平らにしてつないでいきます。
≫こうやってまずわっかを作るんですね。
そこによじって…。
こうやってつなぎ合わせるんですね。
もう1回見せてもらってよろしいですか。
分かりましたか?≫分かりますよ。
わっかにして…。
まず穴を作ってよじると。
すごい、手作業でつなぎ合わせて…。
この作業は目疲れますね。
お母さんね。
≫けど笑顔でやってくれています。
ありがとうございます。
こうやって1本になった繊維こちらでございます。
こうしてつなぎ合わせて糸車でよりをかけると糸が完成するということなんですよ。
≫糸にして編んでいくっていう作業ですもんね。
≫そうなんです。
その編んでいるのがこちらでございます。
こうやって、機で織って。
お見事でしょ。
≫タイムスリップしたみたい。
≫実際にやられていましてそれでできた布がこちらなんですよ。
こうやってしっかりとした布になるんです。
これが、しな布でございます。
手間がかかってるんですよ。
≫これ、どれぐらいの時間でできるんだろう?1個のバッグができるとして。
≫糸から作るのは、ずいぶん昔は冬の間の仕事だったんですけどね。
≫1日、一生懸命織っても1m織れるか織れないかなんですよ。
≫本当に大変な、しな布作りは冬支度をするのに女性の仕事だったそうなんですよ。
そして戦後10年ほどまでは生活の必需品だったんです。
それが、こちらでございます。
寝ていらっしゃいますね。
ぐっすりと寝てらっしゃいます。
この男性は、なんと國井さんの旦那さんでございました。
ありがとうございます。
ぐっすりと寝てらっしゃるこの下にしな布があるんですけどもほら、これ。
マットなんですよ。
この中になんと触ってみると…。
音がします。
これ、わらなんです。
わらは断熱効果抜群です。
冬は暖かいんですって。
ちょっと聞いてみましょう。
お父さん、寝心地はどうでしょうか?≫最高です。
すごくやわらかい…。
体がふわっと包まれる感じです。
≫半分、寝ております。
テレビですよ。
ありがとうございます。
≫夢心地です。
≫國井さん、これはここではよく使われていたんですって。
≫昭和30年までだと思うんです。
ですから戦後10年ぐらいだと思うんですけど。
≫お父さん起き上がる気はないんですね。
≫全くない。
寝心地、よすぎるんですって。
≫そうですね、最高ですね。
≫結局なんて言ってたか覚えてないです…。
≫寝ているインパクトが強すぎて情報が入りづらいですね。
≫昔はよく使われていてこれで冬を越していたということなんですね。
すごいですよね。
木の皮からですよ。
灰のパワーで糸ができちゃうということなんですよ。
まきの灰をまた煮出してこうやって活用して生活の知恵がどんどん、どんどん支えているということなんですね。
≫辺見さん、驚きはまだまだ早いんです。
このしな布を使ったものいまや生活必需品だけではなくてこうなっております。
皆さん、お願いします。
冒頭に出てきたおしゃれな帽子、バッグはもちろんのこと小物にもなっております。
こちら、まずはお財布。
こちら、4000円ぐらいします。
そして、お隣は名刺入れ。
2000円ぐらいです。
名刺入れはこの集落の皆さん持っていてあいさつ代わりにこれを出すということなんですよ。
そして、さらに、そのお隣今日、実は辺見さんお誕生日ですよね。
≫そうです。
私、忘れてました。
≫辺見さんにもどうかなとおすすめのものが着物のこの部分、帯なんですよ。
ここにしな布が使われています。
ちょっと回ってみましょう。
どうでしょう。
≫粋ですね、すごく。
これプレゼントしてくださるんですか?≫チャンさんにお願いしておきます。
これ、お値段聞いてみたいんですけどこのお値段、おいくらですか?≫税込みで25万9200円でございます。
≫ということです。
チャンさんよろしくお願いいたします。
やっぱり、あれだけ手間ひまかけて全部ここの集落の女性の手作りなんですよ。
そうして大切に作ったものなんですね。
ちなみに、辺見さん気になったものありますか。
やはり着物の帯だとか…。
≫お着物の帯はやっぱりすごいしお財布とかも今、使ったら、とてもすてきに使えるんじゃないかなと思って。
≫使っていけばいくほど味が出てちょっとずつやわらかくなっていったりしますからね。
≫冬にも合うし夏にも合うしすてき。
≫この集落から生み出されているものご紹介しました。
今日は灰のパワーについてたくさんご覧いただきましたけど最後はこちらです。
チャンさん、味わっていますけど。
≫おいしいですね。
≫赤かぶ、最初にご紹介しましたけど私も、失礼します。
辺見さん、こちらご覧ください。
赤かぶこの集落で取れたものです。
この赤かぶは灰が混ざった土の中で育ったものなんです。
使われているんです。
≫土に入れるってことですか?最初から、灰を。
≫そうです。
その灰の中で育てるとかなり食感がよくなるといいますか。
繊維質が少しなくなってさっくりとしたいい食感になっておいしくなるという皆さんの昔からの知恵があるわけですね。
これも先月収穫されたばかりの赤かぶ。
漬け込んでいいお味になって。
この時期、冬の時期がおいしいので。
チャンさんどうでしょう、お味は?≫おいしいです。
≫いろいろなもの食べましたけど苦いものから…。
≫皆さんも召し上がっていただいてね。
≫お茶と合いそうだな。
≫こうして山里は雪に閉ざされますけど灰の力、その知恵を皆さん元気にたくましく生きているということが分かっていただけたと思います。
灰パワー伝わりました?≫全然、知らないことだらけでビックリしました。
≫皆さん、最後赤かぶ食べながら終わりましょうか。
赤かぶ以外にも、とち餅も開けてみますか。
とち餅のあんこなんかもあるんですよ。
(政春)うれしいか?
(エリー)はい。
2014/12/16(火) 12:20〜12:45
NHK総合1・神戸
ひるブラ「山里に驚きの“灰”パワー!〜新潟・村上市〜」[字]
新潟の山里で活用されている灰のパワーを大特集!家々のまきストーブから出る灰は冬場の大切なアイテム。山菜のアク抜きから冬野菜の栽培まで、驚きの灰の活用法をご紹介!
詳細情報
番組内容
【ゲスト】チャンカワイ,【コメンテーター】辺見えみり,【司会】佐藤俊吉 〜新潟県・村上市から中継〜
出演者
【ゲスト】チャンカワイ,【コメンテーター】辺見えみり,【司会】佐藤俊吉
ジャンル :
バラエティ – 旅バラエティ
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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